本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る建設機械の一例である油圧ショベル100を示す側面図である。図2は、前記油圧ショベル100に搭載される油圧回路を示す図である。
図1及び図2に示すように、油圧ショベル100は、基体を構成するクローラ式の下部走行体1と、その走行面に対して垂直な旋回中心軸Zまわりに旋回自在に搭載される上部旋回体2と、当該上部旋回体2に装着される作業装置と、当該作業装置を動作させるための複数の油圧アクチュエータと、エンジン102と、当該エンジン102の駆動を制御するECU101(Engine Control Unit)と、複数の油圧ポンプと、複数の制御弁と、複数の操作装置と、複数のセンサと、入力装置と、コントローラ10と、を備える。
前記作業装置は、上部旋回体2に起伏可能に取付けられるブーム4と、このブーム4の先端に回動可能に連結される基端部とその反対側の先端部とを有するアーム5と、当該アーム5の先端部に連結されるバケット6(先端アタッチメント)と、を有する。
前記複数の油圧アクチュエータは、ブーム4を動作させるためのブームシリンダ7と、アーム5を動作させるためのアームシリンダ8と、バケット6を動作させるためのバケットシリンダ9(先端アタッチメントシリンダ)と、上部旋回体2を旋回させるための旋回モータ30(図2参照)と、を含む。
前記ブームシリンダ7は、前記上部旋回体2と前記ブーム4との間に介在する油圧シリンダであり、油圧の供給を受けて伸縮することにより前記ブーム4を起立方向すなわちブーム上げ方向及びその逆の倒伏方向すなわちブーム下げ方向にそれぞれ回動させるアクチュエータである。図2に示すように、当該ブームシリンダ7は、一対のシリンダ71,72により構成されている。
前記アームシリンダ8は、前記ブーム4と前記アーム5との間に介在する油圧シリンダであり、油圧の供給を受けて伸縮することにより前記アーム5を引き方向(アーム5がブーム4に近づく方向)及び押し方向(アーム5がブーム4から離れる方向)にそれぞれ回動させるアクチュエータである。前記バケットシリンダ9は、前記アーム5と前記バケット6との間に介在する油圧シリンダであり、油圧の供給を受けて伸縮することにより前記バケット6を引き方向及び押し方向にそれぞれ回動させるアクチュエータである。なお、図2の油圧回路では、前記アームシリンダ8及び前記バケットシリンダ9の図示は省略されている。
前記旋回モータ30は、前記作動油の供給を受けて回転する出力軸を有し、当該出力軸は前記上部旋回体2を左右双方向に旋回させるように当該上部旋回体2に連結されている。前記旋回モータ30は、可変容量型の油圧モータにより構成される。旋回モータ30のモータ容量は、当該モータの傾転角に応じて変わる。旋回モータ30の傾転角を大きくするほど、旋回モータ30のモータ容量が大きくなる。旋回モータ30はレギュレータ30aを含み、当該レギュレータ30aに前記コントローラ10から旋回モータ容量指令値に関する信号が入力されることにより前記旋回モータ30のモータ容量が調節される。
前記エンジン102は、動力を生成し、当該動力を前記複数の油圧ポンプのそれぞれに供給するポンプ駆動源である。前記複数の油圧ポンプはエンジン102の出力軸に連結されている。前記複数の油圧ポンプは、第1油圧ポンプ21、第2油圧ポンプ22及びパイロットポンプ23を含む。前記第1油圧ポンプ21、第2油圧ポンプ22及びパイロットポンプ23は、前記エンジン102からの動力の供給を受けることにより作動油を吐出するように作動する。第1及び第2油圧ポンプ21,22は、当該作動油を前記複数の油圧アクチュエータのうち当該第1及び第2油圧ポンプ21,22のそれぞれに接続される油圧アクチュエータに供給する。
前記第1及び第2油圧ポンプ21,22は、可変容量型油圧ポンプにより構成される。第1油圧ポンプ21及び第2油圧ポンプ22の容量は、各ポンプの傾転角に応じて変わる。ポンプの傾転角を大きくするほど、ポンプの容量が大きくなる。前記第1及び第2油圧ポンプ21,22はそれぞれレギュレータ21a,22aを含み、当該レギュレータ21a,22aに前記コントローラ10から容量指令値に関する信号が入力されることにより前記第1及び第2油圧ポンプ21,22のそれぞれの容量である第1ポンプ容量及び第2ポンプ容量が調節される。当該第1及び第2ポンプ容量が調節されることにより、前記エンジン102から前記第1及び第2油圧ポンプ21,22への動力の分配が制御される。
前記第1油圧ポンプ21の吐出口は、第1センターバイパスラインCL1に接続され、前記第2油圧ポンプ22の吐出口は、第2センターバイパスラインCL2に接続されている。前記第1及び第2センターバイパスラインCL1,CL2は、リリーフ弁43を介してタンクラインTLに接続され、当該タンクラインTLはタンクTに接続されている。
リリーフ弁43は、第1及び第2センターバイパスラインCL1,CL2内の圧力が予め設定されたリリーフ圧未満のときに閉弁している一方で、当該圧力が前記リリーフ圧以上のときに開弁して第1及び第2センターバイパスラインCL1,CL2内の作動油をタンクラインTLに導く。これにより、油圧ポンプ21,22の負荷が高くなったときに油圧回路を保護することができる。前記リリーフ弁43と第1センターバイパスラインCL1とを接続するリリーフラインには、第1油圧ポンプ21から前記リリーフ弁43に向けた作動油の流れを許容する一方、その逆向きの流れを規制するチェック弁が設けられている。前記リリーフ弁43と第2センターバイパスラインCL2とを接続するリリーフラインには、第2油圧ポンプ22から前記リリーフ弁43に向けた作動油の流れを許容する一方、その逆向きの流れを規制するチェック弁が設けられている。
図2に示すように、複数の制御弁は、旋回モータ30への作動油の供給を制御する旋回制御弁40(旋回スプール)と、ブームシリンダ7への作動油の供給を制御するブーム制御弁41(ブーム1速スプール)と、アームシリンダ8への作動油の供給を制御するアーム制御弁と、バケットシリンダ9への作動油の供給を制御するバケット制御弁と、合流切換弁42と、を含む。なお、図2では、前記アーム制御弁及びバケット制御弁の図示は省略されている。
前記旋回制御弁40は、前記第1センターバイパスラインCL1に配置され、前記第1油圧ポンプ21と前記旋回モータ30との間に介在している。前記ブーム制御弁41は、前記第2センターバイパスラインCL2に配置され、前記第2油圧ポンプ22と前記ブームシリンダ7(一対のシリンダ71,72)との間に介在している。前記合流切換弁42は、後述する合流ラインL7に配置され、前記第1油圧ポンプ21と前記ブームシリンダ7との間に介在している。
図2に示される回路は、前記第1油圧ポンプ21が吐出する作動油を前記旋回制御弁40に供給するための供給ラインL1と、当該旋回制御弁40と前記旋回モータ30とを接続する一対のラインL2,L3と、を有する。前記供給ラインL1は、前記第1センターバイパスラインCL1から分岐し、前記旋回制御弁40に至る。前記供給ラインL1には、第1油圧ポンプ21から旋回制御弁40に向けた作動油の流れを許容する一方、その逆向きの流れを規制するチェック弁が設けられている。
図2に示される回路は、前記第2油圧ポンプ22が吐出する作動油を前記ブーム制御弁41に供給するための供給ラインL4と、当該ブーム制御弁41と前記ブームシリンダ7とを接続する一対のラインL5,L6と、を有する。前記供給ラインL4は、第2センターバイパスラインCL2から分岐し、ブーム制御弁41に至る。前記一対のラインL5,L6のうち、ラインL5は、ブーム制御弁41とブームシリンダ7のヘッド側室とを接続しており、ラインL6は、ブーム制御弁41とブームシリンダ7のロッド側室とを接続している。
図2に示される回路は、前記合流ラインL7をさらに有する。当該合流ラインL7は、前記第1油圧ポンプ21が吐出する作動油の一部を前記ブームシリンダ7に供給するためのものである。当該合流ラインL7は、前記供給ラインL1から分岐し、前記一対のラインL5,L6のうちの一方のラインL5に接続されている。前記合流ラインL7には、前記合流切換弁42と、チェック弁とが設けられている。当該チェック弁は、第1油圧ポンプ21からラインL5に向けた作動油の流れを許容する一方、その逆向きの流れを規制する。
前記旋回制御弁40及び前記ブーム制御弁41は、いずれも流量制御機能を有するパイロット操作式の3位置方向切換弁からなり、パイロット圧の入力を受けることにより開弁する。
前記旋回制御弁40は、右旋回パイロットポート40a及び左旋回パイロットポート40bを有する。当該旋回制御弁40は、両パイロットポート40a,40bにパイロット圧が入力されないときは中立位置に保持されて(すなわち閉弁して)前記旋回モータ30と第1油圧ポンプ21及び前記タンクTとの間を遮断する。
当該旋回制御弁40は、前記右旋回パイロットポート40aに右旋回パイロット圧が入力されたときは当該右旋回パイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から右旋回位置に切換えられ(開弁し)、前記第1油圧ポンプ21から吐出される作動油が前記供給ラインL1を通じて前記ストロークに対応した流量(旋回流量)で前記旋回モータ30の一方のポートに供給されることを許容するとともに当該旋回モータ30の他方のポートから排出される作動油が前記タンクラインTLを通じてタンクTに戻されることを許容する油路を形成する。つまり、前記旋回モータ30が前記右旋回パイロット圧に対応した速度で回転して当該回転速度に対応する旋回速度で上部旋回体2を右旋回させることを許容する。
前記旋回制御弁40は、前記左旋回パイロットポート40bに左旋回パイロット圧が入力されたときは当該左旋回パイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から左旋回位置に切換えられ(開弁し)、前記第1油圧ポンプ21から吐出される作動油が前記供給ラインL1を通じて前記ストロークに対応した流量(旋回流量)で前記旋回モータ30の前記他方のポートに供給されることを許容するとともに当該旋回モータ30の前記一方のポートから排出される作動油が前記タンクラインTLを通じて前記タンクTに戻されることを許容する油路を形成する。つまり、前記旋回モータ30が前記左旋回パイロット圧に対応した速度で回転して当該回転速度に対応する旋回速度で上部旋回体2を左旋回させることを許容する。
前記ブーム制御弁41は、ブーム上げパイロットポート41a及びその反対側のブーム下げパイロットポート41bを有する。当該ブーム制御弁41は、両パイロットポート41a,41bにパイロット圧が入力されないときは中立位置に保持されて(すなわち閉弁して)前記ブームシリンダ7と第2油圧ポンプ22及びタンクTとの間を遮断する。
当該ブーム制御弁41は、前記ブーム上げパイロットポート41aにブーム上げパイロット圧が入力されたときは当該ブーム上げパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置からブーム上げ位置に切換えられ(開弁し)、前記第2油圧ポンプ22から吐出される作動油が前記供給ラインL4を通じて前記ストロークに対応した流量で前記ブームシリンダ7の前記ヘッド側室に供給されることを許容するとともに当該ブームシリンダ7の前記ロッド側室から排出される作動油が前記タンクラインTLを通じてタンクTに戻されることを許容する油路を形成する。つまり、前記ブームシリンダ7が前記ブーム上げパイロット圧に対応した速度で伸長して当該速度に対応するブーム上げ速度で前記ブーム4を上げ方向に動かすことを許容する。
当該ブーム制御弁41は、前記ブーム下げパイロットポート41bにブーム下げパイロット圧が入力されたときは当該ブーム下げパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置からブーム下げ位置に切換えられ(開弁し)、前記第2油圧ポンプ22から吐出される作動油が前記供給ラインL4を通じて前記ストロークに対応した流量で前記ブームシリンダ7の前記ロッド側室に供給されることを許容するとともに当該ブームシリンダ7の前記ヘッド側室から排出される作動油が前記タンクラインTLを通じてタンクTに戻されることを許容する油路を形成する。つまり、前記ブームシリンダ7が前記ブーム下げパイロット圧に対応した速度で収縮して当該速度に対応するブーム下げ速度で前記ブーム4を下げ方向に動かすことを許容する。
前記合流切換弁42(ブーム上げ増速制御弁)は、ブーム4の上げ方向の駆動に関してその増速のための作動油を第1油圧ポンプ21からブームシリンダ7の前記ヘッド側室に導くとともに当該作動油の流量を制御する。前記合流切換弁42は、ブーム上げ合流パイロットポート42aを有するパイロット操作式の2位置方向切換弁からなる。当該合流切換弁42は、前記ブーム上げ合流パイロットポート42aにパイロット圧が入力されないときは中立位置に保持されて(すなわち閉弁して)前記第1油圧ポンプ21から前記ブームシリンダ7への作動油の供給を遮断する。
当該合流切換弁42は、前記ブーム上げ合流パイロットポート42aに一定以上の大きさのパイロット圧が供給されると前記中立位置からブーム上げ合流位置に切換えられ(開弁し)、前記第1油圧ポンプ21から吐出される作動油が第2油圧ポンプ22からブームシリンダ7の前記ヘッド側室に供給される作動油に合流するのを許容する。前記合流切換弁42の開弁は、共通の油圧ポンプである第1油圧ポンプ21から旋回モータ30とブームシリンダ7の双方にパラレルに作動油が供給される状態を形成する。つまり、前記ブームシリンダ7が前記第2油圧ポンプ22から吐出される作動油に加えて前記第1油圧ポンプ21から吐出される作動油の供給も受けて伸長方向に増速されることを許容する。
前記複数の操作装置は、旋回操作装置51と、ブーム操作装置52と、アーム操作装置と、バケット操作装置と、走行操作装置と、を含む。図2では、前記アーム操作装置、前記バケット操作装置及び前記走行操作装置の図示は省略されている。
前記旋回操作装置51は、オペレータによる旋回操作を受け、当該旋回操作に対応して前記旋回制御弁40を開弁作動させるものである。当該旋回操作装置51は、旋回操作レバー51Aと、旋回パイロット弁51Bと、右旋回パイロットライン82Aと、左旋回パイロットライン82Bと、を有する。
前記旋回操作レバー51Aは、オペレータから前記旋回モータ30を動かすための回動操作を受ける操作部材である。具体的に、当該旋回操作レバー51Aは、前記旋回パイロット弁51Bに回動可能に連結され、オペレータによって中立位置を挟んでその両側に操作されること、すなわち、右旋回操作と左旋回操作とを受けること、が可能である。
前記旋回パイロット弁51Bは、前記旋回操作レバー51Aに与えられる前記旋回操作に応じてパイロット油圧源である前記パイロットポンプ23から前記旋回制御弁40にパイロット圧が供給されるのを許容するように開弁する。具体的に、前記旋回パイロット弁51Bは、前記右旋回パイロットライン82A及び前記左旋回パイロットライン82Bを介して前記旋回制御弁40の右旋回パイロットポート40a及び左旋回パイロットポート40bにそれぞれ接続されている。
前記旋回パイロット弁51Bは、前記旋回操作レバー51Aが中立位置にあるときにはパイロット圧の供給を遮断する。前記旋回パイロット弁51Bは、前記旋回操作レバー51Aに前記右旋回操作が与えられると、その操作量に対応する大きさの右旋回パイロット圧が前記右旋回パイロットライン82Aを通じて前記旋回制御弁40の右旋回パイロットポート40aに供給されることを許容するように開弁する。前記旋回パイロット弁51Bは、前記旋回操作レバー51Aに前記左旋回操作が与えられると、その操作量に対応する大きさの左旋回パイロット圧が前記左旋回パイロットライン82Bを通じて前記旋回制御弁40の左旋回パイロットポート40bに供給されることを許容するように開弁する。
従って、前記旋回操作装置51及び前記旋回制御弁40は、前記上部旋回体2を旋回させるための旋回操作を受けて前記第1油圧ポンプ21から旋回モータ30に作動油が供給される方向及び流量を制御する旋回制御装置を構成する。
前記ブーム操作装置52は、オペレータによるブーム操作を受け、当該ブーム操作に対応して前記ブーム制御弁41さらには前記合流切換弁42を開弁作動させるものである。当該ブーム操作装置52は、ブーム操作レバー52Aと、ブームパイロット弁52Bと、ブーム上げパイロットライン81Aと、ブーム下げパイロットライン81Bと、ブーム上げ合流パイロットライン81Cと、を有する。
前記ブーム操作レバー52Aは、オペレータから前記ブームシリンダ7を動かすための回動操作を受ける操作部材である。具体的に、当該ブーム操作レバー52Aは、前記ブームパイロット弁52Bに回動可能に連結され、オペレータによって中立位置を挟んでその両側に操作されること、すなわち、ブーム上げ操作とブーム下げ操作とを受けること、が可能である。前記ブーム上げ操作は、バケット6を上向き成分を含む上げ方向に変位させるようにブームシリンダ7を伸長させるための操作に相当する。前記ブーム下げ操作は、バケット6を下向き成分を含む下げ方向に変位させるようにブームシリンダ7を収縮させるための操作に相当する。
前記ブームパイロット弁52Bは、前記ブーム操作レバー52Aに与えられる前記ブーム操作に応じてパイロット油圧源である前記パイロットポンプ23から前記ブーム制御弁41及び前記合流切換弁42にパイロット圧が供給されるのを許容するように開弁する。具体的に、前記ブームパイロット弁52Bは、前記ブーム上げパイロットライン81A及び前記ブーム下げパイロットライン81Bを介して前記ブーム制御弁41のブーム上げパイロットポート41a及びブーム下げパイロットポート41bにそれぞれ接続され、さらに、前記ブーム上げパイロットライン81Aから分岐する前記ブーム上げ合流パイロットライン81Cを介して前記合流切換弁42の前記ブーム上げ合流パイロットポート42aに接続されている。なお、図2では、ブーム下げパイロットライン81Bの一部の図示は省略されている。
前記ブームパイロット弁52Bは、前記ブーム操作レバー52Aが中立位置にあるときにはパイロット圧の供給を遮断する。前記ブームパイロット弁52Bは、前記ブーム操作レバー52Aに前記ブーム上げ操作が与えられると、その操作量に対応する大きさのブーム上げパイロット圧が前記ブーム上げパイロットライン81A及び前記ブーム上げ合流パイロットライン81Cを通じて前記ブーム制御弁41のブーム上げパイロットポート41a及び合流切換弁42のブーム上げ合流パイロットポート42aに供給されることを許容するように開弁する。前記ブームパイロット弁52Bは、前記ブーム操作レバー52Aに前記ブーム下げ操作が与えられると、その操作量に対応する大きさのブーム下げパイロット圧が前記ブーム下げパイロットライン81Bを通じて前記ブーム制御弁41のブーム下げパイロットポート41bに供給されることを許容するように開弁する。
従って、前記ブーム操作装置52、前記ブーム制御弁41及び合流切換弁42は、前記ブーム4を起立方向に動かすためのブーム上げ操作及び前記ブーム4を倒伏方向に動かすためのブーム下げ操作を受けて第1油圧ポンプ21からブームシリンダ7に作動油が供給される方向及び流量を制御するブーム制御装置を構成する。
本実施形態では、前記複数のセンサは、第1ポンプ圧センサ61と、第2ポンプ圧センサ62と、複数のパイロット圧センサと、ブームヘッド側圧センサ65と、ブーム角度センサ66と、を含む。
第1ポンプ圧センサ61は、第1油圧ポンプ21の吐出圧(ポンプ圧)を検出するものであり、第2ポンプ圧センサ62は、第2油圧ポンプ22の吐出圧(ポンプ圧)を検出するものである。それぞれのポンプ圧センサは、対応する吐出圧(ポンプ圧)に相当する電気信号であるポンプ圧検出信号を生成して前記コントローラ10に入力する。
前記複数のパイロット圧センサは、前記右旋回パイロットポート40aに入力される前記右旋回パイロット圧を検出する右旋回パイロット圧センサ63Aと、前記左旋回パイロットポート40bに入力される前記左旋回パイロット圧を検出する左旋回パイロット圧センサ63Bと、前記ブーム上げパイロットポート41aに入力される前記ブーム上げパイロット圧を検出するブームパイロット圧センサ64と、前記ブーム下げパイロットポート41bに入力される前記ブーム下げパイロット圧を検出するブームパイロット圧センサ(図示省略)と、を含む。それぞれのパイロット圧センサは、対応するパイロット圧に相当する電気信号であるパイロット圧検出信号を生成して前記コントローラ10に入力する。
前記ブームヘッド側圧センサ65は、前記ブームシリンダ7のヘッド側室における作動油の圧力であるブームヘッド側圧Pb(ブーム上げ駆動圧)に対応する電気信号であるヘッド側圧検出信号を生成して前記コントローラ10に入力する。前記ブーム角度センサ66は、前記ブーム4の起立角度であるブーム角度θbに対応する電気信号であるブーム角度検出信号を生成して前記コントローラ10に入力する。
前記入力装置(図示省略)は、オペレータによる入力操作を受け、かつ、その入力操作に対応した変更指令をコントローラ10に入力する。前記入力操作には、例えばモード特定操作が含まれる。前記モード特定操作は、複数の作業モードの中から一つの作業モードを特定するための操作である。
本実施形態では、前記複数の作業モードは、ポンプトルクの上限値に対応して用意されている。具体的には、当該複数の作業モードには、例えば、Hモード(ハイパワーモード)、Sモード(中間モード)、及びECOモード(省エネルギーモード)が含まれる。これらのモードのうち、前記ハイパワーモードは、前記ポンプトルクの上限値が最も大きい値に設定され、前記省エネルギーモードは、前記ポンプトルクの上限値が最も小さい値に設定される(図5参照)。
前記コントローラ10は、コンピュータ等からなる。図3は、油圧ショベル100におけるコントローラ10の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、前記コントローラ10は、ポンプ出力設定部11と、旋回指令値設定部12と、旋回信号入力部13と、操作判定部14と、を機能として有する。
前記ポンプ出力設定部11は、前記第1ポンプ圧センサ61及び第2ポンプ圧センサ62が検出する第1ポンプ圧P1及び第2ポンプ圧P2に基づいて第1油圧ポンプ21の容量(第1ポンプ容量Q1)及び第2油圧ポンプ22の容量(第2ポンプ容量Q2)を制御する。本実施形態では、当該制御として馬力制御が行われる。当該馬力制御は、前記第1及び第2油圧ポンプ21,22が要求する馬力W1,W2を前記エンジン102について予め設定された馬力曲線以下の馬力に制限するように、前記第1及び第2ポンプ圧P1,P2に応じて前記第1及び第2ポンプ容量Q1,Q2を設定する制御である。
具体的には、本実施形態では、前記ポンプ出力設定部11は、前記エンジン102の回転数に関する信号に基づいて前記第1油圧ポンプ21の出力を制限するために前記第1油圧ポンプ21の出力に関する上限値と、前記エンジン102の回転数に関する信号に基づいて前記第2油圧ポンプ22の出力を制限するために前記第2油圧ポンプ22の出力に関する上限値と、を設定する。
前記旋回指令値設定部12は、前記旋回操作装置51に操作が与えられる前記旋回操作を含む操作時に、予め設定されたマップに基づいて、前記旋回モータ30の前記旋回トルクに関する指令値(旋回指令値)を設定する。前記旋回トルクに関する旋回指令値としては、旋回モータ容量指令値を例示できる。
前記旋回操作を含む操作には、例えば、旋回単独操作、旋回ブーム上げ操作、旋回ブーム下げ操作、旋回アーム操作等の種々の操作が含まれる。前記旋回単独操作は、前記複数の操作装置のうち前記旋回操作装置51の旋回操作レバー51Aのみに対して操作(旋回操作)が与えられて他の操作装置には操作が与えられていない単独操作である。前記旋回ブーム上げ操作は、前記旋回制御装置51に前記旋回操作が与えられると同時に前記ブーム制御装置52に前記ブーム上げ操作が与えられる複合操作である。前記旋回ブーム下げ操作は、前記旋回制御装置51に前記旋回操作が与えられると同時に前記ブーム制御装置52に前記ブーム下げ操作が与えられる複合操作である。前記旋回アーム操作は、前記旋回制御装置51に前記旋回操作が与えられると同時に前記アーム操作装置にアーム操作(アーム上げ操作又はアーム下げ操作)が与えられる複合操作である。
本実施形態では、特に前記旋回ブーム操作時には、前記旋回指令値設定部12は、前記第1油圧ポンプ21の出力における前記上限値に関する信号に基づいて前記旋回モータ容量指令値(旋回指令値)を設定する。
前記旋回信号入力部13は、前記旋回ブーム上げ操作時において前記旋回モータ容量指令値に対応する信号を前記旋回モータ30に入力する。これにより、前記旋回モータ30の旋回モータ容量が調節される。
前記操作判定部14は、前記複数のパイロット圧センサにより生成されるパイロット圧検出信号に基づいて、前記種々の操作のうちの何れの操作が行われているかについて判定する。
次に、このコントローラ10が行う演算制御動作を図4にフローチャートを参照しながら説明する。
前記旋回指令値設定部12は、前記旋回操作レバー51Aに旋回操作が与えられる旋回操作を含む操作時に、予め設定された基準(操作条件)に基づいて、前記旋回モータ容量の暫定的な指令値である旋回モータ容量指令値qを設定する(ステップS1)。具体的には、例えば前記旋回単独操作が行われた場合や前記旋回ブーム上げ操作が行われた場合には、当該旋回モータ容量指令値qは、例えば次のように設定される。
1)旋回単独操作の場合
前記操作判定部14が前記複数のパイロット圧センサにより生成されるパイロット圧検出信号に基づいて前記旋回単独操作が行われていると判定した場合には、前記旋回指令値設定部12は、前記旋回モータ容量指令値qを、予め設定された基本モータ容量指令値q1(cm3/rev)に暫定的に設定する。
2)旋回ブーム上げ操作の場合
前記操作判定部14が前記複数のパイロット圧センサにより生成されるパイロット圧検出信号に基づいて前記旋回ブーム上げ操作が行われていると判定した場合には、前記旋回指令値設定部12は、例えば次式(1)に基づいて前記旋回モータ容量指令値q(cm3/rev)を暫定的に設定する。
q=q1*Ra*Rp ・・・(1)
ここで、Raはブーム角度θbに応じて旋回モータ容量を増減するために前記基本モータ容量指令値q1に乗じられる第1増減比率(%)であり、Rpは前記ブームヘッド側圧Pb(ブーム上げ駆動圧)に応じて旋回モータ容量を増減するために前記基本モータ容量指令値q1に乗じられる第2増減比率(%)である。
前記旋回指令値設定部12は、前記ブーム角度θb及び前記ブームヘッド側圧Pbに基づいて前記第1及び第2増減比率Ra,Rpをそれぞれ算定するために予め用意されたマップを記憶している。すなわち、当該旋回指令値設定部12は、前記ブーム角度θb及び前記ブームヘッド側圧Pb(ブーム上げ駆動圧)にそれぞれ対応した第1及び第2増減比率Ra,Rpを決定してこれらを前記基本モータ容量指令値q1に乗ずることにより、旋回モータ容量指令値qの演算を行う。
第1及び第2増減比率Ra,Rpの前記マップは、例えば次のような観点で予め用意されたものである。前記旋回ブーム上げ操作時において、前記ブーム4の起立角度が小さくて作業装置が低い姿勢にある時、つまり、ブーム4の起立角度が目標とする到達角度から大きく離れていると推定できる時、は上部旋回体2の旋回に追従してブーム4が適当な高さまで十分な速度でブーム上げ動作をする必要がある一方、前記ブーム4の起立角度がある程度の角度まで達していて作業装置が比較的高い姿勢にある時、つまり、ブーム4の起立角度が目標とする到達角度にある程度近づいていると推定できる時、はブーム上げ速度を抑えてその分だけ旋回速度を増加させることにより、作業効率を高めることが可能である。また、前記旋回ブーム上げ操作時において、ブーム上げ駆動圧が大きい場合、すなわちブーム上げ動作に対する負荷が大きい場合(例えばバケット6に積まれた土砂の量が多い場合)には、旋回モータ容量指令値を減少方向に調節することにより、当該負荷に抗して十分な速度でブーム4を起立させることが可能である。
上記のようにして前記旋回モータ容量の暫定的な指令値である旋回モータ容量指令値qが決定されると(ステップS1)、次に、操作判定部14は、前記旋回パイロット圧(旋回Pi)が予め設定された旋回パイロット圧閾値以上であり、かつ、前記ブーム上げパイロット圧(ブーム上げPi)が予め設定されたブーム上げパイロット圧閾値以上であるか否かについて判定する(ステップS2)。なお、前記旋回パイロット圧及びブーム上げパイロット圧は、本発明における旋回操作量及びブーム操作量の一例であり、前記旋回パイロット圧閾値及び前記ブーム上げパイロット圧閾値は、本発明における旋回操作閾値及びブーム操作閾値の一例である。前記旋回パイロット圧閾値及び前記ブーム上げパイロット圧閾値は、以下に説明するような観点で予め設定される判定基準値である。
前記旋回ブーム上げ操作が行われるとき、すなわち、前記旋回操作レバー51Aに前記旋回操作が与えられるのと同時に前記ブーム操作レバー52Aにブーム上げ操作が与えられる操作が行われるときには、必ずしも旋回トルクを減少させる必要性が高いとは限らず、旋回トルクを減少させる必要がない場合もある。
前記旋回トルクを減少させる必要性が高い場合としては、例えば、バケット6によって掘削された土砂をダンプカーなどの荷台に積み込む作業が挙げられる。当該作業では、例えば地面にある土砂を当該地面よりも高所で、かつ、前記地面に対して前記旋回中心軸Z(図1参照)を中心とする角度差(例えば90°程度の角度差)を有する目標位置(前記ダンプカーの荷台)まで移動させる。かかる作業においては、掘削作業によりバケット6に収容された土砂を前記目標位置に移動させるためには、上部旋回体2が前記旋回中心軸Zを中心に前記角度差に対応する位置まで旋回し、かつ、前記目標位置と前記地面との高低差に対応する位置までブーム4がブーム上げ方向(起立方向)に起立してブーム角度が大きくなる必要がある。当該作業のように前記旋回ブーム上げ作業における上部旋回体2の旋回角度及びブーム4のブーム角度の変化量が共に大きい場合には、エンジン102の回転数が小さくなると、旋回動作が完了するのに要する時間とブーム上げ動作が完了するのに要する時間との間のタイムラグが比較的大きくなりやすい。このため、前記旋回トルクを減少させる必要性が高い。
一方、前記旋回トルクを減少させる必要性が低い場合としては、例えば、バケット6を用いて凹凸を有する地面をならすような作業が挙げられる。当該作業では、バケット6の外面を地面に接触させた状態で、比較的小さな旋回角度で右旋回と左旋回の往復動作が小刻みに行われながら、ブーム4の引き動作、すなわち、ブーム4がブーム上げ方向(起立方向)に起立してブーム角度が大きくなる動作、が行われる。当該作業のように前記旋回ブーム上げ作業における上部旋回体2の旋回角度の変化量が小さい場合には、エンジン102の回転数が小さくなったとしても、前記必要性が高い場合のような上記問題は生じないので、前記旋回トルクを減少させる必要性が低い。
前記旋回トルクを減少させる必要性が高い場合には、通常、旋回操作レバー51A及びブーム操作レバー52Aは、共に、最大の操作量(いわゆるフルレバー)に対応する位置までオペレータによる回動操作を受ける。一方、前記必要性が低い場合には、通常、旋回操作レバー51A及びブーム操作レバー52Aの少なくとも一方は、上記のような小刻みな動作を実現するために前記最大の操作量に比べて大幅に小さい操作量(いわゆるハーフレバー又はそれ以下の操作量)に対応する位置までの回動操作を受ける。したがって、前記旋回トルクを減少させる必要性が高い状況であるか前記必要性が低い状況であるかの判定は、前記旋回パイロット圧と前記ブーム上げパイロット圧に基づいて行うことが可能である。前記旋回パイロット圧閾値及び前記ブーム上げパイロット圧閾値は、以上のような観点で前記必要性を判定するために予め設定される。
操作判定部14が、前記旋回パイロット圧(旋回Pi)が予め設定された旋回パイロット圧閾値以上であり、かつ、前記ブーム上げパイロット圧(ブーム上げPi)が予め設定されたブーム上げパイロット圧閾値以上であるという条件が満たされていると判定した場合(ステップS2においてYES)、前記旋回指令値設定部12は、エンジン102の回転数とポンプトルクとの関係を示す予め設定されたマップに基づいて、ポンプトルクの上限値を決定する(ステップS3)。
図5は、エンジン102の回転設定とポンプトルク上限設定値との関係を示すグラフであり、前記マップの一例である。図5に示すように、本実施形態では、前記旋回指令値設定部12は、例えば図5に示すようなマップを用いてポンプトルクの上限値を決定する。具体的に、エンジン回転数に関する信号は、ECU101からコントローラ10に入力される。また、特定の作業モードは、前記入力装置が受けたオペレータによる前記入力操作により予め設定されている。したがって、前記旋回指令値設定部12は、図5に示すマップ、すなわち、前記エンジン回転数及び特定された作業モードに基づいてポンプトルクの上限値を決定することができる。
次に、前記旋回指令値設定部12は、決定されたポンプトルクの上限値に基づいて、旋回モータ容量指令値q’を予め設定されたマップを用いて演算する(ステップS4)。図6は、ポンプトルク上限設定値と旋回モータ容量指令値との関係を示すグラフであり、前記マップの一例である。前記旋回指令値設定部12は、例えば図6に示すようなマップを用いて前記旋回モータ容量指令値q’を演算する。
次に、前記旋回指令値設定部12は、暫定の前記旋回モータ容量指令値qを前記旋回モータ容量指令値q’に書き換える(ステップS5)。
最後に、前記旋回信号入力部13は、旋回モータ30のレギュレータ30aに前記旋回モータ容量指令値q’に対応する信号(容量指令信号)を入力する(ステップS6)。これにより、旋回モータ30のモータ容量が旋回モータ容量指令値q’に調節される。
一方、操作判定部14が、前記旋回パイロット圧が予め設定された旋回パイロット圧閾値以上であるという条件、及び、前記ブーム上げパイロット圧が予め設定されたブーム上げパイロット圧閾値以上であるという条件の少なくとも一方が満たされていないと判定した場合(ステップS2においてNO)、旋回信号入力部13は、旋回モータ30のレギュレータ30aに前記旋回モータ容量指令値q(暫定的に設定された前記旋回モータ容量指令値qと同じ値)に対応する信号(容量指令信号)を入力する(ステップS6)。これにより、旋回モータ30のモータ容量が旋回モータ容量指令値qに調節される。
以上説明した本実施形態に係る油圧ショベル100によれば、前記エンジン102の回転数に関する信号に基づいて前記第1油圧ポンプ21の出力を制限するために前記第1油圧ポンプ21の出力に関する上限値が設定されるので、前記エンジン回転数に応じて前記第1油圧ポンプ21の出力(馬力)が制限され、これにより、エンストが生じるのが抑制される。このように前記第1油圧ポンプ21の出力(馬力)が制限され、当該第1油圧ポンプ21の流量が低減すると、前記旋回ブーム上げ操作時における前記ブーム上げ速度が当該流量の低減前に比べて小さくなる。そこで、本実施形態の油圧ショベル100では、前記ポンプ出力設定部11により設定された前記上限値に関する信号に基づいて旋回モータ30に係る旋回モータ容量指令値q’が設定され、前記旋回ブーム上げ操作時には、当該旋回モータ容量指令値q’に対応する信号が前記旋回モータ30のレギュレータ30aに入力される。これにより、前記旋回ブーム上げ操作時において旋回モータ30の旋回トルクを低減させることができるので、上部旋回体2の旋回の加速度が低減する。したがって、前記旋回ブーム上げ操作時において、前記ブーム上げ速度とともに前記旋回速度も低減させることができるので、前記ブーム上げ速度のみが低減する場合に比べて、上部旋回体2の旋回速度とブーム4のブーム上げ速度とのバランスがくずれるのを抑制することができる。その結果、前記旋回ブーム上げ操作時において、操作レバーの操作量を調節する(微調節する)という煩雑な操作の頻度が減少する。このことは、前記旋回ブーム上げ操作の操作性が向上することを可能にし、また、サイクルタイム(1回当たりの旋回ブーム上げ動作に要する時間)の短縮を可能にし、さらに、前記油圧ポンプの出力(馬力)を最大限有効に利用することを可能にする。
また、本実施形態に係る油圧ショベル100では、前記旋回信号入力部13は、前記旋回パイロット圧が前記旋回パイロット圧閾値以上であり、かつ、前記ブーム上げパイロット圧が前記ブーム上げパイロット圧閾値以上である場合にのみ、前記旋回指令値に対応する信号を前記旋回モータ30のレギュレータ30aに入力するように構成されている。すなわち、前記旋回ブーム上げ操作時において、前記旋回モータ30の前記旋回トルクを低減させる必要性が高い場合に選択的に前記旋回トルクを低減させる制御が行われる。したがって、油圧ショベル100において、必要性の高い制御を選択的に実行して必要性の低い制御を省略することができる。
[変形例]
図7は、前記実施形態の変形例に係る建設機械としての油圧ショベル100に搭載される油圧回路を示す図である。
図7に示す変形例に係る油圧ショベル100は、旋回アクチュエータが図2に示す油圧ショベル100のように旋回モータ30により構成されているのではなく、旋回電動機31により構成されている点が図2に示す実施形態に係る油圧ショベル100と異なっている。当該変形例では、上部旋回体2は旋回電動機31によって旋回動作するように構成され、ブーム4などの作業装置は、図2に示す実施形態と同様に油圧アクチュエータによって動作するように構成されている。したがって、当該変形例に係る油圧ショベル100では、旋回モータ30への作動油の供給を制御する旋回制御弁40(図2参照)は省略されている。また、図2に示される油圧回路において、第1油圧ポンプ21から吐出される作動油は、他の油圧アクチュエータ、例えば、下部走行体1を走行させるための図略の走行モータ、アームシリンダ8、バケットシリンダ9などの油圧アクチュエータに供給されるように構成されていてもよい。
当該変形例に係る油圧ショベル100は、上部旋回体2を旋回動作させるように作動する前記旋回電動機31と、前記上部旋回体2を前記旋回動作させるための旋回操作を受けて前記旋回電動機31の旋回トルクを制御する旋回制御装置と、旋回電動機31に動力を供給する図略の駆動源(例えばバッテリなどの電源)と、を備える。前記旋回制御装置は、図2に示すものと同様の前記旋回操作装置51と、旋回電動機31の旋回トルクを制御する図略の旋回インバータと、を含む。
当該変形例に係る油圧ショベル100においても、前記旋回ブーム上げ操作時には、前記旋回電動機31の旋回トルクを低減する制御が行われる。当該制御について、図4を参照しながら説明する。
変形例に係る油圧ショベル100では、図4に示すフローチャートの複数の処理のうちステップS1~S3の処理は図2に示す実施形態に係る油圧ショベル100と同様であるので説明を省略する。変形例に係る油圧ショベル100では、図4に示すフローチャートのステップS4~S6において、以下のように読み替えた内容で制御が行われる。
当該変形例では、図4に示すフローチャートのステップS4では、前記旋回指令値設定部12は、ステップS3において決定されたポンプトルクの上限値に基づいて、旋回指令値q’を予め設定されたマップを用いて演算する。図8は、当該変形例に係る油圧ショベル100におけるポンプトルク上限設定値と旋回電動機トルク指令値(旋回指令値)との関係を示すグラフであり、前記マップの一例である。前記旋回指令値設定部12は、例えば図8に示すようなマップを用いて前記旋回指令値q’を演算する。
次に、前記旋回指令値設定部12は、ステップS1において設定された暫定の前記旋回指令値qを前記旋回指令値q’に書き換える(ステップS5)。
次に、旋回信号入力部13は、旋回電動機31に前記旋回指令値q’に対応する信号(容量指令信号)を入力する(ステップS6)。これにより、旋回電動機31の旋回トルクが前記旋回指令値q’に対応する値に調節される。
[その他の変形例]
本発明は、以上説明した実施形態及び変形例に限定されない。本発明は、例えば次のような形態も包含する。
(A)建設機械の種類について
本発明に係る建設機械は上記のような油圧ショベルに限定されない。本発明は、前記基体及びこれに旋回可能に搭載される上部旋回体2を含む種々の建設機械(例えば旋回式クレーンなど)に適用されることが可能である。また、前記基体は下部走行体1のように走行可能なものに限定されず、特定の場所に設置されて上部旋回体2を支持する土台であってもよい。また、前記先端アタッチメントは、バケット6に限定されず、例えばグラップル、圧砕機(破砕機)、ブレーカ、フォークなどであってもよい。
(B)旋回トルクを減少させる制御の要否判断について
前記実施形態に係る建設機械では、図4に示されるフローチャートのステップS2の処理、すなわち、前記旋回操作量が前記旋回操作閾値以上であり、かつ、前記ブーム操作量が前記ブーム操作閾値以上である場合にのみ、前記旋回指令値に対応する信号を前記旋回アクチュエータに入力する場合を例示したが、これに限られない。図4に示すステップS2を省略して、前記旋回操作量及び前記ブーム操作量にかかわらず、前記旋回ブーム上げ操作時には前記旋回指令値に対応する信号を前記旋回アクチュエータに入力してもよい。
(C)制御弁について
前記実施形態に係る建設機械では、合流切換弁42(ブーム上げ増速制御弁)が設けられていたが、当該合流切換弁42は省略することもできる。