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JP6939821B2 - 抵抗スポット溶接部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼板を重ね合わせて抵抗スポット溶接を行ない、その抵抗スポット溶接によって得た部材(以下、抵抗スポット溶接部材という)の接合された部位(以下、溶接部という)に加熱処理を施すことによって、溶接部を含む抵抗スポット溶接部材全体の特性を改善することが可能な抵抗スポット溶接部材の製造方法に関するものである。
自動車などの車体の組み立てには抵抗スポット溶接が広く使用されており、1台の車体で数千点に及ぶ抵抗スポット溶接が行なわれる。抵抗スポット溶接は、2枚以上の鋼板を重ね合わせて、1対の溶接電極で挟持しながら通電することによって、所定の大きさのナゲットを形成するとともに鋼板を接合して、所望の抵抗スポット溶接部材(たとえば車体等)を製造するものである。
近年、環境保護の観点から自動車のCO2排出量の低減が要求されており、車体に高強度鋼板を採用して薄肉化することによって、車体の軽量化、すなわち燃費の向上を図っている。しかし、高強度鋼板は一般的に多量のCのみならず種々の合金元素を添加して強度を高めたものであり、水素脆化感受性が大きくなる。また、抵抗スポット溶接では、鋼板表面の防錆油、水分、めっき層等が溶接時の溶融凝固過程で溶接金属内に巻き込まれ、冷却後に水素源として残存する。こうして冷却後に溶接部に残存した水素は溶接部の強度低下を引き起こす要因となり、残存水素のない状態と比較して低荷重で溶接部の破断が発生する場合がある。
このように、高強度鋼板を抵抗スポット溶接すると、得られる抵抗スポット溶接部材の溶接部では、溶接時に水素脆化感受性の高い水素が溶接金属に侵入することによって、溶接部の強度(以下、溶接部強度という)の低下が問題となっている。したがって高強度鋼板の抵抗スポット溶接では、溶接部強度を高める一方で、水素脆化による溶接部強度の低下を防止するために、冷却後の溶接部に残存する水素を排出することが重要となる。
このような溶接部の水素脆化を防止する技術として、特許文献1、2には、溶接時の通電パターン、加圧パターンを変化させることで、溶接部の組織や硬さを制御し、水素脆化によって発生する遅れ破壊を防止する技術が開示されている。しかしこれらの技術は、溶接部近傍の組織を制御することによって遅れ破壊を防止する技術であり、溶接部の水素量を低減するものではない。また特許文献1には、抵抗スポット溶接した後の熱処理によって炭化物を析出させ、ナゲットの靭性を改善する技術も開示されているものの、その技術では、溶接部の組織のみならず鋼板の組織においても同様に炭化物が析出するため、鋼板が軟化し、溶接によって作製された抵抗スポット溶接部材の強度特性が劣化する場合がある。
特開2015-93282号公報 再公表WO2014/171495号公報
本発明は、従来の技術の問題点を解消し、抵抗スポット溶接の後に、抵抗スポット溶接部材の溶接部に加熱処理を施すことによって、鋼板と溶接部の組織を変化させることなく、抵抗スポット溶接部材の溶接部強度を向上し、かつ抵抗スポット溶接部材の構造物としての強度低下を防止することが可能な抵抗スポット溶接部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、引張強さの大きい高強度鋼板を抵抗スポット溶接して得られる抵抗スポット溶接部材の溶接部強度の低下を抑制するために、溶接時に溶接金属に侵入し、冷却後も溶接部に残存する水素の挙動について調査した。そして、以下のような知見を得た。
まず、溶接時に水素が溶接金属に侵入し、その水素が十分に排出されずに冷却された場合は、凝固した溶接金属に水素が残存する。溶接部に水素が残存した状態で荷重が加わると、溶接部の水素脆化の影響を受けて、水素が存在しない溶接部と比較して低い荷重で破断する惧れがあることが判明した。したがって、溶接部の水素量を低減することが、溶接部強度の向上に有効である。
そこで本発明者は、溶接部のナゲットに残存する水素量を低減するための好適な抵抗スポット溶接の条件について鋭意検討した。その結果を以下に説明する。
まず、鋼板を重ねて抵抗スポット溶接が終了した後に、抵抗スポット溶接部材の溶接部を加熱し、水素が拡散し易い高温状態を保持することで、ナゲットからの水素の拡散が促進され、溶接部に残存する水素量を低減できることが分かった。
しかし、加熱温度が高すぎる場合は、加熱の影響によって溶接部の組織のみならず鋼板の組織が変化し、加熱を行なわない場合と比較して抵抗スポット溶接部材の溶接部強度の低下、もしくは構造物としての抵抗スポット溶接部材の強度特性の劣化を引き起こす。したがって、加熱処理によって溶接部および鋼板の組織に影響を及ぼすことなく、水素の拡散を促進するためには、加熱温度Tおよび保持時間Htを制御する必要がある。つまり、加熱温度Tと保持時間Htを適切な範囲に保つことによって、抵抗スポット溶接部材の構造物としての強度低下を防止し、かつ抵抗スポット溶接部材の溶接部強度を向上することができる。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、引張強さが980MPa以上である鋼板を少なくとも1枚含む2枚以上の鋼板を重ね合わせて抵抗スポット溶接を行ない鋼板を接合した溶接部材を得る抵抗スポット溶接部材の製造方法において、重ね合わせた2枚以上の鋼板を1対の溶接電極で挟持しながら通電してナゲット径がND(mm)であるナゲットによって接合された溶接部を形成し、かつ溶接部の厚みP(mm)が鋼板の総板厚Q(mm)の70%以上となるように抵抗スポット溶接を行なった後、引き続き1時間以内に溶接部の温度を100℃未満に冷却し、次いで下記(1)式を満たす加熱温度T(℃)で下記(2)式を満たす保持時間Ht(hr)に亘って溶接部に加熱処理を施す抵抗スポット溶接部材の製造方法である。
20≦T≦200 ・・・(1)
Ht≧8500/(T1.5×ND) ・・・(2)
本発明の抵抗スポット溶接部材の製造方法においては、加熱処理を施す前の鋼板の溶接部を除く母材部のビッカース硬さをV1とし、加熱処理を施した後の鋼板の母材部のビッカース硬さをV2として、溶接部材を形成する2枚以上の鋼板の夫々のV1とV2が下記(4)式を満たすように加熱温度Tと保持時間Htを調整して加熱処理を行なうことが好ましい。
0.9×V1≦V2 ・・・(4)
本発明によれば、鋼板と溶接部の組織を変化させることなく、抵抗スポット溶接部材の溶接部強度を向上し、かつ抵抗スポット溶接部材の構造物としての強度低下を防止した抵抗スポット溶接部材を製造することが可能となり、産業上格段の効果を奏する。
抵抗スポット溶接の例を模式的に示す断面図である。
図1は、抵抗スポット溶接の例を模式的に示す断面図である。図1に示す例では、下側に配置される鋼板1(以下、下鋼板という)と上側に配置される鋼板2(以下、上鋼板という)とを重ね合わせて、下側に配置される溶接電極4(以下、下電極という)と上側に配置される溶接電極5(以下、上電極という)で挟持する。
本発明において抵抗スポット溶接を行なう鋼板の鋼種は特に限定されないが、少なくとも1枚の鋼板は、引張強さが980MPa以上の高強度鋼板とする。また、下記(3)式で算出される炭素当量Ceq(%)が0.17%以上の高強度鋼板であることが好ましい。たとえば図1に示す抵抗スポット溶接では、下鋼板1および/または上鋼板2が、そのような高強度鋼板であることが好ましい。その理由は、炭素当量Ceqと引張強さが上記の範囲を満たす鋼板の抵抗スポット溶接を従来の技術で行なうと、溶接部の水素脆化の問題が顕在化しやすいのに対して、本発明を適用することによって、溶接部強度の向上と抵抗スポット溶接部の強度低下の防止とを両立させることが可能になるからである。
Ceq=C+(Si/30)+(Mn/20)+2P+4S ・・・(3)
((3)式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を示す。)
本発明において抵抗スポット溶接を行なう鋼板の板厚t(mm)は特に限定されないが、たとえば0.5〜3.0mmの範囲内であることが好ましい。板厚tがこの範囲内である鋼板は、自動車の車体等の部材として好適に使用することができる。
本発明において抵抗スポット溶接を行なう鋼板は、めっき処理された鋼板、すなわち表面にめっき層を有する鋼板であっても良い。めっきとしては、たとえばZn系めっきやAl系めっきが挙げられる。Zn系めっきとしては、溶融亜鉛めっき(GI)、Zn−Ni系めっき、Zn−Al系めっき等が挙げられる。また、Al系めっきとしては、Al−Si系めっき(たとえばSiを10〜20質量%含有するAl−Siめっき)等が例示できる。溶融めっき層は、合金化された合金化溶融めっき層であっても良い。合金化溶融めっき層としては、たとえば合金化溶融亜鉛めっき(GA)層が挙げられる。
次いで、重ね合わせた鋼板(下鋼板1と上鋼板2)を1対の溶接電極(下電極4と上電極5)で挟持して、加圧しながら通電する。
下電極4と上電極5によって加圧し、かつその加圧力を制御する構成は特に限定されず、エアシリンダやサーボモータ等の従来から知られている機器が使用できる。通電の際に電流を供給し、かつ電流値を制御する構成も特に限定されず、従来から知られている機器が使用できる。また、直流、交流のいずれにも本発明を適用できる。なお、交流を採用する場合は、「電流」は「実効電流」を意味する。下電極4と上電極5の先端の形式も特に限定されず、たとえばJIS C 9304:1999に記載されるDR形(ドームラジアス形)、R形(ラジアス形)、D形(ドーム形)等が挙げられる。電極の先端径は、たとえば4〜16mmの範囲内が好ましい。
このように重ね合わせた鋼板を1対の溶接電極で挟持した状態で加圧しながら通電して、抵抗発熱によってナゲット3を形成するとともに、重ね合わせた鋼板を接合することで、抵抗スポット溶接部材を製造する。この時、溶接電極で加圧し、さらに通電してナゲット3を形成することによって、溶接部に窪みが生じる。なお、抵抗スポット溶接における通電、加圧パターンは特に限定されず、従来から用いられている溶接条件を採用することができる。また、電流値、加圧力を溶接施工中に変化させる多段通電、多段加圧方式の抵抗スポット溶接であっても良い。
抵抗スポット溶接においては、窪みが生じた溶接部の中央の厚さ(以下、厚みP(mm)という)が、重ね合わせた鋼板の板厚の合計(以下、総板厚Q(mm)という)の70%以上、すなわちP/Q≧0.7となるように溶接条件を設定する。厚みPが総板厚Qの70%未満では、抵抗スポット溶接部材の溶接部に過大な応力が付与されるので、溶接部のナゲットに残存する水素量に関わらず溶接部強度が著しく低下する。しかも、後述する加熱処理によって水素を溶接部から排出しても、溶接部強度の改善は期待できない。
引き続き1時間以内に溶接部の温度が100℃未満になるように冷却する。こうすることによって、溶接熱サイクルで時間とともに変化する溶接部の組織を安定させることができる。抵抗スポット溶接の終了後、溶接部を冷却せずに加熱処理を行なうと、溶接熱サイクルの影響で溶接部の組織が変化した状態で溶接部を加熱することになるので、溶接部強度を向上する効果が得られない。
次に、溶接部のナゲットに残存する水素を排出するために、下記(1)式を満たす加熱温度T(℃)で、下記(2)式を満たす保持時間Ht(hr)に亘って加熱処理を行なう。
20≦T≦200 ・・・(1)
Ht≧8500/(T1.5×ND) ・・・(2)
加熱処理における加熱温度Tは、水素の拡散速度に影響を及ぼす因子であり、高温であるほど水素の排出が促進される。加熱温度Tが20℃未満の場合は、水素の拡散速度が小さく、水素を効率よく排出する効果が得られない。一方、200℃を超える場合は、溶接部および鋼板の組織に影響を及ぼす温度域となるので、抵抗スポット溶接部材の構造物としての強度が低下し、本発明の効果が得られない。したがって、加熱温度Tは(1)式の範囲とする。
なお、溶接部および鋼板の組織を変化させずに水素を排出する効果を、一層顕著に発揮させるためには、加熱処理における加熱温度Tを20≦T<150の範囲に設定することが好ましい。より好ましくは20≦T<120の範囲である。
加熱処理における保持時間Htは、長時間であるほど多くの水素を溶接部のナゲットから排出できる。そして、水素脆化による溶接部強度の低下を防止するために必要な保持時間Htは、ナゲットの直径(以下、ナゲット径という)ND(mm)と加熱温度Tに依存する。つまり、加熱温度Tが高いほど、水素の拡散速度が大きいので、短時間でナゲットから水素を排出することが可能となり、その結果、保持時間Htを短縮できる。
加熱処理を行なう前に抵抗スポット溶接で形成されるナゲットは、ナゲット径NDが大きいほど溶接部強度が安定し、水素脆化の影響を受け難くなる。すなわち、ナゲット径NDが大きい場合は、ナゲット径NDが小さい場合と比べて少量の水素を排出すれば溶接部強度を向上することが可能となり、その結果、保持時間Htを短縮できる。したがって、保持時間Htは(2)式の範囲とする。保持時間Htが(2)式の範囲を外れる場合(すなわちHt<8500/(T1.5×ND)の場合)は、溶接部強度が低下して、本発明の効果が得られない。
加熱処理を施す前の鋼板の溶接部を除く母材部のビッカース硬さをV1とし、加熱処理を施した後の鋼板の母材部のビッカース硬さをV2とすると、加熱処理に起因するビッカース硬さの低下ΔVはV1−V2となり、低下率(%)は100×ΔV/V1で算出される。
鋼板のビッカース硬さV1、V2を規定する母材部は、溶接部材を形成する鋼板のうち、溶接による熱影響で鋼板組織が変化した領域(すなわち溶接部)を除く領域を指す。つまり、母材部は溶接による鋼板組織の変化が発生しない領域であり、具体的には、抵抗スポット溶接の中心から15mm以上離れた領域である。抵抗スポット溶接を2ケ所以上で行なった場合は、いずれの中心点からも15mm以上離れた領域を母材部とする。
加熱処理の前後のビッカース硬さの低下率が10%を超えたものは、溶接部材の接合強度のみならず、鋼板の溶接部および母材部の強度が低下したものである。したがって、加熱処理に起因するビッカース硬さの低下率を10%以下に抑えることが好ましい。ビッカース硬さの低下率10%以下という好適な範囲を計算式で示すとΔV/V1≦0.1であるから、(V1−V2)≦0.1×V1となる。故に、
0.9×V1≦V2 ・・・(4)
を満たすように加熱温度Tと保持時間Htを調整して、加熱処理を行なうことが好ましい。
なお、ここでは図1を参照して、2枚の鋼板を重ね合わせた場合の抵抗スポット溶接について説明したが、本発明は2枚以上の鋼板を重ねた抵抗スポット溶接に適用できる。抵抗スポット溶接に供する2枚以上の鋼板は、成分が同じでも異なっていても良く、同種かつ同形状の鋼板であっても良いし、異種や異形状の鋼板であっても良い。
さらに加熱処理については、溶接部材を形成する2枚以上の鋼板が、夫々の母材部におけるビッカース硬さの低下率を10%以下に抑えることが好ましい。
下鋼板1と上鋼板2を重ね合わせて、下電極4と上電極5で挟持して抵抗スポット溶接(図1参照)を常温で行ない、溶接部強度を調査した。その手順について説明する。
下電極4と上電極5は、いずれも先端の直径6mm、曲率半径40mmとし、クロム銅製のDR形電極を常に水冷して使用した。また、下電極4と上電極5をサーボモータで駆動することによって加圧力を制御し、通電の際には周波数50Hzの単相交流を供給した。
下鋼板1と上鋼板2は、いずれも(3)式で算出されるCeqが0.4%、引張強さが1470MPaであり、寸法は長辺150mm、短辺50mm、板厚1.6mmとし、両面に溶融亜鉛めっき(GI)を施したもの(付着量は片面当たり50g/m2)を使用した。なお、引張強さは各鋼板から圧延方向に対して平行なJIS5号引張試験片を作製し、JIS Z 2241:2011の規定に準拠して引張試験を行なって求めた引張強さである。
このような下鋼板1と上鋼板2を重ね合わせてJIS Z 3137に基づく形状の十字引張試験片を作製した。抵抗スポット溶接は表1に示す溶接条件で行ない、鋼板の板厚M(=1.6mm)に対してナゲット径NDが3M1/2(=3.8mm)、4M1/2(=5.1mm)、5M1/2(=6.3mm)、6M1/2(=7.6mm)となる試験体を作製した。なお表1では、溶接部強度の向上効果として、後述する通り向上率が15%超えの例を〇、15%以下の例を×として示す。
Figure 0006939821
ナゲット径NDを3M1/2、4M1/2、5M1/2、6M1/2とするための電流値は、事前に行なった予備実験の結果から決定した。また、ナゲット径NDが6M1/2である試験体については高電流を供給しており、散りが発生して板厚減少が生じる条件である。
その後、溶接部の厚みPを測定した。厚みPは、溶接点の中央をマイクロメータで測定し、溶接前の鋼板の総板厚Q(=2M)に対する変化量(%)で示す。
次いで、試験体を炉加熱装置に装入して種々の加熱温度、保持時間で加熱処理を行なった。加熱処理が終了した後、試験体に十字引張試験を行なって溶接部強度を調査した。その結果を、加熱処理なしの試験体と比較して15%を超える向上効果が得られたものを〇、得られなかったものを×として示す。なお、加熱処理なしの試験体の溶接部強度は、ナゲット径NDを3M1/2、4M1/2、5M1/2とするように電流を供給して抵抗スポット溶接を行なった後、加熱処理を行なわず、溶接後30分以内に十字引張試験を行なって測定した。
表1から明らかなように、発明例では溶接部強度の向上効果は全て〇と評価されたのに対して、比較例は全て×と評価された。
次に、上記した鋼板(Ceq:0.4%、引張強さ:1470MPa、長辺:150mm、短辺:50mm、板厚:1.6mm、溶融亜鉛めっきの付着量:片面当たり50g/m2)を1枚用いて、加熱処理が鋼板の金属組織に及ぼす影響について調査した。その手順について説明する。
鋼板に、抵抗スポット溶接を行なわず、加熱処理を行なった後、硬さを測定した。硬さの測定は、加熱処理した鋼板の中央から硬さ試験片(20mm×10mm)を切り出し、その硬さ試験片の端面をエメリー研磨紙で研磨した。加熱処理の条件は表2に示す通りである。なお表2では、鋼板の硬さ変化量として、後述する通り低下率が10%以内の例を〇、10%超えの例を×として示す。
Figure 0006939821
研磨が終了した後、硬さ試験片の端面の板厚方向1/4、2/4(=板厚中央)、3/4の位置のビッカース硬さを測定した(荷重1kgf)。そして、得られた3点の測定データの平均値が、加熱処理なしの硬さ試験片と比較して低下率が10%以内に抑えられた例を〇、10%以内に抑えられなかった例を×として示す。なお、加熱処理なしの硬さ試験片の硬さは、硬さ試験片を研磨した後、端面の板厚方向1/4、2/4、3/4の位置のビッカース硬さを測定し、その平均値とした。
表2から明らかなように、発明例では鋼板の硬さ変化量は全て〇と評価されたのに対して、比較例は全て×と評価された。発明例では金属組織に変化が生じないことが明らかとなった。
1 下鋼板
2 上鋼板
3 ナゲット
4 下電極
5 上電極

Claims (1)

  1. 板厚が0.5〜3.0mm、下記(3)式で算出される炭素当量Ceq(%)が0.17%以上、引張強さが980MPa以上である鋼板を少なくとも1枚含む2枚以上の鋼板を重ね合わせて抵抗スポット溶接を行ない前記鋼板を接合した溶接部材を得る抵抗スポット溶接部材の製造方法において、重ね合わせた2枚以上の前記鋼板を1対の溶接電極で挟持しながら通電してナゲット径がND(mm)であるナゲットによって接合された溶接部を形成し、かつ該溶接部の厚みP(mm)が前記鋼板の総板厚Q(mm)の70%以上となるように前記抵抗スポット溶接を行なった後、引き続き1時間以内に前記溶接部の温度を100℃未満に冷却し、次いで下記(1)式を満たす加熱温度T(℃)で下記(2)式を満たす保持時間Ht(hr)に亘って前記溶接部に加熱処理を施すにあたり、
    前記加熱処理を施す前の前記鋼板の母材部のビッカース硬さをV 1 とし、前記加熱処理を施した後の前記鋼板の母材部のビッカース硬さをV 2 として、前記溶接部材を形成する2枚以上の前記鋼板の夫々の前記V 1 と前記V 2 が下記(4)式を満たすように前記加熱温度T(℃)と前記保持時間Ht(hr)を調整して前記加熱処理を行なう
    ことを特徴とする抵抗スポット溶接部材の製造方法。

    20≦T≦200 ・・・(1)
    Ht≧8500/(T1.5×ND) ・・・(2)
    Ceq=C+(Si/30)+(Mn/20)+2P+4S ・・・(3)
    0.9×V 1 ≦V 2 ・・・(4)
    ここで、T:加熱温度(℃)、
    Ht:保持時間(hr)、
    ND:ナゲット径(mm)、
    Ceq:炭素当量(%)、
    C、Si、Mn、P、S:各元素の含有量(質量%)、
    1 :加熱処理を施す前の鋼板の母材部のビッカース硬さ、
    2 :加熱処理を施した後の鋼板の母材部のビッカース硬さ

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