半導体装置の製造においては、多数個の素子を一括して造り込まれたウェハをダイシングして個々の半導体チップに分離し、これを一個ずつリードフレーム等の所定位置にボンディングするというチップボンディングの手法が採用されている。そして、このチップボンディングにはダイボンダ(ボンディング装置)が用いられる。
ボンディング装置は、図11に示すように、供給部2の半導体チップ1を吸着するコレット3を有するボンディングアーム(図示省略)と、供給部2の半導体チップ1を観察する確認用カメラ(図示省略)と、ボンディング位置でリードフレーム4のアイランド部5を観察する確認用カメラ(図示省略)とを備える。
供給部2は半導体ウェハ6(図12参照)を備え、半導体ウェハ6が多数の半導体チップ1に分割されている。すなわち、ウェハ6は粘着シート(ダイシングシート)に貼り付けられ、このダイシングシートが環状のフレームに保持される。そして、このダイシングシート上のウェハ6に対して、円形刃(ダイシング・ソー)等を用いて、個片化してチップ1を形成する。また、コレット3を保持しているボンディングアームは搬送機構を介して、ピックアップ位置とボンディング位置との間の移動が可能となっている。
また、このコレット3は、その下端面に開口した吸着孔を介してチップ1が真空吸引され、このコレット3の下端面にチップ1が吸着する。なお、この真空吸引(真空引き)が解除されれば、コレット3からチップ1が外れる。
次にこのダイボンダを使用したダイボンディング方法を説明する。まず、供給部2の上方に配置される確認用カメラにてピックアップすべきチップ1を観察して、コレット3をこのピックアップすべきチップ1の上方に位置させた後、矢印Bのようにコレット3を下降させてこのチップ1をピックアップする。その後、矢印Aのようにコレット3を上昇させる。
次に、ボンディング位置の上方に配置された確認用カメラにて、ボンディングすべきリードフレーム4のアイランド部5を観察して、コレット3を矢印E方向へ移動させて、このアイランド部5の上方に位置させた後、コレット3を矢印Dのように下降移動させて、このアイランド部5にチップ1を供給する。また、アイランド部5にチップを供給した後は、コレット3を矢印Cのように上昇させた後、矢印Fのように、ピックアップ位置の上方の待機位置に戻す。
コレット3は、搬送機構としての移動機構(図示省略)にて、ピックアップポジションP上での矢印A方向の上昇および矢印B方向の下降と、ボンディングポジションQ上での矢印C方向の上昇および矢印D方向の下降と、ピックアップポジションPとボンディングポジションQとの間の矢印E、F方向の往復動とが可能とされる。移動機構は図示省略の制御手段にて前記矢印A、B、C、D、E、Fの移動が制御される。なお、移動機構としては、シリンダ機構、ボールねじ機構、モーターリニア機構等の種々の機構にて構成することができ,XYZ軸ステージ(ステージ装置)を使用することができる。
ところで、ピックアップするウェハ上のダイ(チップ)には、電気的特性により複数のグレードがある。このような複数のグレードを有するダイを基板に実装する場合、グレード毎にダイボンダを用いることになる。このため、作業時間が大となって、生産性に劣るものであった。
そこで、従来には、ウェハの有する電気的特性の異なるダイを複数のグレード毎に分類した分類ダイの分類マップを作成し、前記ウェハからダイをピックアップし、ボンディングヘッドで基板又はダイ上にボンディングし、搬送レーンによって前記分類ダイに対応した分類基板を前記分類基板の単位で搬送し、単一の前記搬送レーンと単一の前記ボンディングヘッドを有するダイボンダが提案されている(特許文献1)。
すなわち、複数の基板を搬送する機能を備えた搬送ユニットが2つ装置内に設置され、それぞれの搬法ユニット上の固定位置に装備された加熱ステージ上に、基板搬送を行い、ウェハから第1グレード(最上グレード)チップをピックアップし、1つの搬送ユニット(第1レーン)上へ供給された基板に専用のボンディングヘッドでボンディングを行う。同じウェハ上にある第1グレード以外のチップは、もう一つの搬送ユニット(第2レーン)上に供給された複数枚の基板に同じく専用ボンディングヘッドにより、グレードごとに基板を交換しながらボンディングを行う。
前記特許文献1では、ボンディング要素(ヘッド・アーム・認識機構・搬送機構)を2つずつ装備する必要がある。このため、コスト高となるとともに、2つのボンディング要素を調整統一する必要があり、精度悪化するおそれがある。また、コストに対して生産が低いものとなる。さらに、ウェハ上に最上グレードのチップだけの場合、他のグレードのチップの基板搬送でロスが生じる。
本発明は、上記課題に鑑みて、装置全体のシンプル化を図ることができ、しかも、調整の複雑化を回避でき、ウェハ上のグレード毎のチップ残数、基板のボンディング残数情報を活用したボンディング作業を行うことができ生産性に優れる搬送装置、搬送方法、ダイボンダ、およびボンディング方法を提供する。
本発明の搬送装置は、グレードが相違する複数種のワークをグレード毎に被供給部材の被供給部位に供給するために、各被供給部材を供給ポジションに順次搬送する搬送装置であって、搬送レールに沿って往復動する前記グレードに対応する数の複数個のシャトルと、各シャトルを昇降させる昇降機構と、各被供給部材をシャトルに搬送レールに沿って搬送する搬送機構とを備え、前記シャトルは被供給部材を吸着する吸着機構を有し、被供給部材を上流側からシャトルに供給する際には、供給されるシャトルよりも上流側のシャトル乃至被供給部材が下降した状態となって、供給の妨げが防止され、被供給部材を下流側の装置外へ搬出する際には、搬出する被供給部材よりも下流側のシャトル乃至被供給部材が下降した状態となって、搬出の妨げが防止されるものである。
本発明の搬送装置によれば、例えば、最上のグレードのワークが供給される被供給部材が供給ポジションに搬送されてきた場合、この被供給部材の被供給部位に最上のグレードワークが順次供給される。そして、この被供給部材の全被供給部位へのワークの搭載が完了すれば、ワークの搭載が完了した被供給部材が下流側へ搬出され、空となった供給ポジションに、最上グレード(以下第1グレードと呼ぶ)のワークが供給される新たな被供給部材が供給される。この際、供給ポジションよりも上流側のシャトル乃至被供給部材が下降した状態となって、この新たな被供給部材の供給ポジションへの搬送が妨げられない。
そして、供給ポジションへ搬送されてきた新たな被供給部材の被供給部位に対して、第1グレードのワークが順次供給される。このため、被供給部材の全被供給部位へのワークの搭載が完了すれば、この被供給部材が下流側へ搬出されるが、被供給部材への全ワークの搭載前に、ワーク供給源(ワーク集合体)における第1グレードのワークが無くなり、他のグレード(第2グレード、及び第3グレード)のワークがこのワーク集合体に残っている場合、第1グレードのワーク用の被供給部材が一端下流側に搬送され、次のグレード(例えば、第2グレード)用の被供給部材が供給ポジションへ搬送される。その後は、この第2グレード用の被供給部材にワーク集合体における第2グレードのワークが供給される。
そして、その第2グレード用の被供給部材に第2グレードのワークの搭載が完了すれば、この被供給部材は、下流へ搬出される。この際、供給ポジションよりも下流側に配置されているシャトル乃至被供給部材が下降した状態となって、第2グレード用の被供給部材の下流側への搬出の妨げにならない。また、第2グレードの全ワーク搭載の完了前に、ワーク供給源(ワーク集合体)における第2グレードのワークが無くなり、第3グレードのワークがワーク集合体に残っている場合、第2グレード用の被供給部材も供給ポジションよりも下流側へ搬送され、第3グレード用の被供給部材が供給ポジションに搬送される。
そして、この第3グレード用の被供給部材に第3グレードにワークが順次供給され、その第3グレード用の被供給部材に第3グレードのワークの搭載が完了すれば、この被供給部材は、下流へ搬出される。この際、供給ポジションよりも下流側に配置されているシャトル乃至被供給部材が下降した状態となって、第3グレード用の被供給部材の下流側への搬出の妨げにならない。また、第3グレードのワークの搭載が完了する前に、ワーク供給源(ワーク集合体)における第3グレードのワークが無くなった場合、ワーク集合体のワークが無くなっており、新たなワーク集合体を補充することになる。
このため、第1グレード用の被供給部材を供給ポジションに戻し、この第1グレード用の被供給部材に第1グレードのワークを供給する。その後は、ワークの搭載が完了すれば、この被供給部材は、下流へ搬出される。以下同様に、第2グレードおよび第3グレードのワークの搭載が第2グレード用及び第3グレード用の被供給部材が順次供給され、順次、下流側へ搬出することができる。
このため、本発明では、ワーク供給源(ワーク集合体)におけるグレード毎のワークの残数、被供給部材の被供給部位残数情報を活用できる。ワークのグレードが1種類であっても、複数種であっても対応できる。また、搬送機構としてシングルレーンとでき、シャトルが複数個となる。
搬送レールは、相対向する一対のガイドレールを備え、各ガイドレールには、シャトルが下降した際に被供給部材を受ける部材受けを有するものであってもよい。このように、部材受けを有することによって、被供給部材を安定して搬送レール上に配置できる。
一対のガイドレールは、ガイドレール間隔の拡縮が可能であり、間隔拡大状態でガイドレール間の被供給部材乃至シャトルの昇降を許容し、間隔縮小状態で部材受けによる被供給部材の受けが可能であるのが好ましい。このように、ガイドレール間隔の拡縮が可能であれば、このガイドレール間隔を拡大すれば、シャトル乃至被供給部材をガイドレールに邪魔されることなく昇降させることができる。しかも、ガイドレール間隔を縮小させれば、被供給部材のガイドレールでの受けが可能となる。
搬送機構は、被供給部材を上流側からシャトルに供給する供給搬送と、ワークの搭載が完了した被供給部材を下流側へ搬送する搬出搬送とを行うものが好ましい。
前記シャトルは、被供給部材を加熱する加熱機構を有するものでであってもよい。このように加熱機構を有するものでは、基板を加熱することができ、ワークが被供給部材に背接着剤を介して接着する場合、迅速にかつ安定して接着することができる。
本発明のダイボンダは、前記ワークがウェハのチップであり、被供給部材がその被供給部位であるアイランド部となる基板であり、前記搬送装置を用いて、供給ポジションであるボンディングポジションに搬送されてきた基板のアイランド部に順次チップをボンディングするものである。
本発明のダイボンダによれば、前記搬送装置を用いて、ボンディングポジションに基板が搬送される。この場合、ワークとしてのチップに複数種のグレードを有しても、各グレードのチップをそのグレードのチップがボンディングされるべき基板に、順次チップをボンディングしていくことができる。
本発明の搬送方法は、グレードが相違する複数種のワークをグレード毎に被供給部材の被供給部位に供給するために、各被供給部材を供給ポジションに順次搬送する搬送方法であって、前記グレードに対応する数の複数個のシャトルに、被供給部材を上流側から供給し、供給ポジションに配設したシャトル上の被供給部材に対してその被供給部材に搭載すべきグレードのチップを供給し、この被供給部材上に全てワークの搭載が完了した後、搭載完了した被供給部材を下流側へ搬送して装置外へ搬出し、この供給ポジションよりも上流側のシャトル乃至シャトルに保持されている被供給部材が下降する退避状態として、装置外への被供給部材の搬出によって、空となったシャトルに新たな被供給部材を供給するものである。
本発明の搬送方法によれば、被供給部材に供給すべきグレードのワークを被供給部材に供給でき、被供給部材上に全てワークの搭載が完了した後は、搭載が完了した被供給部材を下流側の装置外へ搬出することができる。この際、供給ポジションよりも下流側に他のクレード用の被供給部材乃至シャトルは、下降する退避状態となっており、搭載が完了した被供給部材を下流側の装置外へ安定して搬出することができる。また、搬出後には、供給ポジションよりも上流側に他のクレード用の被供給部材乃至シャトルは、下降する退避状態となっており、空になったシャトルに新たな被供給部材を供給することができる。
本発明のボンディング方法は、前記ワークがウェハのチップであり、被供給部材がその被供給部位であるアイランド部となる基板であり、前記搬送方法を用いて、供給ポジションであるボンディングポジションに搬送されてきた基板のアイランド部に順次チップをボンディングするものである。
本発明のボンディング方法によれば、搬送方法を用いて、ボンディングポジションに基板が搬送される。この場合、ワークとしてのチップに複数種のグレードを有しても、各グレードのチップをそのグレードのチップがボンディングされるべき基板に、順次チップをボンディングしていくことができる。
本発明は、ワーク供給源(ワーク集合体)におけるグレード毎のワークの残数、被供給部材の被供給部位残数情報を活用でき、搬送ロスの軽減を図ることが可能となる。ワークのグレードが1種類であっても、複数種であっても対応でき、生産効率の向上を図ることができる。また、搬送機構としてシンプルレーンとでき、シャトルが複数個となる。このため、シングルレーンとマルチシャトル方式となって、搬送機構をシンプルに構成でき、装置全体としてシンプル化を達成できる。
以下本発明の実施の形態を図1~図10に基づいて説明する。
図1は本発明に係る搬送装置の簡略ブロック図を示し、この搬送装置は、グレードが相違する複数種のワークW(図9参照)をグレード毎に被供給部材S(図10参照)の被供給部位Sa(図10参照)に供給するために、各被供給部材Sを供給ポジションQ(図10参照)に順次搬送するものである。ここで、ワークWとしては、図9に示すように、ウェハ(ワーク集合体)26から切り出されるチップ21であり、このウェハ26のチップ21には複数種のグレードを有する。この実施形態では、3種類のグレードを有し、この3種類のグレードを、第1グレードと第2グレードと第3グレードと呼ぶ。また、1枚のウェハにおいては、第1グレードが多く、第2グレード及び第3グレードが少ない。この場合、第2グレードが第3グレードよりも多くても、第3グレードが第2グレードよりも多くても、第2グレードと第3グレードとが同数であってもよい。
被供給部材Sとは、リードフレームなどの基板22であり、被供給部位Saとは、基板22上のアイラド部22aであり、各アイラド部22aにチップ21がボンディングされる。この際、図10に示すようなボンディング装置が用いられる。このようなボンディング装置は、ウェハ26から切り出されるチップ(半導体チップ)21をピックアップポジションPにてコレット(吸着コレット)23でピックアップして、リードフレームなどの基板22のボンディングポジションQに移送(搭載)するものである。ウェハ26は、金属製のリング(ウェハリング)に張設されたウェハシート(粘着シート25)上に粘着されており、ダイシング工程によって、多数のチップ21に分断(分割)される。
コレット23は、図10に示すように、ピックアップポジションP上での矢印A方向の上昇および矢印B方向の下降と、ボンディングポジションQ上での矢印C方向の上昇および矢印D方向の下降と、ピックアップポジションPとボンディングポジションQとの間の矢印E、F方向の往復動とが可能とされる。コレット23は、図示省略のボンディングヘッドに付設され、このボンディングヘッドはボンディングアーム(図示省略)に付設される。そこで、このボンディングアームが図示省略の制御手段にて制御されて、コレット23が前記矢印A、B、C、D、E、Fの移動が制御される。制御手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心としてROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等がバスを介して相互に接続されたマイクロコンピューターである。なお、ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。
この搬送装置は、図2に示すように、基板22を搬送するための搬送レール30と、基板を保持するためのシャトル31とを備える。搬送レール30は、一対の平行に配設されるガイドレール30a、30aを有する。
そして、図1に示すように、ガイドレール30a、30aのガイドレール間隔の拡縮を行うガイドレール拡縮機構35と、シャトル31を搬送レール30に沿って搬送するシャトル搬送機構36と、シャトル31を昇降(上下動)させるシャトル昇降機構37とを備える。また、シャトル31には、加熱機構38及び吸着機構39が付設されている。
ガイドレール30a、30aは、図3と図4に示すように、帯板形状体からなり、上部各対向部には、受け片30a1、30a1が設けられ、受け片30a1、30a1にて基板22が受けられる。ガイドレール拡縮機構35は、シリンダ機構、ボールねじ機構、リニアガイド機構等の公知・公用の往復動機構を用いることができる。このガイドレール拡縮機構35にて、図3に示すように一対のガイドレール30a、30aが接近して基板22の保持が可能な状態と、図4に示すように、一対のガイドレール30a、30aが離間して、ガイドレール30a、30a間の基板22乃至シャトル31の上下動が可能な状態に変位する。
シャトル31は、図示省略の基盤上の昇降機構37を介して配置される。基盤がシャトル搬送機構36を介して、搬送レール30に沿って往復動(1軸方向の往復動)する、この場合、シャトル31を3個備え、その往復動方向に沿って所定ピッチで配設される。また、昇降機構37は、シリンダ機構、ボールねじ機構、リニアガイド機構等の公知・公用の往復動機構を用いることができる。
図3(a)では、基板22がガイドレール30a,30aの受け片30a1、30a1にて置けられた状態であって、この基板22に対向するシャトル31が下降した状態である。図3(b)では、基板22に対向するシャトル31が上昇して、基板22がこのシャトル31にて受けられて受け片30a1、30a1から離間した状態となっている。
図4(a)では、基板22がこのシャトル31にて受けた状態で、ガイドレール30a,30a間の間隔が開いた開状態となっている。図4(b)では、シャトル31が下降して、基板22がガイドレール30a,30aの受け片30a1、30a1よりの下位に位置している。なお、この図4(b)では、ガイドレール30a,30a間の間隔が閉じた閉状態となっている。
シャトル31は、その上面が平坦面とされた平板体からなり、加熱機構38は、例えば、シャトル31に内蔵される電熱線と、この電熱線を加熱するための電源等とに構成することができるが、これに限るものではなく、蒸気を用いたものであっても、誘導加熱を用いたものであってもよい。すなわち、被供給部材Sとして加熱を必要とし、かつ、その加熱方法が被供給部材SやワークWに悪影響を与えないものであればよい。また、吸着機構39は、例えば、シャトル31に配設される吸引通路と、この吸引通路に接続される真空発生器とで構成され、吸引通路は、シャトル31の上面に開口する吸着口が形成されている。なお、真空発生器としては、真空ポンプを用いるものであっても、高圧空気を開閉制御してノズルよりディフューザに放出して拡散室に負圧を発生させるエジェクタ方式のものであってもよい。
また、基板22は基板搬送機構40にて搬送レール30に沿って搬送される。基板搬送機構40は、基板22をチャックするチャック部と、このチャック部を搬送レール30に沿って往復動させる往復動機構とを有する。チャック部は、例えば、開閉可能のチャック爪等から構成でき、往復動機構としては、シリンダ機構、ボールねじ機構、リニアガイド機構等の公知・公用の往復動機構を用いることができる。
ところで、前記各機構35、36、37、38、39、40は制御手段45にて制御される。制御手段45としては、前記ボンディング装置と同様、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心としてROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等がバスを介して相互に接続されたマイクロコンピューターである。なお、ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。このため、この制御手段45でもって、ボンディング装置の制御手段を構成してもよい。
次に、前記のように構成された搬送装置を用いて、基板22のアイランド部22aにチップをボンディングする方法を説明する。まず、最下流のシャトル31(以下、シャトル31Aと呼ぶ)をボンディングポジション(供給ポジション)Q(図2等参照)に位置させる。そして、このシャトル31A上には、第1グレードのチップが搭載される基板22(22A)を基板搬送機構40にて搬送する。
この際、他のシャトル31(真ん中のシャトル31をシャトル31Bと呼び、最上流のシャトル31をシャトル31Cと呼ぶ)の上方にも基板22を搬送しておく。すなわち、真ん中のシャトル31B上には、第2グレードのチップ21が搭載される基板22(22B)を基板搬送機構40にて搬送し、最上流のシャトル31C上には、第3グレードのチップが搭載される基板22(22C)を基板搬送機構40にて搬送する。すなわち、各シャトル31A、31B、31Cと基板22A、22B、22Cが図7(a)に示す状態となっている。
この状態で、図5に示すように、第1グレードのチップ21のボンディングを開始する(ステップS1)。その後、ステップS2へ移行して、第1グレードのチップ21の搭載が完了したか否かを判断する(この場合、基板22Aへのチップの搭載が完了したか否かを判断する)。ステップS2で完了していれば、ステップS3へ移行して、第2グレードのチップ21のボンディングを開始する。この際、第1グレードのチップ21の搭載が完了した基板22を搬送レール30に沿って下流側へ搬送して装置外へ搬出する。この場合、図7(b)に示す状態として、搬出することになる。その後は、図7(c)の状態となって、次の基板22Aがパレット31A上に搬送される。この際、中間のシャトル31Bおよびこれに吸着されている基板22Bと、最上流のパレット31Cおよびこれに吸着されている基板22Cとは下降した状態となり、次の基板22Aがパレット31A上の搬送の妨げとならない。その後、図7(d)に示す状態、すなわち、図7(a)に示す状態に戻って、最下流の基板22Aへのチップ21のボンディング可能状態となる。
ステップS2で完了していなければ、ステップS4へ移行する。なお、チップ21をボンディングする場合、搬送レール30の搬送方向(長手方向)と直交する方向の一列のアイランド部22aへのボンディングが完了した後に、このボンディングしている基板22を受けているシャトル31を下流側へ所定量だけ移動させて、次の一列のアイランド部22aへのボンディングを可能とする。
ステップS4では、第1グレードのチップ21がウェハ26に残っているか否かを判断する(残があるか否かを判断する)。残があれば、ステップS2へ戻り、第1グレードのチップ21のボンディングを続行する。ステップS4で、残が無ければ、第1グレード用の基板22を搬送レールに沿って下流側へ搬送して第1グレード用の基板22を退避状態とする。(ステップS5)すなわち、図8(a)に示す状態から図8(b)に示す状態とする。その後は、ステップS3へ移行して、第2グレードのチップ21のボンディングを開始する。
第2グレードのチップ21のボンディングを開始すれば、ステップS6へ移行して、第2グレードのチップ21の搭載が完了したか否かが判断される。完了していれば、図6のステップS7へ移行する。この際、図8(c)に示す状態として、第2グレードのチップ21の搭載が完了した基板22を搬送レールに沿って下流側へ搬送して装置外へ搬出することになる。この搬出の際には、図4(b)に示す状態となり、下流側にある第1グレード用の基板22Aを下降した退避状態となり、この装置外への搬出の際に、第1グレード用の基板22Aが妨げることなく、第2グレードのチップ21の搭載が完了した基板22Bを下流側へ搬送することができる。この場合、図8(d)に示すように、次の基板22BがボンディングポジションQにいるシャトル31B上に搬送され、その後、基板22Bがシャトル31Bに吸着されて、チップ21がボンディング可能な状態とする。
ステップS6で完了していなければ、ステップS8へ移行する。なお、第2グレード用の基板22Bにチップ21をボンディングする場合も、搬送レール30の搬送方向(長手方向)と直交する方向の一列のアイランド部22a(図10参照)へのボンディングが完了した後に、このボンディングしている基板22を受けているシャトル31を下流側へ所定量だけ移動させて、次の一列のアイランド部22aへのボンディングを可能とする。
ステップS8では、第2グレードのチップ21がウェハ26に残っているか否かを判断する(残ある否かを判断する)。残があれば、ステップS6へ戻り、第2グレードのチップ21のボンディングを続行する。ステップS8で、残が無ければ、第2グレード用の基板22を搬送レール30に沿って下流側へ搬送して第1グレード用の基板22Aを図8(e)に示すように、退避状態とする。ステップS9その後は、図6に示すステップS7へ移行して、図8(f)に示す状態として、第3グレードのチップ21のボンディングを開始する。
第3のグレードのチップ21のボンディングを開始した後は、ステップS11へ移行して、第3グレードのチップ21の搭載が完了したか否かが判断される。完了していれば、ステップS12へ移行する。この際、図8(g)示すように、チップ21の搭載が完了した基板22Cを、下流側への搬送可能状態として、この基板22Cを装置外へ搬送(排出)する。この場合、第3グレードのチップ21の搭載が完了した基板22Cを搬送レール30に沿って下流側へ搬送して装置外へ搬出することになるが、この搬出の際には、下流側にある第1グレード用の基板22A及び第2のグレード用の基板22Bが下降した退避状態となっており、この装置外への搬出の際に、第1・第2グレード用の基板22A,22Bにて邪魔されない。
なお、第3のグレードのチップ21のボンディングする場合も、搬送レール30の搬送方向(長手方向)と直交する方向の一列のアイランド部22a(図10参照)へのボンディングが完了した後に、このボンディングしている基板22Cを受けているシャトル31Cを下流側へ所定量だけ移動させて、次の一列のアイランド部22aへのボンディングを可能とする。
ステップS11で搭載が完了していれば、ステップS12へ移行して、この作業を終了するか否かが判断され、終了する場合が終了し、終了しない場合は図5のステップS1に戻る。
ステップS11で搭載が完了していなければ、ステップS13へ移行して、第3グレードのチップ21がウェハ26に残っているか否かを判断する(残があるか否かを判断する)。残があれば、ステップS11へ戻り、第3グレードのチップ21のボンディングを続行する。ステップS13で、残が無ければ、ステップS14へ移行して、ウェハ26のすべてのチップ21がピックアップされたか否かが判断される。全てのチップ21がピックアップされた場合、ステップS15へ移行して、ピックアップポジションのウェハ26を交換して、図5のステップS1に移行する。
ステップS14で、全てのチップ21がピックアップされていない場合、ステップS16へ移行して、残っているチップ21をピックアップして、ボンディングすることになる。この場合、第1グレードのチップ21が残っていれば、第1グレードのチップ21をボンディングすることになり、第2グレードのチップ21が残っていれば、第2グレードのチップ21をボンディングすることになり、第3グレードのチップ21が残っていれば、第3グレードのチップ21をボンディングすることになる。全てのチップ21がピックアップされるまで、ボンディング作業を行うことになる。
このように、グレードが相違するチップ21を、この搭載すべき基板22A,22B,22Cに順次ボンディングしていくことができ、しかも、搭載が完了した基板22A,22B,を下流側の装置外へ搬出していくことができる。
本発明の搬送装置では、最上のグレードのワークWが供給される被供給部材Sが供給ポジションQに搬送されてきた場合、この被供給部材Sの被供給部位Saに最上のグレードが順次供給される。そして、この被供給部材Sの全被供給部位SaへのワークWの搭載が完了すれば、この被供給部材Sが下流側へ搬出され、ワークWの搭載が完了した被供給部材Sが下流側へ搬出され、空となった供給ポジションQに、最上グレード(第1グレード)のワークWが供給される新たな被供給部材Sが供給される。この際、供給ポジションQよりも上流側のシャトル31乃至被供給部材Sが下降した状態となって、この新たな被供給部材Sの供給ポジションQへの搬送が妨げられない。
そして、供給ポジションQへ搬送されてきた新たな被供給部材Sの被供給部位Saに対して、第1グレードのワークWが順次供給される。ところで、被供給部材Sの全被供給部位SaへのワークWの搭載が完了すれば、この被供給部材Sが下流側へ搬出されるが、全被供給部材SaへのワークWの搭載前に、ワーク供給源(ワーク集合体)における第1グレードのワークWが無くなり、他のグレード(第2グレード及び第3グレード)のワークがこのワーク集合体に残っている場合、第1グレードのワーク用の被供給部材Sが一旦下流側に搬送され、次のグレード(例えば、第2グレード)用の被供給部材Sが供給ポジションQへ搬送される。その後は、この第2グレード用の被供給部材Sにワーク集合体における第2グレードのワークWが供給される。
そして、その第2グレード用の被供給部材Sに第2グレードのワークWの搭載が完了すれば、この被供給部材Sは、下流へ搬出される。この際、供給ポジションQよりも下流側に配置されているシャトル31乃至被供給部材Sが下降した状態となって、第2グレード用の被供給部材Sの下流側への搬出の妨げにならない。また、第2グレードのワークWの搭載が完了する前に、ワーク供給源(ワーク集合体)における第2グレードのワークWが無くなり、第3グレードのワークWがワーク集合体に残っている場合、第2グレード用の被供給部材Sも供給ポジションQよりも下流側へ搬送され、第3グレード用の被供給部材Sが供給ポジションQに搬送される。
そして、この第3グレード用の被供給部材Sに第3グレードのワークWが順次供給され、その第3グレード用の被供給部材Sに第2グレードのワークWの搭載が完了すれば、この被供給部材Sは、下流へ搬出される。この際、供給ポジションよりも下流側に配置されているシャトル31乃至被供給部材Sが下降した状態となって、第3グレード用の被供給部材Sの下流側への搬出の妨げにならない。また、第3グレードのワークWの搭載が完了する前に、ワーク供給源(ワーク集合体)における第3グレードのワークWが無くなった場合、この場合、ワーク集合体のワークWが無くなっており、新たなワーク集合体を補充することになる。
このため、第1グレード用の被供給部材Sを供給ポジションに戻し、この第1グレード用の被供給部材Sに第1グレードのワークWを供給する。その後は、ワークWの搭載が完了すれば、この被供給部材Sは、下流へ搬出される。以下同様に、第2グレードおよび第3グレードのワークの搭載が第2グレード用及び第3グレード用の被供給部材Sが順次供給され、順次、下流側へ搬出することができる。
従って、本搬送装置では、ワーク供給源(ワーク集合体)におけるグレード毎のワークWの残数、被供給部材Sの被供給部位残数情報を活用できることになり、搬送ロス軽減を図ることが可能となる。しかも、ワークWのグレードが1種類であっても、複数種であっても対応でき、生産効率の向上を図ることができる。また、搬送機構としてシンプルレーンとでき、シャトルが複数個となる。このため、シングルレーンとマルチシャトル方式となって、搬送機構をシンプルに構成でき、装置全体としてシンプル化を達成できる。
搬送レール30としては、相対向する一対のガイドレール30a、30aを備え、各ガイドレール30a、30aには、シャトル31が下降した際に被供給部材Sを受ける部材受け30a1,30a1を有するものであってもよい。このように、部材受け30a1を有することによって、被供給部材Sを安定して搬送レール30上に配置できる。
一対のガイドレール30a、30aは、ガイドレール間隔の拡縮が可能であるのが好ましい。このように、ガイドレール間隔の拡縮が可能であれば、このガイドレール間隔を拡大すれば、シャトル乃至被供給部材をガイドレール30a、30aに邪魔されることなく昇降させることができる。
この実施形態では、搬送機構36は、被供給部材Sを上流側からシャトル30に供給する供給搬送と、ワークWの搭載が完了した被供給部材Sを下流側へ搬送する搬出搬送とを行うものである。
シャトル30は、被供給部材Sを加熱する加熱機構38を有するものであるので、基板を加熱することができ、ワークWが被供給部材Sに接着剤を介して接着する場合、迅速にかつ安定して接着することができる。
本発明のダイボンダによれば、前記搬送装置を用いて、ボンディングポジションQに基板を搬送される。この場合、ワークWとしてのチップ21に複数種のグレードを有しても、各グレードのチップ21をそのグレードのチップ21がボンディングされるべき基板22に、順次ボンディングしていくことができる。
本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、シャトルとして、3個に限るものではなく、2個であっても、3個を超えるものであってもよい。搬送する被供給部材Sとして、前記実施形態では、ウェハ26から切り出されたチップ21をボンディングする基板22であったが、このような基板22ではなく、クレジットカード、キャッシュカード、ICカード等のカードや、板金等の平板体であってもよい。このため、被供給部材Sに供給するワークWとして、チップ21に限るものではなく、被供給部材Sに応じた部品となる。また、被供給部材Sとして、基板22でなく加熱を必要としないものであれば、加熱機構を省略することができる。なお、シャトル搬送機構36として、3つのシャトル31を一体的に搬送するものであったが、それぞれ独立して搬送できるものであってもよい。