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JP7061460B2 - 車両のデフレクタ装置 - Google Patents

車両のデフレクタ装置 Download PDF

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JP7061460B2
JP7061460B2 JP2017255019A JP2017255019A JP7061460B2 JP 7061460 B2 JP7061460 B2 JP 7061460B2 JP 2017255019 A JP2017255019 A JP 2017255019A JP 2017255019 A JP2017255019 A JP 2017255019A JP 7061460 B2 JP7061460 B2 JP 7061460B2
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Description

本発明は、自動車などの車両の開口部に対して設けられるデフレクタ装置に関する。
特許文献1は、自動車の車室の天井部分に形成された開口部に対して、デフレクタ装置を設けた構成を開示する。
これにより、走行中に天井部分の上を通過する風が車室内へ入り込み難くなる。
特表2008-508138号公報
しかしながら、開口部の前縁に沿って、上へ突出させるように立てるデフレクタ部材として、特許文献1のようにメッシュ素材を用いると、風切音が発生してしまうことがある。
たとえば開口部の内側に折り畳んで格納していたデフレクタ部材を開いて立てる最中に、メッシュ素材によるデフレクタ部材は、上下方向の中央部分が、風圧により後へ撓んで湾曲する。これによりデフレクタ部材に吹き込んだ風は、風圧により撓んで湾曲した部分に集中し、湾曲した部分から後へ吹き出される風が強くなる。この強められた風が、開いた開口部の後縁などに当たると、風切音が発生することがある。
また、走行中においても、風圧の変化などにより、メッシュ素材によるデフレクタ部材が撓んで湾曲すると、同様の風切音が発生する可能性がある。
特に、開口部を閉じるサンルーフ部材を、天井部分の外側に後退させる場合、サンルーフ部材の前縁に風が当たり易くなるため、風切音の発生可能性が高くなる。
このように自動車といった車両では、車両の前後方向に沿って開口する開口部の前縁に沿って設けられるデフレクタ装置において、メッシュ素材を採用した場合の風切音を抑制することが求められている。
本発明に係る車両のデフレクタ装置は、車両の前後方向に沿って開口する開口部の前縁に沿って設けられるデフレクタ装置であって、可撓性のメッシュ素材を用いて通気可能に形成され、前記開口部の前縁に沿って延在するように長尺形状に形成されたデフレクタ部材と、前記開口部が閉じている場合には前記車両に格納され、前記開口部が開いている場合には前記開口部から外へ突出するように可動する支持部材と、を有し、前記デフレクタ部材は、縁部の上部が前記支持部材に取り付けられて下縁が前記車両の車体に固定されていて、開いた前記開口部から外へ風圧により後へ撓んで突出し、前記デフレクタ部材を上部、中部および下部に分けた場合での、前記上部を除く、少なくとも、風圧により後へ撓んで湾曲する部分である前記中部には、前記メッシュ素材より通気性が低い1つの低通気部が形成される。
好適には、前記低通気部は、前記車両の走行中に、閉じていた前記デフレクタ部材を開く最中において、風圧により後へ撓んで湾曲して形成される最後端部分において、前記開口部の前縁に沿って延在するように形成される、とよい。
好適には、前記低通気部は、前記開口部の前縁に沿って延在するように長尺形状に形成された前記デフレクタ部材において、前記長尺方向の両端部分以外に形成される、とよい。
好適には、前記低通気部は、前記デフレクタ部材に用いる前記メッシュ素材より高密度のメッシュ状態に形成される、とよい。
好適には、前記開口部は、前記車両の天井部分に形成され、前記開口部を閉じるサンルーフ部材は、前記天井部分の外側に後退する、とよい。
本発明のデフレクタ部材は、開口部から外へ突出する外縁部が、開口部から外へ突出する支持部材に取り付けられる。したがって、デフレクタ部材は、開いた開口部から、開口部の前縁に沿って延在するように外へ突出する。その結果、開いた開口部の後縁や、その開口部を開くために後退したサンルーフ部材の前縁などに対して、走行中の風が強く当たらないようになる。走行中にこれらの部分に強い風が当たることによる風切音の発生などを効果的に抑制できる。
また、デフレクタ部材は、可撓性のメッシュ素材を用いて形成されているので、前記開口部が閉じている場合には、支持部材とともに車体に格納できる。
しかも、可撓性のメッシュ素材を用いて形成されたデフレクタ部材では、風圧により後へ撓むことが想定されるが、本発明では、撓んで湾曲する部分には、メッシュ素材より通気性が低い低通気部が形成されている。よって、デフレクタ部材は、可撓性のメッシュ素材を用いて形成されて、開口部から外へ突出した状態において上縁部が支持部材に取り付けられているだけであるにもかかわらず、風圧により後へ撓んで湾曲した部分から、デフレクタ部材に当たる風が集中して吹き出してしまうことが起き難くなる。
これに対して、デフレクタ部材についての、風圧により後へ撓んで湾曲する部分がその他の部分と同じメッシュ素材で形成されている場合、風圧により後へ撓んで湾曲した部分に、デフレクタ部材に当たる風が集中し、該湾曲部分から後へ強い風が吹き出す。そして、集中的に吹き出した強い風が、開いた開口部の後縁や、その開口部を開くために後退したサンルーフ部材の前縁などに当たると、風切音が発生する。本発明では、このような風切音の発生を効果的に抑制できる。
図1は、本発明のデフレクタ装置が適用される自動車の説明図である。 図2は、本発明の第1実施形態に係るデフレクタ装置の構成図である。 図3は、比較例に係るデフレクタ部材の説明図である。 図4は、第1実施形態に係るデフレクタ部材の説明図である。 図5は、第2実施形態に係るデフレクタ部材の説明図である。 図6は、第3実施形態に係るデフレクタ部材の説明図である。 図7は、第4実施形態に係るデフレクタ部材の説明図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明のデフレクタ装置10が適用される自動車1の説明図である。
自動車1は、車両の一例である。
図1の自動車1は、車室2が形成された車体3を有する。
車体3についての車室2の天井部分には、開口部4が形成される。開口部4は、サンルーフ用のものであり、車体3の前後方向に沿って延在するように略四角形に開口する。
開口部4には、これに嵌まるサイズの略四角形状のサンルーフ部材5が配置される。サンルーフ部材5は、前方へスライド移動することで開口部4と嵌まり、開口部4を塞ぐ。また、サンルーフ部材5は、車室2の天井部分の外側、すなわち上側にスライド後退する。
また、開いた開口部4から車室2内へ走行中の風が入り難くなるように、略四角形の開口部4の前縁に沿ってデフレクタ装置10が設けられる。
図2は、本発明の第1実施形態に係るデフレクタ装置10の構成図である。図2には、デフレクタ装置10およびその周辺の車体3の天井部分が図示されている。
図2のデフレクタ装置10は、デフレクタ部材11、左右の第一支持部材12、左右の第二支持部材13、左右の付勢部材14、を有する。
デフレクタ部材11は、たとえば樹脂繊維を編んで、可撓性のメッシュ素材を長尺の長方形形状に形成したものである。そして、長尺の長方形形状のデフレクタ部材11の下縁は、開口部4の内側において前縁に沿って設けられ、車体3の天井部分に固定される。これにより、長尺の長方形形状のデフレクタ部材11は、開口部4の前縁に沿って延在する。メッシュ素材は、通気可能である。
第一支持部材12は、I型の金具である。第一支持部材12の下端部は、開口部4の前縁から後側へずれた位置において、開口部4の内側面に回転可能に取り付けられる。第一支持部材12の上端部には、長尺の長方形形状のデフレクタ部材11の上角部分が取り付けられる。これにより、長尺の長方形形状のデフレクタ部材11の両側の上角部分は、左右の第一支持部材12に取り付けられる。左右の第一支持部材12が、開口部4から外上へ突出するように立った状態では、長尺の長方形形状のデフレクタ部材11は、開口部4の前縁から後上方へ向かって延在することができる。
第二支持部材13は、開口部4の前後方向に沿って配置されるI型の金具である。第二支持部材13の後端部は、第一支持部材12より後側において、開口部4の内側面に回転可能に取り付けられる。第二支持部材13の前端部は、第一支持部材12の中央部分に回転可能に取り付けられる。左右の第二支持部材13が後端部を中心として前端部を上げるように回転することにより、左右の第一支持部材12は開口部4から外上へ突出するように従動する。
付勢部材14は、たとえばスプリングである。付勢部材14は、たとえば第二支持部材13の中央部分と、開口部4の後縁部分との間に、伸びた状態で張り渡される。サンルーフ部材5が後退した状態では、付勢部材14が縮もうとするテンションにより、第二支持部材13が後端部を中心として前端部を上げるように回転し得る。
図2(A)は、開口部4をサンルーフ部材5により閉じた状態である。第二支持部材13は、開口部4を閉じているサンルーフ部材5により抑えられる。この場合、第一支持部材12および第二支持部材13は、閉じたサンルーフ部材5により押さえられ、開口部4に収まるように前後方向に延在する。可撓性のメッシュ素材からなるデフレクタ部材11は、折り畳まれた状態で、開口部4に収容される。
図2(B)は、サンルーフ部材5を後側へスライド移動させて開口部4を開いた状態である。これにより、第一支持部材12および第二支持部材13は、サンルーフ部材5による押さえから解放され、可動可能な状態となる。
そして、図2(C)に示すようにサンルーフ部材5が後側へスライドし切ると、左右の付勢部材14のテンションにより、第二支持部材13が後端部を中心として前端部を上げるように回転し、第一支持部材12が開口部4から外上へ突出するように立ち上がる。これにより、デフレクタ装置10のデフレクタ部材11は、付勢部材14のテンションが作用した状態で、開口部4の前縁から後上方へ向かって延在するように立ち上がる。
このため、車体3の天井部分の上を通過する風は、開口部4から上へ突出したメッシュ状のデフレクタ部材11に当たる。風の勢いは弱められる。その結果、デフレクタ部材11の後側における風が弱くなる。開いた開口部4の後縁や、車体3の天井部分の上に後退したサンルーフ部材5の前縁に対して、強い風が当たらないようになる。また、走行中に天井部分の上を通過する風が、強いまま車室2内へ入り込み難くなる。
しかしながら、開口部4の前縁に沿って上へ突出させるように立てるデフレクタ部材11として、可撓性のメッシュ素材を用いると、別の原因で風切音が発生してしまうことがある。
図3は、メッシュ素材をデフレクタ部材11として使用した場合に生じ得る風切音の発生原因を説明するための、比較例に係るデフレクタ部材11の説明図である。
図3(A)の比較例のデフレクタ部材11は、その全体がメッシュ素材により一定の密度の網目状に形成されている。
この場合、たとえば図3(B)に示すように、開口部4の内側に折り畳んで格納していたデフレクタ部材11を開いて立てる最中に、メッシュ素材によるデフレクタ部材11についての上下方向の中央部分が、風圧により後へ撓んで湾曲する。これにより、デフレクタ部材11に吹き込んだ風は、風圧により撓んで湾曲した部分に集中する。湾曲した部分からは、後へ、強い風が吹き出すことになる。この強められた風が、開いた開口部4の後縁や、天井部分の外側に後退させたサンルーフ部材5の前縁に当たると、風切音が発生する。
同様に、デフレクタ部材11を図2(C)のように立ち上げた後であっても、走行中の風圧の変化などにより、メッシュ素材によるデフレクタ部材11が撓んで湾曲する可能性がある。この場合にも、湾曲した部分から後へ吹き出される風が強くなり、この強められた風が、開いた開口部4の後縁や、天井部分の外側に後退させたサンルーフ部材5の前縁に当たることにより、風切音が発生する可能性がある。
このように自動車1などの車両では、自動車1の前後方向に沿って開口する開口部4の前縁に沿って設けられるデフレクタ装置10において、メッシュ素材によるデフレクタ部材11を採用した場合において固有に発生する風切音を抑制することが求められている。
図4は、第1実施形態に係るデフレクタ部材11の説明図である。
図4(A)において、開口の前縁に沿って長尺の長方形形状のデフレクタ部材11は、全体が可撓性のメッシュ素材により形成される。そして、天井部分の開口部4の内外方向、すなわち上下方向において、上部、中部、下部の三段に分けて異なる密度に形成される。具体的には、上部および下部が、低い密度のメッシュ素材により形成されるとともに、中部が、それらより高い密度のメッシュ素材により形成される。高い密度のメッシュ素材により形成された中部は、相対的に空気が通り難い低通気部15として機能する。低通気部15としての中部は、開口部4の前縁に沿って延在するように、デフレクタ部材11の長尺方向の全幅に形成される。
このようにデフレクタ部材11の中部を低通気部15として形成することにより、図4(B)に示すように、風圧によりデフレクタ部材11が撓み、デフレクタ部材11の略中部が湾曲による最後端部分となるように湾曲したとしても、その中部から後側へ風が吹き抜け難くなる。その結果、デフレクタ部材11に吹き込んだ風は、湾曲した中部に集中し難くなり、デフレクタ部材11の上部、中部および下部から後側へ流れ出るようになる。風圧により撓んで湾曲した中部から後へ強い風が吹き出してしまうことが、起き難くなる。湾曲した中部から後へ流れ出る風は図3(B)の場合と比べて弱まる。
なお、図4(B)では、デフレクタ部材11は、その中部が最後端部分となるように湾曲している。この他にもたとえば、デフレクタ部材11のサイズ、形状、取り付け方などによっては、デフレクタ部材11が中部から上下にずれた位置において湾曲する可能性もある。この場合には、その湾曲する部分を、高い密度のメッシュ素材により形成して低通気部15として機能させればよい。ただし、一般的には、デフレクタ部材11の中部が、湾曲する部分になると考えられる。いずれの場合でも、デフレクタ部材11に吹き込んだ風が、湾曲する部分に集中しようとしても、湾曲した部分から後ろへ流れ出る風を弱めることができる。
以上のように、本実施形態では、デフレクタ部材11についての開口部4から外上へ突出する外縁部が、開口部4から外上へ突出する第一支持部材12に取り付けられるとともに、開口部4の内側に収まる内縁部が、開口部4の内側において開口部4の前縁に取り付けられる。したがって、デフレクタ部材11は、テンションが作用した状態で、開いた開口部4から、開口部4の前縁に沿って延在するように外上へ突出するように張られる。開いた開口部4の後縁や、その開口部4を開くために後退したサンルーフ部材5の前縁などに対して、走行中の風が強く当たらないようになる。走行中にこれらの部分に強い風が当たることにより生じる風切音を効果的に抑制できる。
また、デフレクタ部材11は、可撓性のメッシュ素材を用いて形成されているので、開口部4が閉じている場合には、第一支持部材12および第二支持部材13とともに車体3の開口部4に格納できる。
しかも、図4(A)に示すように、デフレクタ部材11についての、風圧により後へ撓んで湾曲する部分には、メッシュ素材より通気性が低い低通気部15が形成される。よって、デフレクタ部材11は、開口部4から外へ突出した状態において上縁部が第一支持部材12に取り付けられているだけであるにもかかわらず、風圧により後へ撓んで湾曲したとしても、デフレクタ部材11に当たる風が湾曲部分から集中的に吹き出すようにならない。
これに対して、図3(A)に示すように、デフレクタ部材11についての、風圧により後へ撓んで湾曲する部分がその他の部分と同様のメッシュ素材である場合には、風圧により後へ撓んで湾曲した状態において、その湾曲部分から後へ、デフレクタ部材11に当たった風が集中的に吹き出してしまう。その結果、開いた開口部4の後縁や、その開口部4を開くために後退したサンルーフ部材5の前縁などに対して、集中的に吹き出した強い風が当たり、風切音が発生してしまうことがある。本発明では、このような風切音の発生を効果的に抑制できる。
本実施形態では、図4(B)に示すように、低通気部15は、自動車1の走行中に、閉じていたデフレクタ部材11を開く最中において、風圧により後へ撓んで湾曲して形成される最後端部分において、開口部4の前縁に沿って延在するように形成される。よって、デフレクタ部材11を開く最中において、風圧により後へ撓んで湾曲して形成される最後端部分から、集中した風が吹き出し難くなる。デフレクタ部材11を開く最中での風切音の発生を効果的に抑制できる。
本実施形態では、低通気部15は、デフレクタ部材11についての内外方向(上下方向)の中央部分において、開口部4の前縁に沿って延在するように形成される。よって、風圧により後へ撓んだ際に湾曲し易い、デフレクタ部材11についての内外方向(上下方向)の中央部分から、集中した風が吹き出し難くなる。デフレクタ部材11を開く際だけでなく、通常の走行中においても風切音の発生を効果的に抑制できる。
本実施形態では、低通気部15は、デフレクタ部材11に用いるメッシュ素材より高密度のメッシュ状態に形成される。
これに対し、低通気部15は、デフレクタ部材11に用いるメッシュ素材に樹脂材料を塗布して固めて形成することもできる。この場合、低通気部15での通気が無くなるので、低通気部15に当たった風は上下へ逃げて流れるようになる。この場合、風切音が発生する可能性がある。本実施形態では、低通気部15においても通気性を確保しているので、このような風切音の発生を効果的に抑制できる。
本実施形態では、開口部4は、自動車1の車室2の天井部分に形成され、開口部4を閉じるサンルーフ部材5は、天井部分の外上側に後退する。このようにサンルーフ部材5を天井部分の外上側に後退させたとしても、本実施形態の低通気部15が形成されたデフレクタ部材11を併用することにより、天井部分の外側に位置するサンルーフ部材5の前縁に、デフレクタ部材11において集中された強い風が当たることが起き難くなる。風切音を効果的に抑制できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るデフレクタ装置10を説明する。以下の説明では、主に第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態と共通性を有する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図5は、第2実施形態に係るデフレクタ部材11の説明図である。
図5のデフレクタ部材11では、中部に樹脂材料が塗布されている。これにより、デフレクタ部材11の中部は、通気しなくなり、上部および下部と比べて低い通気性能に形成される。
このようにデフレクタ部材11の中部を低通気部15として形成することにより、風圧によりデフレクタ部材11が撓み、デフレクタ部材11の略中部が湾曲による最後端部分となるように湾曲したとしても、その中部から後側へ風が吹き抜けなくなる。その結果、デフレクタ部材11に吹き込んだ風は、そのままデフレクタ部材11の上部および下部から後側へ流れるようになる。風圧により撓んで湾曲した中部から後へ、強い風が吹き出されなくなる。開いた開口部4の後縁や、その開口部4を開くために後退したサンルーフ部材5の前縁などに対して、デフレクタ部材11の中部において集中化された強い風が当たり難くなる。風切音は発生し難くなる。
ただし、第1実施形態のようにデフレクタ部材11の中部においても通気が可能である場合と比べて、本実施形態では、デフレクタ部材11の中部が通気しないように形成されている。よって、中部から後へ吹き出そうとする風をなくすことができるが、それが上部や下部から噴き出すことになる。開口部4から車室2へ流れ込む風量が若干増えてしまう可能性がある。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るデフレクタ装置10を説明する。以下の説明では、主に第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態と共通性を有する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図6は、第3実施形態に係るデフレクタ部材11の説明図である。
図6では、低通気部15は、デフレクタ部材11の中部において、デフレクタ部材11の幅方向の中央部分のみに形成される。低通気部15は、開口部4の前縁に沿って延在するように長尺形状に形成されたデフレクタ部材11において、長尺方向の両端部分以外に形成される。
このようにデフレクタ部材11の中部の中央部分を低通気部15として形成することにより、風圧によりデフレクタ部材11が撓み、デフレクタ部材11の略中部が湾曲による最後端部分となるように湾曲したとしても、その中部から後側へ風が吹き抜け難くなる。その結果、デフレクタ部材11に吹き込んだ風は、風圧により撓んで湾曲した中部から後へ、強い風として吹き出され難くなる。開いた開口部4の後縁や、その開口部4を開くために後退したサンルーフ部材5の前縁などに対して、集中的に吹き出した風が強く当たり、風切音が発生してしまうことが起き難くなる。
しかも、低通気部15は、長尺なデフレクタ部材11において両端部分以外に形成される。
長尺なデフレクタ部材11の両端部には、左右の第一支持部材12、左右の第二支持部材13、左右の付勢部材14、が配置される。
よって、メッシュ構造を基本とするデフレクタ部材11において両端部分を低通気部15として形成した場合、開口部4に収容した状態において低通気部15が第一支持部材12などと干渉してしまう可能性がある。たとえば折りたたんだ低通気部15が第一支持部材12と第二支持部材13との間に挟まり、低通気部15を傷めてしまう可能性がある。
本実施形態では、低通気部15がデフレクタ部材11についての両端部分以外に形成されているので、低通気部15の損傷を抑制できる。閉じた開口部4に、第一支持部材12および第二支持部材13とともに、低通気部15を有する可撓性のデフレクタ部材11を傷めないように収容できる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るデフレクタ装置10を説明する。以下の説明では、主に第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態と共通性を有する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図7は、第4実施形態に係るデフレクタ部材11の説明図である。
図7(A)のデフレクタ部材11では、低通気部15が、中部および下部に形成される。低通気部15は、デフレクタ部材11についての内外方向(上下方向)の中央部分から、デフレクタ部材11の内側部分(下部)にかけて、開口部4の前縁に沿って延在するように全体的に形成される。
このようにデフレクタ部材11の中部から下部までの全体を低通気部15として形成することにより、図7(B)に示すように、風圧によりデフレクタ部材11が撓み、デフレクタ部材11の略中部が湾曲による最後端部分となるように湾曲したとしても、その中部から後側へ風が吹き抜け難くなる。その結果、デフレクタ部材11に吹き込んだ風は、デフレクタ部材11の上部、中部および下部から分けて後側へ流れるようになる。風圧により撓んで湾曲した中部から後へ強い風が吹き出すことが、起き難くなる。
特に、デフレクタ部材11の中部から下部へ向けて吹き込んだ風の一部は、低通気部15として形成された中部および下部を通過し難いため、上へ逃げるように流れる。その結果、デフレクタ部材11の上部または上縁の上から後側へ流れようとする風の量が増える。デフレクタ部材11に吹き込んだ風は、全体的には上へ逃げるようにしてデフレクタ部材11の後側へ流れる。
デフレクタ部材11についての中部に向けて、若干集中した風が吹き込むとしても、この向きを外向き(上向き)に傾けて逃がすことができる。その結果、通常の走行中における風切音の抑制効果を、より一層高めることを期待できる。
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限られることはなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
たとえば上記実施形態では、長尺の長方形形状のデフレクタ部材11は、その上角部分において左右の第一支持部材12に取り付けられる。
このほかにもたとえば、左右の第一支持部材12をロッドで連結し、長尺の長方形形状のデフレクタ部材11の上縁を全体的に、左右の第一支持部材12およびロッドに取り付けるようにしてもよい。この場合でも、メッシュ構造により可撓性を有するように形成されたデフレクタ部材11は、風圧により撓んで湾曲する可能性がある。このような場合に、本発明は好適に適用することができる。
上記実施形態では基本的に内燃機関を走行の動力源として使用する自動車を想定しているが、本発明は、モータによる電気的な動力源を使用または併用する自動車においても適用可能である。特に、バッテリの蓄電電力を利用して走行する電気自動車では、バッテリの蓄電電力を効率よく且つ無駄を抑えて利用することが求められる。本発明は、風切音の抑制だけでなく、開口部4を開いた状態での走行中の空力を改善できるので、開口部4を有する電気自動車においても好適に利用することができる。
1…自動車(車両)、2…車室、3…車体、4…開口部、5…サンルーフ部材、10…デフレクタ装置、11…デフレクタ部材、12…第一支持部材、13…第二支持部材、14…付勢部材、15…低通気部

Claims (5)

  1. 車両の前後方向に沿って開口する開口部の前縁に沿って設けられるデフレクタ装置であって、
    可撓性のメッシュ素材を用いて通気可能に形成され、前記開口部の前縁に沿って延在するように長尺形状に形成されたデフレクタ部材と、
    前記開口部が閉じている場合には前記車両に格納され、前記開口部が開いている場合には前記開口部から外へ突出するように可動する支持部材と、
    を有し、
    前記デフレクタ部材は、
    縁部の上部が前記支持部材に取り付けられて下縁が前記車両の車体に固定されていて、開いた前記開口部から外へ風圧により後へ撓んで突出し、
    前記デフレクタ部材を上部、中部および下部に分けた場合での、前記上部を除く、少なくとも、風圧により後へ撓んで湾曲する部分である前記中部には、前記メッシュ素材より通気性が低い1つの低通気部が形成される、
    車両のデフレクタ装置。
  2. 前記低通気部は、前記車両の走行中に、閉じていた前記デフレクタ部材を開く最中において、風圧により後へ撓んで湾曲して形成される最後端部分において、前記開口部の前縁に沿って延在するように形成される、
    請求項1記載の車両のデフレクタ装置。
  3. 前記低通気部は、前記開口部の前縁に沿って延在するように長尺形状に形成された前記デフレクタ部材において、前記長尺方向の両端部分以外に形成される、
    請求項1または2記載の車両のデフレクタ装置。
  4. 前記低通気部は、前記デフレクタ部材に用いる前記メッシュ素材より高密度のメッシュ状態に形成される、
    請求項1から3のいずれか一項記載の車両のデフレクタ装置。
  5. 前記開口部は、前記車両の天井部分に形成され、
    前記開口部を閉じるサンルーフ部材は、前記天井部分の外側に後退する、
    請求項1から4のいずれか一項記載の車両のデフレクタ装置。
JP2017255019A 2017-12-28 2017-12-28 車両のデフレクタ装置 Active JP7061460B2 (ja)

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