JP7253863B2 - ジチオリン酸亜鉛の製造方法およびジチオリン酸亜鉛の腐食性改善方法 - Google Patents
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第1の工程で得られた生成物に酸化亜鉛を添加して中和する第2の工程と、
第2の工程で得られた生成物に、炭素数6~14のα-オレフィンオキサイド、炭素数4~12のアルキル基を有するアルキルグリシジルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択されるエポキシ化合物を添加し、20~130℃で10分~10時間混合する第3の工程と、を含むジチオリン酸亜鉛の製造方法である。
なおα-オレフィンオキサイドとは、直鎖または分岐オレフィンにおいて主鎖末端にエポキシ基を有する化合物を表し、アルキルグリシジルエーテルとは、モノアルキルグリセリルエーテルの2つの水酸基が1つのエポキシ基に置き換わった化合物を表す。
上記基油のいずれか1種を用いても2種以上を用いてもよい。また必要に応じ、これらの基油を高度に精製し硫黄等の不純物量を低減させた高度精製基油を用いてもよい。
攪拌棒、攪拌シール、温度計、還流冷却管及び窒素導入管を取り付け、硫化水素吸収用苛性ソーダ水トラップ瓶を接続したフラスコに、n-ブタノール296g(4.0モル)を、続いて五硫化二リン222g(1.0モル)を、硫化水素の発生に伴う発泡および発熱に注意しながら仕込み、100~110℃に加熱して窒素を吹き込みながら5時間還流反応させた後、冷却した。計算量の硫化水素が発生し、ジブチルジチオリン酸484g(2.0モル)を得た(第1の工程)。得られたジブチルジチオリン酸242g(1.0モル)に、酸化亜鉛24g(0.3モル)を仕込み、60~80℃で2時間常圧で反応させた後、100~110℃、10Torr以下で1時間脱水することで、一般式(1)においてR1~R4がいずれも炭素数4の直鎖アルキル基であるジチオリン酸亜鉛1を合成した(第2の工程)。
n-ブタノールの代わりに2-ブタノール(3.0モル)と4-メチル-2-ペンタノール(1.0モル)を用いた(用いたアルコール化合物のアルキル基の平均炭素数は4.5)こと以外はジチオリン酸亜鉛1の製造と同様の方法により、一般式(1)においてR1~R4として炭素数4の分岐アルキル基と炭素数6の分岐アルキル基を3:1の比率で有するジチオリン酸亜鉛2を合成した。
n-ブタノールの代わりに2-エチルヘキサノール(4.0モル)を用いたこと以外はジチオリン酸亜鉛1の製造と同様の方法により、一般式(1)においてR1~R4がいずれも炭素数8の分岐アルキル基であるジチオリン酸亜鉛3を合成した。
n-ブタノールの代わりにn-ドデカノール(4.0モル)を用いたこと以外はジチオリン酸亜鉛1の製造と同様の方法により、一般式(1)においてR1~R4がいずれも炭素数12の直鎖アルキル基であるジチオリン酸亜鉛4を合成した。
エポキシ化合物1:炭素数8の直鎖α-オレフィンオキサイド
エポキシ化合物2:炭素数12の直鎖α-オレフィンオキサイド
エポキシ化合物3:炭素数14の直鎖α-オレフィンオキサイド
エポキシ化合物4:ヘキシルグリシジルエーテル
エポキシ化合物5:エチルヘキシルグリシジルエーテル
エポキシ化合物6:シクロヘキシルグリシジルエーテル
比較化合物1:エチルヘキシルアルコール
比較化合物2:ヘキシルグリコール
比較化合物3:エポキシ化アマニ油(株式会社ADEKA製 アデカサイザーO-180A。アルキル鎖の末端以外のみにエポキシ基を有する化合物)
合成したジチオリン酸亜鉛1を99.0gフラスコに仕込み、そこへエポキシ化合物1を1.0g添加し、90℃、常圧で5時間混合することで、ジチオリン酸亜鉛を製造した。このとき、ジチオリン酸の合成工程で用いたアルコール化合物のアルキル基の平均炭素数は4であり、この実施例で用いたエポキシ化合物の平均炭素数は8であり、よってジチオリン酸の合成工程で用いたアルコール化合物のアルキル基の平均炭素数と、この実施例で用いたエポキシ化合物の平均炭素数との差は4であった。
用いたジチオリン酸亜鉛およびエポキシ化合物の種類及び添加量を、表1の通りに変更した以外は同様の方法により、実施例2~15、比較例1~10のジチオリン酸亜鉛を製造した。表中において、<10torrとは、混合を10Torr未満の圧力で行ったことを表す。なお比較例1~4は第3の工程(エポキシ化合物の添加及び混合)を行わなかった例を表し、比較例5、6は第3の工程においてエポキシ化合物を添加しなかった例を表し、比較例7~9は本発明に用いるエポキシ化合物以外の化合物を用いて第3の工程を行った例を表す。
実施例1~15、比較例1~10で製造したジチオリン酸亜鉛について、CCT試験(銅板腐食試験)により腐食性の評価を行った。具体的には、JIS K 2513(2000)に記載の方法において、150℃、1時間の試験時間後の銅板の変色の程度を1a~4cの12段階で評価した。各評価結果を表1~3に示す。なお評価結果が1a~2eであれば実用性を有する。
製造したジチオリン酸亜鉛について、ASTM D 2596に記載の方法に準拠して最大非融着荷重(LNSL)を測定し、各結果に基づき極圧性の評価を行った。具体的には、まず比較例1~4のジチオリン酸亜鉛(本発明の第3の工程を行わなかったジチオリン酸亜鉛)について、シェル式高速4球試験機を用いて下記条件にて試験球が融着する直前の荷重である最大非融着荷重(LNSL)を測定した。なお最大非融着荷重とは、試験球への荷重を30kgfずつ増加(初期荷重=30kgf)して試験を行っていったときの、試験球が融着した荷重の1ステップ前の荷重を言う。次に、実施例1~15、比較例5~10で製造したジチオリン酸亜鉛についても同様の方法によりLNSLを測定した。そして、実施例1~15、比較例5~10の各ジチオリン酸亜鉛のLNSLの値と、それぞれ対応する第3の工程を行わなかったジチオリン酸亜鉛(比較例1~4)のLNSLの値とを比較し、下記評価基準に基づき評価を行うことで、極圧性を評価した。結果をそれぞれ表4に示す。
回転数:1768rpm
測定時間:10秒間
測定温度:室温
○:第3の工程を行わなかったジチオリン酸亜鉛のLNSL値と同値
△:第3の工程を行わなかったジチオリン酸亜鉛のLNSL値より1~30kgf低い
×:第3の工程を行わなかったジチオリン酸亜鉛のLNSL値より31kgf以上低い
Claims (8)
- 五硫化二リンと、炭素数4~14の炭化水素基を有するアルコール化合物とを反応させる第1の工程と、
第1の工程で得られた生成物に酸化亜鉛を添加して中和する第2の工程と、
第2の工程で得られた生成物に、炭素数6~14のα-オレフィンオキサイド、炭素数4~12のアルキル基を有するアルキルグリシジルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択されるエポキシ化合物を添加し、20~130℃で10分~10時間混合する第3の工程と、
を含むジチオリン酸亜鉛の製造方法。 - 前記エポキシ化合物の添加量が、第2の工程で得られた生成物の質量100質量部に対して0.01~10.0質量部である、請求項1に記載のジチオリン酸亜鉛の製造方法。
- 前記アルコール化合物が、炭素数4~14のアルキル基を有するアルコールを含む、請求項1又は2に記載のジチオリン酸亜鉛の製造方法。
- 前記アルコール化合物のアルキル基の平均炭素数と、α-オレフィンオキサイドの炭素数とアルキルグリシジルエーテルのアルキル基の炭素数の平均炭素数との差が8以下である、請求項3に記載のジチオリン酸亜鉛の製造方法。
- ジチオリン酸亜鉛に、炭素数6~14のα-オレフィンオキサイド、炭素数4~12のアルキル基を有するアルキルグリシジルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択されるエポキシ化合物を添加し、20~130℃で10分~10時間混合する、ジチオリン酸亜鉛の腐食性改善方法。
- 前記ジチオリン酸亜鉛が、五硫化二リンと、炭素数4~14の炭化水素基を有するアルコール化合物とを反応させることによりジチオリン酸を合成する工程と、該ジチオリン酸に酸化亜鉛を添加して中和することにより合成されたジチオリン酸亜鉛である、請求項5に記載のジチオリン酸亜鉛の腐食性改善方法。
- 前記エポキシ化合物の添加量が、ジチオリン酸亜鉛の質量100質量部に対して0.01~10.0質量部である、請求項5または6に記載のジチオリン酸亜鉛の腐食性改善方法。
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