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JP2023070977A - マスクブランク、転写用マスク及び半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

マスクブランク、転写用マスク及び半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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JP2023070977A JP2021183510A JP2021183510A JP2023070977A JP 2023070977 A JP2023070977 A JP 2023070977A JP 2021183510 A JP2021183510 A JP 2021183510A JP 2021183510 A JP2021183510 A JP 2021183510A JP 2023070977 A JP2023070977 A JP 2023070977A
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Abstract

【課題】ハフニウムと酸素を含有する薄膜に対する疑似欠陥の検出を抑制でき、光学的な性能が良好な転写用マスクを製造することのできるマスクブランクを提供することを目的としている。【解決手段】基板上に、薄膜を備えるマスクブランクであって、前記薄膜のハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、前記薄膜の酸素含有量は、60原子%以上であり、前記薄膜に対し、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析を行って得られる回折角度2θが25度から35度の範囲でのX線回折プロファイルは、回折角度2θが28度から29度の範囲内に回折強度の最大値を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、マスクブランク、転写用マスク及び半導体デバイスの製造方法に関する。
半導体デバイスの製造工程では、フォトリソグラフィー法を用いて微細パターンの形成が行われている。また、この微細パターンの形成には通常何枚もの転写用マスクが使用される。半導体デバイスのパターンを微細化するに当たっては、転写用マスクに形成されるマスクパターンの微細化に加え、フォトリソグラフィーで使用される露光光源の波長の短波長化が必要となる。半導体装置製造の際の露光光源としては、近年ではKrFエキシマレーザー(波長248nm)から、ArFエキシマレーザー(波長193nm)へと短波長化が進んでいる。
転写用マスクの種類としては、従来の透光性基板上にクロム系材料からなる遮光パターンを備えたバイナリマスクの他に、ハーフトーン型の位相シフトマスクが知られている。このハーフトーン型の位相シフトマスクは、透明基板上に形成するマスクパターンを、実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる部分(光透過部)と、実質的に露光に寄与しない強度の光を透過させる部分(光半透過部)とで構成し、かつ、この光半透過部を通過する光の位相をシフトさせて、光半透過部を透過した光の位相が上記光透過部を透過した光の位相に対して実質的に反転する関係となるようにすることにより、光透過部と光半透過部との境界部近傍を透過した光が互いに打ち消しあうようにして境界部のコントラストを良好に保持できるようにしたものである。
このような転写用マスクの一例として、特許文献1においては、透明基板上のハーフトーン位相シフト層がハフニウム化合物を主体とする層を少なくとも1層以上含む位相シフトマスク用のマスクブランクや位相シフトマスクが開示されている。
特開平07-209849号公報
近年における、パターンの微細化、複雑化に伴い、より高解像のパターン転写を可能にすることが要求されている。このような高解像のパターン転写を実現するために、透過率を高める等の観点から、転写用マスクを製造するためのマスクブランクが備える薄膜において、ハフニウムと酸素を含有する構成とすることが検討されている。
しかしながら、このような薄膜表面の欠陥検査を行うと疑似欠陥が検出され、欠陥検出数(欠陥検出数=致命欠陥数+疑似欠陥数)が多くなるという問題が生じている。ここでいう疑似欠陥とは、パターン転写に影響しない薄膜表面上の許容される凹凸であって、欠陥検査装置で検査した場合に、欠陥と誤判定されてしまうものをいう。また、致命欠陥とは、例えば、50nm以上のサイズの欠陥をいう。欠陥検査において、このような疑似欠陥が多数検出されると、パターン転写に影響のある致命欠陥が多数の疑似欠陥に埋もれてしまい、検出し損なってはならない致命欠陥を発見することができない可能性がある。欠陥検査における致命欠陥の看過は、その後の半導体装置の量産過程において不良を引き起こし、無用な労力と経済的な損失をまねくことになる。
本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、ハフニウムと酸素を含有する薄膜に対する疑似欠陥の検出を抑制でき、光学的な性能が良好な転写用マスクを製造することのできるマスクブランクを提供することを目的としている。また、本発明は、ハフニウムと酸素を含有する薄膜に対する疑似欠陥の検出を抑制でき、光学的な性能が良好な転写用マスクを提供することを目的としている。そして、本発明は、このような転写用マスクを用いた半導体デバイスの製造方法を提供する。
本発明は上記の課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(構成1)
基板上に、薄膜を備えるマスクブランクであって、
前記薄膜のハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、
前記薄膜の酸素含有量は、60原子%以上であり、
前記薄膜に対し、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析を行って得られる回折角度2θが25度から35度の範囲でのX線回折プロファイルは、回折角度2θが28度から29度の範囲内に回折強度の最大値を有する
ことを特徴とするマスクブランク。
(構成2)
前記X線回折プロファイルにおける回折角度2θが28度から29度の間における回折強度の最大値をI_Lmax、回折角度2θが30度から32度の間における回折強度の最大値をI_Hmaxとしたとき、I_Lmax/I_Hmaxが1.5以上である
ことを特徴とする構成1記載のマスクブランク。
(構成3)
前記薄膜は、結晶性を有し、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、m[11-1]の配向度が最も大きい
ことを特徴とする構成1または2に記載のマスクブランク。
(構成4)
前記薄膜は、結晶性を有し、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、o[111]の配向度が最も小さい
ことを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成5)
基板上に、転写パターンを有する薄膜を備える転写用マスクであって、
前記薄膜のハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、
前記薄膜の酸素含有量は、60原子%以上であり、
前記薄膜に対し、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析を行って得られる回折角度2θが25度から35度の範囲でのX線回折プロファイルは、回折角度2θが28度から29度の範囲内に回折強度の最大値を有する
ことを特徴とする転写用マスク。
(構成6)
前記X線回折プロファイルにおける回折角度2θが28度から29度の間における回折強度の最大値をI_Lmax、回折角度2θが30度から32度の間における回折強度の最大値をI_Hmaxとしたとき、I_Lmax/I_Hmaxが1.5以上である
ことを特徴とする構成5記載の転写用マスク。
(構成7)
前記薄膜は、結晶性を有し、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、m[11-1]の配向度が最も大きい
ことを特徴とする構成5または6に記載の転写用マスク。
(構成8)
前記薄膜は、結晶性を有し、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、o[111]の配向度が最も小さい
ことを特徴とする構成5から7のいずれかに記載の転写用マスク。
(構成9)
基板上に、薄膜と転写パターンを備える機能膜を備える転写用マスクであって、
前記薄膜のハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、
前記薄膜の酸素含有量は、60原子%以上であり、
前記薄膜に対し、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析を行って得られる回折角度2θが25度から35度の範囲でのX線回折プロファイルは、回折角度2θが28度から29度の範囲内に回折強度の最大値を有する
ことを特徴とする転写用マスク。
(構成10)
前記X線回折プロファイルにおける回折角度2θが28度から29度の間における回折強度の最大値をI_Lmax、回折角度2θが30度から32度の間における回折強度の最大値をI_Hmaxとしたとき、I_Lmax/I_Hmaxが1.5以上である
ことを特徴とする構成9記載の転写用マスク。
(構成11)
前記薄膜は、結晶性を有し、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、m[11-1]の配向度が最も大きい
ことを特徴とする構成9または10に記載の転写用マスク。
(構成12)
前記薄膜は、結晶性を有し、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、o[111]の配向度が最も小さい
ことを特徴とする構成9から11のいずれかに記載の転写用マスク。
(構成13)
構成5から12のいずれか記載の転写用マスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に前記転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
以上の構成を有する本発明のマスクブランクは、基板上に、薄膜を備えるマスクブランクであって、前記薄膜のハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、前記薄膜の酸素含有量は、60原子%以上であり、前記薄膜に対し、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析を行って得られる回折角度2θが25度から35度の範囲でのX線回折プロファイルは、回折角度2θが28度から29度の範囲内に回折強度の最大値を有することを特徴とする。このため、ハフニウムと酸素を含有する薄膜に対する疑似欠陥の検出を抑制でき、光学的な性能が良好な転写用マスクを製造することができる。さらに、この転写用マスクを用いた半導体デバイスの製造において、半導体デバイス上のレジスト膜等に良好な精度でパターンを転写することが可能になる。
本発明の実施例1~3,比較例についての、X線回折法のOut-of-Plane測定(θ-2θ測定)による分析を行って得られる回折角度2θと回折X線強度の関係を示すグラフである。 本発明の実施例1~3,比較例についての、(空間)周波数とパワースペクトル密度(PSD)の関係を示すグラフである。 第1の実施形態のマスクブランクの断面概略図である。 第1の実施形態の転写用マスク(位相シフトマスク)の製造工程を示す断面概略図である。 第2の実施形態のマスクブランクおよび転写用マスク(バイナリマスク)の製造工程を示す断面概略図である。
まず、本発明に至った経緯について説明する。本願発明者らは、ハフニウムおよび酸素を含有する薄膜(以下、「HfO膜」という場合がある)において、疑似欠陥の検出を抑制でき、光学的な性能が良好となる構成について、鋭意研究を行った。その結果、HfO膜におけるハフニウムおよび酸素の組成がほぼ同じであっても、HfO膜表面の疑似欠陥の検出に大きな差異が生じることが分かった。そして、欠陥検査装置の検査光源波長に対し、HfO膜表面における所定値以下の低空間周波数領域でのパワースペクトル密度(PSD:Power Spectrum Density)が、薄膜表面の疑似欠陥を含む欠陥検出数と関連していることを見出した。具体的には、低空間周波数領域でのパワースペクトル密度の値が小さいほど、疑似欠陥が低減されることがわかった。
そこで、本発明者らは、低空間周波数領域でのパワースペクトル密度が低減されるHfO膜の構成について、さらに鋭意検討を行った。まず、従来における成膜条件でHfO膜を基板上に成膜したものと、スパッタリング条件等を調整してHfO膜を基板上に成膜したものとを用意した。そして、本発明者らは、これらのHfO膜に対し、X線回折法のOut-of-Plane測定(θ-2θ測定)による分析を行った。なお、特性X線としては、CuKα線(波長0.15418nm)を用いた。以後も同様である。スパッタリング条件等を調整したHfO膜は、回折角度2θが25度から35度の範囲において、回折角度2θが28度から29度の範囲内に回折強度の最大値を有するものであるのに対し、従来のスパッタリング条件等で調整せずに成膜したHfO膜は、そうではないことが分かった(図1参照)。また、これらのHfO膜について、(空間)周波数とパワースペクトル密度(PSD)の関係についての分析を行ったところ、スパッタリング条件等を調整したHfO膜は、そうでないHfO膜に比べて、所定の低空間周波数領域(例えば、5.0μm-1以下の領域、より好ましくは1.0μm-1以下の領域)において、パワースペクトル密度(PSD)が低減されていることが分かった(図2参照)。すなわち、スパッタリング条件等を調整したHfO膜は、そうでないHfO膜に比べて、大幅に疑似欠陥が低減されていることがわかった。
これらのことから、ハフニウムと酸素を含有する薄膜において、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析を行って得られる回折角度2θが25度から35度の範囲でのX線回折プロファイルが、回折角度2θが28度から29度の範囲内に回折強度の最大値を有するものとすることで、疑似欠陥の検出を抑制できることを見出した。なお、このことは、必ずしも薄膜が結晶性を有している場合にのみ適用されるわけではない。
本発明は、以上のような知見に基づいてなされたものである。なお、この推察は、本発明者の現時点の知見に基づくものであり、本発明の権利範囲を何ら限定するものではない。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において同様の構成要素には同一の符号を付して説明を行う。
<第1の実施形態>
図3に、第1の実施形態のマスクブランクの概略構成を示す。本実施形態においては、ハフニウムと酸素を含有する薄膜を、3層構造の位相シフト膜の上層とした場合について説明する。図3に示すマスクブランク100は、転写用マスクとして位相シフトマスク200(図4(g)参照)を製造するためのものであり、透光性基板1における一方の主表面上に、位相シフト膜2、遮光膜3、及び、ハードマスク膜4がこの順に積層された構成である。マスクブランク100は、必要に応じてハードマスク膜4を設けない構成であってもよい。また、マスクブランク100は、ハードマスク膜4上に、必要に応じてレジスト膜を積層させた構成であってもよい。以下、マスクブランク100の主要構成部の詳細を説明する。
[透光性基板]
透光性基板1は、リソグラフィーにおける露光工程で用いられる露光光に対して透過性が良好な材料で構成されている。このような材料としては、合成石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO-TiOガラス等)、その他各種のガラス基板を用いることができる。特に、合成石英ガラスを用いた基板は、ArFエキシマレーザー光(波長:約193nm)に対する透過性が高いので、マスクブランク100の透光性基板1として好適に用いることができる。
尚、ここで言うリソグラフィーにおける露光工程とは、このマスクブランク100を用いて作製された位相シフトマスクを使用したリソグラフィーにおける露光工程であり、露光光とは、特に断りの無い限り、ArFエキシマレーザー光(波長:193nm)を指すものとする。
透光性基板1を形成する材料の露光光における屈折率は、1.5以上1.6以下であることが好ましく、1.52以上1.59以下であるとより好ましく、1.54以上1.58以下であるとさらに好ましい。
[位相シフト膜]
位相シフト膜2は、適切な位相シフト効果を得るために、この位相シフト膜2を透過した露光光に対し、この位相シフト膜2の厚さと同じ距離だけ空気中を通過した露光光との間で150度以上210度以下の位相差を生じさせる機能を有するように調整されていることが好ましい。位相シフト膜2における前記位相差は、155度以上であることがより好ましく、160度以上であるとさらに好ましい。他方、位相シフト膜2における位相差は、195度以下であることがより好ましく、190度以下であるとさらに好ましい。
位相シフト膜2の内部を透過した露光光と空気中を透過した露光光との間で十分な位相シフト効果を生じさせるために、ある程度高い透過率を有していることが好ましい。具体的には、位相シフト膜2は、露光光を20%以上の透過率で透過させる機能を有していることが好ましく、30%以上であるとより好ましく、40%以上であるとさらに好ましい。位相シフト膜2の内部を透過した露光光と空気中を透過した露光光との間で十分な位相シフト効果を生じさせるためである。また、位相シフト膜2の露光光に対する透過率は、60%以下であると好ましく、50%以下であるとより好ましい。位相シフト膜2の膜厚を、光学的な性能を確保できる適正な範囲に抑えるためである。なお、特記しない限り、本明細書における透過率は、透光性基板の透過率を基準(100%)とした場合の値を意味する。
本実施形態における位相シフト膜2は、透光性基板1側から、最下層21、下層22、上層23が積層した構造を有する。
位相シフト膜2の膜厚は、光学的な性能を確保するために、90nm以下であることが好ましく、80nm以下であると好ましく、70nm以下であるとより好ましい。また、位相シフト膜2の膜厚は、所望の位相差を生じさせる機能を確保するために、45nm以上であることが好ましく、50nm以上であるとより好ましい。
上層23は、ハフニウムと酸素を含有することが好ましく、ハフニウムと酸素からなることがより好ましい。ここで、ハフニウムおよび酸素からなるとは、これらの構成元素のほか、スパッタ法で成膜する際、上層23にごくわずかに含有される可能性のある元素(ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)等の貴ガス、水素(H)、炭素(C)、窒素(N)等)のみを含有する材料のことをいう(後述の下層22における、ケイ素と酸素からなるとの記載についても同様である)。上層23中にハフニウムと結合する他の元素の存在を極小にすることにより、上層23中におけるハフニウムよび酸素の結合の比率を大幅に高めることができる。
このため、上層23におけるハフニウムと酸素の合計含有量は95原子%以上であることがより好ましく、98原子%以上であることがより一層好ましく、99原子%以上であることがさらに好ましい。また、上層23における酸素の含有量は、60原子%以上であることが好ましく、62原子%以上であることがより一層好ましい。また、上層23における酸素の含有量は、エッチングレートの観点から、酸素欠損が生じている66原子%以下であると好ましく、65原子%以下であるとより好ましい。
また、上層23にごくわずかに含有される可能性のある上記元素(貴ガス、水素、炭素、窒素等)においても合計含有量は3原子%以下が好ましい。
この上層23に対し、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析を行って得られる回折角度2θが25度から35度の範囲でのX線回折プロファイルは、回折角度2θが28度から29度の範囲内に回折強度の最大値を有することが好ましい。すなわち、この上層23における25度から35度の範囲でのX線回折プロファイルは、X線回折法のOut-of-Plane測定を行ったときに、回折角度2θが28度から29度の範囲内に最大の回折線ピークを有しており、他の範囲における回折線ピークを有さないか、他の範囲における回折線ピークが、28度から29度の範囲内における最大の回折線ピークと十分に区別可能に低くなっているものである。
また、X線回折プロファイルにおける回折角度2θが28度から29度の間における回折強度の最大値をI_Lmax、回折角度2θが30度から32度の間における回折強度の最大値をI_Hmaxとしたとき、I_Lmax/I_Hmaxが1.5以上であることが好ましく、1.7以上であるとより好ましく、1.9以上であるとさらに好ましい。
また、上層23は、結晶性を有し、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、m[11-1]の配向度が最も大きいことが好ましい。
そして、上層23は、結晶性を有し、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、o[111]の配向度が最も小さいことが好ましい。
ここで、m[11-1]およびm[111]は、単純単斜格子における[11-1]面および[111]面であり、28.589度および31.811度の回折角度2θを有する。また、o[111]は、単純直方格子における[111]面であり、30.056度の回折角度2θを有する。なお、m[11-1]は、
Figure 2023070977000002
とも記載されるが、本明細書においては、m[11-1]と記載する。
上層23は、露光光に対する屈折率nが3.1以下であると好ましく、3.0以下であるとより好ましい。上層23は、屈折率nが2.5以上であると好ましく、2.6以上であるとより好ましい。一方、上層23は、露光光に対する消衰係数kが0.4以下であると好ましい。位相シフト膜2の露光光に対する透過率を高くするためである。上層23は、消衰係数kが0.05以上であると好ましく、0.1以上であるとより好ましく、0.2以上であるとさらに好ましい。また、上層23の露光光の透過率は、20%以上であることができ、30%以上であると好ましく、40%以上であるとより好ましい。
上層23の厚さは、耐薬性、耐洗浄性の観点から、5nm以上であることが好ましく、6nm以上であることがより好ましい。そして、光学特性の観点から、30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましい。
下層22は、ケイ素と酸素を含有することが好ましく、ケイ素と酸素からなることがより好ましい。下層22中にケイ素と結合する他の元素の存在を極小にすることにより、下層22中におけるケイ素よび酸素の結合の比率を大幅に高めることができる。
このため、下層22におけるケイ素と酸素の合計含有量は90原子%以上であることが好ましく、95原子%以上であることがより好ましく、98原子%以上であることがより一層好ましい。また、下層22における酸素の含有量は、上層23へのケイ素の拡散を抑制できる等の観点から、50原子%以上であることが好ましく、55原子%以上であることがより好ましく、60原子%以上であることがより一層好ましい。また、下層22にごくわずかに含有される可能性のある上記元素(貴ガス、水素、炭素、窒素等)においても合計含有量は3原子%以下が好ましい。
下層22は、露光光に対する屈折率nが2.0以下であると好ましく、1.8以下であるとより好ましい。下層22は、屈折率nが1.5以上であると好ましく、1.52以上であるとより好ましい。一方、下層22は、露光光に対する消衰係数kが最下層21および上層23よりも小さいことが求められ、0.05未満であると好ましく、0.02以下であるとより好ましい。位相シフト膜2の露光光に対する透過率を高くするためである。
下層22の厚さは、形成されるパターン側壁に対する耐薬性、耐洗浄性の観点から、5nm以上であることが好ましく、7nm以上であることがより好ましい。そして、位相シフト膜2の膜厚を抑制するために、30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。
本実施形態における最下層21は、上層23と同様に、ハフニウムと酸素を含有することが好ましく、ハフニウムと酸素からなることがより好ましい。最下層21をハフニウムと酸素を含有する構成とした場合、好ましいハフニウムと酸素の合計含有量、好ましい酸素含有量、最下層21にごくわずかに含有される可能性のある上記元素(貴ガス、水素、炭素、窒素等)の合計含有量、露光光に対する屈折率n、露光光に対する消衰係数kに関する具体的な事項については、上層23と同様である。
最下層21の厚さは、形成されるパターン側壁に対する耐薬性、耐洗浄性の観点から、5nm以上であることが好ましく、6nm以上であることがより好ましい。そして、50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましい。
なお、最下層21の材料は、上述の材料に限定されるものではなく、ハフニウム及び酸素に加え、またはこれらに替えて、他の材料(例えば、遷移金属シリサイド系材料、SiN系材料、クロム系材料、タンタル系材料等)で構成するようにしてもよい。
位相シフト膜2を含む薄膜の特性(例えば屈折率nと消衰係数kなど)は、その薄膜の組成だけで決まるものではない。その薄膜の膜密度や結晶状態なども屈折率nや消衰係数kを左右する要素である。このため、反応性スパッタリングで薄膜を成膜するときの諸条件を調整して、その薄膜が所望の屈折率nおよび消衰係数kとなるように成膜する。位相シフト膜2を、上記の屈折率nと消衰係数kの範囲にするには、反応性スパッタリングで成膜する際に、貴ガスと反応性ガス(酸素ガス、窒素ガス等)の混合ガスの比率を調整することだけに限られない。反応性スパッタリングで成膜する際における成膜室内の圧力、スパッタリングターゲットに印加する電力、ターゲットと透光性基板1との間の距離等の位置関係など多岐にわたる。これらの成膜条件は成膜装置に固有のものであり、形成される薄膜が所望の特性(例えば屈折率nおよび消衰係数kなど)を有するように適宜調整されるものである。
[遮光膜]
マスクブランク100は、位相シフト膜2上に遮光膜3を備える。一般に、位相シフトマスクでは、転写パターンが形成される領域(転写パターン形成領域)の外周領域は、露光装置を用いて半導体ウェハ上のレジスト膜に露光転写した際に外周領域を透過した露光光による影響をレジスト膜が受けないように、所定値以上の光学濃度(OD)を確保することが求められている。位相シフトマスクの外周領域は、ODが2.8以上であると好ましく、3.0以上であるとより好ましい。上述のように、位相シフト膜2は所定の透過率で露光光を透過する機能を有しており、位相シフト膜2だけでは所定値の光学濃度を確保することは困難である。このため、マスクブランク100を製造する段階で位相シフト膜2の上に、不足する光学濃度を確保するために遮光膜3を積層しておくことが必要とされる。このようなマスクブランク100の構成とすることで、位相シフトマスク200(図4参照)を製造する途上で、位相シフト効果を使用する領域(基本的に転写パターン形成領域)の遮光膜3を除去すれば、外周領域に所定値の光学濃度が確保された位相シフトマスク200を製造することができる。
遮光膜3は、単層構造および2層以上の積層構造のいずれも適用可能である。また、単層構造の遮光膜3および2層以上の積層構造の遮光膜3の各層は、膜または層の厚さ方向でほぼ同じ組成である構成であっても、層の厚さ方向で組成傾斜した構成であってもよい。
図4に記載の形態におけるマスクブランク100は、位相シフト膜2の上に、他の膜を介さずに遮光膜3を積層した構成としている。この構成の場合の遮光膜3は、位相シフト膜2にパターンを形成する際に用いられるエッチングガスに対して十分なエッチング選択性を有する材料を適用する必要がある。この場合の遮光膜3は、クロムを含有する材料で形成することが好ましい。遮光膜3を形成するクロムを含有する材料としては、クロム金属のほか、クロムに酸素、窒素、炭素、ホウ素およびフッ素から選ばれる一以上の元素を含有する材料が挙げられる。
また、遮光膜3の上に、後述のハードマスク膜4をクロムを含有する材料で形成するのであれば、ケイ素を含有する材料で遮光膜3を形成してもよい。特に、遷移金属とケイ素を含有する材料は遮光性能が高く、遮光膜3の厚さを薄くすることが可能である。遮光膜3に含有させる遷移金属としては、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、パラジウム(Pd)等のいずれか1つの金属またはこれらの金属の合金が挙げられる。遮光膜3に含有させる遷移金属元素以外の金属元素としては、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、スズ(Sn)およびガリウム(Ga)などが挙げられる。
一方、遮光膜3は、位相シフト膜2側から、クロムを含有する層と遷移金属とケイ素を含有する層をこの順に積層した構造を備えてもよい。この場合におけるクロムを含有する層および遷移金属とケイ素を含有する層の材料の具体的な事項については、上記の遮光膜3の場合と同様である。
[ハードマスク膜]
ハードマスク膜4は、遮光膜3の表面に接して設けられている。ハードマスク膜4は、遮光膜3をエッチングする際に用いられるエッチングガスに対してエッチング耐性を有する材料で形成された膜である。このハードマスク膜4は、遮光膜3にパターンを形成するためのドライエッチングが終わるまでの間、エッチングマスクとして機能することができるだけの膜の厚さがあれば十分であり、基本的に光学特性の制限を受けない。このため、ハードマスク膜4の厚さは遮光膜3の厚さに比べて大幅に薄くすることができる。
このハードマスク膜4は、遮光膜3がクロムを含有する材料で形成されている場合は、ケイ素を含有する材料で形成されることが好ましい。なお、この場合のハードマスク膜4は、有機系材料のレジスト膜との密着性が低い傾向があるため、ハードマスク膜4の表面をHMDS(Hexamethyldisilazane)処理を施し、表面の密着性を向上させることが好ましい。なお、この場合のハードマスク膜4は、SiO、SiN、SiON等で形成されるとより好ましい。
また、遮光膜3がクロムを含有する材料で形成されている場合におけるハードマスク膜4の材料として、前記のほか、タンタルを含有する材料も適用可能である。この場合におけるタンタルを含有する材料としては、タンタル金属のほか、タンタルに窒素、酸素、ホウ素および炭素から選ばれる一以上の元素を含有させた材料などが挙げられる。たとえば、Ta、TaN、TaO、TaON、TaBN、TaBO、TaBON、TaCN、TaCO、TaCON、TaBCN、TaBOCN、などが挙げられる。また、ハードマスク膜4は、遮光膜3がケイ素を含有する材料で形成されている場合、前記のクロムを含有する材料で形成されることが好ましい。
[レジスト膜]
マスクブランク100において、ハードマスク膜4の表面に接して、有機系材料のレジスト膜が100nm以下の膜厚で形成されていることが好ましい。DRAM hp32nm世代に対応する微細パターンの場合、ハードマスク膜4に形成すべき転写パターン(位相シフトパターン)に、線幅が40nmのSRAF(Sub-Resolution Assist Feature)が設けられることがある。しかし、この場合でも、レジストパターンの断面アスペクト比を1:2.5と低くすることができるので、レジスト膜の現像時、リンス時等にレジストパターンが倒壊や脱離することを抑制できる。なお、レジスト膜は、膜厚が80nm以下であるとより好ましい。
また、DRAM hp32nm世代に対応する微細パターンの場合、遮光膜3に形成すべき遮光パターンに、線幅が40nmのSRAF(Sub-Resolution Assist Feature)が設けられることがある。しかし、この場合でも上述のようにハードマスク膜4を設けたことによってレジスト膜の膜厚を抑えることができ、これによってこのレジスト膜で構成されたレジストパターンの断面アスペクト比を1:2.5と低くすることができる。したがって、レジスト膜の現像時、リンス時等にレジストパターンが倒壊や脱離することを抑制することができる。なお、レジスト膜は、膜厚が80nm以下であることがより好ましい。レジスト膜は、電子線描画露光用のレジストであると好ましく、さらにそのレジストが化学増幅型であるとより好ましい。
第1の実施形態のマスクブランク100における位相シフト膜2は、塩素系ガス、およびフッ素系ガスを用いた多段階のドライエッチング処理によりパターニングが可能である。最下層21および上層23については塩素系ガス、下層22についてはフッ素系ガスを用いたドライエッチングによってパターニングを行うことが好ましい。最下層21と下層22間、下層22と上層23間において、エッチング選択性が非常に高い。特に限定するものではないが、以上の特性を持つ位相シフト膜2に対し、多段階に分割してエッチング処理を行うことにより、サイドエッチングの影響を抑制し、良好なパターン断面形状を得ることができる。
なお、第1の実施形態においてハフニウムと酸素を含有する薄膜を、3層構造の位相シフト膜の上層とした場合について説明したが、上層に加えて、最下層もハフニウムと酸素を含有する薄膜とすることもできる。また、透過率等の光学特性が許容されるのであれば、上述の上層のみの単層構造で位相シフト膜を構成してもよく、上述した上層を2層または4層以上の多層構造の上層として位相シフト膜を構成してもよい。なお、位相シフト膜を上層のみの単層構造とした場合、上層について上述したような高い透過率を有する位相シフト膜とすることができる。これにより、半導体デバイスの製造工程における微細パターンの形成をより高精度に行うことができる。
また、実施形態1におけるマスクブランク100は、透光性基板1の表面に接して位相シフト膜2を形成しているが、これに限定されるものではない。例えば、上層23からなる単層構造の薄膜を、透光性基板1とパターン形成用の別の薄膜(遮光膜や位相シフト膜など)との間に、後述するエッチングストッパー膜12(図5参照)として設けてもよい。これについては、第2の実施形態において後述する。
[マスクブランクの製造手順]
以上の構成のマスクブランク100は、次のような手順で製造する。先ず、透光性基板1を用意する。この透光性基板1は、端面及び主表面が所定の表面粗さ(例えば、一辺が1μmの四角形の内側領域内において自乗平均平方根粗さSqが0.2nm以下)に研磨され、その後、所定の洗浄処理及び乾燥処理を施されたものである。
次に、この透光性基板1上に、スパッタリング法によって位相シフト膜2を最下層21から順に、下層22、上層23をそれぞれ上述した所望の厚さとなるように成膜する。位相シフト膜2における最下層21、下層22、上層23は、スパッタリングによって形成されるが、DCスパッタリング、RFスパッタリングおよびイオンビームスパッタリングなどのいずれのスパッタリングも適用可能である。成膜レートを考慮すると、DCスパッタリングを適用することが好ましい。導電性が低いターゲットを用いる場合においては、RFスパッタリングやイオンビームスパッタリングを適用することが好ましいが、成膜レートを考慮すると、RFスパッタリングを適用するとより好ましい。
位相シフト膜2の最下層21および上層23については、ハフニウムを含有するスパッタリングターゲット、ハフニウム及び酸素を含有するスパッタリングターゲットのいずれも適用することができる。
また、位相シフト膜2の下層22については、ケイ素を含有するスパッタリングターゲット、ケイ素及び酸素を含有するスパッタリングターゲットのいずれも適用することができる。
そして、位相シフト膜2の表面に対して欠陥検査装置で検査を行い、必要に応じて欠陥修正を行う。上述のように、位相シフト膜2の上層23において、ハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、酸素含有量は、60原子%以上である。そして、上層23に対し、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析を行って得られる回折角度2θが25度から35度の範囲でのX線回折プロファイルは、回折角度2θが28度から29度の範囲内に回折強度の最大値を有するものである。このような上層23を有する位相シフト膜2とすることで、疑似欠陥の検出を大幅に抑制することができる。なお、位相シフト膜2を成膜した後には、所定の加熱温度でのアニール処理を適宜行うことが好ましい。
次に、位相シフト膜2上に、スパッタリング法によって上記の遮光膜3を成膜する。そして、遮光膜3上にスパッタリング法によって、上記のハードマスク膜4を成膜する。スパッタリング法による成膜においては、上記の各膜を構成する材料を所定の組成比で含有するスパッタリングターゲット及びスパッタリングガスを用い、さらに必要に応じて上述の貴ガスと反応性ガスとの混合ガスをスパッタリングガスとして用いた成膜を行う。この後、このマスクブランク100がレジスト膜を有するものである場合には、必要に応じてハードマスク膜4の表面に対してHMDS(Hexamethyldisilazane)処理を施す。そして、ハードマスク膜4の表面上に、スピンコート法等の塗布法によってレジスト膜を形成し、マスクブランク100を完成させる。
このように、第1の実施形態のマスクブランク100によれば、ハフニウムと酸素を含有する位相シフト膜2に対する疑似欠陥の検出を抑制できる。これにより、疑似欠陥と修正が必要な欠陥とを判別する工程を省略あるいは短縮できるとともに、修正が必要な欠陥を漏れなく高精度に修正できるようになる。
〈位相シフトマスクおよびその製造方法〉
図4に、上記実施形態のマスクブランク100から製造される本発明の実施形態に係る転写用マスク(位相シフトマスク200)とその製造工程を示す。図4(g)に示されているように、位相シフトマスク200は、マスクブランク100の位相シフト膜2に転写パターンである位相シフトパターン2aが形成され、遮光膜3に遮光帯を含むパターンを有する遮光パターン3bが形成されていることを特徴としている。この位相シフトマスク200は、マスクブランク100と同様の技術的特徴を有している。位相シフトマスク200における透光性基板1、位相シフト膜2の最下層21、下層22、上層23、遮光膜3に関する事項については、マスクブランク100と同様である。この位相シフトマスク200の作成途上でハードマスク膜4は除去される。
本発明の実施形態に係る位相シフトマスク200の製造方法は、前記のマスクブランク100を用いるものであり、ドライエッチングにより遮光膜3に暫定遮光パターン3aを形成する工程と、暫定遮光パターン3aをマスクとするドライエッチングにより位相シフト膜2に転写パターンを形成する工程と、遮光パターンに対応するレジスト膜(レジストパターン6b)をマスクとするドライエッチングにより遮光膜3に遮光パターン3bを形成する工程とを備えることを特徴としている。以下、図4に示す製造工程にしたがって、本発明の位相シフトマスク200の製造方法を説明する。なお、ここでは、遮光膜3の上にハードマスク膜4が積層したマスクブランク100を用いた位相シフトマスク200の製造方法について説明する。また、遮光膜3にはクロムを含有する材料を適用し、ハードマスク膜4にはケイ素を含有する材料を適用した場合について述べる。
まず、マスクブランク100におけるハードマスク膜4に接して、レジスト膜をスピン塗布法によって形成する。次に、レジスト膜に対して、位相シフト膜2に形成すべき転写パターン(位相シフトパターン)に対応する第1のパターンを電子線で露光描画し、さらに現像処理等の所定の処理を行い、第1のレジストパターン5aを形成する(図4(a)参照)。続いて、第1のレジストパターン5aをマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングを行い、ハードマスク膜4にハードマスクパターン4aを形成する(図4(b)参照)。
次に、レジストパターン5aを除去してから、酸やアルカリを用いた洗浄等の所定の処理を経て、ハードマスクパターン4aをマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを用いたドライエッチングを行い、遮光膜3に暫定遮光パターン3aを形成する(図4(c)参照)。続いて、暫定遮光パターン3aをマスクとして、塩素系ガスを用いたドライエッチング、およびフッ素系ガスを用いたドライエッチングを交互に3回行い、位相シフト膜2に位相シフトパターン2aを形成し、かつハードマスクパターン4aを除去する(図4(d)参照)。より具体的には、最下層21および上層23に対しては塩素系ガスを用いたドライエッチングを行い、下層22に対してはフッ素系ガスを用いたドライエッチングを行う。
次に、マスクブランク100上にレジスト膜をスピン塗布法によって形成する。次に、レジスト膜に対して、遮光膜3に形成すべきパターン(遮光パターン)に対応する第2のパターンを電子線で露光描画し、さらに現像処理等の所定の処理を行い、第2のレジストパターン6bを形成する(図4(e)参照)。続いて、第2のレジストパターン6bをマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを用いたドライエッチングを行い、遮光膜3に遮光パターン3bを形成する(図4(f)参照)。さらに、第2のレジストパターン6bを除去し、酸やアルカリを用いた洗浄等の所定の処理を経て、位相シフトマスク200が得られる(図4(g)参照)。
前記のドライエッチングで使用される塩素系ガスとしては、Clが含まれていれば特に制限はない。たとえば、Cl、SiCl、CHCl、CHCl、CCl、BCl等があげられる。また、前記の最下層21および上層23に対するドライエッチングで使用される塩素系ガスとしては、ホウ素を含有するものであると好ましく、BClを含有しているとより好ましい。特に、BClガスとClガスの混合ガスは、ハフニウムに対するエッチングレートが比較的高いため、好ましい。
図4に示す製造方法によって製造された位相シフトマスク200は、透光性基板1上に、転写パターンを有する位相シフト膜2(位相シフトパターン2a)を備えた位相シフトマスクである。この位相シフトマスク200は、マスクブランク100の位相シフト膜2をパターニングしてなるものである。したがって、位相シフトマスク200における位相シフト膜2の特性(組成、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析結果等)は、マスクブランク100の位相シフト膜2のものと同じになると考えられる。
このように位相シフトマスク200を製造することにより、光学的な性能が良好な位相シフトマスク200を得ることができる。
さらに、本発明の第1の実施形態における半導体デバイスの製造方法は、前記の位相シフトマスク200を用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴としている。
本発明の位相シフトマスク200やマスクブランク100は、上記の通りの効果を有するため、ArFエキシマレーザーを露光光とする露光装置のマスクステージに位相シフトマスク200をセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する際、半導体デバイス上のレジスト膜に、高いCD面内均一性(CD Uniformity)で転写パターンを転写することができる。このため、このレジスト膜のパターンをマスクとして、その下層膜をドライエッチングして回路パターンを形成した場合、CD面内均一性の低下に起因する配線短絡や断線のない高精度の回路パターンを形成することができる。
<第2の実施形態>
図5(a)に、第2の実施形態のマスクブランクの概略構成を示す。本実施形態においては、ハフニウムと酸素を含有する薄膜を、エッチングストッパー膜とした場合について説明する。ここでは、エッチングストッパー膜12が透光性基板1に接して形成されている例を示す。図5(a)に示すマスクブランク110は、転写用マスクとしてバイナリマスク210(図5(d)参照)を製造するためのものであり、透光性基板1における一方の主表面上に、エッチングストッパー膜12、遮光膜3、及び、ハードマスク膜4がこの順に積層された構成である。ここでは、一例として、エッチングストッパー膜12上に形成されている膜を遮光膜3としているが、遮光膜3の代わりに、別のパターン形成用薄膜(位相シフト膜など)が形成されていてもよい。別のパターン形成用薄膜が位相シフト膜である場合、得られる転写用マスクは、位相シフトマスクとして機能することができる。また、透光性基板1とエッチングストッパー膜12との間に別の薄膜が形成されていてもよい。
エッチングストッパー膜12は、第1の実施形態において上述した位相シフト膜2における上層23と同様の構成を有している。すなわち、エッチングストッパー膜12において、ハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、酸素含有量は、60原子%以上である。そして、エッチングストッパー膜12に対し、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析を行って得られる回折角度2θが25度から35度の範囲でのX線回折プロファイルは、回折角度2θが28度から29度の範囲内に回折強度の最大値を有するものである。そして、上述した回折強度の比率I_Lmax/I_Hmax、配向度についても、上層23と同様である。
エッチングストッパー膜12は、エッチングストッパー機能を確保できればよく、3nm以上であることが好ましく、15nm以下であることが好ましい。
本実施形態の遮光膜3およびハードマスク膜4は、第1の実施形態において上述した遮光膜3およびハードマスク膜4と同様の構成を有することができる。例えば、遮光膜3にはケイ素を含有する材料を適用し、ハードマスク膜4にはクロムを含有する材料を適用することができる。なお、遮光膜3の膜厚は、遮光膜3単独で十分な遮光性能を得るために、第1の実施形態のものよりも大きくなっていてもよい。遮光膜3は、エッチングストッパー膜12に対してエッチング選択性を有していることが好ましい。
[マスクブランクの製造手順]
以上の構成のマスクブランク110は、次のような手順で製造する。先ず、第1の実施形態と同様に、透光性基板1を用意する。
次に、この透光性基板1上に、スパッタリング法によってエッチングストッパー膜12を所望の厚さとなるように成膜する。エッチングストッパー膜12については、ハフニウムを含有するスパッタリングターゲット、ハフニウム及び酸素を含有するスパッタリングターゲットのいずれも適用することができる。
そして、エッチングストッパー膜12の表面に対して欠陥検査装置で検査を行い、必要に応じて欠陥修正を行う。上述のように、エッチングストッパー膜12において、ハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、酸素含有量は、60原子%以上である。そして、エッチングストッパー膜12に対し、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析を行って得られる回折角度2θが25度から35度の範囲でのX線回折プロファイルは、回折角度2θが28度から29度の範囲内に回折強度の最大値を有するものである。このようなエッチングストッパー膜12とすることで、疑似欠陥の検出を大幅に抑制することができる。
そして、エッチングストッパー膜12上に、第1の実施形態で述べたように、スパッタリング法によって、上記の遮光膜3、上記のハードマスク膜4を成膜して、スピンコート法等の塗布法によってレジスト膜を形成し、マスクブランク110を完成させる。
このように、第2の実施形態のマスクブランク110によれば、ハフニウムと酸素を含有するエッチングストッパー膜12に対する疑似欠陥の検出を抑制できる。これにより、疑似欠陥と修正が必要な欠陥とを判別する工程を省略あるいは短縮できるとともに、修正が必要な欠陥を漏れなく高精度に修正できるようになる。
〈バイナリマスクおよびその製造方法〉
図5に、上記実施形態のマスクブランク110から製造される本発明の実施形態に係るバイナリマスク210とその製造工程を示す。図5(d)に示されているように、バイナリマスク210は、マスクブランク110の透光性基板1上に、エッチングストッパー膜12と、転写パターンを備える機能膜(ここでは遮光パターン3b)を備えていることを特徴としている。このバイナリマスク210は、マスクブランク110と同様の技術的特徴を有している。このバイナリマスク210の作成途上でハードマスク膜4は除去される。
以下、図5に示す製造工程にしたがって、本発明のバイナリマスク210の製造方法を説明する。
まず、マスクブランク110におけるハードマスク膜4に接して、レジスト膜をスピン塗布法によって形成する(図示せず)。次に、レジスト膜に対して、遮光膜3に形成すべき転写パターン(遮光パターン3b)に対応する第1のパターンを電子線で露光描画し、さらに現像処理等の所定の処理を行い、第1のレジストパターン7aを形成する(図5(b)参照)。続いて、第1のレジストパターン7aをマスクとして、ドライエッチングを行い、ハードマスク膜4にハードマスクパターン4aを形成する(図5(b)参照)。
次に、レジストパターン7aを除去してから、酸やアルカリを用いた洗浄等の所定の処理を経て、ハードマスクパターン4aをマスクとして、ドライエッチングを行い、遮光膜3に遮光パターン3bを形成する(図5(c)参照)。
その後、ドライエッチングでハードマスクパターン4aを除去し、洗浄等の所定の処理を経て、バイナリマスク210を得る(図5(d)参照)。なお、図示はしていないが、図5(d)の工程前に、必要に応じて、ハードマスクパターン4aおよび/または遮光パターン3bをマスクとして、エッチングストッパー膜12をエッチングして、エッチングストッパーパターンを形成するようにしてもよい。この場合、BClガスをエッチングガスとすることが好ましい。
図5に示す製造方法によって製造されたバイナリマスク210は、透光性基板1上に、エッチングストッパー膜12(またはエッチングストッパーパターン)と、転写パターンを備える機能膜(遮光パターン3b)を備えているバイナリマスク210である。このバイナリマスク210は、マスクブランク110のエッチングストッパー膜12を含むものである。したがって、バイナリマスク210におけるエッチングストッパー膜12の特性(組成、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析結果等)は、マスクブランク110のエッチングストッパー膜12のものと同じになると考えられる。
このようにバイナリマスク210を製造することにより、光学的な性能が良好なバイナリマスク210を得ることができる。
さらに、本発明の第2の実施形態における半導体デバイスの製造方法は、前記のバイナリマスク210を用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴としている。
本発明のバイナリマスク210やマスクブランク110は、上記の通りの効果を有するため、ArFエキシマレーザーを露光光とする露光装置のマスクステージにバイナリマスク210をセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する際、半導体デバイス上のレジスト膜に、高いCD面内均一性(CD Uniformity)で転写パターンを転写することができる。このため、このレジスト膜のパターンをマスクとして、その下層膜をドライエッチングして回路パターンを形成した場合、CD面内均一性の低下に起因する配線短絡や断線のない高精度の回路パターンを形成することができる。
なお、上述した実施形態においては、ハフニウムと酸素を含有する薄膜を、位相シフト膜やエッチングストッパー膜とした場合について説明したが、これらに限定されるものではない。例えば、上述した特徴を有するハフニウムと酸素を含有する薄膜を、EUV反射型マスクブランクにおける保護膜や吸収体膜に適用することも可能である。
以下、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明するための、実施例1~3および比較例1について述べる。
〈実施例1〉
[マスクブランクの製造]
図3を参照し、主表面の寸法が約152mm×約152mmで、厚さが約6.35mmの合成石英ガラスで構成される透光性基板1を準備した。この透光性基板1は、端面及び主表面が所定の表面粗さ(Sqで0.2nm以下)に研磨され、その後、所定の洗浄処理及び乾燥処理が施されている。分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)を用いて透光性基板1の各光学特性を測定したところ、波長193nmの光における屈折率は1.556、消衰係数は0.000であった。
次に、枚葉式RFスパッタリング装置内に透光性基板1を設置し、HfOターゲットとSiOターゲットを交互に用い、クリプトン(Kr)ガス、およびアルゴン(Ar)ガスをスパッタリングガスとするスパッタリング(RFスパッタリング)により、透光性基板1上に、ハフニウムおよび酸素で構成される最下層21、ケイ素及び酸素で構成される下層22、ハフニウムおよび酸素で構成される上層23からなる位相シフト膜2を形成した。具体的には、最下層21および上層23を形成した時のスパッタリングガスにはクリプトンガスを用い、圧力0.13Pa、スパッタリング時のRF電源の電力は700Wとした。また、下層22を形成した時のスパッタリングガスにはアルゴンガスを用い、圧力0.04Pa、スパッタリング時のRF電源の電力は700Wとした。最下層21の厚さは37nm、下層22の厚さは11nm、上層23の厚さは8nmであり、いずれも5nm以上であった。位相シフト膜2の厚さは56nmであり、90nm以下であった。
次に、この位相シフト膜2が形成された透光性基板1に対して、位相シフト膜2の所望の光学特性を得るために、大気中高温ベーク炉にて450℃以上でアニール処理(加熱処理)を行った。位相シフト量測定装置(レーザーテック社製 MPM193)を用いて、加熱処理後の位相シフト膜2の波長193nmの光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が40.9%、位相差が177.2度(deg)であった。また、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)を用いて位相シフト膜2の各光学特性を測定したところ、波長193nmの光における最下層21および上層23の屈折率nは2.93、消衰係数kは0.24であり、下層22の屈折率nは1.56、消衰係数kは0.00であった。
また、各層の組成をX線光電子分光法(XPS)によって測定したところ、それぞれの層の界面領域および透光性基板と最下層21との界面領域を除いて、最下層21の組成がHf:O=36原子%:64原子%、下層22の組成がSi:O=34原子%:66原子%であり、上層23の組成がHf:O=36原子%:64原子%であった。最下層21は、膜厚以外は上層23と同じであった。この位相シフト膜2の上層23のハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、酸素含有量は60原子%以上であった。最下層21も同様であった。
別の透光性基板上に実施例1の位相シフト膜を成膜し、上述のようにアニール処理して得られたマスクブランクに対して、X線回折法のOut-of-Plane測定(θ-2θ測定)による分析を行った。特性X線としては、CuKα線(波長0.15418nm)を用いた。分析の結果を図1に示す。図1の横軸は回折角度2θを示し、縦軸は得られたマスクブランクの回折X線強度の値からバックグラウンド強度の値を差し引きした値である。バックグラウンド強度としては、透光性基板由来の回折X線強度の値に規格化定数を乗じたものを用いた。規格化定数とは、位相シフト膜由来の回折X線強度のピークに重ならない2θの範囲(本実施例では20~23度)におけるマスクブランクの回折X線強度の平均値を、同範囲における透光性基板由来の回折X線強度の平均値で除した値である。他の実施例および比較例においても、同様とした。なお、本実施例における下層22はアモルファスであり、下層22由来の回折X線強度は無視できるほどに小さい値であると考えられ、さらにその回折X線強度曲線はブロードな形状(判別可能なピークを有さない形状)となる。このため、図1において回折X線強度の高いピークは上層23および最下層21に由来するものであると判断した。これは、他の実施例および比較例においても同様である。図1に示されるように、回折角度2θが25度から35度の範囲において、28度から29度の範囲内での28.41度で回折強度の最大値を有していた。
また、回折角度2θが28度から29度の間における回折強度の最大値をI_Lmax、回折角度2θが30度から32度の間における回折強度の最大値をI_Hmaxとしたとき、I_Lmax/I_Hmaxが6.8となり、1.5以上であった。
そして、図1におけるそれぞれの回折X線強度のピークにおける配向度を調べたところ、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、m[11-1]の配向度が最も大きく、o[111]の配向度が最も小さいものであった。
さらに、実施例1における位相シフト膜2の疑似欠陥が低減されていることを確認するために、別の透光性基板を用いて、上述と同様の処理を行って得られたマスクブランクの位相シフト膜2の表面状態を、非接触表面形状測定機にて測定し、パワースペクトル密度解析を行った。詳細は後述する。
次に、枚葉式DCスパッタリング装置内に位相シフト膜2が形成された透光性基板1を設置し、クロム(Cr)ターゲットを用いて、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO)及びヘリウム(He)の混合ガス雰囲気での反応性スパッタリング(DCスパッタリング)を行った。これにより、位相シフト膜2に接して、クロム、酸素及び炭素で構成される遮光膜(CrOC膜)3を53nmの膜厚で形成した。
次に、上記遮光膜(CrOC膜)3が形成された透光性基板1に対して、加熱処理を施した。加熱処理後、位相シフト膜2及び遮光膜3が積層された透光性基板1に対し、分光光度計(アジレントテクノロジー社製 Cary4000)を用い、位相シフト膜2と遮光膜3の積層構造のArFエキシマレーザーの光の波長(約193nm)における光学濃度を測定したところ、3.0以上であることが確認できた。
次に、枚葉式RFスパッタリング装置内に、位相シフト膜2及び遮光膜3が積層された透光性基板1を設置し、二酸化ケイ素(SiO)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガスをスパッタリングガスとし、RFスパッタリングにより遮光膜3の上に、ケイ素及び酸素で構成されるハードマスク膜4を12nmの厚さで形成した。さらに所定の洗浄処理を施し、実施例1のマスクブランク100を製造した。
[位相シフトマスクの製造]
次に、この実施例1のマスクブランク100を用い、図4に示したように、実施例1のハーフトーン型の位相シフトマスク200を製造した。
実施例1の位相シフトマスク200における位相シフトパターン2aを観察したところ、良好な位相シフトパターン2aとなっていた。この位相シフトマスク200は、実施例1のマスクブランク100の位相シフト膜2をパターニングしてなるものである。したがって、実施例1の位相シフトマスク200における位相シフト膜2の特性(組成、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析結果等)は、実施例1のマスクブランク100の位相シフト膜2のものと同じになると考えられる。
[パターン転写性能の評価]
以上の手順を得て作製された位相シフトマスク200に対し、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、波長193nmの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションの露光転写像を検証したところ、CD面内均一性が高く、設計仕様を十分に満たしていた。この結果から、この実施例1の位相シフトマスク200を露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したとしても、最終的に半導体デバイス上に形成される回路パターンは高精度で形成できるといえる。
〈実施例2〉
[マスクブランクの製造]
実施例2のマスクブランクは、位相シフト膜以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例2の位相シフト膜は、実施例1の位相シフト膜2とは成膜条件を変更している。具体的には、枚葉式RFスパッタリング装置内に透光性基板を設置し、HfOターゲットとSiOターゲットを交互に用い、クリプトン(Kr)と酸素との混合ガスをスパッタリングガスとするスパッタリング(RFスパッタリング)により、透光性基板上に、ハフニウムおよび酸素で構成される最下層、ケイ素及び酸素で構成される下層、ハフニウムおよび酸素で構成される上層からなる位相シフト膜を形成した。具体的には、最下層21および上層23を形成した時のスパッタリングガスにはクリプトンガスと酸素の混合ガスを用い、ガス流量比はクリプトン:酸素=25:1、圧力0.14Pa、スパッタリング時のRF電源の電力は700Wとした。また、下層22を形成した時のスパッタリングガスにはアルゴンガスを用い、圧力0.04Pa、スパッタリング時のRF電源の電力は700Wとした。最下層21の厚さは37nm、下層22の厚さは14nm、上層23の厚さは6nmであり、いずれも5nm以上であった。位相シフト膜2の厚さは57nmであり、90nm以下であった。
次に、この位相シフト膜2が形成された透光性基板1に対して、位相シフト膜2の所望の光学特性を得るために、大気中高温ベーク炉にて450℃以上でアニール処理(加熱処理)を行った。位相シフト量測定装置(レーザーテック社製 MPM193)を用いて、加熱処理後の位相シフト膜2の波長193nmの光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が40.4%、位相差が177.0度(deg)であった。また、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)を用いて位相シフト膜2の各光学特性を測定したところ、波長193nmの光における最下層21および上層23の屈折率nは2.94、消衰係数kは0.24であり、下層22の屈折率nは1.56、消衰係数kは0.00であった。
また、それぞれの層の組成をX線光電子分光法(XPS)によって測定したところ、それぞれの層の界面領域、透光性基板と最下層21との界面領域を除いて、最下層21の組成がHf:O=35原子%:65原子%、下層22の組成がSi:O=34原子%:66原子%であり、上層23の組成がHf:O=35原子%:65原子%であった。最下層21は、膜厚以外は上層23と同じであった。この位相シフト膜2の上層23のハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、酸素含有量は60原子%以上であった。最下層21も同様であった。
別の透光性基板上に実施例2の位相シフト膜を成膜し、上述のようにアニール処理して得られたマスクブランクに対して、実施例1と同様に、X線回折法のOut-of-Plane測定(θ-2θ測定)による分析を行った。図1に示されるように、回折角度2θが25度から35度の範囲において、28度から29度の範囲内での28.29度で回折強度の最大値を有していた。
また、回折角度2θが28度から29度の間における回折強度の最大値をI_Lmax、回折角度2θが30度から32度の間における回折強度の最大値をI_Hmaxとしたとき、I_Lmax/I_Hmaxが20.7となり、1.5以上であった。
そして、図1におけるそれぞれの回折X線強度のピークにおける配向度を調べたところ、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、m[11-1]の配向度が最も大きく、o[111]の配向度が最も小さいものであった(o[111]の配向度は確認できなかった)。
さらに、実施例1と同様に、パワースペクトル密度解析を行った。詳細は後述する。
次に、実施例1と同様の手順で、遮光膜3、ハードマスク膜4を成膜し、洗浄処理を施し、実施例2のマスクブランク100を製造した。
[位相シフトマスクの製造]
次に、この実施例2のマスクブランク100を用い、図4に示したように、実施例2のハーフトーン型の位相シフトマスク200を製造した。
実施例2の位相シフトマスク200における位相シフトパターン2aを観察したところ、良好な位相シフトパターン2aとなっていた。この位相シフトマスク200は、実施例2のマスクブランク100の位相シフト膜2をパターニングしてなるものである。したがって、実施例2の位相シフトマスク200における位相シフト膜2の特性(組成、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析結果等)は、実施例2のマスクブランク100の位相シフト膜2のものと同じになると考えられる。
[パターン転写性能の評価]
以上の手順を得て作製された位相シフトマスク200に対し、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、波長193nmの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションの露光転写像を検証したところ、CD面内均一性が高く、設計仕様を十分に満たしていた。この結果から、この実施例2の位相シフトマスク200を露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したとしても、最終的に半導体デバイス上に形成される回路パターンは高精度で形成できるといえる。
〈実施例3〉
[マスクブランクの製造]
実施例3のマスクブランクは、位相シフト膜以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例3の位相シフト膜は、実施例1の位相シフト膜2とは成膜条件を変更している。具体的には、枚葉式RFスパッタリング装置内に透光性基板を設置し、Hfターゲットを用い、クリプトン(Kr)と酸素との混合ガス雰囲気での反応性スパッタリング(RFスパッタリング)、およびSiOターゲットを用い、アルゴン(Ar)をスパッタリングガスとするスパッタリング(RFスパッタリング)により、透光性基板上に、ハフニウムおよび酸素で構成される最下層、ケイ素及び酸素で構成される下層、ハフニウムおよび酸素で構成される上層からなる位相シフト膜を形成した。具体的には、最下層21および上層23を形成した時のスパッタリングガスにはクリプトンガスと酸素の混合ガスを用い、ガス流量比はクリプトン:酸素=5:1、圧力0.14Pa、スパッタリング時のRF電源の電力は700Wとした。また、下層22を形成した時のスパッタリングガスにはアルゴンガスを用い、圧力0.04Pa、スパッタリング時のRF電源の電力は700Wとした。最下層21の厚さは35nm、下層22の厚さは13nm、上層23の厚さは8nmであり、いずれも5nm以上であった。位相シフト膜2の厚さは56nmであり、90nm以下であった。
次に、この位相シフト膜2が形成された透光性基板1に対して、位相シフト膜2の所望の光学特性を得るために、大気中高温ベーク炉にて450℃以上でアニール処理(加熱処理)を行った。位相シフト量測定装置(レーザーテック社製 MPM193)を用いて、加熱処理後の位相シフト膜2の波長193nmの光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が40.1%、位相差が175.2度(deg)であった。また、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)を用いて位相シフト膜2の各光学特性を測定したところ、波長193nmの光における最下層21および上層23の屈折率nは2.90、消衰係数kは0.22であり、下層22の屈折率nは1.56、消衰係数kは0.00であった。
また、それぞれの層の組成をX線光電子分光法(XPS)によって測定したところ、それぞれの層の界面領域、透光性基板と最下層21との界面領域を除いて、最下層21の組成がHf:O=36原子%:64原子%、下層22の組成がSi:O=34原子%:66原子%であり、上層23の組成がHf:O=36原子%:64原子%であった。最下層21は、膜厚以外は上層23と同じであった。この位相シフト膜2の上層23のハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、酸素含有量は60原子%以上であった。最下層21も同様であった。
別の透光性基板上に実施例3の位相シフト膜を成膜し、上述のようにアニール処理して得られたマスクブランクに対して、実施例1と同様に、X線回折法のOut-of-Plane測定(θ-2θ測定)による分析を行った。図1に示されるように、回折角度2θが25度から35度の範囲において、28度から29度の範囲内での28.4度で回折強度の最大値を有していた。
また、回折角度2θが28度から29度の間における回折強度の最大値をI_Lmax、回折角度2θが30度から32度の間における回折強度の最大値をI_Hmaxとしたとき、I_Lmax/I_Hmaxが1.9となり、1.5以上であった。
そして、図1にみられるように、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、m[11-1]の配向度が最も大きく、o[111]の配向度が最も小さいものであった(o[111]の配向度は確認できなかった)。
さらに、実施例1と同様に、パワースペクトル密度解析を行った。詳細は後述する。
次に、実施例1と同様の手順で、遮光膜3、ハードマスク膜4を成膜し、洗浄処理を施し、実施例3のマスクブランク100を製造した。
[位相シフトマスクの製造]
次に、この実施例3のマスクブランク100を用い、図4に示したように、実施例3のハーフトーン型の位相シフトマスク200を製造した。
実施例3の位相シフトマスク200における位相シフトパターン2aを観察したところ、良好な位相シフトパターン2aとなっていた。この位相シフトマスク200は、実施例3のマスクブランク100の位相シフト膜2をパターニングしてなるものである。したがって、実施例3の位相シフトマスク200における位相シフト膜2の特性(組成、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析結果等)は、実施例3のマスクブランク100の位相シフト膜2のものと同じになると考えられる。
[パターン転写性能の評価]
以上の手順を得て作製された位相シフトマスク200に対し、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、波長193nmの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションの露光転写像を検証したところ、CD面内均一性が高く、設計仕様を十分に満たしていた。この結果から、この実施例3の位相シフトマスク200を露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したとしても、最終的に半導体デバイス上に形成される回路パターンは高精度で形成できるといえる。
〈比較例1〉
[マスクブランクの製造]
比較例1のマスクブランクの位相シフト膜は、実施例1の位相シフト膜2とは成膜条件を変更している。具体的には、枚葉式RFスパッタリング装置内に透光性基板を設置し、HfOターゲットとSiOターゲットを交互に用い、アルゴン(Ar)ガスをスパッタリングガスとするスパッタリング(RFスパッタリング)により、透光性基板上に、ハフニウムおよび酸素で構成される最下層、ケイ素及び酸素で構成される下層、ハフニウムおよび酸素で構成される上層からなる位相シフト膜を形成した。最下層および上層を形成した時のスパッタリングガスの圧力は、0.04Pa、スパッタリング時のRF電源の電力は700Wとした。また、下層を形成した時のスパッタリングガスの圧力は0.04Pa、スパッタリング時のRF電源の電力は700Wとした。最下層の厚さは37nm、下層の厚さは11nm、上層の厚さは8nmであった。
次に、この位相シフト膜が形成された透光性基板に対して、位相シフト膜の所望の光学特性を得るために、大気中高温ベーク炉にて450℃以上でアニール処理(加熱処理)を行った。位相シフト量測定装置(レーザーテック社製 MPM193)を用いて、位相シフト膜の波長193nmの光に対する透過率と位相差を測定したところ、透過率が40.9%、位相差が177.2度(deg)であった。また、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M-2000D)を用いて位相シフト膜の各光学特性を測定したところ、波長193nmの光における最下層および上層の屈折率nは2.93、消衰係数kは0.24であり、下層の屈折率nは1.56、消衰係数kは0.00であった。
また、それぞれの層の組成をX線光電子分光法(XPS)によって測定したところ、それぞれの層の界面領域、透光性基板と最下層との界面領域を除いて、最下層の組成がHf:O=36原子%:64原子%、下層の組成がSi:O=34原子%:66原子%であり、上層の組成がHf:O=36原子%:64原子%であった。最下層は、膜厚以外は上層と同じであった。この位相シフト膜2の上層23のハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、酸素含有量は60原子%以上であった。最下層も同様であった。
別の透光性基板上に比較例1の位相シフト膜を成膜し、上述のようにアニール処理して得られたマスクブランクに対して、実施例1と同様に、X線回折法のOut-of-Plane測定(θ-2θ測定)による分析を行った。図1に示されるように、回折角度2θが25度から35度の範囲において、28度から29度の範囲内ではなく、30度から32度の間の30.6度で回折強度の最大値を有していた。
また、回折角度2θが28度から29度の間における回折強度の最大値をI_Lmax、回折角度2θが30度から32度の間における回折強度の最大値をI_Hmaxとしたとき、I_Lmax/I_Hmaxが0.95となり、1.5以上ではなかった。
そして、図1におけるそれぞれの回折X線強度のピークにおける配向度を調べたところ、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、o[111]の配向度が最も大きかった。すなわち、比較例1においては、m[11-1]の配向度が最も大きいものではなく、o[111]の配向度が最も小さいものでもなかった。
さらに、実施例1と同様に、パワースペクトル密度解析を行った。詳細は後述する。
次に、実施例1と同様の手順で、遮光膜3、ハードマスク膜4を成膜し、洗浄処理を施し、比較例1のマスクブランク100を製造した。
[位相シフトマスクの製造]
次に、この比較例1のマスクブランク100を用い、図4に示したように、比較例1のハーフトーン型の位相シフトマスク200を製造した。この位相シフトマスク200は、比較例1のマスクブランク100の位相シフト膜2をパターニングしてなるものである。したがって、比較例1の位相シフトマスク200における位相シフト膜2の特性(組成、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析結果等)は、比較例1のマスクブランク100の位相シフト膜2のものと同じになると考えられる。
比較例1の位相シフトマスク200における位相シフトパターン2aを観察したところ、位相シフトパターン2aに修正が必要な欠陥が発見された。したがって、比較例1の位相シフトマスク200は、半導体デバイスの製造に用いるには十分な品質を有しておらず、欠陥の修正工程が必要となることがわかった。
[パワースペクトル密度(PSD)解析の結果]
実施例1~3、比較例1における位相シフト膜2に対するパワースペクトル密度解析の結果を図2に示す。パワースペクトル密度解析においては、実施例1~3、比較例1における位相シフト膜2の表面状態を、原子間力顕微鏡にて測定した(測定領域:10μm×10μm、ピクセル数:256×256)。
パワースペクトル密度解析の結果、図2に示されるように、空間周波数0.1μm-1以上1.0μm-1以下の低空間周波数領域において、実施例1~3における位相シフト膜2のパワースペクトル密度は、比較例1における位相シフト膜2のパワースペクトル密度よりも小さくなっていた。また、この低空間周波数領域において、実施例1~3のパワースペクトル密度の最大値は、それぞれ6.2×10nm、9.9×10nm、1.1×10nmであり、1.5×10nm以下であり、さらには、1.2×10nm以下であった。一方、比較例1における位相シフト膜2のパワースペクトル密度の最大値は1.6×10nmであり、1.5×10nmを上回るものであった。このように、実施例1~3における位相シフト膜2は、比較例1における位相シフト膜2に比べて、空間周波数0.1μm-1以上1.0μm-1以下の低空間周波数領域におけるパワースペクトル密度を大きく低減できていた。上述のように、低空間周波数領域におけるパワースペクトル密度の値が小さいほど、疑似欠陥を低減することができる。つまり、実施例1~3においては、比較例1よりも疑似欠陥を大幅に低減できていることが明らかとなった。
1 透光性基板
2 位相シフト膜
21 最下層
22 下層
23 上層(薄膜)
2a 位相シフトパターン
3 遮光膜
3a 暫定遮光パターン
3b 遮光パターン(機能膜)
4 ハードマスク膜
4a ハードマスクパターン
5a レジストパターン
6b レジストパターン
7a レジストパターン
12 エッチングストッパー膜(薄膜)
100 マスクブランク
110 マスクブランク
200 位相シフトマスク
210 バイナリマスク

Claims (13)

  1. 基板上に、薄膜を備えるマスクブランクであって、
    前記薄膜のハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、
    前記薄膜の酸素含有量は、60原子%以上であり、
    前記薄膜に対し、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析を行って得られる回折角度2θが25度から35度の範囲でのX線回折プロファイルは、回折角度2θが28度から29度の範囲内に回折強度の最大値を有する
    ことを特徴とするマスクブランク。
  2. 前記X線回折プロファイルにおける回折角度2θが28度から29度の間における回折強度の最大値をI_Lmax、回折角度2θが30度から32度の間における回折強度の最大値をI_Hmaxとしたとき、I_Lmax/I_Hmaxが1.5以上である
    ことを特徴とする請求項1記載のマスクブランク。
  3. 前記薄膜は、結晶性を有し、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、m[11-1]の配向度が最も大きい
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のマスクブランク。
  4. 前記薄膜は、結晶性を有し、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、o[111]の配向度が最も小さい
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマスクブランク。
  5. 基板上に、転写パターンを有する薄膜を備える転写用マスクであって、
    前記薄膜のハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、
    前記薄膜の酸素含有量は、60原子%以上であり、
    前記薄膜に対し、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析を行って得られる回折角度2θが25度から35度の範囲でのX線回折プロファイルは、回折角度2θが28度から29度の範囲内に回折強度の最大値を有する
    ことを特徴とする転写用マスク。
  6. 前記X線回折プロファイルにおける回折角度2θが28度から29度の間における回折強度の最大値をI_Lmax、回折角度2θが30度から32度の間における回折強度の最大値をI_Hmaxとしたとき、I_Lmax/I_Hmaxが1.5以上である
    ことを特徴とする請求項5記載の転写用マスク。
  7. 前記薄膜は、結晶性を有し、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、m[11-1]の配向度が最も大きい
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の転写用マスク。
  8. 前記薄膜は、結晶性を有し、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、o[111]の配向度が最も小さい
    ことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の転写用マスク。
  9. 基板上に、薄膜と転写パターンを備える機能膜を備える転写用マスクであって、
    前記薄膜のハフニウムと酸素の合計含有量は、95原子%以上であり、
    前記薄膜の酸素含有量は、60原子%以上であり、
    前記薄膜に対し、X線回折法のOut-of-Plane測定による分析を行って得られる回折角度2θが25度から35度の範囲でのX線回折プロファイルは、回折角度2θが28度から29度の範囲内に回折強度の最大値を有する
    ことを特徴とする転写用マスク。
  10. 前記X線回折プロファイルにおける回折角度2θが28度から29度の間における回折強度の最大値をI_Lmax、回折角度2θが30度から32度の間における回折強度の最大値をI_Hmaxとしたとき、I_Lmax/I_Hmaxが1.5以上である
    ことを特徴とする請求項9記載の転写用マスク。
  11. 前記薄膜は、結晶性を有し、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、m[11-1]の配向度が最も大きい
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の転写用マスク。
  12. 前記薄膜は、結晶性を有し、m[11-1]、o[111]、およびm[111]の各配向のうち、o[111]の配向度が最も小さい
    ことを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の転写用マスク。
  13. 請求項5から12のいずれか記載の転写用マスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に前記転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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