JP7046901B2 - 偏光子、および、その製造方法 - Google Patents
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Description
1つの実施形態においては、上記切断加工部から上記染色部までの距離は0.1mm以上である。
1つの実施形態においては、上記切断加工部はレーザー切断部である。
1つの実施形態においては、上記脱色部のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属含有量は3.6重量%以下である。
1つの実施形態においては、上記脱色部のホウ酸含有量は8重量%以下である。
1つの実施形態においては、上記脱色部と上記偏光子の端部との最短距離が15mm以下である。
1つの実施形態においては、上記染色部における二色性物質の含有量と上記脱色部における二色性物質の含有量との差は0.5重量%以上である。
本発明の別の局面においては、偏光子の製造方法が提供される。本発明の製造方法は、樹脂フィルムに偏光機能を付与することと、該偏光機能を付与された樹脂フィルムを脱色することと、該脱色された部分の一部を切断加工することとを含む。
1つの実施形態においては、上記切断加工はレーザーにより行われる。
1つの実施形態においては、上記脱色は塩基性溶液を接触させることにより行われる。
本発明の偏光子は、染色部と、切断加工部と、該染色部と該切断加工部との間に形成された脱色部とを有する。偏光子は、代表的には、樹脂フィルムを二色性物質で染色することにより、偏光機能が付与されている。すなわち、偏光子において、その機能を発揮する部分は二色性物質で染色された染色部である。偏光子は用途に応じて、異形加工および開口部の形成等の切断加工を施され得る。切断加工を施す場合、切断加工部からクラックが発生し、偏光子の品質が低下し得る。さらに、クラックから侵入した水分により、染色部が色抜けし、偏光子の有する偏光機能が損なわれ得る。本発明の偏光子では、染色部と切断加工部との間に脱色部が形成されている。これにより、偏光子の切断加工部からのクラックの発生が防止され得る。また、クラックが発生した場合であっても、染色部へのクラックの侵入を防止し、偏光機能を良好に維持することができる。
本発明の偏光子は任意の適切な方法により製造することができる。1つの実施形態においては、本発明の偏光子の製造方法は、樹脂フィルムに偏光機能を付与すること(染色部を形成すること)と、偏光機能が付与された樹脂フィルムを脱色することと、該脱色された部分の一部を切断加工することとを含む。
任意の適切な方法により、樹脂フィルムに偏光機能を付与することができる。代表的には、樹脂フィルムに膨潤処理、延伸処理、ヨウ素等の二色性物質による染色処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等の各種処理を施すことにより偏光機能を付与することができる。なお、樹脂フィルムに偏光機能を付与する処理を施す際、樹脂フィルムは、基材上に形成された樹脂層であってもよい。基材と樹脂層との積層体は、例えば、上記樹脂フィルムの形成材料を含む塗布液を基材に塗布する方法、基材に樹脂フィルムを積層する方法等により得ることができる。
次いで、偏光機能が付与された樹脂フィルムは脱色される。脱色は任意の適切な方法により行うことができる。例えば、レーザーによる脱色処理、または、塩基性化合物を含む塩基性溶液との接触による脱色処理等が挙げられる。好ましくは、塩基性溶液との接触である。塩基性溶液との接触により脱色することにより、塩基性溶液と接触させた部分のホウ酸含有量も低減させることができ、切断加工時における樹脂フィルム(脱色された部分)の強度が向上し得る。また、経時的に脱色された部分の透明性を維持することができる。
次いで、樹脂フィルムの脱色処理された部分(以下、中間脱色部ともいう)の一部を切断加工する。より詳細には、切断加工は樹脂フィルムの中間脱色部を所望の脱色部が残るよう切断することにより行う。脱色部が残るよう切断加工を行うことにより、クラックが発生した場合であっても染色部にクラックが侵入し、1つの実施形態においては、脱色は塩基性溶液との接触により行われる。塩基性溶液との接触による脱色処理を施すことにより樹脂フィルム(偏光子)に含まれるホウ酸含有量が低減され得る。樹脂フィルムのホウ酸含有量が低減されることにより、切断加工に対する樹脂フィルムの応力がより抑制され得る。ホウ酸含有量が低減された部分(中間脱色部)を切断することにより、切断加工部からのクラックの発生が防止され得る。さらに、品質の優れた(例えば、クラックの発生が抑制された)偏光子の生産性も向上し得る。好ましくは、切断加工部の全体が脱色部内に収まるよう切断加工を行う。
上記の通り、樹脂フィルムの脱色は塩基性溶液の接触により行うことが好ましい。塩基性溶液を接触させて脱色を行う場合、接触部にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の水酸化物が残存し得る。また、樹脂フィルムに塩基性溶液を接触させることにより、接触部にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の金属塩が生成し得る。これらは水酸化物イオンを生成し得、生成した水酸化物イオンは、接触部周囲に存在する二色性物質(例えば、ヨウ素錯体)に作用(分解・還元)して、脱色領域を広げ得る。したがって、上記塩基性溶液との接触後、塩基性溶液を接触させた接触部において、樹脂フィルムに含まれるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を低減させることが好ましい。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を低減させることにより、寸法安定性に優れた脱色部を得ることができる。
本発明の偏光子の製造方法は、樹脂フィルムに偏光機能を付与すること、偏光機能が付与された樹脂フィルムを脱色すること、脱色された部分を切断加工すること、および、任意のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の含有量を低減すること以外に、任意の適切な他の処理工程をさらに含んでいてもよい。他の処理工程としては、塩基性溶液および/または酸性溶液の除去、ならびに、洗浄等が挙げられる。
本発明の偏光板は、上記偏光子を有する。本発明の偏光板は、代表的には、少なくともその片側に保護フィルムを積層させて使用される。保護フィルムの形成材料としては、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重体樹脂等が挙げられる。
本発明の画像表示装置は、上記偏光板を備える。画像表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機ELデバイスが挙げられる。具体的には、液晶表示装置は、液晶セルと、この液晶セルの片側もしくは両側に配置された上記偏光子とを含む液晶パネルを備える。有機ELデバイスは、視認側に上記偏光子が配置された有機ELパネルを備える。上記の通り、本発明の偏光子は、切断加工された部分を有する場合であっても、クラックの発生が防止され、その結果、偏光子が色抜けし、偏光特性が損なわれることを防止し得る。切断加工部が形成されていても優れた品質を有するため、異形加工および開口部の形成等のより複雑な形状に加工した場合であっても、所望の偏光特性が維持され得る。
基材として、長尺状で、吸水率0.75%、Tg75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)を用いた。基材の片面に、コロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、アセトアセチル変性度4.6%、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を9:1の比で含む水溶液を25℃で塗布および乾燥して、厚み11μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.0倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸)。
次いで、積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴に、偏光板が所定の透過率となるようにヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら浸漬させた。本実施例では、水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.5重量部配合して得られたヨウ素水溶液に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸)。
その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
続いて、積層体のPVA系樹脂層表面に、PVA系樹脂水溶液(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー(登録商標)Z-200」、樹脂濃度:3重量%)を塗布して保護フィルム(厚み25μm)を貼り合わせ、これを60℃に維持したオーブンで5分間加熱した。その後、基材をPVA系樹脂層から剥離し、偏光板(偏光子(透過率42.3%、厚み5μm)/保護フィルム)を得た。
切断後に残る脱色部の幅が0.5mmとなるよう切断加工した以外は実施例1と同様にして、幅0.5mmの脱色部を有する偏光子を得た。
切り出した試験片の長辺から1mmの部分に透明部(直径2.8mm)を形成した以外は実施例1と同様にして、幅1mmの脱色部を有する偏光子を得た。
直径20mmの円となるよう塩基性溶液を塗布した以外は実施例1と同様にして透明部(中間脱色部)が形成された偏光子を得た。
この偏光子の透明部の中央から切断後に残る脱色部の幅が1mmとなるよう、実施例1と同様にして18mmの円を切断し、幅1mmの脱色部を有する偏光子を得た。
切り出した試験片の長辺から1mmの部分に透明部を形成した以外は実施例4と同様にして、幅1mmの脱色部を有する偏光子を得た。
実施例1で得られた試験片の偏光子の中央部にレーザー(固体(YAG)レーザー、照射条件:速度100mm/sec、周波数3120kHz、パルスエネルギー:40μJ)を用いて、直径2.8mmの透明部を形成した。
この透明部(中間脱色部)の中央から切断後に残る脱色部の幅が1mmとなるよう、0.8mmの円をレーザー(CO2レーザー、照射条件:速度650mm/sec、周波数30kHz、出力40W)で切断し、幅1mmの脱色部を有する偏光子を得た。
切断後に残る脱色部の幅が0.5mmとなるよう切断加工した以外は実施例6と同様にして、幅0.5mmの脱色部を有する偏光子を得た。
試験片に透明部(中間脱色部)を形成しなかったこと、および、直径2.8mmの開口部をレーザーで形成したこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を得た。
試験片に透明部(中間脱色部)を形成しなかったこと、および、直径2.8mmの開口部をレーザーで形成したこと以外は実施例3と同様にして、偏光子を得た。
試験片に透明部(中間脱色部)を形成しなかったこと、および、直径20mmの開口部をレーザーで形成したこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を得た。
(ヒートサイクル試験(H/Sテスト)後のクラック最大長)
得られた偏光子に厚み1mmのガラスを厚み23μmの粘着剤層を介して貼り合わせ、積層体を得た。得られた積層体を-40℃の雰囲気下に30分放置した後、85℃の雰囲気下に30分放置した。この操作を1サイクルとした。20サイクル、50サイクル、100サイクル、200サイクルの段階で積層体を取り出し、クラックの有無を光学顕微鏡で観察し、クラックが発生している場合にはその最大長を測定した。200サイクル後のクラック最大長が1mm以下であれば耐クラック性に優れる。
(光抜け)
上記ヒートサイクル試験を200サイクル行った積層体の染色部の色抜けの有無を光学顕微鏡で確認した。
(クラック数)
上記ヒートサイクル試験を300サイクル行った積層体のクラックの有無を光学顕微鏡で確認した。3つの積層体について評価を行い、平均値をクラック数とした。
(染色部と脱色部とのヨウ素含有量の差)
各実施例および比較例の偏光子の脱色部および染色部のヨウ素含有量を蛍光X線分析で下記条件により測定したX線強度から、あらかじめ標準試料を用いて作成した検量線によりヨウ素含有量を求めた。得られたヨウ素含有量の値から脱色部と染色部とのヨウ素含有量の差を算出した。
二色性物質低濃度部を
・分析装置:理学電機工業製 蛍光X線分析装置(XRF) 製品名「ZSX100e」
・対陰極:ロジウム
・分光結晶:フッ化リチウム
・励起光エネルギー:40kV-90mA
・ヨウ素測定線:I-LA
・定量法:FP法
・2θ角ピーク:103.078deg(ヨウ素)
・測定時間:40秒
11 切断加工部
12 染色部
13 脱色部
14 中間脱色部
20 樹脂フィルム
Claims (7)
- 染色部と、該染色部内に形成された開口部と、該染色部と該開口部との間に形成された脱色部と、を有し、
該脱色部のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属含有量が3.6重量%以下であり、ホウ酸含有量が8重量%以下である、
偏光子。 - 前記脱色部の幅が0.1mm以上である、請求項1に記載の偏光子。
- 前記開口部がレーザー切断部である、請求項1または2に記載の偏光子。
- 前記脱色部と前記偏光子の端部との最短距離が15mm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の偏光子。
- 前記染色部における二色性物質の含有量と前記脱色部における二色性物質の含有量との差が0.5重量%以上である、請求項1から4のいずれかに記載の偏光子。
- 樹脂フィルムに偏光機能を付与することと、
該偏光機能を付与された樹脂フィルムを脱色することと、
該脱色された部分の一部に開口部を形成することと、を含み、
該脱色が、該樹脂フィルムに塩基性溶液を接触させることにより行われ、
該開口部を形成する前に、該脱色された部分を塩酸、硫酸または硝酸で処理してアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を低減することをさらに含む、
偏光子の製造方法。 - 前記開口部の形成がレーザーにより行われる、請求項6に記載の偏光子の製造方法。
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