JP7058115B2 - アルミニウム合金線の製造方法、これを用いた電線の製造方法及びワイヤハーネスの製造方法 - Google Patents
アルミニウム合金線の製造方法、これを用いた電線の製造方法及びワイヤハーネスの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7058115B2 JP7058115B2 JP2017238172A JP2017238172A JP7058115B2 JP 7058115 B2 JP7058115 B2 JP 7058115B2 JP 2017238172 A JP2017238172 A JP 2017238172A JP 2017238172 A JP2017238172 A JP 2017238172A JP 7058115 B2 JP7058115 B2 JP 7058115B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wire
- aluminum alloy
- treatment step
- manufacturing
- solution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Conductive Materials (AREA)
Description
本発明は、アルミニウム、添加元素、及び、添加元素とは異なる元素で構成される不可避的不純物からなるアルミニウム合金であって添加元素が少なくともSi及びMgを含有するアルミニウム合金で構成される荒引線を形成する荒引線形成工程と、荒引線に対し、処理ステップを行うことにより、アルミニウム合金線を得る荒引線処理工程とを含むアルミニウム合金線の製造方法である。上記処理ステップは、少なくとも1回の伸線処理ステップと、少なくとも1回の伸線処理ステップのうち、最後の伸線処理ステップの直後に行われ、アルミニウム及び添加元素の固溶体を形成した後、焼き入れ処理して溶体化材を形成する溶体化処理ステップと、溶体化処理ステップの後に行われ、Mg2Siを析出させる析出処理ステップとを含む。ここで、析出処理ステップは、溶体化処理ステップの完了後、3時間以上経過した後に開始される。
荒引線形成工程は、アルミニウム合金で構成される荒引線を形成する工程である。
荒引線を構成するアルミニウム合金は、少なくともSi及びMgを添加元素として含有していればよいが、アルミニウム合金中のSiの含有率は0.45質量%以上0.65質量%以下であることが好ましい。この場合、Siの含有率が0.45質量%未満である場合と比べて、アルミニウム合金線において、より優れた引張強度とより大きい伸びとを両立でき、Siの含有率が0.65質量%より多い場合と比べて、アルミニウム合金線がより優れた導電性を有する。Siの含有率は好ましくは0.5質量%以上0.6質量%以下である。
荒引線は、例えば上述したアルミニウム合金からなる溶湯に対し、連続鋳造圧延やビレット鋳造後の熱間押出し等を行った後、必要に応じて例えばスウェージング加工や通常の熱処理を行うことにより得ることができる。
荒引線処理工程は、荒引線に対し、処理ステップを行い、アルミニウム合金線を得る工程である。
伸線処理ステップは、荒引線、荒引線を伸線して得られる伸線材、又は伸線材をさらに伸線して得られる伸線材(以下、「荒引線」、「荒引線を伸線して得られる伸線材」、又は「伸線材をさらに伸線して得られる伸線材」をまとめて「線材」と呼ぶ)などの径を低減させるステップである。伸線処理ステップは、熱間伸線であっても冷間伸線であってもよいが、通常は冷間伸線である。
溶体化処理ステップは、処理ステップにおける最後の伸線処理ステップの直後に行われ、アルミニウム及び添加元素の固溶体を形成した後、焼き入れ処理して溶体化材を形成するステップである。ここで、固溶体の形成は、最終線材を高温に加熱して熱処理することにより、アルミニウム中に溶け込んでいない添加元素をアルミニウム中に溶け込ませることで行われる。
析出処理ステップは、溶体化材を構成するアルミニウム合金中に析出物を形成させる熱処理ステップである。ここで、析出物はMg2Siである。
上記処理ステップは、上記溶体化処理ステップ(以下、「第2溶体化処理ステップ」と呼ぶ)の前に、溶体化処理ステップ(以下、「第1溶体化処理ステップ」と呼ぶ)をさらに行ってもよいし、行わなくてもよいが、第1溶体化処理ステップをさらに行うことが好ましい。この場合、より優れた引張強度を有しながら、伸びがより向上したアルミニウム合金線を製造できる。
上記処理ステップの手順の具体的な態様としては、例えば以下のものが挙げられる。
(1)第1溶体化処理ステップ→伸線処理ステップ(最後の伸線処理ステップ)→第2溶体化処理ステップ→析出処理ステップ
(2)伸線処理ステップ→第1溶体化処理ステップ→伸線処理ステップ(最後の伸線処理ステップ)→第2溶体化処理ステップ→析出処理ステップ
(3)伸線処理ステップ→通常熱処理ステップ→伸線処理ステップ→第1溶体化処理ステップ→伸線処理ステップ(最後の伸線処理ステップ)→第2溶体化処理ステップ→析出処理ステップ
本発明の電線の製造方法は、上述したアルミニウム合金線の製造方法によってアルミニウム合金線を準備するアルミニウム合金線準備工程と、アルミニウム合金線を被覆層で被覆して電線を製造する電線製造工程とを含む電線の製造方法である。
アルミニウム合金線準備工程は、上記アルミニウム合金線の製造方法によって、アルミニウム合金線を準備する工程である。
電線製造工程は、上記アルミニウム合金線準備工程で準備したアルミニウム合金線を被覆層で被覆して電線を製造する工程である。
被覆層は、特に限定されるものではないが、例えばポリ塩化ビニル樹脂や、ポリオレフィン樹脂に難燃剤等を添加してなる難燃性樹脂組成物などの絶縁材で構成される。
本発明のワイヤハーネスの製造方法は、上記電線の製造方法によって電線を準備する電線準備工程と、電線を複数本用いてワイヤハーネスを製造するワイヤハーネス製造工程とを含むワイヤハーネスの製造方法である。
ワイヤハーネス製造工程は、電線準備工程で準備した電線を複数本用いてワイヤハーネスを製造する工程である。
Si、Fe、Mg、Cu、Ti及びVを表1及び2に示す含有率(単位:質量%)となるようにアルミニウムとともに溶解し、直径25mmの鋳型に流し込むことで線径25mmのアルミニウム合金を鋳造した。こうして得られたアルミニウム合金について、スウェージングマシン(吉田記念社製)によって線径9.5mmとなるようにスウェージング加工を行った後、270℃、8時間で熱処理することで線径9.5mmの荒引線を得た。こうして得られた荒引線に対し、下記の処理ステップを行うことにより、アルミニウム合金線を得た。
(処理ステップ)
1.線径1.2mmまで伸線(伸線処理ステップ)
2.550℃×3時間→水冷で溶体化処理(第1溶体化処理ステップ)
3.線径0.33mmまで伸線(最後の伸線処理ステップ)
4.550℃×1分→水冷で溶体化処理(第2溶体化処理ステップ)
5.120℃×24時間で析出処理(析出処理ステップ)
(1)引張強度及び伸び
実施例1~27及び比較例1~18で得られたアルミニウム合金線(析出処理後のアルミニウム合金線)について、JIS C3002に準拠した引張試験による引張強度及び伸びを測定した。結果を表1及び2に示す。引張強度及び伸びの合格基準は下記の通りである。ここで、引張強度及び伸びの合格基準は、JASO D603の0.5sqについての規格(引張強度:160MPa以上、伸び8%以上)に基づくものである。但し、引張強度の合格基準については、実施例1~27及び比較例1~18で作製したアルミニウム合金線の断面積が0.35sqであり0.5sqではないため、同じ破断荷重に耐えられるように下記式で算出される値に換算してある。
160MPa×0.5sq/0.35sq≒230MPa
(引張強度の合格基準)
引張強度が230MPa以上であること
(伸びの合格基準)
伸びが8%以上であること
Claims (4)
- アルミニウム、添加元素、及び、前記添加元素とは異なる元素で構成される不可避的不純物からなるアルミニウム合金であって前記添加元素が少なくともSi及びMgを含有するアルミニウム合金で構成される荒引線を形成する荒引線形成工程と、
前記荒引線に対し、処理ステップを行うことにより、アルミニウム合金線を得る荒引線処理工程とを含み、
前記処理ステップが、
少なくとも1回の伸線処理ステップと、
前記少なくとも1回の伸線処理ステップのうち、最後の伸線処理ステップの直後に行われ、前記アルミニウム及び前記添加元素の固溶体を形成した後、焼き入れ処理して溶体化材を形成する溶体化処理ステップと、
前記溶体化処理ステップの後に行われ、Mg2Siを析出させる析出処理ステップとを含み、
前記析出処理ステップを、前記溶体化処理ステップの完了後、3時間以上経過した後に開始し、
前記析出処理ステップが、処理温度を120℃以上140℃以下とし、処理時間を5時間以上24時間以下とし、
前記添加元素は、
Siの含有率が0.45~0.65質量%であり、
Mgの含有率が0.4~0.6質量%であり、
Feの含有率が0.4質量%以下であり、
Cuの含有率が0.3質量%以下であり、
Ti及びVの合計含有率が0.05質量%以下である、
アルミニウム合金線の製造方法。 - 前記析出処理ステップを、前記溶体化処理ステップの完了後、5時間以上経過した後に開始する、請求項1に記載のアルミニウム合金線の製造方法。
- 請求項1又は2に記載のアルミニウム合金線の製造方法によってアルミニウム合金線を準備するアルミニウム合金線準備工程と、
前記アルミニウム合金線を被覆層で被覆して電線を製造する電線製造工程とを含む、電線の製造方法。 - 請求項3に記載の電線の製造方法によって電線を準備する電線準備工程と、
前記電線を複数本用いてワイヤハーネスを製造するワイヤハーネス製造工程とを含む、ワイヤハーネスの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017238172A JP7058115B2 (ja) | 2017-12-12 | 2017-12-12 | アルミニウム合金線の製造方法、これを用いた電線の製造方法及びワイヤハーネスの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017238172A JP7058115B2 (ja) | 2017-12-12 | 2017-12-12 | アルミニウム合金線の製造方法、これを用いた電線の製造方法及びワイヤハーネスの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019104969A JP2019104969A (ja) | 2019-06-27 |
JP7058115B2 true JP7058115B2 (ja) | 2022-04-21 |
Family
ID=67061172
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017238172A Active JP7058115B2 (ja) | 2017-12-12 | 2017-12-12 | アルミニウム合金線の製造方法、これを用いた電線の製造方法及びワイヤハーネスの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7058115B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020186449A (ja) * | 2019-05-16 | 2020-11-19 | 株式会社フジクラ | アルミニウム合金導電線の製造方法、これを用いた電線の製造方法及びワイヤハーネスの製造方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015166480A (ja) | 2014-03-03 | 2015-09-24 | 住友電気工業株式会社 | アルミニウム合金、アルミニウム合金線材、アルミニウム合金線材の製造方法、アルミニウム合金部材の製造方法、及びアルミニウム合金部材 |
JP2017179545A (ja) | 2016-03-31 | 2017-10-05 | 古河電気工業株式会社 | アルミニウム合金線材、アルミニウム合金撚線、被覆電線およびワイヤーハーネス |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5917522B2 (ja) * | 1975-08-12 | 1984-04-21 | 住友電気工業株式会社 | 自己融着巻線コイル |
JPS54117310A (en) * | 1978-03-03 | 1979-09-12 | Kobe Steel Ltd | Heat treating method for al-si-mg alloy for casting |
-
2017
- 2017-12-12 JP JP2017238172A patent/JP7058115B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015166480A (ja) | 2014-03-03 | 2015-09-24 | 住友電気工業株式会社 | アルミニウム合金、アルミニウム合金線材、アルミニウム合金線材の製造方法、アルミニウム合金部材の製造方法、及びアルミニウム合金部材 |
JP2017179545A (ja) | 2016-03-31 | 2017-10-05 | 古河電気工業株式会社 | アルミニウム合金線材、アルミニウム合金撚線、被覆電線およびワイヤーハーネス |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019104969A (ja) | 2019-06-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20200035377A1 (en) | Copper alloy wire, copper alloy stranded wire, electric wire, terminal-fitted electric wire, and method of manufacturing copper alloy wire | |
JP5354815B2 (ja) | 電線又はケーブル | |
JP6534809B2 (ja) | アルミニウム合金線材、アルミニウム合金撚線、被覆電線、ワイヤーハーネス、並びにアルミニウム合金線材およびアルミニウム合金撚線の製造方法 | |
JP6240424B2 (ja) | Al合金導電線の製造方法 | |
US20200318226A1 (en) | Aluminum alloy wire | |
JP6686293B2 (ja) | 銅合金線、銅合金撚線、被覆電線およびワイヤーハーネス | |
JP5486870B2 (ja) | アルミニウム合金電線の製造方法 | |
JP7058115B2 (ja) | アルミニウム合金線の製造方法、これを用いた電線の製造方法及びワイヤハーネスの製造方法 | |
JP6277299B1 (ja) | アルミニウム合金線、これを用いた電線及びワイヤハーネス | |
KR102409809B1 (ko) | 알루미늄 합금선의 제조 방법, 이것을 사용한 전선의 제조 방법 및 와이어 하니스의 제조 방법 | |
WO2011071097A1 (ja) | 送電体及びその製造方法 | |
JP7039272B2 (ja) | アルミニウム合金線の製造方法、これを用いた電線の製造方法及びワイヤハーネスの製造方法 | |
JP6643886B2 (ja) | アルミニウム合金導電線、これを用いた電線、ワイヤハーネス及びアルミニウム合金導電線の製造方法 | |
JP6635732B2 (ja) | アルミニウム合金導電線の製造方法、アルミニウム合金導電線、これを用いた電線及びワイヤハーネス | |
JP2019104968A (ja) | アルミニウム合金線の製造方法、これを用いた電線の製造方法及びワイヤハーネスの製造方法 | |
JP6023901B2 (ja) | 電線又はケーブル、ワイヤーハーネス及びアルミニウム合金素線の製造方法 | |
JP2020050901A (ja) | アルミニウム合金電線の製造方法、アルミニウム合金電線及びワイヤーハーネス | |
KR102088587B1 (ko) | 알루미늄 합금 도전선, 이것을 사용한 전선 및 와이어 하네스 | |
JP6853872B2 (ja) | アルミニウム合金導電線の製造方法、アルミニウム合金導電線、これを用いた電線及びワイヤハーネス | |
JP2020186450A (ja) | アルミニウム合金撚線の製造方法、これを用いた電線の製造方法及びワイヤハーネスの製造方法 | |
JP6629016B2 (ja) | アルミニウム合金導電線、これを用いた電線、ワイヤハーネス及びアルミニウム合金導電線の製造方法 | |
JP2020186449A (ja) | アルミニウム合金導電線の製造方法、これを用いた電線の製造方法及びワイヤハーネスの製造方法 | |
JP2021025084A (ja) | アルミニウム合金線の製造方法、これを用いた電線の製造方法及びワイヤハーネスの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200615 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20200731 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210215 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210413 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210513 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20211019 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20211218 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220405 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220411 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7058115 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |