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JP7081178B2 - 反射スクリーン、映像表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、反射スクリーンと、これを備える映像表示装置に関するものである。
従来、映像源から投射された映像光を反射して表示する反射スクリーンとして、様々なものが開発されている。なかでも、透明性を有する反射スクリーンは、窓ガラス等のように透光性の高い部材に貼り付ける等し、投射された映像光を反射して良好に映像が視認でき、かつ、映像光を投射しない不使用時等にはスクリーンの向こう側の景色が透けて見えるため、意匠性の高さ等から需要が高まっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2017-156452号公報
しかし、特許文献1の反射スクリーンは、スクリーンの向こう側の景色が透けて見えることから、例えば、背景が明るい場合等には、映像のコントラストが低下する等して映像が見にくい場合があった。また、一部の映像光が反射型スクリーンの背面側から出射する場合がある。このような抜け光が、特に反射スクリーンの画面上部等で生じると、背面側の天井等に映像が映り込み、意匠性の低下を招く場合があった。
本発明の課題は、光の透過率を選択的に変更することができる反射スクリーン、及び、これを備える映像表示装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、映像源(LS)から投射された映像光を反射して映像を表示し、かつ、透明性を有する反射スクリーン(10)であって、光透過性を有する層であって、当該反射スクリーン(10)の厚み方向の背面側の面に、映像光が入射する第1の面(12Aa)とこれに対向する第2の面(12Ab)とを有する単位光学形状(12A)が複数配列されて形成された光学形状層(12)と、前記単位光学形状(12A)の少なくとも前記第1の面(12Aa)の一部に形成され、入射した光の少なくとも一部を反射し、その他の光を透過する機能を有する反射層(13)と、を備え、前記単位光学形状(12A)は、その表面に微細かつ不規則な凹凸形状を有し、前記反射層(13)の少なくとも前記単位光学形状(12A)側の面は、前記凹凸形状に対応した凹凸形状を有しており、当該反射スクリーン(10)の厚み方向において、前記反射層(13)よりも背面側には、透明な第1電極(22A)と、前記第1電極(22A)と対向配置された透明な第2電極(22B)と、前記第1電極(22A)と前記第2電極(22B)との間に配置され、前記第1電極(22A)と前記第2電極(22B)との間の電位差に応じて透過率を変化させる調光材料(26,27)と、を有する調光層(20)をさらに備える反射スクリーン(10)である。
第2の発明は、第1の発明に記載の反射スクリーン(10)において、前記反射層(13)と前記調光材料(26,27)との間の最短距離は、0.5mm以下であること、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載の反射スクリーン(10)において、前記調光材料(26,27)の透過率が最も高くなる状態における当該反射スクリーン(10)の透過率は、30%以上、50%以下の範囲にあること、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかに記載の反射スクリーン(10)において、前記調光材料(26,27)は、二色性色素を有する液晶であること、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
第5の発明は、第1の発明から第4の発明までのいずれかに記載の反射スクリーン(10)において、前記反射層(13)は、誘電体多層膜により形成されていること、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかに記載の反射スクリーン(10)において、前記光学形状層(12)は、前記単位光学形状(12A)が同心円状に複数配列されたサーキュラーフレネルレンズ形状を有すること、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
第7の発明は、第6の発明に記載の反射スクリーン(10)において、前記サーキュラーフレネルレンズ形状の中心(C)は、当該反射スクリーン(10)の外に設けられていること、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
第8の発明は、第1の発明から第7の発明までのいずれか1項に記載の反射スクリーン(10)において、当該反射スクリーン(10)の厚み方向において前記反射層(13)よりも背面側に、光透過性を有し、前記単位光学形状(12A)の間の谷部を充填するように積層された第2光学形状層(14)を備えること、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
第9の発明は、第8の発明に記載の反射スクリーン(10)において、前記調光層(20)は、前記第2光学形状層(14)に粘着層(30)を介して接合されていること、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
第10の発明は、第1の発明から第9の発明までのいずれかに記載の反射スクリーン(10)において、光を拡散する機能を有する拡散粒子を含有する光拡散層を備えていないこと、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
第11の発明は、第1の発明から第10の発明までのいずれかに記載の反射スクリーン(10)と、前記反射スクリーン(10)に対して、映像光を投射する映像源(LS)と、を備える映像表示装置(1)である。
本発明によれば、光の透過率を選択的に変更することができる反射スクリーン、及び、これを備える映像表示装置を提供することができる。
実施形態の映像表示装置1を示す図である。 実施形態のスクリーン10の層構成の一例を示す図である。 実施形態の第1光学形状層12を説明する図である。 保護層15を設けずに、第2光学形状層14に粘着層30が直接設けられている形態を示す図である。 実施形態のスクリーン10での映像光及び外光の様子を示す図である。 実施形態のスクリーン10の層構成の他の例を図2と同様にして示す図である。 実施例1及び実施例2の透過率をまとめて示した図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
本明細書中において、記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書中において、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
本明細書中において、シート面とは、各シートにおいて、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。なお、板面、フィルム面についても同様である。
(実施形態)
図1は、実施形態の映像表示装置1を示す図である。図1(a)では、映像表示装置1の斜視図であり、図1(b)は、映像表示装置1を側面から見た図である。
映像表示装置1は、スクリーン10、映像源LS等を有している。本実施形態のスクリーン10は、映像源LSから投影された映像光Lを反射して、画面上に映像を表示する反射スクリーンである。このスクリーン10の詳細に関しては、後述する。
本実施形態では、一例として、映像表示装置1は、室内用の透明板によって構成されたパーテーションに適用され、スクリーン10がその透明板に固定される例を挙げて説明する。なお、このような透明板としては、ガラス製や樹脂製等の透明性の高い板状の部材が用いられる。
ここで、理解を容易にするために、図1を含め以下に示す各図において、適宜、XYZ直交座標系を設けて示している。この座標系では、スクリーン10の画面の水平方向(左右方向)をX方向、鉛直方向(上下方向)をY方向とし、スクリーン10の厚み方向をZ方向とする。スクリーン10の画面は、XY面に平行であり、スクリーン10の厚み方向(Z方向)は、スクリーン10の画面に直交する。
また、スクリーン10の映像源側の正面方向に位置する観察者O1から見て水平方向の右側に向かう方向を+X方向、鉛直方向の上側に向かう方向を+Y方向、厚み方向において背面側(裏面側)から映像源側に向かう方向を+Z方向とする。
さらに、以下の説明中において、画面上下方向、画面左右方向、厚み方向とは、特に断りが無い場合、このスクリーン10の使用状態における画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)、厚み方向(奥行き方向)であり、それぞれ、Y方向、X方向、Z方向に平行であるとする。
映像源LSは、映像光Lをスクリーン10へ投影する映像投射装置であり、例えば、短焦点型のプロジェクタである。
この映像源LSは、映像表示装置1の使用状態において、スクリーン10の画面(表示領域)を正面方向(スクリーン面の法線方向)から見た場合に、スクリーン10の画面左右方向の中央であって、スクリーン10の画面よりも鉛直方向下方側に位置している。
映像源LSは、奥行き方向(Z方向)において、スクリーン10の表面からの距離が、従来のスクリーンの画面正面方向に位置する汎用プロジェクタに比べて大幅に近い位置から斜めに映像光Lを投影できる。したがって、従来の汎用プロジェクタに比べて、映像源LSは、スクリーン10までの投射距離が短く、投射された映像光Lがスクリーン10に入射する入射角度が大きく、入射角度の変化量(入射角度の最小値から最大値までの変化量)も大きい。
スクリーン10は、映像源LSが投射した映像光Lを映像源側(+Z側)の正面方向に位置する観察者O1側へ向けて反射して、観察者O1に映像を表示でき、かつ、スクリーン10の向こう側の景色を観察できる透明性を有する半透過型の反射スクリーンである。また、スクリーン10は、透過する光の透過率を選択的に変化させることができる。
スクリーン10の画面(表示領域)は、使用状態において、観察者O1側から見て長辺方向が画面左右方向となる略矩形状である。また、スクリーン10は、その画面サイズが対角40~100インチ程度であり、画面の横縦比が16:9である。
なお、これに限らず、スクリーン10は、例えば、観察者O1側から見た形状を他の形状としてもよいし、その画面サイズを40インチ以下の大きさとしてもよく、使用目的や使用環境等に応じて、その大きさや形状は適宜選択できるものとする。
スクリーン10は、樹脂製の薄い層の積層体等であり、それ単独では平面性を維持するだけの十分な剛性を有していない。そのため、本実施形態のスクリーン10は、図1(b)等に示すように、その背面側に光透過性を有する接合層51を介して支持板50に一体に接合(あるいは部分固定)され、画面の平面性を維持している。
支持板50は、光透過性を有し、剛性が高い平板状の部材であり、アクリル樹脂やPC(ポリカーボネート)樹脂等の樹脂製、ガラス製等の板状の部材を用いることができる。本実施形態の支持板50は、室内用パーテーションのガラス製の透明板ある。
なお、これに限らず、スクリーン10は、不図示の枠部材等によってその四辺等が支持され、その平面性を維持する形態としてもよい。
図2は、実施形態のスクリーン10の層構成の一例を示す図である。図2では、スクリーン10の画面中央(画面の幾何学的中心)となる点A(図1参照)を通り、画面上下方向(Y方向)に平行であって、スクリーン面に直交(Z方向に平行)する断面として示している。なお、図2では、スクリーン10のみを示し、支持板50等は省略して示している。
図3は、実施形態の第1光学形状層12を説明する図である。図3では、第1光学形状層12を背面側(-Z側)から見た図であり、理解を容易にするために、反射層13等を省略して示している。
スクリーン10は、図2に示すように、厚み方向(Z方向)において、その映像源側(+Z側)から順に、基材層11、第1光学形状層12、反射層13、第2光学形状層14、保護層15、粘着層30、調光層20等を備えている。
基材層11は、光透過性を有するシート状の部材であり、その背面側(-Z側)に、第1光学形状層12が一体に形成されている。この基材層11は、第1光学形状層12を形成する基材(ベース)となる層である。
基材層11は、例えば、高い光透過性を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル・スチレン樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂等により形成される。
基材層11は、スクリーン10の画面サイズ等に応じてその厚さを適宜設定してよい。
第1光学形状層12は、基材層11の背面側(-Z側)に形成された光透過性を有する層である。第1光学形状層12の背面側(-Z側)の面には、単位光学形状12Aが複数配列されて設けられている。
単位光学形状12Aは、図3に示すように、真円の一部形状(円弧状)であり、スクリーン10の画面(表示領域)外に位置する点Cを中心として、同心円状に複数配列されている。即ち、第1光学形状層12は、点Cを中心(フレネルセンター)とする、いわゆるオフセット構造のサーキュラーフレネルレンズ形状を、その背面側に有している。
本実施形態では、図3に示すように、第1光学形状層12をスクリーン面の法線方向背面側から見たときに、点Cは、画面左右方向の中央であって画面外下方に位置しており、点Cと点Aとは、Y方向に平行な同一直線上に位置している。
単位光学形状12Aは、図2に示すように、スクリーン面に直交する方向(Z方向)に平行であって、単位光学形状12Aの配列方向に平行な断面における断面形状が、略三角形形状である。
単位光学形状12Aは、背面側(-Z側)に凸であり、映像光が入射する第1斜面(第1の面)12Aaと、これに対向する第2斜面(第2の面)12Abとを有している。1つの単位光学形状12Aにおいて、第1斜面12Aaは、頂点aを挟んで第2斜面12Abの上側(+Y側)に位置している。
第1斜面12Aaがスクリーン面に平行な面となす角度は、θ1である。第2斜面12Abがスクリーン面に平行な面となす角度は、θ2である。角度θ1,θ2は、θ2>θ1という関係を満たしている。
この単位光学形状12Aの第1斜面12Aa及び第2斜面12Abは、微細かつ不規則な凹凸形状を有している。この微細な凹凸形状は、凸形状と凹形状とが2次元方向に不規則に配列されて形成されており、凸形状及び凹形状は、その大きさや形状、高さ等が不規則である。
単位光学形状12Aの配列ピッチは、P1であり、単位光学形状12Aの高さ(厚み方向における頂点aから単位光学形状12A間の谷底となる点bまでの寸法)は、hである。
理解を容易にするために、図2では、単位光学形状12Aの配列ピッチP1、角度θ1,θ2は、単位光学形状12Aの配列方向において一定である例を示している。しかし、本実施形態の単位光学形状12Aは、実際には、配列ピッチP1は一定であるが、角度θ1が単位光学形状12Aの配列方向においてフレネルセンターとなる点Cから離れるにつれて次第に大きくなっている。
また、角度θ1,θ2、配列ピッチP1等は、映像源LSからの映像光の投射角度(スクリーン10への映像光の入射角度)や、映像源LSの画素(ピクセル)の大きさ、スクリーン10の画面サイズ、各層の屈折率等に応じて、適宜設定してよい。例えば、単位光学形状12Aの配列方向に沿って、配列ピッチP1や角度θ1等が変化する形態としてもよい。
なお、本実施形態では、第1光学形状層12の背面側の面には、サーキュラーフレネルレンズ形状が形成される例を示したが、これに限らず、第1光学形状層12の背面側の面には、単位光学形状12Aが画面左右方向(X方向)を長手方向とし、画面上下方向(Y方向)に配列されたリニアフレネルレンズ形状が形成される形態としてもよい。また、柱状の単位プリズムが、画面左右方向(X方向)を長手方向とし、画面上下方向(Y方向)に複数された形態としてもよい。
第1光学形状層12は、光透過性の高いウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリチオール系、ブタジエンアクリレート系等の紫外線硬化型樹脂により形成されている。
なお、本実施形態では、第1光学形状層12を構成する樹脂として、紫外線硬化型樹脂を例に挙げて説明するが、これに限らず、例えば、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。
反射層13は、単位光学形状12A上(第1斜面12Aa及び第2斜面12Ab上)に形成されている。この反射層13は、入射した光の一部を反射し、その他を透過する半透過型の反射層、いわゆるハーフミラーである。
前述のように、第1斜面12Aa及び第2斜面12Ab(単位光学形状12Aの表面)には、微細な凹凸形状が形成されており、反射層13は、この微細な凹凸形状に追従して形成され、かつ、単位光学形状12A側とは反対側の面にも、この微細かつ不規則な凹凸形状が維持された状態で成膜されている。したがって、反射層13の映像源側の面(第1光学形状層12側の面)と、背面側の面(第2光学形状層14側の面)とは、微細かつ不規則な凹凸形状を有するマット面(粗面)となっている。
この反射層13は、入射した光の一部を反射面の微細な凹凸形状により拡散して反射し、反射しない他の光を拡散しないで透過するという機能を有する。
本実施形態の反射層13は、金属を用いる構成と、誘電体多層膜を用いる構成とを例示することができ、本実施形態では、金属を用いた構成と、誘電体多層膜を用いた構成との2種類を作製した。
反射層13は、金属を用いる場合、光反射性の高い金属、例えば、アルミニウム、銀、ニッケル等により形成され、その厚さは、数10Å程度である。反射層13は、これに限らず、例えば、上述のような光反射性の高い金属をスパッタリングして形成してもよい。
また、金属を用いた反射層13の反射率及び透過率は、所望する光学性能に合わせて適宜に設定できるが、映像光を良好に反射させるとともに、映像光以外の光(例えば、太陽光等の外界からの光)を良好に透過させる観点から、例えば、透過率が30~80%程度、反射率が5~60%程度の範囲とすることができる。なお、上記透過率を含めて、以下に示す各層の透過率に関する数値は、空気界面における反射については考慮していない値を示している。また、スクリーン10の表面(空気界面)における反射は、その表面処理によって大きく左右されるが、例えば、10%程度を考慮するとよい。本実施形態のスクリーン10では、反射スクリーン部分(11~15)と調光層20とを別々に設けずに接合していることから、入射する光については空気界面が1つ減るので、その分、透過率を高めるためには有利な構成となっている。
本実施形態で金属を用いて構成した反射層13は、アルミニウムを蒸着することにより形成されており、反射層13のみでの透過率が約70%、反射率が約5%、吸収率が約25%のハーフミラー状である。
また、反射層13は、誘電体多層膜を用いる場合、金属蒸着膜等に比べて高い透明性及び反射率を実現可能である。誘電体多層膜は、屈折率の高い誘電体膜(以下、高屈折率誘電体膜という)と屈折率が低い誘電体膜(以下、低屈折率誘電体膜という)とが交互に複数積層されて形成されている。
高屈折率誘電体膜は、例えば、TiO(二酸化チタン)、Nb(五酸化ニオブ)、Ta(五酸化タンタル)等により形成される。高屈折率誘電体膜の屈折率は、2.0~2.6程度である。
低屈折率誘電体膜は、例えば、SiO(二酸化ケイ素)、MgF(フッ化マグネシウム)等により形成される。低屈折率誘電体膜の屈折率は、1.3~1.5程度である。
高屈折率誘電体膜及び低屈折率誘電体膜の膜厚は、約5~100nmであり、これらが交互に2~10層程積層されて形成されており、誘電体多層膜の総厚は、10~1000nm程度である。
この誘電体多層膜を用いて構成された反射層13は、波長域400~800nmの光に対して、その透過率が90%程度、反射率が10%程度である。
誘電体多層膜により形成された反射層13は、アルミニウム等の金属蒸着膜等により形成された反射層に比べて、高い透明性を有しており、また、光の吸収損失が小さく、高い反射率を実現できる。
この反射層13は、単位光学形状12A上(第1斜面12Aa及び第2斜面12Ab上)に、上述のような誘電体多層膜を蒸着加工する、スパッタ加工する等により、所定の厚さで形成される。
本実施形態で誘電体多層膜を用いて構成した本実施形態の反射層13は、TiO(二酸化チタン)により形成された高屈折率誘電体膜と、SiOにより形成された低屈折率誘電体膜を交互に計5層積層(高屈折率誘電体膜が3層、低屈折率誘電体膜が2層)して形成されており、透過率が約90%、反射率が約10のハーフミラー状である。
なお、反射層13の厚さは、その材質や所望する光学性能等によって適宜設定してよい。
第2光学形状層14は、第1光学形状層12の背面側(-Z側)に設けられた光透過性を有する層である。
第2光学形状層14は、単位光学形状12A間の谷部を埋めるように充填され、第1光学形状層12の背面側(-Z側)の面を平坦化している。この第2光学形状層14の映像源側(+Z側)の面は、第1光学形状層12の単位光学形状12Aの略逆型の形状が複数配列されて形成されている。
このような第2光学形状層14を設けることにより、反射層13を保護することができる。また、このような第2光学形状層14を設けることにより、スクリーン10の背面側に保護層15等を積層しやすくなり、また、後述の調光層20の接合も容易となる。
第2光学形状層14の屈折率は、第1光学形状層12と略同等(同等とみなせる程度に小さい屈折率差を有している状態)であることが好ましく、同等であることが望ましい。また、第2光学形状層14は、前述の第1光学形状層12と同じ樹脂を用いて形成してもよいし、異なる樹脂を用いて形成してもよい。
本実施形態の第2光学形状層14は、第1光学形状層12と同じ紫外線硬化型樹脂により形成されている。
保護層15は、第2光学形状層14の背面側(-Z側)に形成された光透過性を有する層であり、このスクリーン10の背面側(-Z側)を保護する機能を有している。
保護層15は、光透過性の高い樹脂製のシート状の部材が用いられる。保護層15は、例えば、前述の基材層11と同様の材料を用いて形成されたシート状の部材を用いてもよい。
この保護層15は、本実施形態のように背面側に調光層20を接合するので、製造工程によっては、設けない形態としてもよい。
図4は、保護層15を設けずに、第2光学形状層14に粘着層30が直接設けられている形態を示す図である。
図4に示すように、第2光学形状層14に粘着層30を直接設けて、調光層20を接合する形態とすれば、積層される層の数が減るので、光学特性において有利である。
上述した基材層11、第1光学形状層12、反射層13、第2光学形状層14、保護層15までは、従来から知られている反射スクリーンとしての構成を備えたものである。本実施形態のスクリーン10は、この構成に、さらに、粘着層30を介して調光層20を備えた構成となっているが、先ずは、ここまでの構成について、反射スクリーンとしての機能を説明する。
図5は、実施形態のスクリーン10での映像光及び外光の様子を示す図である。図5では、単位光学形状12Aの配列方向(Y方向)及びスクリーンの厚み方向(Z方向)に平行な断面での断面の一部を拡大して示している。また、図5では、理解を容易にするために、粘着層30及び調光層20を含めてスクリーン10内の各層の界面における屈折率差はないものとして示している。
スクリーン10の下方に位置する映像源LSから投射され、スクリーン10に入射した映像光L1のうち、一部の映像光L2は、その単位光学形状12Aの第1斜面12Aaに入射し、反射層13によって拡散反射され、観察者O1側へ出射する。
第1斜面12Aaに入射した映像光のうち反射しなかった他の映像光L3は、反射層13を透過し、スクリーン10の背面側(-Z側)から出射する。このとき、映像光L3は、スクリーン10の上方へと出射し、スクリーン10の背面側の正面方向に位置する観察者O2には到達しない。
また、映像源LSから投射された映像光L1うち、一部の映像光L4は、スクリーン10の映像源側表面で反射するが、スクリーン10上方へ向かうので、観察者O1の映像の視認の妨げにはならない。
なお、本実施形態では、映像源LSがスクリーン10よりも下方に位置し、映像光L1がスクリーン10の下方から投射され、かつ、第2斜面12Abの角度θ2(図2参照)がスクリーン10の画面上下方向の各点における映像光の入射角度よりも大きいので、映像光が第2斜面12Abに直接入射することはなく、第2斜面12Abは、映像光の反射には殆ど影響しない。
次に、背面側(-Z側)又は映像源側(+Z側)からスクリーン10に入射する映像光以外の太陽光等の外界からの光(以下、外光という)について説明する。
図5に示すように、スクリーン10に入射する外光G1,G5のうち、一部の外光G2,G6は、スクリーン10の表面で反射し、スクリーン下方側へ向かう。また、一部の外光G3,G7は、反射層13で反射し、例えば、外光G3は、スクリーン10の映像源側(+Z側)の表面で全反射してスクリーン10内下方へ向かい、外光G7は、背面側(-Z側)のスクリーン外上方側へ出射する。また、反射層13で反射しなかった他の外光G4,G8は、反射層13を透過して、それぞれ背面側、映像源側へ出射する。このとき、映像源側へ出射する外光G2,G3,G8は、観察者Oには到達しないので、映像のコントラスト低下を抑制できる。
また、スクリーン10に入射した外光の一部は、スクリーン10の映像源側及び背面側の表面で全反射して、スクリーン内部下方側へ向かい、減衰する。
また、他の外光G9,G10は、反射層13を透過して、それぞれ背面側、映像源側へ出射する。スクリーン10は、拡散粒子を含有する拡散材等を含有していないので、このスクリーン10を透過する外光G9,G10は、拡散されない。したがって、スクリーン10を通して、スクリーン10の向こう側の景色を観察した場合に、スクリーン10の向こう側の景色がぼやけたり、白くにじんだりすることなく、高い透明性を有して観察することができる。
次に、調光層20について説明する。
図2に示す調光層20は、印加電圧を変化させることにより透過光の光量を制御することができるフィルムである。
この調光層20は、保護層15の背面側に、粘着層30を介して接合されており、透過光の光量を制御することができる。
調光層20は、二色性色素を使用したゲストホスト型の液晶セルであり、液晶に印加する電界により透過光量を変化させる液晶セルである。調光層20は、フィルム状の液晶用第2積層体20B及び液晶用第1積層体20Aにより液晶層26を挟持して構成される。
液晶用第2積層体20Bは、基材21Bに、透明電極22B、配向層23B、ビーズスペーサー24を積層して形成される。
液晶用第1積層体20Aは、基材21Aに、透明電極22A、配向層23Aを積層して形成される。
調光層20は、この液晶用第1積層体20A及び液晶用第2積層体20Bに設けられた透明電極22B、22Aの駆動により、液晶層26に設けられたゲストホスト液晶組成物による液晶材料の配向を変化させ、これにより透過光の光量を変化させる。
基材21B、21Aは、種々の透明樹脂フィルムを適用することができるが、光学異方性が小さく、また、可視域の波長(380~800nm)における透過率が80%以上である透明樹脂フィルムを適用することが望ましい。
透明樹脂フィルムの材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、EVA等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリサルホン(PEF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、ポリエーテル(PE)、ポリエーテルケトン(PEK)、(メタ)アクロニトリル、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を挙げることができる。
特に、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂が好ましい。
基材21B、21Aは、種々の厚みの透明樹脂フィルムを適用することができる。
透明電極(第1電極)22A、透明電極(第2電極)22Bは、透明樹脂フィルムに積層される透明導電膜から構成されている。
透明導電膜としては、この種の透明樹脂フィルムに適用される各種の透明電極材料を適用することができ、酸化物系の全光透過率が50%以上の透明な金属薄膜を挙げることができる。例えば、酸化錫系、酸化インジウム系、酸化亜鉛系が挙げられる。
酸化錫(SnO)系としてはネサ(酸化錫SnO)、ATO(Antimony Tin Oxide:アンチモンドープ酸化錫)、フッ素ドープ酸化錫が挙げられる。
酸化インジウム(In)系としては、酸化インジウム、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide)が挙げられる。
酸化亜鉛(ZnO)系としては、酸化亜鉛、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、ガリウムドープ酸化亜鉛が挙げられる。
本実施形態では、ITO(Indium Tin Oxide)により透明導電膜が形成される。
本実施形態ではスペーサーとして球形状のビーズスペーサー24を用いる。ビーズスペーサー24は、液晶層26における外周部を除く部分の厚み(セルギャップ)を規定するために設けられる。ビーズスペーサー24は、シリカ等による無機材料による構成、有機材料による構成、これらを組み合わせたコアシェル構造の構成等を広く適用することができる。また、ビーズスペーサー24の形状は、上述した球形状の構成の他、円柱形状や角柱形状等で構成されたロッド形状としてもよい。
ただし、液晶層26の厚みを規定するスペーサーとしては、ビーズスペーサー24に限定されず、例えば、フォトレジストを基材21A側に塗工して露光、現像することにより円柱形状等に作製してもよい。
なお、上述の説明では、スペーサーは、液晶用第2積層体20Bに設けられる例を示したが、これに限定されるものでなく、液晶用第1積層体20A、液晶用第2積層体20Bの両方、又は、液晶用第1積層体20Aにのみ設けられるようにしてもよい。
配向層23A、23Bは、液晶分子群を一定方向に配列させるための膜である。例えば、配向層23A、23Bは、光配向層として作製したり、光配向層に代えてラビング処理により配向層を作製したりしてもよいし、微細なライン状凹凸形状を賦型処理して配向層を作製してもよい。なお、配向層23A、23Bの作製方法は、上述した方法に限らず、適宜異なる方法を用いてもよい。
本実施形態では、光二量化型の材料を使用する。光二量化型の材料としては、例えば、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、又は、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマー等を挙げることができる。中でも、配向規制力が良好である点で、シンナメート、クマリンの一方又は両方を有するポリマーが好ましく用いられる。このような光二量化型の材料の具体例としては、例えば特開平9-118717号公報、特表平10-506420号公報、特表2003-505561号公報及びWO2010/150748号公報に記載された化合物を挙げることができる。
また、本実施形態では、調光層20は、配向層23A,23Bを備える形態を示したが、これに限らず、配向層23A,23Bを備えない形態としてもよい。
液晶層(調光材料としての液晶材料)26には、二色性色素組成物を使用したゲストホスト液晶組成物を広く適用することができる。ゲストホスト液晶組成物にはカイラル剤を含有させるようにして、液晶材料を水平配向させた場合に液晶層26の厚み方向に螺旋形状に配向させるようにしてもよい。なお、調光層20において、液晶層26を囲むように、シール材25が配置されている。このシール材25により、液晶用第1積層体20A、液晶用第2積層体20Bが一体に保持され、液晶材料の漏出が防止される。シール材25は、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等を適用することができる。
調光層20は、遮光時におけるゲストホスト液晶組成物の配向が電界印加時となるように配向層23B,23Aを一定の方向にプレチルトに係る配向規制力を設定した垂直配向層に構成し、これによりノーマリークリアにより構成される。なお、この透光時の設定を電界印加時としてノーマリーダークにより構成してもよい。
ここで、ノーマリーダークとは、液晶に電圧がかかっていない時に透過率が最小となり、黒い画面になる構造である。ノーマリークリアとは、液晶に電圧がかかっていない時に透過率が最大となり、透明となる構造である。
なお、本実施形態の調光層20は、ゲストホスト型の液晶セルとしたが、二色性色素組成物を用いない液晶セルとして構成してもよい。この場合、直線偏光層をさらに設けることで、調光セルとして機能させることができる。これについて、以下により詳しく説明する。
図6は、実施形態のスクリーン10の層構成の他の例を図2と同様にして示す図である。
図6に示すスクリーン10の液晶層27は、図2に示したスクリーン10の液晶層26に用いた二色性色素組成物を使用したゲストホスト液晶組成物ではない液晶を用いている。以下、このタイプの調光層20について、「非ゲストホスト型」と呼び、図2に示したタイプの調光層20は、「ゲストホスト型」と呼ぶこととする。
液晶層27には、重合性官能基を有していない液晶化合物として、ネマチック液晶化合物、スメクチック液晶化合物及びコレステリック液晶化合物を適用することができる。
ネマチック液晶化合物としては、例えば、ビフェニル系化合物、ターフェニル系化合物、フェニルシクロヘキシル系化合物、ビフェニルシクロヘキシル系化合物、フェニルビシクロヘキシル系化合物、トリフルオロ系化合物、安息香酸フェニル系化合物、シクロヘキシル安息香酸フェニル系化合物、フェニル安息香酸フェニル系化合物、ビシクロヘキシルカルボン酸フェニル系化合物、アゾメチン系化合物、アゾ系化合物、及びアゾオキシ系化合物、スチルベン系化合物、トラン系化合物、エステル系化合物、ビシクロヘキシル系化合物、フェニルピリミジン系化合物、ビフェニルピリミジン系化合物、ピリミジン系化合物、及びビフェニルエチン系化合物等を挙げることができる。
スメクチック液晶化合物としては、例えば、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリクロロアクリレート系、ポリオキシラン系、ポリシロキサン系、ポリエステル系等の強誘電性高分子液晶化合物を挙げることができる。
コレステリック液晶化合物としては、例えば、コレステリルリノレート、コレステリルオレエート、セルロース、セルロース誘導体、ポリペプチド等を挙げることができる。
また、市販品としては、例えばメルク社製MLC2166等の液晶材料を適用することができる。
また、図6に示す非ゲストホスト型の調光層20は、直線偏光板29A,29Bで両側を挟持した形態となっている。直線偏光板29A,29Bを設けることにより、非ゲストホスト型の液晶を備える液晶層27としても、調光機能を実現できる。
さらに、図6に示す非ゲストホスト型の調光層20は、スペーサー28の形態を、図2に示したゲストホスト型の調光層20とは異なる形態を例示した。図6に示すスペーサー28は、フォトレジストにより製造される形態とした。スペーサー28は、透明電極22Bを製造して構成された基材21Bの上に、フォトレジストを塗工して露光、現像することにより製造される。なお、このスペーサーの形態については、ゲストホスト型においてフォトレジストを用いて構成してもよいし、非ゲストホスト型においてビーズスペーサーを用いて構成してもよい。
また、液晶の駆動方式として、TN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane-Switching)方式等の各種駆動方式が知られているが、ゲストホスト型及び非ゲストホスト型のいずれにおいても、これら公知の駆動方式を適宜選択して用いることができる。
ここで、上述したように、本実施形態のスクリーン10は、調光層20までを含めてみても、拡散作用を有する粒子等の拡散材を含有した光拡散層を備えておらず、拡散作用を有するのは、反射層13の微細凹凸形状のみである。
従来の拡散粒子を含有する拡散層を備えた半透過型の反射スクリーンでは、映像光は、反射層での反射前後の2回拡散されるので、良好な視野角が得られる一方で映像の解像度が低下するという問題がある。また、拡散粒子によって外光も拡散されるため、スクリーンの向こう側の景色がぼやけたり、白くにじんだりして観察され、透明性が低下する。
しかし、本実施形態のスクリーン10では、反射層13の映像源側の面が微細な凹凸形状を有している以外は、拡散作用を有しないので、映像光は反射時のみ拡散される。また、本実施形態のスクリーン10では、反射層13で反射する光のみが拡散され、透過光は拡散されない。したがって、本実施形態のスクリーン10は、良好な視野角及び解像度を有する映像を表示でき、かつ、スクリーン10の向こう側の景色が白くにじんだり、ぼけたりすることがなく観察者O1に良好に視認され、高い透明性を実現できる。また、本実施形態のスクリーン10では、スクリーン10に映像光が投射された状態においても、観察者O1が、スクリーン10の向こう側(背面側)の景色を一部視認することが可能である。さらに、本実施形態のスクリーン10では、背面側に位置する観察者O2は、映像光の投射の有無に関わらず、スクリーン10越しに映像源側(+Z側)の景色を高い透明性を有して良好に視認することができる。
次に、本実施形態のスクリーン10のより具体的な実施例を2種類例示し、その透過率と効果について説明する。
(実施例1)
実施例1のスクリーン10は、調光層20は、図2に示したゲストホスト型とした。
単位光学形状12Aは、配列ピッチPが100μmである。
反射層13は、アルミニウムの蒸着膜により形成され、厚さ約5Å、透過率70%、反射率5%である。
基材層11は、PET樹脂製であり、厚さt11=100μmとした。
第1光学形状層12及び第2光学形状層14は、ウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂(屈折率1.52)を素材とした。
第1光学形状層12と反射層13と第2光学形状層14とを合せた厚さt121314=100μmとした。
第2光学形状層14の背面側の面から反射層13までの最短距離t14=300μmとした。
保護層15は、PET樹脂製であり、厚さt15=約100μmである。
粘着層30は、厚さt30=10μmとした。
基材21A、21Bは、ポリカーボネートフィルムを素材とし、厚さt21=100μmとした。
透明電極22A、22Bは、ITOを素材とし、厚さt22=100μmとした。
配向層23A、23Bは、ポリイミド樹脂を素材とし、厚さt23=0.1μmとした。
液晶層26は、二色性色素組成物を使用したゲストホスト液晶組成物を用いた液晶としており、厚さt26=6.2μmとした。液晶層26は、ノーマリークリアの構成である。
以上の構成により、反射層13と液晶層26との間の最短距離は、0.1mmとなり、0.5mm以下に収まっている。
(実施例2)
実施例2のスクリーン10については、実施例1と異なる点についてのみ説明する。
実施例2のスクリーン10では、調光層20は、図6に示した非ゲストホスト型とした。
反射層13は、誘電体多層膜により構成されており、具体的には、TiOと、SiOとを積層した構成とした。
直線偏光板29A,29Bは、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素等を含浸させた後、延伸して直線偏光板としての光学的機能を果たす光学機能層が形成され、TAC(トリアセチルセルロース)等の透明フィルム材による基材により光学機能層を挟持して作製される、厚さt29=200μmとした。
液晶層27は、誘電率異方性が負の液晶を用いた液晶としており、厚さt27=3.5μmとした。
なお、液晶層27は、実施例1とは異なり、ノーマリーダークの構成である。
以上の構成により、反射層13と液晶層26との間の最短距離は、0.3mmとなり、実施例2においても0.5mm以下に収まっている。
実施例1及び実施例2のいずれにおいても、反射層13と液晶層26との間の最短距離は、0.5mm以下としたので、製造時の貼り合わせを容易に行うことができ、かつ、厚さの均一性確保を容易に行うことができる。
図7は、実施例1及び実施例2の透過率をまとめて示した図である。図7中の調光層部分欄におけるON,OFFは、調光層20への通電のON,OFFを示しており、実施例1のノーマリークリアと実施例2のノーマリーダークとで挙動が反対に構成されている。
図7に示すように、実施例1では、調光層20へ通電を行えば、スクリーン10全体での透過率を14%に下げることができ、映像を投影していない領域については僅かに背景を視認できるようにしながら、映像を投影する領域では、背景の影響を抑えてコントラストの高い映像を観察可能である。また、背景側への抜け光も抑えることができる。
また、実施例2では、調光層20への通電をOFFとすれば、背景からの透過光を略全て遮断することができ、背景の影響を略完全に排除して映像を観察することができる。なお、実施例2では、反射層13の反射率が低下してしまうが、背景の影響がなくなるので、十分に良好な映像を観察できるが、映像源LSの光量を高めるとより良好な映像を観察可能である。
図7に示すように、反射層13の構成と調光層20の構成とを適切な条件で組み合わせることにより、調光層20の透過率が最も高くなる状態におけるスクリーン10の全体における透過率は、30%以上、50%以下の範囲に設定することができる。よって、十分に背景の観察が可能である。また、調光層20の透過率が最も低くなる状態では、略背景の透過がない状態にすることも可能であり、背景の影響を殆ど受けることなく、映像の観察が可能である。
また、実施例1及び実施例2の双方とも、調光層20が反射層を備える層と接合されて一体化されているので、両者の間に空気間隔部分が存在しない。これにより、図7に示すように高い透過率を実現可能である。
さらに、実施例2の形態であれば、光源の偏光状態を揃えることにより、直線偏光板29A,29Bによって抜け光の発生を防止できる。
以上説明したように、本実施形態によれば、スクリーン10は、調光層20を備えているので、調光層20への通電の切換によって光の透過率を選択的に変更することができる。よって、背景を透かして見えるようにしたい場合には透過率が高い状態とし、映像を見やすくしたい場合には透過率が低い状態とするといった使い方が可能となり、使い勝手がよい。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)実施形態において、スクリーン10の表面や裏面に、傷つき防止を目的としたハードコート層を設けてもよい。ハードコート層は、例えば、スクリーン10の面に、ハードコート機能を有する紫外線硬化型樹脂(例えば、ウレタンアクリレート等)を塗布する等により、形成される。
また、ハードコート層に限らず、スクリーン10の使用環境や使用目的等に応じて、スクリーン10に、例えば、反射防止機能、紫外線吸収機能、防汚機能、帯電防止機能等、適宜必要な機能を有する層を1つ又は複数選択して設けてもよい。さらに、基材層11の映像源側にタッチパネル層等を設けてもよい。
特に、スクリーン10の映像源側の表面に反射防止層を設けた場合には、反射層13で反射した映像光が、映像源側の空気との界面で反射して、背面側から出射して背面側に映像が漏れたように表示されることを防止できる。
(2)実施形態において、全体として十分な厚みや剛性等を有している場合には、例えば、基材層11を備えない形態としてもよい。
また、スクリーン10は、基材層11や保護層15について、ガラス板等の光透過性を有する板状の部材としてもよい。
(3)実施形態において、反射層13の表面(単位光学形状12Aの表面)の微細な凹凸形状は、その大きさや形状、配列等が不規則である例を示したが、大きさや形状、配列のいずれかが規則性を有していてもよい。
(4)実施形態において、映像源LSは、スクリーン10の画面左右方向の中央であって画面外の下方に位置する例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、スクリーン10の斜め下側等に配置され、スクリーン10に対して画面左右方向において斜め方向光から映像光を投射する形態としてもよい。
この場合、単位光学形状12Aの配列方向は、映像源LSの位置に合わせて傾けた形態とする。このような形態とすることにより、映像源LSの位置等を自由に設定することができる。
(5)実施形態において、単位光学形状12Aは、第1斜面12Aa及び第2斜面12Abが平面により形成される例を示したが、これに限らず、例えば、曲面と平面とが組み合わされた形態としてもよいし、折れ面状としてもよい。
また、単位光学形状12Aは、3つ以上の複数の面によって形成される多角形形状としてもよい。
また、第1斜面12Aa及び第2斜面12Abは、微細かつ不規則な凹凸形状が形成されている例を示したが、これに限らず、第1斜面12Aaにのみ微細かつ不規則な凹凸形状が形成されている形態としてもよい。
また、反射層13,23は、単位光学形状12Aの第1斜面12Aa及び第2斜面12Abに形成される例を示したが、これに限らず、例えば、第1斜面12Aaの少なくとも一部に形成される形態としてもよい。
(6)実施形態において、映像表示装置1は、室内用のパーテーションに配置される例を示したが、これに限らず、例えば、展示会等における映像表示や、店舗等のショーウィンドウ等にも適用できる。
(7)実施形態において、調光層20は、液晶を用いる例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、調光層は、液晶以外を用いたものとして、例えば、EC方式、SPD方式、PDLC方式調光フィルム等、電極間の電位差に応じて明暗(透過率)が変化するデバイスであってもよい。
EC方式(Electro chromic)を用いた調光フィルムは、一対の電極で調光層(電解質層)を挟んだ構造を有する。電極間の電位差に応じ、酸化還元反応を利用して調光層の色が透明と濃紺との間で変化する。
SPD方式(Suspended Particle Device)を用いた調光フィルムは、微粒子の配向を利用し、通常濃紺色に着色しているが、電圧を印加すると透明に変化し、電位を切ると元の濃紺色に戻るものであり、電圧によって濃淡を調整できる。
PDLC方式(Polymer Dispersed Liquid Crystal)を用いた調光フィルムは、液晶層中に特殊なポリマーによるネットワーク構造体を形成させたもので、ポリマーネットワークの作用により、液晶分子の配列が不規則な状態を誘起して光を散乱させる。そして、電圧を印加することで、液晶分子を電界方向に配列させると、光が散乱されず、透明な状態となる。
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
1 映像表示装置
10 スクリーン
11 基材層
12 第1光学形状層
12A 単位光学形状
12Aa 第1斜面
12Ab 第2斜面
13 反射層
14 第2光学形状層
15 保護層
20 調光層
20A 液晶用第1積層体
20B 液晶用第2積層体
21A 基材
21B 基材
22A 透明電極(第1電極)
22B 透明電極(第2電極)
23 反射層
23A 配向層
23B 配向層
24 ビーズスペーサー
25 シール材
26 液晶層
27 液晶層
28 スペーサー
29A 直線偏光板
29B 直線偏光板
30 粘着層
40 対角
50 支持板
51 接合層

Claims (10)

  1. 映像源から投射された映像光を反射して映像を表示し、かつ、透明性を有する反射スクリーンであって、
    光透過性を有する層であって、当該反射スクリーンの厚み方向の背面側の面に、映像光が入射する第1の面とこれに交差する第2の面とを有する単位光学形状が複数配列されて前記第1の面と前記第2の面とが連続的に繋がって規則的なフレネル形状が形成された光学形状層と、
    前記単位光学形状の少なくとも前記第1の面の一部に形成され、入射した光の少なくとも一部を反射し、その他の光を透過する機能を有する反射層と、
    を備え、
    前記第1の面がスクリーン面に平行な面となす角度をθ1とし、
    前記第2の面がスクリーン面に平行な面となす角度をθ2とするとき、θ2>θ1という関係を満たし、
    前記単位光学形状は、その表面に微細かつ不規則な凹凸形状を有し、
    前記反射層の少なくとも前記単位光学形状側の面は、前記凹凸形状に対応した凹凸形状を有しており、
    当該反射スクリーンの厚み方向において、前記反射層よりも背面側には、
    透明な第1電極と、
    前記第1電極と対向配置された透明な第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、前記第1電極と前記第2電極との間の電位差に応じて透過率を変化させる調光材料と、
    を有する調光層をさらに備え、
    前記調光層は、ノーマリークリアとして構成され、
    前記調光材料の透過率が最も高くなる状態における当該反射スクリーンの透過率は、30%以上、50%以下の範囲にある反射スクリーン。
  2. 請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
    前記反射層と前記調光材料との間の最短距離は、0.5mm以下であること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の反射スクリーンにおいて、
    前記調光材料は、二色性色素を有する液晶であること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の反射スクリーンにおいて、
    前記反射層は、誘電体多層膜により形成されていること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の反射スクリーンにおいて、
    前記光学形状層は、前記単位光学形状が同心円状に複数配列されたサーキュラーフレネルレンズ形状を有すること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  6. 請求項5に記載の反射スクリーンにおいて、
    前記サーキュラーフレネルレンズ形状の中心は、当該反射スクリーンの外に設けられていること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、
    当該反射スクリーンの厚み方向において前記反射層よりも背面側に、光透過性を有し、前記単位光学形状の間の谷部を充填するように積層された第2光学形状層を備えること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  8. 請求項7に記載の反射スクリーンにおいて、
    前記調光層は、前記第2光学形状層に粘着層を介して接合されていること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれかに記載の反射スクリーンにおいて、
    光を拡散する機能を有する拡散粒子を含有する光拡散層を備えていないこと、
    を特徴とする反射スクリーン。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれかに記載の反射スクリーンと、
    前記反射スクリーンに対して、映像光を投射する映像源と、
    を備える映像表示装置。
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