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JP7272245B2 - 回転電機のロータ - Google Patents

回転電機のロータ Download PDF

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JP7272245B2
JP7272245B2 JP2019212188A JP2019212188A JP7272245B2 JP 7272245 B2 JP7272245 B2 JP 7272245B2 JP 2019212188 A JP2019212188 A JP 2019212188A JP 2019212188 A JP2019212188 A JP 2019212188A JP 7272245 B2 JP7272245 B2 JP 7272245B2
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Description

本発明は、回転電機のロータに関するものである。
特許文献1に開示の永久磁石回転電機の回転子においては、楔状の溝又は孔と、溝又は孔に装着された永久磁石と、充填材とを有する。楔状の溝又は孔は、径方向外方に向かって幅が漸減するテーパ面を有するとともに回転子鉄心の軸方向に亘って形成されている。充填材は、永久磁石を装着するための溝又は孔に隣接して設けた他の溝又は孔にダイカストにより永久磁石を押えるように充填され、永久磁石と回転子鉄心との間の空間に永久磁石の周方向に関する両端部を押圧している。
特開平7-312837号公報
ところで、回転電機のロータは、電磁鋼板を積層して構成されたロータコアの中心にシャフトが貫挿されており、例えばシャフト・ロータコアが焼嵌締結等されており、その応力により電磁鋼板が座屈し反りが発生する場合がある。この反りは、シャフト・ロータコアの締結力の低下の原因となる。また高速回転した場合、ロータ変形がさらに増長され、回転バランスの悪化につながることがある。
また、回転電機のロータは高速回転することから容易に回転バランスをとることができるようにすることが望まれている。
本発明の目的は、ロータコアを構成する電磁鋼板を強固に固定することができるとともに容易に回転バランスをとることができる回転電機のロータを提供することにある。
上記課題を解決するための回転電機のロータは、コイルを巻装したステータの内周側に円筒状のロータコアの外周面が対向するように配置された回転電機のロータであって、前記ロータコアは、電磁鋼板を積層して構成され、中心にシャフトが貫挿され、前記ロータコアには、軸方向に延びる永久磁石挿入孔が磁極ごとに形成され、前記永久磁石挿入孔に永久磁石が挿入され、前記ロータコアにおいて隣り合う磁極間又は磁極内に軸方向に延びる充填孔が形成され、前記充填孔に充填された非磁性金属又は樹脂により前記電磁鋼板が固定され、前記ロータコアの軸方向の両端面に、前記非磁性金属又は樹脂による挟持部が一体成形され、前記挟持部は、前記充填孔に充填された非磁性金属又は樹脂による棒状部と連結される厚肉部と、周方向において複数箇所に形成された薄肉部と、を有し、前記薄肉部において回転バランスをとるためのピンが軸方向外側に突出するよう一体成形されていることを要旨とする。
これによれば、ロータコアにおいて隣り合う磁極間又は磁極内に軸方向に延びる充填孔に充填された非磁性金属又は樹脂により電磁鋼板が固定される。非磁性金属又は樹脂による挟持部の厚肉部において充填孔に充填された非磁性金属又は樹脂による棒状部と連結されていることにより、非磁性金属又は樹脂による棒状部の接続強度の向上が図られるので、ロータコアを構成する電磁鋼板を強固に固定することができる。また、挟持部において複数箇所に形成された薄肉部において回転バランスをとるためのピンが軸方向外側に突出するよう一体成形されているので、このピンを用いて容易に回転バランスをとることができる。
また、回転電機のロータにおいて、前記ロータコアにおける前記永久磁石挿入孔及び前記充填孔が形成された前記電磁鋼板と前記挟持部との間に蓋部材が配置されており、前記蓋部材には、前記充填孔に対応する位置に充填孔形成されているだけで、前記永久磁石挿入孔に対応する位置に永久磁石挿入孔が形成されていないとよい。
この場合、充填孔に充填される非磁性金属又は樹脂が永久磁石挿入孔に流入することを防止できる。
また、回転電機のロータにおいて、前記永久磁石挿入孔は、前記軸方向に延びるとともに径方向外側に配置される外径側永久磁石挿入孔と、前記軸方向に延びるとともに前記外径側永久磁石挿入孔よりも内径側に配置される内径側永久磁石挿入孔とを含み、前記外径側永久磁石挿入孔に外径側永久磁石が挿入されるとともに前記内径側永久磁石挿入孔に内径側永久磁石が挿入され、前記ロータコアにおける前記内径側永久磁石挿入孔の周方向外側にフラックスバリアが連続して形成され、前記充填孔は、前記ロータコアにおいて隣り合う磁極間における前記フラックスバリアに挟まれた領域に軸方向に延びるように形成されているとよい。
また、回転電機のロータにおいて、前記各磁極における前記外径側永久磁石挿入孔及び前記内径側永久磁石挿入孔は、円弧状をなすとよい。
外径側永久磁石挿入孔及び内径側永久磁石挿入孔が円弧状をなす場合に特に有用である。
また、回転電機のロータにおいて、前記ロータコアにおける前記フラックスバリアの周方向外側に離間して軸方向に延びる充填孔が更に形成され、当該充填孔に充填された非磁性金属又は樹脂により前記電磁鋼板が固定されているとよい。
この場合、ロータコアを構成する電磁鋼板を更に強固に固定することができる。
本発明によれば、ロータコアを構成する電磁鋼板を強固に固定することができるとともに容易に回転バランスをとることができる。
実施形態における回転電機の模式図。 ロータ及びシャフトの斜視図。 ロータ及びシャフトの分解斜視図。 ロータ及びシャフトの正面図。 図4のA-A線での断面図。 ロータ及びシャフトの縦断面での斜視図。 挟持部及び蓋部材の無い状態でのロータコア及びシャフトの斜視図。 挟持部及び蓋部材の無い状態でのロータコア及びシャフトの縦断面での斜視図。 ロータ及びシャフトの一部を破断した状態での斜視図(図2の一部破断図)。 ロータ及びシャフトの側面図(図4のB矢視図)。 図2におけるアルミダイカストによる成形品を示す斜視図。 別例のロータの断面図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、回転電機10は、永久磁石埋込型同期モータであって、ロータ(回転子)20と、ステータ(固定子)100とを備える。円筒状をなすロータ20の外周側にステータ100が配置されている。ステータ100の内周面は、ロータ20の外周面とギャップを介して対向している。なお、図は何れも模式図であり、形状を強調して記載している。回転電機10は極数が「4」であり、永久磁石が周方向において90°毎に配置されている。
図1に示すように、ステータ100は、ステータコア101が円筒状をなし、ステータコア101の内側には周方向に複数のスロット102が形成されている。各スロット102は内周面に開口している。スロット102間にティース103が形成されている。ティース103にはコイル(巻線)104が巻回されている。このように、ステータ100は、内周側にコイル104が巻回されたティース103が周方向に並設され、コイル104を巻装した構成となっている。
ステータ100の内側にはロータ20が配置されており、ロータ20は、略円板状の電磁鋼板22を複数枚(例えば数十枚)積層した円筒状のロータコア21を備える。ロータコア21は積層された電磁鋼板22がダボカシメにより連結されている。図2に示すように、ロータ20は、積層された電磁鋼板22のうちの軸方向両端に配される蓋部材23a,23b、及び、積層された電磁鋼板22を挟むように蓋部材23a,23bの軸方向外側に配されるアルミダイカストによる挟持部24a,24bを有する。
図1に示すように、ロータ20は、ロータコア21の外周面がティース103と所定の間隔を置いた状態で、図示しないハウジングの軸受けにシャフト50を介して回転可能に支持されている。このように、ロータ20が、ステータ100の内周側にロータコア21の外周面がギャップを介して対向するように配置されている。
図2、図4、図7に示すように、電磁鋼板22を積層して構成されるロータコア21の中心にシャフト50が貫挿されている。ロータコア21はシャフト50に焼嵌め(あるいは圧入等)により、嵌合され締結されている。ロータコア21は、図5に示すように、外径側永久磁石挿入孔25、内径側永久磁石挿入孔26、フラックスバリア29,30,37,38、ダイカスト孔31,33,35を有する。
図5、図7、図8に示すように、ロータコア21には、軸方向に延びるとともに径方向外側に配置される外径側永久磁石挿入孔25と、軸方向に延びるとともに外径側永久磁石挿入孔25よりも内径側に配置される内径側永久磁石挿入孔26とが磁極ごとに形成されている。各磁極における外径側永久磁石挿入孔25及び内径側永久磁石挿入孔26は円弧状をなしている。詳しくは、図5に示すように、外径側永久磁石挿入孔25及び内径側永久磁石挿入孔26はロータコア21の中心側を凸とする(ロータコア21の外径側を中心とする)円弧状をなしている。
図6に示すように、外径側永久磁石挿入孔25に外径側永久磁石27が挿入されるとともに内径側永久磁石挿入孔26に内径側永久磁石28が挿入されている。外径側永久磁石27は外径側永久磁石挿入孔25に接着固定されている。内径側永久磁石28は内径側永久磁石挿入孔26に接着固定されている。
図6に示すように、外径側永久磁石27は、軸方向において分割した状態で配置されている。内径側永久磁石28は、軸方向において分割した状態で配置されている。軸方向に分割した永久磁石を用いることにより損失の低減及び経済性の向上が図られる。
図5に示すように、埋め込まれた各永久磁石27,28は、円弧状をなしている。永久磁石27はd軸上に位置し、永久磁石27は厚さ方向に着磁されている。永久磁石28はd軸上に位置し、永久磁石28は厚さ方向に着磁されている。隣り合う領域(一極)に配置された永久磁石27同士および永久磁石28同士は、ロータ20の外周側が異なる極になるように配置されている。例えば、ある永久磁石27が、ティース103側がS極になるように配置されると、隣の領域(一極)に配置される永久磁石27は、ティース103側がN極になるように配置される。
図5、図7に示すように、ロータコア21における内径側永久磁石挿入孔26の一方の周方向外側にフラックスバリア29が連続して形成されている。また、ロータコア21における内径側永久磁石挿入孔26の他方の周方向外側にフラックスバリア30が連続して形成されている。フラックスバリア29,30は円弧状をなしている。
ロータコア21において隣り合う磁極間におけるフラックスバリア29,30に挟まれた領域に軸方向に延びる充填孔としてのダイカスト孔31が形成されている。ダイカスト孔31には非磁性金属としての純アルミ32が充填されている。ダイカスト孔31に充填された純アルミ32により電磁鋼板22が固定されている。ダイカスト孔31において充填される純アルミ32は、図7、図8に示す状態から図4、図5、図6に示すようにアルミダイカストによるものである。図9、図10、図11に示すように、ダイカスト孔31に充填された純アルミ32により棒状部39が構成されている。
図5、図7に示すように、ロータコア21におけるフラックスバリア29の周方向外側に離間して軸方向に延びる充填孔としてのダイカスト孔33が形成されている。また、ロータコア21におけるフラックスバリア30の周方向外側に離間して軸方向に延びる充填孔としてのダイカスト孔35が形成されている。ダイカスト孔33には非磁性金属としての純アルミ34が充填されている。ダイカスト孔35には非磁性金属としての純アルミ36が充填されている。ダイカスト孔33,35に充填された純アルミ34,36により電磁鋼板22が固定されている。ダイカスト孔33,35において充填される純アルミ34,36は、図7、図8に示す状態から図4、図5、図6に示すようにアルミダイカストによるものである。図9、図10、図11に示すように、ダイカスト孔33に充填された純アルミ34により棒状部40が構成されているとともにダイカスト孔35に充填された純アルミ36により棒状部41が構成されている。
ロータコア21における外径側永久磁石挿入孔25の周方向外側にフラックスバリア37,38(図5参照)が連続して形成されている。フラックスバリア37,38は円弧状をなしている。
図4、図6に示すように、ロータコア21に対しその両側には挟持部24a,24bを有する。挟持部24a,24bは、純アルミよりなり、図7、図8に示す状態から図4、図6に示すようにアルミダイカストにより形成される。このように、図9、図10、図11に示すように、ロータコア21の軸方向の両端面に、純アルミによる挟持部24a,24bが一体成形されており、挟持部24a,24bは、図7、図8に示す状態から図4、図6に示すようにアルミダイカストにより形成したものである。
図9、図10、図11に示すように、挟持部24a,24bは、ダイカスト孔31に充填された純アルミ32による棒状部39と連結される厚肉部42と、周方向において複数箇所に形成された薄肉部43と、を有する。図10において、薄肉部43は周方向において45°毎に計8箇所に形成されている。各薄肉部43は、挟持部24a,24bにおける外周側が開口する半円形の切り欠きの底面で構成されている。薄肉部43における中央部において回転バランスをとるためのピン44が軸方向外側に突出するよう一体成形されている。ピン44は円柱状をなしている。ピン44に、バランスウェイトとしての所望の厚さのリング状のワッシャWa(図2参照)を差し込んで、ピン44におけるワッシャWaから外側に飛び出した部位を潰すことによりワッシャWaを固定することができる。
なお、極数とピン44の数(薄肉部43の数)との関係において、4極で8ピンとしたが、例えば4極で12ピンとしてもよい。
図2、図3、図4、図6に示すように、ロータコア21における永久磁石挿入孔25,26及びダイカスト孔31,33,35が形成された電磁鋼板22と挟持部24a,24bとの間に、外径側永久磁石挿入孔25及び内径側永久磁石挿入孔26が形成されておらず、ダイカスト孔31,33,35のみが形成された蓋部材23a,23bが配置されている。ダイカスト孔31,33,35に対し図7、図8に示す状態から図4、図5、図6に示すようにアルミダイカストによりアルミを注入することができるようになっている。
次に、このように構成した回転電機10の作用を説明する。
回転電機が駆動される場合は、ステータ100のコイル104に電流が供給されてステータ100に回転磁界が発生し、ロータ20に回転磁界が作用する。そして、回転磁界と永久磁石27,28との間の磁気的な吸引力および反発力によりロータ20が回転磁界と同期して回転する。
ロータコア21において隣り合う磁極間におけるフラックスバリア29,30に挟まれた領域においてダイカスト孔31が軸方向に延びており、このダイカスト孔31に充填された純アルミ32により電磁鋼板22が固定されている。これにより、ロータコア21を構成する電磁鋼板22は強固に固定されてロータコア21を構成する電磁鋼板22の反りが抑制される。つまり、略逆円弧状二層磁石配置ロータ断面形状において、フラックスバリアに挟まれ、かつ焼嵌締結力の影響を及ぼさない、磁極間にダイカスト孔を配置することにより、性能と強度を両立させたロータ構造を実現している。
挟持部24a,24bは、厚肉部42においてダイカスト孔31に充填された純アルミ32による棒状部39との連結部が補強されるので、電磁鋼板22を強固に固定することができる。挟持部24a,24bにおいて複数箇所に形成された薄肉部43において回転バランスをとるためのピン44が軸方向外側に突設されているので、容易に回転バランスをとることができる。このようにして、純アルミによる挟持部24a,24bの厚肉部42においてダイカスト孔31に充填された純アルミ32による棒状部39と連結されていることにより、純アルミによる棒状部39の接続強度の向上が図られる。また、挟持部24a,24bの薄肉部43において回転バランスをとるためのピン44が軸方向外側に突設されているので、ロータの回転バランスをとることができる。
以下、詳しく説明する。
内径側永久磁石挿入孔の長さが大きくなりやすく性能と強度のバランスが不十分であり、具体的には遠心力により電磁鋼板がめくれあがりやすく、薄肉ブリッジ部に曲げ応力が加わると、強度の低下が大きい。この場合、ロータコアの強度対策のためにロータ端部に厚みのある非磁性端板などを追加するとコストアップを招く。つまり、外径側と内径側に2層にわたり永久磁石を配列するとシャフトの焼嵌めによる内部応力により、断面直角方向に反ることでロータコアとシャフトの嵌合締結力が低下する。この反りを抑制すべくロータ端面に剛性のある端板を配設固定する場合、剛性のある端板によるコストアップおよびその固定手段(ネジやカシメなど)により、製造コストが上昇する。
本実施形態では、誘導モータの製造設備が使用可能な場合において、ダイカストの技術と設備を用いている。アルミダイカストによる固定手段は、誘導モータを製作している設備をすでに有するような場合において、新規の設備投資を最小限に留め、安価に構成できる構造となる。また、ダイカスト固定することにより、剛性のある端板および端板固定手段が不要になり、部品費の低減も図ることができる。
一般的なアルミダイカストはADC12など強度的に頑強な材料を使用するが、追加設備投資を要することなく安価に構成するために、誘導モータの製造に使用されるものと同一材料である純アルミで構成している。
ここで、純アルミをロータ構造の剛性向上に用いる場合、ロータコア断面を連通するダイカスト孔の配置が重要である。同期モータとはいえ、ステータからの交番磁界により、適切でない位置にダイカスト孔を配置すると、誘導電流の発生により、出力低下といった性能に悪影響を及ぼすこともある。ゆえに、ダイカスト孔をロータコアの断面外周寄りに配設することはその影響を慎重に検討する必要があるとともに、ロータコアとシャフトはコスト低減のため焼嵌固定されておりダイカスト孔を内周側に配設すると焼嵌締結力の低下といった強度への悪影響を及ぼす可能性がある。即ち、ロータコアに永久磁石が埋め込まれている電動機のロータにおいては、永久磁石の近傍は磁路となるのでダイカスト孔を形成することはできず、また、ロータコアの内径側は焼嵌めに使う領域であるのでダイカスト孔を形成することはできない。
本実施形態では、磁極間における内径寄りの箇所である、隣り合う磁極間におけるフラックスバリア29,30に挟まれた領域においてダイカスト孔31を形成しており、ロータコアの磁気回路を構成するq軸磁束を妨げることなく、内径側のシャフトの焼嵌締結強度を妨げることもない。ダイカスト孔の形成位置は磁極間のq軸磁路を妨げない場所、即ち、ロータコアでの磁束密度が高くない場所が好ましく、外径側から内径側に向かうq軸磁束における左右の磁束の分岐後の間の箇所としている。これにより、ロータコアのq軸磁束を妨げることなく内径側でのシャフトの焼嵌めを妨げることもない。
このようにして、ロータコアにシャフトを焼嵌めした時においても十分なロータとシャフトの締結強度向上が図られる。ロータ20の製造の際には、電磁鋼板22を積層して配置するとともに一方の蓋部材23aを電磁鋼板積層体の一端面に積層して配置する。そして、永久磁石27,28を挿入し、更に他方の蓋部材23bを配置した後に、カシメにより固定し、ダイカストによってダイカスト孔31,33,35内の純アルミ32,34,36により固定する。
よって、製造時において電磁鋼板は焼嵌めで反りやすいとともに通常運転時において回転数を上げた際の遠心力でも反りやすいが、本実施形態では電磁鋼板の反りを抑制することができる。
また、挟持部24a,24bにおいて強度が必要な箇所は厚くして強度がさほどいらない箇所については薄くしてピン44を形成しており、誘導モータと同等の純アルミによるダイカストにより挟持部24a,24bを形成するとともにピン44を形成する。このとき、軸方向に貫通するアルミダイカストによる棒状部39を避ける位置にピン44を配置する薄肉部43を形成する。この場合、誘導モータの製造設備を利用でき、安価な製造コストのロータ構造としつつ、軸方向長さを薄肉にした分(図4のΔL)だけ小型化を実現することができる。
アルミダイカストによる棒状部39と薄肉部43との位置の関係は、ダイカスト孔の配置は強度及び性能面の観点から最適化する必要があることから、ダイカスト孔31に配置された棒状部39は、軸方向両側に配置された挟持部24a,24bの厚肉部42と接続され、ロータコア21を強固に固定している。
さらに、挟持部24a,24bは、ロータコア反りを抑制する強度部位としての機能と、ロータの回転バランスをとる機能を併せ持っており、ダイカスト構造は誘導モータの製造ラインを流用できるよう、純アルミで構成されているため、挟持部24a,24bに形成されたピン44にワッシャWaをカシメ固定することで、安価に回転バランスをとることができる。
ところで、高速回転時は、挟持部24a,24bにはフープ応力が分布し、挟持部24a,24bと棒状部39の接続部、特に、その内周側角部に応力が集中するため、応力緩和を行うべく、連結部の肉厚は強度上ある程度確保する必要がある。この挟持部24a,24bと棒状部39の接続部には蓋部材23a,23bが配置され、この蓋部材23a,23bは、永久磁石挿入孔がないため、強度上、永久磁石挿入孔がある電磁鋼板よりも有利であり、また、電磁鋼板よりなる蓋部材23a,23bの製造は、電磁鋼板の打ち抜きプレス型の刃物の切替で安価に同時に積層して製造できる。従って、挟持部24a,24bと棒状部39の接続部に配置された蓋部材23a,23bにより接続部強度を補強できる。さらに、蓋部材23a,23bは純アルミが永久磁石挿入孔に流入することを防止する機能も有している。しかも、挟持部24a,24bは、棒状部39の接続部が配置されていない部分は薄肉にすることができ、この部分を薄肉にしてピン44を配置することで、強度を確保しつつ、小型化を実現することができる。
なお、図10に示すように挟持部24a,24bにおける棒状部40,41との接続部の一部は薄肉部43に位置しているが、これは、棒状部40,41は棒状部39よりも外周側に位置しており、その分フープ応力が減少しており、薄肉部と連結部が一致している部分は強度上問題がないからである。
このようにして、ロータコア21の端部にダイカスト強度を補強しつつダイカスト溶湯から永久磁石を保護すべく軸方向両端部に配設された蓋部材23a,23bを備える。挟持部24a,24bの軸方向肉厚は、上述のダイカスト孔31が配置された部分は厚肉とし、それ以外の部分は薄肉としつつ、さらに薄肉部43に回転バランスをとるためのピン44を配置することによって、回転バランスをとる方法として平坦面に穴あけ加工する方法(減量法)を用いた場合に比べ、純アルミよりなるピン44にワッシャを差し込んだ後にピン突出部を潰す方法(ワッシャ増量法)を用いることにより、低コストな回転バランス修正手段を提供しつつ、ピンと薄肉部の配置により小型かつ強靭なダイカストによる挟持部24a,24bを有するロータとすることができる。また、強度の高い(永久磁石挿入孔の無い)蓋部材23a,23bを用いることにより、応力が集中する挟持部24a,24bと棒状部39の接続部の強度を補強することができる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)コイル104を巻装したステータ100の内周側に円筒状のロータコア21の外周面が対向するように配置された回転電機10のロータ20の構成として、ロータコア21は、電磁鋼板22を積層して構成され、中心にシャフト50が貫挿されている。ロータコア21には、軸方向に延びる永久磁石挿入孔25,26が磁極ごとに形成され、永久磁石挿入孔25,26に永久磁石27,28が挿入されている。ロータコア21において隣り合う磁極間に軸方向に延びる充填孔としてのダイカスト孔31が形成され、ダイカスト孔31に充填された非磁性金属としての純アルミ32により電磁鋼板22が固定されている。ロータコア21の軸方向の両端面に、非磁性金属としての純アルミによる挟持部24a,24bが一体成形されている。挟持部24a,24bは、ダイカスト孔31に充填された純アルミによる棒状部39と連結される厚肉部42と、周方向において複数箇所に形成された薄肉部43と、を有する。薄肉部43において回転バランスをとるためのピン44が軸方向外側に突出するよう一体成形されている。
よって、ロータコア21において隣り合う磁極間に軸方向に延びるダイカスト孔31に充填された純アルミ32により電磁鋼板22が固定される。純アルミによる挟持部24a,24bの厚肉部42においてダイカスト孔31に充填された純アルミによる棒状部39と連結されていることにより、純アルミによる棒状部39の接続強度の向上が図られるので、ロータコア21を構成する電磁鋼板22を強固に固定することができる。また、挟持部24a,24bにおいて複数箇所に形成された薄肉部43において回転バランスをとるためのピン44が軸方向外側に突出するよう一体成形されているので、このピン44を用いて容易に回転バランスをとることができる。また、軸方向に延びるピン44を有する薄肉部43は厚肉部42に比べ薄くした分(図4のΔL)だけ軸方向に小型化することができる。
(2)ロータコア21における永久磁石挿入孔25,26及び充填孔としてのダイカスト孔31が形成された電磁鋼板22と挟持部24a,24bとの間に、ダイカスト孔のみが形成された蓋部材23a,23bが配置されているので、ダイカスト孔に充填される純アルミが永久磁石挿入孔に流入することを防止できる。
(3)永久磁石挿入孔は、軸方向に延びるとともに径方向外側に配置される外径側永久磁石挿入孔25と、軸方向に延びるとともに外径側永久磁石挿入孔25よりも内径側に配置される内径側永久磁石挿入孔26とを含み、外径側永久磁石挿入孔25に外径側永久磁石27が挿入されるとともに内径側永久磁石挿入孔26に内径側永久磁石28が挿入され、ロータコア21における内径側永久磁石挿入孔26の周方向外側にフラックスバリア29,30が連続して形成され、ダイカスト孔31は、ロータコア21において隣り合う磁極間におけるフラックスバリア29,30に挟まれた領域に軸方向に延びるように形成されている。この場合、好適である。
(4)各磁極における外径側永久磁石挿入孔25及び内径側永久磁石挿入孔26は、円弧状をなす。外径側永久磁石挿入孔25及び内径側永久磁石挿入孔26が円弧状をなす場合に特に有用である。
(5)ロータコア21におけるフラックスバリア29,30の周方向外側に離間して軸方向に延びる充填孔としてのダイカスト孔33,35が更に形成され、ダイカスト孔33,35に充填された非磁性金属としての純アルミ34,36により電磁鋼板22が固定されている。この場合、ロータコア21を構成する電磁鋼板22を更に強固に固定してロータコア21を構成する電磁鋼板22の反りを更に抑制することができる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 非磁性金属は純アルミであったが、これに限るものではない。非磁性金属として、ADC12などのアルミ合金、他にも、銅などを用いてもよい。また、非磁性金属以外にも樹脂を用いて、樹脂モールドにより構成してもよい。
つまり、上述のダイカスト孔31を樹脂モールド孔とするとともに上述の純アルミ32を樹脂とすることにより、ロータコア21において隣り合う磁極間に軸方向に延びる充填孔が形成され、この充填孔に充填された樹脂により電磁鋼板22が固定された構成とする。また、上述のダイカスト孔33,35を樹脂モールド孔とするとともに上述の純アルミ34,36を樹脂とすることにより、ロータコア21におけるフラックスバリア29,30の周方向外側に離間して軸方向に延びる充填孔が更に形成され、この充填孔に充填された樹脂により電磁鋼板22が固定された構成とする。
○ ダイカスト孔33,35は無くてもよく、例えば、代わりにフラックスバリアであってもよい。具体的には、図5に代わる図12に示すように、強度面に影響がなければ、ダイカスト孔33,35を廃止して、永久磁石挿入孔26から連続的に延びるフラックスバリア60,61を形成することにより、ブリッジがない構造にでき、性能を向上させる方向に設計し、さらに棒状部40,41がないので挟持部24a,24bでの薄肉部をさらに拡大することができるとともにアルミ量も少なくできる。
○ 極数は4極に限らない。4極より多くても、少なくてもよい。
○ 永久磁石は円弧状でなくてもV字状でもよい。
○ ロータコア21には、外径側永久磁石挿入孔25と内径側永久磁石挿入孔26とが形成され、外径側永久磁石挿入孔25に外径側永久磁石27が挿入されるとともに内径側永久磁石挿入孔26に内径側永久磁石28が挿入されていたが、この構造に限るものではなく、永久磁石挿入孔及び永久磁石を径方向において二層にわたり配した構造でなく永久磁石挿入孔及び永久磁石を径方向において一層にわたり配した構造でもよい。要は、ロータコア21には、軸方向に延びる永久磁石挿入孔が磁極ごとに形成され、永久磁石挿入孔に永久磁石が挿入されていればよい。
○ ロータコア21において隣り合う磁極間に軸方向に延びる充填孔としてのダイカスト孔31が形成されていたが、これに代わり、ロータコア21において磁極内に軸方向に延びる充填孔としてのダイカスト孔又は樹脂モールド孔が形成されていてもよい。例えば、永久磁石挿入孔及び永久磁石を径方向において一層にわたり配した構造の場合、永久磁石挿入孔及び永久磁石よりも内径側のスペースに充填孔としてのダイカスト孔又は樹脂モールド孔を形成する。
○ 電動機は同期モータ以外でもよく、要は永久磁石埋め込み型の電動機であればよい。
10…回転電機、20…ロータ、21…ロータコア、22…電磁鋼板、23a…蓋部材、23b…蓋部材、24a…挟持部、24b…挟持部、25…外径側永久磁石挿入孔、26…内径側永久磁石挿入孔、27…外径側永久磁石、28…内径側永久磁石、29,30…フラックスバリア、31…ダイカスト孔、32…純アルミ、33…ダイカスト孔、34…純アルミ、35…ダイカスト孔、36…純アルミ、39…棒状部、42…厚肉部、43…薄肉部、44…ピン、50…シャフト、100…ステータ、104…コイル。

Claims (5)

  1. コイルを巻装したステータの内周側に円筒状のロータコアの外周面が対向するように配置された回転電機のロータであって、
    前記ロータコアは、電磁鋼板を積層して構成され、中心にシャフトが貫挿され、
    前記ロータコアには、軸方向に延びる永久磁石挿入孔が磁極ごとに形成され、
    前記永久磁石挿入孔に永久磁石が挿入され、
    前記ロータコアにおいて隣り合う磁極間又は磁極内に軸方向に延びる充填孔が形成され、前記充填孔に充填された非磁性金属又は樹脂により前記電磁鋼板が固定され、
    前記ロータコアの軸方向の両端面に、前記非磁性金属又は樹脂による挟持部が一体成形され、
    前記挟持部は、
    前記充填孔に充填された非磁性金属又は樹脂による棒状部と連結される厚肉部と、周方向において複数箇所に形成された薄肉部と、を有し、
    前記薄肉部において回転バランスをとるためのピンが軸方向外側に突出するよう一体成形されていることを特徴とする回転電機のロータ。
  2. 前記ロータコアにおける前記永久磁石挿入孔及び前記充填孔が形成された前記電磁鋼板と前記挟持部との間に蓋部材が配置されており、
    前記蓋部材には、前記充填孔に対応する位置に充填孔形成されているだけで、前記永久磁石挿入孔に対応する位置に永久磁石挿入孔が形成されていないことを特徴とする請求項1に記載の回転電機のロータ。
  3. 前記永久磁石挿入孔は、前記軸方向に延びるとともに径方向外側に配置される外径側永久磁石挿入孔と、前記軸方向に延びるとともに前記外径側永久磁石挿入孔よりも内径側に配置される内径側永久磁石挿入孔とを含み、
    前記外径側永久磁石挿入孔に外径側永久磁石が挿入されるとともに前記内径側永久磁石挿入孔に内径側永久磁石が挿入され、
    前記ロータコアにおける前記内径側永久磁石挿入孔の周方向外側にフラックスバリアが連続して形成され、
    前記充填孔は、前記ロータコアにおいて隣り合う磁極間における前記フラックスバリアに挟まれた領域に軸方向に延びるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機のロータ。
  4. 前記各磁極における前記外径側永久磁石挿入孔及び前記内径側永久磁石挿入孔は、円弧状をなすことを特徴とする請求項3に記載の回転電機のロータ。
  5. 前記ロータコアにおける前記フラックスバリアの周方向外側に離間して軸方向に延びる充填孔が更に形成され、当該充填孔に充填された非磁性金属又は樹脂により前記電磁鋼板が固定されていることを特徴とする請求項4に記載の回転電機のロータ。
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