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JP7085050B1 - セメント混和材、急硬モルタルコンクリート材料、急硬モルタルコンクリート組成物、及び硬化体 - Google Patents

セメント混和材、急硬モルタルコンクリート材料、急硬モルタルコンクリート組成物、及び硬化体 Download PDF

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JP7085050B1 JP2021159627A JP2021159627A JP7085050B1 JP 7085050 B1 JP7085050 B1 JP 7085050B1 JP 2021159627 A JP2021159627 A JP 2021159627A JP 2021159627 A JP2021159627 A JP 2021159627A JP 7085050 B1 JP7085050 B1 JP 7085050B1
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Abstract

【課題】流動性の保持効果が高く、練り混ぜ抵抗性が低く、強度発現性が高く、ひび割れを抑えることができる、セメント混和材を提供する。【解決手段】アルミン酸カルシウム及び石膏を含有するセメント混和材であって、前記アルミン酸カルシウムのCaO/Al2O3モル比が0.5以上2.0以下であり、前記アルミン酸カルシウムに化学成分としてSO3とZrO2とP2O5を含有し、前記アルミン酸カルシウム中のSO3とZrO2とP2O5の合計量が0.05質量%以上2.0質量%以下であり、P2O5の含有量(P2O5/(SO3+ZrO2+P2O5))が10質量%以上45質量%以下である、セメント混和材である。【選択図】なし

Description

本発明は、土木及び建築分野におけるコンクリート構造物の新設・補修・補強工事・緊急工事で使用されるセメント混和材、急硬モルタルコンクリート材料、急硬モルタルコンクリート組成物及び硬化体に関する。
コンクリート構造物は、塩害、中性化、凍結融解、及び化学的腐食等の作用により劣化が進行し、表面にひび割れや浮き等が発生するおそれがある。その対策として、劣化した部分を打音検査等で確認し、電動ピック、エアピック、ウォータージェット等により取り除き、新たに補修部材で充填し補修する工事が行われている。
例えば、修復断面が小さい小規模な補修工事では、ポリマーセメントモルタルを練り混ぜてコテ塗りで断面修復を行う場合が多い(例えば、特許文献1、2参照)。
コテ塗り等で補修する場合には、使用するモルタルの急硬性、練り混ぜ易さ、厚付け性といった作業性がよい材料が求められる。そのため、モルタルに適度な粘りや抗ダレ性を付与することを目的に特許文献1、2に記載されているようにフライアッシュ、シリカフューム等の無機微粉末を配合した材料や、非特許文献1、特許文献3~6のようにセルロースエーテル類を配合した材料が使用されている。セルロースエーテル類は、粘性が大きくなり保水性も良好になるが、練り混ぜ時の抵抗性が高くなることで、ミキサや作業員の負荷がかかり、さらに左官仕上げを行ったときにコテに付着してしまうことで厚付け性に課題がある。
また、ポリマーセメントモルタルは、ポリマーエマルジョンの混和により硬化組織が密実化することで炭酸ガス、塩化物イオン、水の透過性を抑制して耐久性を付与するものであるが、完全な遮断はできない。特に、硬化しない段階から水分の逸散によって収縮し、初期及び数ヶ月後にひび割れが発生する場合がある。これを解決するために、乾燥収縮低減剤を配合することも行われている(例えば、特許文献7、8参照)。しかしながら、乾燥収縮低減剤は、凝結が遅れるため硬化しない段階での水分逸散によって初期クラックが入り、耐久性に劣る場合がある。凝結が遅れるのは一般的にセルロースエーテル類も同様である。
さらに、流動性の保持効果が低いといった課題や、練混ぜ時に抵抗が高く施工性に劣るといった課題や、強度発現性が低くひびが入り耐久性に劣る課題があった。そこで、流動性の保持効果や練混ぜ抵抗性に優れ、高い強度発現性を有することでひび割れを抑え、耐久性を担保したいといった課題がある。
特開2001-322858号公報 特開2003-89565号公報 特開平11-349364号公報 特開2000-103662号公報 特開2000-128617号公報 特開平06-219807号公報 特開2003-55018号公報 特開平10-324555号公報
長友新治編集:新・水溶性ポリマーの応用と市場、株式会社シーエムシー発行、pp.173-192、1988
本発明は、特定のアルミン酸カルシウムを含有し、特定の材料と組み合わせることで、流動性の保持効果が高く、練り混ぜ抵抗性が低く、強度発現性が高く、ひび割れを抑えることができる、セメント混和材、急硬モルタルコンクリート材料、急硬モルタルコンクリート組成物、及びこれを用いた硬化体を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明者らは、上記課題を解決すべく、種々の努力を重ねた結果、特定のアルミン酸カルシウムと石膏とを含有するセメント混和材により当該課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1] アルミン酸カルシウム及び石膏を含有するセメント混和材であって、前記アルミン酸カルシウムのCaO/Alモル比が0.5以上2.0以下であり、前記アルミン酸カルシウムに化学成分としてSOとZrOとPを含有し、前記アルミン酸カルシウム中のSOとZrOとPの合計量が0.05質量%以上2.0質量%以下であり、Pの含有量(P/(SO+ZrO+P))が10質量%以上45質量%以下である、セメント混和材。
[2] 前記アルミン酸カルシウム100質量部に対して、前記石膏を20質量部以上150質量部以下含む[1]に記載のセメント混和材。
[3] [1]又は[2]に記載のセメント混和材、セメント、及び骨材を含有する急硬モルタルコンクリート材料であって、前記セメント混和材の含有割合は、前記セメント100質量部に対して、30質量部以上200質量部以下である、急硬モルタルコンクリート材料。
[4] 前記骨材の含有割合は、前記セメント100質量部に対して、40質量部以上500質量部以下である、[3]に記載の急硬モルタルコンクリート材料。
[5] [3]又は[4]に記載の急硬モルタルコンクリート材料と水とを含有する急硬モルタルコンクリート組成物。
[6] [5]に記載の急硬モルタルコンクリート組成物を用いてなる硬化体。
本発明によれば、流動性の保持効果が高く、練り混ぜ抵抗性が低く、強度発現性が高く、ひび割れを抑えることができる急硬モルタルコンクリート材料、急硬モルタルコンクリート組成物、及びこれを用いた硬化体を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書における部や%は特に規定しない限り質量基準である。
[セメント混和材]
本発明のセメント混和材は、アルミン酸カルシウム及び石膏を含有する。各成分等について以下に説明する。
(アルミン酸カルシウム)
本発明で使用するアルミン酸カルシウムは、カルシア原料とアルミナ原料を主原料とし、さらにSO、ZrO、及びPをそれぞれ含む原料を混合して、キルンで焼成し、あるいは、電気炉で溶融し冷却して得られるCaOとAlとを主成分とする水和活性を有する物質の総称であり、結晶質、又は非晶質のいずれであっても使用可能である。硬化時間が早く、初期強度発現性が高い材料である。
アルミン酸カルシウム中に化学成分としてSOとZrOとPを含有する。これらを含有することで、流動性の保持効果や練混ぜ抵抗性に優れ、高い強度発現性を有することでひび割れを抑えることができる。
アルミン酸カルシウム中に化学成分としてSOとZrOとPを含有するものである。アルミン酸カルシウム中のSOは0.01質量%以上0.9質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上0.25質量%以下であることがより好ましい。ZrOは0.01質量%以上0.7質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上0.25質量%以下であることがより好ましい。Pは0.01質量%以上0.6質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。
なお、「アルミン酸カルシウム中に化学成分としてSOとZrOとPを含有する」とは、X線回折測定でSO、ZrO、及びPのそれぞれを同定できるほどのピークは観察されないが、蛍光X線測定でそれぞれの含有量を測定できる状態をいい、構造的には、アルミン酸カルシウム中にSO、ZrO、及びPのそれぞれが固溶しているような状態と推察される。
流動性の保持効果が高く、練り混ぜ抵抗性が低く、強度発現性が高く、ひび割れを抑える観点からSOとZrOとPの合計量は0.05質量%以上2.0質量%以下であり、0.07質量%以上1.7質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上1.5質量%以下であることがより好ましい。
SOとZrOとPのそれぞれの量、およびこれらの合計量を上記範囲とするには、例えば、原料中のそれぞれの含有量を測定しておき、所望の各量、及び合計量となるように、SO、ZrO、及びPをそれぞれ含む原料の混合量を調整すればよい。
さらに、流動性の保持効果が高く、練り混ぜ抵抗性が低く、強度発現性が高く、強度発現性が高く、ひび割れを抑える観点からPの含有量(P/(SO+ZrO+P))は10質量%以上45質量%以下であり、12質量%以上43質量%以下であることが好ましく、15質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。また、SO、ZrO、Pの量は、蛍光X線回折法(XRF)で測定することができる。
アルミン酸カルシウムのなかでも、CaOとAlとのモル比(CaO/Alモル比)は、0.5以上2.0以下であり、0.7以上1.8以下であることが好ましい。モル比が上記範囲内であることで、硬化時間をより短縮して初期強度発現性を高めることができる。
CaOとAlとのモル比を上記範囲とするには、例えば、アルミン酸カルシウムを作製する際の原料配合を調整すればよい。
(石膏)
本発明のセメント混和材で使用する石膏は、無水、半水、又は二水の各セッコウを総称するものであり、これらを単独または組み合わせて使用することも可能であり、特に限定されるものではないが、強度発現性の観点から、無水石膏又は半水石膏の使用が好ましく、無水石膏の使用がより好ましい。
石膏の粒度は特に限定されるものではないが、通常、ブレーン値で3,000cm/g以上9,000cm/g以下が好ましく、4,000cm/g以上8,000cm/g以下がより好ましい。3,000cm/g以上9,000cm/g以下とすることで、良好な寸法安定性と、流動性の保持効果の確保が得られやすくなる。
本発明で使用する石膏の使用量は、アルミン酸カルシウム100質量部に対して、20質量部以上150質量部以下であることが、流動性の保持効果が高く、練り混ぜ抵抗性が低く、強度発現性が高く、ひび割れを抑える観点から好ましく、30質量部以上110質量部以下であることがさらに好ましい。
本発明のセメント混和材におけるアルミン酸カルシウム及び石膏の合計含有量は、これらの複合効果を効率的に発揮させる観点から、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。アルミン酸カルシウム及び石膏以外にも減水剤、消泡剤、凝結遅延剤、シリカヒューム、フライアッシュ、石炭灰、高炉スラグ、着色剤、起泡剤、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物といったものを含有させることができる。
[急硬モルタルコンクリート材料]
本発明の急硬モルタルコンクリート材料は、本発明のセメント混和材、セメント、及び骨材を含有する。そして、セメント混和材の含有割合は、強度発現性が高く、ひび割れを抑える観点からの観点から、セメント100質量部に対して、30質量部以上200質量部以下とすることが好ましく、50質量部以上175質量部以下とすることがより好ましく、50質量部以上170質量部以下とすることがさらに好ましく、70質量部以上150質量部以下とすることがよりさらに好ましい。
(セメント)
本発明で使用するセメントとは、特に限定されるものではなく、普通、早強、超早強、低熱および中庸熱等の各種セメント、これらのセメントに、高炉スラグやフライアッシュやシリカフュームなどを混合した各種混合セメント、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)、市販されている微粒子セメント、白色セメントなどが挙げられ、各種セメントや各種混合セメントを微粉末化して使用することも可能である。また、通常セメントに使用されている成分(例えば石膏等)量を増減して調整されたものも使用可能である。さらに、これらを2種以上組み合わせたものも使用可能である。
本発明では、強度発現性が高く、ひび割れを抑える観点から、普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメントを選定することが好ましい。
本発明で使用するセメントは、製造コストや強度発現性の観点から、セメントのブレーン比表面積値(以下、ブレーン値ともいう)は、2,500cm/g以上7,000cm/g以下であることが好ましく、2,750cm/g以上6,000cm/g以下であることがより好ましく、3,000cm/g以上4,500cm/g以下であることがさらに好ましい。ブレーン比表面積値は、JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に準拠して求められる。
急硬モルタルコンクリート材料中のセメントの含有量は、強度発現性が高く、ひび割れを抑える観点から、5質量%以上70質量%以下であることが好ましく、10質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
(骨材)
本発明で使用する骨材としては、通常のセメントモルタルやコンクリートに使用するものと同様の細骨材や粗骨材が使用可能である。即ち、川砂、川砂利、山砂、山砂利、砕石、砕砂、石灰石骨材、石灰砂、けい砂、色砂、人口骨材、高炉スラグ骨材、海砂、海砂利、人工軽量骨材、及び重量骨材等が使用可能であり、これらを組み合わせることも可能である。特に、流動性の保持効果が高く、練り混ぜ抵抗性が低い効果を目的とした用途では、シリカ質のけい砂や石灰石骨材や石灰砂の使用が好ましい。
骨材の含有割合は、セメント100質量部に対して、40質量部以上500質量部以下であることが好ましく、50質量部以上470質量部以下であることがより好ましく、60質量部以上450質量部以下であることがさらに好ましい。骨材の含有割合が上記範囲内であることで、流動性の保持効果が高く、練り混ぜ抵抗性が低い効果が得られる。
本発明の急硬モルタルコンクリート材料においては、既述の材料以外に、ポリマーエマルジョン、繊維、シリカ質微粉末、消泡剤等の少なくともいずれかを適宜使用してもよい。
(ポリマーエマルジョン)
本発明では、ポリマーエマルジョンを使用することで、ひび割れ抵抗性をさらに向上させることができる。ポリマーエマルジョンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム等のゴムラテックスや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン・アクリル酸エステル共重合体やアクリロニトリル・アクリル酸エステルに代表されるアクリル酸エステル系共重合体、酢酸ビニルビニルバーサテート系共重合体等の樹脂エマルジョン等が挙げられる。
ポリマーの形態としては、再乳化型粉末タイプや液体タイプがあり、下地部分との付着性改善、さらに、急硬モルタルコンクリート材料の耐久性向上のために使用される。
ポリマーエマルジョンの含有割合は、セメント100質量部に対して、固形分量で1質量部以上15質量部以下であることが好ましく、2質量部以上12質量部以下であることがより好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがさらに好ましい。ポリマーエマルジョンの含有割合が上記範囲内であることで、強度発現性が高く、ひび割れを抑えることができる。
(繊維)
本発明では、繊維を使用することで、厚付け性やひび割れ抵抗性をさらに向上させることができる。
繊維の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニロン繊維、プロピレン繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維等の高分子繊維類や、鋼繊維、ガラス繊維、炭素繊維、及び玄武岩等の岩石を溶融紡糸した繊維等の無機繊維類が挙げられる。
繊維の含有割合は、セメント100質量部に対して、0.02質量部以上1.5質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上1.2質量部以下であることがより好ましく、0.05質量部以上1.0質量部以下であることがさらに好ましい。繊維の使用量が0.02質量部以上であることで、強度発現性が高く、ひび割れを抑える。また、繊維の含有割合が1.5質量部以下であることで、強度発現性が高く、ひび割れを抑える効果を良好とすることができる。
(シリカ質微粉末)
本発明の急硬モルタルコンクリート材料は、流動性が高く、練り混ぜ抵抗性が低く、強度発現性が高く、強度発現性が高く、ひび割れを抑えるの向上に加えて、寸法安定性を良好にする観点から、シリカ質微粉末を含有させることが可能である。
シリカ質微粉末としては、高炉水砕スラグ微粉末等の潜在水硬性物質、フライアッシュや、シリカフュームなどのポゾラン物質を挙げることができ、中でも、シリカフュームが好ましい。
シリカフュームの種類は限定されるものではないが、流動性の観点から、不純物としてZrOを10%以下含有するシリカフュームや、酸性シリカフュームの使用がより好ましい。酸性シリカフュームとは、シリカフューム1gを純水100ccに入れて攪拌した時の上澄み液のpHが5.0以下の酸性を示すものをいう。
シリカ質微粉末の粉末度は特に限定されるものではないが、通常、高炉水砕スラグ微粉末とフライアッシュは、ブレーン値で3,000cm/g以上9,000cm/g以下の範囲にあり、シリカフュームは、BET比表面積で2万cm/g以上30万cm/g以下の範囲にある。
シリカ質微粉末の含有割合は、セメント100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、2質量部以上15質量部以下がより好ましく、3質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。シリカ質微粉末の含有割合が上記下限値以上であることで、強度発現性の改善、耐酸性の向上、可使時間の確保、及び寸法安定性を良好にすることができる。また、シリカ質微粉末の含有割合が上記上限値以下であることで、流動性を向上させることができる。
(消泡剤)
本発明では、性能に悪影響を与えない範囲で消泡剤を使用することも可能である。消泡剤は、練り混ぜで巻き込む空気量を抑制する目的で使用するものである。
消泡剤の種類としては、硬化モルタルの強度特性に著しく悪影響を与えるものでない限り特に限定されるものではなく、液体状及び粉末状いずれも使用できる。例えば、ポリエーテル系消泡剤、多価アルコールのエステル化物やアルキルエーテル等の多価アルコール系消泡剤、アルキルホスフェート系消泡剤、シリコーン系消泡剤等が挙げられる。
消泡剤の含有割合は、セメント100質量部に対して、0.002質量部以上0.5質量部以下であることが好ましく、0.005質量部以上0.45質量部以下であることがより好ましく、0.01質量部以上0.4質量部以下であることがさらに好ましい。消泡剤の含有割合が上記下限値以上であることで、消泡効果を十分に発現することができる。また、消泡剤の含有割合が上記上限値以下であることで、流動性の低下や練り混ぜ抵抗性を抑制することができる。
本発明では、性能に悪影響を与えない範囲で、凝結遅延剤、ガス発泡物質、減水剤、凝結調整剤、AE剤、防錆剤、撥水剤、抗菌剤、着色剤、防凍剤、石灰石微粉末、高炉徐冷スラグ微粉末、下水汚泥焼却灰やその溶融スラグ、都市ゴミ焼却灰やその溶融スラグ、及びパルプスラッジ焼却灰等の混和材料、増粘剤、及び収縮低減剤、ポリマー、ベントナイト、セピオライトなどの粘土鉱物、並びに、ハイドロタルサイトなどのアニオン交換体等のうちの一種又は二種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
本発明の急硬モルタルコンクリート材料において、各材料の混合方法は特に限定されるものではなく、それぞれの材料を施工時に混合しても良いし、あらかじめ一部を、あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
混合装置としては、既存のいかなる装置、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、プロシェアミキサ及びナウタミキサなどの使用が可能である。
[急硬モルタルコンクリート組成物及び硬化体]
本発明の急硬モルタルコンクリート組成物は、既述の本発明の急硬モルタルコンクリート材料と水とを含有するものであり、具体的には、急硬モルタルコンクリート材料と水とを混錬してなる。
練り混ぜ水量は、使用する目的・用途や各材料の含有割合によって変化するため特に限定されるものではないが、急硬モルタルコンクリート材料100質量部に対して、10質量部以上70質量部以下であることが好ましく、14質量部以上65質量部以下であることがより好ましく、16質量部以上60質量部以下であることがさらに好ましい。練り混ぜ水量が上記下限値以上であることで、流動性の保持効果が高く、練り混ぜ抵抗性が低く、強度発現性が高く、ひび割れを抑えることができる。
本発明の急硬モルタルコンクリート材料を用いた施工方法は、所定の水を加え練り混ぜて流し込む方法やコテを用いて施工箇所に塗り付ける方法や、場合によっては、施工に支障のない程度にポンプを用いて練り混ぜたモルタルを圧送し、施工箇所に圧縮空気を用いて吹き飛ばしコテで仕上げる方法などが挙げられる。練混ぜ方法は、ペール缶等の容器に材料を投入しハンドミキサで練り混ぜる方法や、ミキサ等を用いて練り混ぜる方法であれば特に限定されるものではない。本発明の急硬モルタルコンクリート組成物は、練り混ぜられ、充填され硬化することで硬化体となる。すなわち、本発明の急硬モルタルコンクリート組成物を用いてなる硬化体が得られる。
具体的な施工方法を挙げると、施工箇所のコンクリート部分にプライマーを塗布する。次に、練り混ぜたモルタルコンクリートを流し込むかコテで塗り付けるか、吹付けによって塗り付ける。壁面や天井面の場合は、30mm程度の修復厚みであれば、1回で塗り付けられるので表面をコテによって仕上げればよい。30mmを超える修復厚みの場合は、複数層に分割して修復を行う。その際、打ち継ぎ面は平滑にコテ仕上げを行うのではなく、粗い仕上げ状態とし付着力を確保できるようにする。また、打ち継ぐときのタイミングは外気温等で変化するが、先に塗り付けたモルタルを指で触って、へこまない程度に硬化が進んだ段階で行えばよい。最後に、表面が平滑となるようにコテ仕上げを行う。より念入りな施工を行うには、養生シートや養生剤等を用いて乾燥防止対策を実施することが好ましい。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(アルミン酸カルシウムの作製)
下記表1に示すCaO/Alモル比となるように炭酸カルシウムと酸化アルミニウムを混合し、さらに、溶融後のSO、ZrO、及びPが表1に示す割合となるように、SO原料(石膏)、ZrO原料(酸化ジルコニウム)、P原料(リン酸カルシウム)を添加し、1,500℃で焼成してクリンカを合成し、ボールミルを用いてブレーン比表面積で3,000cm/gに粉砕して、各種のアルミン酸カルシウムを作製した。
(セメント混和材の作製)
表1に示す配合となるように、作製した各種アルミン酸カルシウムと石膏(無水石膏、ブレーン比表面積:5,000cm/g)とを混合し各種セメント混和材を作製した。
(急硬モルタルコンクリート材料の作製)
セメント100質量部に対して、作製したセメント混和材、骨材A、及び骨材Bを表1に示す配合で混合し、急硬モルタルコンクリート材料を得た。
得られた急硬モルタルコンクリート材料100質量部に対して、水23質量部で混練し急硬モルタルコンクリート組成物を調製した。
調製した急硬モルタルコンクリート組成物の流動性、練混ぜ抵抗性、強度発現性、ひび割れ抵抗性を測定した。結果を表1に併記する。
<使用材料>
・セメント:ポルトランドセメントを想定した試製セメント(セメント工場の調合原料及び化学成分の調整に各種市販の純薬を用いた。)、ブレーン値3,450cm/g
・水:水道水
・骨材A:細骨材、石灰砂0.6mm下を50%、0.6~1.2mmを50%混合したもの
・骨材B:粗骨材、川砂利、最大寸法40mm
<測定項目>
作製した各急硬モルタルコンクリート組成物について下記の評価を行った。
・流動性:JIS R 5201に準拠し、20℃環境下で練混ぜ直後と20分後のフロー値を測定した。
・練混ぜ抵抗性:20℃環境下でモルタル混和用ハンドミキサを用い、90秒間練り混ぜ、このときの電流値をクランプメーターで測定し、最大値を練混ぜ抵抗性の指標とした。
・強度発現性:JIS R 5201に準拠し、材齢2時間後の圧縮強度を測定した。
・ひび割れ抵抗性:30cm×30cm×30cmの既設コンクリートの上に30cm×30cm×5cmの急硬モルタルコンクリート組成物を打設し、打設表面に風速4m/秒の風を5日間あて、表面のひび割れの発生の有無(本数)を確認した。
Figure 0007085050000001

表1の結果より、特定のアルミン酸カルシウム及び石膏を含有する混和材により、流動性の保持効果が高く、練り混ぜ抵抗性が低く、強度発現性が高く、ひび割れを抑える効果を確認した。
本発明のセメント混和材は、特定のアルミン酸カルシウム及び石膏を含有し、特定の材料と組み合わせることで、流動性の保持効果が高く、練り混ぜ抵抗性が低く、強度発現性が高く、ひび割れを抑えることができる急硬モルタルコンクリート材料、急硬モルタルコンクリート組成物及び硬化体を提供することをすることが可能となる。そのため、上下水、農水、鉄道、電力、道路、建築などで使用されるコンクリート構造物の充填工法、補修工法、その他の間隙充填、補強鉄筋との定着等、土木、建築分野に幅広く適用できる。

Claims (6)

  1. アルミン酸カルシウム及び石膏を含有するセメント混和材であって、
    前記アルミン酸カルシウムのCaO/Alモル比が0.5以上2.0以下であり、
    前記アルミン酸カルシウムに化学成分としてSOとZrOとPを含有し、
    前記アルミン酸カルシウム中のSOとZrOとPの合計量が0.05質量%以上2.0質量%以下であり、Pの含有量(P/(SO+ZrO+P))が10質量%以上45質量%以下である、セメント混和材。
  2. 前記アルミン酸カルシウム100質量部に対して、前記石膏を20質量部以上150質量部以下含む請求項1に記載のセメント混和材。
  3. 請求項1又は2に記載のセメント混和材、セメント、及び骨材を含有する急硬モルタルコンクリート材料であって、
    前記セメント混和材の含有割合は、前記セメント100質量部に対して、30質量部以上200質量部以下である、急硬モルタルコンクリート材料。
  4. 前記骨材の含有割合は、前記セメント100質量部に対して、40質量部以上500質量部以下である、請求項3に記載の急硬モルタルコンクリート材料。
  5. 請求項3又は4に記載の急硬モルタルコンクリート材料と水とを含有する急硬モルタルコンクリート組成物。
  6. 請求項5に記載の急硬モルタルコンクリート組成物を用いてなる硬化体。

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