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JP7163646B2 - 水性印刷インキ用コアシェルエマルションの製造方法および水性印刷インキ用コアシェルエマルション - Google Patents

水性印刷インキ用コアシェルエマルションの製造方法および水性印刷インキ用コアシェルエマルション Download PDF

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Description

本発明は水性印刷インキ用、とりわけ水性フレキソインキ、水性グラビアインキ用のコアシェルエマルションの製造方法および水性印刷インキ用コアシェルエマルションに関するものである。
近年、省資源化や環境負荷の観点から、印刷インキの水性化が行われており、さらには非石油系の天然資源である、バイオマス原料の使用が進められている。また、バイオマス原料の中でも、とりわけ植物由来の原料を有効に使用する方法が求められている。
植物由来の原料としては、リグニン、ロジン、澱粉等が挙げられるが、いずれも天然物由来の着色が生じることから、インキとして使用した時、白色印刷時に白色度の低下が生じることが課題となっている。これらの植物由来の原料を変性や精製することにより、水性印刷インキに適する、水性の材料を得るための方法が検討されている。
澱粉を使用したインキについて、特許文献1では、顔料と有機溶剤と樹脂からなる印刷インキにおける、樹脂の部分に有機溶剤可溶性の澱粉脂肪酸エステルを使用しているが、これは多量の有機溶剤を含有した澱粉の溶液であり、水性印刷インキに適する、水性の材料では無かった。
水性の澱粉を用いた材料に関して、特許文献2では、澱粉と糖類と変性ポリビニルアルコールの存在下、ビニルモノマーを重合させたエマルションを開発しているが、これは接着剤であり、エマルション由来の白色度の低下を含む、印刷インキに言及したものでは無かった。
特開2004-168798号公報 特開1997-173865号公報
本発明は、水性印刷インキに適用可能な、植物由来の原料を使用したコアシェルエマルションを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、水、変性澱粉存在下、ビニル基含有モノマーをラジカル重合して得るコアシェルエマルションにおいて、シェルとして用いる変性澱粉の重量平均分子量とその含有量を特定の範囲とすることで、変性澱粉に由来する白色度の低下を抑制することが可能であることを見出した。これにより、水性印刷インキに適用可能な、植物由来の原料として変性澱粉を使用する、コアシェルエマルションの開発に至った。
すなわち、本発明は、
(1)水及び変性澱粉(a)の存在下にビニル基含有モノマー(b)をラジカル重合して得られるコアシェルエマルションを含有し、変性澱粉(a)の重量平均分子量が5000~15万の範囲であり、変性澱粉(a)の含有量が20~50質量%であることを特徴とする水性印刷インキ用コアシェルエマルションの製造方法、
(2)ビニル基含有モノマー(b)がスチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する疎水性モノマーであることを特徴とする前記(1)に記載の水性印刷インキ用コアシェルエマルションの製造方法、
(3)変性澱粉(a)がシェル、ビニル基含有モノマー(b)をラジカル重合して得るポリマーがコアであることを特徴とする前記(1)に記載の水性印刷インキ用コアシェルエマルションの製造方法、
(4)少なくとも水、変性澱粉(a)及びビニル基含有モノマー(b)の重合物からなるコアシェルエマルションを含有し、変性澱粉(a)の重量平均分子量が5000~15万の範囲であり、変性澱粉(a)の含有量が20~50質量%であることを特徴とする水性印刷インキ用コアシェルエマルション、
(5)ビニル基含有モノマー(b)がスチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する疎水性モノマーであることを特徴とする前記(4)に記載の水性印刷インキ用コアシェルエマルション、
(6)変性澱粉(a)がシェル、ビニル基含有モノマー(b)をラジカル重合して得るポリマーがコアであることを特徴とする前記(4)に記載の水性印刷インキ用コアシェルエマルション、
である。
本発明で得られる水性印刷インキ用コアシェルエマルションを用いることにより、変性澱粉に由来する白色度の低下を抑制し、植物由来である変性澱粉を含むことにより、省資源化、環境負荷の低減に対応した水性印刷インキを得ることが可能になる。
以下に本発明の水性印刷インキ用コアシェルエマルションの製造方法について、具体的に説明する。
本発明は、水、変性澱粉(a)存在下、ビニル基含有モノマー(b)をラジカル重合して得る、水性印刷インキ用コアシェルエマルション(A)であり、変性澱粉(a)の重量平均分子量が5000~15万の範囲であり、コアシェルエマルションの固形分中に占める変性澱粉(a) の含有量が20~50質量%である水性印刷インキ用コアシェルエマルションの製造方法である。
(変性澱粉)
本発明の水性印刷インキ用コアシェルエマルションの製造に用いる変性澱粉(a)は、その重量平均分子量が5000~15万の範囲である必要がある。5000未満であると、シェルとしての乳化性が不足するため、コアシェルエマルションを得ることが難しく、15万を超えると、変性澱粉に由来する白色度の低下が顕著となる。なお、変性澱粉(a)の重量平均分子量は、以下の条件によりGPC法で測定したものである。
カラム:TSKgel G6000PWxl(東ソー製)とTSKgel G3000PWxl(東ソー製)を2本連結して使用
ガードカラム:Guardcolum PWxl(東ソー製)
溶離液:リン酸二水素ナトリウム二水和物(20mmol/L)、リン酸水素二ナトリウム十二水和物(20mmol/L)の水溶液
流速:1.0mL/分
カラム温度:45℃
サンプル濃度:0.5%
スタンダード:ポリエチレングリコール(Mw1010、4040、16100、44200、146000)
変性澱粉(a)の使用量は、コアシェルエマルションの固形分中に占めるその含有量が20~50質量%であることが好ましい。20質量%未満であると、シェルとしての乳化性が不足するため、コアシェルエマルションを得ることが難しく、50質量%を超えると、変性澱粉に由来する白色度の低下が顕著となる。
変性澱粉の原料となる澱粉の品種は、特に限定されず、例えばトウモロコシ、タピオカ、馬鈴薯、米、小麦、モチトウモロコシ等の澱粉を使用することが出来る。
変性澱粉としては、例えば酸化澱粉、両性澱粉、リン酸澱粉、ヒドロキシプロピル化やヒドロキシエチル化等のエーテル化澱粉、アセチル化澱粉、脂肪酸エステル化澱粉、α化デンプン、尿素変性澱粉、酵素変性澱粉等が使用可能である。この中でも、酸化澱粉、リン酸澱粉、エーテル化澱粉を使用することが、好ましい。
(ビニル基含有モノマー(b))
ビニル基含有モノマー(b)は、特に限定されないが、20℃での水への溶解度が2質量%未満である疎水性モノマーが好ましく、スチレン類やアルキル基の炭素数が1~8である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。スチレン類としては、例えば、スチレン、αメチルスチレン等のスチレン類;炭素数が1~8である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。また、疎水性モノマー以外のビニル基含有モノマー(b)としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の2官能性モノマー;グリシジルメタクリレート等の架橋性モノマー;アクリル酸、メタクリル酸等のアニオン性モノマー;アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等のノニオン性モノマーが挙げられる。
(その他)
本発明の水性印刷インキ用コアシェルエマルションの製造方法においては、発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、低分子や高分子の乳化剤を使用しても良い。乳化剤としては、脂肪酸ポリグリコールエステル、ポリアルキレンオキサイド型等のノニオン性乳化剤や、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール硫酸化ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、スチレンアクリル酸共重合物のアルカリ塩等のアニオン性乳化剤を用いることが出来る。これらは、前記(b)に対して0.1~50質量%を限度に用いることができる。
(ラジカル重合)
本発明で行うラジカル重合の方法は、従来公知の乳化重合の方法を適用することが出来る。例えば、攪拌機、および窒素ガス導入管を備えた反応容器に、水、変性澱粉(a)を仕込み、重合開始剤として過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素等の過酸化物、あるいはこれらの過酸化物と硫酸亜鉄、重亜硫酸ソーダ、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム等の還元剤との組み合わせからなる任意のレドックス開始剤を使用し、反応温度を40~90℃にて、ビニル基含有モノマー類(b)を1~3時間かけて滴下し、滴下終了後1~8時間反応させることで、水性印刷インキ用コアシェルエマルションを得ることが出来る。
以下、実施例および比較例により、本発明を詳細に説明する。なお、%は特に記載がない限り、質量%である。実施例で用いた変性澱粉(a)については、全て水分含有率が12%だった。
<水性印刷インキ用コアシェルエマルション(A)の製造方法>
実施例で用いた変性澱粉(a)については、重量平均分子量(Mw)を、以下の条件によりGPC法で測定した。
カラム:TSKgel G6000PWxl(東ソー製)とTSKgel G3000PWxl(東ソー製)を2本連結して使用
ガードカラム:Guardcolum PWxl(東ソー製)
溶離液:リン酸二水素ナトリウム二水和物(20mmol/L)、リン酸水素二ナトリウム十二水和物(20mmol/L)の水溶液
流速:1.0mL/分
カラム温度:45℃
サンプル濃度:0.5%
スタンダード:ポリエチレングリコール(Mw1010、4040、16100、44200、146000)
実施例1
温度計、冷却管、撹拌機を有するセパラブルフラスコに、イオン交換水(460g)、変性澱粉(a)としてブリバインP-63(日澱化学製、Mw5600、リン酸澱粉、184g)を仕込み、窒素置換下で、90℃まで昇温し、1時間保持した。次いで、28%アンモニア水溶液(28.9g)を加え、冷却し、80℃でイオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(12.2g)を添加し、ビニル基含有モノマー(b)としてスチレン(145g)、アクリル酸n-ブチル(98g)の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で2時間保持した後、イオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(4.9g)を添加した。2時間保持した後、イオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(4.9g)を添加し、さらに4時間保持した。その後冷却し、イオン交換水にて40%濃度に希釈して、pH7.8、粘度220mPa・sの水性印刷インキ用コアシェルエマルション(A1)を得た。
実施例2
変性澱粉(a)として王子エースC(王子コーンスターチ製、Mw31000、酸化澱粉)を使用した以外は、実施例1と同様にして、pH7.7、粘度、250mPa・sの水性印刷インキ用コアシェルエマルション(A2)を得た。
実施例3
変性澱粉(a)として王子エースA(王子コーンスターチ製、Mw63000、酸化澱粉)を使用した以外は、実施例1と同様にして、pH7.7、粘度、300mPa・sの水性印刷インキ用コアシェルエマルション(A3)を得た。
実施例4
変性澱粉(a)としてPENON PKW(日澱化学製、Mw138000、ヒドロキシプロピル澱粉)を使用した以外は、実施例1と同様にして、pH7.9、粘度、240mPa・sの水性印刷インキ用コアシェルエマルション(A4)を得た。
実施例5
ビニル基含有モノマー(b)としてメタクリル酸メチル(145g)、アクリル酸n-ブチル(98g)の混合液を3時間かけて滴下した以外は、実施例1と同様にして、pH7.8、粘度、350mPa・sの水性印刷インキ用コアシェルエマルション(A5)を得た。
実施例6
温度計、冷却管、撹拌機を有するセパラブルフラスコに、イオン交換水(370g)、変性澱粉(a)としてブリバインP-63(日澱化学製、Mw5600、リン酸澱粉、184g)を仕込み、窒素置換下で、90℃まで昇温し、1時間保持した。次いで、28%アンモニア水溶液(28.9g)を加え、冷却し、80℃でイオン交換水にて12%濃度に希釈した過酸化水素(72.9g)、イオン交換水にて9%濃度に希釈した硫酸亜鉄(4.6g)を添加し、ビニル基含有モノマー(b)としてスチレン(145g)、アクリル酸n-ブチル(98g)の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で2時間保持した後、イオン交換水にて12%濃度に希釈した過酸化水素(11.2g)を添加した。2時間保持した後、イオン交換水にて12%濃度に希釈した過酸化水素(11.2g)を添加し、さらに4時間保持した。その後冷却し、イオン交換水にて40%濃度に希釈して、pH7.7、粘度350mPa・sの水性印刷インキ用コアシェルエマルション(A6)を得た。
実施例7
温度計、冷却管、撹拌機を有するセパラブルフラスコに、イオン交換水(450g)、変性澱粉(a)としてブリバインP-63(日澱化学製、Mw5600、リン酸澱粉、184g)を仕込み、窒素置換下で、90℃まで昇温し、1時間保持した。次いで、低分子乳化剤としてネオゲンS20(第一工業製薬製、20%濃度のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩水溶液、14.2g)、28%アンモニア水溶液(28.9g)を加え、冷却し、80℃でイオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(12.2g)を添加し、ビニル基含有モノマー(b)としてスチレン(145g)、アクリル酸n-ブチル(98g)の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で2時間保持した後、イオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(4.9g)を添加した。2時間保持した後、イオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(4.9g)を添加し、さらに4時間保持した。その後冷却し、イオン交換水にて40%濃度に希釈して、pH7.7、粘度280mPa・sの水性印刷インキ用コアシェルエマルション(A7)を得た。
実施例8
温度計、冷却管、撹拌機を有するセパラブルフラスコに、イオン交換水(450g)、変性澱粉(a)としてブリバインP-63(日澱化学製、Mw5600、リン酸澱粉、184g)を仕込み、窒素置換下で、90℃まで昇温し、1時間保持した。次いで、高分子乳化剤としてYL-1098(星光PMC製、36%濃度のスチレンアクリル系樹脂の水溶液、112.5g)、28%アンモニア水溶液(28.9g)を加え、冷却し、80℃でイオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(10.2g)を添加し、ビニル基含有モノマー(b)としてスチレン(121g)、アクリル酸n-ブチル(81g)の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で2時間保持した後、イオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(4.1g)を添加した。2時間保持した後、イオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(4.1g)を添加し、さらに4時間保持した。その後冷却し、イオン交換水にて40%濃度に希釈して、pH8.3、粘度410mPa・sの水性印刷インキ用コアシェルエマルション(A8)を得た。
実施例9
温度計、冷却管、撹拌機を有するセパラブルフラスコに、イオン交換水(460g)、変性澱粉(a)としてブリバインP-63(日澱化学製、Mw5600、リン酸澱粉、92g)を仕込み、窒素置換下で、90℃まで昇温し、1時間保持した。次いで、28%アンモニア水溶液(14.5g)を加え、冷却し、80℃でイオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(16.3g)を添加し、ビニル基含有モノマー(b)としてスチレン(194g)、アクリル酸n-ブチル(130g)の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で2時間保持した後、イオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(6.5g)を添加した。2時間保持した後、イオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(6.5g)を添加し、さらに4時間保持した。その後冷却し、イオン交換水にて40%濃度に希釈して、pH7.5、粘度70mPa・sの水性印刷インキ用コアシェルエマルション(A9)を得た。
実施例10
温度計、冷却管、撹拌機を有するセパラブルフラスコに、イオン交換水(460g)、変性澱粉(a)としてブリバインP-63(日澱化学製、Mw5600、リン酸澱粉、230g)を仕込み、窒素置換下で、90℃まで昇温し、1時間保持した。次いで、28%アンモニア水溶液(57.8g)を加え、冷却し、80℃でイオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(10.2g)を添加し、ビニル基含有モノマー(b)としてスチレン(121g)、アクリル酸n-ブチル(81g)の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で2時間保持した後、イオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(4.1g)を添加した。2時間保持した後、イオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(4.1g)を添加し、さらに4時間保持した。その後冷却し、イオン交換水にて40%濃度に希釈して、pH7.7、粘度550mPa・sの水性印刷インキ用コアシェルエマルション(A10)を得た。
比較例1
・製造方法に関して、変性澱粉(a)としてスターコート♯14(日本食品化工製、Mw210000、リン酸澱粉)を使用した以外は、実施例1と同様にして、pH7.9、粘度、280mPa・sの水性印刷インキ用コアシェルエマルション(A11)を得た。
比較例2
温度計、冷却管、撹拌機を有するセパラブルフラスコに、イオン交換水(460g)、変性澱粉(a)としてブリバインP-63(日澱化学製、Mw5600、リン酸澱粉、184g)、αアミラーゼ(0.016g)を仕込み、窒素置換下で、90℃まで昇温し、1時間保持した。この段階で、澱粉の分子量をGPCにて測定したところ、重量平均分子量は4100であった。次いで、28%アンモニア水溶液(28.9g)を加え、冷却し、80℃でイオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(12.2g)を添加し、ビニル基含有モノマー(b)としてスチレン(145g)、アクリル酸n-ブチル(98g)の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で2時間保持した後、イオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(4.9g)を添加した。2時間保持した時点で、内容物がゲル化した。
比較例3
温度計、冷却管、撹拌機を有するセパラブルフラスコに、イオン交換水(460g)、変性澱粉(a)としてブリバインP-63(日澱化学製、Mw5600、リン酸澱粉、46g)を仕込み、窒素置換下で、90℃まで昇温し、1時間保持した。次いで、28%アンモニア水溶液(7.3g)を加え、冷却し、80℃でイオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(18.3g)を添加し、ビニル基含有モノマー(b)としてスチレン(219g)、アクリル酸n-ブチル(146g)の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で2時間保持した時点で、内容物がゲル化した。
比較例4
温度計、冷却管、撹拌機を有するセパラブルフラスコに、イオン交換水(460g)、変性澱粉(a)としてブリバインP-63(日澱化学製、Mw5600、リン酸澱粉、276g)を仕込み、窒素置換下で、90℃まで昇温し、1時間保持した。次いで、28%アンモニア水溶液(43.4g)を加え、冷却し、80℃でイオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(8.1g)を添加し、ビニル基含有モノマー(b)としてスチレン(97g)、アクリル酸n-ブチル(65g)の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で2時間保持した後、イオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(3.3g)を添加した。2時間保持した後、イオン交換水にて10%濃度に希釈した過硫酸アンモニウム(3.3g)を添加し、さらに4時間保持した。その後冷却し、イオン交換水にて40%濃度に希釈して、pH8.0、粘度880mPa・sのコアシェルエマルション(A14)を得た。
(塗工評価)
ワイヤーバー♯5を用いて、コート紙(白色、坪量180g/m、白色度89.0)の片面に水性印刷インキ用コアエマルション(A1~A10、A14)を塗工した。塗工液の塗布量は5g/mであった。塗工後、白色度を測定した。なお、白色度は、Color meter ZE6000(日本電色工業株式会社製)にて測定した。
Figure 0007163646000001
※1 St(スチレン)、BA(アクリル酸n-ブチル)、MMA(メタクリル酸メチル)
※2 APS(過硫酸アンモニウム)、H(過酸化水素)
※3 コアシェルエマルションの固形分中に占める澱粉の含有量。質量%を記載。
実施例1~4と比較例1より、澱粉の分子量が5000~15万の時、白色度の低下が小さいことが分かる。
実施例1~4と比較例2より、澱粉の分子量が5000未満であると、乳化性不足により、エマルションを得ることは難しいことが分かる。
実施例1、9、10と比較例3、4より、澱粉の量が20%未満であると、乳化性不足により、エマルションを得ることは難しく、澱粉の量が50%を超えると、白色度の低下が大きいことが分かる。

Claims (6)

  1. 水及び変性澱粉(a)の存在下にビニル基含有モノマー(b)をラジカル重合して得られるコアシェルエマルションを含有し、変性澱粉(a)の重量平均分子量が5000~15万の範囲であり、変性澱粉(a)の含有量が20~50質量%であり、変性澱粉が、酸化澱粉、リン酸澱粉、エーテル化澱粉の群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、ビニル基含有モノマー(b)がアクリル酸n-ブチルを含有することを特徴とする水性印刷インキ用コアシェルエマルションの製造方法。
  2. ビニル基含有モノマー(b)がスチレン類を含有する疎水性モノマーであることを特徴とする請求項1に記載の水性印刷インキ用コアシェルエマルションの製造方法。
  3. 変性澱粉(a)がシェル、ビニル基含有モノマー(b)をラジカル重合して得るポリマーがコアであることを特徴とする請求項1に記載の水性印刷インキ用コアシェルエマルションの製造方法。
  4. 少なくとも水、変性澱粉(a)及びビニル基含有モノマー(b)の重合物からなるコアシェルエマルションを含有し、変性澱粉の重量平均分子量が5000~15万の範囲であり、変性澱粉(a)の含有量が20~50質量%であり、変性澱粉が、酸化澱粉、リン酸澱粉、エーテル化澱粉の群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、ビニル基含有モノマー(b)がアクリル酸n-ブチルを含有することを特徴とする水性印刷インキ用コアシェルエマルション。
  5. ビニル基含有モノマー(b)がスチレン類を含有する疎水性モノマーであることを特徴とする請求項4に記載の水性印刷インキ用コアシェルエマルション。
  6. 変性澱粉(a)がシェル、ビニル基含有モノマー(b)をラジカル重合して得るポリマーがコアであることを特徴とする請求項4に記載の水性印刷インキ用コアシェルエマルション。
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