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JP7163505B2 - マスクブランク、位相シフトマスク及び半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

マスクブランク、位相シフトマスク及び半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、位相シフトマスク用のマスクブランク、位相シフトマスク及び半導体デバイスの製造方法に関する。
半導体デバイスの製造工程では、フォトリソグラフィー法を用いて微細パターンの形成が行われている。また、この微細パターンの形成には通常何枚もの転写用マスクが使用される。半導体デバイスのパターンを微細化するに当たっては、転写用マスクに形成されるマスクパターンの微細化に加え、フォトリソグラフィーで使用される露光光源の波長の短波長化が必要となる。近年、半導体装置を製造する際の露光光源にArFエキシマレーザー(波長193nm)が適用されることが増えてきている。
転写用マスクの一種に、ハーフトーン型位相シフトマスクがある。ハーフトーン型位相シフトマスクのマスクブランクとして、透光性基板上にケイ素及び窒素を含有する材料で構成される位相シフト膜、クロム系材料で構成される遮光膜、無機系材料で構成されるエッチングマスク膜(ハードマスク膜)が積層された構造を有するマスクブランクが以前より知られている。このマスクブランクを用いてハーフトーン型位相シフトマスクを製造する場合、先ず、マスクブランクの表面に形成したレジストパターンをマスクとしてフッ素系ガスによるドライエッチングでエッチングマスク膜をパターニングし、次にエッチングマスク膜をマスクとして塩素と酸素の混合ガスによるドライエッチングで遮光膜をパターニングし、さらに遮光膜のパターンをマスクとしてフッ素系ガスによるドライエッチングで位相シフト膜をパターニングする。
例えば、特許文献1においては、窒素含有量が50%以上である高窒化SiN系材料で形成された位相シフト膜を有し、ArFエキシマレーザーの露光光を10%以上の透過率で透過させる機能と、150度以上200度以下の位相差を生じさせる機能とを有するハーフトーン型位相シフトマスクが提案されている。
特開2018-91889号公報
近年における、パターンの微細化、複雑化に伴い、より高解像のパターン転写を可能にするために、ArFエキシマレーザーの露光光に対する透過率をより高くした位相シフト膜が要求されている。この露光光に対する透過率を高めることで、位相シフト効果を高めることができる。そして、この位相シフト膜を備える位相シフトマスクを露光装置にセットして転写対象物(半導体基板上のレジスト膜等)に対して露光転写するときに、露光マージンを確保することができる。この露光光に対する透過率を高めるためには、位相シフト膜に酸素を含有させることが有効である。ところが、位相シフト膜に酸素を含有させることにより、位相シフト膜の屈折率が低くなってしまい、得られる位相差も減少してしまう。減少した位相差を補って所望の位相差を確保するためには、位相シフト膜の膜厚を厚くする必要がある。しかしながら、位相シフト膜の膜厚が厚くなると、光学的な性能が低下してしまい、転写対象物に対して露光転写をしたときの転写像のCD面内均一性(CD Uniformity)が低下するという問題があった。
本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、ArFエキシマレーザーの露光光に対する位相シフト効果を高めることができるとともに、露光マージンを確保することができ、光学的な性能が良好な位相シフトマスクを製造することのできるマスクブランクを提供することを目的としている、また、本発明は、ArFエキシマレーザーの露光光に対する位相シフト効果を高めることができるとともに、露光マージンを確保することができ、光学的な性能が良好な位相シフトマスクを提供することを目的としている。そして、本発明は、このような位相シフトマスクを用いた半導体デバイスの製造方法を提供する。
本発明は上記の課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(構成1)
透光性基板上に、位相シフト膜を備えたマスクブランクであって、
前記位相シフト膜は、ハフニウム、ケイ素および酸素を含有し、
前記位相シフト膜のハフニウムおよびケイ素の合計含有量に対するハフニウムの含有量の原子%による比率は、0.4以上であり、
前記位相シフト膜のArFエキシマレーザーの露光光の波長における屈折率nは2.5以上であり、
前記位相シフト膜の前記露光光の波長における消衰係数kは0.30以下であることを特徴とするマスクブランク。
(構成2)
前記位相シフト膜の前記露光光の波長における屈折率nは、2.9以下であることを特徴とする構成1記載のマスクブランク。
(構成3)
前記位相シフト膜の前記露光光の波長における消衰係数kは、0.05以上であることを特徴とする構成1または2に記載のマスクブランク。
(構成4)
前記位相シフト膜の酸素の含有量は、60原子%以上であることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成5)
前記位相シフト膜の膜厚は、65nm以下であることを特徴とする構成1から4のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成6)
前記位相シフト膜は、ハフニウム、ケイ素および酸素の合計含有量が90原子%以上であることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成7)
前記位相シフト膜は、前記露光光を20%以上の透過率で透過させる機能と、前記位相シフト膜を透過した前記露光光に対して前記位相シフト膜の厚さと同じ距離だけ空気中を通過した前記露光光との間で150度以上210度以下の位相差を生じさせる機能とを有することを特徴とする構成1から6のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成8)
前記位相シフト膜上に、遮光膜を備えることを特徴とする構成1から7のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成9)
透光性基板上に、転写パターンを有する位相シフト膜を備えた位相シフトマスクであって、
前記位相シフト膜は、ハフニウム、ケイ素および酸素を含有し、
前記位相シフト膜は、ハフニウムおよびケイ素の合計含有量に対するハフニウムの含有量の原子%による比率が、0.4以上であり、
前記位相シフト膜のArFエキシマレーザーの露光光の波長における屈折率nが2.5以上であり、
前記位相シフト膜の前記露光光の波長における消衰係数kが0.30以下であることを特徴とする位相シフトマスク。
(構成10)
前記位相シフト膜の前記露光光の波長における屈折率nは、2.9以下であることを特徴とする構成9記載の位相シフトマスク。
(構成11)
前記位相シフト膜の前記露光光の波長における消衰係数kは、0.05以上であることを特徴とする構成9または10に記載の位相シフトマスク。
(構成12)
前記位相シフト膜の酸素の含有量は、60原子%以上であることを特徴とする構成9から11のいずれかに記載の位相シフトマスク。
(構成13)
前記位相シフト膜の膜厚は、65nm以下であることを特徴とする構成9から12のいずれかに記載の位相シフトマスク。
(構成14)
前記位相シフト膜は、ハフニウム、ケイ素および酸素の合計含有量が90原子%以上であることを特徴とする構成9から13のいずれかに記載の位相シフトマスク。
(構成15)
前記位相シフト膜は、前記露光光を20%以上の透過率で透過させる機能と、前記位相シフト膜を透過した前記露光光に対して前記位相シフト膜の厚さと同じ距離だけ空気中を通過した前記露光光との間で150度以上210度以下の位相差を生じさせる機能とを有することを特徴とする構成9から14のいずれかに記載の位相シフトマスク。
(構成16)
前記位相シフト膜上に、遮光帯を含むパターンを有する遮光膜を備えることを特徴とする構成9から15のいずれかに記載の位相シフトマスク。
(構成17)
構成16記載の位相シフトマスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
以上の構成を有する本発明のマスクブランクは、透光性基板上に、位相シフト膜を備えたマスクブランクであって、前記位相シフト膜は、ハフニウム、ケイ素および酸素を含有し、前記位相シフト膜のハフニウムおよびケイ素の合計含有量に対するハフニウムの含有量の原子%による比率は、0.4以上であり、前記位相シフト膜のArFエキシマレーザーの露光光の波長における屈折率nは2.5以上であり、前記位相シフト膜の前記露光光の波長における消衰係数kは0.10以上0.30以下であることを特徴とする。このため、ArFエキシマレーザーの露光光に対する位相シフト効果を高めることができるとともに、露光マージンを確保することができ、光学的な性能が良好な位相シフトマスクを製造することができる。さらに、この位相シフトマスクを用いた半導体デバイスの製造において、半導体デバイス上のレジスト膜等に精度良好にパターンを転写することが可能になる。
マスクブランクの実施形態の断面概略図である。 位相シフトマスクの製造工程を示す断面概略図である。
以下、本発明の各実施の形態について説明するが、まず本発明に至った経緯について説明する。従来の位相シフト膜は、既に述べたように、ケイ素及び窒素を含有する材料で形成されており、主成分はケイ素及び窒素であった。また、モリブデン等の金属を含む位相シフト膜もあったが、主成分はケイ素及び窒素であるものが主流であった。これに対し、本発明者は、まず、位相シフト膜の材料を、ハフニウム、ケイ素、酸素を含有するものとした。そして、位相シフト膜における、ハフニウムとケイ素の合計含有量[原子%]に対するハフニウムの含有量[原子%]の比率(以下、Hf/[Hf+Si]比率という。)、並びに、ArFエキシマレーザーの露光光の波長における屈折率nおよび消衰係数k(以下、これらを単に屈折率n、消衰係数kという場合がある。)に着目した。そして、このHf/[Hf+Si]比率と、屈折率n、および消衰係数kとの間に相関があることを見出した。位相シフト膜の屈折率n、および消衰係数kは、その位相シフト膜の位相差、透過率、および膜厚を決定するのに大きく関係する。本発明者らはさらに検討を行い、ハフニウム、ケイ素、酸素を含有する位相シフト膜において、このHf/[Hf+Si]比率が0.4以上、屈折率nが2.5以上、消衰係数kが0.30以下とすることで、ArFエキシマレーザーの露光光に対する位相シフト効果を高めることができるとともに、露光マージンを確保することができ、光学的な性能が良好な位相シフトマスクを製造することができることを見出した。
以下、図面に基づいて、上述した本発明の詳細な構成を説明する。なお、各図において同様の構成要素には同一の符号を付して説明を行う。
〈マスクブランク〉
図1に、マスクブランクの実施形態の概略構成を示す。図1に示すマスクブランク100は、透光性基板1における一方の主表面上に、位相シフト膜2、遮光膜3、及び、ハードマスク膜4がこの順に積層された構成である。マスクブランク100は、必要に応じてハードマスク膜4を設けない構成であってもよい。また、マスクブランク100は、ハードマスク膜4上に、必要に応じてレジスト膜を積層させた構成であってもよい。以下、マスクブランク100の主要構成部の詳細を説明する。
[透光性基板]
透光性基板1は、リソグラフィーにおける露光工程で用いられる露光光に対して透過性が良好な材料で構成されている。このような材料としては、合成石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO-TiOガラス等)、その他各種のガラス基板を用いることができる。特に、合成石英ガラスを用いた基板は、ArFエキシマレーザー光(波長:約193nm)に対する透過性が高いので、マスクブランク100の透光性基板1として好適に用いることができる。
尚、ここで言うリソグラフィーにおける露光工程とは、このマスクブランク100を用いて作製された位相シフトマスクを使用したリソグラフィーにおける露光工程であり、露光光とは、特に断りの無い限り、ArFエキシマレーザー光(波長:193nm)を指すものとする。
透光性基板1を形成する材料の露光光における屈折率は、1.5以上1.6以下であることが好ましく、1.52以上1.59以下であるとより好ましく、1.54以上1.58以下であるとさらに好ましい。
[位相シフト膜]
位相シフト膜2は、露光光を20%以上の透過率で透過させる機能を有していることが好ましい。位相シフト膜2の内部を透過した露光光と空気中を透過した露光光との間で十分な位相シフト効果を生じさせるためである。また、位相シフト膜2の露光光に対する透過率は、75%以下であると好ましく、70%以下であるとより好ましい。位相シフト膜2の膜厚を、光学的な性能を確保できる適正な範囲に抑えるためである。
位相シフト膜2は、適切な位相シフト効果を得るために、この位相シフト膜2を透過した露光光に対し、この位相シフト膜2の厚さと同じ距離だけ空気中を通過した露光光との間で150度以上210度以下の位相差を生じさせる機能を有するように調整されていることが好ましい。位相シフト膜2における前記位相差は、155度以上であることがより好ましく、160度以上であるとさらに好ましい。他方、位相シフト膜2における位相差は、195度以下であることがより好ましく、190度以下であるとさらに好ましい。
位相シフト膜2の全体で、上記の透過率、位相差の各条件を少なくとも満たすために、露光光の波長に対する屈折率n(以下、単に屈折率nという。)は、2.5以上であることが好ましく、2.6よりも大きいとより好ましく、2.62以上であるとさらに好ましい。また、位相シフト膜2の屈折率nは、2.9以下であることが好ましく、2.88以下であるとより好ましい。位相シフト膜2の消衰係数kは、0.05以上であると好ましく、0.1よりも大きいとより好ましく、0.12以上であるとさらに好ましい。また、位相シフト膜2の露光光の波長に対する消衰係数k(以下、単に消衰係数kという。)は、0.30以下であると好ましく、0.28以下であるとより好ましい。なお、位相シフト膜2の屈折率nおよび消衰係数kは、位相シフト膜2の全体を光学的に均一な1つの層とみなして導出された数値である。
位相シフト膜2を含む薄膜の屈折率nと消衰係数kは、その薄膜の組成だけで決まるものではない。その薄膜の膜密度や結晶状態なども屈折率nや消衰係数kを左右する要素である。このため、反応性スパッタリングで薄膜を成膜するときの諸条件を調整して、その薄膜が所望の屈折率nおよび消衰係数kとなるように成膜する。位相シフト膜2を、上記の屈折率nと消衰係数kの範囲にするには、反応性スパッタリングで成膜する際に、貴ガスと反応性ガス(酸素ガス、窒素ガス等)の混合ガスの比率を調整することだけに限られない。反応性スパッタリングで成膜する際における成膜室内の圧力、スパッタリングターゲットに印加する電力、ターゲットと透光性基板1との間の距離等の位置関係など多岐にわたる。これらの成膜条件は成膜装置に固有のものであり、形成される薄膜が所望の屈折率nおよび消衰係数kになるように適宜調整されるものである。
位相シフト膜2の膜厚は、光学的な性能を確保するために、65nm以下であると好ましく、62nm以下であるとより好ましい。また、位相シフト膜2の膜厚は、所望の位相差を生じさせる機能を確保するために、50nm以上であることが好ましく、52nm以上であるとより好ましい。
位相シフト膜2は、ハフニウム、ケイ素および酸素を含有する材料で形成されていることが好ましい。この位相シフト膜2は、ハフニウム、ケイ素および酸素の合計含有量が90原子%以上であると好ましく、95原子%以上であるとより好ましく、97原子%以上であるとさらに好ましい。これにより、透過率を高めることができると共に、酸素を含有させることによる膜厚の増大を抑制できる。さらに、位相シフト膜2は、成膜時に混入する貴ガスおよび不純物を除き、ハフニウム、ケイ素および酸素のみで構成されると特に好ましい。この位相シフト膜2は、ホウ素を含有する塩素系ガス、好ましくはBClガスとClガスの混合ガスを用いたドライエッチングによってパターニングが可能であり、後述の遮光膜3に対して、十分なエッチング選択性を有する。
位相シフト膜2の酸素の含有量は、透過率を高める観点から、60原子%以上であることが好ましく、62原子%以上であるとより好ましい。位相シフト膜2の酸素の含有量は、膜の表面粗さを低減する観点から、67原子%以下であることが好ましく、66原子%以下であるとより好ましい。また、位相シフト膜2は、上記の光学特性を満たすのであれば、さらに、半金属元素、非金属元素、金属元素から選ばれる1以上の元素をそれぞれ3原子%以下の範囲までは含有していてもよい。特に、窒素、炭素、水素といった軽元素は、不可避的にそれぞれ5原子%以下の範囲までは、許容される。
また、位相シフト膜2における、ハフニウムおよびケイ素の合計含有量に対するハフニウムの含有量の原子%による比率(Hf/[Hf+Si]比率)は、0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。位相シフト膜2の膜厚を適正な範囲にするためである。また、この比率Hf/[Hf+Si]は、0.9以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましい。位相シフト膜2の透過率を高めるためである。
位相シフト膜2は、組成が均一な単層膜であることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではなく、複数層で形成されるものであってもよく、厚さ方向で組成傾斜した構成であってもよい。
なお、位相シフト膜2は、膜中の全ての領域で上記のHf/[Hf+Si]比率、屈折率n、および消衰係数kの範囲を満たす必要はない。位相シフト膜2は、その全体を均一な一つの膜とみなした場合に、上記のHf/[Hf+Si]比率、屈折率n、および消衰係数kの範囲を満たすものであればよい。位相シフト膜2が多層構造である場合、それを構成する全ての層が上記のHf/[Hf+Si]比率、屈折率n、および消衰係数kの範囲を満たす必要はない。位相シフト膜2の全体を一つの膜とみなした場合に、上記のHf/[Hf+Si]比率、屈折率n、および消衰係数kの範囲を満たせばよい。例えば、位相シフト膜2を複数層で形成し、最上層(位相シフト膜2の透光性基板1側とは反対側の表面の層)をケイ素と酸素を主成分とする材料(ケイ素と酸素の合計含有量が80原子%以上)で形成した構成としてもよい。
[遮光膜]
マスクブランク100は、位相シフト膜2上に遮光膜3を備える。一般に、位相シフトマスクでは、転写パターンが形成される領域(転写パターン形成領域)の外周領域は、露光装置を用いて半導体ウェハ上のレジスト膜に露光転写した際に外周領域を透過した露光光による影響をレジスト膜が受けないように、所定値以上の光学濃度(OD)を確保することが求められている。位相シフトマスクの外周領域は、ODが2.8以上であると好ましく、3.0以上であるとより好ましい。上述のように、位相シフト膜2は所定の透過率で露光光を透過する機能を有しており、位相シフト膜2だけでは所定値の光学濃度を確保することは困難である。このため、マスクブランク100を製造する段階で位相シフト膜2の上に、不足する光学濃度を確保するために遮光膜3を積層しておくことが必要とされる。このようなマスクブランク100の構成とすることで、位相シフトマスク200(図2参照)を製造する途上で、位相シフト効果を使用する領域(基本的に転写パターン形成領域)の遮光膜3を除去すれば、外周領域に所定値の光学濃度が確保された位相シフトマスク200を製造することができる。
遮光膜3は、単層構造および2層以上の積層構造のいずれも適用可能である。また、単層構造の遮光膜3および2層以上の積層構造の遮光膜3の各層は、膜または層の厚さ方向でほぼ同じ組成である構成であっても、層の厚さ方向で組成傾斜した構成であってもよい。
図1に記載の形態におけるマスクブランク100は、位相シフト膜2の上に、他の膜を介さずに遮光膜3を積層した構成としている。この構成の場合の遮光膜3は、位相シフト膜2にパターンを形成する際に用いられるエッチングガスに対して十分なエッチング選択性を有する材料を適用する必要がある。この場合の遮光膜3は、クロムを含有する材料で形成することが好ましい。遮光膜3を形成するクロムを含有する材料としては、クロム金属のほか、クロムに酸素、窒素、炭素、ホウ素およびフッ素から選ばれる一以上の元素を含有する材料が挙げられる。
一般に、クロム系材料は、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスでエッチングされるが、クロム金属はこのエッチングガスに対するエッチングレートがあまり高くない。塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスのエッチングガスに対するエッチングレートを高める点を考慮すると、遮光膜3を形成する材料としては、クロムに酸素、窒素、炭素、ホウ素およびフッ素から選ばれる一以上の元素を含有する材料が好ましい。また、遮光膜3を形成するクロムを含有する材料にモリブデン、インジウムおよびスズのうち一以上の元素を含有させてもよい。モリブデン、インジウムおよびスズのうち一以上の元素を含有させることで、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスに対するエッチングレートをより速くすることができる。
また、位相シフト膜2を形成する材料との間でドライエッチングに対するエッチング選択性が得られるのであれば、ケイ素を含有する材料で遮光膜3を形成してもよい。特に、遷移金属とケイ素を含有する材料は遮光性能が高く、遮光膜3の厚さを薄くすることが可能である。遮光膜3に含有させる遷移金属としては、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ハフニウム(Hf)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、パラジウム(Pd)等のいずれか1つの金属またはこれらの金属の合金が挙げられる。遮光膜3に含有させる遷移金属元素以外の金属元素としては、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、スズ(Sn)およびガリウム(Ga)などが挙げられる。
一方、遮光膜3は、位相シフト膜2側から、クロムを含有する層と遷移金属とケイ素を含有する層をこの順に積層した構造を備えてもよい。この場合におけるクロムを含有する層および遷移金属とケイ素を含有する層の材料の具体的な事項については、上記の遮光膜3の場合と同様である。
[ハードマスク膜]
ハードマスク膜4は、遮光膜3の表面に接して設けられている。ハードマスク膜4は、遮光膜3をエッチングする際に用いられるエッチングガスに対してエッチング耐性を有する材料で形成された膜である。このハードマスク膜4は、遮光膜3にパターンを形成するためのドライエッチングが終わるまでの間、エッチングマスクとして機能することができるだけの膜の厚さがあれば十分であり、基本的に光学特性の制限を受けない。このため、ハードマスク膜4の厚さは遮光膜3の厚さに比べて大幅に薄くすることができる。
このハードマスク膜4は、遮光膜3がクロムを含有する材料で形成されている場合は、ケイ素を含有する材料で形成されることが好ましい。なお、この場合のハードマスク膜4は、有機系材料のレジスト膜との密着性が低い傾向があるため、ハードマスク膜4の表面をHMDS(Hexamethyldisilazane)処理を施し、表面の密着性を向上させることが好ましい。なお、この場合のハードマスク膜4は、SiO、SiN、SiON等で形成されるとより好ましい。
また、遮光膜3がクロムを含有する材料で形成されている場合におけるハードマスク膜4の材料として、前記のほか、タンタルを含有する材料も適用可能である。この場合におけるタンタルを含有する材料としては、タンタル金属のほか、タンタルに窒素、酸素、ホウ素および炭素から選ばれる一以上の元素を含有させた材料などが挙げられる。たとえば、Ta、TaN、TaO、TaON、TaBN、TaBO、TaBON、TaCN、TaCO、TaCON、TaBCN、TaBOCN、などが挙げられる。また、ハードマスク膜4は、遮光膜3がケイ素を含有する材料で形成されている場合、前記のクロムを含有する材料で形成されることが好ましい。
マスクブランク100において、ハードマスク膜4の表面に接して、有機系材料のレジスト膜が100nm以下の膜厚で形成されていることが好ましい。DRAM hp32nm世代に対応する微細パターンの場合、ハードマスク膜4に形成すべき転写パターン(位相シフトパターン)に、線幅が40nmのSRAF(Sub-Resolution Assist Feature)が設けられることがある。しかし、この場合でも、レジストパターンの断面アスペクト比が1:2.5と低くすることができるので、レジスト膜の現像時、リンス時等にレジストパターンが倒壊や脱離することを抑制できる。なお、レジスト膜は、膜厚が80nm以下であるとより好ましい。
[レジスト膜]
マスクブランク100において、ハードマスク膜4の表面に接して、有機系材料のレジスト膜が100nm以下の膜厚で形成されていることが好ましい。DRAM hp32nm世代に対応する微細パターンの場合、遮光膜3に形成すべき遮光パターンに、線幅が40nmのSRAF(Sub-Resolution Assist Feature)が設けられることがある。しかし、この場合でも上述のようにハードマスク膜4を設けたことによってレジスト膜の膜厚を抑えることができ、これによってこのレジスト膜で構成されたレジストパターンの断面アスペクト比を1:2.5と低くすることができる。したがって、レジスト膜の現像時、リンス時等にレジストパターンが倒壊や脱離することを抑制することができる。なお、レジスト膜は、膜厚が80nm以下であることがより好ましい。レジスト膜は、電子線描画露光用のレジストであると好ましく、さらにそのレジストが化学増幅型であるとより好ましい。
[マスクブランクの製造手順]
以上の構成のマスクブランク100は、次のような手順で製造する。先ず、透光性基板1を用意する。この透光性基板1は、端面及び主表面が所定の表面粗さ(例えば、一辺が1μmの四角形の内側領域内において自乗平均平方根粗さRqが0.2nm以下)に研磨され、その後、所定の洗浄処理及び乾燥処理を施されたものである。
次に、この透光性基板1上に、スパッタリング法によって位相シフト膜2を成膜する。位相シフト膜2を成膜した後には、所定の加熱温度でのアニール処理を適宜行う。次に、位相シフト膜2上に、スパッタリング法によって上記の遮光膜3を成膜する。そして、遮光膜3上にスパッタリング法によって、上記のハードマスク膜4を成膜する。スパッタリング法による成膜においては、上記の各膜を構成する材料を所定の組成比で含有するスパッタリングターゲット及びスパッタリングガスを用い、さらに必要に応じて上述の貴ガスと反応性ガスとの混合ガスをスパッタリングガスとして用いた成膜を行う。この後、このマスクブランク100がレジスト膜を有するものである場合には、必要に応じてハードマスク膜4の表面に対してHMDS(Hexamethyldisilazane)処理を施す。そして、HMDS処理がされたハードマスク膜4の表面上に、スピンコート法等の塗布法によってレジスト膜を形成し、マスクブランク100を完成させる。
〈位相シフトマスクの製造方法〉
図2に、上記実施形態のマスクブランク100から製造される本発明の実施形態に係る位相シフトマスク200とその製造工程を示す。図2(g)に示されているように、位相シフトマスク200は、マスクブランク100の位相シフト膜2に転写パターンである位相シフトパターン2aが形成され、遮光膜3に遮光帯を含むパターンを有する遮光パターン3bが形成されていることを特徴としている。マスクブランク100にハードマスク膜4が設けられている構成の場合、この位相シフトマスク200の作成途上でハードマスク膜4は除去される。
本発明の実施形態に係る位相シフトマスク200の製造方法は、前記のマスクブランク100を用いるものであり、ドライエッチングにより遮光膜3に転写パターンを形成する工程と、転写パターンを有する遮光膜3をマスクとするドライエッチングにより位相シフト膜2に転写パターンを形成する工程と、遮光パターンを有するレジスト膜(レジストパターン6b)をマスクとするドライエッチングにより遮光膜3に遮光パターン3bを形成する工程とを備えることを特徴としている。以下、図2に示す製造工程にしたがって、本発明の位相シフトマスク200の製造方法を説明する。なお、ここでは、遮光膜3の上にハードマスク膜4が積層したマスクブランク100を用いた位相シフトマスク200の製造方法について説明する。また、遮光膜3にはクロムを含有する材料を適用し、ハードマスク膜4にはケイ素を含有する材料を適用した場合について述べる。
まず、マスクブランク100におけるハードマスク膜4に接して、レジスト膜をスピン塗布法によって形成する。次に、レジスト膜に対して、位相シフト膜2に形成すべき転写パターン(位相シフトパターン)である第1のパターンを電子線で露光描画し、さらに現像処理等の所定の処理を行い、位相シフトパターンを有する第1のレジストパターン5aを形成した(図2(a)参照)。続いて、第1のレジストパターン5aをマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングを行い、ハードマスク膜4に第1のパターン(ハードマスクパターン4a)を形成した(図2(b)参照)。
次に、レジストパターン5aを除去してから、ハードマスクパターン4aをマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを用いたドライエッチングを行い、遮光膜3に第1のパターン(遮光パターン3a)を形成する(図2(c)参照)。続いて、遮光パターン3aをマスクとして、ホウ素を含有する塩素系ガスを用いたドライエッチングを行い、位相シフト膜2に第1のパターン(位相シフトパターン2a)を形成し、かつハードマスクパターン4aを除去した(図2(d)参照)。
次に、マスクブランク100上にレジスト膜をスピン塗布法によって形成した。次に、レジスト膜に対して、遮光膜3に形成すべきパターン(遮光パターン)である第2のパターンを電子線で露光描画し、さらに現像処理等の所定の処理を行い、遮光パターンを有する第2のレジストパターン6bを形成した(図2(e)参照)。続いて、第2のレジストパターン6bをマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを用いたドライエッチングを行い、遮光膜3に第2のパターン(遮光パターン3b)を形成した(図2(f)参照)。さらに、第2のレジストパターン6bを除去し、洗浄等の所定の処理を経て、位相シフトマスク200を得た(図2(g)参照)。
前記のドライエッチングで使用される塩素系ガスとしては、Clが含まれていれば特に制限はない。たとえば、Cl、SiCl、CHCl、CHCl、CCl、BCl等があげられる。また、前記のドライエッチングで使用されるホウ素を含有する塩素系ガスとしては、BとClが含まれていれば特に制限はない。たとえば、BCl等があげられる。特に、BClガスとClガスの混合ガスは、ハフニウムに対するエッチングレートが比較的高いため、好ましい。
図2に示す製造方法によって製造された位相シフトマスク200は、透光性基板1上に、転写パターンを有する位相シフト膜2(位相シフトパターン2a)を備えた位相シフトマスクである。
このように位相シフトマスク200を製造することにより、ArFエキシマレーザーの露光光に対する位相シフト効果を高めることができるとともに、露光マージンを確保することができ、光学的な性能が良好な位相シフトマスク200を得ることができる。
さらに、本発明の半導体デバイスの製造方法は、前記の位相シフトマスク200を用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴としている。
本発明の位相シフトマスク200やマスクブランク100は、上記の通りの効果を有するため、ArFエキシマレーザーを露光光とする露光装置のマスクステージに位相シフトマスク200をセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する際、半導体デバイス上のレジスト膜に、高いCD面内均一性(CD Uniformity)で転写パターンを転写することができる。このため、このレジスト膜のパターンをマスクとして、その下層膜をドライエッチングして回路パターンを形成した場合、CD面内均一性の低下に起因する配線短絡や断線のない高精度の回路パターンを形成することができる。
以下、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明するための、実施例1~4および比較例1~4について述べる。
〈実施例1〉
[マスクブランクの製造]
図1を参照し、主表面の寸法が約152mm×約152mmで、厚さが約6.35mmの合成石英ガラスで構成される透光性基板1を準備した。この透光性基板1は、端面及び主表面が所定の表面粗さ(Rqで0.2nm以下)に研磨され、その後、所定の洗浄処理及び乾燥処理が施されている。分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)を用いて透光性基板1の各光学特性を測定したところ、波長193nmの光における屈折率は1.556、消衰係数は0.000であった。
次に、枚葉式RFスパッタリング装置内に透光性基板1を設置し、HfOターゲットとSiOターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、透光性基板1上に、ハフニウム、ケイ素及び酸素で構成される位相シフト膜2を55nmの厚さで形成した。
次に、この位相シフト膜2が形成された透光性基板1に対して、位相シフト膜2の膜応力を低減するための加熱処理を行った。位相シフト量測定装置(レーザーテック社製 MPM193)を用いて、加熱処理後の位相シフト膜2の波長193nmの光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が27.6%、位相差が177.2度(deg)であった。また、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)を用いて位相シフト膜2の各光学特性を測定したところ、波長193nmの光における屈折率nは2.769、消衰係数kは0.259であった。別の透光性基板上に同じ成膜条件で位相シフト膜を形成した。さらに、その位相シフト膜に対し、X線光電子分光法による分析(XPS分析)を行った。その結果、位相シフト膜の組成は、Hf:Si:O=25.5:8.6:65.9(原子%比)であった。また、Hf/[Hf+Si]比率は、0.75であった。
次に、枚葉式RFスパッタリング装置内に位相シフト膜2が形成された透光性基板1を設置し、クロム(Cr)ターゲットを用いて、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO)及びヘリウム(He)の混合ガス雰囲気での反応性スパッタリング(RFスパッタリング)を行った。これにより、位相シフト膜2に接して、クロム、酸素及び炭素で構成される遮光膜(CrOC膜)3を49nmの膜厚で形成した。別の透光性基板上に同じ成膜条件で遮光膜を形成した。さらに、その遮光膜に対し、X線光電子分光法による分析(XPS分析)を行った。その結果、遮光膜の組成は、Cr:O:C=70.8:15.1:14.1(原子%比)であった。
次に、上記遮光膜(CrOC膜)3が形成された透光性基板1に対して、加熱処理を施した。加熱処理後、位相シフト膜2及び遮光膜3が積層された透光性基板1に対し、分光光度計(アジレントテクノロジー社製 Cary4000)を用い、位相シフト膜2と遮光膜3の積層構造のArFエキシマレーザーの光の波長(約193nm)における光学濃度を測定したところ、3.0以上であることが確認できた。
次に、枚葉式RFスパッタリング装置内に、位相シフト膜2及び遮光膜3が積層された透光性基板1を設置し、二酸化ケイ素(SiO)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガスをスパッタリングガスとし、RFスパッタリングにより遮光膜3の上に、ケイ素及び酸素で構成されるハードマスク膜4を12nmの厚さで形成した。さらに所定の洗浄処理を施し、実施例1のマスクブランク100を製造した。
[位相シフトマスクの製造]
次に、この実施例1のマスクブランク100を用い、以下の手順で実施例1のハーフトーン型の位相シフトマスク200を製造した。最初に、ハードマスク膜4の表面にHMDS処理を施した。続いて、スピン塗布法によって、ハードマスク膜4の表面に接して、電子線描画用化学増幅型レジストで構成されるレジスト膜を膜厚80nmで形成した。次に、このレジスト膜に対して、位相シフト膜2に形成すべき位相シフトパターンである第1のパターンを電子線描画し、所定の現像処理及び洗浄処理を行い、第1のパターンを有するレジストパターン5aを形成した(図2(a)参照)。
次に、レジストパターン5aをマスクとし、CFガスを用いたドライエッチングを行い、ハードマスク膜4に第1のパターン(ハードマスクパターン4a)を形成した(図2(b)参照)。
次に、レジストパターン5aを除去した。続いて、ハードマスクパターン4aをマスクとし、塩素ガス(Cl)と酸素ガス(O)の混合ガスを用いたドライエッチングを行い、遮光膜3に第1のパターン(遮光パターン3a)を形成した(図2(c)参照)。
次に、遮光パターン3aをマスクとし、BClガスとClガスの混合ガスを用いたドライエッチングを行い、位相シフト膜2に第1のパターン(位相シフトパターン2a)を形成し、かつ同時にハードマスクパターン4aを除去した(図2(d)参照)。
次に、遮光パターン3a上に、スピン塗布法によって、電子線描画用化学増幅型レジストで構成されるレジスト膜を膜厚150nmで形成した。次に、レジスト膜に対して、遮光膜に形成すべきパターン(遮光帯パターンを含むパターン)である第2のパターンを露光描画し、さらに現像処理等の所定の処理を行い、遮光パターンを有するレジストパターン6bを形成した(図2(e)参照)。続いて、レジストパターン6bをマスクとして、塩素ガス(Cl)と酸素ガス(O)の混合ガスを用いたドライエッチングを行い、遮光膜3に第2のパターン(遮光パターン3b)を形成した(図2(f)参照)。さらに、レジストパターン6bを除去し、洗浄等の所定の処理を経て、位相シフトマスク200を得た(図2(g)参照)。
[パターン転写性能の評価]
以上の手順を得て作製された位相シフトマスク200に対し、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、波長193nmの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションの露光転写像を検証したところ、CD面内均一性が高く、設計仕様を十分に満たしていた。この結果から、この実施例1の位相シフトマスク200を露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したとしても、最終的に半導体デバイス上に形成される回路パターンは高精度で形成できるといえる。
〈実施例2〉
[マスクブランクの製造]
実施例2のマスクブランク100は、位相シフト膜2、そして遮光膜3の膜厚以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例2の位相シフト膜2は、実施例1の位相シフト膜2とは成膜条件を変更している。具体的には、枚葉式RFスパッタリング装置内に透光性基板1を設置し、HfOターゲットとSiOターゲットにそれぞれに印加するパワー比を変更して、アルゴン(Ar)ガス雰囲気での反応性スパッタリング(RFスパッタリング)を行った。これにより、透光性基板1上に、ハフニウム、ケイ素及び酸素で構成される位相シフト膜2を57.8nmの厚さで形成した。
次に、この位相シフト膜2が形成された透光性基板1に対して、位相シフト膜2の膜応力を低減するための加熱処理を行った。位相シフト量測定装置(レーザーテック社製 MPM193)を用いて、加熱処理後の位相シフト膜2の波長193nmの光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が32.0%、位相差が176.9度(deg)であった。また、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)を用いて位相シフト膜2の各光学特性を測定したところ、波長193nmの光における屈折率nは2.681、消衰係数kは0.216であった。別の透光性基板上に同じ成膜条件で位相シフト膜を形成した。さらに、その位相シフト膜に対し、X線光電子分光法による分析(XPS分析)を行った。その結果、位相シフト膜の組成は、Hf:Si:O=23.4:10.5:66.1(原子%比)であった。また、Hf/[Hf+Si]比率は、0.69であった。
次に、実施例1と同様の手順で、位相シフト膜2に接して、クロム、酸素及び炭素で構成される遮光膜(CrOC膜)3を51nmの膜厚で形成した。実施例2の位相シフト膜2及び遮光膜3が積層された透光性基板1に対し、分光光度計(アジレントテクノロジー社製 Cary4000)を用い、位相シフト膜2と遮光膜3の積層構造のArFエキシマレーザーの光の波長(約193nm)における光学濃度を測定したところ、3.0以上であることが確認できた。
[位相シフトマスクの製造と評価]
次に、この実施例2のマスクブランク100を用い、実施例1と同様の手順で、実施例2の位相シフトマスク200を製造した。実施例2の位相シフトマスク200に対し、実施例1と同様にAIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、波長193nmの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションの露光転写像を検証したところ、CD面内均一性が高く、設計仕様を十分に満たしていた。この結果から、この実施例2の位相シフトマスク200を露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したとしても、最終的に半導体デバイス上に形成される回路パターンは高精度で形成できるといえる。
〈実施例3〉
[マスクブランクの製造]
実施例3のマスクブランク100は、位相シフト膜2、そして遮光膜3の膜厚以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例3の位相シフト膜2は、実施例1の位相シフト膜2とは成膜条件を変更している。具体的には、枚葉式RFスパッタリング装置内に透光性基板1を設置し、HfOターゲットとSiOターゲットにそれぞれに印加するパワー比を変更して、アルゴン(Ar)ガス雰囲気での反応性スパッタリング(RFスパッタリング)を行った。これにより、透光性基板1上に、ハフニウム、ケイ素及び酸素で構成される位相シフト膜2を60.7nmの厚さで形成した。
次に、この位相シフト膜2が形成された透光性基板1に対して、位相シフト膜2の膜応力を低減するための加熱処理を行った。位相シフト量測定装置(レーザーテック社製 MPM193)を用いて、加熱処理後の位相シフト膜2の波長193nmの光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が36.8%、位相差が177.1度(deg)であった。また、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)を用いて位相シフト膜2の各光学特性を測定したところ、波長193nmの光における屈折率nは2.603、消衰係数kは0.178であった。別の透光性基板上に同じ成膜条件で位相シフト膜を形成した。さらに、その位相シフト膜に対し、X線光電子分光法による分析(XPS分析)を行った。その結果、位相シフト膜の組成は、Hf:Si:O=21.8:12.3:65.9(原子%比)であった。また、Hf/[Hf+Si]比率は、0.64であった。
次に、実施例1と同様の手順で、位相シフト膜2に接して、クロム、酸素及び炭素で構成される遮光膜(CrOC膜)3を52nmの膜厚で形成した。実施例3の位相シフト膜2及び遮光膜3が積層された透光性基板1に対し、分光光度計(アジレントテクノロジー社製 Cary4000)を用い、位相シフト膜2と遮光膜3の積層構造のArFエキシマレーザーの光の波長(約193nm)における光学濃度を測定したところ、3.0以上であることが確認できた。
[位相シフトマスクの製造と評価]
次に、この実施例3のマスクブランク100を用い、実施例1と同様の手順で、実施例3の位相シフトマスク200を製造した。実施例3の位相シフトマスク200に対し、実施例1と同様にAIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、波長193nmの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションの露光転写像を検証したところ、CD面内均一性が高く、設計仕様を十分に満たしていた。この結果から、この実施例3の位相シフトマスク200を露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したとしても、最終的に半導体デバイス上に形成される回路パターンは高精度で形成できるといえる。
〈実施例4〉
[マスクブランクの製造]
実施例4のマスクブランク100は、位相シフト膜2、そして遮光膜3の膜厚以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例4の位相シフト膜2は、実施例1の位相シフト膜2とは成膜条件を変更している。具体的には、枚葉式RFスパッタリング装置内に透光性基板1を設置し、HfOターゲットとSiOターゲットにそれぞれに印加するパワー比を変更して、アルゴン(Ar)ガス雰囲気での反応性スパッタリング(RFスパッタリング)を行った。これにより、透光性基板1上に、ハフニウム、ケイ素及び酸素で構成される位相シフト膜2を62.0nmの厚さで形成した。
次に、この位相シフト膜2が形成された透光性基板1に対して、位相シフト膜2の膜応力を低減するための加熱処理を行った。位相シフト量測定装置(レーザーテック社製 MPM193)を用いて、加熱処理後の位相シフト膜2の波長193nmの光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が38.6%、位相差が177.0度(deg)であった。また、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)を用いて位相シフト膜2の各光学特性を測定したところ、波長193nmの光における屈折率nは2.569、消衰係数kは0.167であった。別の透光性基板上に同じ成膜条件で位相シフト膜を形成した。さらに、その位相シフト膜に対し、X線光電子分光法による分析(XPS分析)を行った。その結果、位相シフト膜の組成は、Hf:Si:O=20.1:13.9:66.0(原子%比)であった。また、Hf/[Hf+Si]比率は、0.59であった。
次に、実施例1と同様の手順で、位相シフト膜2に接して、クロム、酸素及び炭素で構成される遮光膜(CrOC膜)3を52nmの膜厚で形成した。実施例4の位相シフト膜2及び遮光膜3が積層された透光性基板1に対し、分光光度計(アジレントテクノロジー社製 Cary4000)を用い、位相シフト膜2と遮光膜3の積層構造のArFエキシマレーザーの光の波長(約193nm)における光学濃度を測定したところ、3.0以上であることが確認できた。
[位相シフトマスクの製造と評価]
次に、この実施例4のマスクブランク100を用い、実施例1と同様の手順で、実施例4の位相シフトマスク200を製造した。実施例4の位相シフトマスク200に対し、実施例1と同様にAIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、波長193nmの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションの露光転写像を検証したところ、CD面内均一性が高く、設計仕様を十分に満たしていた。この結果から、この実施例4の位相シフトマスク200を露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したとしても、最終的に半導体デバイス上に形成される回路パターンは高精度で形成できるといえる。
〈比較例1〉
[マスクブランクの製造]
比較例1のマスクブランクは、位相シフト膜、そして遮光膜の膜厚以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この比較例1の位相シフト膜は、実施例1の位相シフト膜2とは成膜条件を変更している。具体的には、枚葉式RFスパッタリング装置内に透光性基板を設置し、HfOターゲットを用いて、アルゴン(Ar)ガス雰囲気での反応性スパッタリング(RFスパッタリング)を行った。これにより、透光性基板上に、ハフニウム及び酸素で構成される位相シフト膜を49.5nmの厚さで形成した。
位相シフト量測定装置(レーザーテック社製 MPM193)を用いて、位相シフト膜の波長193nmの光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が17.8%、位相差が176.8度(deg)であった。また、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)を用いて位相シフト膜の各光学特性を測定したところ、波長193nmの光における屈折率nは2.964、消衰係数kは0.408であった。また、位相シフト膜における、ハフニウムおよびケイ素の合計含有量に対するハフニウムの含有量の原子%による比率Hf/[Hf+Si]は、1.000である。
次に、実施例1と同様の手順で、位相シフト膜に接して、クロム、酸素及び炭素で構成される遮光膜(CrOC膜)を45nmの膜厚で形成した。比較例1の位相シフト膜及び遮光膜が積層された透光性基板に対し、分光光度計(アジレントテクノロジー社製 Cary4000)を用い、位相シフト膜と遮光膜の積層構造のArFエキシマレーザーの光の波長(約193nm)における光学濃度を測定したところ、3.0以上であることが確認できた。
[位相シフトマスクの製造と評価]
次に、この比較例1のマスクブランクを用い、実施例1と同様の手順で、比較例1の位相シフトマスクを製造した。比較例1の位相シフトマスクに対し、実施例1と同様にAIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、波長193nmの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションの露光転写像を検証したところ、設計仕様を満たすものではなかった。この原因は、位相シフト膜の透過率を十分に高くできず、パターンを鮮明に転写できなかったことにあると推察される。この結果から、この比較例1の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写した場合、最終的に半導体デバイス上に形成される回路パターンを高精度で形成することは困難であるといえる。
〈比較例2〉
[マスクブランクの製造]
比較例2のマスクブランクは、位相シフト膜、そして遮光膜の膜厚以外については、実施例1と同様の手順で製造した。具体的には、枚葉式RFスパッタリング装置内に透光性基板を設置し、HfOターゲットとSiOターゲットにそれぞれに印加するパワー比を変更して、アルゴン(Ar)ガス雰囲気での反応性スパッタリング(RFスパッタリング)を行った。これにより、透光性基板上に、ハフニウム、ケイ素及び酸素で構成される位相シフト膜を93.2nmの厚さで形成した。
次に、この位相シフト膜が形成された透光性基板に対して、位相シフト膜の膜応力を低減するための加熱処理を行った。位相シフト量測定装置(レーザーテック社製 MPM193)を用いて、加熱処理後の位相シフト膜の波長193nmの光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が77.4%、位相差が177.0度(deg)であった。また、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)を用いて位相シフト膜の各光学特性を測定したところ、波長193nmの光における屈折率nは2.024、消衰係数kは0.039であった。別の透光性基板上に同じ成膜条件で位相シフト膜を形成した。さらに、その位相シフト膜に対し、X線光電子分光法による分析(XPS分析)を行った。その結果、位相シフト膜の組成は、Hf:Si:O=12.2:21.7:66.1(原子%比)であった。また、Hf/[Hf+Si]比率は、0.36であった。
次に、実施例1と同様の手順で、位相シフト膜に接して、クロム、酸素及び炭素で構成される遮光膜(CrOC膜)を58nmの膜厚で形成した。比較例2の位相シフト膜及び遮光膜が積層された透光性基板に対し、分光光度計(アジレントテクノロジー社製 Cary4000)を用い、位相シフト膜と遮光膜の積層構造のArFエキシマレーザーの光の波長(約193nm)における光学濃度を測定したところ、3.0以上であることが確認できた。
[位相シフトマスクの製造と評価]
次に、この比較例2のマスクブランクを用い、実施例1と同様の手順で、比較例2の位相シフトマスクを製造した。比較例2の位相シフトマスクに対し、実施例1と同様にAIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、波長193nmの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションの露光転写像を検証したところ、設計仕様を満たすものではなかった。この原因は、位相シフト膜の膜厚が大きすぎ、位相シフト膜の光学的な性能が低下して露光マージンが確保できなかったことにあると推察される。この結果から、この比較例2の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写した場合、最終的に半導体デバイス上に形成される回路パターンを高精度で形成することは困難であるといえる。
〈比較例3〉
[マスクブランクの製造]
比較例3のマスクブランクは、位相シフト膜、そして遮光膜の膜厚以外については、実施例1と同様の手順で製造した。具体的には、枚葉式RFスパッタリング装置内に透光性基板を設置し、Siターゲットを用いて、アルゴン(Ar)ガス、窒素(N)ガスの混合ガス雰囲気での反応性スパッタリング(RFスパッタリング)を行った。これにより、透光性基板上に、ケイ素及び窒素で構成される位相シフト膜を60.5nmの厚さで形成した。
次に、この位相シフト膜が形成された透光性基板に対して、位相シフト膜の膜応力を低減するための加熱処理を行った。位相シフト量測定装置(レーザーテック社製 MPM193)を用いて、加熱処理後の位相シフト膜の波長193nmの光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が18.8%、位相差が177.0度(deg)であった。また、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)を用いて位相シフト膜の各光学特性を測定したところ、波長193nmの光における屈折率nは2.610、消衰係数kは0.360であった。また、位相シフト膜における、ハフニウムおよびケイ素の合計含有量に対するハフニウムの含有量の原子%による比率Hf/[Hf+Si]は、0.000である。
次に、実施例1と同様の手順で、位相シフト膜に接して、クロム、酸素及び炭素で構成される遮光膜(CrOC膜)を46nmの膜厚で形成した。比較例3の位相シフト膜及び遮光膜が積層された透光性基板に対し、分光光度計(アジレントテクノロジー社製 Cary4000)を用い、位相シフト膜と遮光膜の積層構造のArFエキシマレーザーの光の波長(約193nm)における光学濃度を測定したところ、3.0以上であることが確認できた。
[位相シフトマスクの製造と評価]
次に、この比較例3のマスクブランクを用い、実施例1と同様の手順で、比較例3の位相シフトマスクを製造した。なお、位相シフトパターンを形成する際に、フッ素系ガス(CFガス)を用いてドライエッチングを行った。比較例3の位相シフトマスクに対し、実施例1と同様にAIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、波長193nmの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションの露光転写像を検証したところ、設計仕様を満たすものではなかった。この原因は、位相シフト膜の透過率を十分に高くできず、パターンを鮮明に転写できなかったことにあると推察される。この結果から、この比較例3の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写した場合、最終的に半導体デバイス上に形成される回路パターンを高精度で形成することは困難であるといえる。
〈比較例4〉
[マスクブランクの製造]
比較例4のマスクブランクは、位相シフト膜、そして遮光膜の膜厚以外については、実施例1と同様の手順で製造した。具体的には、枚葉式RFスパッタリング装置内に透光性基板を設置し、Siターゲットを用いて、アルゴン(Ar)ガス、窒素(N)ガス、および酸素(O)ガスの混合ガスの雰囲気での反応性スパッタリング(RFスパッタリング)を行った。これにより、透光性基板上に、ケイ素、酸素及び窒素で構成される位相シフト膜を68.4nmの厚さで形成した。
次に、この位相シフト膜が形成された透光性基板に対して、位相シフト膜の膜応力を低減するための加熱処理を行った。位相シフト量測定装置(レーザーテック社製 MPM193)を用いて、加熱処理後の位相シフト膜の波長193nmの光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が27.6%、位相差が177.0度(deg)であった。また、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)を用いて位相シフト膜の各光学特性を測定したところ、波長193nmの光における屈折率nは2.419、消衰係数kは0.249であった。また、位相シフト膜における、ハフニウムおよびケイ素の合計含有量に対するハフニウムの含有量の原子%による比率Hf/[Hf+Si]は、0.000である。
次に、実施例1と同様の手順で、位相シフト膜2に接して、クロム、酸素及び炭素で構成される遮光膜(CrOC膜)3を49nmの膜厚で形成した。比較例4の位相シフト膜及び遮光膜が積層された透光性基板に対し、分光光度計(アジレントテクノロジー社製 Cary4000)を用い、位相シフト膜と遮光膜の積層構造のArFエキシマレーザーの光の波長(約193nm)における光学濃度を測定したところ、3.0以上であることが確認できた。
[位相シフトマスクの製造と評価]
次に、この比較例4のマスクブランクを用い、実施例1と同様の手順で、比較例4の位相シフトマスクを製造した。なお、位相シフトパターンを形成する際に、フッ素系ガスを用いてドライエッチングを行った。比較例4の位相シフトマスクに対し、実施例1と同様にAIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、波長193nmの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションの露光転写像を検証したところ、設計仕様を満たすものではなかった。この原因は、位相シフト膜の膜厚が大きすぎ、位相シフト膜の光学的な性能が低下して露光マージンが確保できなかったことにあると推察される。この結果から、この比較例4の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写した場合、最終的に半導体デバイス上に形成される回路パターンを高精度で形成することは困難であるといえる。
1 透光性基板
2 位相シフト膜
2a 位相シフトパターン
3 遮光膜
3a,3b 遮光パターン
4 ハードマスク膜
4a ハードマスクパターン
5a レジストパターン
6b レジストパターン
100 マスクブランク
200 位相シフトマスク

Claims (17)

  1. 透光性基板上に、位相シフト膜を備えたマスクブランクであって、
    前記位相シフト膜は、ハフニウム、ケイ素および酸素を含有し、
    前記位相シフト膜のハフニウムおよびケイ素の合計含有量に対するハフニウムの含有量の原子%による比率は、0.4以上であり、
    前記位相シフト膜のArFエキシマレーザーの露光光の波長における屈折率nは2.5以上であり、
    前記位相シフト膜の前記露光光の波長における消衰係数kは0.30以下であることを特徴とするマスクブランク。
  2. 前記位相シフト膜の前記露光光の波長における屈折率nは、2.9以下であることを特徴とする請求項1記載のマスクブランク。
  3. 前記位相シフト膜の前記露光光の波長における消衰係数kは、0.05以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のマスクブランク。
  4. 前記位相シフト膜の酸素の含有量は、60原子%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマスクブランク。
  5. 前記位相シフト膜の膜厚は、65nm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマスクブランク。
  6. 前記位相シフト膜は、ハフニウム、ケイ素および酸素の合計含有量が90原子%以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のマスクブランク。
  7. 前記位相シフト膜は、前記露光光を20%以上の透過率で透過させる機能と、前記位相シフト膜を透過した前記露光光に対して前記位相シフト膜の厚さと同じ距離だけ空気中を通過した前記露光光との間で150度以上210度以下の位相差を生じさせる機能とを有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のマスクブランク。
  8. 前記位相シフト膜上に、遮光膜を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のマスクブランク。
  9. 透光性基板上に、転写パターンを有する位相シフト膜を備えた位相シフトマスクであって、
    前記位相シフト膜は、ハフニウム、ケイ素および酸素を含有し、
    前記位相シフト膜は、ハフニウムおよびケイ素の合計含有量に対するハフニウムの含有量の原子%による比率が、0.4以上であり、
    前記位相シフト膜のArFエキシマレーザーの露光光の波長における屈折率nが2.5以上であり、
    前記位相シフト膜の前記露光光の波長における消衰係数kが0.30以下であることを特徴とする位相シフトマスク。
  10. 前記位相シフト膜の前記露光光の波長における屈折率nは、2.9以下であることを特徴とする請求項9記載の位相シフトマスク。
  11. 前記位相シフト膜の前記露光光の波長における消衰係数kは、0.05以上であることを特徴とする請求項9または10に記載の位相シフトマスク。
  12. 前記位相シフト膜の酸素の含有量は、60原子%以上であることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の位相シフトマスク。
  13. 前記位相シフト膜の膜厚は、65nm以下であることを特徴とする請求項9から12のいずれかに記載の位相シフトマスク。
  14. 前記位相シフト膜は、ハフニウム、ケイ素および酸素の合計含有量が90原子%以上であることを特徴とする請求項9から13のいずれかに記載の位相シフトマスク。
  15. 前記位相シフト膜は、前記露光光を20%以上の透過率で透過させる機能と、前記位相シフト膜を透過した前記露光光に対して前記位相シフト膜の厚さと同じ距離だけ空気中を通過した前記露光光との間で150度以上210度以下の位相差を生じさせる機能とを有することを特徴とする請求項9から14のいずれかに記載の位相シフトマスク。
  16. 前記位相シフト膜上に、遮光帯を含むパターンを有する遮光膜を備えることを特徴とする請求項9から15のいずれかに記載の位相シフトマスク。
  17. 請求項16記載の位相シフトマスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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