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JP7131925B2 - タンクの保持構造 - Google Patents

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JP7131925B2 JP2018035636A JP2018035636A JP7131925B2 JP 7131925 B2 JP7131925 B2 JP 7131925B2 JP 2018035636 A JP2018035636 A JP 2018035636A JP 2018035636 A JP2018035636 A JP 2018035636A JP 7131925 B2 JP7131925 B2 JP 7131925B2
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特許法第30条第2項適用 (公開1)公開日 平成29年10月30日 公開した場所 三菱ケミカルインフラテック株式会社(東京都中央区日本橋本石町1-2-2 三菱ケミカル日本橋ビル)にてFRP材料の特性に関するヒアリング/打ち合わせ (公開2)公開日 平成29年12月19日 公開した場所 三菱ケミカルインフラテック株式会社(東京都中央区日本橋本石町1-2-2 三菱ケミカル日本橋ビル)にてFRP材料の特性に関するヒアリング/打ち合わせ (公開3)公開日 平成29年11月8日 公開した場所 日東紡績株式会社(東京都千代田区麹町2-4-1 麹町大通りビル)にてFRP材料の特性に関するヒアリング/打ち合わせ (公開4)公開日 平成29年11月16日 公開した場所 東電設計株式会社(東京都江東区東雲一丁目7番12号)から東レ株式会社(東京都中央区日本橋室町2丁目1番1号)に電話連絡し、FRP材料の特性に関するヒアリング/打ち合わせ (公開5)公開日 平成29年12月15日 公開した場所 東レ株式会社(東京都中央区日本橋室町2丁目1番1号)にてFRP材料の特性に関するヒアリング/打ち合わせ
本発明は、沿岸地域に設けられたタンクを水害時に保持するためのタンクの保持構造に関する。
港などの沿岸地域には、漁船などの船舶に燃料を補給するためのオイルタンク、ガスタンクが設けられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
例えば、漁船に燃料を補給するためのオイルタンクは、屋外に設置され、コンクリート製で環状の防油堤の内部に設けられたコンクリート製の基台上に設置されている。
この種のタンクは、鋼製で、円筒状の胴部の上側開口をリリーフ弁や開閉口を備えた蓋部で閉塞し、下側開口を底版部で閉塞して密閉可能に形成されている。また、タンクの下端部の外周には、外面から径方向外側に突出し、周方向に延びる環状のフランジが設けられ、このフランジには、周方向に所定の間隔をあけて複数のボルト挿通孔が貫通形成されている。
そして、上記のように構成した円筒型のタンクは、コンクリート製の基台に定着するアンカーボルトをフランジのボルト挿通孔に挿通しナットを締結することによって、基台上に固定して設置されている。
特開2017-149449号公報 特開2015-227182号公報
一方、東日本大震災では、沿岸地域に設置された多くのタンクが津波によって流され、タンクから石油、LNG、LPG等の可燃性の液体が漏洩し、火災、汚染を招いたことが確認、報告されている。
また、漁港近くの屋外に設けられ、漁船に燃料を補給するための小型のタンクが数多く津波の影響で流されたことが確認されている。
ここで、内部の液量が少ないタンクは、液量に応じて質量が小さくなるため、地震による地盤の揺れや津波の波力による衝撃によって倒壊しやすく、満液に近いタンクは、質量が大きいため、地震による地盤の揺れや津波の波力による衝撃により倒壊して流される可能性が低いと考えられていた。
しかしながら、東日本大震災では、満液のタンクも津波の影響で流され、内容液が漏洩し、何らかの要因で着火して火災を引き起こしたことが確認されている。流されたタンクが衝突して建物などの構造物に損傷を与えた可能性もある。
また、漁船に燃料を補給するための小型のタンクの多くは、津波の波力による衝撃ではなく、水に浸かり浮力が作用したことによって基台から引き抜け、漂流したことが確認、報告されている。さらに、タンクの底部と基台の間に水が浸入したことによってタンクに大きな浮力が作用し、基台からの脱落を誘発したと考えられている。
したがって、水害等によりタンクが水に浸った場合であっても、タンクが基台から脱落、漂流することを防止できる手法が強く望まれている。
本発明は、上記事情に鑑み、水害等によりタンクが水に浸った場合であっても、タンクの基台からの脱落、漂流を比較的簡便に防止できるタンクの保持構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明のタンクの保持構造は、水害時に水に浸かり得る地域に設置されたタンクを水に浸かった場合に保持するための構造であって、繊維シートと樹脂材の複合材料であり、前記タンクの側面に前記タンクを囲繞するように設けられる繊維強化プラスチックと、前記タンクの側面に固定して配設される接続手段と、間接的または直接的に地盤に固定して配設される定着手段と、前記接続手段と前記定着手段とを連結する連結手段とを備え、前記接続手段は、輪状の接続部と、前記接続部に繋がる略矩形板状あるいは略棒状の固定部とを備えてなり、前記固定部は、前記タンクを囲繞するように設けられた前記繊維強化プラスチックと前記タンクの側面の間に挟持されて前記タンクの側面に固設され、前記接続部は、前記繊維強化プラスチックから突出していることを特徴とする。
また、本発明のタンクの保持構造において、前記固定部は、略矩形板状あるいは略棒状であるとともに、長手方向を上下方向に向けて配されていることが望ましい。
さらに、本発明のタンクの保持構造において、前記繊維強化プラスチックは、少なくとも前記タンクの座屈発生予想位置を含んで前記タンクの座屈耐力を向上させるようにその設置範囲が設定されていることがより望ましい。
本発明のタンクの保持構造においては、繊維強化プラスチック(FRP)によってタンクに固定して設けられた接続手段と、地盤に定着させた定着手段とが連結手段で連結されているため、水害時にタンクに波力や浮力が作用してもタンクを保持することが可能になる。
また、このとき、接続手段をタンクに繊維シートを巻き回して貼設してなる繊維強化プラスチックによってタンクの側面に固定するようにしているため、接続手段に作用する外力を繊維強化プラスチックに伝達し、点ではなく繊維強化プラスチックの大きな面積の面で分散支持することが可能になる。さらに、繊維強化プラスチックは連結手段の張力に対し、タンクの側面への付着力だけでなく、フープ筋のように周方向の力で対抗することができる。これにより、タンクに大きな外力が作用した際に、より確実にタンクを保持することが可能になる。
よって、本発明のタンクの保持構造によれば、津波や高潮、台風、豪雨、ダムや堤防の決壊、越流など、あらゆる水害に伴って水に浸かり得る地域(沿岸地域など)に設置されたタンクが、水害時に水に浸った場合であっても、このタンクが基台から脱落し漂流することを防止できる。
本発明の一実施形態に係るタンクの保持構造を示す図である。
以下、図1を参照し、本発明の一実施形態に係るタンクの保持構造について説明する。
本実施形態のタンクの保持構造は、津波や高潮、台風、豪雨、ダムや堤防の決壊、越流など、あらゆる水害に伴って水に浸かり得る地域(沿岸地域など)に設置されたタンクを対象とし、水害時に水に浸った場合であってもタンクが流されることを防止するための構造に関するものである。
具体的に、本実施形態のタンク1は、図1に示すように、例えば、漁船などの船舶に燃料を補給するための円筒型のオイルタンクであり、鋼製で、円筒状の胴部1aの上側開口をリリーフ弁や開閉口を備えた蓋部1bで閉塞し、下側開口を底版部1cで閉塞して密閉可能に形成されている。また、タンク1の下端部の外周には、外面から径方向外側に突出し、周方向に延びる環状のフランジ1dが設けられ、コンクリート製の基台6上に固定して設置されている。
一方、本実施形態のタンクの保持構造Aは、タンク1の側面1eにタンク1を囲繞するように設けられるFRP(Fiber-Reinforced Plastics:繊維材と樹脂材の複合材料、繊維強化プラスチック)2と、タンク1を囲繞するようにFRP2を設けるとともにタンク1の側面1eに固定して配設される接続手段3と、間接的または直接的に地盤Gに固定して配設される定着手段4と、接続手段3と定着手段4とを連結する連結手段5とを備えて構成されている。
本実施形態のFRP2は、繊維シート(シート状の繊維材)をタンク1の側面1eに巻き回し、接着樹脂を含浸させて、タンク1の側面1eの所望の高さ位置に所定の高さ範囲を被覆するように貼設されている。
FRP2の繊維材としては、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等、FRP2に適用可能であればあらゆる繊維材を用いることができる。また、繊維方向を一方向に揃えてシート状に形成、あるいは、例えば繊維方向を一方向と一方向に直交する他方向に向け、繊維を織り込んでシート状に形成したものなどが好適な繊維材として挙げられる。なお、繊維材の繊維の種類、繊維方向等は必ずしも限定しなくてもよい。
FRP2の樹脂材としては、接着部分の不陸修正、表面処理、下塗り、繊維材への含浸、仕上げ等にそれぞれ適した樹脂材を適宜選択的に用いればよい。例えば、下塗り、繊維材への含浸等には、所望の接着強度、含浸性能等を発現、具備するエポキシ樹脂やアクリル樹脂など、仕上げ材には、所望の耐候性、見栄えの確保が可能なウレタン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。なお、FRP2の樹脂材においても特に限定を必要としない。
接続手段3としては、例えば、頭部が輪状に形成され、連結手段5を接続するアイボルト(輪状の接続部)3aと、アイボルト3aをボルト接合する略矩形板状あるいは略棒状の固定部材(アイプレートなど、固定部)3bとで構成することが好ましい。本実施形態では、アイボルト3aが輪状の頭部(接続部)と外周に雄ネジの螺刻が施されたボルト部(軸部)とを一体に備えて形成され、固定部材3bが長さ方向略中央の所定位置にアイボルト3aのボルト部を螺合する雌ネジ孔を備えて形成されている。なお、本発明に係る接続手段3は、輪状の接続部と、接続部に繋がる固定部とを備えていればよく、本実施形態の構成に限定する必要はない。
そして、接続手段3としてアイボルト3aと固定部材3bを用いる場合には、アイボルト3aをボルト接合した固定部材3bを、長手方向を上下方向に配しつつタンク1の側面1eに固着(仮接着)し、タンク1の側面1eに繊維シートを巻き付けつつ固定部材3bの上に繊維シートを貼設して固定部材3bを挟持する。
これにより、アイボルト3aの輪状の頭部を突出させつつタンク1の側面1eに接続手段3を固定することができる。また、本実施形態では、このような接続手段3がタンク1の軸線O1中心の周方向に所定の間隔をあけて複数設けられる。
本実施形態の定着手段4は、グラウンドアンカーであり、タンク1及び基台6の外側の地盤Gに打設されている。また、複数の接続手段3のそれぞれに対応するように、複数の定着手段4がタンク1の軸線O1中心の周方向に沿って所定の間隔をあけて設けられている。
本実施形態の連結手段5は、ワイヤーなどの索状体であり、一端側を接続手段3のアイボルト3aに、他端側を定着手段4のグラウンドアンカーにそれぞれ接続して配設されている。また、索状体の張り具合を適宜調整可能な張力調整手段を備えることで、所望の適度な張り具合で索状体を設けることができる。
なお、接続手段3は、FRP2とともにタンク1の側面1eに取り付けられ、連結手段5を介して定着手段4に連結可能であれば、特にその構成を限定する必要はない。また、定着手段4は、地盤Gに直接、あるいは基台6や近隣の重量物に取り付けるなどして地盤Gに間接的に定着されていればよく、必ずしもグラウンドアンカーに限定しなくてもよい。さらに、連結手段5は、接続手段3と定着手段4を連結することが可能であれば、必ずしも索状体でなくてもよい。
次に、本実施形態のタンクの保持構造Aを設ける際には、タンク1の側面1eを適宜不陸修正、下地処理したのち、固定部材3bを仮接着して複数の接続手段3をタンク1の側面1eの所定位置に配設するとともに、下塗り、繊維シートの巻き付け、繊維シートの含浸接着を行ってFRP2を形成する。このとき、複数の繊維シートを積層してFRP2を形成してもよく、さらに各層の繊維シートの繊維方向を異なる所望の方向に向けて積層するようにしてもよい。
また、FRP2の表面に仕上げの塗装を行う。なお、必ずしも仕上げ塗装を行わなくてもよい。
ここで、タンク1の側面1eに繊維シートを接着するFRP設置領域(タンク側の繊維シート接着範囲)Mは、特に限定を必要としないが、例えば、象足座屈、提灯座屈、ダイヤモンド座屈など、地震などの外力がタンク1に作用したときに生じ得るタンク座屈の位置を考慮し、この座屈発生予測位置を補強できるように設定することが好ましい。すなわち、地震などの外力によるタンク1の損傷を抑止/防止できるようにFRP2の設置領域を設定することが好ましい。
そして、地盤Gに打設した定着手段4のグラウンドアンカーと、接続手段3のアイボルト3aの輪状頭部に連結手段5の索状体のワイヤーの一端部側と他端部側を接続し、本実施形態のタンクの保持構造Aが完成する。
上記構成からなる本実施形態のタンクの保持構造Aにおいては、FRP2によってタンク1に固定して設けられた接続手段3のアイボルト3aと、地盤Gに定着した定着手段4のグラウンドアンカーとが連結手段5の索状体で連結されているため、水害時にタンク1に波力や浮力が作用してもタンク1を保持することが可能になる。
また、このとき、接続手段3の固定部材3bを、タンク1に繊維シートを巻き回して貼設してなるFRP2によってタンク1の側面1eに固定するようにしているため、接続手段3に作用する外力をFRP2に点ではなくFRP2の大きな面積の面に伝達して支持することが可能になる。さらに、FRP2はワイヤー張力に対し、タンク1の側面1eへの付着力だけでなく、フープ筋のように周方向の力で対抗することができる。これにより、タンク1に大きな外力が作用した際に、より確実にタンク1を保持することが可能になる。
よって、本実施形態のタンクの保持構造Aによれば、津波や高潮、台風、豪雨、ダムや堤防の決壊、越流など、あらゆる水害に伴って水に浸かり得る地域(沿岸地域など)に設置されたタンク1が、水害時に水に浸った場合であっても、このタンク1が基台6から脱落し漂流することを防止できる。
さらに、本実施形態のタンクの保持構造Aにおいては、FRP2や接続手段3、定着手段4、連結手段5の設置に、溶接など火器を使用する必要がないため、漁港などの沿岸地域に多数設けられているオイルタンク(やガスタンク)などに対しても好適に採用することができる。
さらに、FRP2の設置範囲Mを、少なくともタンク1の座屈発生予想位置を含むように設定することによって、効果的にタンク1を補強することができ、地震などが発生した際にタンク1の座屈、損傷をFRP2によって防止することが可能になる。
以上、本発明に係るタンクの保持構造の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 タンク
1a 胴部
1b 蓋部
1c 底版部
1d フランジ
1e 側面
2 FRP(繊維強化プラスチック、繊維シートと樹脂材の複合材料)
3 接続手段
3a アイボルト(輪状の接続部)
3b 固定部材(固定部)
4 定着手段(グラウンドアンカー)
5 連結手段(索状体、ワイヤー)
6 基台
A タンクの保持構造
O1 軸線
M FRPの設置領域/範囲

Claims (3)

  1. 水害時に水に浸かり得る地域に設置されたタンクを水に浸かった場合に保持するための構造であって、
    繊維シートと樹脂材の複合材料であり、前記タンクの側面に前記タンクを囲繞するように設けられる繊維強化プラスチックと
    記タンクの側面に固定して配設される接続手段と、
    間接的または直接的に地盤に固定して配設される定着手段と、
    前記接続手段と前記定着手段とを連結する連結手段とを備え
    前記接続手段は、
    輪状の接続部と、
    前記接続部に繋がる略矩形板状あるいは略棒状の固定部とを備えてなり、
    前記固定部は、前記タンクを囲繞するように設けられた前記繊維強化プラスチックと前記タンクの側面の間に挟持されて前記タンクの側面に固設され、
    前記接続部は、前記繊維強化プラスチックから突出していることを特徴とするタンクの保持構造。
  2. 請求項1記載のタンクの保持構造において
    前記固定部は、略矩形板状あるいは略棒状であるとともに、長手方向を上下方向に向けて配されていることを特徴とするタンクの保持構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載のタンクの保持構造において、
    前記繊維強化プラスチックは、少なくとも前記タンクの座屈発生予想位置を含んで前記タンクの座屈耐力を向上させるようにその設置範囲が設定されていることを特徴とするタンクの保持構造。
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