JP6934337B2 - ジオポリマー組成物及びジオポリマー硬化体 - Google Patents
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Description
一方、解体コンクリートのリサイクルに関しては、例えば、解体コンクリートから骨材を分取し、再生骨材として利用することが推進されている。しかし、再生骨材の利用は十分普及しておらず、また、再生骨材を製造する際に発生する解体コンクリート微粉末の利用が課題になっている。
ジオポリマーは、高強度の硬化体となり、かつ、アルカリ性であり、セメントと同様に金属の酸化を抑制し得るため、建設用途への応用が種々検討されている。
しかしながら、ジオポリマー(硬化体)を形成するためのジオポリマー組成物は、材料の組み合わせによっては、アルカリ性が強く、硬化速度が速いため、例えば、型枠に注入する際に硬化が進行し、作業性が著しく低下したり、或いは、ジオポリマー組成物に含まれるアルカリ供与成分のアルカリ性が不足して硬化に時間が掛ったりするなどの問題が生じることがある。
一方、特許文献2に記載のジオポリマー硬化体の製造方法では、加温のためのエネルギーを必要とし、工程に時間と手間が掛るという問題がある。さらに、加温のためにエネルギーを付与することは当初の目的である二酸化炭素排出量の削減の観点からも好ましくない。
本発明の別の実施形態が解決しようとする課題は、作業性よく、容易に製造することができる高強度のジオポリマー硬化体を提供することにある。
<2> 前記コンクリート塊破砕物は、コンクリート塊破砕物由来の再生粗骨材、コンクリート塊破砕物由来の再生細骨材、及びコンクリート塊破砕物から再生粗骨材と再生細骨材とを除いて得られた粉体を含む<1>に記載のジオポリマー組成物。
本発明の別の実施形態によれば、作業性よく、容易に製造することができる高強度のジオポリマー硬化体を提供することができる。
本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示すものとする。
本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、ジオポリマー組成物とは、ケイ酸のアルカリ金属塩を含有し、ジオポリマー硬化体となりうる組成物を指す。また、ジオポリマー硬化体とは、一般にジオポリマーと称される、ケイ酸のアルカリ金属塩を含む組成物の縮重合体(硬化物)と同義である。
本開示のジオポリマー組成物は、フライアッシュ及び高炉スラグから選ばれる少なくとも1種の粉体と、ケイ酸のアルカリ金属塩と、コンクリート塊破砕物と、を含む。
従来公知のジオポリマー組成物は、ケイ酸のアルカリ金属塩を含むアルカリ溶液から溶出するアルカリ成分により硬化速度が向上し、特に高炉スラグを含有するジオポリマー組成物ではその傾向が著しく、組成物の流動性確保が困難であった。本開示のジオポリマーでは、アルカリ供与成分としてコンクリート塊破砕物を用いることで、適度なアルカリ成分の溶出により硬化速度が制御され、ジオポリマー組成物を打設する作業時の流動性を確保しうるジオポリマー組成物となったと考えられる。
一方、ジオポリマー組成物に含まれるケイ酸のアルカリ金属塩よっては、アルカリ成分の含有量が少なく、硬化が進行し難い場合がある。アルカリ成分の含有量が少ないケイ酸のアルカリ金属塩を用いた場合には、コンクリート塊破砕物由来のアルカリ成分がアルカリ源となり、硬化を促進するために、硬化速度を良好な範囲に制御することができる。
既述のように、ケイ酸のアルカリ金属塩に対し、併用されるフライアッシュ及び高炉スラグから選ばれる少なくとも1種の粉体と、コンクリート塊破砕物とのバランスにより、硬化速度が適切な範囲に制御され、コンクリート塊破砕物はアルカリ供与成分として機能し、かつ、遅延剤などの硬化に寄与しない成分を含まなくても、作業性が確保されるために、本開示のジオポリマー組成物の硬化物であるジオポリマー硬化体は優れた強度を発現すると考えられる。
なお、本開示は上記推定機構には何ら制限されない。
(1)フライアッシュ
本開示のジオポリマー組成物に用い得るフライアッシュには、特に制限はなく、公知のフライアッシュを、適宜使用することができる。例えば、JIS A6201(2015年)に規定されるI種及びII種が挙げられる。
本明細書におけるフライアッシュは、石炭、石油、木材などを燃焼したときに出る廃ガスに含まれる細かい灰の粒子を指し、化学成分としてシリカ(酸化ケイ素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化カルシウム、炭素などを含む粉体である。
火力発電所などで、微粉炭を燃焼させた際に排出される廃ガスに含まれるフライアッシュは、一般に、コンクリートの混和材として、セメントに混ぜて使用される。フライアッシュは、粒子がなめらかな球状をしており、ジオポリマー組成物に添加した場合、組成物の流動性がより良好となる。
フライアッシュは、ジオポリマー組成物に含まれるアルカリ成分等と反応して不溶解性の物質を形成することができ、得られた硬化体の密実性がより高まり、高強度の硬化体を得ることができる。
フライアッシュとしては、ジオポリマー組成物を打ち込む場合の流動性、作業性等を考慮すれば、粉末度が2000cm2/g以上10000cm2/g以下のものが好ましく、2500cm2/g以上5000cm2/g以下のものがより好ましい。
フライアッシュの粉末度は、JIS R 5201(2015年)記載のセメントの粉末度の測定方法に準じて測定することができる。粉末度は、フライアッシュを分級することにより制御することができる。
フライアッシュの粉末度が上記範囲にあることで、ジオポリマー組成物の流動性がより良好となる。
本開示のジオポリマー組成物に用い得る高炉スラグには特に制限はなく、公知の高炉スラグを適宜使用することができる。例えば、JIS A6206(2013年)に規定されるものが挙げられる。
高炉スラグとしては、ジオポリマー組成物を打ち込む場合の流動性、作業性等を考慮すれば、粉末度が2500cm2/g以上13000cm2/g以下のものが好ましく、3000cm2/g以上7000cm2/g以下のものがより好ましい。
高炉スラグの粉末度は、フライアッシュの粉末度と同様、JIS R 5201(2015年)記載のセメントの粉末度の測定方法に準じて測定することができる。粉末度は、高炉水砕スラグを粉砕する時の粉砕方法、粉砕条件や粉砕後の分級により制御することができる。
高炉スラグの粉末度が上記範囲にあることで、ジオポリマー組成物の流動性がより良好となり、ジオポリマー組成物の硬化物の強度発現性がより良好となる。
粉体を2種以上含有する場合、フライアッシュから選ばれる1種以上の粉体と、高炉スラグから選ばれる1種以上の粉体とを含有してもよく、フライアッシュから選ばれる互いに種類の異なる2種以上の粉体を含有してもよく、高炉スラグから選ばれる互いに種類の異なる2種以上の粉体を含有してもよい。
ジオポリマー組成物に含まれる粉体の種類と量とは、目的とするジオポリマー硬化体の物性に応じて適宜選択すればよい。
フライアッシュを含有することでジオポリマー組成物の流動性がより向上する。高炉スラグを含有することで反応性がより向上し、得られる硬化体の強度がより向上する。
ジオポリマー組成物はケイ酸のアルカリ金属塩を含有する。アルカリ金属塩を含有することで、ケイ酸モノマー(Si(OH)4)が硬化に寄与し、さらに、アルカリ金属塩を含有することで、水溶性が良好となり、硬化に寄与するアルカリ源ともなる。
ケイ酸のアルカリ金属塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム等が挙げられ、入手容易性の観点からケイ酸ナトリウムが好ましい。
なお、ケイ酸ナトリウムとしては、水ガラスと称されるケイ酸ナトリウム水溶液を用いてもよい。水ガラスは市販品を用いることができ、市販の水ガラスはSiO2とNa2Oとを含む。水ガラスとしては、硬化性の観点から、SiO2を20質量%〜40質量%含み、かつ、Na2Oを5質量%〜20質量%含むものが好ましい。
ジオポリマー組成物は、コンクリート塊破砕物を含有する。コンクリート塊破砕物は、建物などのコンクリート構造物を破砕して得られる、所謂「解体コンクリート」由来の成分である。
本明細書におけるコンクリート塊破砕物を得るためのコンクリート塊としては特に制限はなく、例えば、建築土木構造物を取り壊した場合に排出されるコンクリート塊、テトラポット、コンクリートブロックなど使用済みのコンクリート製品であるコンクリート塊、またはこれらのコンクリート塊を分割し、より小さなコンクリート塊としたもの等が挙げられる。
本明細書におけるコンクリート塊破砕物には、既述の如きコンクリート塊を破砕し、分級して得られる再生粗骨材、再生細骨材、及び、再生骨材を分級した後の解体コンクリート微粉末が含まれる。
本開示のジオポリマー組成物では、コンクリート塊破砕物を刺激剤として用いることにより、ジオポリマー組成物において共存する既述の高炉スラグなどの粉体と、ケイ酸アルカリ金属塩とがアルカリの存在下で反応して硬化する過程において、ジオポリマー組成物の硬化速度が適切な範囲に制御される。
再生粗骨材、及び再生細骨材は、解体コンクリート等のコンクリート塊を破砕し、分級して得ることができる。
また、再生微粉末は、コンクリート塊を破砕して、充填材料である再生粗骨材及び再生細骨材などを分離回収して得ることができる。再生微粉末は、セメント由来成分を多く含有するため、アルカリ供与成分として有用である。また、分級された再生粗骨材、及び再生細骨材も、骨材粒子の表面にセメント由来の成分が付着しており、このため、アルカリ供与成分として有用である。
ジオポリマー組成物は、再生粗骨材、再生細骨材及び再生微粉末のうち、少なくとも1種をアルカリ供与成分として含有する。
ジオポリマー組成物に用い得るコンクリート塊破砕物の一つとして、コンクリート塊を破砕し、分級して得られたJIS A 5021(2011年)、JIS A 5022(2012年)、及びJIS A 5023(2012年)の少なくともいずれかにおいて規定される再生粗骨材が挙げられる。
再生粗骨材は、まず、コンクリート塊を径が40mm以下に破砕し、破砕されたコンクリート塊をさらに粉砕して、粒径が5mm以上の骨材を分級して得ることができる。
粗骨材の最大寸法は粒径(最大粒径)が20mm以下であることが好ましい。
加熱を行わない機械すりもみ方式としては、公知の竪型偏心ロータ式再生粗骨材製造装置を用いることができる。分級は、篩い分けなどで行なうことができる。竪型偏心ロータ式再生粗骨材製造装置については、例えば、特開2012−121764号公報に詳細に記載され、当該公報に記載の装置を、本明細書における再生粗骨材の製造に適用することができる。
検討によれば、コンクリート塊を破砕し、分級して得られた再生粗骨材には、約1質量%〜10質量%のセメント由来の成分が含まれている。
ジオポリマー組成物には、既述の再生粗骨材に加えて、或いは、再生粗骨材に換えて、必要に応じて一般的な粗骨材を含むことができる。
一般的な粗骨材の岩種には、特に制限はなく、硬質砂岩、安山岩、流紋岩などの一般的な粗骨材から、目標とするジオポリマー硬化体の強度に応じて適宜選定すればよい。
なお、コンクリート塊破砕物として、後述の再生微粉末と再生粗骨材とを併用する場合の好ましい含有量については後述する。
ジオポリマー組成物に用い得る再生細骨材には特に制限はない。再生細骨材としては、例えば、JIS A 5021(2011)、JIS A 5022(2012)、及びJIS A 5023(2012)の少なくともいずれかにおいて規定される再生細骨材が挙げられる。
再生細骨材の製造方法には特に制限はなく、公知の方法を適用すればよい。例えば、コンクリート塊をジョークラッシャーやインペラーブレーカー等の破砕機を用いて破砕する方法、加熱を行わない機械擦りもみ方式を利用する方法、加熱すりもみ方式を利用する方法などが挙げられる。再生細骨材は、再生粗骨材の分級後に得られた粒径が5mm未満の細粒から微粉末を分離することで得ることができる。微粉末の分離はふるい分け、風力分級等の公知の方法で行なうことができる。(以下、コンクリート塊破砕物から分離して得られた細骨材を、再生細骨材と称することがある。)
再生細骨材は、骨材表面にセメント由来の成分が付着しており、骨材表面に付着したセメント由来の成分が、再生粗骨材の場合と同様に、アルカリ供与成分として機能する。
再生細骨材は、再生粗骨材よりも単位重量当たりの骨材の表面積が大きく、従って、表面に付着するセメント由来のアルカリ供与成分が効率的に反応に寄与するため、本開示のジオポリマー組成物に好適に用いられる。
検討によれば、コンクリート塊を破砕し、分級して得られた再生細骨材には、約2質量%〜20質量%のセメント由来の成分が含まれている。
公知の細骨材としては、通常、良質で堅固な天然砂、砕砂、加工砂が使用できる。
細骨材の種類と含有量とは、目標とするジオポリマー硬化体の強度に応じて適宜選定すればよい。目的に応じて再生細骨材とコンクリート塊破砕物を含まない公知の骨材とを併用してもよい。
ジオポリマー組成物が、コンクリート塊破砕物(アルカリ供与成分)として再生細骨材のみを含有する場合、再生細骨材の含有量は、ジオポリマー組成物に求められる作業時間、得られるジオポリマー硬化体の強度等により、適宜選択することができる。
なお、コンクリート塊破砕物として、後述の再生微粉末と再生細骨材とを併用する場合の好ましい含有量については後述する。
再生微粉末は、コンクリート塊から再生粗骨材及び再生細骨材を取り除くことにより得られる粉末であり、平均粒子径は100 μm以下の粉末である。再生微粉末の平均粒子径は、体積を基準として、以下の条件で測定した値を用いている。
再生微粉末約0.05gを、セメント用ポリカルボン酸系分散剤の0.03質量%水溶液に混合し、30秒間超音波分散させた後、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3300EXII:日機装(株)製)を用いて、室温(25℃)にて測定した50%粒径を、再生微粉末の平均粒子径の値としている。
再生微粉末を得る手段としては、特に制限はなく、公知の方法を適用できる。
再生微粉末を得る手段としては、例えば、コンクリート塊をジョークラッシャーやインペラーブレーカー等の破砕機を用いて破砕する方法、加熱を行わない機械擦りもみ方式を利用する方法、加熱すりもみ方式を利用する方法などが挙げられる。再生微粉末は、これらの方法でのコンクリート塊の破砕後に再生粗骨材及び再生細骨材を取り除くことにより得ることができる。
再生微粉末の粉末度は、フライアッシュや高炉スラグ微粉末の他の成分と均一に混合されて機能し、得られるジオポリマー組成物の均一性が向上すること、モルタルやコンクリートを調製した際の流動性が良好であること、等の観点からは2000cm2/g〜17000cm2/gの範囲が好ましく、3000cm2/g〜10000cm2/gの範囲がより好ましい。
再生微粉末の粉末度が上記範囲であると、十分な強度発現が得られ、モルタルやコンクリートに使用した時も好適な流動性が達成される。
従って、ジオポリマー組成物が、再生微粉末を含有する場合、さらに、アルカリ供与成分としての再生粗骨材及び再生細骨材の少なくともいずれかを再生微粉末と併用する際には、再生粗骨材、再生細骨材のそれぞれの含有量は、以下に記載する範囲であることが好ましい。
即ち、再生微粉末に加え、再生粗骨材を含む場合の再生粗骨材の含有量は、ジオポリマー組成物が含む粗骨材全量に対して、20質量%〜70質量%の範囲であることが好ましく、20質量%〜50質量%の範囲であることがより好ましい。また、再生微粉末に加え、再生細骨材を含む場合の再生細骨材の含有量は、ジオポリマー組成物が含む細骨材全量に対して、20質量%〜70質量%の範囲であることが好ましく、20質量%〜50質量%の範囲であることがより好ましい。
解体コンクリート等に由来する既述の再生粗骨材、再生細骨材及び再生微粉末等のコンクリート塊破砕物が、ジオポリマー組成物におけるアルカリ供与成分として有用であることは以下の方法で確認することができる。
コンクリート塊破砕物と水とを、コンクリート塊破砕物に対する水の質量比が10になる量で容器に入れ、30秒間撹拌して水分散物を調製する。コンクリート塊破砕物を含む水分散物を、撹拌終了後、1時間静置する。
1時間静置した後、上澄み液のpHを測定する。
pHが10未満ではアルカリの溶出が十分に期待できず、11.0を超える骨材では骨材表面に付着したセメント硬化体の層(即ち、セメント由来の成分を含む層)が脆弱な場合には、得られるジオポリマー硬化体の強度、耐久性等に影響を及ぼす可能性がある。
pHが11.2未満ではアルカリの溶出が十分に期待できず、12.2を超える細骨材では細骨材表面に付着したセメント硬化体の層が脆弱な場合に、得られるジオポリマー硬化体の強度、耐久性に影響を及ぼす可能性がある。
pHが11.8未満ではアルカリの溶出が十分に期待できず、12.8を超える粉体を得ることは、さらに粉砕や分級を行う必要があり、回収エネルギーを多く要する点で好ましくない。また、アルカリの溶出量が多すぎる場合には、ジオポリマー組成物の硬化が促進され、充分な作業時間を確保できない可能性がある。
2種以上を併用する場合には、その組み合わせは任意であり、必要な物性、使用目的に応じて適宜選択することができる。
本開示のジオポリマー組成物は、効果を損なわない範囲で、目的に応じて、フライアッシュと高炉スラグとから選ばれる少なくとも1種の粉体、ケイ酸のアルカリ金属塩、及びコンクリート塊破砕物以外の公知の成分(その他の成分と称する)を適宜、含有することができる。
その他の成分は、ジオポリマー組成物の硬化に寄与する成分であってもよく、組成物の物性を制御する成分であってもよく、外観を整えるなど硬化に寄与しない成分であってもよい。
ジオポリマー組成物が含みうるその他の成分としては、例えば、シリカフューム、都市ごみ焼却灰溶融スラグ微粉末、下水汚泥溶融スラグ微粉末、メタカオリン微粉末、石灰石微粉末等が挙げられる。
本開示のジオポリマー硬化体は、既述の本開示のジオポリマー組成物の硬化物である。
本開示のジオポリマー組成物を、水と混合して型枠などに打ち込み、経時させることで、コンクリート塊破砕物に含まれるアルカリが溶出し、共存するフライアッシュ及び高炉スラグから選ばれる少なくとも1種の粉体と、ケイ酸のアルカリ金属塩と、反応して硬化し、ジオポリマー硬化体が形成される。
なお、ケイ酸のアルカリ金属塩の代表例である水ガラスでは、含水率が60質量%程度のものがあり、その場合には、上記ジオポリマー組成物の各成分を、混合し、撹拌することで、硬化する場合もある。
また、コンクリート塊破砕物も、硬化に寄与する成分を含むため、遅延剤などの硬化に寄与しない成分を含まなくても、硬化時間の制御が可能となるのみならず、ジオポリマー組成物の硬化物であるジオポリマー硬化体の強度も良好である。従って、公知のジオポリマーと比較して、作業性及び硬化物の強度の双方が、より良好になるという利点を有する。
このため、二酸化炭素の排出量の多いセメント組成物又はコンクリート組成物に換えて、ジオポリマー組成物を用いて得られるジオポリマー硬化体は、種々の用途に使用することができる。
なお、以下の実施例において、特に断らない限り、「%」は「質量%」を、また「部」は「質量部」を意味する。
<高炉スラグ>(下記表には、「BFS」と略記する)
密度2.91g/cm3、粉末度4220cm2/g
<フライアッシュ>(下記表には、「FA」と略記する)
密度2.28g/cm3、粉末度3670cm2/g
(1)再生微粉末:(下記表には、「RCP」と略記する)
密度2.38g/cm3、粉末度3120cm2/g
上澄み液のpH:12.3
(2)再生細骨材:
絶乾密度2.06g/cm3、表乾密度2.29g/cm3、吸水率11.08%
上澄み液のpH:11.9
(3)再生粗骨材
絶乾密度2.41g/cm3、表乾密度2.51g/cm3、吸水率4.09%
上澄み液のpH:10.1
コンクリート塊破砕物の上澄みのpHを既述の方法で測定した。
上澄み液のpHは、pHメータF−53(商品名:(株)堀場製作所製)を用いて20℃で測定した。
ケイ酸ナトリウム溶液:珪酸ソーダ2号、密度1.50g/cm3
ケイ酸ナトリウム溶液は、さらに水を加え、混合してケイ酸ナトリウム水溶液として用いた。ケイ酸ナトリウム水溶液における水の容積は25容量%である。ケイ酸ナトリウム水溶液は、表中では「AW」と略記する。
(1)細骨材(標準砂):絶乾密度2.64g/cm3
(2)細骨材(普通細骨材):君津産山砂、絶乾密度2.58g/cm3、表乾密度2.62g/cm3、吸水率1.64%
(3)粗骨材(普通粗骨材)
八王子産砕石、絶乾密度2.65g/cm3、表乾密度2.67g/cm3、吸水率0.61%
下記表1、表3及び表5に示す処方に従い、各成分をモルタルミキサーに投入し、3分間練混ぜ各実施例及び比較例のジオポリマー組成物を調製した。
粗骨材を含有するジオポリマー組成物については、モルタルミキサーに代えて、パン型強制練りミキサーを用いて3分間練混ぜてジオポリマー組成物を作製した。
1.流動性(作業性)
JIS R 5201(2015年)におけるモルタルのフロー測定法に準じて、ジオポリマー組成物のフローを測定した。
粗骨材を含有するジオポリマー組成物については、JIS A 1101(2005)におけるコンクリートのスランプ測定法に準じてスランプを測定した。
測定は、いずれも、上記練混ぜ直後、および注水後60分に行なった。結果を、下記表2、表4及び表6に示す。
圧縮試験体としてのジオポリマー硬化体は、粗骨材を含まないジオポリマー組成物では、型枠として、φ50mm×100mmのものを用い、粗骨材を含むジオポリマー組成物では、型枠として、φ100mm×200mmのものを用いて作製した。養生は、20℃の温度条件にて、所定の材齢(3日、7日、及び28日)まで封緘養生した。
作製したジオポリマー硬化体(圧縮試験体)の圧縮試験は、JIS A 1108に記載の圧縮強度試験法に準拠し、材齢3日、7日、及び28日に実施した。結果を、下記表2、表4及び表6に示す。
なお、材齢28日における圧縮強度が50N/mm2以上であれば、コンクリート部材の代替品として充分な強度であり、構造材としても充分に使用可能である。
また、初期強度発現性が良好であると、例えば、プレキャスト部材を形成する際に、早期に脱型が可能となり、生産性の観点からより有利となる。
また、再生微粉末を使用した実施例1〜2は、再生微粉末を使用しない比較例1に比べ、得られたジオポリマー硬化体の材齢3日の初期圧縮強度がより高くなった。
再生微粉末を含む実施例3〜4と再生微粉末を含まない比較例2との対比より、実施例3〜4は初期の材齢でジオポリマー硬化体の圧縮強度が高くなった。
再生細骨材を用いた実施例5は、比較例3に比べて材齢初期での強度が高くなり、実施例6も比較例4に比べ高い初期強度を示し、優れた初期強度発現性がみられた。
同様に再生細骨材を用いた実施例7は、比較例5〜6に比べてすべての材齢で圧縮強度が高くなった。
コンクリート塊破砕物として、再生微粉末と再生細骨材の双方を含む実施例8は、得られたジオポリマー硬化体は、すべての材齢で安定して高い圧縮強度を示した。
Claims (3)
- フライアッシュ及び高炉スラグから選ばれる少なくとも1種の粉体と、ケイ酸のアルカリ金属塩と、コンクリート塊を破砕して得られる粗骨材、コンクリート塊を破砕して得られる細骨材及びコンクリート塊破砕物から骨材を分離回収して得られる微粉末のうち少なくとも1種のコンクリート塊破砕物を含み、
前記コンクリート塊破砕物として、前記微粉末を含む場合の微粉末の含有量は、フライアッシュ及び高炉スラグから選ばれる少なくとも1種の粉体と微粉末との総量に対し、5質量%〜50質量%であるコンクリート塊破砕物と、を含むジオポリマー組成物。 - 前記コンクリート塊を破砕して得られる粗骨材は、下記評価法により評価した際の上澄み液のpHが10.0〜11.0の範囲であり、前記コンクリート塊を破砕して得られる細骨材は、下記評価法により評価した際の上澄み液のpHが11.2〜12.2の範囲であり、前記コンクリート塊破砕物から骨材を分離回収して得られる微粉末は、下記評価法により評価した際の上澄み液のpHが11.8〜12.8の範囲である、請求項1に記載のジオポリマー組成物。
−評価法−
前記コンクリート塊を破砕して得られる粗骨材、前記コンクリート塊を破砕物して得られる細骨材、又は、前記コンクリート塊破砕物から骨材を分離回収して得られる微粉末と水とを、前記粗骨材、前記細骨材又は、前記微粉末に対する水の質量比が10になる量で容器に入れ、30秒間撹拌して水分散物を調製する。前記粗骨材、前記細骨材又は前記微粉末を含む水分散物を、撹拌終了後、1時間静置する。1時間静置した後、上澄み液のpHを、pHメータを用いて20℃で測定する。
- 請求項1又は請求項2に記載のジオポリマー組成物の硬化物であるジオポリマー硬化体。
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