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JP7083008B2 - 計画システム、計画方法及びプログラム - Google Patents

計画システム、計画方法及びプログラム Download PDF

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JP7083008B2 JP2020145524A JP2020145524A JP7083008B2 JP 7083008 B2 JP7083008 B2 JP 7083008B2 JP 2020145524 A JP2020145524 A JP 2020145524A JP 2020145524 A JP2020145524 A JP 2020145524A JP 7083008 B2 JP7083008 B2 JP 7083008B2
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Description

本発明は、計画システム、計画方法及びプログラムに関する。
レストラン、ホテル、学校、病院、福祉施設などの厨房や浴場施設へ温水を供給するために給湯システムが用いられる。給湯システムでは、給湯機が水道水を加熱して、加熱後の温水を貯湯タンクに蓄える。そして、貯湯タンクに蓄えた温水を、厨房や浴場施設へ供給する。給湯システムの効率的な運用の為、貯湯タンクに蓄える湯水の量や、その量の湯水を供給するために必要な電力量を正確に見積り、それらを最適化する貯湯計画を作成する必要がある。
例えば、特許文献1には、使用湯量に応じた貯湯量を確保して湯切れを起こすことなく、効率よく沸き上げ運転を行う給湯システムが開示されている。この給湯システムでは、深夜時間帯終了時の貯湯量と昼間時間帯終了時の貯湯量との差を算出し、この値に所定の余裕量を加えて目標貯湯熱量を設定し、深夜時間帯に貯湯タンクの貯湯量が目標貯湯熱量となるように沸き上げ運転を行う給湯システムが開示されている。
特開2007-139339号公報
湯切れを起こさず、効率の良い運転を実現できるようできるように、精度の良い貯湯計画を作成する方法が求められている。
そこで本開示は、上述の課題を解決することのできる計画システム、計画方法及びプログラムを提供することを目的としている。
本開示の一態様によれば、計画システムは、供給する物を貯蔵する貯蔵庫の貯蔵計画を作成する計画システムであって、前記物の需要予測に基づく需要量に余裕量を加えた貯蔵量を貯蔵する前記貯蔵計画を作成する貯蔵計画作成部と、前記余裕量を最適化する最適化部と、を備え、前記最適化部は、前記貯蔵計画に基づいて前記物の供給を行った場合の残貯蔵量に対する所定の評価関数に基づく評価値が最適化されるように前記余裕量を設定する。
本開示の一態様によれば、計画方法は、コンピュータによって実行される供給する物を貯蔵する貯蔵庫の貯蔵計画を作成する計画方法であって、前記コンピュータが、前記物の需要予測に基づく需要量に余裕量を加えた貯蔵量を貯蔵する前記貯蔵計画を作成するステップと、前記コンピュータが、前記余裕量を最適化するステップと、を有し、前記最適化するステップでは、前記コンピュータが、前記貯蔵計画に基づいて前記物の供給を行った場合の残貯蔵量に対する所定の評価関数に基づく評価値が最適化されるように前記余裕量を設定する。
本開示の一態様によれば、プログラムは、コンピュータに、供給する物を貯蔵する貯蔵庫の貯蔵計画を作成する処理であって、前記物の需要予測に基づく需要量に余裕量を加えた貯蔵量を貯蔵する前記貯蔵計画を作成するステップと、前記余裕量を最適化するステップと、を有し、前記最適化するステップでは、前記貯蔵計画に基づいて前記物の供給を行った場合の残貯蔵量に対する所定の評価関数に基づく評価値が最適化されるように前記余裕量を設定する処理、を実行させる。
本開示によれば、精度の良い貯蔵計画を作成することができる。
本開示の一実施形態における給湯システムの一例を示す図である。 本開示の一実施形態における制御システムの一例を示すブロック図である。 本開示の一実施形態における流入量推定モデルの一例を示す図である。 本開示の一実施形態における需要量予測モデルの一例を示す図である。 本開示の一実施形態における給湯システムの運転の概要を示す図である。 本開示の一実施形態における貯湯計画とマージン等の一例を示す図である。 本開示の一実施形態における評価関数の一例を示す図である。 本開示の一実施形態における余剰貯湯量等を記録したテーブルの一例を示す図である。 本開示の一実施形態における設計テーブルの一例を示す図である。 本開示の一実施形態における消費電力推定モデルの一例を示す図である。 本開示の一実施形態における消費電力量の精緻化処理を説明する図である。 本開示の一実施形態における制御システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
<実施形態>
以下、本開示の一実施形態による給湯システムを図1~図13を参照して説明する。
(給湯システムの構成)
図1は、本開示の一実施形態における給湯システムの一例を示す図である。
図示するように給湯システム1は、給湯機2と、貯湯タンク3と、施設4と、制御システム10と、を備える。給湯機2と貯湯タンク3とは配管9Bで接続され、貯湯タンク3と施設4とは配管9Cで接続されている。給湯機2には、配管9Aを通じて水が供給される。給湯機2は、例えば、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器を含む冷媒回路を備えており、凝縮器で熱交換することにより、水を加熱して湯水を生成する。給湯機2は、生成した湯水を、配管9Bを通じて貯湯タンク3へ送る。貯湯タンク3は、湯水を蓄える。貯湯タンク3には、貯湯量を計測するセンサ5が設けられている。センサ5は、例えば、水位センサである。制御システム10は、センサ5が計測する貯湯量が目標値となるように給湯機2を制御する。貯湯タンク3から施設4へ、施設4の需要に応じた量の湯水が配管9Cを通じて供給される。
また、給湯システム1には、貯湯タンク3の湯水の温度を計測するセンサ6、外気温を計測するセンサ7A、給湯機2に供給される水の温度を計測するセンサ7B、給湯機2が備える圧縮機で消費される電力を計測するセンサ8等が設けられている。なお、センサ6は、給湯機2が供給する湯水の温度を計測するように設けられていてもよい。センサ8は、圧縮機へ供給される電流及び電圧を計測するセンサであってもよい。制御システム10は、これらセンサ5~8の計測値を取得する。
(制御システムの構成)
図2は、本開示の一実施形態における制御システムの一例を示す機能ブロック図である。
制御システム10は、例えば、1台又は複数台のPC(personal computer)やサーバ装置などのコンピュータによって構成される。制御システム10は、データ取得部11と、使用湯量推定部12と、給湯需要予測部13と、マージン設定部14と、消費電力予測部15と、貯湯シミュレーション部16と、消費電力量補正部17と、貯湯計画作成部18と、制御部19と、記憶部1Aと、を備える。
データ取得部11は、センサ5~8が計測した計測値、給湯機2の運転モードの種類、給湯需要予測や消費電力予測に必要なパラメータ等を取得する。
使用湯量推定部12は、所定の流入量推定モデルM0に基づいて、貯湯タンク3への湯水の流入量を推定し、センサ5が計測した貯湯タンク3の貯湯量の変化と、推定した流入量と、給湯機2の運転モードとに基づいて、貯湯タンク3からの湯水の流出量(使用湯量)を推定する。ここで、図3を参照して、流入量推定モデルM0の一例について説明する。流入量推定モデルM0は、外気温と、湯沸かしに必要な消費電力量(kWh)と、貯湯タンク3の湯水の上昇前の水温(℃)と、水温の上昇分(℃)と、増加前の貯湯量(%)と、運転モードを説明変数、貯湯タンク3からの流出量が0のときの貯湯タンク3における貯湯量の増加分を目的変数として重回帰分析や機械学習等により構築された学習済みモデルである。流入量推定モデルM0に上記の説明変数を入力すれば、給湯機2が沸かした湯量(給湯量)が推定できる。また、センサ5が計測する水位を貯湯量減少分ΔV、流入量推定モデルM0が推定した給湯量を推定流入量Vin_Sとすると、貯湯タンク3からの流出量(つまり、使用湯量)が次式(1)で推定できる。
推定流出量Vout_S=推定流入量Vin_S-貯湯量減少分ΔV・・・(1)
使用湯量推定部12は、式(1)によって、使用湯量を推定する。
給湯需要予測部13は、所定の需要量予測モデルに基づいて、対象期間における湯水の需要量を予測する。ここで、図4を参照して、需要量予測モデルM1の一例について説明する。需要量予測モデルM1は、給湯システム1が稼働する環境における、外気温、曜日、天気、月や季節、時間、1日のうちの時間や時間帯(朝、昼、晩)など、湯水の需要に影響がある種々のパラメータ(説明変数)と、使用湯量推定部12が推定した使用湯量(目的変数)との関係を重回帰分析等により学習して、構築された学習済みモデルである。給湯需要予測部13は、この需要量予測モデルと、データ取得部11が取得したパラメータとを用いて、単位時間ごとの湯水の需要量を予測する。給湯需要予測部13は、過去にデータ取得部11が取得したパラメータと、使用湯量推定部12が推定した使用湯量とに基づいて、需要量予測モデルM1を更新(新たに作成)する機能を有していてもよい。例えば、施設4の需要は、施設側の都合により変化することがあり得るので、給湯需要予測部13は、定期的に需要量予測モデルを作成し直してもよい。
マージン設定部14は、貯湯計画の作成の際に考慮すべき、貯湯量のマージン(後述するマージンSmrg、安全値S2)を設定する。
消費電力予測部15は、所定の設定テーブル又は消費電力予測モデルM3(後述)に基づいて、湯沸かしに必要な消費電力を予測する。
貯湯シミュレーション部16は、貯湯計画と、給湯需要予測部13が予測した湯水の需要量とに基づいて、所定期間における給湯システム1の給湯動作をシミュレーションする。給湯機2は、単位時間ごとに設定された目標貯湯量に対して、単位時間ごとに貯湯タンク3の貯湯量を確認し、目標貯湯量に達していなければ給湯(湯沸かし)を開始し、貯湯タンク3の貯湯量が目標貯湯量に達した時点で給湯を停止するといった動作を行う。貯湯シミュレーション部16は、この動作を模擬し、単位時間ごとの貯湯量、給湯量(貯湯タンク3への流入量)、貯湯タンク3からの流出量、給湯に要する消費電力量を計算する。例えば、初期状態において貯湯量100%、1時間後および2時間後の目標貯湯量が共に100%、0~1時間後までの需要量(使用湯量)が10%、1~2時間後までの需要量が0%であれば、貯湯シミュレーション部16は、1時間後の貯湯量90%を計算し、その時点で給湯機2が給湯を開始し、2時間後の貯湯量は目標貯湯量の100%となるように給湯を行う動作をシミュレーションする。また、貯湯シミュレーション部16は、給湯動作を行った単位時間については、その時間中継続して湯沸かし動作を行ったものとして消費電力量の計算を行う。この例では、貯湯シミュレーション部16は、1~2時間まで給湯を行ったものとして、1~2時間における消費電力量を計算する。
消費電力量補正部17は、貯湯シミュレーション部16が計算した消費電力を精緻化する。
貯湯計画作成部18は、所定期間(例えば、1日)に1回、次の所定期間(例えば、翌日)における単位時間(例えば、1時間)ごとの貯湯計画を作成する。貯湯計画には、例えば、貯湯タンク3における単位時間ごとの貯湯量の目標値(目標貯湯量)が設定されている。貯湯計画を給湯機2に与えると、給湯機2は、貯湯タンク3の貯湯量が、貯湯計画が示す目標値となるように湯を沸かし、貯湯タンク3に沸かした湯水を供給するように動作する。貯湯計画作成部18は、(P1)湯水の需要に基づいて、マージンが最小となるように貯湯計画を作成する、(P2)湯水の需要を(ある程度)満たしつつ、消費電力が最小となるように貯湯計画を作成する、という2通りの方法で貯湯計画を作成することができる。
制御部19は、センサ5が計測した貯湯量と、貯湯計画作成部18が作成した貯湯計画と、に基づいて給湯機2の運転を制御する。
記憶部1Aは、データ取得部11が取得したデータや流入量推定モデルM0、消費電力予測モデルM1、需要量予測モデルM2等を記憶する。
(給湯システムの運転)
図5は、本開示の一実施形態における給湯システムの運転の概要を示す図である。
給湯システム1は、1日の終わりに翌日の1時間ごとの需要予測(A1)を行って、貯湯計画を作成し(A2)、翌日になると、その貯湯計画に基づいて運転する(A3)。そして、その日の終わりになると、給湯システム1は、翌日の需要予測(A1)に基づいて、再び、次の24時間の貯湯計画を作成する(A2)。なお、使用湯量推定(A4)は、貯湯タンク3から施設4へ供給された湯水の流量を計測するセンサが設けられていない給湯システムに必要とされる構成である。使用湯量推定(A4)は、例えば、需要予測モデルM1の作成、更新や後述する余剰貯湯量Rの計算に用いられる。
まず、給湯需要予測部13は、翌日の需要予測を行う(A1)。
例えば、ユーザは、翌日の曜日、1時間ごとの外気温、天気など需要量に関係するパラメータを制御システム10に入力する。制御システム10では、データ取得部11が、これらのパラメータを取得し、記憶部1Aに書き込んで保存する。給湯需要予測部13は、記憶部1Aから需要予測モデルM1と、保存されたパラメータを読み出し、1時間ごとのパラメータを、需要予測モデルM1に入力する。需要予測モデルM1は、1時間ごとの湯水の需要量を出力する。給湯需要予測部13は、1時間ごとの需要量を予測データとして出力する。予測データには、1時間ごとの湯水の需要量を貯湯タンク3における貯湯量として表したデータが含まれる。例えば、予測データには、0時代の需要量=X(%)、1時代の需要量=X(%)、・・・、23時代の需要量=X23(%)が含まれる。0時代の需要量=X(%)とは、0時~1時には、貯湯タンク3のX(%)分に相当する湯水の需要が見込まれることを示している。給湯需要予測部13は、予測データを記憶部1Aに書き込んで保存する。
次に貯湯計画作成部18が、貯湯計画を作成する(A2)。
ユーザは、(P1)湯水の需要に基づいて、マージンが最小となるように貯湯計画を作成する、(P2)湯水の需要を満たしつつ、消費電力が最小となるように貯湯計画を作成する、の何れの方法で貯湯計画を作成するかを事前に設定する。貯湯計画作成部18は、この設定に基づいて貯湯計画を作成する。
(P1)湯水の需要に基づいて、マージンが最小となるように貯湯計画を作成
この方法の場合、貯湯計画作成部18は、需要を満たせるように任意の方法で貯湯計画を作成する。例えば、最も単純な例として、貯湯計画作成部18は、給湯需要予測部13が予測した各単位時間の需要量に、湯切れを防止するための湯切れ下限値S1と所定の余裕量Smrgを合計して得られる安全値S2を加えた値を、各単位時間の開始時点における目標貯湯量とする貯湯計画を作成する。また、例えば、貯湯計画作成部18は、1日の終わりに安全値S2の湯水が残ることとして、安全値S2に、23時代の需要量の予測値を加算して23時の目標貯湯量を設定し、更に22時の需要量の予測値を加算して、22時の目標貯湯量を設定するといったように、給湯需要予測部13が予測した各時間の需要量の予測値を後の時間から積み上げるようにして、1日に貯湯計画を作成してもよい。この方法では、例えば、積み上げた値が100%を超えたら目標貯湯量を100%にする、予測されるある時間の需要量が、その単位時間に沸き上げを開始しても間に合うような量であれば積み上げを行わない、反対に、ある時間の需要量の予測値が1時間の給湯動作では賄いきれない量の場合、その需要量を賄うことができる量の湯沸かしに要する時間を算出し、算出した時間だけ遡った時点から分散して需要量を積み上げるといった調整を行う。この方法であれば、ある単位時間に必要となることが予測される湯水の量を、前もって貯湯タンク3に貯湯しておくことができる。従来は、貯湯計画を作成する際に、給湯需要予測部13の予測誤差や、需要予測モデルM1の作成に用いる使用湯量の推定誤差を補償できるように、マージンSmrgの値を多めに設定し、各単位時間の貯湯計画を作成することが多い。従って、実際には、湯水が過剰または不足しがちな計画(多くの場合、過剰)となっている可能性がある。これに対し、本実施形態では、以下に説明する方法で、適切な余裕量Smrg、つまり、安全値S2を設定する。
(貯湯量のマージンの設定)
図6に、湯切れ下限値S1、マージンSmrg、安全値S2の関係と、貯湯計画が示す時間ごとの目標貯湯量と、貯湯計画に基づいて運転したときの実際の貯湯量の一例を示す。棒グラフは、貯湯計画作成部18が作成した時間ごとの目標貯湯量Srefの推移を示し、実線グラフは時間ごとの実貯湯量Sact(実績値)を示す。S1は湯切れ下限値、S2は安全値、S2とS1の差はマージンSmrgを示す。マージン設定部14は、1日に給湯機2が実際に沸かした総湯量から、使用湯量推定部12が推定した総需要量実績を減算し、余剰貯湯量Rを算出する。給湯機2が実際に沸かした総湯量には、計画にはなかったが、需要急増により、急遽沸かした湯水の量などが含まれる。給湯機2が実際に沸かした総湯量は、例えば、流入量推定モデルM0に基づいて算出することができる。あるいは、貯湯タンク3の入口側に流量センサが設けられていれば、流量センサが計測した流量の総計で算出することができる。
1日の終わりに、マージン設定部14は、その日のマージンSmrgによって貯湯計画を作成したときの、余剰貯湯量Rに対する報酬(評価値)を、所定の報酬関数π(R)によって計算する。報酬関数π(R)の一例を図7に示す。報酬関数πは、余剰貯湯量Rの値がR1となるときに最大化し、R2(例えば、湯切れ下限値S1)より少なくなると負の値となるように作成された関数である。マージン設定部14は、報酬関数π(R)の値を良化する(大きくする)マージンSmrgを日々設定し、1日の終わりに余剰貯湯量Rを計算し、報酬関数π(R)によって、その日設定したマージンSmrgの値に対する余剰貯湯量Rを評価する。マージン設定部14は、日々、その日のマージンSmrgと余剰貯湯量Rと報酬関数π(R)の値を対応付けて、記憶部1Aに記録する。
マージン設定部14は、報酬関数π(R)を良化するマージンSmrgの値を探索し、このSmrgを翌日のマージンSmrgとする。例えば、記憶部1Aには、行動をSmrgの設定、状態を余剰貯湯量Rとして、予めQ学習などの強化学習手法によって構築された学習済みの行動価値関数が登録されている。行動価値関数は、例えば、RとSmrg等を入力すると、報酬関数π(R)の値を良化するSmrgを出力するように作成されている。マージン設定部14は、行動価値関数に、当日の余剰貯湯量RとマージンSmrg等を入力して、最も価値の高いマージンSmrgを行動価値関数から得て、この値を翌日のマージンSmrgに定めてもよい。また、報酬関数は、Rの値を評価する評価関数であってもよい。マージン設定部14は、貯湯計画作成部18が作成した当日の貯湯計画に対して、マージンSmrg(つまり、安全値S2)だけを変化させたときの給湯計画を複数作成し、貯湯シミュレーション部16を使用して、作成した給湯計画に基づいて給湯システム1を運転した場合の当日の1時間ごとの給湯量(湯を沸かした量)や使用湯量を計算する。そして、マージン設定部14は、シミュレーション結果を取得して、1日に沸かした総湯量から、同日の総需要量実績を減算し、余剰貯湯量Rを算出し、報酬関数π(R)と同様の評価関数により評価値を算出する。そして、マージン設定部14は、シミュレーション結果のうち、評価値が最も大きくなるときのマージンSmrgの値を翌日のマージンSmrgに定めてもよい。貯湯計画作成部18は、マージン設定部14が定めた翌日のマージンSmrgを使って翌日の貯湯計画を作成する。例えば、貯湯計画作成部18は、マージン設定部14が定めた翌日のマージンSmrgに基づく安全値S2(湯切れ下限値S1+マージンSmrg)に対して、給湯需要予測部13が予測した時間ごとの需要量を23時から順に時間の早い方へ積み上げていって、貯湯計画を作成する。そして、翌日の終わりに、マージン設定部14は、翌日に給湯機2が沸かした総湯量の実績値と総需要量実績から余剰貯湯量Rを計算し、報酬関数π(R)によって報酬額を計算し、これらの値とマージンSmrgを対応付けて記憶部1Aに記録しつつ、翌日のマージンSmrgを設定する。
マージン設定部14は、日々、上記の処理を繰り返し、マージンSmrgの大きさを調節していく。また、マージン設定部14は、例えば、1週間ごとに余剰貯湯量Rと報酬(評価値)の平均値を計算し、週を経るごとに余剰貯湯量RがR1に近づき、報酬の平均値が最大値に向かって近づく様子を監視し、前の週より、所定値以上報酬が低下した時には警告を出力してもよい。
これにより、実際の残貯湯量を貯湯計画にフィードバックし、マージンSmrgを動的に適正化することができ、過剰または不足がちな貯湯計画を適正化することができる。例えば、需要量予測誤差および流量推定誤差の分を上乗せする必要がなくなり、より省エネルギー化した貯湯計画を作成することができる。また、貯湯タンク3から施設4側へ供給された湯水の流量を計測する流量計を設けることなく、精度の良い貯湯計画を作成することができるので、センサレス化によって、センサの設置や維持管理コストを抑えることができる。
なお、マージン設定部14が、マージンSmrgの値を評価したり、新たなマージンSmrgを設定したりするタイミングは、1日ごとに限らず、2日ごと、1週間ごと等であってもよい。あるいは、マージン設定部14は、マージンSmrgの値を曜日別に設定し、各曜日が終わったときに、マージンSmrgの値を評価し、翌週の同じ曜日のマージンSmrgを設定してもよい。
(P2)消費電力が最小となるように貯湯計画を作成
貯湯計画を作成する基準(ポリシー)は、湯切がれなく、且つ、残貯湯量をなるべく少なくすることだけではない。例えば、湯沸かしに要する消費電力(電力コスト)を最小にするという観点から貯湯計画を作成することも考えられる。例えば、湯切れのリスクが多少上がっても、そのリスクが許容範囲内であれば、消費電力を抑えることを優先して貯湯計画を作成することが考えられる。そのような場合、貯湯計画の実行に要する消費電力、消費電力量を精度よく予測することが求められる。また、消費電力を最適化する貯湯計画を作成することとは関係なく、貯湯計画の実行に要する消費電力をなるべく正確に把握したいといったニーズも存在する。消費電力予測部15は、湯沸かしに必要な消費電力を精度よく予測する。貯湯シミュレーション部16は、精度よく予測された消費電力を用いて、給湯に必要な消費電力量を算出する。また、消費電力量補正部17は、貯湯シミュレーション部16によって計算された消費電力量の予測値を精緻化する。
(消費電力の予測)
図7は、本開示の一実施形態における設計テーブルの一例を示す図である。
図7に例示する設計テーブルには、沸き上げ温度(設定温度)、給水温度(入水温度)、外気温別に、給湯機2の加熱能力、単位貯湯量の湯水を作成するために必要な消費電力、成績係数(COP:Coefficient of Performance)が対応付けられている。記憶部1Aは、沸き上げ温度別に設計テーブルを記憶している。貯湯計画に基づいて消費電力を予測する場合、データ取得部11は、沸き上げ温度の設定値、翌日の給水温度の予測値、翌日の外気温の予測値を取得する。消費電力予測部15は、これらの値に基づいて、設計テーブルを参照し、消費電力を取得する。例えば、翌日の外気温が15℃、給水温度が5℃、65℃まで沸かせる場合、消費電力予測部15は、設計テーブルからXX2(kW)を取得する。例えば、翌日の6時の目標貯湯量が80%で、給湯需要予測モデルM1が予測する需要量に基づくと、5時から6時の間にY(L)の湯水を沸かさなければならいことが計算できる場合、貯湯シミュレーション部16は、XX2(kW)×Y(L)×1(時間)によって、5~6時の間の消費電力量の予測値を計算することができる。図9に例示する設計テーブルは、事前に計測又は理論計算から作成されたものである。実際の給湯システム1は、物件によって、設置条件やシステム構成(配管長さ、配管径、貯湯槽、容積、標高等)が異なる為、画一的な設計テーブルでは、対応しきれず、精度の良い予測は困難である可能性が高い。また、給湯機2には、様々な運転モード(通常給湯運転、満蓄運転、再加熱運転、デフロスト運転など)が存在し、運転モードごとに消費電力は異なる。そこで、本実施形態では、給水温度、沸き上げ温度、外気温、運転モードを説明変数とし、消費電力を目的変数とする消費電力推定モデルM2を作成し、消費電力推定モデルM2によって消費電力を推定する。
図10は、本開示の一実施形態における消費電力推定モデルの一例を示す図である。
消費電力推定モデルM2の説明変数は、外気温(℃)と、給湯機2へ供給される水の温度(入水温度)(℃)と、沸き上げ温度(℃)、運転モードである。学習段階では、外気温はセンサ7Aが計測した値を用い、入水温度はセンサ7Bが計測した値を用いる。沸き上げ温度と運転モードは、設定値である。消費電力推定モデルM2の目的変数は、消費電力である。消費電力はセンサ8が計測した値を用いる。データ取得部11は、同時刻に計測された目的変数と説明変数を取得し、これらを対応付けて記憶部1Aへ記録する。十分に学習データが収集できたら、消費電力予測部15は、重回帰分析や機械学習等の方法で、図10に例示する説明変数と目的変数の関係を示す消費電力推定モデルM2を作成する。消費電力予測部15は、消費電力推定モデルM2を作成すると、記憶部1Aに書き込んで保存する。これにより、給湯システム1の個体差を反映した高精度な消費電力推定モデルM2を作成することができる。
消費電力推定モデルM2を作成した後は、例えば、貯湯シミュレーション部16によるシミュレーションの中で、貯湯計画作成部18が作成した給湯計画における単位時間ごとの目標貯湯量および給湯需要予測部13が予測した翌日の単位時間ごとの湯水の需要量に基づいて、単位時間ごとに沸かす湯水の量が計算される。データ取得部11は、翌日の1時間ごとの入水温度、沸き上げ温度、外気温、運転モードの予測値を取得する。消費電力予測部15は、貯湯シミュレーション部16によるシミュレーションの中で、データ取得部11が取得した1時間ごとの説明変数を消費電力推定モデルM2に入力する。消費電力推定モデルM2は、1時間ごとの消費電力を出力する。貯湯シミュレーション部16は、消費電力推定モデルM2が出力した消費電力に、時間ごとに沸かす湯水の量を乗じて単位時間ごとの消費電力量を算出する。これにより、給湯システム1の個体差を反映した高精度な消費電力量の予測が可能になり、予測した消費電力量を給湯計画の作成に反映させることで、省エネルギー運転を実現する給湯計画の作成が可能になる。
なお、給湯システム1の稼働後しばらくは、図9に例示する設計テーブルによって、消費電力を予測し、学習データ(説明変数と目的変数)が蓄積された段階で、消費電力推定モデルM2を作成し、その後は、消費電力推定モデルM2に基づいて、消費電力を予測するといった運用を行ってもよい。また、消費電力推定モデルM2の作成後も、学習データを蓄積し、定期的に消費電力推定モデルM2を作り直し、更新してもよい。これにより、運転を継続するほど、推定精度を高めることができ、給湯機2の経年変化にも対応することができる。
制御システム10は、説明変数を、外気温と、入水温度と、沸き上げ温度と、運転モード、目的変数を加熱能力とする加熱能力推定モデルを作成し、これらの説明変数から、給湯機2の加熱能力を予測する機能を有していてもよい。同様に制御システム10は、説明変数を、外気温と、入水温度と、沸き上げ温度と、運転モード、目的変数を成績係数(COP)とする成績係数推定モデルを作成し、これらの説明変数から、給湯機2の成績係数を予測する機能を有していてもよい。
(消費電力量の精緻化)
消費電力予測部15によって消費電力、消費電力量の予測精度が向上するが、シミュレーションを実行して消費電力量を計算することには別の課題がある。それは、計算の刻み時間である。例えば、貯湯シミュレーション部16は、1時間単位で給湯動作をシミュレーションするとする。t=nにおける目標貯湯量が100%で、シミュレーション中のt=nにおける貯湯量が95%であれば、貯湯シミュレーション部16は、給湯機2が、この5%の差が0となるように湯沸かしを行い、次の計算周期であるt=n+1には、貯湯量が100%となるような動作をシミュレーションする。ここでは、給湯機2は、t=1の間に貯湯量5%以上の湯を沸かす能力を有しているとする。すると、実際には、例えば、給湯機2が、30分で貯湯量100%を達成し、その後は停止するとしても、貯湯シミュレーション部16は、t=nからt=n+1の間ずっと給湯機2が湯を沸かし続けたものとして消費電力量を計算する。これにより、消費電力量に誤差が生じる。この課題に対応するためには計算の時間刻み(タイムステップ)を細かくすることも考えられるが、計算の時間刻みを細かくすると計算負荷や計算時間が増大するという別の課題が生じる。特に長期の運用計画を立てる場合などには、容量の大きなメモリが必要になり、コストを要する。そこで、消費電力量補正部17は、計算の時間刻みが1時間のままで、上記課題を解決し、貯湯シミュレーション部16が計算した消費電力量を精緻化する処理を行う。
図11は、本開示の一実施形態における消費電力の精緻化処理を説明する図である。
消費電力量補正部17は、以下の手順で、消費電力量を精緻化する。
(手順1)まず、消費電力量補正部17は、開始時の貯湯量を特定する。ここで、対象区間の開始の時間をn、終わりの時間をn+1とする。貯湯シミュレーション部16が計算した開始時の貯湯量をSoc(n)、終了時の貯湯量をSoc(n+1)とする。消費電力量補正部17は、貯湯シミュレーション部16が計算した単位時間ごと(計算の時間刻みごと)の貯湯量のうち、開始時間nにおける貯湯量Soc(n)を特定する。
(手順2)次に、消費電力量補正部17は、終了時の仮の貯湯量であるSoc_tmp(n+1)を計算する。Soc_tmp(n+1)とは、1時間(=Δt)の間、給湯機2が継続して湯を沸かし続けて、貯湯タンク3にその湯水を提供したと仮定した場合の時間n+1における貯湯量である。消費電力量補正部17は、以下の式(2)で1時間(=Δt)あたりに生成する湯量mを計算する。
Q = m×c×Δt・・・(2)
ここで、Qは単位時間あたりの給湯機2の加熱能力、cは水の比熱、Δtは時間刻み(1時間)を示す。Qは、図9に例示する設定テーブルを参照して決定することができる。例えば、消費電力量補正部17は、シミュレーション時に想定されている、入水温度、外温度、沸き上げ温度から設定テーブルを参照し、加熱能力Qを得る。cとΔtは定数であり、予め記憶部1Aに記録されている。消費電力量補正部17は、加熱能力Qと、c、Δtと式(2)とから、生成湯量mを算出する。消費電力量補正部17は、特定した時間nにおけるSoc(n)に、mを加算して、Soc_tmp(n+1)を計算する。
なお、消費電力予測モデルM2と同様にして、加熱能力の予測モデルを作成した場合には、消費電力量補正部17は、入水温度、外温度、沸き上げ温度、運転モードを、加熱能力の予測モデルに入力し、加熱能力Qを計算してもよい。
(手順3)次に、消費電力量補正部17は、Soc(n)とSoc_tmp(n+1)を線形補間し、目標貯湯量との交点を算出する。具体的には、消費電力量補正部17は、Soc(n)とSoc_tmp(n+1)を結ぶ直線と、目標貯湯量との交点Zを求める。
(手順4)次に、消費電力量補正部17は、1刻み時間のうちの交点Zに達するまでの時間割合を計算する。ここで、交点Zに対応する時間をn1とすると、消費電力量補正部17は、時間nから時間n1までの長さが、Δtに占める割合を算出する。一例として時間割合は0.6であるとする。
(手順5)次に、消費電力量補正部17は、貯湯シミュレーション部16が計算した、時間n~時間n+1の間の消費電力量に時間割合0.6を乗じて、精緻化された消費電力量を算出する。
以上の手順で、1時間あたりの消費電力量が精緻化される。これにより、メモリや計算時間を増やすことなく、シミュレーションにおいて計算された消費電力量を精緻化することができる。
貯湯計画作成部18は、例えば、1日の消費電力量を最小化することを目的関数、需要量を満たすことを制約条件とする最適化問題を解き、貯湯計画を作成する。具体的には、貯湯計画作成部18は、1時間ごとの需要量の予測値を満たす貯湯計画を任意の方法で複数作成し、貯湯シミュレーション部16に各貯湯計画を実行したときの1時間ごとの貯湯量、流入量(給湯機2による給湯量)、流出量、消費電力量を計算させる。貯湯シミュレーション部16は、1時間ごとにその時の貯湯量が、貯湯計画が示す目標貯湯量を下回っていれば、給湯機2による湯沸かしを行い、目標貯湯量以上であれば、湯沸かしを行わないという動作をシミュレーションする。流入量、流出量は貯湯シミュレーション部16による計算によって算出され、1時間あたりの消費電力量は、消費電力推定モデルM2に基づいて算出された後に、消費電力量補正部17によって精緻化される。貯湯量は、1時間前の貯湯量に直前の1時間における流入量を加算し、更に直前の1時間における流出量を減算することにより計算される。貯湯計画作成部18は、貯湯シミュレーション部16が計算した貯湯計画に基づく1日分の消費電力量(精緻化後の消費電力量)の和が最小となる貯湯計画を選択する。これにより、消費電力量を最適化する貯湯計画が作成される。消費電力予測部15および消費電力量補正部17の機能により、より正確な消費電力量に基づいて、消費電力量を最適化する貯湯計画を作成することができる。
次に制御部19が、給湯システム1を運転する(A3)。
貯湯計画作成部18が、(1)、(2)の何れかの方法で貯湯計画を作成すると、制御部19は、貯湯計画に基づいて、給湯システム1を運転する。給湯システム1の運転中にセンサ5~8が計測した計測値や、運転モード、運転時間などは記憶部1Aに保存される。これらの値はモデルM0~M2の作成、更新、使用湯量の推定などに用いられる。
次に使用湯量推定部12が、1日の使用湯量を推定運転する(A4)。
使用湯量推定部12は、流入量推定モデルM0に基づいて単位時間ごとの貯湯タンク3への流入量を推定する。このとき、流入量推定モデルM0の入力パラメータには、消費電力量が含まれるが、この消費電力量は、図9の設計テーブルを参照して算出してもよいし、消費電力推定モデルM2に基づいて算出してもよい。消費電力推定モデルM2を使用することで、より正確な流入量を推定することができる。使用湯量推定部12は、上述の式(1)によって単位時間ごとの使用湯量を算出する。
以上、説明したように本実施形態によれば、貯湯量の適正なマージンを設定して、貯湯計画を作成することができる。また、給湯システム1が動作する環境や個体差が考慮された、正確な、給湯に係る消費電力量を予測し、この消費電力量を最適化するような貯湯計画を作成することができる。また、例えば、消費電力量を最適化する貯湯計画を作成する場合には、数多くの貯湯計画について、その計画に要する消費電力量のシミュレーションを行って、最適な貯湯計画を探索する処理が行われることが多いが、シミュレーションにおいて計算される消費電力量を精緻化することにより、正確な消費電力量の計算結果に基づいて、貯湯計画を選定することができる。
上記の実施形態では、給湯システム1を例に説明を行ったが、マージン設定部14、消費電力量補正部17の機能は、蓄電システムに適用することができる。貯湯タンク3は、蓄電システムの蓄電池に相当し、給湯機2は、蓄電システムの発電機に相当する。貯湯タンク3への給湯は、蓄電池への充電に相当し、貯湯タンク3から施設4への湯水の提供は、蓄電池からの放電に相当する。蓄電池への電力の充電計画を作成する際に、マージン設定部14に相当する機能によって、1日の充電量から1日の放電量を減算して、余剰蓄電量R´を計算し、所定の評価関数で余剰蓄電量R´を最適にする充電量のマージンを算出する。また、蓄電池の充電に用いる電力量(発電機による発電電力量)を最小にするような充電計画を作成する場合、消費電力量補正部17に相当する機能によって、シミュレーション中に計算された発電電力量を精緻化し、発電電力量の和を最小化する充電計画を作成する。
図12は、本開示の一実施形態における制御システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。上述の制御システム10は、コンピュータ900を備える。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。
少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。
上述した制御システム10における各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをそれぞれの装置のコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。制御システムは、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
<付記>
各実施形態に記載の計画システム、計画方法及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
(1)第1の態様に係る計画システム(制御システム10)は、供給する物(湯水、電気)を貯蔵する貯蔵庫(貯湯タンク3、蓄電池)の貯蔵計画を作成する計画システムであって、前記物の需要予測に基づく需要量に余裕量(安全量S2)を加えた貯蔵量を貯蔵する前記貯蔵計画を作成する貯蔵計画作成部(貯湯計画作成部18)と、前記余裕量を最適化する最適化部(マージン設定部14)と、を備え、前記最適化部は、前記貯蔵計画に基づいて前記物の供給を行った場合の残貯蔵量に対する所定の評価関数(報酬関数π、R、R´の評価関数)に基づく評価値が最適化されるように前記余裕量を設定する。
これにより、残湯量が過剰または不足がちにならない適切な余裕量分の余裕をもった彫像計画を作成することができる。
(2)第2の態様に係る計画システムは、(1)の計画システムであって、前記需要予測と前記貯蔵計画に基づいて、前記貯蔵庫に前記物が貯蔵され、前記貯蔵庫から前記物が供給される動作をシミュレーションするシミュレーション部(貯湯シミュレーション部16)と、前記貯蔵計画作成部(貯湯計画作成部18)が、前記物の貯蔵に必要なエネルギー(給湯機2の消費電力、発電機の消費電力)を最小化する前記貯蔵計画を作成する機能と、を更に備え、前記シミュレーション部は、所定の単位時間ごとに、前記単位時間における前記動作をシミュレーションするとともに、前記単位時間に必要となる前記エネルギーを計算し、前記最適化部は、前記単位時間において実際に前記エネルギーが使われた時間の割合を算出し、前記シミュレーション部が計算した単位時間ごとの前記エネルギーに前記時間の割合を乗じて、前記エネルギーを補正し、前記貯蔵計画作成部は、補正後の前記エネルギーに基づいて、前記エネルギーを最小化する前記貯蔵計画を作成する。
これにより、正確なエネルギーに基づいて、貯蔵に必要なエネルギーを最小化する貯蔵計画を作成することができる。
(3)第3の態様に係る計画システムは、(1)の計画システムであって、前記物は湯水であって、前記貯蔵計画作成部(貯湯計画作成部18)は、給湯システムが有する貯湯タンクの単位時間ごとの目標貯湯量を含む貯湯計画を作成し、前記最適化部(マージン設定部14)は、前記目標貯湯量に含まれる前記余裕量を、前記評価関数に基づいて最適化する。
これにより、目標貯湯量に含める余裕量を適切な値に設定することができ、湯切れや過剰な湯余りが生じにくい効率の良い貯湯計画を作成することができる。
(4)第4の態様に係る計画システムは、(3)の計画システムであって、前記最適化部(マージン設定部14)は、前記余裕量の設定を行動とし、前記余裕量を加えて作成された前記貯湯計画に基づいて前記給湯システムを運転したときの残貯湯量を状態としたときの強化学習における報酬が最適化されるように、前記余裕量を設定する。
これにより、残貯湯量が適切な値となる余裕量を設定して、効率の良い貯湯計画を作成することができる。
(5)第5の態様に係る計画システムは、(2)の計画システムであって、前記物は湯水であって、前記貯蔵計画作成部(貯湯計画作成部18)は、給湯システム1における貯湯タンク3の単位時間ごとの貯湯量を計画し、前記シミュレーション部(貯湯シミュレーション部16)は、前記単位時間ごとの湯沸かしに必要な消費電力量を計算し、前記最適化部(消費電力量補正部17)は、前記シミュレーション部が計算した、前記単位時間ごとの消費電力量に前記時間の割合(図11の“0.6”)を乗じて、前記エネルギーの値を補正する。
これにより、正確な消費電力量に基づいて、消費電力量を最小化する貯湯計画を作成することができる。
(6)第6の態様に係る計画システムは、(5)の計画システムであって、前記最適化部(消費電力量補正部17)は、前記単位時間に前記給湯システムが湯沸かしできる湯水の量((2)のm)を、前記単位時間の最初の時点における前記貯湯量(図11のSoc(n))に加算して前記単位時間の終了時点における前記貯湯量(図11のSoc_tmp(n+1))を計算し、前記最初の時点から前記終了時点まで一定の割合(線形補間)で、前記貯湯量が増加するとしたときに、前記貯湯量が、前記終了時点における目標貯湯量に達するまでの時間(時間n~時間n+1)が、前記単位時間に占める割合(図11の“0.6”)を計算し、その割合を前記時間の割合とする。
これにより、目標貯湯量に達するまでに実際に給湯機が動作した時間を算出し、この時間に基づいて時間の割合を算出することができる。
(7)第7の態様に係る計画システムは、(5)~(6)の計画システムであって、前記給湯システムへ供給される水の温度、外気温、前記湯水の設定温度を説明変数、前記水を沸き上げるのに必要な消費電力を目的変数とする消費電力予測モデルM2に基づいて、前記貯湯タンク3への湯水の供給に必要な消費電力を予測する消費電力予測部15、をさらに備え、前記シミュレーション部(貯湯シミュレーション部16)は、前記シミュレーションにおいて、前記単位時間ごとの前記水の温度、前記外気温、前記設定温度を前記消費電力予測部に出力し、前記消費電力予測部は、前記消費電力予測モデルに基づいて前記消費電力を予測し、前記シミュレーション部は、予測された前記消費電力に基づいて、前記単位時間における消費電力量を計算する。
これにより、給湯システム1の個体差を考慮した正確な消費電力を予測し、正確な消費電力の予測値に基づいて貯湯計画を作成することができる。
(8)第8の態様に係る計画方法は、供給する物を貯蔵する貯蔵庫の貯蔵計画を作成する計画方法であって、前記物の需要予測に基づく需要量に余裕量を加えた貯蔵量を貯蔵する前記貯蔵計画を作成するステップと、前記余裕量を最適化するステップと、を有し、前記最適化するステップでは、前記貯蔵計画に基づいて前記物の供給を行った場合の残貯蔵量に対する所定の評価関数に基づく評価値が最適化されるように前記余裕量を設定する。
(9)第9の態様に係るプログラムは、コンピュータ900に、供給する物を貯蔵する貯蔵庫の貯蔵計画を作成する処理であって、前記物の需要予測に基づく需要量に余裕量を加えた貯蔵量を貯蔵する前記貯蔵計画を作成するステップと、前記余裕量を最適化するステップと、を有し、前記最適化するステップでは、前記貯蔵計画に基づいて前記物の供給を行った場合の残貯蔵量に対する所定の評価関数に基づく評価値が最適化されるように前記余裕量を設定する処理を実行させる。
1・・・給湯システム
2・・・給湯機
3・・・貯湯タンク
4・・・施設
5、6、7A、7B、8・・・センサ
9A、9B、9C・・・配管
10・・・制御システム
11・・・データ取得部
12・・・使用湯量推定部
13・・・給湯需要予測部
14・・・マージン設定部
15・・・消費電力予測部
16・・・貯湯シミュレーション部
17・・・消費電力量補正部
18・・・貯湯計画作成部
19・・・制御部
1A・・・記憶部
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・インタフェース

Claims (9)

  1. 供給する物を貯蔵する貯蔵庫の貯蔵計画を作成する計画システムであって、
    前記物の需要予測に基づく需要量に余裕量を加えた貯蔵量を貯蔵する前記貯蔵計画を作成する貯蔵計画作成部と、
    前記余裕量を最適化する最適化部と、
    を備え、
    前記最適化部は、前記貯蔵計画に基づいて前記物の供給を行った場合の残貯蔵量に対する所定の評価関数に基づく評価値が最適化されるように前記余裕量を設定する、
    計画システム。
  2. 前記需要予測と前記貯蔵計画に基づいて、前記貯蔵庫に前記物が貯蔵され、前記貯蔵庫から前記物が供給される動作をシミュレーションするシミュレーション部と、
    前記貯蔵計画作成部が、前記物の貯蔵に必要なエネルギーを最小化する前記貯蔵計画を作成する機能と、
    を更に備え、
    前記シミュレーション部は、所定の単位時間ごとに、前記単位時間における前記動作をシミュレーションするとともに、前記単位時間に必要となる前記エネルギーを計算し、
    前記最適化部は、前記単位時間において実際に前記エネルギーが使われた時間の割合を算出し、前記シミュレーション部が計算した単位時間ごとの前記エネルギーに前記時間の割合を乗じて、前記エネルギーを補正し、
    前記貯蔵計画作成部は、補正後の前記エネルギーに基づいて、前記エネルギーを最小化する前記貯蔵計画を作成する、
    請求項1に記載の計画システム。
  3. 前記物は湯水であって、前記貯蔵計画作成部は、給湯システムが有する貯湯タンクの単位時間ごとの目標貯湯量を含む貯湯計画を作成し、
    前記最適化部は、前記目標貯湯量に含まれる前記余裕量を前記評価関数に基づいて最適化する、
    請求項1に記載の計画システム。
  4. 前記最適化部は、前記余裕量の設定を行動とし、前記余裕量を加えて作成された前記貯湯計画に基づいて前記給湯システムを運転したときの残貯湯量を状態としたときの強化学習における報酬が最適化されるように、前記余裕量を設定する、
    請求項3に記載の計画システム。
  5. 前記物は湯水であって、前記貯蔵計画作成部は、給湯システムにおける貯湯タンクの単位時間ごとの貯湯量を計画し、
    前記シミュレーション部は、前記単位時間ごとの湯沸かしに必要な消費電力量を計算し、
    前記最適化部は、前記シミュレーション部が計算した、前記単位時間ごとの消費電力量に前記時間の割合を乗じて、前記エネルギーの値を補正する、
    請求項2に記載の計画システム。
  6. 前記最適化部は、前記単位時間に前記給湯システムが湯沸かしできる湯水の量を、前記単位時間の最初の時点における前記貯湯量に加算して前記単位時間の終了時点における前記貯湯量を計算し、前記最初の時点から前記終了時点まで一定の割合で、前記貯湯量が増加するとしたときに、前記貯湯量が、前記終了時点における目標貯湯量に達するまでの時間が前記単位時間に占める割合を計算し、その割合を前記時間の割合とする、
    請求項5に記載の計画システム。
  7. 前記給湯システムへ供給される水の温度、外気温、前記湯水の設定温度を説明変数、前記水を沸き上げるのに必要な消費電力を目的変数とする消費電力予測モデルに基づいて、前記貯湯タンクへの湯水の供給に必要な消費電力を予測する消費電力予測部、
    をさらに備え、
    前記シミュレーション部は、前記シミュレーションにおいて、前記単位時間ごとの前記水の温度、前記外気温、前記設定温度を前記消費電力予測部に出力し、前記消費電力予測部は、前記消費電力予測モデルに基づいて前記消費電力を予測し、前記シミュレーション部は、予測された前記消費電力に基づいて、前記単位時間における消費電力量を計算する、
    請求項5又は請求項6に記載の計画システム。
  8. コンピュータによって実行される供給する物を貯蔵する貯蔵庫の貯蔵計画を作成する計画方法であって、
    前記コンピュータが、前記物の需要予測に基づく需要量に余裕量を加えた貯蔵量を貯蔵する前記貯蔵計画を作成するステップと、
    前記コンピュータが、前記余裕量を最適化するステップと、
    を有し、
    前記最適化するステップでは、前記コンピュータが、前記貯蔵計画に基づいて前記物の供給を行った場合の残貯蔵量に対する所定の評価関数に基づく評価値が最適化されるように前記余裕量を設定する、
    計画方法。
  9. コンピュータに、
    供給する物を貯蔵する貯蔵庫の貯蔵計画を作成する処理であって、
    前記物の需要予測に基づく需要量に余裕量を加えた貯蔵量を貯蔵する前記貯蔵計画を作成するステップと、
    前記余裕量を最適化するステップと、
    を有し、
    前記最適化するステップでは、前記貯蔵計画に基づいて前記物の供給を行った場合の残貯蔵量に対する所定の評価関数に基づく評価値が最適化されるように前記余裕量を設定する処理、
    を実行させるプログラム。
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