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JP6933145B2 - 多相コンバータ - Google Patents

多相コンバータ Download PDF

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Description

本明細書が開示する技術は、燃料電池の出力電圧を昇圧する多相コンバータに関する。
特許文献1に、燃料電池の出力電圧を昇圧する多相コンバータが開示されている。特許文献1の多相コンバータは、並列に接続されている3個の昇圧回路を備えている。夫々の昇圧回路を、U相、V相、W相と称している。各昇圧回路は、リアクトルとスイッチング素子を備えている。リアクトルは、入力端正極と出力正極端の間に接続されている。スイッチング素子は、リアクトルの出力正極端側と入力負極端の間に接続されている。入力負極端と出力負極端は直接に接続されている。各相のスイッチング素子は、コントローラによって制御される。スイッチング素子をオンすると燃料電池の正極と負極の間にリアクトルが接続され、リアクトルに電気エネルギが蓄えられる。スイッチング素子をオフすると、リアクトルに蓄えられた電気エネルギが放出され、出力端正極の電位を押し上げる。
多相コンバータのそれぞれの昇圧回路の入力端正極と入力端負極は燃料電池に接続されているため、いずれかの昇圧回路のスイッチング素子が短絡故障(オン固着など)を生じると、リアクトルを介して燃料電池の出力端正極と出力端負極が継続して接続されることになり、リアクトルと燃料電池が発熱する。そのため、多相コンバータのいずれかの昇圧回路のスイッチング素子が短絡故障を生じた場合、コントローラは燃料電池を停止する。具体的には、コントローラは、燃料電池(FCスタック)に燃料である水素と酸素を送り込むポンプを停止する。
特開2010−288365号公報
しかしながら、ポンプを停止しても、燃料電池(FCスタック)の中に残留水素や残留酸素があるうちは発電が続く。また、ポンプは、その駆動電力の供給が断たれた後もしばらくは慣性で回り続けることがあり、ポンプの停止制御後しばらくの間は燃料電池(FCスタック)に水素や酸素などが送り込まれてしまうことがある。これらの理由により、燃料電池の出力電圧は直ちに遮断されるとは限らない。したがって、多相コンバータを構成する複数の昇圧回路のうちの1つがスイッチング素子の短絡故障を起こした場合には、燃料電池用のポンプを停止させる制御を行ったとしても、しばらくの間はリアクトルに電流が流れ続け、リアクトルが発熱してしまう。本明細書は、スイッチング素子の短絡故障を生じたときのリアクトルの発熱を抑制する技術を提供する。
本明細書が開示する多相コンバータは、並列に接続されている複数の昇圧回路と、昇圧回路を制御するコントローラを備えている。夫々の昇圧回路は、リアクトルとスイッチング素子を備えている。リアクトルは、入力端正極と出力端正極の間に接続されている。スイッチング素子は、リアクトルの出力端正極の側と入力端負極の間に接続されている。昇圧回路の入力端負極と出力端負極は接続されている。コントローラは、複数の昇圧回路のいずれかのスイッチング素子が短絡故障した場合、全ての昇圧回路のスイッチング素子をオン(導通状態)にする。
上記の動作により、スイッチング素子が短絡故障している場合において、たとえ燃料電池からの出力が続いても、燃料電池の出力電流は全ての昇圧回路に分散して流れる。即ち、燃料電池の出力電流は、各相のリアクトルにほぼ等しく分配されて低電位側に流れる。そのため、オン固着などにより短絡故障したスイッチング素子だけがオン状態であり、他のスイッチング素子がオフ状態である場合に比べて、リアクトルに流れる電流値を1/N(Nは相数)に減少させることが可能になる。したがって、リアクトルの発熱を抑制することができる。
本明細書が開示する技術の詳細、及び、さらなる改良は、発明の実施の形態で説明する。
実施例の多相コンバータの構成例を示す回路図である。 実施例の多相コンバータのコントローラが実行する短絡故障監視処理のフローチャートである。 実施例の多相コンバータにおいて全相のスイッチング素子をオン状態にした場合の電流経路を示す説明図である。
図面を参照して実施例の多相コンバータを説明する。まず、多相コンバータ9の構成を図1及び図2を参照して説明する。図1に、多相コンバータ9の構成例を表した回路図を示す。図2に、多相コンバータ9のコントローラ50が実行する短絡故障監視処理のフローチャートを示す。
多相コンバータ9は、例えば、電気自動車の走行用モータ(不図示)を駆動させる電力系統に用いられる昇圧コンバータであり、インバータ(不図示)と共に筐体11内に収容されて電力制御ユニット(PCU)を構成している。走行用モータは、典型的には、三相交流電動機である。そのため、電力制御ユニットでは、FCスタック3(燃料電池)が出力する直流電圧を多相コンバータ9が走行用モータの駆動に適した電圧に昇圧してインバータに出力する。そして、インバータは、直流電力から交流電力(U相、V相、W相)に変換して走行用モータに出力する。
このように機能する多相コンバータ9は、本実施例では、多相コンバータユニット10とコントローラ50により構成されている。多相コンバータユニット10は、4つの昇圧回路10u、10v、10w、10xと、コンデンサ20、29と、これらが収容される筐体11となどにより構成されている。以下、昇圧回路10u、10v、10w、10xを総称して昇圧回路10u−10xと称する場合がある。コントローラ50は、これらの4つの昇圧回路10u−10xを制御して4相(U相、V相、W相、X相)からなる駆動電力の出力をコントロールする。
FCスタック3の出力電圧は、例えば、300V(ボルト)から400Vの間で変動する場合がある。また、走行用モータの駆動電圧も、ドライバのアクセル操作によって変動する。即ち、多相コンバータ9の目標出力電圧も変動する。そのため、本実施例の多相コンバータ9では、変動する入力電圧/目標出力電圧に応じて駆動する昇圧回路10u−10xの数をコントローラ50により変更してそのような電圧変動に対応している。入力電圧の情報は、多相コンバータ9の入力端正極11aとコモン端子11c(FCスタック3の負極端子が接続されている)の間に接続されている電圧センサ8がコントローラ50に出力するセンサ信号により得られる。なお、コモン端子11cは、多相コンバータ9の入力端負極と出力端負極を接続した端子である。
また、入力電流の情報は、多相コンバータ9の入力端正極11aとFCスタック3の正極端子の間に接続されている電流センサ7がコントローラ50に出力するセンサ信号により得られる。
本実施例では、昇圧回路10u−10xは、それぞれ並列に接続されており、いずれも同様に構成されている。そのため、ここでは昇圧回路10uの構成を代表して説明し、他のコンバータ回路10v、10w、10xについては説明を省略する。昇圧回路10uは、リアクトル12、スイッチング素子16、ダイオード21、25により構成されている。電流センサ31は、スイッチング素子16に流れ込む電流を検出するためのものであり、昇圧回路10uの構成に直接関与するものではない。
リアクトル12は、多相コンバータユニット10の入力端正極11aと出力端正極11bの間に接続されている。スイッチング素子16は、リアクトル12の出力端正極11bの側と、コモン端子11cの間に接続されている。スイッチング素子16は、コレクタ(入力側)がリアクトル12の出力端正極11bの側に接続されており、エミッタ(出力側)がコモン端子11cに接続されている。ダイオード21のアノードがスイッチング素子16のエミッタに接続されており、カソードがスイッチング素子16のコレクタに接続されている。スイッチング素子16のゲート(制御端子)はコントローラ50のPWM制御端子に接続されている。
ダイオード25はリアクトル12と出力端正極11bの間に接続されている。ダイオード25のアノードがリアクトル12に接続されており、カソードが出力端正極11bに接続されている。
スイッチング素子16は、例えばIGBTである。スイッチング素子16のコレクタ−エミッタ間に逆並列に接続されるダイオード21は、オフ動作移行時のスイッチング素子16にコモン端子11c側から流れ得る逆方向電流をバイパスしてリアクトル12に逃がす還流ダイオードである(フリーホイールダイオードとも称される)。多相コンバータユニット10の入力端正極11aとコモン端子11cの間には、静電容量が比較的大きな大容量のコンデンサ20が接続されている。多相コンバータユニット10の出力端正極11bとコモン端子11cの間にも、静電容量が比較的大きな大容量のコンデンサ29が接続されている。コンデンサ20はフィルタコンデンサと呼ばれることがあり、コンデンサ29は平滑コンデンサと呼ばれることがある。
昇圧回路10v、10w、10xも、昇圧回路10uと同様に構成されている。尚、以下、リアクトル12、13、14、15を総称してリアクトル12−15と称する場合がある。また、スイッチング素子16、17、18、19を総称してスイッチング素子16−19と称する場合がある。電流センサ32、33、34は、夫々スイッチング素子17、18、19に流れ込む電流を検出するためのものであり、いずれも昇圧回路10v、10w、10xの構成に直接関与するものではない。電流センサ31、32、33、34を総称して電流センサ31−34と称する場合がある。
このように構成される各昇圧回路10u−10xは、コントローラ50からスイッチング素子16−19の各ゲートに入力されるPWM信号によってスイッチング素子16−19が夫々オンオフ制御されることにより、リアクトル12−15とコンデンサ20に電気エネルギを蓄えることで、FCスタック3から入力端正極11aに入力された直流電圧が昇圧されて出力端正極11bから出力される。
FCスタック3は、例えば、固体高分子形燃料電池であり、複数の単セルを直列に積層したものである。単セルは、典型的には、固体高分子膜など(電解質)を燃料極(負極)と空気極(正極)で挟み込んだもの(MEA)を、さらに燃料ガスと酸化ガスを供給するための導電板で挟み込んだ構造を備えている。本実施例では、例えば、燃料ガスは水素ガスであり、酸化ガスは酸素ガスである。これらのガスは、夫々水素系ポンプ5及び酸素系ポンプ6を介してFCスタック3に供給される。
水素系ポンプ5及び酸素系ポンプ6は、いずれもモータ駆動により回転するファンを備えており、これらのファンモータはコントローラ50に夫々接続されている。ファンモータは、コントローラ50から出力される制御信号により駆動制御可能に構成されている。例えば、PWM制御によりファンモータの回転速度制御が行われる。具体的には、例えば、PWM信号のデューティ比を0%−100%の間で変化させることで、停止、低速、中速、高速などの回転速度の制御を行うことによって、燃料ガスなどの供給の開始や停止あるいは供給量の調整などを可能にしている。
コントローラ50は、マイクロコンピュータを中心にメモリ、入出力インタフェースなどにより構成されており、車載LANを介して上位コンピュータと情報通信可能に構成されている。コントローラ50には、上述した電流センサ7、電圧センサ8及び電流センサ31−34が接続されており、これらからセンサ信号が入力される。また、制御対象となる、水素系ポンプ5、酸素系ポンプ6やスイッチング素子16−19も、コントローラ50に接続されており、これらにはPWM信号などの制御信号が出力される。
コントローラ50は、昇圧回路10u−10xを、位相を変えて駆動する。例えば、FCスタック3から入力される入力電力に応じて、2つの昇圧回路10u、10vを駆動する場合には相互に位相が180度ずれるように、また3つのコンバータ回路10u、10v、10wを駆動する場合には相互に位相が120度ずれるように、スイッチング素子16−19のオンオフを切り換えるPWM信号のタイミングを昇圧回路10u−10xごとに変えて出力する。
これにより、入力電力に応じた出力が可能になるとともに、出力電力に含まれるリップル成分の一部が相殺されてリップル成分が低減される。コントローラ50は、FCスタック3に接続される電流センサ7及び電圧センサ8によるセンサ信号によって、FCスタック3から出力される電流情報や電圧情報を取得して、多相コンバータユニット10に入力される電流、電圧又は電力の各値を把握している。
ところで、このような昇圧回路10u−10xは、前述したように、FCスタック3が接続されている入力端正極11aに対してそれぞれ並列に接続されている。そのため、例えば、これらの昇圧回路10u−10xのうち、昇圧回路10vにおいてスイッチング素子17がオン固着などの短絡故障を起こした場合には、故障したスイッチング素子17に接続されているリアクトル13にはFCスタック3から大電流が流れ込みリアクトル13が発熱する虞がある。
このような場合、コントローラ50は、電流センサ32のセンサ信号から得られる電流情報が過大である(例えば、予め定められている所定値を超えている)ためにスイッチング素子17に短絡故障が発生していると判定したときには、燃料ガスなどの供給を中止してFCスタック3をシャットダウンする。すなわち、コントローラ50は、水素系ポンプ5及び酸素系ポンプ6を停止させるためにこれらのポンプ5、6に出力しているPWM信号のデューティ比を0%にする(駆動電力を遮断する)。
しかし、水素と酸素の供給が停止しても、FCスタック3に残留していた水素と酸素が反応し、しばらくは電流が出力され続ける。また、水素系ポンプ5や酸素系ポンプ6は、駆動電力が遮断された後もしばらくは慣性で回り続けることがあるため、引き続きFCスタック3に燃料ガスなどが供給されて、シャットダウンしたはずのFCスタック3から電流が出力され続ける。つまり、FCスタック3の出力電流は直ちに0アンペア近くに低下するとは限らない。したがって、このような状態においては、しばらくの期間、FCスタック3から電流が出力され続け得る。そのため、先の例では、昇圧回路10vのリアクトル13は、短絡故障のスイッチング素子17を介してFCスタック3に並列接続された状態に保持されることから、リアクトル13には数100アンペアの大電流が流れることに伴って発熱する可能性がある。
そこで、本実施例では、図2に示す短絡故障監視処理をコントローラ50が実行することで、上述したようなスイッチング素子16−19の短絡故障に起因するリアクトル12−15の発熱を抑制する。図2に、コントローラ50が実行する短絡故障監視処理のフローチャートを示す。なお、この短絡故障監視処理は、例えば、スイッチング素子16−19をPMW制御するメインプログラム(メインルーチン)から呼び出されるサブルーチンであり、スイッチング素子16−19がすべてオフ状態になるべきタイミングにおいて実行される。
短絡故障監視処理では、まずステップS101により、各相の電流情報を取得する処理が行われる。この処理では、コントローラ50は、前述の電流センサ31−34が出力するセンサ信号に基づいてスイッチング素子16−19の夫々に流れる電流値の情報(電流情報)を取得する。そして、続くステップS103により、コントローラ50は、スイッチング素子16−19の夫々に流れる電流の電流値のうち、予め設定されている所定値(所定の電流値)を超えているものがあるか否かを判定する。所定値は、例えば、400アンペアに設定されている。
ステップS103の判定処理により、コントローラ50は、スイッチング素子16−19に流れる電流のいずれか1つ以上の電流値において、所定値(所定の電流値)を超えているものがあると判定した場合には(S103でYES)、水素系ポンプ5及び酸素系ポンプ6(少なくとも水素系ポンプ5)に停止信号を出力する。本実施例では、停止信号として、水素系ポンプ5及び酸素系ポンプ6に出力しているPWM信号のデューティ比を0%にする。
これに対して、ステップS103の判定処理により、スイッチング素子16−19に流れる電流のいずれについても、所定値(所定の電流値)を超えているものがないと判定された場合には(S103でNO)、スイッチング素子16−19には短絡故障が発生していない蓋然性が高いため、本短絡故障監視処理を終了してメインルーチンに戻る。
スイッチング素子16−19の電流値が、所定値(所定の電流値)を超えているものがあると判定された場合には(S103でYES)、コントローラ50は、ステップS105に続けて、ステップS107、S109の各処理を行う。すなわち、コントローラ50は、すべての相のスイッチング素子16−19に対して、継続的なオン信号(デューティ比100%)を出力し(S107)、さらに故障情報を上位のコンピュータなどに出力する(S109)。
オン信号(デューティ比100%)の継続時間は、例えば、水素系ポンプ5及び酸素系ポンプ6が駆動電力を遮断された後、これらのファンモータが慣性で回り続ける可能性のある最大時間(例えば、約5秒から約10秒)に設定される。これにより、例えば、図3に示すように、先の例示の如くスイッチング素子17が短絡故障している場合においては、FCスタック3から供給され続ける出力電流は、複数の昇圧回路10u−10xへ流れる電流iu、iv、iw、ix(図3に示す細破線矢印)に分散される。分散された電流iu、iv、iw、ixは、夫々の相のリアクトル12−15を介してコモン端子11cに流れる。図3に、多相コンバータ9において全相(U相、V相、W相、Z相)のスイッチング素子16−19をオン状態にした場合の電流経路を表した説明図を示す。
つまり、FCスタック3から供給される電流I(図3に示す太破線矢印)は、各相のリアクトル12−15にほぼ等しく分配されて(I=iu+iv+iw+ix、iu≒iv≒iw≒ix≒I/4)、コモン端子11c側に流れる。そのため、オン固着などにより短絡故障したスイッチング素子17だけがオン状態であり、他のスイッチング素子16、18、19がオフ状態である場合に比べて、リアクトル13に流れる電流値ivを1/N(Nは相数)に減少させることが可能になる。したがって、リアクトル12−15の発熱を抑制することができる。
続くステップS109では、故障情報を出力する処理が行われる。ステップS103による判定処理により、コントローラ50は、短絡故障が発生しているスイッチング素子16−19を特定し得る。そのため、コントローラ50は、故障情報として、例えば、短絡故障を生じているスイッチング素子16−19のいずれかを特定する情報を上位コンピュータやSDRAMなどの不揮発性半導体記憶装置に出力する。また、このような詳細な情報ではなく、故障情報として、単に多相コンバータ9が故障している情報を上位コンピュータなどに出力してもよい。
これにより、上位コンピュータなどは、例えば、インストルメントパネルに故障情報を表示したり、エラーログファイルなどに故障情報を記録したりすることが可能になる。ステップS109の処理が終わると、本短絡故障監視処理を終了してメインルーチンに戻る。尚、故障情報を出力する他の態様として、警告フラグをオンにして本短絡故障監視処理を終了してもよい。これにより、メインルーチンにおいても、スイッチング素子16−19のいずれかにおいて、短絡故障の発生を把握することが可能になる。
実施例で説明した多相コンバータ9は、以下の特徴を備えている。多相コンバータ9は、並列に接続された4相の昇圧回路10u、10v、10w、10xとコントローラ50を備えている。各昇圧回路は、一端が入力端正極11aに接続されているリアクトル12(13−15)と、リアクトル12(13−15)の夫々の他端とコモン端子11c側の間に接続されており、FCスタック3からリアクトル12(13−15)に流れる電流をオンオフするスイッチング素子16(17−19)と、を有している。コントローラ50は、各相のスイッチング素子16−19のオンオフを制御する。そして、コントローラ50は、各相のスイッチング素子16−19のうち、1つ以上のスイッチング素子が短絡故障している場合には、全てのスイッチング素子16−19をオンに制御する。
これにより、FCスタック3から流れ込む電流Iは、各相のリアクトル12−15にほぼ等しく分配されてコモン端子11c側に流れるため、リアクトル13に流れる電流値ivを1/4に減少させることが可能になる。したがって、リアクトル12−15の発熱を抑制することができる。並列に接続される昇圧回路がN個であれば、リアクトルに流れる電流を、FCスタック3の出力電流の1/Nに減少させることが可能になる。
本実施例では、スイッチング素子17に短絡故障が発生している場合を例示して説明した。しかしこれに限られることはなく、スイッチング素子16、18、19のいずれかにおいて、短絡故障が発生している場合であっても、上述したように、リアクトル12、14、15に流れる電流値iu、iw、ixを夫々1/N(Nは相数)に減少させることが可能になる。したがって、このような場合においても、リアクトル12−15の発熱を抑制することができる。
また、本実施例では、スイッチング素子17だけに短絡故障が発生している場合を例示して説明した。しかしこれに限られることはなく、スイッチング素子16−19のうちの2つ以上において、短絡故障が発生している場合であっても、上述したように、各リアクトル12−15に流れる電流値iu、iv、iw、ixを夫々1/N(Nは相数)に減少させることが可能になる。したがって、このような場合においても、リアクトル12−15の発熱を抑制することができる。
また、本実施例では、スイッチング素子16−19をIGBTで構成した。しかしこれに限られることはなく、これらをパワーMOSFETや、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(ガリウムナイトライド)などを用いた半導体素子により構成してもよい。
さらに、本実施例では、4相(U相、V相、W相、X相)分の昇圧回路10u−10xを備えた多相コンバータユニット10の場合を例示して説明した。しかしこれに限られることはなく、相数が複数であれば、昇圧回路を2つ備える2相構成のものや昇圧回路を3つ備える3相構成のものであっても上述と同様の作用及び効果を得ることが可能である。
また、本実施例では、多相コンバータ9を、電気自動車の走行用モータを駆動させる電力系統に用いられる昇圧コンバータに適用する例を挙げて説明した。しかしこれに限られることはない。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
3:FCスタック(燃料電池)
5:水素系ポンプ
6:酸素系ポンプ
9:多相コンバータ
10:多相コンバータユニット
10u−10x:昇圧回路
11a:入力端子
11b:出力端子
11c:コモン端子
12−15:リアクトル
16−19:スイッチング素子
20、29:コンデンサ
21−28:ダイオード
31−34:電流センサ
50:コントローラ

Claims (1)

  1. 燃料電池の出力電圧を昇圧する多相コンバータであり、
    並列に接続されている複数の昇圧回路と、
    前記昇圧回路を制御するコントローラと、
    を備えており、
    夫々の前記昇圧回路は、
    入力端正極と出力端正極の間に接続されているリアクトルと、
    前記リアクトルの前記出力端正極の側と入力端負極の間に接続されているスイッチング素子と、
    を備えているとともに、前記入力端負極と出力端負極が接続されており、
    前記コントローラは、複数の前記昇圧回路のいずれかのスイッチング素子が短絡故障した場合に、全ての前記昇圧回路の前記スイッチング素子をオンにする、多相コンバータ。
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