以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による発光装置の製造方法および発光装置は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、わかり易さのために誇張されている場合があり
、実際の発光装置および製造装置における、寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が0°から±5°程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。
(発光装置の実施形態)
図1は、本開示のある実施形態による発光装置の外観の一例を示す。図1に例示する発光装置100Aは、概ね直方体状の外形を有し、上面100aおよび下面100bを有する。なお、図1には、説明の便宜のために、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印があわせて図示されている。本開示の他の図面においてもこれらの方向を示す矢印を図示することがある。図1に示す例において、発光装置100Aの上面100aの矩形状を規定する辺は、図中のX方向またはY方向に一致している。
図1に示すように、発光装置100Aは、概略的には、発光素子110Aと、発光素子110Aを覆う透光部材140Aと、発光素子110Aおよび透光部材140Aを取り囲む反射性部材150Aとを含む。透光部材140Aは、上面140aを有する。透光部材140Aの上面140aは、発光装置100Aの上面100aの一部を構成している。
後に詳しく説明するように、透光部材140Aの上面140aには、複数の第1凹部が形成されている。さらに、各第1凹部の内部には、第1凹部よりも微細な複数の第2凹部が設けられる。複数の第1凹部は、それぞれが例えば50μm程度の深さを有する円柱形状または角柱形状の凹部の集合である。これらの第1凹部は、例えば2μm以上20μm以下のピッチで上面140aに二次元に配列されている。発光素子を覆う透光部材の表面に、それぞれがより微細な複数の第2凹部を含む複数の第1凹部を形成することにより、光の取出し効率向上の効果を得ることが可能である。
図2は、図1に示す発光装置100Aの断面を示す。図2は、発光装置100Aの中央付近で上面100aに垂直に発光装置100Aを切断したときの断面を模式的に示している。図2に例示する構成において、発光装置100Aは、上述の発光素子110A、透光部材140Aおよび反射性部材150Aに加えて、波長変換部材120Aと、導光部材130Aとを有する。以下、図面を参照しながら、発光装置100Aの各構成要素をより詳細に説明する。
[発光素子110A]
図示する例において、発光素子110Aは、上面111aを有する素子本体111と、素子本体111の上面111aとは反対側に位置する正極112Aおよび負極114Aとを有する。発光素子110Aは、例えばLEDであり、ここでは、発光素子110Aとして、青色光を出射するLEDを例示する。
素子本体111は、例えば、サファイアまたは窒化ガリウム等の支持基板と、支持基板
上の半導体積層構造とを含む。半導体積層構造は、n型半導体層およびp型半導体層と、これらの層に挟まれた活性層とを含む。半導体積層構造は、紫外~可視域の発光が可能な窒化物半導体(InxAlyGa1-x-yN、0≦x、0≦y、x+y≦1)を含み得る。な
お、この例では、素子本体111の上面111aが発光素子110Aの上面を構成している。
正極112Aおよび負極114Aは、配線基板等との電気的接続を形成する端子としての機能を有し、半導体積層構造に所定の電流を供給する。図示するように、ここでは、正極112Aおよび負極114Aは、それぞれの下面が反射性部材150Aから露出されることにより、発光装置100Aの下面100b側においてその一部が外部に露出されている。
[波長変換部材120A]
波長変換部材120Aは、発光素子110Aの上面の上方に位置し、概ね板状の形状を有する。波長変換部材120Aは、典型的には、樹脂等の母材中に蛍光体等の粒子が分散された部材であり、入射した光の少なくとも一部を吸収して、入射した光の波長とは異なる波長の光を発する。例えば、波長変換部材120Aは、発光素子110Aからの青色光の一部を波長変換して黄色光を発する。このような構成によれば、波長変換部材120Aを通過した青色光と、波長変換部材120Aから発せられた黄色光との混色によって、白色光が得られる。
蛍光体等の粒子を分散させる母材としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの樹脂の2種以上を含む樹脂材料を用いることができる。波長変換部材120Aの材料に母材とは屈折率の異なる材料を分散させることにより、波長変換部材120Aに光拡散の機能を付与してもよい。例えば、波長変換部材120Aの母材に、二酸化チタン、酸化ケイ素等の粒子を分散させてもよい。
蛍光体には、公知の材料を適用することができる。蛍光体の例は、KSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体、CASN等の窒化物系蛍光体、YAG系蛍光体、βサイアロン蛍光体等である。YAG系蛍光体は、青色光を黄色光に変換する波長変換物質の例であり、KSF系蛍光体およびCASNは、青色光を赤色光に変換する波長変換物質の例であり、βサイアロン蛍光体は、青色光を緑色光に変換する波長変換物質の例である。蛍光体は、量子ドット蛍光体であってもよい。
[導光部材130A]
図2に例示する構成において、発光素子110Aは、透光性の導光部材130Aによって波長変換部材120Aの下面120bに接合されている。図示するように、導光部材130Aは、発光素子110Aの素子本体111の側面111cの少なくとも一部を覆い、反射性部材150Aとの界面である外面130cを有する。
導光部材130Aが発光素子110Aの側面を覆うことにより、発光素子110Aが発する光のうち、素子本体111の側面111cから出る光の一部を導光部材130Aに入射させることができる。導光部材130Aに入射した光は、外面130cの位置で発光素子110Aの上方に向けて反射され、波長変換部材120Aを介して発光装置100Aの外部に取り出される。したがって、導光部材130Aを設けることにより、光の取出し効率を向上させることができる。導光部材130Aは、素子本体111の側面111cの下端から上端までの全体を覆っていてもよい。導光部材130Aが発光素子110Aの側面のより多くの領域を覆うと、より多くの光を発光素子110Aの上方に導くことができるので有益である。導光部材130Aは、波長変換部材120Aの下面120bと発光素子
110Aの上面との間に位置する部分を含んでいてもよい。
導光部材130Aの材料としては、透明な樹脂等を母材として含む樹脂材料を用いることができる。導光部材130Aの母材の典型例は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂である。導光部材130Aの母材として、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂もしくはポリノルボルネン樹脂、または、これらの2種以上を含む材料を用いてもよい。
導光部材130Aは、発光素子110Aの発光ピーク波長を有する光に対して、例えば60%以上の透過率を有する。光を有効に利用する観点から、発光素子110Aの発光ピーク波長における導光部材130Aの透過率が70%以上であると有益であり、80%以上であるとより有益である。なお、本明細書における「透光性」および「透光」の用語は、入射した光に対して拡散性を示すことをも包含するように解釈され、「透明」であることに限定されない。例えば、導光部材130Aは、母材とは異なる屈折率を有する材料が分散させられることにより、光拡散機能を有していてもよい。
断面視における導光部材130Aの外面130cの形状は、図2に示すような直線状に限定されない。断面視における外面130cの形状は、折れ線状、発光素子110Aに近づく方向に凸の曲線状、発光素子110Aから離れる方向に凸の曲線状等であってもよい。
[反射性部材150A]
反射性部材150Aは、例えば光反射性のフィラーが分散された樹脂等の光反射性の材料から形成され、導光部材130Aの外面130cと、発光素子110Aの側面のうち導光部材130Aによって覆われていない領域とを覆う。図2に示す例では、反射性部材150Aは、波長変換部材120Aの側面120cおよび透光部材140Aの側面140cをも覆っている。
発光素子110Aの周囲に反射性部材150Aを配置することにより、特に発光素子110Aの側面から出射された光を導光部材130Aの外面130cと反射性部材150Aとの界面で反射させて波長変換部材120Aに導くことができる。したがって、光の取出し効率が向上する。また、この例では、反射性部材150Aは、発光素子110Aの上面110aとは反対側の面のうち、電極(すなわち正極112Aおよび負極114A)が配置された領域以外の領域をも覆っている。正極112Aの下面および負極114Aの下面を除いて発光素子110Aの上面とは反対側の面を反射性部材150Aで覆うことにより、発光素子110Aの上面とは反対側への光の漏れを抑制して、光の取出し効率を向上させることができる。
反射性部材150Aの母材としては、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)等を用い得る。光反射性のフィラーとしては、金属の粒子、または、母材よりも高い屈折率を有する無機材料もしくは有機材料の粒子を用いることができる。光反射性のフィラーの例は、二酸化チタン、酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウムの粒子、または、酸化イットリウムおよび酸化ガドリニウム等の各種希土類酸化物の粒子等である。なお、本明細書において、「光反射性」あるいは「反射性」とは、発光素子の発光ピーク波長における反射率が60%以上であることを指す。反射性部材150Aの、発光素子110Aの発光ピーク波長における反射率が70%以上であるとより有益であり、80%以上であるとさらに有益である。
[透光部材140A]
図2に例示する構成において、透光部材140Aは、波長変換部材120Aと同様に概ね板状の形状を有し、波長変換部材120Aの上面120a上に配置されている。透光部材140Aは、シリコーン樹脂を含む樹脂材料から形成される透光性の部材であり、典型的には、発光素子110Aの発光ピーク波長を有する光に対して、60%以上の透過率を有する。光を有効に利用する観点から、発光素子110Aの発光ピーク波長における透光部材140Aの透過率が70%以上であると有益であり、80%以上であるとより有益である。
透光部材140A中のシリコーン樹脂は、少なくとも1つのフェニル基を分子中に有する有機ポリシロキサンを含有する。あるいは、透光部材140A中のシリコーン樹脂は、2つのメチル基がケイ素原子に結合したDユニットを有する有機ポリシロキサンを含有する。透光部材140Aは、これら2種の有機ポリシロキサンの両方を含んでいてもよい。透光部材140A中のシリコーン樹脂は、例えば、フェニル基を有し、かつ、Dユニットを有する有機ポリシロキサンを含有していてもよい。透光部材140Aを構成するシリコーン樹脂組成物は、メチル基およびフェニル基以外の基が導入された変性シリコーンを含んでいてもよい。透光部材140Aを構成する母材は、シリコーン樹脂以外の樹脂を含んでいてもかまわない。
透光部材140Aは、実質的にシリコーン樹脂からなる部材に限定されず、シリコーン樹脂以外の材料を含む複合部材であってもよい。例えば、透光部材140Aは、シリコーン樹脂を含む樹脂材料を母材とし、光反射性のフィラーが分散された部材等であってもよい。光反射性のフィラーとしては、反射性部材150Aと同様に、金属の粒子、または、母材よりも高い屈折率を有する無機材料もしくは有機材料の粒子等を用いることができる。透光部材140Aは、蛍光体の粒子等の波長変換部材を含んでいてもよい。
図2に示すように、透光部材140Aの上面140aは、複数の第1凹部141を有する。図3は、発光装置100Aの上面100aを模式的に示す。ここでは、複数の第1凹部141は、上面140aに二次元に配列されている。なお、図3では、説明の便宜のために第1凹部141を誇張して大きく描いている。本開示の他の図面においても、説明の便宜のために第1凹部141を誇張して大きく描くことがある。
上述したように、各第1凹部141は、底面を有する円柱形状または角柱形状である。ここでは、透光部材140Aの上面140aに位置する、各第1凹部141の開口の形状は、円形である。すなわち、図3に例示する構成では、複数の第1凹部141のそれぞれは、円柱形状の凹部である。図3に示す例では、複数の第1凹部141は、それぞれの中心が正方格子の格子点上に位置するように透光部材140Aの上面140aに形成されている。第1凹部141の配置ピッチ、つまり、最近接の2つの第1凹部141の中心間距離は、例えば、2μm以上20μm以下の範囲である。もちろん、第1凹部141の配置および第1凹部141のそれぞれの形状は、図3に示す例に限定されない。第1凹部141の配置および第1凹部141のそれぞれの形状としては、任意の配置および形状を採用し得る。例えば、複数の第1凹部141は、それぞれの中心が三角格子の格子点上に位置するように透光部材140Aの上面140aに形成されていてもよい。なお、第1凹部141の開口の輪郭は、図示するような滑らかな曲線に限定されず、ジグザグ状であり得る。
図4は、透光部材140Aのうち上面140a付近の一部を拡大して模式的に示す。図4に模式的に示すように、複数の第1凹部141のそれぞれは、その内部に、より微細な複数の第2凹部142を有している。なお、図4では、わかり易さのために第2凹部142を誇張して大きく描いている。本開示の他の図面においても、説明の便宜のために第2
凹部142を誇張して大きく描くことがある。
図4に例示する構成において、複数の第2凹部142は、各第1凹部141の底面141bと、透光部材140Aの上面140aとに形成されている。ここで、第1凹部141の底面141bとは、図4中に破線で示す、第1凹部141の内部に形成された第2凹部142の開口の位置を指す。なお、この例では各第1凹部141の側面141cには複数の第2凹部142が形成されていないが、後述するように、第1凹部141を規定する側面141cと底面141bとの両方に複数の第2凹部142が形成されることもあり得る。
第2凹部142の配置ピッチすなわち互いに隣接する2つの第2凹部142の中心間距離(図4中に両矢印Ptで示す。)は、典型的には、0.1μm以上1μm以下の範囲である。第2凹部142の深さ(図4中に両矢印Dpで示す。)は、0.02μm以上1μm以下程度である。なお、図示する例において、透光部材140Aの上面140aは、複数の第2凹部142のうち第1凹部141の内部以外の領域に形成された第2凹部142の開口が位置する部分である。
図5は、第2凹部142の形状の一例を模式的に示す。図5に模式的に示すように、第2凹部142は、概ね錐体形状を有する窪みであり得る。ここで、錐体形状とは、円錐状、角錘状を広く含むように解釈され、したがって第2凹部142の開口の形状は、円または正多角形に限定されず、楕円、多角形あるいは不定形等であってもよい。第2凹部142のサイズは、図5に両矢印Dmで示すように、第2凹部142の開口を包摂する円(図5中に破線で示す。)の直径によって表現され得る。第2凹部142の開口を包摂する円の直径は、例えば0.05μm以上0.5μm以下の範囲である。
(発光装置の例示的な製造方法)
図6は、本開示のある実施形態による発光装置の製造方法の概要を示す。図6に例示された発光装置の製造方法は、概略的には、発光素子および発光素子を覆う透光部材を含む発光体を準備する工程(ステップS11)と、加熱された状態の透光部材に型を押し付け、複数の第1凹部を透光部材の上面に形成する工程(ステップS12)と、複数の第1凹部の形成後に、より微細な複数の第2凹部を形成する工程(ステップS13)と、複数の第2凹部の形成後に、上面側から透光部材を紫外線で照射する工程(ステップS14)とを含む。ここでは、型の押し付けの対象として、シリコーン樹脂を含有する透光部材を用いる。以下、図面を参照しながら、発光装置の例示的な製造方法の詳細を説明する。
まず、発光素子110Aおよび発光素子110Aを覆う透光部材を含む発光体を準備する(図6のステップS11)。図7では、それぞれが発光素子110Aおよび透光部材140Uを含む複数の発光体100Uを基板または耐熱性の粘着シート等の支持層50上に一時的に固定した例を示している。ここでは、簡単のために、紙面の左右方向に沿って配置された3つの発光体100Uを示しているが、支持層50上に複数の発光体100Uが二次元に配置されてももちろんかまわない。
図7に示す発光体100Uは、透光部材140Aに代えて透光部材140Uを有する点を除き、図2等を参照して説明した発光装置100Aとほぼ同様の構成を有する。発光体100Uは、購入によって準備されてもよいし、後に例示する方法により作製されてもよい。
発光素子110Aの上方に位置する透光部材140Uの上面140aは、典型的には、発光体100Uの反射性部材150Aの上面に整合した平坦面である。図示する例において、発光体100Uの透光部材140Uは、シリコーン樹脂を含有する板状の部材であり
、透光部材140U中のシリコーン樹脂は、既に硬化した後の状態である。透光部材140U中のシリコーン樹脂は、典型的には、少なくとも1つのフェニル基を分子中に有する有機ポリシロキサン、あるいは、Dユニットを有する有機ポリシロキサンを含有する。
次に、表面に凹凸形状を有する型を準備する。ここでは、図8に示すように、一方の主面200bに複数の第1凸部210を有する型200を用いる。型200の材料は、特に限定されず、例えば、硬化鋼、アルミニウム、ベリリウム銅合金等の一般的な材料を用いることができる。
図8に例示する構成において、複数の第1凸部210のそれぞれは、型200の一方の主面200bから突出し、頂面210aおよび側面210cを有する円柱形状の突起である。ここでは、頂面210aの上面視における形状は、円形である。しかしながら、頂面210aの上面視における形状は、真円形に限定されず、楕円形あるいは歪んだ円形等であってもよい。すなわち、第1凸部210は、楕円柱等の形状を有し得る。あるいは、各第1凸部210の形状は、円柱形状に限定されず、角柱形状であってもよい。この場合、頂面210aの上面視における形状が正多角形状に限定されないことは言うまでもない。第1凸部210が角柱形状を有する場合、第1凸部210の側面210cの数は、3以上である。
第1凸部210の高さ、換言すれば、主面200bから頂面210aまでの距離は、例えば0.5μm以上20μm以下の範囲であり得る。第1凸部210が円柱形状であるときの頂面210aの直径、または、第1凸部210が角柱形状であるときの頂面210aの外形を規定する多角形の外接円の直径は、典型的には、1μm以上20μm以下である。図8では、わかり易さのために第1凸部210を誇張して大きく描いている。本開示の他の図面においても、説明の便宜のために第1凸部210を誇張して大きく描くことがある。
図8に例示する構成において、第1凸部210は、それぞれの中心が正方格子の格子点上に位置するように型200の主面200bに二次元に配置されている。第1凸部210の配置ピッチ、つまり、最近接の第1凸部210の中心間距離は、例えば、2μm以上20μm以下の範囲である。もちろん、第1凸部210の配置および第1凸部210の各々の形状は、図8に示す例に限定されない。例えば、第1凸部210は、それぞれの中心が三角格子の格子点上に位置するように型200の主面200bに二次元に配置されていてもよい。
次に、加熱された状態の透光部材140Uに型200を押し付け、複数の第1凹部を透光部材140Uの上面140aに形成する(図6のステップS12)。ここでは、支持層50に支持された複数の発光体100Uを支持層50ごと十分な剛性を有する支持体上に置き、第1凸部210を透光部材140Uの上面140aに向けて型200を透光部材140Uに対向させる。さらに、図9に太い矢印PSで模式的に示すように、透光部材140Uの上面140aに型200を押し付ける。
このとき、70℃~300℃程度に加熱された状態の透光部材140Uに、50kPa~50MPa程度の圧力で型200を押し付けることにより、透光部材140Uの上面140aに、型200の複数の第1凸部210に対応した複数の第1凹部141qを形成することができる。透光部材140Uの加熱は、透光部材140Uの周囲の温度を上昇させることによって実行されてもよいし、型200および/または支持体の温度を上昇させることによって実行されてもよい。
第1凸部210の配置ピッチが2μm以上20μm以下の範囲にあることから、型20
0の押し付けにより透光部材140Uの上面140aに形成される複数の第1凹部141qも、おおよそ2μm以上20μm以下の範囲の配置ピッチを有する。なお、図9に示す例では、単一の型200を用い、複数の発光体100Uの透光部材140Uに対して一括して複数の第1凹部141qを形成している。ただし、型200の押し付けによる第1凹部141qの方法は、この例に限定されず、例えば発光体100Uと同数の型200を用いて複数の発光体100Uの透光部材140Uに対して一括して複数の第1凹部141qを形成してもかまわない。
図10は、透光部材140Uから型200を引き抜いた後の発光体100Uを模式的に示す。図10に模式的に示すように、透光部材140Uに形成される第1凹部141qのそれぞれは、第1凸部210が円柱形状を有することに対応して、1つの底面141bと、1つの側面141cとを有する。このことから理解されるように、各第1凹部141qは、型200に設けられた第1凸部210の形状に応じた形状を有する。第1凸部210が例えば角柱形状を有する場合には、各第1凹部141qは、1つの底面と、複数の側面とによって規定される形状を有することになる。
ここでは円柱形状の第1凸部210の頂面210aが1μm以上20μm以下の範囲の直径を有することから、第1凹部141qの開口を包摂する円の直径は、概ね1μm以上20μm以下の範囲にある。第1凸部210が角柱形状であるときの、第1凹部141qの開口を包摂する円の直径についても同様である。
複数の第1凹部141qの形成後、透光部材140Uから型200を分離する。本実施形態では、未硬化の樹脂材料を用いる一般的な熱インプリント法とは異なり、硬化された状態のシリコーン樹脂を含有する透光部材140Uに対して型200の押し付けが実行されるので、透光部材140Uからの型200の分離は、比較的容易である。
複数の第1凹部141qを形成した後、より微細な複数の第2凹部を形成する(図6のステップS13)。複数の第2凹部の形成の方法は、特定の方法に限定されない。例えば、以下に説明するように、レーザ光の照射を利用して各第1凹部141qの内部に複数の第2凹部を形成することが可能である。
図11は、レーザ光の照射による複数の第2凹部の形成を模式的に示す。レーザ光の照射には、公知のレーザアブレーション装置を適用できる。図11に示す例では、レーザ光源430およびガルバノミラー440を含むレーザアブレーション装置40を適用した例を模式的に示している。レーザアブレーション装置40中のガルバノミラーの個数は、2以上であり得る。レーザ光源430の例は、Nd:YAGレーザ、Yb:KGBレーザ、Ti:サファイアレーザ、CO2レーザ、エキシマレーザ等である。
透光部材140Uの上面140a側からのレーザ光のビームLの走査により、透光部材140Uの上面140a側の一部を除去することができ、その結果、図11に模式的に示すように、透光部材140Uの上面140aのうち第1凹部141qと重なる領域以外の領域と、第1凹部141qの少なくとも底面141bとに複数の第2凹部142qを形成することが可能である。第2凹部142qは、例えば円形を有するディンプル状の窪みであり得る。ビームLの走査には、図11の例のようにガルバノミラーを利用してもよいし、石英ガラス等のステージ上に支持層50ごと発光体100Uを配置して、ステージをXY面内で移動させながらレーザ光の照射を実行してもよい。
透光部材140Uの上面140a側からのレーザ光の照射による微細構造パターンの形成における加工条件の一例を以下に示す。
レーザ光のピーク波長:1030nm
レーザ出力:30mW
パルス幅:260フェムト秒
周波数:200kHz
送り速度:0.5mm/s
透光部材140Uの上面140aからのデフォーカス:0.1μm
透光部材140Uの上面140aの位置でのスポット径:0.5μm
複数の第2凹部142qの形成後、上面140a側から透光部材140Uを紫外線で照射する(図6のステップS14)。ここでは、図12に模式的に示すように、紫外線照射装置500により、透光部材140Uの上面140aを紫外線で照射している。このときの紫外線の照射量は、例えば20J/cm2以上である。照射される紫外線の波長に特に限定はなく、例えば、UVA(400~315nm)~UVC(280~140nm)の波長範囲にわたるスペクトルを有する紫外線を発する紫外線照射装置を用いることができる。ここでは、発光の主ピーク波長が365nmの光源を用いる。
本開示の実施形態では、透光部材140Uへの第1凹部141qおよび第2凹部142qの形成後に、さらに透光部材140Uへの紫外線の照射を実行している。この紫外線の照射の工程は、一見すると、不要であるように思われる。しかしながら、本発明者の検討によると、透光部材140Uに第1凹部141qおよび第2凹部142qが形成され、かつ、紫外線の意図的な照射がなされなかった発光体100Uを300℃前後の高温の環境下におくと、透光部材140Uの上面140aに形成された凹凸形状、特に第1凹部141qの形状が崩れてしまうことが起こり得る。
発光体100Uのように底面側に電極を有する発光装置は、例えばリフローによって配線基板等に実装され得る。したがって、紫外線の意図的な照射のなされていない発光装置がリフロー等の工程において高温に曝されると、型200の押し付けによって形成された第1凹部141qの形状が崩れてしまうことがあり得る。極端な場合には、透光部材140Uの上面140aが平坦面に近い形状に戻ってしまう。換言すれば、紫外線の照射の工程を省略すると、所望の形状を得られないことがある。
これに対し、本開示の実施形態では、複数の第2凹部142qの形成後に、透光部材140Uの上面140aを紫外線で照射している。紫外線の照射の工程を実行することにより、透光部材140Uが300℃前後の高温の環境に曝された場合であっても、上面140aに形成された凹凸形状を維持させることが可能になる。すなわち、本開示の実施形態によれば、複数の第1凹部141qおよび複数の第2凹部142qの形状を固定して、複数の第1凹部141および複数の第2凹部142を有する透光部材140Aを透光部材140Uから得ることができる。また、300℃前後の高温の環境に曝された場合であっても、複数の第1凹部141および複数の第2凹部142の形状に大きな変化が生じにくいので、本開示の実施形態は、リフロー等の高温を伴うプロセスの適用に有利である。
以上の工程により、図2に示す発光装置100Aが得られる。なお、複数の第2凹部142qの形成の方法は、レーザによる表面テクスチャリング(LST)に限定されず、例えば吹き付け加工によって複数の第2凹部142qを形成してもよい。あるいは、複数の第1凹部141qが形成された透光部材140Uの上面140aを処理液に曝すことによって複数の第2凹部142qを形成してもよい。
例えば、図13に模式的に示すように、複数の第1凹部141qが形成された透光部材140Uの上面140aに処理液450を塗布または滴下する。処理液450としては、フッ化水素酸、フッ化水素酸と過酸化水素水との混合液、フッ化水素酸と硝酸との混合液、バッファードフッ化水素酸、バッファードフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液、お
よび、バッファードフッ化水素酸と硝酸との混合液からなる群から選ばれる1種を用いることができる。ここで、バッファードフッ化水素酸とは、フッ化水素酸と、緩衝剤としてのフッ化アンモニウム(NH4F)との混合液を指す。
透光部材140Uの表面をフッ化水素酸等で処理することによっても、レーザ光の照射または吹き付け加工を適用した場合と同様に、透光部材140Uの上面140aのうち第1凹部141qと重なる領域以外の領域と、第1凹部141qの内部とに、より微細な複数の第2凹部142qを形成することが可能である。なお、透光部材140Uの表面を処理液450に曝すことによって複数の第2凹部142qを形成した場合、図13に拡大して模式的に示すように、複数の第2凹部142qは、各第1凹部141qの底面141bだけでなく側面141cにも形成され得る。複数の第2凹部142qの形成後、純水を用いて透光部材140Uの表面から処理液450を除去する。
その後、図12を参照して説明した例と同様にして、透光部材140Uの上面140aを紫外線で照射する。以上の工程により、複数の第1凹部141および複数の第2凹部142を有する透光部材140Bを透光部材140Uから形成して、図14に示す発光装置100Bを得ることができる。上述の発光装置100A(図2等参照)と比較して、発光装置100Bは、透光部材140Aに代えて透光部材140Bを有している。図14中に拡大して模式的に示すように、この例では、複数の第2凹部142は、透光部材140Bの上面140aのうち第1凹部141と重なる領域以外の領域と、第1凹部141の底面141bとに加えて、第1凹部141の側面141cにも形成されている。
(発光装置の他の例示的な製造方法)
図15は、本開示の他のある実施形態による発光装置の製造方法の概要を示す。図15に例示された発光装置の製造方法は、概略的には、発光素子および発光素子を覆う透光部材を含む発光体を準備する工程(ステップS21)と、加熱された状態の透光部材に、複数の第1凸部および複数の第2凸部を有する型を押し付け、複数の凹部を透光部材に形成する工程(ステップS22)と、複数の凹部の形成後に、上面側から透光部材を紫外線で照射する工程(ステップS23)とを含む。以下、発光装置の他の例示的な製造方法の詳細を説明する。
まず、発光素子110Aおよび発光素子110Aを覆う透光部材を含む発光体100Uを準備する(図15のステップS21)。この工程は、図6を参照して説明したステップS11と同様である。発光体100Uの透光部材140Uがシリコーン樹脂を含有する点も、図6および図7を参照して説明した例と同様である。したがって、ここでは、発光体100Uを準備する工程の詳細の説明を省略する。
次に、上述した例と同様に、表面に凹凸形状を有する型を準備する。ただし、ここでは、図16に例示するように、一方の主面200bに、複数の第1凸部210と、第1凸部210よりも微細な複数の第2凸部220とを有する型200Aを用いる。
図8に示す型200と同様に、型200Aに設けられた複数の第1凸部210のそれぞれは、例えば、頂面210aおよび側面210cを有する円柱形状の突起である。第1凸部210の形状が角柱形状であってもよい点は、図8を参照しながら説明した例と同様である。
図16に例示する構成において、これら複数の第1凸部210は、型200Aの主面200bのうち、ある領域Rpに二次元に配置されている。この例では、複数の第1凸部210は、領域Rpの内側においてそれぞれの中心が正方格子の格子点上に位置するように配置されている。図8を参照しながら説明した例と同様に、第1凸部210の配置が正方
格子状に限定されないことは言うまでもない。
図17は、図16に示す型200Aの第1凸部210とその周辺とを拡大して示す。図17に示すように、ここでは、第1凸部210の頂面210aは、頂面210aから突出する複数の第2凸部220を有する。複数の第2凸部220のそれぞれは、円錐状、角錐状等の錐体形状を有する。なお、図17では、わかり易さのために第2凸部220を誇張して大きく描いている。本開示の他の図面においても、説明の便宜のために第2凸部220を誇張して大きく描くことがある。第2凸部220の錐体形状の高さ(図17中に両矢印Htで示す、錐体形状の底面から頂部までの距離)は、例えば0.02μm以上1μm以下程度である。第2凸部220の底面を包摂する円の直径は、例えば0.05μm以上0.5μm以下の範囲である。
図17に示すように、この例では、第2凸部220は、第1凸部210の周囲にも配置されている。第2凸部220の配置ピッチすなわち互いに隣接する2つの第2凸部220の中心間距離(図17中に両矢印Puで示す。)は、典型的には、0.1μm以上1μm以下の範囲である。第2凸部220の配置は、任意であり、型200Aの主面200bの領域Rpおよび第1凸部210の頂面210aにおいて、複数の第2凸部220は、規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。
型200Aの準備後、型200Aの複数の第1凸部210および複数の第2凸部220を発光体100Uの透光部材140Uの上面140aに対向させる。さらに、加熱された状態の透光部材140Uに型200Aを押し付けることにより、複数の凹部を透光部材に形成する(図15のステップS22)。ここでは、図9を参照しながら説明した例と同様にして、図18に太い矢印PSで模式的に示すように、70℃~300℃程度に加熱された状態の透光部材140Uの上面140aに50kPa~50MPa程度の圧力で型200Aを押し付ける。
型200Aの押し付けにより、図18中に拡大して模式的に示すように、型200Aの第1凸部210に対応した複数の第1凹部141qと、第2凸部220に対応した複数の第2凹部142qとを含む複数の凹部を透光部材140Uの上面140aに一括して形成することができる。この例では、型200Aの第1凸部210が頂面210aを含む円柱形状を有することに対応して、複数の第1凹部141qのそれぞれは、底面を有する円柱形状の凹部の形で透光部材140Uの上面140aに形成される。また、この例では、型200Aの第2凸部220が錐体形状を有することに対応して、第2凹部142qは、概ね錐体形状を有する。第2凹部142qは、第1凹部141qよりも微細な窪みである。
図17を参照しながら説明したように、ここでは、型200Aの第1凸部210の頂面210aに複数の第2凸部220が設けられている。そのため、透光部材140Uの上面140aへの型200Aの押し付けにより、各第1凹部141qの底面の位置に第2凹部142qが形成される。また、ここでは、第1凸部210の頂面210aに加えて、型200Aの主面200bのうち第1凸部210の周囲の領域にも複数の第2凸部220が設けられている。したがって、これら複数の第2凸部220が透光部材140Uの上面140aに到達するように型200Aの押し付けを実行することにより、図18中に拡大して模式的に示すように、透光部材140Uの上面140aのうち第1凹部141qが形成された領域以外の領域にも複数の第2凸部220を形成することが可能である。例えば、透光部材140Uの上面140aの、第1凹部141qの周囲の領域に複数の第2凹部142qを形成することができる。
第1凹部141qおよび第2凹部142qを含む複数の凹部を形成した後、発光体100Uから型200Aを分離する。本開示の実施形態では、未硬化の樹脂材料を用いる一般
的な熱インプリント法とは異なり、硬化された状態のシリコーン樹脂を含有する透光部材140Uに対して型の押し付けが実行されるので、透光部材140Uからの型の分離は、比較的容易である。
その後、上面140a側から透光部材140Uを紫外線で照射する(図15のステップS23)。透光部材140Uへの紫外線の照射は、図12を参照しながら説明した例と同様に、例えば紫外線照射装置500を用いて実行できる。紫外線を透過させる材料から型200Aが形成されている場合には、発光体100Uから型200Aを分離せずに型200Aを介して紫外線の照射が実行されてもよい。
紫外線の照射により、複数の第1凹部141および複数の第2凹部142を有する透光部材140Aを透光部材140Uから形成することができる。図18から容易に理解されるように、この例では、第1凹部141qの形状を規定する側面141cには、第2凹部142qは形成されない。以上の工程により、図2に示す発光装置100Aが得られる。このように、複数の第1凸部210と、複数の第2凸部220とを有する型を用いることにより、複数の第1凹部141と、第1凹部141よりも微細な複数の第2凹部142とを一括して形成することができる。
本開示の実施形態によれば、透光部材140Uの上面140aに微細な凹凸形状を付与することができ、これにより、例えば光取り出し効率を向上させ得る。しかも、本開示の実施形態によれば、そのままでも発光装置として機能させることが可能な発光体100Uの発光面である透光部材140Uの上面140aに、事後的に凹凸形状を付与することが可能である。
微細な凹凸形状を形成する技術として、従来、微細な凹凸を有する型の表面形状を樹脂材料の層に転写するインプリント法が知られている。しかしながら、インプリント法によって形状が転写される対象は、熱可塑性樹脂または紫外線硬化性樹脂に限られ、従来の手法によっては、上述した例のように、透光部材140U等の硬化後の状態の樹脂体の表面に微細な凹凸形状を事後的に付与することは困難である。未硬化の状態ではなく硬化後の樹脂体に型を押し付ける点は、従来にない着想である。
また、本開示の実施形態では、型の押し付けによって凹部を形成した後に、紫外線の照射を実行している。紫外線の照射により、型の押し付けによって形成された形状を固定可能である。熱硬化性樹脂にさらに紫外線を照射する点も、従来にない着想である。
紫外線の照射により、透光部材140Uが300℃前後の高温の環境に曝された場合であっても、上面140aに形成された凹凸形状を維持させることが可能になり、したがって、本開示の実施形態は、リフロー等の、高温を伴うプロセスの適用に有利である。例えば、発光装置100Aを300℃の温度下で40分間加熱したときの、加熱の前後における第1凹部141の深さの変化は、25%以下の範囲内であり得る。ここで、第1凹部141の深さの変化は、加熱を実行する前における任意の10箇所の第1凹部141の深さの平均値をDq、加熱を実行した後における任意の10箇所の第1凹部141の深さの平均値をDrとしたとき、|Dr-Dq|/Dqにより定義することができる。
なお、上述した例では、発光装置の上面100aのうち、透光部材140Aまたは140Bの上面140aに選択的に第1凹部141および第2凹部142を形成している。しかしながら、第1凹部141および/または第2凹部142は、発光装置の上面100aのうち上面140a以外の領域にも形成されてもよい。例えば反射性部材150Aの母材がシリコーン樹脂を含有する場合には、反射性部材150Aの上面に対向する位置に型の第1凸部210および第2凸部220を配置しておくことにより、反射性部材150Aの
上面に第1凹部141および第2凹部142を形成することが可能である。
以下、図面を参照しながら、発光体100Uの例示的な製造方法を説明する。まず、上面を有し、上面とは反対側に位置する下面側に正極112Aおよび負極114Aを有する発光素子110Aを準備する。発光素子110Aは、購入によって準備されてもよい。
次に、図19に示すように、基板または耐熱性の粘着シート等の支持体60を準備し、正極112Aおよび負極114Aを支持体60の上面60aに向けて発光素子110Aを支持体60上に配置する。次に、図20に示すように、透明な樹脂等を母材として含む第1樹脂材料130rを発光素子110Aの上面である上面111aにディスペンサ等によって付与する。
次に、図21に模式的に示すように、波長変換部材120Aおよび透光部材140Uを第1樹脂材料130r上に配置し、第1樹脂材料130rを硬化させる。この例では、波長変換部材120Aおよび透光部材140Uを含む積層シートLBを準備し、波長変換部材120Aおよび透光部材140Uを一括して第1樹脂材料130r上に配置している。積層シートLBは、例えば、蛍光体の粒子が分散された樹脂材料中の樹脂をBステージの状態とした蛍光体シートと、シリコーン樹脂原料から形成された透光性の樹脂シートとを準備し、これらを熱によって貼り合わせ、超音波カッタ等により所定の寸法の切断片を得ることによって準備することができる。積層シートLBの配置後、第1樹脂材料130rを硬化させることにより、第1樹脂材料130rから導光部材130Aを形成することができる。
次に、図22に示すように、支持体60上の構造を光反射性樹脂層150Tで覆う。光反射性樹脂層150Tは、例えば光反射性のフィラーが分散された第2樹脂材料を支持体60の上面60aに付与した後、第2樹脂材料を硬化させることによって形成することができる。光反射性樹脂層150Tの形成には、例えばトランスファー成形を適用できる。図22に示す状態では、透光部材140Uの上面140aおよび側面140cは、光反射性樹脂層150Tによって覆われている。
次に、研削加工等を適用して光反射性樹脂層150Tの上面側から光反射性樹脂層150Tの一部を除去することによって透光部材140Uの上面140aを研削面から露出させる。さらに、ダイシング装置等によって支持体60上の構造を所望の形状に切り出す。例えば、互いに隣接する2つの発光素子110Aの位置で、研削後の光反射性樹脂層150Tを切断する。光反射性樹脂層150Tの研削および切断の工程により、光反射性樹脂層150Tから反射性部材150Aを形成して、図23に示すように、支持体60上に発光体100Uが得られる。
従来、光反射性樹脂層の内部に透光部材を埋設するような製造方法では、研削面に現れる、透光部材の上面に事後的に凹凸パターンを付与することは困難であった。これに対し、本開示の実施形態によれば、硬化後の透光部材140Uの表面に形状を付与することが可能である。そのため、製品として使用可能な発光体を得た後に、透光部材140U等の、発光素子の前面に位置する部材に事後的に形状を付与することが可能になり、発光装置からの光の取出し効率向上の効果が期待できる。
発光体の製造方法は、図19~図23を参照して説明した例に限定されず、例えば、以下のような製造方法も適用できる。まず、図24に示すように、透光部172を有する第1の樹脂層170を準備する。樹脂層170は、2以上の透光部172を有し得る。図24に例示する構成において、樹脂層170は、光反射性樹脂部174を有し、各透光部172は、光反射性樹脂部174によって互いに分離されている。なお、この例では、各透
光部172は、透光層140Lおよび波長変換層120Lを含む。
樹脂層170は、例えば以下のようにして得ることができる。まず、光反射性の樹脂シートを準備する。光反射性の樹脂シートは、シリコーン樹脂に二酸化チタンおよび酸化ケイ素の粒子が60重量%程度分散された樹脂シートであり得る。光反射性の樹脂シートの形成には、圧縮成形、トランスファー成形もしくは射出成形、または、印刷法もしくはスプレー法を適用した成形を用い得る。
次に、パンチング等によって樹脂シートに貫通孔を設ける。上面視における貫通孔の形状は、例えば矩形状である。貫通孔の形成後、ポッティング法、印刷法、スプレー法等により、母材としてシリコーン樹脂を含み、蛍光体の粒子が母材に分散された第3樹脂材料で貫通孔の内部を充填する。このとき、貫通孔の内部に充填された第3樹脂材料において蛍光体の粒子を沈降させて第3樹脂材料を硬化させることにより、厚さ方向において蛍光体の濃度差を有する透光部を形成することが可能である。例えば、蛍光体の粒子が下面側に多く分布する透光部を形成することができる。あるいは、貫通孔の内部に透明な樹脂材料を配置して硬化させた後、透明な樹脂材料上に第3樹脂材料を付与して貫通孔をこれらの材料で充填してもよい。
蛍光体の粒子を沈降させ、第3樹脂材料の硬化後に上下を反転させれば、図24に示すような、光反射性樹脂部174および複数の透光部172を有する樹脂層170が得られる。図24に例示する構成において、透光層140Lは、透光部172中、蛍光体の粒子の濃度が相対的に低い層である。なお、図24では、波長変換層120Lと透光層140Lとの間に境界が存在するかのようにこれらの層を図示しているが、これらの層の間の境界を明確に認識できないこともある。
次に、樹脂層170のうち透光部172が配置された領域上にディスペンサ等によって第1樹脂材料130rを付与する。さらに、図25に示すように、正極112Aおよび負極114Aを樹脂層170とは反対側に向けて、発光素子110Aを第1樹脂材料130r上に配置する。第1樹脂材料130rを硬化させることにより、素子本体111の側面111cの少なくとも一部を覆う導光部材130Aを第1樹脂材料130rから形成することができる。
次に、図26に示すように、樹脂層170上の構造を覆う第2の樹脂層としての光反射性樹脂層150Tを形成する。光反射性樹脂層の材料には、上述の第2樹脂材料を用いることができる。光反射性樹脂層150Tの形成には、例えばトランスファー成形を適用できる。
次に、研削加工等を適用して光反射性樹脂層150Tの上面側から光反射性樹脂層150Tの一部を除去することによって各発光素子110Aの正極112Aおよび負極114Aを研削面から露出させる。さらに、ダイシング装置等によって樹脂層170および光反射性樹脂層150Tを互いに隣接する2つの発光素子110Aの位置で切断する。樹脂層170および光反射性樹脂層150Tの切断により、光反射性樹脂部174および光反射性樹脂層150Tから反射性部材150Aを形成して、図27に示すように、図23の例と同様の発光体100Uを得ることができる。この例では、樹脂層170の透光部172の透光層140Lおよび波長変換層120Lが、発光体100Uの透光部材140Uおよび波長変換部材120Aにそれぞれ対応する。
それぞれが発光素子110Aを有する複数の構造の個片化の工程において、透光部172に重なる位置で光反射性樹脂層150Tおよび樹脂層170を切断してもよい。あるいは、図24に示す樹脂層170に代えて波長変換部材120Aおよび透光部材140Uを
含む積層シート状に複数の発光素子110Aを配置して、図26および図27を参照して説明した工程を実行してもよい。これらの場合、図28に模式的に示すように、透光部材140Uの側面140cおよび波長変換部材120Aの側面120cが反射性部材150Aから露出された発光体100Tが得られる。
上述の発光体100Uに代えて、発光体100Tに、図6のステップS12~S14の工程あるいは図15のステップS22およびS23の工程を適用すれば、例えば、図29に示す発光装置100Cが得られる。図29に示す発光装置100Cと、図2に示す発光装置100Aとを比較すると、発光装置100Cでは、透光部材140Aの側面140cおよび波長変換部材120Aの側面120cが反射性部材150Aから露出されている。図8~図13を参照しながら説明したように、加熱された状態の透光部材140Uに型200を押し付けることによって透光部材140Uの上面140aに複数の第1凹部141qを形成し、さらに、透光部材140Uの上面140aを処理液に曝すことによって第1凹部141qよりも微細な複数の第2凹部142qを形成してもよい。この場合も、複数の第1凹部141qの形成後に上面140a側から透光部材140Uを紫外線で照射する点は、上述の各例と同様である。このような工程を採用することにより、図30に示す発光装置100Dが得られる。発光装置100Dは、透光部材140Bの側面140cおよび波長変換部材120Aの側面120cが反射性部材150Aから露出されていることを除き、図14に示す発光装置100Bとほぼ同様の構成を有する。
図31は、発光装置の外観の他の一例を示す。図31に示す発光装置100Eは、発光素子(図31において不図示)と、発光素子の前面に配置された透光部材140Cと、透光部材140Cの側面を覆う反射性部材150Bと、複合基板400Bとを含む。複合基板400Bは、基板410Bと、第1導電部411Bと、第2導電部412Bとを含む。図31に例示する構成において、反射性部材150Bは、複合基板400Bにまで達し、第1導電部411Bの一部および第2導電部412Bの一部を覆う。
図32は、発光装置100Eを発光装置100Eの中央付近の位置で図31中のYZ面に平行に切断したときの断面を模式的に示す。図32に示すように、第1導電部411Bおよび第2導電部412Bは、接合部材420によって発光素子110Aの正極112Aおよび負極114Aにそれぞれ電気的に接続される。図31および図32に例示する構成において、発光装置100Eは、図のX方向に対してY方向に長い形状を有し、いわゆるサイドビュータイプの発光装置として用いられる。
発光装置100Eの透光部材140Cは、上述の透光部材140Aおよび140Bと同様に、その上面140aに複数の第1凹部141を有する。各第1凹部141は、底面141bと、1以上の側面141cとを有し、図32に拡大して示すように、少なくとも底面141bに複数の第2凹部142を有する。発光装置100Eの透光部材140Cは、図のX方向に対してY方向に長い長尺状の平面視形状を有する点を除き、上述の発光装置100Aの透光部材140Aとほぼ同様の構成を有する。上述の透光部材140Bと同様に、透光部材140Cの各第1凹部141の側面141cに複数の第2凹部142が形成されていてもよい。
発光装置100Eは、例えば、図19~図23を参照しながら説明した発光体の製造工程において、支持体60に代えて、図33に例示するような複合基板400Aを用いることにより、効率的に製造することができる。図33は、複合基板400Aをその上面400a側から見たときの外観の一例を示す。図33に示すように、複合基板400Aは、基板410Aと、基板410A上に設けられた第1導電部411Aおよび第2導電部412Aとを有する。基板410Aは、貫通孔414を有する。図33には表れていないが、第1導電部411Aの一部および第2導電部412Aの一部は、貫通孔414を介して上面
400aとは反対側の下面まで延びている。
複合基板400Aを用いる場合、支持体60への複数の発光素子110Aの一時的な固定(図19参照)に代えて、例えば、フリップチップ接続により複数の発光素子110Aが複合基板400Aの上面400a側に固定される。このとき、はんだ等の接合部材により、各発光素子110Aの正極112Aおよび負極114Aが複合基板400Aの第1導電部411Aおよび第2導電部412Aにそれぞれ接続される。なお、図33中に細い破線で描かれた矩形は、発光素子110Aが配置される位置を示している。
導光部材130Aの形成、ならびに、波長変換部材120Aおよび透光部材140Uの配置の後、図22を参照して説明した工程と同様に、複合基板400Aの上面400a上の構造を光反射性樹脂層150Tによって覆う。光反射性樹脂層150Tの形成後、研削等によって透光部材140Uの上面140aを光反射性樹脂層150Tから露出させる。以上の工程により、複数の発光素子110Aおよび透光部材140Uと、複合基板400Aとを有する発光体が得られる。
さらに、例えば図9を参照しながら説明した例と同様にして、図34に示すように、加熱された状態にある透光部材140Uの上面140aに型200を押し付けることにより、透光部材140Uの上面140aに複数の第1凹部141qを形成する。図34では、図面が過度に複雑になることを避けるために、それぞれが発光素子110Aを含む3つの単位の断面を模式的に示している。
透光部材140Uからの型200の分離後、より微細な複数の第2凹部を形成する。例えば、図35に模式的に示すように、図11を参照して説明した例と同様にして、レーザ光の照射によって各第1凹部141qの底面141bと、透光部材140Uの上面140aのうち第1凹部141qと重なる領域以外の領域とに複数の第2凹部142qを形成する。レーザ光の照射に代えて、複数の第1凸部210および複数の第2凸部220を有する型200A(図16および図17参照)を用いて複数の第1凹部141qと複数の第2凹部142qとを一括して形成してもよい。
さらに、図36に模式的に示すように、図12を参照して説明した例と同様にして、透光部材140Uの上面140a側から透光部材140Uを紫外線で照射する。紫外線の照射により、透光部材140Uから、複数の第1凹部141および複数の第2凹部142を有する透光部材140Cを得ることができる。その後、図33に太い破線CTで示す位置でダイシング装置等によって複合基板400Aと必要に応じて光反射性樹脂層150Tとを一括して切断することにより、図32に示す、複合基板400Bをその一部に含む発光装置100Eを得ることができる。図31および図32に示す基板410B、第1導電部411Bおよび第2導電部412Bは、それぞれ、図33に示す基板410A、第1導電部411Aおよび第2導電部412Aの一部である。
レーザ光の照射に代えて、図37に模式的に示すように、複数の第1凹部141qが形成された透光部材140Uの上面140aを処理液450に曝すことによって複数の第2凹部142qを形成してもよい。複数の第2凹部142qの形成後、透光部材140Uの上面140a側から透光部材140Uを紫外線で照射する点は、上述の各例と同様である。このような工程によれば、図38に示すような、各第1凹部141の底面141bだけでなく側面141cにも複数の第2凹部142が形成された透光部材140Dを有し、かつ、複合基板400Bを有する発光装置100Fが得られる。
図39は、発光素子および透光部材を有する発光体のさらに他の例を示す。上述の発光体100Uあるいは発光体100Tに代えて、図39に示す発光体100Sに、図6に示
すステップS12~S14または図15に示すステップS22、S23を適用してもよい。
図39に例示する構成において、発光体100Sは、それぞれが発光素子110Bおよび透光部材340Zを含む発光構造100Yを単位とする二次元の繰り返し構造を有する。透光部材340Zは、上述の透光部材140A~140Dと同様に、シリコーン樹脂を含有している。すなわち、透光部材340Z中のシリコーン樹脂は、典型的には、少なくとも1つのフェニル基を分子中に有する有機ポリシロキサン、および/または、2つのメチル基がケイ素原子に結合したDユニットを有する有機ポリシロキサンを含有する。なお、図39では、複数の発光構造100Yのうちの4つを取り出して示している。
各発光構造100Yは、凹部350eが設けられた樹脂部350Fと、一対の導電性リード361および362とをさらに有する。発光素子110Bは、各発光構造100Yの凹部350eの内部に位置し、透光部材340Zは、凹部350eの内部において発光素子110Bを覆う。導電性リード361の上面および導電性リード362の上面、ならびに、これらを空間的・電気的に互いに分離する樹脂部350Fの一部の表面は、凹部350eの底面を形成している。この例では、発光素子110Bは、導電性リード361および導電性リード362のうち導電性リード361の上面上に固定されている。図39に模式的に示すように、発光素子110Bは、その上面側に正極112Bおよび負極114Bを有しており、ここでは、正極112Bは、導電性ワイヤ372によって導電性リード362に電気的に接続され、負極114Bは、導電性ワイヤ371によって導電性リード361に電気的に接続されている。
発光体100Sは、例えば以下のようにして製造することができる。まず、導電性のリードフレームと、複数の凹部350eが設けられた樹脂部350Fとを含む複合基板を準備する。図40に例示する複合基板300Fは、導電性リード361および導電性リード362の複数の組と、互いに隣接する組の間に配置され、これらの組を互いに接続する複数の連結部363とを有するリードフレーム360Fを含む。リードフレーム360Fは、例えば、Cuから形成された基材と、基材を被覆する金属層とを有し得る。基材を被覆する金属層は、Ag、Al、Ni、Pd、Rh、Au、Cu、または、これらの合金等を含む、例えばめっき層である。
図示するように、導電性リード361の一部および導電性リード362の一部は、樹脂部350Fの凹部350eのそれぞれの底部において露出されている。凹部350e内において互いに対向する導電性リード361および362の組のそれぞれは、導電性リード361および362が互いに空間的に分離されることによって形成されたギャップGpを有する。ギャップGpは、樹脂部350Fを構成する材料によって埋められる。複合基板300Fは、リードフレーム360Fに樹脂部350Fをトランスファー成形等によって一体的に形成することによって得ることが可能である。例えば、金型のキャビティ内にリードフレーム360Fを配置し、キャビティの内部を光反射性のフィラーが分散された樹脂材料で充填して樹脂材料を硬化させることにより、リードフレーム360Fを得ることができる。樹脂部350Fの材料としては、上述の反射性部材150A、150Bと同様の材料を適用することができる。
複合基板300Fを得た後、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂材料等の絶縁性の材料、または、Agペースト等の導電性の材料により、発光素子110Bを導電性リード361上に接合する。さらに、導電性ワイヤ372によって発光素子110Bの正極112Bと導電性リード362とを電気的に接続し、導電性ワイヤ371によって負極114Bと導電性リード361とを電気的に接続する。
発光素子110Bを樹脂部350Fの凹部350e内に配置した後、各凹部350eを未硬化のシリコーン樹脂を含むシリコーン樹脂材料で充填し、シリコーン樹脂材料を硬化させることにより、発光素子110Bを覆う透光部材340Zを形成する。透光部材340Zの材料としては、上述の透光部材140A~140Dを形成するための材料と同様の樹脂材料を適用できる。以上の工程により、図39に示す発光体100Sが得られる。
ここでは、さらに、透光部材340Zの上面に複数の第1凹部と、第1凹部よりも微細な複数の第2凹部とを形成する。複数の第1凹部および複数の第2凹部の形成は、概略的には、図6に示すステップS12~S14と同様の工程または図15に示すステップS22、S23と同様の工程に従って実行すればよい。
例えば、第1凸部210が設けられた型200の主面200bを透光部材340Zの上面340aに対向させ、透光部材340Zが加熱された状態で透光部材340Zに型200を押し付ける。図41は、発光体100Sを構成する発光構造100Yのうちの1つを取り出してその断面を模式的に示している。この例では、透光部材340Zの上面340aは、樹脂部350Fの上面350aと整合しており、透光部材340Zの上面340aは、樹脂部350Fの上面350aとともに発光構造100Yの上面を構成している。
型200の押し付けにより、図41に模式的に示すように、透光部材340Zの上面340aに複数の第1凹部341qを形成することが可能である。なお、ここでは、透光部材340Zの上面340aに選択的に複数の第1凹部341qを形成しているが、樹脂部350Fの上面350aを含めた発光構造100Yの上面の全体に複数の第1凹部341qを形成してもかまわない。
型200の分離後、図42に模式的に示すように、例えばレーザ光の照射によって各第1凹部341qの底面341bと、透光部材340Zの上面340aのうち第1凹部341qと重なる領域以外の領域とに、より微細な複数の第2凹部342qを形成する。レーザ光の照射に代えて、型200A等を用いて複数の第1凹部341qと複数の第2凹部342qとを一括して形成してもよいことは言うまでもない。
次に、図43に模式的に示すように、図12を参照して説明した例と同様にして、透光部材340Zの上面340a側から透光部材340Zを紫外線で照射する。紫外線の照射により、複数の第1凹部341qの形状および複数の第2凹部342qの形状をいわば固定することが可能である。これにより、透光部材340Zから、複数の第1凹部341および複数の第2凹部342を有する透光部材340Eを形成することができる。その後、ダイシング装置等によって発光構造100Yを単位として発光体100Sを個片化することにより、図44に示す発光装置100Gが得られる。
発光装置100Gは、凹部350eを有する反射性部材350を有する。反射性部材350は、個片化の工程において上述の樹脂部350Fの切断によって形成される。なお、個片化の工程により、リードフレーム360Fの連結部363(図40参照)の大部分は、除去される。この例では、各第1凹部341の側面341cは、基本的には第2凹部342を有しない。
レーザ光の照射に代えて、図45に模式的に示すように、複数の第1凹部341qが形成された透光部材340Zの上面340aを処理液450に曝すことによって複数の第2凹部342qを形成してもよい。複数の第2凹部342qの形成後、図43を参照して説明した例と同様にして、透光部材340Zの上面340a側から透光部材340Zを紫外線で照射する。このような工程によれば、図46に示す発光装置100Hが得られる。
図46に示す発光装置100Hと、図44に示す発光装置100Gとの間の主な相違点は、発光装置100Hが透光部材340Eに代えて透光部材340Fを有する点である。図46に拡大して模式的に示すように、透光部材340Fに設けられた各第1凹部341は、底面341bだけでなくその側面341cにも複数の第2凹部342を有する。
発光装置100Gの透光部材340Eおよび発光装置100Hの透光部材340Fは、二酸化チタン、酸化ケイ素等の粒子が母材に分散されることにより、光拡散の機能を有していてもよい。また、発光装置100Gの透光部材340Eおよび発光装置100Hの透光部材340Fは、蛍光体等の粒子を含有していてもよい。蛍光体等の粒子は、透光部材の母材中に概ね均一に分散されていてもよいし、例えば図のZ方向に関して濃度に偏りを有していてもよい。