JP5734756B2 - セメント含有組成物、地盤改良用スラリー及び地盤改良方法 - Google Patents
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Description
セメント製造時の二酸化炭素を削減する目的からは、前記高炉セメントA種は不十分である。B種も十分ではないが、これとは別に高炉セメントB種は普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートに比べて中性化が速く乾燥収縮が大きいといった課題があり、その利用拡大は必ずしも進んでいない。高炉セメントC種では二酸化炭素削減効果はより大きくなるものの、上記のB種における中性化、乾燥収縮の問題がさらに強く発現し、ほとんど利用されていないのが現状である。
例えば、地盤改良に高炉スラグを含有する水硬性組成物を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、強度になお改良の余地があり、二酸化炭素の削減も充分とは言えない。
そこで、本発明者らは、検討の結果、高炉スラグ高含有セメントとして、セメント硬化体由来の粉末を含有させることで、地盤改良体へ適用した場合、高炉セメントB種と同等以上の圧縮強度を達成しうる地盤改良用スラリー組成物を提案し、一定の強度と二酸化炭素の削減を達成した(例えば、特許文献2参照。)。
本発明のさらなる課題は、該セメント含有組成物を用いた、地盤改良に有用な地盤改良用スラリー及び該スラリーを用いた地盤改良方法を提供することにある。
本発明の第2の実施形態は、前記セメント硬化体が、コンクリート硬化体である前記第1の実施形態に記載のセメント含有組成物である。
本発明の第3の実施形態は、前記(B)再生微粉末中のセメント硬化体由来成分が40〜90質量%である前記第1の実施形態又は第2の実施形態に記載のセメント含有組成物である。
本発明の第5の実施形態は、(A)(a−1)粉末度が3000cm2/g以上13000cm2/g以下の高炉スラグ微粉末60質量%〜90質量%、(a−2)粉末度が2,500cm2/g以上8,000cm2/g以下の無水セッコウ3質量%〜20質量%、及び、(a−3)ポルトランドセメント5質量%〜37質量%含有する混合物100質量部と、(B)セメント硬化体から充填材料を分離回収した後に発生する粉末の分級品であって、平均粒径が2.0μm以上10.0μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20.0μm以下である再生微粉末5質量部〜30質量部と、を含有するセメント含有組成物に、水/固形分比(質量基準)が40%〜250%となる量の水を加えて地盤改良用スラリーを調製する工程と、得られた地盤改良用スラリーを、土壌に1m3当たり150kg〜1200kg加える工程と、を有する地盤改良方法である。
このため、本発明のセメント含有組成物に水を加えてスラリーとすることにより、地盤改良用途に好適に用いられ、高強度の地盤改良体が得られる。
また、本発明によれば、前記本発明のセメント含有組成物を用いることで、地盤改良に有用な地盤改良用スラリー及び該スラリーを用いた地盤改良方法を提供することができる。
<セメント含有組成物>
本発明のセメント含有組成物は、(A)(a−1)粉末度が3000cm2/g以上13000cm2/g以下の高炉スラグ微粉末60質量%〜90質量%、(a−2)粉末度が2,500cm2/g以上8,000cm2/g以下の無水セッコウ3質量%〜20質量%、及び、(a−3)ポルトランドセメント5質量%〜37質量%含有する混合物〔以下、適宜、(A)混合物と称する〕100質量部と、(B)セメント硬化体から充填材料を分離回収した後に発生する粉末の分級品であって、平均粒径が2.0μm以上10.0μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20.0μm以下である再生微粉末〔以下、適宜、(B)特定再生微粉末と称する〕5質量部〜30質量部と、を含有する。
即ち、本発明のセメント含有組成物に用いられる(A)混合物は、(a−1)高炉スラグ微粉末と(a−2)セッコウと(a−3)ポルトランドセメントとを上記の含有量で含有する混合物である。
このような(A)混合物100質量部に対して、(B)解体セメント又は解体コンクリートから再生粗骨材と再生細骨材を回収した後に残留する特定の粒度と粒径とを有する再生微粉末を5質量部〜30質量部含有するものである。
本発明において、公知のセメント含有組成物と最も異なる点は、解体コンクリートから再生粗骨材と再生細骨材を回収した後に残留した、平均粒径が2.0μm以上10.0μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20.0μm以下である再生微粉末を用いることである。
まず、本発明のセメント含有組成物における重要な成分である(B)特定再生微粉末について説明する。
本発明に用いられる(B)特定再生微粉末は、セメント硬化体から充填材料を分離回収した後に発生する粉末の分級品であって、平均粒径が2.0μm以上10.0μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20.0μm以下である再生微粉末である。
平均粒径〔以下、単に「粒径」とも称する〕が2.0μm未満の場合、水を加えたときに凝集しやすく均一分散が困難となるなどハンドリング性が低下する懸念があり、平均粒径が10.0μmを超える粉末の場合、骨材などセメント硬化体由来成分以外の不純物を多く含むことになり、また、見かけ上の水/固形分比低下の効果が充分に得られず、いずれも好ましくない。粒径は、好ましくは、3.0μm以上8.0μm以下であり、より好ましくは、3.0μm以上6.0μm以下である。
また、累積90%粒径が20.0μm以下であるとは、本発明に係る特定再生微粉末における粒径20.0μmを越える粉末の含有量が10%以下であることを示すものである。平均的な粒径が2.0μm以上10.0μm以下であっても、20.0μmを超える比較的大きな粒径の粒子を多く含有する場合には、見かけ上の水/固形分比向上効果が充分に得られず、本発明の優れた効果を発現しない懸念がある。
粉末0.05gを、セメント用ポリカルボン酸系分散剤の0.03%水溶液に混ぜて、30秒間超音波分散させた後、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3300EXII:日機装(株)製)にて測定を行った。
本発明における「セメント硬化体由来成分」とは、セメント水和物、及び、未水和セメントを指し、これらの総量が粉末総量に対し、40質量%〜90質量%含有することが好ましく、60質量%〜90質量%含有することがより好ましい。セメント硬化体由来成分が40質量%未満の粉末では、コンクリート組成物に用いた場合、硬化体の性能向上に寄与しない成分が多く、十分な硬化物性が得られない懸念があり、90質量%を超える粉末を得るためには、より細かい粉末のみを回収するために粉砕や分級を行う必要があり、そのため回収エネルギーを多く要する点で好ましくない。
なお、粉末中に含まれるセメント硬化体由来成分の含有量は、以下に示す方法により測定することができる。
粉末(粉末質量A)を60℃の2N塩酸にて可溶分を完全に溶解後、ろ過して純水で洗浄する。ろ紙に残留した不溶分を80℃の5%炭酸ナトリウム水溶液にて溶解し、残留した不溶分を110℃で乾燥した後、不溶分質量Bを測定する。セメント硬化体由来成分は、この方法における可溶分であるため、セメント硬化体由来成分=[(粉末質量A−不溶分質量B)/粉末質量A]×100(%)、で求めることができる。
(2)水酸化カルシウムを4質量%〜15質量%含有する。
本発明の再生微粉末の別の好ましい物性としては、水酸化カルシウムを4質量%〜15質量%含むことが挙げられ、粉末が適用されるセメント含有組成物の品質を制御するという観点からは6質量%〜15質量%のものが好ましい。
再生微粉末中の水酸化カルシウム含有率は、熱重量分析法により測定することができる。
再生微粉末の水酸化カルシウムの含有率が上記範囲において、得られるセメント含有組成物さらには、これに水を加えた土壌改良用スラリーの硬化物性が十分に得られる。なお、本発明に係る再生微粉末の原料となるコンクリート廃材の組成を考慮すれば、水酸化カルシウムの含有率が15質量%を超える粉末を得ることが困難である。
本発明に使用される特定再生微粉末を製造するには、まず、解体コンクリートから粗骨材と細骨材とを回収する骨材除去工程を行う。ここで、粗骨材の分離は、解体コンクリートを粉砕し、粗骨材を回収する公知の方法で行うことができるが、本発明における好ましい特定再生微粉末の回収方法には、加熱を行わない機械擦りもみ方式により行われることが、製造時の二酸化炭素の削減という観点から好適である。
以下、解体コンクリートから粗骨材を回収した後に残存する解体コンクリート細粒から、再生微粉末を回収する方法について、遊星ミル型解体コンクリート細粒処理装置による方法を例に挙げて説明する。
このとき、前記遊星ミルの外部に設けられた粉末除去手段の送風装置から前記ミルポットへ気体を送り、分離された前記セメント硬化体を含む粉末を前記ミルポットから除去させ、除去された前記粉末を粉末回収装置で回収し、これを次工程である分級工程に付す。このとき得られる回収粉末は、本発明にて規定する粒度分布に適合し、セメント硬化体由来成分を多く含む本発明の再生微粉末と、骨材成分を多く含む粗粉が混合した解体コンクリート粉末であり、この解体コンクリート粉末を後述する分級装置により分級することで本発明に使用される再生微粉末(特定再生微粉末)が得られる。
また、セメント硬化体が除去された細骨材は、ミルポットの下方に設けた細骨材回収部で回収され、再生細骨材として利用される。
この分級を行う際には、分級を密閉された空間内で行い、空間内の空気中の二酸化炭素を除去する方法、或いは、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスを封入した装置内で行う方法をとることで、処理中のセメント由来成分の炭酸化を抑制することができる。
本発明のセメント含有組成物においては、(B)特定再生微粉末の粒径と含有量とを制御することが重要であり、上記含有量において、本発明の効果を充分に発現する。
次に、本発明に係る(A)混合物に含まれる各成分について順次説明する。
(a−1)粉末度が3000cm2/g以上13000cm2/g以下の高炉スラグ微粉末
本発明に用いられる高炉スラグ微粉末は、粉末度が3000cm2/g以上13000cm2/g以下であれば、汎用の高炉スラグ微粉末から当該粉末度のものを選択して使用することができるが、粉末度は4000cm2/g以上7000cm2/g以下のものが好ましい。
高炉スラグ微粉末の粉末度はJIS R 5201(1997年)記載のセメントの粉末度の測定方法に準じて測定することができる。粉末度は、高炉水砕スラグを粉砕する時の粉砕方法、粉砕条件や粉砕後の分級により制御することができる。
高炉スラグ微粉末の粉末度が3000cm2/g未満では、セメント含有組成物のスラリーを硬化させるときの硬化反応が進行し難く、13000cm2/gを超える場合には、硬化反応が急速に進行して発熱量が増加するとともに、乾燥収縮が大きくなり、得られる成形体のクラックの発生や寸法安定性の低下、或いは硬化された地盤におけるクラックの発生や発熱による環境への影響などの問題が生じやすくなる。
混合物に対する高炉スラグ微粉末の含有量は60〜90質量%の範囲であり、好ましくは60〜80質量%である。
本発明に用いられる無水セッコウは、粉末度が2,500cm2/g以上8,000cm2/g以下の無水セッコウであれば、任意に選択できる。粉末度は、3000cm2/g以上6000cm2/g以下のものが好ましい。なお、粉末度は(a−1)高炉スラ微粉末における測定法と同様の方法で測定しうる。
本発明に使用される無水セッコウとしては、必ずしも純粋な材料ではなくても、無水セッコウ成分を90質量%以上の純度で含有するものであれば使用してもよく、例えば、天然無水セッコウや副産無水セッコウ等が使用できる。
(A)混合物中の(a−2)無水セッコウの含有量は、3質量%〜20質量%であることを要し、好ましくは5質量%〜10質量%の範囲である。
無水セッコウの含有量が3質量%未満であると強度の発現性が遅く、また、20質量%を超えると未反応の石膏が残り強度に十分寄与しないことや、膨張が生じ地盤改良体にクラック等が生じるため、いずれも好ましくない。
本発明に用いられる(a−3)ポルトランドセメントは、JISに規定された各種のポルトランドセメント、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等を使用することができるが、一般には普通ポルトランドセメントを使用すればよい。
なお、本発明においては、ポルトランドセメントとして、市販のポルトランドセメントのみならず、解体コンクリートを原料の一部に使用して製造した再生ポルトランドセメントを用いることも可能である。本願出願人が先に検討したところによれば、解体コンクリートを破砕し、分級して製造された微粉末の多くはセメント原料を多く含む材料であり、この材料からJISに規定するのと同等の品質の、水硬性を有する再生ポルトランドセメントを製造することができる。このような再生ポルトランドセメントを用いることにより、解体コンクリートの有効利用、及び、本発明のセメント含有組成物を製造する際に発生する二酸化炭素量の低減、というさらなる利点を有することになる。
(A)混合物中のポルトランドセメントの含有量が5質量%未満では、セメント含有組成物から得られる成形体や改良土壌の強度が十分ではなく、また、37質量%を超えてもそれ以上の強度向上は認められない。また、ポルトランドセメントの含有量が増加すると二酸化炭素削減量がそれに伴って小さくなってしまうため、このような観点からも、37質量%以下であることが好ましい。
なお、本発明のセメント含有組成物には、前記(a−3)ポルトランドセメントに加えて、本発明の効果を損なわない範囲において、ポルトランドセメント以外のセメント類を併用することができる。
併用可能なセメントとしては、解体コンクリートより再生されるセメント類、或いは、再生微粉末を400〜800℃に加熱処理して得られる再生セメント、特開2005−320202公報、特開平10−114556号公報などに記載された製造方法により得られる再生セメントなどを挙げることができる。
本発明のセメント含有組成物は、アルカリ性を必ずしも必要としないコンクリート構造体、即ち、防錆処理した鉄やステンレス綱などの補強材を用いた構造物や防錆処理した鉄やステンレス綱などの枠材を用いたプレキャストコンクリート成形体などの製造、或いは、地盤改良用スラリーの調製に好適に用いられる。
本発明のセメント含有組成物は、地盤改良用スラリーの調製に有用である。即ち、前記セメント含有組成物に適切な量の水を加えることで本発明のスラリーが調製される。添加する水の量は、結果として、水/固形分比(質量基準)が40%〜250%となる量であることが好ましく、50%〜150%であることがより好ましい。前記本発明のセメント含有組成物に水を加えることで地盤改良用スラリーが調製される。
得られた地盤改良用スラリーを、土壌に1m3当たり150kg〜1200kg加え、これを硬化させることで、地盤が改良され、高強度の地盤となる。
従来のスラリーの一般的な添加量は土壌1m3当たり300kg〜1200kgであったので、本発明のスラリーでは、より少ない量で地盤の補強を行うことができる。
本発明のスラリーには、公知のセメント組成物用の添加剤、例えば、混和剤、流動性改良材、分散材、消泡剤等の従来公知のセメント含有組成物に使用される添加剤を目的に応じて、本発明の効果を損なわない限りにおいて使用してもよい。
本発明の地盤改良方法は、前記本発明のセメント含有組成物を含有するスラリーを用いることを特徴とする。本発明の地盤改良方法は以下の工程を含む。
1.地盤改良用スラリーを調製する工程
本工程は、(A)(a−1)粉末度が3000cm2/g以上13000cm2/g以下の高炉スラグ微粉末60質量%〜90質量%、(a−2)粉末度が2,500cm2/g以上8,000cm2/g以下の無水セッコウ3質量%〜20質量%、及び、(a−3)ポルトランドセメント5質量%〜37質量%含有する混合物100質量部と、(B)セメント硬化体から充填材料を分離回収した後に発生する粉末の分級品であって、平均粒径が2.0μm以上10.0μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20.0μm以下である再生微粉末5質量部〜30質量部と、を含有するセメント含有組成物に、水/固形分比(質量基準)が40%〜250%となる量の水を加えて地盤改良用スラリーを調製する工程である。
2.地盤改良用スラリーを土壌に付与する工程
本工程は、前記工程において調製された地盤改良用スラリーを、土壌に1m3当たり150kg〜1200kg加える工程である。
スラリーの土壌への付与は公知の方法を適宜使用することができる。
例えば、地盤改良用スラリーを、圧送ポンプ、より具体的には、ピストンポンプ及び、スクイーズポンプなどを用いて、地盤中に輸送して付与する方法が挙げられる。
なお、スラリーの調整時に添加する水の量及び土壌に対するスラリーの添加量は、改良を目的とする土壌の含水率を考慮して適宜選択することが好ましい。
セメントスラリーを添加した地盤の強度は、スラリー中に含まれるセメントの量と、注入するスラリーの水量および地盤中に含まれる水量の合計の比率により決まる。したがって、含水率が高い粘性土地盤においては、注入するスラリーの水量を少なくすることが望ましい。しかし、スラリーの水量を少なくした場合、スラリーの流動性が低下するため、スラリーの添加量を多くする、もしくは、スラリーにさらに流動化剤を添加する、等の方法をとることが好ましい。
なお、以下の実施例において、特に断らない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
(特定再生微粉末1(微粉1)の調製)
解体コンクリートから粗骨材を回収した後に残存ずる解体コンクリート細粒を、既述の遊星ミル型解体コンクリート細粒処理装置を用いて、遊星ミルのミル本体に取付けられ、前記ミル本体の軸回りに公転しながら自転するミルポットに気体を送り、該ミルポット内部で、細骨材の表面にセメント硬化体が付着した解体コンクリート細粒同士をすり合わせ、前記細骨材と前記セメント硬化体を分離させる。
このとき、前記遊星ミルの外部に設けられた粉末除去手段の送風装置から前記ミルポットへ気体を送り、分離された前記セメント硬化体を含む粉末を前記ミルポットから除去させ、除去された前記粉末を粉末回収装置で回収する。その後、回収された解体コンクリート粉末を、遠心式風力分級装置を用いて分級し、平均粒径が2.0μm以上10.0μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20.0μm以下である再生微粉末を得た。
得られた特定再生微粉末1 0.05gを、セメント用ポリカルボン酸系分散剤の0.03質量%水溶液中で30秒間超音波分散させた後、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3300EXII:日機装(株)製)にて測定を行ったところ、平均粒径は3.4μmであり、累積90%粒径は6.2μmであった。
下記表2に記載した成分を混合してセメント含有組成物を調製した。その後、表2に記載の量で水を添加して地盤改良用スラリーを得た。なお、表2中の記号の詳細を以下に示す。
<セメント(ECM1)>
・高炉スラグ微粉末〔粉末度:4220:(a−1)成分〕 60%
・無水セッコウ〔粉末度:4290:(a−2)成分〕 10%
・ポルトランドセメント〔OPC、粉末度:3200:(a−3)成分〕 30%
<セメント(ECM2)>
・高炉スラグ微粉末〔粉末度:4220:(a−1)成分〕 62.5%
・無水セッコウ〔粉末度:4290:(a−2)成分〕 6%
・ポルトランドセメント〔OPC、粉末度:3200:(a−3)成分〕 31.5%
<特定再生微粉末1(微粉1)>
平均粒径 3.4μm、累積90%粒径6.2μm、水酸化カルシウム量7%
<比較用再生微粉末2(微粉2)>
平均粒径26.2μm、累積90%粒径127.0μm、水酸化カルシウム量15%
得られた特定再生微粉末1の詳細を下記表1に示す。
得られたセメント含有組成物を用いてスラリーを調製し、地盤改良効果を検討するため、土壌(試料土)とスラリーとの混合物硬化体について圧縮強度を測定した。
表1中、「砂」と記載した試料土は、硅砂と蛙目粘土を質量比9:1で混合した砂質土であり、「粘土」と記載した試料土は、原位置より採取した粘性土である。「砂」の詳細は、下記表3に示すとおりである。
また、特定粒径微粉末1に換えて、平均粒径がより大きく本発明の範囲外である比較用再生微粉末2を含有したスラリーを用いた比較例II−1〜II−6においては、硬化体の圧縮強度は、対照例である比較例I−1〜I−6と大きな差異は見られず、却って圧縮強度が低下しているものがあることが確認された。このことから、解体コンクリート由来の再生微粉末における粒子径が本発明の効果の発現に重要な作用を及ぼしていることが推定される。
Claims (5)
- (A)(a−1)粉末度が3000cm2/g以上13000cm2/g以下の高炉スラグ微粉末60質量%〜90質量%、(a−2)粉末度が2,500cm2/g以上8,000cm2/g以下の無水セッコウ3質量%〜20質量%、及び、(a−3)ポルトランドセメント5質量%〜37質量%含有する混合物100質量部と、(B)セメント硬化体から充填材料を分離回収した後に発生する粉末の分級品であって、平均粒径が2.0μm以上10.0μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20μm以下である再生微粉末5質量部〜30質量部と、を含有するセメント含有組成物。
- 前記セメント硬化体が、コンクリート硬化体である請求項1に記載のセメント含有組成物。
- 前記(B)再生微粉末中のセメント硬化体由来成分が40〜90質量%である請求項1又は請求項2に記載のセメント含有組成物。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のセメント含有組成物と水とを含み、水/固形分比(質量基準)が40%〜250%の範囲にある地盤改良用スラリー。
- (A)(a−1)粉末度が3000cm2/g以上13000cm2/g以下の高炉スラグ微粉末60質量%〜90質量%、(a−2)粉末度が2,500cm2/g以上8,000cm2/g以下の無水セッコウ3質量%〜20質量%、及び、(a−3)ポルトランドセメント5質量%〜37質量%含有する混合物100質量部と、(B)セメント硬化体から充填材料を分離回収した後に発生する粉末の分級品であって、平均粒径が2.0μm以上10.0μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20μm以下である再生微粉末5質量部〜30質量部と、を含有するセメント含有組成物に、水/固形分比(質量基準)が40%〜250%となる量の水を加えて地盤改良用スラリーを調製する工程と、
得られた地盤改良用スラリーを、土壌に1m3当たり150kg〜1200kg加える工程と、を有する地盤改良方法。
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