[眼科装置の構成]
図1は、本発明の眼科装置1の概略図である。図1に示すように、眼科装置1は、被検眼Eの眼特性として眼屈折力等を測定可能なオートレフケラトメータ等であり、ベース2と、顔受け部3と、架台4と、測定ヘッド5と、を備える。
なお、図中のX軸方向は被検者を基準とした左右方向(被検眼Eの眼幅方向)であり、Y軸方向は上下方向であり、Z軸方向は被検者(被検眼E)に近づく前方向と被検者から遠ざかる後方向とに平行な前後方向(作動距離方向ともいう)である。
顔受け部3は、測定ヘッド5のZ軸方向の前方向側の位置において、ベース2と一体に設けられている。この顔受け部3は、Y軸方向に位置調整可能な顎受け3a及び額当て3bを有しており、被検者の顔を支持する。
架台4は、ベース2上に設けられており、ベース2に対してXZ軸の各方向(前後左右方向)に移動可能である。この架台4上には、測定ヘッド5及び操作レバー6が設けられている。
操作レバー6は、架台4上で且つ測定ヘッド5のZ軸方向の後方向側(検者側)の位置に設けられており、測定ヘッド5をXYZ軸の各方向に移動させる際に操作される操作部材である。例えば、操作レバー6がZ軸方向(前後方向)又はX軸方向(左右方向)に傾倒操作されると、不図示の電動駆動機構により測定ヘッド5がZ軸方向又はX軸方向に移動される。また、操作レバー6がその長手軸周りに回転操作されると、その回転操作方向に応じて、上述の電動駆動機構により測定ヘッド5がY軸方向(上下方向)に移動される。なお、操作レバー6の頂部には、眼科装置1による被検眼Eの眼屈折力等の測定を開始させるための測定ボタンが設けられている。
測定ヘッド5は、被検眼Eの眼特性(眼屈折力及び角膜形状)の測定機能を有している。この測定ヘッド5のZ軸方向後方側の面にはモニタ7が設けられている。また、測定ヘッド5内には、眼屈折力等の測定に対応した光学系8(撮像素子、各種光源、及び各種駆動部を含む)と、制御装置9とが設けられている。
モニタ7は、例えばタッチパネル式の液晶表示装置である。このモニタ7は、測定ヘッド5のアライメント等に利用される被検眼Eの前眼部の観察像22(図9参照)、測定ヘッド5により得られた被検眼Eの眼屈折力等の測定結果、及び測定に係る操作(設定)を行うための入力画面等を表示する。また、モニタ7は、後述の図9に示すように再測定モード時に、前眼部の観察像22、撮像画像23(リング像24)、及び測定状況等を示す操作画面25を表示する。
制御装置9は、各種の演算処理装置が用いられ、眼科装置1の各部の動作を統括制御すると共に、被検眼Eの眼屈折力等の演算を行う。なお、制御装置9には、例えば不図示の眼鏡レンズ測定装置が接続可能であり、この眼鏡レンズ測定装置から被検者が装用する眼鏡レンズの測定データ(レンズ度数等)が入力される。
[眼科装置の光学系]
図2は、眼科装置1の光学系8の構成を示すブロック図である。図2に示すように、光学系8は、観察光学系12と、Zアライメント光学系13と、XYアライメント光学系14と、視標投影光学系15と、測定用パターン投影光学系16と、受光光学系17と、を含む。
(観察光学系の構成)
観察光学系12は、被検眼Eの前眼部の観察等に用いられる光学系であり、この前眼部を撮影する。観察光学系12はZ軸方向に平行な主光軸O1を有している。この観察光学系12には、主光軸O1上に沿って被検眼E側から順に、対物レンズ12aと、ダイクロイックフィルタ12bと、ハーフミラー12cと、リレーレンズ12dと、ダイクロイックフィルタ12eと、結像レンズ12fと、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型又はCCD(Charge Coupled Device)型の撮像素子12gと、が配置されている。また、観察光学系12は、不図示の照明光源を有している。なお、観察光学系12を構成する各部については公知技術であるので、その詳細についての説明は省略する。
観察光学系12の照明光源から出射された照明光は、被検眼Eの前眼部を照明し、前眼部で反射される。この反射光は、観察光学系12に入射し、この観察光学系12の各部を経て撮像素子12gの撮像面に入射する。これにより、反射光が撮像素子12gにより撮像され、撮像素子12gにより被検眼Eの前眼部の観察像22の撮像画像データが取得される。撮像素子12gは、観察像22の撮像画像データを制御装置9へ出力する。
対物レンズ12aの周囲には、被検眼Eの角膜Ecの角膜形状の測定に用いられるケラト板12h及びケラトリング光源12iが設けられている。ケラト板12h及びケラトリング光源12iは、1重又は多重のリング状光束を前眼部の角膜Ecに投影する。角膜Ecにより反射されたリング状光束は、対物レンズ12a及びダイクロイックフィルタ12b等を介して撮像素子12gの撮像面に入射する。これにより、ケラトリング像が撮像素子12gにより撮像される。撮像素子12gは、ケラトリング像の撮像画像データを制御装置9へ出力する。
(Zアライメント光学系)
Zアライメント光学系13は、被検眼Eに対する測定ヘッド5のZ軸方向のアライメント状態の検出に用いられる。Zアライメント光学系13は、ケラト板12hの後方(撮像素子12g側)の2箇所に設けられている。各Zアライメント光学系13は、アライメント光源13aと、投影レンズ13bとを有する。各アライメント光源13aはそれぞれ投影レンズ13bに向けて光束を出射する。各アライメント光源13aから出射された一対の光束は、各投影レンズ13bにてそれぞれ平行光束に変換された後、ケラト板12hの一対の透過孔(不図示)を透過して角膜Ecに投影される。
角膜Ecにより反射された一対の光束は、対物レンズ12a及びダイクロイックフィルタ12b等を介して撮像素子12gの撮像面に入射する。これにより、一対の輝点像が撮像素子12gにより撮像され、撮像素子12gが一対の輝点像の撮像画像データを制御装置9へ出力する。これにより、モニタ7に前述の観察像22及びケラトリング像と共に一対の輝点像を表示させることができる。そして、制御装置9が自動で又は検者が手動で不図示の電動駆動機構を駆動して、例えば既述のケラトリング像と一対の輝点像とが所定の位置関係となるように測定ヘッド5をZ軸方向に移動させることで、Z軸方向のアライメント(Zアライメント)が実行される。なお、Zアライメントは公知の他の方法を用いてもよい。
(XYアライメント光学系)
XYアライメント光学系14は、被検眼Eに対する測定ヘッド5のX軸方向及びY軸方向のアライメント状態の検出に用いられる。XYアライメント光学系14は、ハーフミラー12cを介して観察光学系12から分岐した光路を形成する。このXYアライメント光学系14は、アライメント光源14aと、投影レンズ14bとを有する。アライメント光源14aは、投影レンズ14bに向けて光束を出射する。アライメント光源14aから出射された光束は、投影レンズ14bにて平行光束に変換された後、ハーフミラー12cにより反射され、ダイクロイックフィルタ12b及び対物レンズ12aを経て角膜Ecに投影される。
角膜Ecにより反射された光束は、対物レンズ12a及びダイクロイックフィルタ12b等を介して撮像素子12gの撮像面に入射する。これにより、輝点像が撮像素子12gにより撮像され、撮像素子12gが輝点像の撮像画像データを制御装置9へ出力する。これにより、モニタ7において前述の観察像22、ケラトリング像、及び一対の輝点像と共に、XYアライメント用の輝点像を表示させることができる。そして、制御装置9が自動で又は検者が手動で不図示の電動駆動機構を駆動して、輝点像のX軸方向及びY軸方向の位置を調整することで、X軸方向及びY軸方向のアライメント(XYアライメント)が実行される。なお、XYアライメントは公知の他の方法を用いてもよい。
(視標投影光学系の構成)
視標投影光学系15は、被検眼Eの眼屈折力の他覚測定時に被検眼Eを固視又は雲霧させるために固視標の光束を被検眼Eの眼底Efに投影すると共に、後述の再測定モードの自覚検査中には視標チャート26(図3参照)の光束を眼底Efに投影する。
視標投影光学系15は、白色光を発生するLED(light emitting diode)を用いたLED光源15aと、色補正フィルタ15bと、コリメータレンズ15cと、チャート板15dと、ハーフミラー15e、リレーレンズ15fと、反射ミラー15gと、合焦レンズ15h(移動レンズともいう)と、リレーレンズ15iと、フィールドレンズ15jと、バリアブルクロスシリンダーレンズ(Variable cross cylinder lens)であるVCCレンズ15kと、反射ミラー15mと、ダイクロイックフィルタ15n,12bと、対物レンズ12aと、を有する。なお、視標投影光学系15を構成する各部については公知技術であるので、その詳細についての説明は省略する。
また、視標投影光学系15は、被検眼Eのグレアテストに用いられるグレア光源15pを有している。グレア光源15pは、グレアテスト時にグレア光をハーフミラー15eに出射する。これにより、グレア光がハーフミラー15eから対物レンズ12aまでの各部を経て被検眼Eに照射される。
チャート板15dは、複数の視標が形成された円板である。チャート板15dは、LED光源15aから出射される白色光の光路15qに対して平行な回転軸を有する。このチャート板15dは、その回転軸に接続されたチャート板駆動機構20(モータ等により構成)により回転駆動されることで、複数の視標のいずれか一つを光路15q中に選択的に挿入する。これにより、光路15q中に挿入された視標が、LED光源15aから色補正フィルタ15b及びコリメータレンズ15cを介して入射される白色光によって照明される。その結果、チャート板15dから視標の光束がハーフミラー15eに向けて出射され、さらにこの視標の光束がハーフミラー15eから対物レンズ12aまでの各部を経て眼底Efに投影される。
なお、チャート板15dは、LED光源15a、色補正フィルタ15b、及びコリメータレンズ15cと共に本発明の第1光束出射部を構成する。なお、チャート板15d等の代わりに、本発明の第1光束出射部として、任意の視標の光束を出射可能な液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)、マイクロディスプレイ(マイクロディスプレイプロジェクタともいう)、透過型LCD、及び画像生成用のマイクロスキャナなどを用いてもよい。また、これらLCD等は光軸O2上に配置してもよい。
チャート板15dには、複数種類の視標として、固視標と、視標チャート26(図3参照)とが形成されている。固視標は、被検眼Eを固視又は雲霧させるための視標であり、例えば風景チャートなどが用いられる。
図3は、チャート板15dに形成されている複数種類の視標チャート26の一例を説明するための説明図である。図3に示すように、各視標チャート26は、被検眼Eの視力値の自覚検査に用いられる視標(ランドル環)であって、視力値別にチャート板15dに形成されている。各視標チャート26は、チャート板駆動機構20がチャート板15dを回転駆動することにより光路15q中に選択的に挿入される。これにより、チャート板15dから、視力値が異なる複数の視標チャート26の光束が選択的にハーフミラー15eに向けて出射され、さらにこの光束がハーフミラー15eから対物レンズ12aまでの各部を経て眼底Efに投影される。これら各視標チャート26は、後述の再測定モードの自覚検査で使用される。
なお、後述の再測定モードで使用される視標チャート26の種類は、図3に示したランドルト環に限定されるものではなく、被検眼Eの視力値の自覚検査に用いられる公知の各種の視標チャート26(E文字視標等)、或いは風景チャート等の任意の視標を使用可能である。
図2に戻って、視標投影光学系15は、既述の主光軸O1に平行な光軸O2(本発明の第1光軸に相当)を有している。この光軸O2上には、合焦レンズ15h、リレーレンズ15i、フィールドレンズ15j、及びVCCレンズ15k等が配置されている。
合焦レンズ15hは、本発明の第1レンズ及び「一方」に相当するものであり、視標投影光学系15の光軸O2に沿って進退自在に配置されている。合焦レンズ15hは、後述の連動移動機構27により光軸O2上を進退移動される。なお、本実施形態では、合焦レンズ15hのレンズ位置をディオプター(Diopter:D)換算値で表す。
図中の矢印「マイナス[D]」に示すように、合焦レンズ15hの光軸O2上のレンズ位置を視標(固視標、視標チャート26)の光束の進行方向側、すなわち被検眼E側に移動させることで、視標の光束の屈折力をマイナス側に変位させることができる。また逆に、図中の矢印「プラス[D]」に示すように、合焦レンズ15hのレンズ位置を被検眼Eから遠ざかる方向に移動させることで、視標の光束の屈折力をプラス側に変位させることができる。従って、合焦レンズ15hの進退移動により、被検眼Eに対する視標チャート26の提示距離を変更することができる。また、固視標により被検眼Eを固視又は雲霧させることができる。
VCCレンズ15kは、正及び負の一対のシリンダーレンズを有する。一対のシリンダーレンズは、光軸O2を中心として、それぞれ独立して回転可能となっている。VCCレンズ15kは、被検眼Eの屈折特性に起因する収差のうち、円柱度数(乱視度数)及び軸角度(乱視軸角度)を補正(矯正)する機能を有する。
VCCレンズ15kは、制御装置9の制御下、モータ等により構成されるVCCレンズ駆動機構19(図4参照)によって駆動される。VCCレンズ駆動機構19により一対のシリンダーレンズを互いに逆方向に回転させることで乱視度数を調整することができ、同じ方向に一体的に回転させることで乱視軸角度を調整することができる。
(測定用パターン投影光学系の構成)
測定用パターン投影光学系16は、眼底Efに対して被検眼Eの他覚的な眼屈折力の測定に用いられるリング状の測定パターン(以下、単に測定パターンという)の光束を投影する。測定用パターン投影光学系16は、レフ測定ユニット16aと、リレーレンズ16bと、瞳リング16cと、フィールドレンズ16dと、穴開きプリズム16eと、ロータリープリズム16fと、ダイクロイックフィルタ15nと、ダイクロイックフィルタ12bと、対物レンズ12aと、を有する。なお、測定用パターン投影光学系16を構成する各部については公知技術であるので、その詳細についての説明は省略する。
また、測定用パターン投影光学系16は、既述の主光軸O1及び光軸O2に平行な光軸O3(本発明の第2光軸に相当)を有している。この光軸O2上には、レフ測定ユニット16aと、リレーレンズ16bと、瞳リング16cと、フィールドレンズ16dと、穴開きプリズム16eと、が配置されている。
レフ測定ユニット16aは、本発明の第2光束出射部に相当するものであり、LED光源16hと、コリメータレンズ16iと、円錐プリズム16jと、測定パターンの形成板16kとを有する。なお、LED光源16hと瞳リング16cとは光学的に共役な位置に配置されている。また、形成板16kと眼底Efとは光学的に共役な位置に配置されている。
レフ測定ユニット16aは、測定用パターン投影光学系16の光軸O3に沿って進退自在に配置されている。レフ測定ユニット16aは、後述の連動移動機構27により光軸O3上を進退移動される。
LED光源16hから出射された光束は、コリメータレンズ16iにより平行光とされた後、円錐プリズム16j及び形成板16kを経て測定パターンの光束に変換される。これにより、測定パターンの光束がリレーレンズ16bに向けて出射される。この光束は、リレーレンズ16b、瞳リング16c、フィールドレンズ16d、穴開きプリズム16eの反射面、ロータリープリズム16fを経てダイクロイックフィルタ15n、ダイクロイックフィルタ15n、ダイクロイックフィルタ12b、及び対物レンズ12aを経て眼底Efに投影される。なお、測定パターンの光束は、被検眼Eの眼屈折力によりその形状を歪められた状態で眼底Efに投影される。
(受光光学系の構成)
受光光学系17は、測定用パターン投影光学系16により眼底Efに投影された測定パターンの光束の眼底反射光を受光(検出)する。受光光学系17は、対物レンズ12aと、ダイクロイックフィルタ12b,15nと、ロータリープリズム16fと、穴開きプリズム16eと、フィールドレンズ17aと、反射ミラー17bと、リレーレンズ17cと、合焦レンズ17d(移動レンズともいう)と、反射ミラー17eと、ダイクロイックフィルタ12eと、結像レンズ12fと、撮像素子12gと、を有する。なお、受光光学系17を構成する各部については公知技術であるので、その詳細についての説明は省略する。
また、受光光学系17は、既述の主光軸O1、光軸O2、及び光軸O3に平行な光軸O4(本発明の第3光軸に相当)を有する。この光軸O4上には、反射ミラー17bと、リレーレンズ17cと、合焦レンズ17dと、反射ミラー17eと、が配置されている。
合焦レンズ17dは、本発明の第2レンズに相当するものであり、受光光学系17の光軸O4に沿って進退自在に配置されている。合焦レンズ17dは、後述の連動移動機構27により光軸O4上を進退移動される。
眼底Efで反射された測定パターンの光束の眼底反射光は、対物レンズ12a、ダイクロイックフィルタ12b,15n、ロータリープリズム16f、穴開きプリズム16eの穴部、フィールドレンズ17aと、反射ミラー17bと、リレーレンズ17cと、合焦レンズ17d(移動レンズともいう)と、反射ミラー17e、ダイクロイックフィルタ12e、及び結像レンズ12fを経由して撮像素子12gの受光面に入射する。撮像素子12gは、眼底反射光を撮像して、この眼底反射光の撮像画像23の撮像画像データを制御装置9に出力する。
連動移動機構27は、図示は省略するが、合焦レンズ15h、レフ測定ユニット16a、及び合焦レンズ17dを一体に保持(連結)する保持部材と、この保持部材を主光軸O1(各光軸O2~O4)に対して平行方向(Z軸方向)にスライド移動自在に保持するスライド機構と、保持部材をZ軸方向に進退移動させるモータ等の駆動機構と、を備える。これにより、合焦レンズ15h、レフ測定ユニット16a、及び合焦レンズ17dは、連動移動機構27により連動して(一体に)Z軸方向に沿って移動される。なお、ここでいう連動して移動(連動移動)とは、合焦レンズ15h、レフ測定ユニット16a、及び合焦レンズ17dを、各光軸O2~O4上において被検眼Eに近づく方向又は遠ざかる方向に同一移動量で移動させることである。
[制御装置の構成]
図4は、制御装置9の機能ブロック図である。図4に示すように、制御装置9は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御装置9の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
制御装置9は、操作レバー6及びタッチパネル式のモニタ7に対する検者の入力操作に基づき、不図示の記憶部から読み出した制御プログラムを実行することで、眼科装置1の各部の動作を統括的に制御する。この制御装置9には、操作レバー6及びモニタ7の他に、既述の光学系8の撮像素子12g、ケラトリング光源12i、アライメント光源13a,14a、LED光源15a、グレア光源15p、LED光源16h、VCCレンズ駆動機構19、チャート板駆動機構20、及び連動移動機構27等が接続されている。また、制御装置9には、後述の再測定モード時に被検者により操作される操作スイッチ29が接続されている。
制御装置9は、上述の制御プログラムを実行することにより、動作制御部30と、アライメント制御部32と、測定制御部34と、眼特性演算部36として機能する。以下、本実施形態において「~部」として説明するものは「~回路」、「~装置」、又は「~機器」であってもよい。すなわち、「~部」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、及びハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで構成されていてもよい。
動作制御部30は、光源制御部40、駆動制御部42、撮像制御部44、表示制御部46、チャート板駆動制御部48、及びVCCレンズ駆動制御部50を有する。
光源制御部40は、後述の測定制御部34の制御の下、制御装置9に接続されている各光源(ケラトリング光源12i、アライメント光源13a,14a、LED光源15a、グレア光源15p、及びLED光源16h)のオンオフを制御する。
駆動制御部42は、操作レバー6に対する操作(傾倒操作及び回転操作)に応じて、不図示の電動駆動機構を駆動し、測定ヘッド5をXYZ軸の各軸方向にそれぞれ移動させる。また、駆動制御部42は、後述の測定制御部34の制御の下、連動移動機構27を駆動して、合焦レンズ15h、レフ測定ユニット16a、及び合焦レンズ17dを連動して(一体に)Z軸方向に沿って移動させる。
撮像制御部44は、後述の測定制御部34の制御の下、撮像素子12gを駆動して、既述の観察像22、Zアライメント用の一対の輝点像、XYアライメント用の輝点像、及び撮像画像23の各撮像画像データの撮像をそれぞれ実行させる。
表示制御部46は、モニタ7による画像表示を制御する。表示制御部46は、後述の再測定モード時において観察像22、撮像画像23(リング像24)、及び測定状況等を示す操作画面25(図9参照)をモニタ7に表示させる。
チャート板駆動制御部48は、後述の測定制御部34の制御の下、チャート板駆動機構20を駆動してチャート板15dを回転させることにより、チャート板15dに形成されている複数の視標(固視標及び視標チャート26等)を選択的に光路15q中に挿入する。これにより、視標投影光学系15から眼底Efに対して視標の種類別に視標の光束を投影することができる。
VCCレンズ駆動制御部50は、公知の他覚式測定等で得られた被検眼Eの乱視状態(乱視度及び乱視軸)の測定結果がタッチパネル式のモニタ7に入力された場合に、この測定結果に基づき、VCCレンズ駆動機構19を駆動して一対のシリンダーレンズを回転させることで被検眼Eの乱視状態を矯正する。
アライメント制御部32は、被検眼Eの眼特性の他覚測定を開始する前に、動作制御部30の各部を制御して、被検眼Eに対する測定ヘッド5のアライメント(オートアライメント又は手動アライメント)を実行する。なお、このアライメントは、被検眼Eに固視標(風景チャート)を固視させている状態で実行されるが、具体的な方法については公知技術であるのでここでは説明を省略する。
測定制御部34は、動作制御部30の各部を制御して、被検眼Eの眼特性(ここでは眼屈折力)の他覚測定及び自覚検査を実行する。なお、角膜形状の測定については従来と基本的に同じであるので具体的な説明は省略する。以下、被検眼Eの眼特性とはリング像24を解析して得られる特性(本実施形態では眼屈折力)を指すものとする。
測定制御部34は、被検眼Eの眼特性を測定する測定モードとして、他覚測定モードと、自覚検査モードと、再測定モードと、を有する。これら測定モードの切替操作は、タッチパネル式のモニタ7に対するモード切替操作の入力に応じて実行される。
測定制御部34は、他覚測定モードが選択された場合、動作制御部30の各部を制御して、被検眼Eの眼屈折力の他覚測定を実行する。この場合には、既述のアライメントが実行された後、測定制御部34が駆動制御部42を介して連動移動機構27を駆動して合焦レンズ15hを+1.5D分だけ移動させて被検眼Eを雲霧視状態とする。次いで、測定制御部34は、光源制御部40を制御してLED光源16hを点灯させて、測定用パターン投影光学系16から眼底Efに対して測定パターンの光束を投影させる。そして、測定制御部34は、撮像制御部44を制御して、眼底Efにて反射された測定パターンの眼底反射光の撮像を撮像素子12gに実行させ、撮像素子12gから後述の眼特性演算部36へ撮像画像23の撮像画像データの出力を実行させる。
測定制御部34は、自覚検査モードが選択された場合、動作制御部30の各部を制御して、被検眼Eの眼特性の自覚検査(遠用検査、近用検査、コントラスト検査、及びグレア検査など)を実行する。この場合、測定制御部34は、光源制御部40を制御してLED光源15aを点灯させると共に、チャート板駆動機構20を駆動してチャート板15dの自覚検査用の視標(視標チャート26等)を光路15q中に挿入させる。これにより、視標投影光学系15から眼底Efに対して自覚検査用の視標の光束が投影されるので、被検者は自覚検査用の視標に対する応答を行う。また、測定制御部34は、グレア検査を行う場合には、光源制御部40を制御してグレア光源15pを点灯させる。
測定制御部34は、再測定モードが選択された場合、動作制御部30の各部を制御して、被検眼Eの眼屈折力の他覚測定の再測定を実行する。この再測定モードは、上述の他覚測定モードで被検眼Eの眼屈折力の他覚測定が不可である場合に実行される。この他覚測定が不可である場合とは、被検眼Eの疾患等が原因でアライメント完了後であっても測定用パターン投影光学系16から出射される測定パターンの光束のピントが眼底Efからずれていたり、或いは撮像画像23からリング像24が検出不能であったりする場合である。測定制御部34は、再測定モードが選択された場合、詳しくは後述するが、被検眼Eの他覚検査に被検眼Eの自覚検査を組み合わせて実行する。
眼特性演算部36は、撮像素子12gから入力された撮像画像23の撮像画像データを解析して、撮像画像23からのリング像24の検出と、リング像24の形状解析(楕円近似等)とを行い、このリング像24の形状解析結果に基づき被検眼Eの眼屈折力を演算する。なお、眼屈折力の具体的な演算方法は公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
(再測定モード)
次に、再測定モードについて説明する。測定制御部34は、再測定モードに切り替えられた場合、最初に、被検眼Eの自覚検査を実行して、視力値の異なる複数種類の視標チャート26ごとに被検眼Eが視標チャート26を認識可能な合焦レンズ15hのレンズ位置(後述の停止位置)を取得する。次いで、測定制御部34は、視標チャート26ごとの合焦レンズ15hのレンズ位置(停止位置)に基づき、視標チャート26の光束を眼底Efに合焦させる合焦レンズ15hの合焦位置(推定値)を決定する。そして、測定制御部34は、合焦レンズ15hを合焦位置に位置決めした後、被検眼Eの眼特性の他覚測定を再実行する。
この測定制御部34は、再測定モード時には、自覚式検査制御部52、合焦位置決定部54、位置決め制御部56、及び他覚式測定制御部58として機能する。
自覚式検査制御部52は、測定制御部34が再測定モードに切り替えられた場合、上述の合焦位置を決定するための被検眼Eの自覚検査を実行する。この自覚検査では、被検眼Eに対する視標チャート26の提示と、合焦レンズ15hを光軸O2に沿って移動させる移動処理と、被検眼Eが視標チャート26を自覚的に認識した位置での移動処理の停止操作の受付及び移動処理の停止制御と、を視力値の異なる複数の視標チャート26ごとに繰り返し実行する。このため、自覚式検査制御部52は、出射制御部52a、移動制御部52b、停止操作受付部52c、停止制御部52d、及び繰り返し制御部52eとして機能する。
出射制御部52aは、測定制御部34が再測定モードに切り替えられると、光源制御部40を制御してLED光源15aを点灯させると共に、チャート板駆動制御部48を介してチャート板駆動機構20を駆動してチャート板15dの中で最も視力値の低い視標チャート26を光路15q中に挿入させる。これにより、視力値「0.1」の視標チャート26の光束が眼底Efに投影される。
また、出射制御部52aは、モニタ7に対する視標切替操作の入力に応じて、チャート板駆動制御部48を介してチャート板駆動機構20を駆動して、チャート板15dの中で2番目に視力値が低い視標チャート26を光路15q中に挿入させる。これにより、視力値「0.2」の視標チャート26の光束が眼底Efに投影される。
以下、出射制御部52aは、モニタ7に対して視標切替操作が入力されるごとに、チャート板駆動制御部48を介してチャート板駆動機構20を駆動することで、残りの視標チャート26を視力値の低い方から順番に光路15qに挿入させる。これにより、視標投影光学系15から眼底Efに対して視標チャート26の光束が視力値の低い方から順番に投影される。なお、本実施形態の自覚検査では、視力値「0.1」、「0.2」、「0.3」、「0.5」、「0.8」、「1.0」の計6種類の視標チャート26を用いるが、視標チャート26の種類は適宜増減してもよい。
移動制御部52bは、被検眼Eに視力値「0.1」の視標チャート26が提示された場合に、駆動制御部42を介して連動移動機構27を駆動して、合焦レンズ15hを、被検眼Eを雲霧させるレンズ位置である初期位置(被検眼Eが近視眼である場合には例えば+1.5D、後述の図5参照)に移動させる。次いで、移動制御部52bは、駆動制御部42を介して連動移動機構27を駆動して、合焦レンズ15hを初期位置から光軸O2に沿ってマイナス[D]方向に移動させる1回目の移動処理を行う。これにより、被検眼Eが視標チャート26を認識することができる。この場合、被検眼Eの視力値が低いほど合焦レンズ15hの移動量は大きくなる。
そして、移動制御部52bは、合焦レンズ15hの1回目の移動処理を、後述の停止制御部52dにより停止されるまで継続する。なお、合焦レンズ15hの移動に連動して、連動移動機構27によりレフ測定ユニット16a及び合焦レンズ17dも一体にマイナス[D]方向に移動される。
また、移動制御部52bは、既述の視標切替操作に応じて後述の繰り返し制御部52eから繰り返し制御指令が入力されるごとに、駆動制御部42を介して連動移動機構27を駆動して、合焦レンズ15hを前回の停止位置から光軸O2に沿ってマイナス[D]方向に移動させる2回目以降の移動処理を実行する。なお、移動制御部52bは、2回目以降の移動処理についても、後述の停止制御部52dにより停止されるまで継続する。
停止操作受付部52cは、移動制御部52bによる合焦レンズ15hの移動処理の実行中に、タッチパネル式のモニタ7或いは操作スイッチ29に入力された移動処理の停止操作を受け付ける。この停止操作は、被検眼Eが視標チャート26を自覚的に認識した位置で移動処理を停止させるための操作である。例えば、合焦レンズ15hの移動処理中に被検者が視標チャート26を認識した場合に、被検者からの合図を受けて検者がモニタ7に対して停止操作を入力したり、或いは被検者が操作スイッチ29を直接操作して停止操作を入力したりすることで、停止操作受付部52cが移動処理の停止操作を受け付ける。
停止制御部52dは、停止操作受付部52cが停止操作を受け付けた場合に、駆動制御部42を制御して連動移動機構27を駆動停止させることで、合焦レンズ15hの移動処理を停止させる。また、停止制御部52dは、光軸O2上で停止した合焦レンズ15hのレンズ位置である停止位置を検出し、この停止位置に関する情報を後述の合焦位置決定部54へ出力する。なお、合焦レンズ15hの停止位置は、各種位置検出センサを用いて検出したり、連動移動機構27のモータの回転数のカウント値から検出したりするなど公知の各種方法で検出可能である。
なお、高い視力値(例えば「1.0」)の視標チャート26の光束を眼底Efに投影している場合、被検眼Eの状態によっては、合焦レンズ15hの移動処理を継続しても被検眼Eにより視標チャート26が認識されない場合がある。このため、停止制御部52dは、合焦レンズ15hの移動量或いは移動時間が所定の上限値を超えた場合には、駆動制御部42を制御して合焦レンズ15hの移動処理を停止させると共に、合焦レンズ15hの停止位置の検出は実行しない。
繰り返し制御部52eは、モニタ7に対して視標切替操作が入力されるごと、すなわち視標投影光学系15から眼底Efに対して新たな視力値に対応した視標チャート26の光束が投影されるごとに、上述の移動制御部52b、停止操作受付部52c、及び停止制御部52dを繰り返し作動させる。これにより、移動制御部52bによる2回目以降の合焦レンズ15hの移動処理と、停止操作受付部52cによる停止操作の受付と、停止制御部52dによる移動処理の停止制御と、が繰り返し実行される。
図5は、視力値「0.1」の視標チャート26に対応した自覚式検査制御部52の各部による1回目の移動処理、停止操作受付、及び停止制御を説明するための説明図である。図5の符号VAに示すように、測定制御部34が再測定モードに切り替えられると、出射制御部52aによる光源制御部40及びチャート板駆動制御部48の制御により視力値「0.1」の視標チャート26の光束が眼底Efに投影される。また、移動制御部52bによる駆動制御部42(連動移動機構27)の制御により合焦レンズ15hが初期位置(+1.5D)に移動される。以下、これらの状態を「初期状態」という。初期状態では、被検眼Eは雲霧状態であるため、被検眼Eで視力値「0.1」の視標チャート26を認識することはできない。
なお、被検眼Eが遠視眼である場合には、合焦レンズ15hの初期位置は+1.5Dよりも更にプラス[D]側に設定される。
移動制御部52bは、視標チャート26及び合焦レンズ15hが初期状態にセットされると、駆動制御部42を介して連動移動機構27を駆動して合焦レンズ15hを初期位置から光軸O2に沿ってマイナス[D]方向に移動させる1回目の移動処理を開始させる。また、合焦レンズ15hの移動に連動して、連動移動機構27によりレフ測定ユニット16a及び合焦レンズ17dも一体にマイナス[D]方向に移動される。
図5の符号VBに示すように、合焦レンズ15hのマイナス[D]方向への移動処理が継続すると、何れかの時点で被検眼Eが視力値「0.1」の視標チャート26を自覚的に認識することができる。被検眼Eが視標チャート26を認識すると、検者が被検者からの合図によりモニタ7に対して停止操作を入力したり、或いは被検者が操作スイッチ29に対して停止操作を入力したりすることで、停止操作受付部52cが1回目の移動処理の停止操作を受け付ける。
次いで、停止制御部52dは、駆動制御部42を制御して連動移動機構27を駆動停止させることで、合焦レンズ15hの1回目の移動処理を停止させる。また、停止制御部52dは、合焦レンズ15hの停止位置(本実施形態では+1.25D)を検出し、この停止位置に関する情報を合焦位置決定部54へ出力する。以上で視力値「0.1」の視標チャート26に対応した1回目の移動処理が完了する。
図6は、視力値「0.2」の視標チャート26に対応した自覚式検査制御部52の各部による2回目の移動処理、停止操作受付、及び停止制御を説明するための説明図である。1回目の移動処理が完了すると、検者がモニタ7に対して視標切替操作を入力する。これにより、出射制御部52aがチャート板駆動制御部48を介してチャート板駆動機構20を駆動して、視力値「0.2」の視標チャート26の光束を眼底Efに投影させる。次いで、繰り返し制御部52eが移動制御部52b、停止操作受付部52c、及び停止制御部52dを繰り返し作動させる。
図6の符号VIAに示すように、移動制御部52bは、駆動制御部42を介して連動移動機構27を駆動して合焦レンズ15hを前回(1回目)の停止位置(+1.25D)から光軸O2に沿ってマイナス[D]方向に移動させる2回目の移動処理を開始させる。なお、合焦レンズ15hの移動に連動して、連動移動機構27によりレフ測定ユニット16a及び合焦レンズ17dも一体にマイナス[D]方向に移動される。
図6の符号VIBに示すように、合焦レンズ15hのマイナス[D]方向への移動処理が継続すると、何れかの時点で被検眼Eが視力値「0.2」の視標チャート26を自覚的に認識することができる。被検眼Eが視標チャート26を認識すると、検者又は被検者による停止操作に応じて停止操作受付部52cが2回目の移動処理の停止操作を受け付けると共に、停止制御部52dが駆動制御部42を介して連動移動機構27を駆動停止させることで2回目の移動処理を停止させる。そして、停止制御部52dは、合焦レンズ15hの停止位置(本実施形態では+1.00D)を検出し、この停止位置に関する情報を合焦位置決定部54へ出力する。以上で視力値「0.2」の視標チャート26に対応した2回目の移動処理が完了する。
以下同様に、モニタ7に対して視標切替操作が入力されるごとに、眼底Efに対する前回よりも視力値の高い視標チャート26の光束の投影と、合焦レンズ15hの移動処理と、停止操作の受付と、移動処理の停止及び停止位置の検出と、が繰り返し実行される。
図7は、視力値「0.8」の視標チャート26に対応した自覚式検査制御部52の各部による5回目の移動処理、停止操作受付、及び停止制御が完了した後の合焦レンズ15hのレンズ位置を説明するための説明図である。図7に示すように、眼底Efに対して視力値「0.8」の視標チャート26の光束を投影した状態で5回目の移動処理、停止操作受付、及び停止制御を実行することで、例えば本実施形態では合焦レンズ15hの停止位置が+0.25Dまで移動する。
このように眼底Efに対して前回よりも視力値の高い視標チャート26の光束を投影するのに従って、すなわち被検眼Eに対して提示される視標チャート26の視力値が高くなるのに従って、合焦レンズ15hの停止位置が被検眼E側(マイナス[D]方向側)に移動する。
この際に、連動移動機構27による合焦レンズ15hの移動に連動してレフ測定ユニット16a及び合焦レンズ17dも一体に被検眼E側に移動される。このため、合焦レンズ15hが高い視力値の視標チャート26(例えば視力値「0.8」以上)に対応した停止位置又はその近傍位置に位置している場合、合焦レンズ15h、レフ測定ユニット16a、及び合焦レンズ17dの全てが被検眼Eに対する合焦位置又はその近傍位置にセットされる。その結果、視標チャート26の光束のピントが眼底Efに一致(略一致を含む、以下同じ)するのに応じて、測定用パターン投影光学系16から眼底Efに投影される測定パターンの光束のピントを眼底Efに一致させることができる。これにより、既述の図14に示したように、撮像画像23からリング像24を眼屈折力の演算に適した大きさで検出、すなわちリング像24がスケール100の範囲内で検出される。
図4に戻って、合焦位置決定部54は、停止制御部52dによる視標チャート26ごとの停止位置の検出結果に基づき、視標チャート26の光束を眼底Efに合焦させる合焦レンズ15hの光軸O2上の合焦位置(推定値)を決定する。なお、既述の通り、連動移動機構27により合焦レンズ15h、レフ測定ユニット16a、及び合焦レンズ17dは連動して移動するため、合焦レンズ15hの合焦位置は、測定パターンの光束を眼底Efに合焦させるレフ測定ユニット16aの合焦位置(推定位)、及びこれに対応した合焦レンズ17dの合焦位置(推定値)を示す。
図8は、合焦位置決定部54による合焦レンズ15hの合焦位置の決定方法を説明するための説明図である。図8に示すように、合焦位置決定部54は、停止制御部52dによる視標チャート26ごとの停止位置の検出結果に基づき、視標チャート26の種類(視力値)と停止位置(レンズ位置)との対応関係を示す対応情報60を生成する。そして、合焦位置決定部54は、対応情報60に基づき、合焦レンズ15hの合焦位置を以下の第1決定方法又は第2決定方法で決定する。なお、図8中では対応情報60をグラフ化しているが、他の形式で表現してもよい。また、図8では、視力値「1.0」の視標チャート26が被検眼Eにて認識されなかったものとして説明を行う。
合焦位置決定部54は、第1決定方法を選択した場合、対応情報60に基づき、各停止位置の中で最も視力値が高い視標チャート26に対応した停止位置(図中の矢印A1参照)、すなわち視力値「0.8」の視標チャート26に対応する停止位置(+0.25D)を合焦レンズ15hの合焦位置として決定する。
また、合焦位置決定部54は、第2決定方法を選択した場合、対応情報60に基づき、予め定めた基準値以上の視力値(例えば「1.0」)の視標チャート26に対応した停止位置である推定停止位置(図中の矢印A2参照)を公知の最小二乗法等のフィッティング法を用いて演算し、この推定停止位置を合焦レンズ15hの合焦位置として決定する。
そして、合焦位置決定部54は、第1決定方法又は第2決定方法で決定した合焦レンズ15hの合焦位置の決定結果を位置決め制御部56へ出力する。
図4に戻って、位置決め制御部56は、合焦位置決定部54から入力された合焦レンズ15hの合焦位置の決定結果に基づき、駆動制御部42を介して連動移動機構27を駆動して、合焦レンズ15hを合焦位置に位置決めする。これにより、レフ測定ユニット16aが光軸O3上において被検眼Eに対する合焦位置又はその近傍位置に位置決めされ、且つ合焦レンズ17dが光軸O4上において被検眼Eに対する合焦位置又はその近傍位置に位置決めされる。その結果、レフ測定ユニット16a及び合焦レンズ17dを、自覚検査から推定された被検眼Eに対する合焦位置に位置決めすることができる。
他覚式測定制御部58は、合焦レンズ15hが合焦位置に位置決めされた後に、動作制御部30の各部を制御して、既述の他覚測定モード時の被検眼Eの眼屈折力の他覚測定と同様に、被検眼Eの雲霧視状態への移行と、眼底Efに対する測定パターンの光束の投影と、撮像素子12gによる測定パターンの眼底反射光の撮像と、を実行させる。これにより、撮像素子12gから眼特性演算部36へ撮像画像23の撮像画像データが出力され、眼特性演算部36にて被検眼Eの眼屈折力の演算が実行される。
[再測定モード時の操作画面]
図9は、再測定モード時にモニタ7に表示される操作画面25の一例を示した説明図である。図9に示すように、表示制御部46は、再測定モード時にモニタ7に操作画面25を表示させる。操作画面25は、観察像表示領域62と、自覚検査用表示領域64と、撮像画像表示領域66とを含む。
観察像表示領域62には、被検眼Eの前眼部の観察像22が表示される。表示制御部46は、再測定モード時に撮像素子12gより撮像された前眼部の観察像22の撮像画像データを取得し、この撮像画像データに基づき観察像22を観察像表示領域62に表示させる。そして、表示制御部46は、撮像素子12gより新たな観察像22の撮像画像データが撮像されるごとに、観察像表示領域62に表示される観察像22を更新する。これにより、検者は被検眼Eの固視状態等を確認することができる。
自覚検査用表示領域64は、再測定モード時の自覚検査の状況を表示する。この自覚検査用表示領域64は、視標表示領域64aと、状況表示領域64bとを含む。
視標表示領域64aには、再測定モード時の自覚検査で被検眼Eに対して提示された視標チャート26が表示される。表示制御部46は、既述の出射制御部52aから光路15q中に挿入されている視標チャート26の種類に関する情報を取得して、光路15q中の視標チャート26の画像を視標表示領域64aに表示させる。これにより、検者は被検眼Eに提示されている視標チャート26を確認することができる。
状況表示領域64bには、レンズ位置表示バー70と、検査結果画面72と、表示切替用のアイコン74と、が含まれる。
レンズ位置表示バー70は、移動処理中の合焦レンズ15hのレンズ位置を示す。表示制御部46は、既述の位置検出センサ(不図示)の検出結果、或いは連動移動機構27のモータの回転数のカウント値のカウント結果に基づき、光軸O2上で移動する合焦レンズ15hのレンズ位置を取得し、このレンズ位置をバー表示形式で表わしたレンズ位置表示バー70を状況表示領域64bに表示させる。そして、表示制御部46は、光軸O2上での合焦レンズ15hのレンズ位置の変化に応じて、このレンズ位置を示すレンズ位置表示バー70のカーソル70aを移動させる。これにより、検者は合焦レンズ15hのレンズ位置を判別することができる。
検査結果画面72は、視力値が異なる視標チャート26ごとの停止位置を示す。表示制御部46は、停止制御部52dにより検出され視標チャート26ごとの停止位置の検出結果に基づき、検査結果画面72を生成して状況表示領域64bに表示させる。また、表示制御部46は、既述の光路15q中に挿入されている視標チャート26の種類に関する情報に基づき、被検者に提示されている視標チャート26の種類(視力値)を他と識別可能に表示している。これにより、検者は視標チャート26ごとの停止位置を判別することができる。
アイコン74は、状況表示領域64bの表示を、レンズ位置表示バー70及び検査結果画面72と、既述の図8に示した対応情報60(グラフ)とに交互に切り替える際に操作される。表示制御部46は、状況表示領域64bにレンズ位置表示バー70及び検査結果画面72が表示されている状態で検者によりアイコン74が操作された場合、既述の合焦位置決定部54が生成した対応情報60に基づき、この対応情報60のグラフを状況表示領域64bに表示させる。そして、表示制御部46は、検者によりアイコン74が再操作された場合、状況表示領域64bの表示を元のレンズ位置表示バー70及び検査結果画面72に戻す。
撮像画像表示領域66には、被検眼Eの眼屈折力の他覚測定で撮像素子12gにより撮像された撮像画像23(リング像24)が表示される。表示制御部46は、再測定モードの他覚測定時に撮像素子12gより撮像された撮像画像23の撮像画像データを取得し、この撮像画像データに基づき撮像画像23を撮像画像表示領域66に表示させる。また、表示制御部46は、既述の図14に示したように、眼屈折力の演算に適したリング像24の大きさを示す指標となるスケール100,100aを撮像画像表示領域66内の撮像画像23に重畳表示させる。撮像画像23を撮像画像表示領域66に表示することで、検者はリング像24が撮像画像23中に存在しているか否か、及びリング像24が眼屈折力の演算に適した大きさであるか否かを確認することができる。
[本実施形態の眼科装置の作用]
図10は、上記構成の眼科装置1による被検眼Eの眼屈折力の他覚測定処理の流れ、特に再測定モードにおける眼屈折力の測定処理(本発明の眼科装置の作動方法に相当)の流れを示すフローチャートである。なお、他覚測定モードでの被検眼Eの眼屈折力の測定処理については公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
図10に示すように、被検眼Eの疾患が原因で測定用パターン投影光学系16から出射される測定パターンの光束のピントが眼底Efからずれていたり、或いは撮像画像23からリング像24が検出不能であったりすると、他覚測定モードでの被検眼Eの眼屈折力の測定が不可となる(ステップS1)。この場合、検者はタッチパネル式のモニタ7に対して、再測定モードへのモード切替操作を入力する。そして、モニタ7に対するモード切替操作を受けて測定制御部34は測定モードを再測定モードに切り替える(ステップS2)。
測定制御部34が再測定モードに切り替えられると、自覚式検査制御部52の各部が作動して、視標の光束を眼底Efに合焦させる合焦レンズ15hの合焦位置を決定するための自覚検査が開始される(ステップS3)。
最初に、出射制御部52aによる光源制御部40及びチャート板駆動制御部48の制御と、移動制御部52bによる駆動制御部42の制御とにより、視標チャート26及び合焦レンズ15hが初期状態にセットされる(ステップS4)。これにより、視力値「0.1」の視標チャート26の光束が眼底Efに投影されると共に、光軸O2上で合焦レンズ15hが初期位置(+1.5D)に移動される。
次いで、移動制御部52bは、既述の図5に示したように、駆動制御部42を介して連動移動機構27を駆動して、合焦レンズ15hを初期位置から光軸O2に沿ってマイナス[D]方向に移動させる1回目の移動処理を開始させる(ステップS5、本発明の移動制御工程に相当)。
1回目の移動処理が開始されると、何れかの時点で被検眼Eが視力値「0.1」の視標チャート26を自覚的に認識することができる。このため、既述の図5で説明したように、モニタ7又は操作スイッチ29に対する停止操作の入力と、停止操作受付部52cによる停止操作の受付と(ステップS6、本発明の停止操作受付工程に相当)、停止制御部52dによる移動処理の停止(ステップS7、本発明の停止制御工程に相当)と、が実行される。また、停止制御部52dは、合焦レンズ15hの停止位置を検出し、この停止位置に関する情報を合焦位置決定部54へ出力する。以上で視力値「0.1」の視標チャート26に対応した1回目の移動処理が完了する。
1回目の移動処理が完了すると、検者がモニタ7に対して視標切替操作を入力する。この操作を受けて、出射制御部52aがチャート板駆動制御部48を介してチャート板駆動機構20を駆動して、視力値「0.2」の視標チャート26の光束を眼底Efに投影させる(ステップS8)。
次いで、移動制御部52bは、既述の図6に示したように、駆動制御部42を介して連動移動機構27を駆動して、合焦レンズ15hを1回目の停止位置から光軸O2に沿ってマイナス[D]方向に移動させる2回目の移動処理を開始させる(ステップS5)。
2回目の移動処理が開始されると、何れかの時点で被検眼Eが視力値「0.2」の視標チャート26を自覚的に認識することができる。これにより、既述のステップS6及びステップS7の処理が繰り返し実行される(図6参照)。また、ステップS7において、停止制御部52dは、合焦レンズ15hの停止位置の検出と、停止位置に関する情報の合焦位置決定部54への出力と、を実行する。以上で視力値「0.2」の視標チャート26に対応した2回目の移動処理が完了する。
以下同様に、モニタ7に対して視標切替操作が入力されるごとに、既述のステップS5からステップS7までの処理が繰り返し実行される。そして、視力値「1.0」の視標チャート26に対応した6回目の移動処理が完了すると、被検眼Eの自覚検査が終了する(ステップS8でNO、ステップS9)。
自覚検査が終了すると、合焦位置決定部54は、視標チャート26ごとの停止位置の検出結果に基づき既述の図8に示した対応情報60を生成し、さらにこの対応情報60に基づき既述の第1決定方法又は第2決定方法にて合焦レンズ15hの合焦位置を決定する(ステップS10、本発明の合焦位置決定工程に相当)。そして、合焦位置決定部54は、合焦レンズ15hの合焦位置の決定結果を位置決め制御部56へ出力する。
次いで、位置決め制御部56は、合焦位置決定部54からの決定結果の入力を受けて、駆動制御部42を介して連動移動機構27を駆動して、合焦レンズ15hを合焦位置に位置決めする(ステップS11、本発明の位置決め制御工程に相当)。これにより、合焦レンズ15hの位置決めに連動して、レフ測定ユニット16a及び合焦レンズ17dが、自覚検査から推定された被検眼Eに対する合焦位置に位置決めされる。
合焦レンズ15hが合焦位置に位置決めされると、他覚式測定制御部58は、動作制御部30の各部を制御して、被検眼Eの雲霧視状態への移行と、眼底Efに対する測定パターンの光束の投影と、撮像素子12gによる眼底反射光の撮像と、を実行させる(ステップS12、本発明の他覚式測定制御工程に相当)。これにより、撮像素子12gから眼特性演算部36に対して撮像画像23の撮像画像データが出力される。
図11は、再測定モードで取得された撮像画像23(リング像24)を説明するための説明図である。図11の符号XIAに示すように、通常の他覚測定モードでは被検眼Eに疾患が発生している場合、撮像画像23からリング像24が検出不能になったり、或いは図示は省略するがリング像24がスケール100の内側に収まらなかったりする。
これに対して再測定モードでは、被検眼Eの自覚検査により決定した合焦位置に合焦レンズ15hを位置決めすることで、測定用パターン投影光学系16から眼底Efに投影される測定パターンの光束のピントが眼底Efに一致するように、連動移動機構27を介してレフ測定ユニット16a及び合焦レンズ17dが位置調整される。その結果、図11の符号XIBに示すように、撮像画像23からリング像24を眼屈折力の演算に適した大きさで検出、すなわちスケール100の範囲内でリング像24を検出することができる。
図10に戻って、眼特性演算部36は、撮像素子12gから入力された撮像画像23の撮像画像データを公知の手法で解析して被検眼Eの眼屈折力を演算する(ステップS13)。この眼特性演算部36による眼屈折力の演算結果は、被検眼Eの眼屈折力の測定結果として不図示の記憶部に記憶されると共に、表示制御部46によりモニタ7に表示される。
また、眼特性演算部36により演算された被検眼Eの眼屈折力の演算結果は、他の装置での自覚検査に用いられる。なお、再測定モードでも被検眼Eの眼屈折力の他覚測定が不可であった場合には、既述の対応情報60に基づき他の装置での自覚検査が行われる。
[本実施形態の効果]
以上のように本実施形態では、疾患を伴う被検眼Eの眼屈折力の他覚測定が不可であった場合に、被検眼Eの自覚検査を実施することにより被検眼Eに対する合焦レンズ15h及びレフ測定ユニット16aの合焦位置(推定位置)を決定し、この決定した位置に合焦レンズ15h、レフ測定ユニット16a、及び合焦レンズ17dを位置決めした状態で眼屈折力の他覚測定を再実行する。その結果、撮像画像23からリング像24を眼屈折力の演算に適した大きさで検出することができる。これにより、疾患を伴う被検眼Eであってもその眼屈折力を測定することができる。
[別実施形態1の眼科装置]
図12は、別実施形態の眼科装置1Aの概略図である。上記実施形態の眼科装置1は被検眼E(片眼)に対応した1つの測定ヘッド5(光学系8)を備えているが、別実施形態の眼科装置1Aは両眼に対応した一対の測定ヘッド5(光学系8)を備える。なお、眼科装置1Aは、テーブル80上に設けられた一対の測定ヘッド5R,5Lと一対のミラー82R,82Lとを備える点を除けば、上記実施形態の眼科装置1と基本的に同じ構成である。このため、上記第実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
図12に示すように、一対の測定ヘッド5R,5L及び一対のミラー82R,82Lはそれぞれテーブル80の上面に対して垂直な軸周りに回転調整可能に設けられている。一対の測定ヘッド5R,5Lは上記実施形態の測定ヘッド5と同一構成である。
ミラー82Rは、測定ヘッド5Rから出射された既述の各種光束を被検眼E(右眼)に向けて反射すると共に、被検眼E(右眼)にて反射された各種光束の反射光を測定ヘッド5Rに向けて反射する。また、ミラー82Lは、測定ヘッド5Lから出射された既述の各種光束を被検眼E(左眼)に向けて反射すると共に、被検眼E(左眼)にて反射された各種光束の反射光を測定ヘッド5Lに向けて反射する。これにより、測定ヘッド5Rにて被検眼E(右眼)の眼屈折力の他覚測定(撮像画像23の取得)を行い、測定ヘッド5Lにて被検眼E(左眼)の眼屈折力の他覚測定(撮像画像23の取得)を行うことができる。その結果、制御装置9にて両眼の眼屈折力を演算することができる。
この際に、測定ヘッド5Rによる被検眼E(右眼)の眼屈折力の他覚測定と、測定ヘッド5Lによる被検眼E(左眼)の眼屈折力の他覚測定とは同時に実行することはできない。このため、被検眼E(右眼)の眼屈折力の他覚測定を行う場合、測定ヘッド5Lの視標投影光学系15は視標(固視標、視標チャート26)の背景の光束のみを左眼に投影する。なお、視標の背景とは、例えば図3及び図9に示した視標チャート26の場合にはランドル環を囲む黒枠である。また逆に、被検眼E(左眼)の眼屈折力の他覚測定を行う場合、測定ヘッド5Rの視標投影光学系15は視標の背景の光束のみを右眼に投影する。これにより、両眼の固視を安定させることができる。
[別実施形態2の眼科装置]
図13は、別実施形態2の眼科装置1Bの視標投影光学系15、測定用パターン投影光学系16、及び受光光学系17の概略図である。上記実施形態の眼科装置1の視標投影光学系15は、LED光源15a、色補正フィルタ15b、及びコリメータレンズ15cから視標(固視標、視標チャート26)の光束を出射すると共に、光軸O2上で合焦レンズ15hを進退移動させることで被検眼Eに対する視標の提示距離を変化させている。
これに対して、図13に示すように、別実施形態2の眼科装置1Bの視標投影光学系15は、LED光源15a、色補正フィルタ15b、コリメータレンズ15c、及び合焦レンズ15hの代わりに、光軸O2に配置された視標光束出射部15S(本発明の第1光束出射部に相当)を備える。なお、別実施形態2の眼科装置1Bは、視標光束出射部15Sを備える点を除けば、上記実施形態の眼科装置1と基本的に同じ構成である。このため、上記第実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
視標光束出射部15Sは、LED光源15tと、拡散板15uと、NDフィルタ及び色補正フィルタ等のフィルタ15vと、コリメートレンズ15wと、視標部15xと、を備える。LED光源15tは、拡散板15uに向けて白色光を出射する。これにより、白色光は、拡散板15uにて拡散され、フィルタ15vにて各種処理が施され、さらにコリメートレンズ15wにて平行光束に変換された後、視標部15xに入射する。
視標部15xは、上記実施形態で説明したチャート板15d又は任意の視標を表示可能な透過型LCD等が用いられる。視標部15xは、コリメートレンズ15wから入射された白色光の平行光束を透過して、視標(固視標、視標チャート26)の光束を出射する。これにより、上記実施形態と同様に視標の光束が眼底Efに投影される。
視標光束出射部15Sは、光軸O2に沿って進退自在に配置されている。このため、視標光束出射部15Sは本発明の「一方」に相当する。このため、別実施形態2では、連動移動機構27により視標光束出射部15Sを光軸O2に沿って進退移動させることにより、被検眼Eに対する視標の提示距離を変化させることができる。
別実施形態2の連動移動機構27は、視標光束出射部15S、レフ測定ユニット16a、及び合焦レンズ17dを各光軸O2~O4に対して平行方向(Z軸方向)に連動して移動させる。このため、別実施形態2は、連動移動機構27により上記実施形態の「合焦レンズ15h」を移動させる代わりに「視標光束出射部15S」を移動させる点を除けば上記実施形態と基本的に同じであり、上記実施形態と同様の効果が得られる。
[その他]
上記各実施形態では、再測定モードの自覚検査において6種類の視標チャート26に対応して合焦レンズ15h(視標光束出射部15S)の移動処理を6回繰り返し実施しているが、移動処理の繰り返し回数(視標チャート26の種類数)は特に限定はされない。例えば、被検眼Eの視力値が高いことが想定される場合には、最初から視力値「1.0」又は「0.8」の視標チャート26を被検眼Eに提示した状態で移動処理を行い、移動処理は1回~2回で終了してもよい。
上記各実施形態では、測定用パターン投影光学系16から眼底Efに対してリング状の測定パターンを投影しているが、測定用パターン投影光学系16から眼底Efに対して点状の測定パターンを投影し、受光光学系17にてリング状の眼底反射光を受光してもよい。すなわち、受光光学系17にてリング状の眼底反射光が受光可能であれば、測定パターンの形状は特に限定されるものではない。
上記各実施形態では、各光軸O2~O4が互いに平行である場合について説明したが、各光軸O2~O4が互いに平行なくともよい。この場合、連動移動機構27は、合焦レンズ15h、レフ測定ユニット16a、及び合焦レンズ17dをそれぞれ個別に移動させる移動機構(モータ駆動機構等)と、各移動機構を連動して駆動する連動駆動制御部(プロセッサ等)とを備える。これにより、各光軸O2~O4が非平行であっても、合焦レンズ15h、レフ測定ユニット16a、及び合焦レンズ17dを、被検眼Eに近づく方向又は遠ざかる方向に同一移動量で連動して移動させることができる。
上記各実施形態では、制御装置9が眼科装置1,1A,1B内に組み込まれているが、制御装置9が眼科装置1,1A,1Bとは別体の演算装置(パーソナルコンピュータ及び携帯端末等)に組み込まれていてもよい。すなわち、演算装置のプロセッサ等を制御装置9として機能させてもよい。
上記各実施形態では、被検眼Eの眼特性として眼屈折力を測定する眼科装置1,1A,1Bを例に挙げて説明したが、被検眼Eの各種撮影画像に含まれるリング像24を画像解析して被検眼Eの眼屈折力以外の各種眼特性を測定する眼科装置に対しても本発明を適用可能である。