JP2018076411A - 潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、従来用いられている潤滑油組成物と比較して、摩擦低減効果の高い潤滑油組成物を提供することを目的とする。【解決手段】上記目的を達成するため、本発明は、2核のモリブデン化合物(A)と、3核のモリブデン化合物(B)からなる潤滑剤組成物(I)を含有する潤滑油組成物であって、当該潤滑油組成物のモリブデン含量が、2核のモリブデン化合物(A)のモリブデン:3核のモリブデン化合物(B)のモリブデン=99.98:0.02〜95:5(質量比)であることを特徴とする潤滑油組成物を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、良好な摩擦低減効果を与える潤滑剤組成物に関する。
潤滑油業界において、潤滑油の摩擦を低減させる技術は大変重要な技術と言える。なぜなら、摩擦が大きいとエネルギーロスが大きくなる、機械やエンジンに大きなダメージを与える、燃費が悪くなる等の悪影響を与えることがしばしばあるからである。そうした状況を改善するために潤滑油が使用され、さらに摩擦を低減させる添加剤等が配合されることで改良がなされてきた。
摩擦低減効果の高い潤滑油としては、例えば、特許文献1には、潤滑油基油に、(A)成分として、硫化オキシモリブデンジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジチオホスフェート、モリブデン酸アミンからなる群から選択される1種または2種以上のモリブデン化合物と、(B)成分として、(ポリ)オキシアルキレングリコールエーテルを配合してなることを特徴とする潤滑油組成物が開示されており、特許文献2には、潤滑油基油に対し、組成物全重量に基づき、(A)りん酸エステル、及び亜りん酸エステルの中から選ばれた少なくとも1種を0.01〜0.8重量%、(B)炭素数8〜18の炭化水素基を有する硫化オキシモリブデンジチオカルバメートを、モリブデン量として50〜2000ppm、及び(C)全塩基価10〜100のカルシウムサリシレートを0.3〜2.5重量%含有させたことを特徴とする潤滑油組成物が開示されており、特許文献3には、アルカン−1,2−ジオールを主成分とする、オリゴマーの含有量が0%を越え30重量%未満であるジオール化合物のホウ酸エステル及び/又はグリセリンモノアルキルエーテルを主成分とする、オリゴマーの含有量が0%を越え30重量%未満であるジオール化合物のホウ酸エステルを、粘度指数80〜150の基油に希釈混合してなる潤滑油組成物が開示されている。また、特許文献4には、(A)100℃の動粘度が1.4〜6mm2/秒の潤滑油基油と、(B)モリブデン換算で250〜2000ppmのジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンと、(C)硫黄換算で20〜250ppmのテトラベンジルチウラムジスルフィドとを含有する潤滑油組成物が開示されており、特許文献5には、ボラジン化合物と、無灰分散剤とを含有することを特徴とする、内燃機関用潤滑油組成物等が記載されている。
しかしながら、特許文献1〜5に記載されているようないずれの方法も摩擦低減効果は不十分であり、市場からはより効果の高い潤滑油組成物が求められている。
従って、本発明が解決しようとする課題は、従来用いられている潤滑油組成物と比較して、摩擦低減効果の高い潤滑油組成物を提供することにある。
そこで本発明者等は鋭意検討し、本発明に至った。即ち、本発明は、2核のモリブデン化合物(A)と、3核のモリブデン化合物(B)からなる潤滑剤組成物(I)を含有する潤滑油組成物であって、当該潤滑油組成物のモリブデン含量が、2核のモリブデン化合物(A)のモリブデン:3核のモリブデン化合物(B)のモリブデン=99.98:0.02〜95:5(質量比)であることを特徴とする潤滑油組成物である。
本発明の効果は、従来用いられている潤滑油組成物と比較して、摩擦低減効果の高い潤滑油組成物を提供したことにある。
本発明の潤滑油組成物は、2核のモリブデン化合物(A)と、3核のモリブデン化合物(B)からなる潤滑剤組成物(I)を含有する潤滑油組成物であって、当該潤滑油組成物のモリブデン含量が、2核のモリブデン化合物(A)のモリブデン:3核のモリブデン化合物(B)のモリブデン=99.98:0.02〜95:5(質量比)であることを特徴とする潤滑油組成物である。
本発明に使用する潤滑剤組成物(I)中の2核のモリブデン化合物(A)は、潤滑油業界で使用されうる2核のモリブデン化合物であれば特に制限されないが、本発明の効果が得られやすいことから、下記の一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(1)において、Lは有機酸を表し、こうした酸としては例えば、2つの炭化水素基を持つジチオカルバミン酸(ジチオカーバメート)、2つの炭化水素基を持つジチオリン酸(ジチオホスフェート)、2つの炭化水素基を持つリン酸(ホスフェート)、1つの炭化水素基を持つキサントゲン酸、1つの炭化水素基を持つカルボン酸(カルボキシレート)等が挙げられる。中でも、本発明の効果が得られやすいことから、2つの炭化水素基を持つジチオカルバミン酸(ジチオカーバメート)及び2つの炭化水素基を持つジチオリン酸(ジチオホスフェート)が好ましく、2つの炭化水素基を持つジチオカルバミン酸(ジチオカーバメート)が最も好ましい。なお、Lは、2核のモリブデンに結合若しくは配位した状態で存在する。
また、有機酸中に含まれる炭化水素基の炭素原子の総数は、一般式(1)で表される化合物の油溶性を左右する。具体的には、1つの有機酸中に含まれる炭素原子の総数は3〜100であり、潤滑油用添加剤として適した油溶性を示すためには、1つの有機酸中に含まれる炭素原子の総数が3〜80であることが好ましい。1つの有機酸中に含まれる炭素原子の総数が3より少ないと油に溶解しにくい場合があり、100より多いと結晶化若しくは増粘し、潤滑油用添加剤として使用する場合に取扱いが困難となる場合がある。
yは、0〜4の数を表し、中でも本発明の効果が得られやすい一般式(1)で表される化合物であるためには、1〜3が好ましい。
zは、0〜4の数を表し、中でも本発明の効果が得られやすい一般式(1)で表される化合物であるためには、1〜3が好ましい。なお、yとzの関係は、y+z=4である。
wは、1又は2の数を表し、中でも本発明の効果が得られやすい一般式(1)で表される化合物であるためには、2が好ましい。なお、w=2である場合、一般式(1)中のLは同じ有機酸であってもよく、違う有機酸であってもよい。
zは、0〜4の数を表し、中でも本発明の効果が得られやすい一般式(1)で表される化合物であるためには、1〜3が好ましい。なお、yとzの関係は、y+z=4である。
wは、1又は2の数を表し、中でも本発明の効果が得られやすい一般式(1)で表される化合物であるためには、2が好ましい。なお、w=2である場合、一般式(1)中のLは同じ有機酸であってもよく、違う有機酸であってもよい。
更に、本発明に使用する2核のモリブデン化合物(A)は、本発明の効果がより得られやすいことから、下記の一般式(2)で表されるモリブデンジチオカーバメートであることが好ましい。
一般式(2)において、R1〜R4は、それぞれ独立して、炭素数4〜18の炭化水素基を表し、こうした基としては、例えば、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、分岐鎖ペンチル基、第2級ペンチル基、第3級ペンチル基、n−ヘキシル基、分岐鎖ヘキシル基、第2級ヘキシル基、第3級ヘキシル基、n−ヘプチル基、分岐鎖ヘプチル基、第2級ヘプチル基、第3級ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、分岐鎖オクチル基、第2級オクチル基、第3級オクチル基、n−ノニル基、分岐鎖ノニル基、第2級ノニル基、第3級ノニル基、n−デシル基、分岐鎖デシル基、第2級デシル基、第3級デシル基、n−ウンデシル基、分岐鎖ウンデシル基、第2級ウンデシル基、第3級ウンデシル基、n−ドデシル基、分岐鎖ドデシル基、第2級ドデシル基、第3級ドデシル基、n−トリデシル基、分岐鎖トリデシル基、第2級トリデシル基、第3級トリデシル基、n−テトラデシル基、分岐鎖テトラデシル基、第2級テトラデシル基、第3級テトラデシル基、n−ペンタデシル基、分岐鎖ペンタデシル基、第2級ペンタデシル基、第3級ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、分岐鎖ヘキサデシル基、第2級ヘキサデシル基、第3級ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、分岐鎖ヘプタデシル基、第2級ヘプタデシル基、第3級ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、分岐鎖オクタデシル基、第2級オクタデシル基、第3級オクタデシル基等の飽和脂肪族炭化水素基;1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、1−オクテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、1−デセニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、1−ドデセニル基、4−ドデセニル基、11−ドデセニル基、12−トリデセニル基、13−テトラデセニル基、14−ペンタデセニル基、15−ヘキサデセニル基、16−ヘプタデセニル基、1−オクタデセニル基、17−オクタデセニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、4,4,6,6−テトラメチルシクロヘキシル基、1,3−ジブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロオクテニル基、2−メチル−3−シクロヘキセニル基、3,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等の脂環式炭化水素基が挙げられ、R1〜R4は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。中でも、本発明の効果が得られ易いことから、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、飽和脂肪族炭化水素基がより好ましい。
一般式(2)のR1〜R4が2種以上の炭化水素基から構成されていた場合、一般式(2)で表されるモリブデンジチオカーバメートが何種類か混在することになる。より顕著に本発明の効果が得られることから、一般式(2)のR1〜R4が2種類の炭化水素基から構成されていることが好ましく、同じ窒素原子と結合している炭化水素基が、同一である一般式(2)で表される化合物の混合物がより好ましい。なお、一般式(2)のR1〜R4が2種以上の基から構成されていた場合に混在する数種のモリブデンジチオカーバメートの混合率については、制限されない。
一般式(2)において、X1〜X4は、それぞれ独立して硫黄原子又は酸素原子を表す。中でも、本発明の効果が得られ易いことから、X1及びX2が硫黄原子であることが好ましく、X1及びX2が硫黄原子であり、且つX3及びX4が酸素原子であることがより好ましい。
また、本発明で使用する一般式(2)で表されるモリブデンジチオカルバメートは公知の製造方法で製造することができる。
本発明に使用する潤滑剤組成物(I)中の3核のモリブデン化合物(B)は、潤滑油業界で使用されうる3核のモリブデン化合物であれば特に制限されないが、本発明の効果が得られやすいことから、下記の一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(3)において、Qは有機酸を表し、こうした基としては例えば、2つの炭化水素基を持つジチオカルバミン酸(ジチオカーバメート)、2つの炭化水素基を持つジチオリン酸(ジチオホスフェート)、2つの炭化水素基を持つリン酸(ホスフェート)、1つの炭化水素基を持つキサントゲン酸、1つの炭化水素基を持つカルボン酸(カルボキシレート)等が挙げられる。中でも、本発明の効果が得られやすいことから、2つの炭化水素基を持つジチオカルバミン酸(ジチオカーバメート)及び2つの炭化水素基を持つジチオリン酸(ジチオホスフェート)が好ましく、2つの炭化水素基を持つジチオカルバミン酸(ジチオカーバメート)が最も好ましい。なお、Qは、3核のモリブデンに結合若しくは配位した状態で存在する。
また、有機酸中に含まれる炭化水素基の炭素原子の総数は本発明の効果に影響を与える。具体的には、1つの有機酸中に含まれる炭素原子の総数は3〜100であり、本発明の効果がより顕著に得られやすいことから、1つの有機酸基中に含まれる炭素原子の総数が3〜80であることが好ましい。1つの有機酸中に含まれる炭素原子の総数が3より少ないと発明の効果が得られにくい場合があり、100より多い場合もまた、発明の効果が得られにくい場合がある。
kは、3〜10の数を表し、中でも本発明の効果が得られやすい一般式(3)で表される化合物であるためには、4〜7が好ましい。
mは、1〜4の数を表し、中でも本発明の効果が得られやすい一般式(3)で表される化合物であるためには、3又は4が好ましい。なお、mが2以上である場合、一般式(3)中のそれぞれのQは同じ有機酸基であってもよく、違う有機酸基であってもよい。また、本発明の効果がより顕著に得られることから、Qは、組み合わせる一般式(1)で表される2核のモリブデン化合物中のLと同一の有機酸で構成されたものである方が好ましい。
mは、1〜4の数を表し、中でも本発明の効果が得られやすい一般式(3)で表される化合物であるためには、3又は4が好ましい。なお、mが2以上である場合、一般式(3)中のそれぞれのQは同じ有機酸基であってもよく、違う有機酸基であってもよい。また、本発明の効果がより顕著に得られることから、Qは、組み合わせる一般式(1)で表される2核のモリブデン化合物中のLと同一の有機酸で構成されたものである方が好ましい。
更に、本発明に使用する3核のモリブデン化合物(B)は、本発明の効果が得られやすいことから、下記の一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(4)において、R5及びR6は、それぞれ独立して、炭素数4〜18の炭化水素基を表し、こうした基としては、例えば、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、分岐鎖ペンチル基、第2級ペンチル基、第3級ペンチル基、n−ヘキシル基、分岐鎖ヘキシル基、第2級ヘキシル基、第3級ヘキシル基、n−ヘプチル基、分岐鎖ヘプチル基、第2級ヘプチル基、第3級ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、分岐鎖オクチル基、第2級オクチル基、第3級オクチル基、n−ノニル基、分岐鎖ノニル基、第2級ノニル基、第3級ノニル基、n−デシル基、分岐鎖デシル基、第2級デシル基、第3級デシル基、n−ウンデシル基、分岐鎖ウンデシル基、第2級ウンデシル基、第3級ウンデシル基、n−ドデシル基、分岐鎖ドデシル基、第2級ドデシル基、第3級ドデシル基、n−トリデシル基、分岐鎖トリデシル基、第2級トリデシル基、第3級トリデシル基、n−テトラデシル基、分岐鎖テトラデシル基、第2級テトラデシル基、第3級テトラデシル基、n−ペンタデシル基、分岐鎖ペンタデシル基、第2級ペンタデシル基、第3級ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、分岐鎖ヘキサデシル基、第2級ヘキサデシル基、第3級ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、分岐鎖ヘプタデシル基、第2級ヘプタデシル基、第3級ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、分岐鎖オクタデシル基、第2級オクタデシル基、第3級オクタデシル基等の飽和脂肪族炭化水素基;1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、1−オクテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、1−デセニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、1−ドデセニル基、4−ドデセニル基、11−ドデセニル基、12−トリデセニル基、13−テトラデセニル基、14−ペンタデセニル基、15−ヘキサデセニル基、16−ヘプタデセニル基、1−オクタデセニル基、17−オクタデセニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、4,4,6,6−テトラメチルシクロヘキシル基、1,3−ジブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロオクテニル基、2−メチル−3−シクロヘキセニル基、3,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等の脂環式炭化水素基が挙げられる。中でも、本発明の効果が得られ易いことから、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、飽和脂肪族炭化水素基がより好ましい。また、一般式(4)中のn個あるR5及びR6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
一般式(4)中のn個あるR5及びR6が2種以上の炭化水素基から構成されていた場合、一般式(4)で表される化合物が何種類か混在することになる。より顕著に本発明の効果が得られることから、一般式(4)中のn個あるR5及びR6が2種類の炭化水素基から構成されていることが好ましく、同じ窒素原子と結合している炭化水素基が、同一である一般式(4)で表される化合物の混合物がより好ましい。なお、一般式(4)中のn個あるR5及びR6が2種以上の基から構成されていた場合に混在する数種の化合物の混合率については、制限されない。
hは、3〜10の数を表し、中でも本発明の効果が得られやすい一般式(4)で表される化合物であるためには、4〜7が好ましい。
nは、1〜4の数を表し、中でも本発明の効果が得られやすい一般式(4)で表される化合物であるためには、3又は4が好ましい。
nは、1〜4の数を表し、中でも本発明の効果が得られやすい一般式(4)で表される化合物であるためには、3又は4が好ましい。
また、本発明で使用する一般式(4)で表される化合物は、公知の製造方法で製造することが可能である。
本発明の潤滑剤組成物(I)に使用する2核のモリブデン化合物(A)と3核のモリブデン化合物(B)の組み合わせは制限されないが、本発明の効果が得られやすいことから、2核のモリブデン化合物(A)が一般式(1)で表される化合物と3核のモリブデン化合物が一般式(3)で表される化合物との組み合わせが好ましく、2核のモリブデン化合物(A)が一般式(2)で表されるモリブデンジチオカーバメートである化合物と3核のモリブデン化合物が一般式(4)で表される化合物との組み合わせがより好ましい。
本発明の潤滑油組成物に配合する潤滑剤組成物(I)は、2核のモリブデン化合物(A)と3核のモリブデン化合物(B)を含有するものであり、両者に含まれるモリブデンがある特定の質量比となる条件で併用した潤滑剤組成物(I)を配合することで初めて潤滑油組成物として本発明の効果を発揮する。すなわち、潤滑剤組成物(I)中の2核のモリブデン化合物(A)のモリブデンと3核のモリブデン化合物(B)のモリブデンの質量比は重要であり、2核のモリブデン化合物(A)のモリブデンと、3核のモリブデン化合物(B)のモリブデンの質量比が、2核のモリブデン化合物(A)のモリブデン:3核のモリブデン化合物(B)のモリブデン=99.98:0.02〜95:5となるように配合されていなければ本発明の効果は得られない。換言すると、2核のモリブデン化合物(A)のモリブデン及び3核のモリブデン化合物(B)のモリブデンの合計量に対し、3核のモリブデン化合物(B)のモリブデンが0.02〜5質量%となる範囲に制御された量でこれらの化合物を含む潤滑剤組成物(I)を含んだ潤滑油組成物は本発明の所望の効果を示す。
中でも、本発明の効果が得られやすいことから、2核のモリブデン化合物(A)のモリブデンと、3核のモリブデン化合物(B)のモリブデンの質量比が、2核のモリブデン化合物(A)のモリブデン:3核のモリブデン化合物(B)のモリブデン=99.98:0.02〜97:3であることがより好ましく、99.75:0.25〜97:3であることが更に好ましい。3核のモリブデン化合物(B)のモリブデンが、2核のモリブデン化合物(A)のモリブデン:3核のモリブデン化合物(B)のモリブデン=99.98:0.02より少ない割合で配合されると、良好な摩擦低減効果が得られず、2核のモリブデン化合物(A)のモリブデン:3核のモリブデン化合物(B)のモリブデン=95:5より多い割合で配合されると、基油への溶解性及び油の酸化安定性が著しく低下し、且つ摩擦低減効果の持続性が悪くなる。
本発明の潤滑油組成物とは、基油に本発明の潤滑剤組成物(I)を添加したものである。潤滑剤組成物(I)を基油に添加し、本発明の効果を発揮するためには、2核のモリブデン化合物(A)のモリブデン及び3核のモリブデン化合物(B)のモリブデンの合計量が、基油と添加剤を含めた潤滑油組成物に対してモリブデン含量で50〜5,000質量ppmであることが好ましく、80〜4,000質量ppmであることがより好ましく、100〜2,000質量ppmであることが更に好ましい。50ppm未満であると摩擦低減効果が見られない場合があり、5,000ppmより多いと添加量に見合った摩擦低減効果が得られず、かつ基油への溶解性が著しく低下する場合がある。
また、使用可能な潤滑油組成物の基油は、特に制限はなく、使用目的や条件に応じて適宜、鉱物基油、化学合成基油、動植物基油、GTL基油及びこれらの混合基油等から選ばれる。ここで、鉱物基油としては、例えば、パラフィン基系原油、ナフテン基系原油、中間基系原油、芳香族基系原油があり、更にこれらを常圧蒸留して得られる留出油、或いは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油があり、また更にこれらを常法に従って精製することによって得られる精製油、具体的には溶剤精製油、水添精製油、脱ロウ処理油及び白土処理油等が挙げられる。
化学合成基油としては、例えば、ポリ−α−オレフィン、ポリイソブチレン(ポリブテン)、モノエステル、ジエステル、ポリオールエステル、ケイ酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、シリコーン、フッ素化化合物、アルキルベンゼン及びGTL基油等が挙げられ、これらの中でも、ポリ−α−オレフィン、ポリイソブチレン(ポリブテン)、ジエステル及びポリオールエステル等は汎用的に使用することができ、ポリ−α−オレフィンとしては例えば、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン及び1−テトラデセン等をポリマー化又はオリゴマー化したもの、或いはこれらを水素化したもの等が挙げられ、ジエステルとしては例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びドデカン二酸等の2塩基酸と、2−エチルヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール及びトリデカノール等のアルコールのジエステル等が挙げられ、ポリオールエステルとしては例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトール等のポリオールと、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸等の脂肪酸とのエステル等が挙げられる。
動植物基油としては、例えば、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ脂、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、コーン油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、綿実油及びヤシ油等の植物性油脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油及び鯨油等の動物性油脂が挙げられる。
GTL基油としては、粘度性状は特に制限されないが、通常粘度指数は100〜180、100℃動粘度が3〜12mm2/sであり、これらの性状のGTL基油が挙げられる。上記に挙げたこれらの各種基油は、一種を用いてもよく、二種以上を適宜組み合せて用いてもよい。また、本発明の効果が得られやすいことから、鉱物基油及び化学合成基油を使用することが好ましく、鉱物基油を使用することがより好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、公知の潤滑油添加剤を使用目的に応じて適宜使用することが可能であり、例えば、本発明の潤滑油組成物に配合される潤滑剤組成物(I)以外の摩擦低減剤、摩擦調整剤、摩耗防止剤、極圧剤、金属系清浄剤、無灰分散剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤、金属不活性化剤、耐荷重添加剤、乳化剤、抗乳化剤、及びかび防止剤等が挙げられる。
本発明の潤滑油組成物に配合される潤滑剤組成物(I)以外の摩擦低減剤としては、例えば、一般式(5)で表されるアルキルアミンと5価、又は6価のモリブデン原子を有する化合物との反応物等の1核の有機モリブデン化合物が挙げられる。
一般式(5)において、R7〜R8は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、こうした基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基(これらの基は、直鎖でも分岐鎖でもよく、1級でも2級でも3級でもよい。)等の飽和脂肪族炭化水素基;エテニル基(ビニル基)、プロペニル基(アリル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基(これらの基は、直鎖でも分岐鎖でもよく、1級でも2級でも3級でもよい。)等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。これら摩擦低減剤の好ましい配合量は、潤滑剤組成物(I)を配合した本発明の潤滑油組成物全体に対して、モリブデン含量が5000質量ppmに収まる範囲である。
摩擦調整剤としては、例えば、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、及びラウリルアルコール等の高級アルコール類;オレイン酸、ステアリン酸、及びラウリン酸等の脂肪酸類;オレイン酸グリセリルエステル、ステアリン酸グリセリルエステル、ラウリン酸グリセリルエステル、アルキルグリセリルエステル、アルケニルグリセリルエステル、アルキニルグリセリルエステル、エチレングリコールオレイン酸エステル、エチレングリコールステアリン酸エステル、エチレングリコールラウリン酸エステル、プロピレングリコールオレイン酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル、及びプロピレングリコールラウリン酸エステル等のエステル類;オレイルアミド、ステアリルアミド、ラウリルアミド、アルキルアミド、アルケニルアミド、及びアルキニルアミド等のアミド類;オレイルアミン、ステアリルアミン、ラウリルアミン、アルキルアミン、アルケニルアミン、アルキニルアミン、ココビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、牛脂ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−(2−ヒドロキシヘキサデシル)ジエタノールアミン、及びジメチル牛脂三級アミン等のアミン類;オレイルグリセリルエーテル、ステアリルグリセリルエーテル、ラウリルグリセリルエーテル、アルキルグリセリルエーテル、アルケニルグリセリルエーテル、及びアルキニルグリセリルエーテル等のエーテル類が挙げられる。これら摩擦調整剤の好ましい配合量は、基油に対して0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。
摩耗防止剤、若しくは極圧剤としては、例えば、硫化油脂、オレフィンポリスルフィド、硫化オレフィン、ジベンジルスルフィド、エチル−3−[[ビス(1−メチルエトキシ)フォスフィノチオイル]チオ]プロピオネート、トリス−[(2、又は4)−イソアルキルフェノール]チオフォスフェート、3−(ジ−イソブトキシ−チオホスホリルスルファニル)−2−メチル−プロピオン酸、トリフェニルフォスフォロチオネート、β−ジチオホスフォリル化プロピオン酸、メチレンビス(ジブチルジチオカーバメイト)、O,O−ジイソプロピル−ジチオフォスフォリルエチルプロピオネート、2,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブタンチオ)1,3,4−チアジアゾール、及び2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール等の硫黄系添加剤;モノオクチルフォスフェート、ジオクチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、モノブチルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、モノフェニルフォスフェート、ジフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、モノイソプロピルフェニルフォスフェート、ジイソプロピルフェニルフォスフェート、トリイソプロピルフェニルフォスフェート、モノターシャリーブチルフェニルフォスフェート、ジ−tert−ブチルフェニルフォスフェート、トリ−tert−ブチルフェニルフォスフェート、トリフェニルチオフォスフェート、モノオクチルフォスファイト、ジオクチルフォスファイト、トリオクチルフォスファイト、モノブチルフォスファイト、ジブチルフォスファイト、トリブチルフォスファイト、モノフェニルフォスファイト、ジフェニルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、モノイソプロピルフェニルフォスファイト、ジイソプロピルフェニルフォスファイト、トリイソプロピルフェニルフォスファイト、モノ−tert−ブチルフェニルフォスファイト、ジ−tert−ブチルフェニルフォスファイト、及びトリ−tert−ブチルフェニルフォスファイト、一般式(6)で表されるリン系化合物等のリン系化合物;一般式(10)で表されるジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、ジチオリン酸金属塩(Sb,Mo等)、ジチオカルバミン酸金属塩(Zn,Sb,Mo等)、ナフテン酸金属塩、脂肪酸金属塩、リン酸金属塩、リン酸エステル金属塩、及び亜リン酸エステル金属塩等の有機金属化合物;2,5−ビス(n−ヘキシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−オクチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールアルキルポリカルボキシレート、3,5−ビス(n−ヘキシルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,6−ビス(n−オクチルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、4,5−ビス(n−オクチルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール、4,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール、4,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール、5,5−ジチオビス(1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−チオン)ジメルカプトチアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、アルキルジメルカプトチアジアゾール等のチアジアゾール化合物及びその誘導体;その他、ホウ素化合物、モノ及びジヘキシルフォスフェートのアルキルアミン塩、リン酸エステルアミン塩、及びトリフェニルチオリン酸エステルとtert−ブチルフェニル誘導体の混合物等が挙げられる。
一般式(6)においてAは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基を表し、こうした基としては、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、及び2価のシクロアルキル基等が挙げられ、脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、イコサレン基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、ジシクロペンチレン基、及びトリシクロペンチレン基等が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、例えば、以下の一般式(7)で表される基、一般式(8)で表される基、一般式(9)で表される基、ナフチレン基、及び1,2−ジフェニルエチレン基等が挙げられる。ここで、一般式(7)で表される基の場合、結合する箇所によってオルト体、メタ体、及びパラ体の3つの構造になるが、いずれの構造であってもよい。
一般式(6)のnは平均重合度を表し、nは1〜10の数である。
一般式(6)において、R9〜R16は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、こうしたアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等(これらの基は、直鎖でも分岐でも良い、また1級でも2級でも3級でも良い)が挙げられる。
一般式(6)において、R9〜R16は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、こうしたアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等(これらの基は、直鎖でも分岐でも良い、また1級でも2級でも3級でも良い)が挙げられる。
一般式(10)において、R17〜R20は、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表し、こうした基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、及びイコシル基等の1級アルキル基;2級プロピル基、2級ブチル基、2級ペンチル基、2級ヘキシル基、2級ヘプチル基、2級オクチル基、2級ノニル基、2級デシル基、2級ウンデシル基、2級ドデシル基、2級トリデシル基、2級テトラデシル基、2級ペンタデシル基、2級ヘキサデシル基、2級ヘプタデシル基、2級オクタデシル基、2級ノナデシル基、及び2級イコシル基等の2級アルキル基;3級ブチル基、3級ペンチル基、3級ヘキシル基、3級ヘプチル基、3級オクチル基、3級ノニル基、3級デシル基、3級ウンデシル基、3級ドデシル基、3級トリデシル基、3級テトラデシル基、3級ペンタデシル基、3級ヘキサデシル基、3級ヘプタデシル基、3級オクタデシル基、3級ノナデシル基、及び3級イコシル基等の3級アルキル基;分岐ブチル基(イソブチル基等)、分岐ペンチル基(イソペンチル基等)、分岐ヘキシル基(イソヘキシル基)、分岐ヘプチル基(イソヘプチル基)、分岐オクチル基(イソオクチル基、2−エチルヘキシル基等)、分岐ノニル基(イソノニル基等)、分岐デシル基(イソデシル基等)、分岐ウンデシル基(イソウンデシル基等)、分岐ドデシル基(イソドデシル基等)、分岐トリデシル基(イソトリデシル基等)、分岐テトラデシル基(イソテトラデシル基)、分岐ペンタデシル基(イソペンタデシル基等)、分岐ヘキサデシル基(イソヘキサデシル基)、分岐ヘプタデシル基(イソヘプタデシル基等)、分岐オクタデシル基(イソオクタデシル基等)、分岐ノナデシル基(イソノナデシル基等)、及び分岐イコシル基(イソイコシル基等)等の分岐アルキル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、及びベンジルフェニル基等のアリール基が挙げられる。これら摩耗防止剤の好ましい配合量は、基油に対して0.01〜3質量%、より好ましくは0.05〜2質量%である。
金属系清浄剤としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のスルフォネート、フェネート、サリシレート、フォスフェート、及びこれらの過塩基性塩等が挙げられる。これらの中でも過塩基性塩が好ましく、過塩基性塩の中でもTBN(トータルベーシックナンバー) が10〜500mgKOH/gのものがより好ましい。これらの金属系清浄剤の好ましい配合量は、基油に対して0.5〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%である。
無灰分散剤としては、滑油に用いられる任意の無灰分散剤であれば特に制限なく用いることができるが、例えば、炭素数40〜400の直鎖、若しくは分枝状のアルキル基、又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物、又はその誘導体等が挙げられる。具体的には、コハク酸イミド、コハク酸アミド、コハク酸エステル、コハク酸エステル−アミド、ベンジルアミン、ポリアミン、ポリコハク酸イミド及びマンニッヒ塩基等が挙げられ、その誘導体としては、これら含窒素化合物にホウ酸、ホウ酸塩等のホウ素化合物、チオリン酸、チオリン酸塩等のリン化合物、有機酸、及びヒドロキシポリオキシアルキレンカーボネート等を作用させたもの等が挙げられる。アルキル基、又はアルケニル基の炭素数が40未満の場合は化合物の潤滑油基油に対する溶解性が低下する場合があり、一方、アルキル基、又はアルケニル基の炭素数が400を越える場合は、潤滑油組成物の低温流動性が悪化する場合がある。これらの無灰分散剤の好ましい配合量は、基油に対して0.5〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%である。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール(以下、tert−ブチルをt−ブチルと略記する。)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4 −エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2− メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ステアリル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オレイル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ドデシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸デシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オクチル、テトラキス{3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニルオキシメチル}メタン、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸グリセリンモノエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸とグリセリンモノオレイルエーテルとのエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ブチレングリコールジエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸チオジグリコールジエステル、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、トリス{(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル}イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、ビス{2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル}サルファイド、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラフタロイル−ジ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルサルファイド)、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘプチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ノニル−3−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、[3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ]ベンゼンプロピオン酸C7−C9側鎖アルキルエステル、2,4,8−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−3,9−ジイルビス(2−メチルプロパン−2,1−ジイル)ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−リン酸ジエステル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイド、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルアルキルエステル、及びビス{3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グリコールエステル等のフェノール系酸化防止剤;1−ナフチルアミン、フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−1,1,3,3−テトラメチルブチルナフタレン−1−アミン、アルキルフェニル−1−ナフチルアミン、p−オクチルフェニル−1−ナフチルアミン、p−ノニルフェニル−1−ナフチルアミン、p−ドデシルフェニル−1−ナフチルアミン、及びフェニル−2−ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤;N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジイソブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジオクチル−p−フェニレンジアミン、フェニルヘキシル−p−フェニレンジアミン、及びフェニルオクチル−p−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系酸化防止剤;ジピリジルアミン、ジフェニルアミン、ジアルキルフェニルアミン、ビス(4−n−ブチルフェニル)アミン、ビス(4−t−ブチルフェニル)アミン、ビス(4−n−ペンチルフェニル)アミン、ビス(4−t−ペンチルフェニル)アミン、ビス(4−n−オクチルフェニル)アミン、ビス(4−(2−エチルヘキシル)フェニル)アミン、ビス(4−ノニルフェニル)アミン、ビス(4−デシルフェニル)アミン、ビス(4−ドデシルフェニル)アミン、ビス(4−スチリルフェニル)アミン、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンゾイル)ジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、ジピリジルアミン、及びN−フェニルベンゼンアミンと2,2,4−トリメチルペンテンの反応生成物等のジフェニルアミン系酸化防止剤;フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、フェノチアジンカルボン酸エステル、及びフェノセレナジン等のフェノチアジン系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.01〜5質量% 、より好ましくは0 .05〜4質量% である。
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリ(C1〜18)アルキルメタクリレート、(C1〜18)アルキルアクリレート/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、ジメチルアミノエチルメタクリレート/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、エチレン/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、ポリイソブチレン、ポリアルキルスチレン、エチレン/プロピレン共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体、スチレン/イソプレン水素化共重合体、オレフィンコポリマー(OCP)、及びスターポリマー等が挙げられる。或いは、分散性能を付与した分散型、若しくは多機能型粘度指数向上剤を用いてもよい。重量平均分子量は10,000〜1,500,000、好ましくは20,000〜500,000程度である。これらの粘度指数向上剤の好ましい配合量は、基油に対して0.1〜20質量%、より好ましくは0.3〜15質量%である。
流動点降下剤としては、例えば、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリビニルアセテート等が挙げられ、重量平均分子量は1000〜100,000、好ましくは5000〜50,000程度である。これらの流動点降下剤の好ましい配合量は、基油に対して0.00 5〜3質量% 、より好ましくは0.01〜2質量%である。
防錆剤としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、酸化パラフィンワックスカルシウム塩、酸化パラフィンワックスマグネシウム塩、牛脂脂肪酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルカリ土類アミン塩、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル(アルケニル基の分子量は100〜300程度)、ソルビタンモノエステル、ノニルフェノールエトキシレート、及びラノリン脂肪酸カルシウム塩等が挙げられる。これらの防錆剤の好ましい配合量は、基油に対して0.01〜3質量%、より好ましくは0.02〜2質量%である。
腐食防止剤、金属不活性化剤としては、例えば、トリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、又はこれら化合物の誘導体である、2−ヒドロキシ−N−(1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ベンズアミド、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)−[(1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル]アミン、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)−[(1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル]アミン、及び2,2’−[[(4、又は5、又は1)−(2−エチルヘキシル)−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メチル]イミノ]ビスエタノール等が挙げられ、他にもビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸、ヒドロキシホスホノ酢酸、テトラアルキルチウラムジサルファイド、N’1,N’12−ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)ドデカンジハイドラジド、3−(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニル)−N’−(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキシフェニル)プロパノイル)プロパンハイドラジド、テトラプロぺニルコハク酸と1,2−プロパンジオールのエステル化物、ジソディウムセバケート、(4−ノニルフェノキシ)酢酸、モノ及びジヘキシルフォスフェートのアルキルアミン塩、トリルトリアゾールのナトリウム塩、及び(Z)−N−メチルN−(1−オキソ9−オクタデセニル)グリシン等が挙げられる。これら腐食防止剤の好ましい配合量は、基油に対して0.01〜3質量%、より好ましくは0.02〜2質量%である。
消泡剤としては、例えば、ポリジメチルシリコーン、ジメチルシリコーンオイル、トリフルオロプロピルメチルシリコーン、コロイダルシリカ、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレート、アルコールエトキシ/プロポキシレート、脂肪酸エトキシ/プロポキシレート、及びソルビタン部分脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの消泡剤の好ましい配合量は、基油に対して0.001〜0.1質量%、より好ましくは0.001〜0.01質量%である。
本発明の潤滑油組成物は、車両用潤滑油(例えば、自動車やオートバイ等のガソリンエンジン油、ディーゼルエンジン油等)、工業用潤滑油(例えば、ギヤー油、タービン油、油膜軸受油、冷凍機用潤滑油、真空ポンプ油、圧縮用潤滑油、多目的潤滑油等)等に使用することができる。中でも、本発明の潤滑油組成物は、本発明の効果が最も求められ、その効果が得られやすいことから、車両用潤滑油に使用することが好ましく、ガソリンエンジン油に使用することがより好ましい。
以下本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。尚、以下の実施例等において%は特に記載が無い限り質量基準である。
実施例に使用する本発明の潤滑剤組成物(I)は以下の通りである。
(潤滑剤組成物(I))
潤滑剤組成物(I)−1:一般式(2)において、X1及びX2=S、X3及びX4=O、R1〜R4がC8H17又はC13H27である2核のモリブデン化合物(但し、一般式(2)において、同じ窒素原子と結合している炭化水素基は同一である)と、一般式(4)において、h=7、n=4であり、4つずつあるR5及びR6がC8H17又はC13H27である3核のモリブデン化合物(但し、一般式(4)において、同じ窒素原子と結合している炭化水素基は同一である)の混合物であり、これらの化合物の質量比が、2核のモリブデン化合物中のモリブデン:3核のモリブデン化合物中のモリブデン=99.98:0.02である。
潤滑剤組成物(I)−2:一般式(2)において、X1及びX2=S、X3及びX4=O、R1〜R4がC8H17又はC13H27である2核のモリブデン化合物(但し、一般式(2)において、同じ窒素原子と結合している炭化水素基は同一である)と、一般式(4)において、h=7、n=4であり、4つずつあるR5及びR6がC8H17又はC13H27である3核のモリブデン化合物(但し、一般式(4)において、同じ窒素原子と結合している炭化水素基は同一である)の混合物であり、これらの化合物の質量比が、2核のモリブデン化合物中のモリブデン:3核のモリブデン化合物中のモリブデン=99.5:0.5である。
潤滑剤組成物(I)−3:一般式(2)において、X1及びX2=S、X3及びX4=O、R1〜R4がC8H17又はC13H27である2核のモリブデン化合物(但し、一般式(2)において、同じ窒素原子と結合している炭化水素基は同一である)と、一般式(4)において、h=7、n=4であり、4つずつあるR5及びR6がC8H17又はC13H27である3核のモリブデン化合物(但し、一般式(4)において、同じ窒素原子と結合している炭化水素基は同一である)の混合物であり、これらの化合物の質量比が、2核のモリブデン化合物中のモリブデン:3核のモリブデン化合物中のモリブデン=95:5である。
(潤滑剤組成物(I))
潤滑剤組成物(I)−1:一般式(2)において、X1及びX2=S、X3及びX4=O、R1〜R4がC8H17又はC13H27である2核のモリブデン化合物(但し、一般式(2)において、同じ窒素原子と結合している炭化水素基は同一である)と、一般式(4)において、h=7、n=4であり、4つずつあるR5及びR6がC8H17又はC13H27である3核のモリブデン化合物(但し、一般式(4)において、同じ窒素原子と結合している炭化水素基は同一である)の混合物であり、これらの化合物の質量比が、2核のモリブデン化合物中のモリブデン:3核のモリブデン化合物中のモリブデン=99.98:0.02である。
潤滑剤組成物(I)−2:一般式(2)において、X1及びX2=S、X3及びX4=O、R1〜R4がC8H17又はC13H27である2核のモリブデン化合物(但し、一般式(2)において、同じ窒素原子と結合している炭化水素基は同一である)と、一般式(4)において、h=7、n=4であり、4つずつあるR5及びR6がC8H17又はC13H27である3核のモリブデン化合物(但し、一般式(4)において、同じ窒素原子と結合している炭化水素基は同一である)の混合物であり、これらの化合物の質量比が、2核のモリブデン化合物中のモリブデン:3核のモリブデン化合物中のモリブデン=99.5:0.5である。
潤滑剤組成物(I)−3:一般式(2)において、X1及びX2=S、X3及びX4=O、R1〜R4がC8H17又はC13H27である2核のモリブデン化合物(但し、一般式(2)において、同じ窒素原子と結合している炭化水素基は同一である)と、一般式(4)において、h=7、n=4であり、4つずつあるR5及びR6がC8H17又はC13H27である3核のモリブデン化合物(但し、一般式(4)において、同じ窒素原子と結合している炭化水素基は同一である)の混合物であり、これらの化合物の質量比が、2核のモリブデン化合物中のモリブデン:3核のモリブデン化合物中のモリブデン=95:5である。
また、その他の本発明及び比較例に使用する基油及び各種添加剤は以下の通りである。
(基油)
基油1:40℃動粘度23mm2/s、100℃動粘度4mm2/s、粘度指数VI=100のパラフィン系鉱物油
基油2:40℃動粘度12mm2/s、100℃動粘度3mm2/s、粘度指数VI=100のパラフィン系鉱物油
基油3:40℃動粘度20mm2/s、100℃動粘度4mm2/s、粘度指数VI=124のパラフィン系鉱物油
基油4:40℃動粘度9mm2/s、100℃動粘度2mm2/s、粘度指数VI=35のナフテン系鉱物油
基油5:40℃動粘度18mm2/s、100℃動粘度4mm2/s、粘度指数VI=119のポリα―オレフィン
基油6:粘度指数VI=145のGTL基油
基油7:2−エチルヘキサノールとオレイン酸のエステル
基油8:ペンタエリスリトールと混合酸(カプリル酸、イソヘプタン酸)のエステル
基油9:2−エチルヘキサノールとトリメリット酸のエステル
基油10:混合アルコール(C6〜C10)とピロメリット酸のエステル
基油11:ポリイソブチレン
基油12:基油3と基油6の混合油
基油13:基油3と基油7の混合油
基油14:基油3と基油5の混合油
(基油)
基油1:40℃動粘度23mm2/s、100℃動粘度4mm2/s、粘度指数VI=100のパラフィン系鉱物油
基油2:40℃動粘度12mm2/s、100℃動粘度3mm2/s、粘度指数VI=100のパラフィン系鉱物油
基油3:40℃動粘度20mm2/s、100℃動粘度4mm2/s、粘度指数VI=124のパラフィン系鉱物油
基油4:40℃動粘度9mm2/s、100℃動粘度2mm2/s、粘度指数VI=35のナフテン系鉱物油
基油5:40℃動粘度18mm2/s、100℃動粘度4mm2/s、粘度指数VI=119のポリα―オレフィン
基油6:粘度指数VI=145のGTL基油
基油7:2−エチルヘキサノールとオレイン酸のエステル
基油8:ペンタエリスリトールと混合酸(カプリル酸、イソヘプタン酸)のエステル
基油9:2−エチルヘキサノールとトリメリット酸のエステル
基油10:混合アルコール(C6〜C10)とピロメリット酸のエステル
基油11:ポリイソブチレン
基油12:基油3と基油6の混合油
基油13:基油3と基油7の混合油
基油14:基油3と基油5の混合油
(耐摩耗剤)
耐摩耗剤1:トリクレジルフォスフェート
耐摩耗剤2:ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)
耐摩耗剤3:2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールアルキルポリカルボキシレート
耐摩耗剤1:トリクレジルフォスフェート
耐摩耗剤2:ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)
耐摩耗剤3:2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールアルキルポリカルボキシレート
(摩擦低減剤)
摩擦低減剤1:ジアルキルアミンと三酸化モリブデンとの反応物(1核のMoAMN)
摩擦低減剤2:硫化オキシモリブデンジチオフォスフェート(MoDTP)
摩擦低減剤3:一般式(2)において、X1及びX2=S、X3及びX4=O、R1〜R4がC8H17である2核のモリブデン化合物
摩擦低減剤4:一般式(2)において、X1及びX2=S、X3及びX4=O、R1〜R4がC13H27である2核のモリブデン化合物
摩擦低減剤1:ジアルキルアミンと三酸化モリブデンとの反応物(1核のMoAMN)
摩擦低減剤2:硫化オキシモリブデンジチオフォスフェート(MoDTP)
摩擦低減剤3:一般式(2)において、X1及びX2=S、X3及びX4=O、R1〜R4がC8H17である2核のモリブデン化合物
摩擦低減剤4:一般式(2)において、X1及びX2=S、X3及びX4=O、R1〜R4がC13H27である2核のモリブデン化合物
(摩擦調整剤)
摩擦調整剤1:オレイン酸グリセリルエステル
摩擦調整剤2:オレイルグリセリルエーテル
摩擦調整剤3:ココビス(2−ヒドロキシエチル)アミン
摩擦調整剤4:牛脂ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン
摩擦調整剤5:N−(2−ヒドロキシヘキサデシル)ジエタノールアミン
摩擦調整剤6:ジメチル牛脂三級アミン
摩擦調整剤7:ホウ酸化グリセリン脂肪酸エステル
摩擦調整剤1:オレイン酸グリセリルエステル
摩擦調整剤2:オレイルグリセリルエーテル
摩擦調整剤3:ココビス(2−ヒドロキシエチル)アミン
摩擦調整剤4:牛脂ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン
摩擦調整剤5:N−(2−ヒドロキシヘキサデシル)ジエタノールアミン
摩擦調整剤6:ジメチル牛脂三級アミン
摩擦調整剤7:ホウ酸化グリセリン脂肪酸エステル
(酸化防止剤)
酸化防止剤1:[3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ]ベンゼンプロピオン酸C7−C9側鎖アルキルエステル
酸化防止剤2:N−フェニル−1,1,3,3−テトラメチルブチルナフタレン−1−アミン
酸化防止剤3:ジアルキルジフェニルアミン
酸化防止剤4:ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
酸化防止剤5:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
酸化防止剤1:[3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ]ベンゼンプロピオン酸C7−C9側鎖アルキルエステル
酸化防止剤2:N−フェニル−1,1,3,3−テトラメチルブチルナフタレン−1−アミン
酸化防止剤3:ジアルキルジフェニルアミン
酸化防止剤4:ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
酸化防止剤5:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
(粘度指数向上剤)
粘度指数向上剤1:分子量10,000〜1,500,000のポリアルキルメタクリレート
粘度指数向上剤2:分子量10,000〜1,500,000のオレフィンコポリマー(OCP)
粘度指数向上剤3:分子量10,000〜1,500,000のスターポリマー
粘度指数向上剤1:分子量10,000〜1,500,000のポリアルキルメタクリレート
粘度指数向上剤2:分子量10,000〜1,500,000のオレフィンコポリマー(OCP)
粘度指数向上剤3:分子量10,000〜1,500,000のスターポリマー
(清浄剤)
清浄剤1:TBN=300のCaスルフォネート
清浄剤2:TBN=100のCaフェネート
清浄剤3:TBN=280のCaサリシレート
清浄剤4:TBN=280のホウ素変性Caサリシレート
清浄剤5:TBN=280のMgサリシレート
清浄剤1:TBN=300のCaスルフォネート
清浄剤2:TBN=100のCaフェネート
清浄剤3:TBN=280のCaサリシレート
清浄剤4:TBN=280のホウ素変性Caサリシレート
清浄剤5:TBN=280のMgサリシレート
(分散剤)
分散剤1:ポリアルケニルコハク酸イミド
分散剤2:ポリアルケニルコハク酸イミドのホウ素化物
分散剤1:ポリアルケニルコハク酸イミド
分散剤2:ポリアルケニルコハク酸イミドのホウ素化物
(流動点降下剤)
流動点降下剤1:分子量1,000〜100,000のエチレン−酢酸ビニル共重合体
流動点降下剤1:分子量1,000〜100,000のエチレン−酢酸ビニル共重合体
(防錆剤)
防錆剤1:ジノニルナフタレンスルホン酸
防錆剤1:ジノニルナフタレンスルホン酸
(腐食防止剤(金属不活性化剤))
腐食防止剤(金属不活性化剤)1:ベンゾトリアゾール誘導体
腐食防止剤(金属不活性化剤)1:ベンゾトリアゾール誘導体
(消泡剤)
消泡剤1:粘度100csのシリコーンオイル
消泡剤2:粘度300csのシリコーンオイル
消泡剤1:粘度100csのシリコーンオイル
消泡剤2:粘度300csのシリコーンオイル
上記に示した潤滑剤組成物(I)、基油及び各種添加剤を用い、本発明の潤滑油組成物の配合例及び比較例を以下表1〜29に示した。
<潤滑特性試験>
次に、上記配合例1〜406のうち、いくつか抜粋し、MTM試験機(メーカー名 PCS Instruments)を用いて摩擦低減効果を調べた。以下評価条件にて試験を行い、55〜60minの平均摩擦係数で評価した。
試験条件
荷重 30 N
転がり速度 50 mm/s
すべり率 50 %
温度 80 ℃
時間 60 min
評価方法
◎ : 摩擦係数が0.055未満
○ : 摩擦係数が0.055以上0.07未満
△ : 摩擦係数が0.07以上0.1未満
× : 摩擦係数が0.1以上
次に、上記配合例1〜406のうち、いくつか抜粋し、MTM試験機(メーカー名 PCS Instruments)を用いて摩擦低減効果を調べた。以下評価条件にて試験を行い、55〜60minの平均摩擦係数で評価した。
試験条件
荷重 30 N
転がり速度 50 mm/s
すべり率 50 %
温度 80 ℃
時間 60 min
評価方法
◎ : 摩擦係数が0.055未満
○ : 摩擦係数が0.055以上0.07未満
△ : 摩擦係数が0.07以上0.1未満
× : 摩擦係数が0.1以上
以下表30に、試験結果を示し、潤滑油組成物の摩擦低減性を評価した。
以上より、本発明の潤滑油組成物は、従来から用いられている潤滑油組成物と比較して、摩擦低減効果の高い潤滑油組成物であることがわかる。
Claims (7)
- 2核のモリブデン化合物(A)と、3核のモリブデン化合物(B)からなる潤滑剤組成物(I)を含有する潤滑油組成物であって、該潤滑油組成物のモリブデン含量が、2核のモリブデン化合物(A)のモリブデン:3核のモリブデン化合物(B)のモリブデン=99.98:0.02〜95:5(質量比)であることを特徴とする潤滑油組成物。
- 潤滑剤組成物(I)をモリブデン含量で50〜5,000質量ppm含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
- 更に、潤滑剤組成物(I)以外の摩耗防止剤、極圧剤、摩擦調整剤、金属系清浄剤、無灰分散剤、酸化防止剤、摩擦低減剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防錆剤、腐食防止剤、金属不活性化剤、及び消泡剤からなる群から選択される1種、又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の潤滑油組成物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016218187A JP2018076411A (ja) | 2016-11-08 | 2016-11-08 | 潤滑油組成物 |
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-
2016
- 2016-11-08 JP JP2016218187A patent/JP2018076411A/ja active Pending
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