以下に説明する各実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(実施形態)
(1)概要
本実施形態に係る人検知システム1について、図1〜3を参照して説明する。
人検知システム1は、例えばビルの廊下、オフィス及び住宅の居室などに設定された検知エリア90(図2参照)における、人91の存在の有無を検知する。人検知システム1は、検知エリア90からの赤外線の受光強度の変化に基づいて、人91の存在の有無を検知する。すなわち、人検知システム1は、検知エリア90外と検知エリア90内との間での人91の移動、又は検知エリア90内での人91の微動又は大きな動きによって生じる、赤外線の受光強度の変化から、人91の存在の有無を検知する。ここでいう「微動」とは、例えば人91の呼吸動作による身体の揺らぎ、及び身じろぎ等、人91の比較的小さな動きを意味する。
人検知システム1は、検知エリア90の状態が、存在状態と不在状態とのいずれであるかを検知する。ここでいう「存在状態」とは、検知エリア90に人91が存在する状態である。「不在状態」とは、検知エリア90に人91が存在しない状態である。したがって、検知エリア90に人91が存在しない状態では、人検知システム1の検知結果は「不在状態」となる。検知エリア90へ人91が進入すると、人検知システム1の検知結果は「不在状態」から「存在状態」に変化する。その後、検知エリア90に人91が滞在している間は、人検知システム1の検知結果は「存在状態」を維持する。検知エリア90から人91が退出すると、人検知システム1の検知結果は「存在状態」から「不在状態」に変化する。
人検知システム1は、検知エリア90の明るさ(照度)を検知し、検知結果に応じて人検知の感度を変更する。
本実施形態では一例として、人検知システム1は、照明制御システム40(図1参照)と通信可能である。照明制御システム40は、検知エリア90を照明する照明器具41(図1、図2参照)と、照明器具41を制御する制御装置42(図1参照)とを備えている。人検知システム1は、人検知の検知結果及び検知エリア90の明るさに応じて照明器具41の点灯の要否を判断する。人検知システム1の判断結果は、制御装置42に入力される。制御装置42は、人検知システム1の判断結果に応じて、照明器具41を点灯又は消灯させる。制御装置42は、照明器具41への給電路に挿入され照明器具41の通電をオン/オフするスイッチであってもよい。このように、本実施形態の人検知システム1は、人91の存在の有無に応じて照明器具41を制御する、照明制御システム40に用いられる。これにより、人検知システム1は、検知エリア90に人91が進入すれば照明器具41を点灯させることができる。また、人検知システム1は、検知エリア90から人91が退出すれば照明器具41を消灯させることで、照明器具41の消し忘れによる無駄な電力消費を抑えることができる。
(2)構成
人検知システム1は、図1に示すように、複数の焦電センサ10と、明るさセンサ20と、検知回路30とを備えている。
各焦電センサ10は、受光素子101と、変換回路102と、増幅回路103と、A/D変換器104とを有している。受光素子101は、焦電素子であって、検知エリア90からの赤外線の受光強度の変化に応じた信号(電気信号)を出力する。変換回路102は、受光素子101から出力される電気信号を、電流信号から電圧信号に変換する。増幅回路103は、変換回路102から出力される電圧信号を増幅する。A/D変換器104は、増幅回路103から出力されるアナログ信号(電圧信号)を、デジタル信号に変換する。人検知システム1は、複数の焦電センサ10を用いて検知エリア90での人91の存在の有無を検知する。
明るさセンサ20は、照度センサ201と、増幅回路202と、A/D変換器203とを有している。照度センサ201は、明るさ検知エリア92(図2参照)での照度を計測し、計測結果に応じた信号(電圧信号)を出力する。増幅回路202は、照度センサ201から出力される電圧信号を増幅する。A/D変換器203は、増幅回路202から出力されるアナログ信号(電圧信号)を、デジタル信号に変換する。なお、本実施形態では、照度センサ201が検知する照度のエリア(明るさ検知エリア92)は、検知エリア90を包含している。ここで、照度センサ201が計測する照度は、明るさ検知エリア92での平均照度であってもよいし、明るさ検知エリア92内での最大照度又は最小照度であってもよい。
各焦電センサ10及び明るさセンサ20は、光学系15(図2参照)と組み合わせて用いられる。光学系15は、レンズ若しくはミラー、又はこれらの組み合わせからなり、検知エリア90からの赤外線を受光素子101に集光する。さらに、光学系15は、検知エリア90の床面からの反射光を明るさセンサ20(照度センサ201)に集光する。各焦電センサ10及び明るさセンサ20は、検知回路30と共に1つの筐体に収納される。焦電センサ10及び明るさセンサ20を含む人検知システム1は、図2に示すように、例えば施設内の天井に設置され、施設内に設定された検知エリア90から赤外線を受光、及び検知エリア90の反射光を受光する。
検知回路30は、複数の焦電用バッファ301と、複数の焦電用フィルタ部302と、照度用バッファ303と、制御部310と、出力部311とを有している。
各A/D変換器104からの入力信号は、焦電用バッファ301を介して焦電用フィルタ部302に入力される。焦電用フィルタ部302は、特定の周波数成分を減衰又は増幅させる。
本実施形態では、検知回路30は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが検知回路30として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
各受光素子101の出力は、変換回路102、増幅回路103、A/D変換器104、焦電用バッファ301及び焦電用フィルタ部302を介して、制御部310へ入力される。具体的には、複数の焦電センサ10は、受光素子101を有し、検知エリア90からの赤外線の受光強度の変化に応じた出力信号V1,V2,・・・,V3を、後述する積分処理部321に出力する(図1参照)。積分処理部321には、出力信号V1,V2,V3が別々に入力される。
さらに、出力信号V1,V2,・・・,V3のうち、焦電センサ10a(図1参照)の出力信号V1については、後述する検知部320にも直接的に出力される。そのため、検知部320には、出力信号V1,V2,・・・,V3が積分処理部321を介して入力され、かつ焦電センサ10aの出力信号V1が積分処理部321を介さずに入力される。
焦電用フィルタ部302は、焦電センサ10の出力から交流成分を抽出する。焦電用フィルタ部302が通過させる周波数帯域は、例えば0.3Hz〜1Hzに設定されている。この周波数帯域は、人91の微動に対応した周波数帯域である。各焦電用フィルタ部302の出力、つまり出力信号V1,V2,・・・,V3は、それぞれ低周波成分(直流成分を含む)が除去された交流信号になる。
ここで、焦電センサ10aからの出力を受け付ける焦電用フィルタ部302a(図1参照)は、検知部320に対して直接的に出力する出力信号V1と、積分処理部321に出力する出力信号V1とで、通過させる周波数帯域(通過帯域)が異なっていることが好ましい。この場合、焦電センサ10aから積分処理部321に出力される出力信号V1については、焦電用フィルタ部302aの通過帯域は、上述したように例えば0.3Hz〜1Hzとなる。一方、焦電センサ10aから検知部320に対して直接的に出力される出力信号V1については、焦電用フィルタ部302aの通過帯域は、例えば1Hz付近を中心周波数とする周波数帯域となる。焦電用フィルタ部302aは、出力先ごとに個別のフィルタを有していてもよいし、後述する検知部320の動作モードに応じて通過帯域を切り替えてもよい。
明るさセンサ20(照度センサ201)の出力は、増幅回路202、A/D変換器203及び照度用バッファ303を介して、制御部310へ入力される。具体的には、明るさセンサ20は、照度センサ201を有し、明るさ検知エリア92で計測された照度に応じた出力信号Vjを、照度用バッファ303を介して、後述する設定部322及び指示部323に出力する(図1参照)。
制御部310は、図1に示すように、検知部320と、積分処理部321と、設定部322と、指示部323とを有している。
積分処理部321は、出力信号V1,V2,・・・,V3を乗算処理する。積分処理部321は、出力信号V1,V2,・・・,V3を乗算処理することにより、出力信号V1,V2,・・・,V3の同相成分を抽出する同期検波を行う。
積分処理部321は、乗算結果を積分処理する。積分処理部321は、乗算結果を一時的に蓄積するメモリを有しており、このメモリに蓄積されている乗算結果を積分する。積分処理部321は、直近の積分時間分の乗算結果の積分値を求めている。言い換えれば、積分処理部321は、現在を終点とする、積分時間分の期間(積分対象期間)について、乗算結果を積算した値を評価値Viとして求める。つまり、積分処理部321はいわゆる移動積分を実行する。積分時間の長さは、人検知システム1の用途などに応じて、例えば30秒、60秒、及び90秒等から適宜選択される。
検知部320は、各焦電センサ10の出力信号に基づいて、検知エリア90内での人の存否を検知する。言い換えると、検知部320は、検知エリア90の状態が、検知エリア90に人91が存在する「存在状態」と、検知エリア90に人91が存在しない「不在状態」とのいずれであるかを判定する。
検知部320の動作モード(つまり、人検知の動作モード)は、進入検知モードと、滞在検知モードとを含んでいる。進入検知モードは、検知エリア90への人91の進入の有無を検知するための動作モードである。滞在検知モードは、検知エリア90からの人91の退出の有無を検知するための動作モードである。
検知部320は、進入検知モードにおいては、出力信号V1の振幅と、人検知の感度として設定された進入検知用閾値との比較結果が第1の判定条件を満たせば、存在状態と判定する。ここでは、出力信号V1は、焦電センサ10aから検知部320に直接的に入力される出力信号V1である。
例えば、検知エリア90への人91の進入などにより、検知エリア90からの赤外線の受光強度が変化すると、出力信号V1には比較的大きな変動が生じる。出力信号V1の振幅は、出力信号V1における基準電圧(0V)からの変化量(絶対値)と同義である。
検知部320は、出力信号V1の振幅がある時刻において進入検知用閾値に達した場合、出力信号V1の振幅と進入検知用閾値との比較結果が第1の判定条件を満たしたと判断し、存在状態と判定する。
検知部320は、滞在検知モードにおいては、出力信号V1,V2,・・・,V3から求まる値であって検知エリア90における人91の動きに応じた評価値Viと滞在検知用閾値との比較結果が第2の判定条件を満たせば、不在状態と判定する。ここでは、評価値Viは積分処理部321の出力値である。
本実施形態では一例として、第2の判定条件は、評価値Viが滞在検知用閾値未満になった時点から所定の遅延時間が経過するまで、評価値Viが滞在検知用閾値未満の状態が継続することである。
検知部320は、進入検知モード及び滞在検知モードを含む複数の動作モードの中から、動作モードを択一的に選択して動作する。したがって、例えば進入検知モードと滞在検知モードとの両方の動作モードが同時に選択されることはない。
検知部320は、滞在検知モードにおいて不在状態と判定すると、動作モードを滞在検知モードから進入検知モードに切り替える。また、検知部320は、進入検知モードにおいて存在状態と判定すると、動作モードを進入検知モードから滞在検知モードに切り替える。
これにより、検知エリア90に人91が存在しない状態では、検知部320は、基本的に、進入検知モードで動作し、検知エリア90への人91の進入の有無を検知する。一方、検知エリア90に人91が存在する状態では、検知部320は、基本的に、滞在検知モードで動作し、検知エリア90からの人91の退出の有無を検知する。
ところで、積分処理部321は、検知部320の動作モードが進入検知モードにある間には、動作を停止している。つまり、積分処理部321は、検知部320の動作モードが滞在検知モードにある間のみ、動作する。検知部320は、滞在検知モードにおいて積分時間が終了すると、評価値Viと滞在検知用閾値との比較を行う。
一方、出力信号V1の振幅と進入検知用閾値との比較については、検知部320は、動作モードにかかわらず随時行う。
設定部322は、明るさセンサ20からの出力信号Vjに基づいて、進入検知モードにおける感度を変更する。具体的には、設定部322は、明るさセンサ20からの出力信号Vjに基づいて、進入検知用閾値を変更する。すなわち、設定部322は、明るさセンサ20からの出力信号Vjに基づいて、進入検知モードにおいて使用される進入検知用閾値の設定を行う。
指示部323は、検知部320の検知結果と明るさセンサ20からの出力信号Vjとに基づいて、照明器具41の点灯の要否を表す制御信号を、出力部311を介して制御装置42に出力する。
具体的には、指示部323は、検知部320の検知結果が不在状態である場合には、明るさセンサ20からの出力信号Vjの値に関わらず点灯は不要であること、つまり消灯を表す制御信号(消灯信号)を、制御装置42に出力する。
指示部323は、検知部320の検知結果が存在状態であり、かつ明るさセンサ20からの出力信号Vjが予め定められた明るさ閾値未満である場合には、点灯が必要であること、つまり点灯を表す制御信号(点灯信号)を、制御装置42に出力する。指示部323は、検知部320の検知結果が存在状態であり、かつ明るさセンサ20からの出力信号Vjが明るさ閾値以上である場合には、消灯信号を制御装置42に出力する。
出力部311は、制御装置42と通信するための通信インターフェースである。出力部311は、指示部323から出力された制御信号を、制御装置42に出力する。
(3)動作
次に、本実施形態に係る人検知システム1の動作、特に進入検知用閾値の設定変更について、図3を参照して説明する。
図3の上段は、時間軸に沿った検知エリア90での状態変化を表している。図3の中段は、検知エリア90(明るさ検知エリア92)での照度の検知結果(出力信号Vjの変化)を表している。図3の下段は、検知エリア90での人検知の検知結果(出力信号V1の変化)を表している。ここで、図3の中段に示す電圧Vaは、進入検知用閾値を変更するか否かの判断基準となる所定の照度に応じた基準閾値(所定の閾値)である。本実施形態では、所定の照度とは、太陽光などが照射される検知エリア90(明るさ検知エリア92)の床面の温度と照射されない他のエリアの床面の温度との温度差が所定値以上となっているとみなされる照度である。つまり、明るさセンサ20は、明るさ検知エリア92の送度を計測することにより、計測した照度に応じた明るさ検知エリア92(検知エリア90)の温度を検知(推測)しているともいえる。また、ここでは、進入検知用閾値としてVbが設定されていると仮定する。
時刻t0〜t1において、検知エリア90では太陽光の照射はなく、明るさセンサ20の検知結果(出力信号Vjの電圧)は、基準閾値(電圧)Va未満である。このとき、検知部320は不在状態を検知している。つまり、焦電センサ10aの出力信号V1は進入検知用閾値Vb未満となっている。そのため、照明器具41は、消灯の状態のままである。
時刻t1では、太陽95の太陽光96が検知エリア90に照射されているため、検知される照度が高くなり、明るさセンサ20の検知結果(出力信号Vjの電圧)は、基準閾値Vaに達している。このとき、設定部322は、明るさセンサ20の出力信号Vjの電圧が基準閾値Vaに達しているので、人検知の感度として現在設定されている進入検知用閾値Vbを新たな進入検知用閾値Vc(>Vb)に変更する。検知部320は、進入検知用閾値Vcを用いて人検知を行う。以下、進入検知用閾値Vbを第1進入検知用閾値Vbともいい、進入検知用閾値Vcを第2進入検知用閾値Vcともいう。
時刻t1〜t2においては、検知エリア90では太陽95の太陽光96の照射がされ、明るさセンサ20の出力信号Vjの電圧は基準閾値Va以上となっている。このとき、検知部320は、不在状態を検知している。つまり、焦電センサ10aの出力信号V1は第2進入検知用閾値Vc未満となっている。したがって、照明器具41は、消灯の状態のままである。
時刻t2〜時刻t4において、検知エリア90外のエリアを人91が通行するとその影97が検知エリア90に出現する。このとき、検知エリア90内で影97が出現している箇所と出現していない箇所とでは温度差が生じている。人91が図3の上段に示す矢印98の方向に移動すると、人91の移動に応じて、それに応じて影97も移動する。この場合、時刻t0〜t2までの人検知の場合と比較して、検知する赤外線の変化量は多くなる。その結果、焦電センサ10aの出力信号V1の変化量は大きくなる。例えば、時刻t3では焦電センサ10aの出力信号V1は第1進入検知用閾値Vbを超えている。しかしながら、明るさセンサ20の検知結果により進入検知用閾値を第1進入検知用閾値Vbから第2進入検知用閾値Vcへと変更しているので、検知部320は存在状態と判定しない。つまり検知部320は、検知エリア90の状態が存在状態であると誤検知することはない。したがって、照明器具41は、点灯されることなく消灯の状態のままである。
時刻t4〜t5において、時刻t1〜t2と同一の状態である。
時刻t5において、検知エリア90では太陽光の照射がなくなり、明るさセンサ20の出力信号Vjの電圧は、基準閾値Va未満となっている。このとき、設定部322は、明るさセンサ20の出力信号Vjの電圧が基準閾値Va未満となっているので、人検知の感度として現在設定されている第2進入検知用閾値Vcを第1進入検知用閾値Vbに変更する。したがって、時刻t5以降においても、照明器具41は、消灯の状態のままである。
(変形例)
以下に、変形例について説明する。なお、以下に説明する変形例は、上記実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、人検知システム1と同様の機能は、制御方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る人検知システムの人検知方法は、検知エリア90内で人を検知する人検知システム1で用いられる。人検知方法は、検知エリア90の少なくとも一部を含む明るさ検知エリア92の明るさセンサ20の出力が所定値以上である場合に、人検知の感度を低く設定する制御ステップを含む。一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムを、上述した人検知システム1として機能させるためのプログラムである。
本開示における人検知システム1又は人検知方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における人検知システム1又は人検知方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
さらに、コンピュータシステムは、1または複数のコンピュータで構成されるシステムであってもよい。つまり、人検知システム1が1つの装置で構成されることは必須ではない。例えば、人検知システム1の少なくとも一部の機能は、例えばクラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
例えば、人検知システム1は、図4に示すように、人検知装置500とサーバ501とで構成されてもよい。この場合、人検知装置500と、サーバ501とはインターネット等のネットワーク502で通信可能に接続されている。人検知装置500は、上記実施形態と同様に、複数の焦電センサ10と、明るさセンサ20とを備える。人検知装置500は、複数の焦電センサ10の検知結果(出力信号V1,V2,・・・,V3)と、明るさセンサ20の検知結果(出力信号Vj)とを取得する取得部を、更に備える。人検知装置500は、サーバ501と通信するための通信インターフェースである通信部を、更に備える。サーバ501は、上記実施形態の制御部310と同様の機能を有している。
人検知装置500の通信部は、各出力信号V1,V2,・・・,V3に応じた人検知結果と、出力信号Vjに応じた明るさ検知結果とを、ネットワーク502を介してサーバ501へ送信する。
サーバ501は、明るさ検知結果に応じて進入検知閾値を変更するか否かを判断する。変更すると判断した場合には、サーバは、現在設定されている進入検知用閾値を新たな進入検知用閾値へと変更する。
さらに、サーバ501は、人検知結果により存在状態を検知した場合であって明るさ検知結果が明るさ閾値未満である場合には、点灯を表す制御情報(点灯情報)を、ネットワーク502を介して人検知装置500へ送信する。サーバ501は、人検知結果により存在状態を検知した場合であって明るさ検知結果が明るさ閾値以上である場合には、消灯を表す制御情報(消灯情報)を、ネットワーク502を介して人検知装置500へ送信する。サーバ501は、人検知結果により不在状態を検知した場合には、明るさ検知結果に関わらず消灯を表す制御情報(消灯情報)を、ネットワーク502を介して人検知装置500へ送信する。
人検知装置500は、制御情報として点灯情報をサーバ501から受け取った場合には、制御信号として点灯信号を制御装置42へ出力する。人検知装置500は、制御情報として消灯情報をサーバ501から受け取った場合には、制御信号として消灯信号を制御装置42へ出力する。
このように、人検知装置500は、サーバ501と連携することで、照明器具41の点灯、消灯の制御を行うことができる。図4に示す人検知システム1は、例えば、施設内の情報(焦電センサ10の検知結果、明るさセンサ20の検知結果)を基に、施設内の照明器具を制御するサービスを提供する場合に有効である。
上記実施形態では、明るさ検知エリア92は、検知エリア90を包含する構成としたが、この構成に限定されない。明るさ検知エリア92と検知エリア90とは、少なくとも一部が重複していればよい。
上記実施形態では、人検知システム1は、明るさセンサ20を備える構成としたが、この構成に限定されない。人検知システム1は、外部に設けられた明るさセンサ20から検知結果を取得する構成であってもよい。つまり、明るさセンサ20は、人検知システム1の必須の構成要件ではない。
上記実施形態では、明るさセンサ20は照度センサ201を含む構成としたが、この構成に限定されない。明るさセンサ20は、カメラを含む構成であってもよい。この場合、明るさセンサ20は、カメラで撮影された画像を検知回路30に出力する。検知部320は、例えば画像の平均画素値(平均輝度)が所定値以上である場合に、第1進入検知用閾値を第2進入検知用閾値に変更する。
上記実施形態では、進入検知用閾値を第1進入検知用閾値Vbから第2進入検知用閾値Vcに変更する場合、及び第2進入検知用閾値Vcから第1進入検知用閾値Vbに変更する場合の双方において、同一の基準閾値Vaを用いる構成とした。しかしながら、この構成に限定されない。進入検知用閾値を第1進入検知用閾値Vbから第2進入検知用閾値Vcに変更する場合、及び第2進入検知用閾値Vcから第1進入検知用閾値Vbに変更する場合において、異なる基準閾値を用いてもよい。例えば、進入検知用閾値を第1進入検知用閾値Vbから第2進入検知用閾値Vcに変更する場合には第1基準閾値を用い、第2進入検知用閾値Vcから第1進入検知用閾値Vbに変更する場合には第2基準閾値を用いる。
上記実施形態では、進入検知用閾値を1段階で変更する構成、つまり人検知の感度を1段階で変更する構成としたが、この構成に限定されない。感度の変更は多段階であってもよい。感度の変更を多段階にすることで、人検知の最適な閾値を設定することができる。
上記実施形態では、人検知システム1は、進入検知用閾値を変更することで人検知の感度を変更する構成としたが、この構成に限定されない。人検知システム1は、明るさセンサ20の検知結果に応じて焦電センサ10aの出力信号V1のゲインを増幅回路103で変更することで、感度を変更してもよい。
上記実施形態では、明るさセンサ20の検知結果は、進入検知用閾値の変更の判断及び照明器具の点灯の要否の判断の双方に用いられる構成としたが、この構成に限定されない。明るさセンサ20の検知結果は、進入検知用閾値の変更の判断のみに用いられてもよい。この場合、例えば、オフィスのように人が存在する場所では、照明器具の点灯を必要する場合に有効である。
上記実施形態において、明るさセンサ20の検知結果は、滞在検知用閾値を変更するか否かの判断に用いてもよい。
上記実施形態において、複数の焦電センサ10のうち1つの焦電センサ10と、明るさセンサ20とで、増幅回路及びA/D変換器を共用する構成であってもよい。
上記実施形態において、明るさセンサ20の出力信号Vjは、ノイズを除去するフィルタを介して制御部310に入力されてもよい。
上記実施形態において、光学系15から集光する光は赤外線のみであってもよい。上記実施形態では、明るさセンサ20は、照度を基に明るさ検知エリア92(検知エリア90)の温度を検知(推定)している。そこで、明るさセンサ20は、入力された赤外線を基に温度を検知する構成であってもよい。この場合、明るさセンサ20の検知結果は、照明器具41の制御には用いられない。または、明るさセンサ20は、可視光のみを基に明るさを検知してもよい。
上記実施形態において、人検知システム1は、複数の焦電センサ10を備える構成としたが、この構成に限定されない。人検知システム1は、少なくとも1つの焦電センサ10を備えていればよい。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の人検知システム(1)は、検知エリア(90)内で人を検知する。人検知システム(1)は、制御部(310)を備える。制御部(310)は、検知エリア(90)の少なくとも一部を含む明るさ検知エリア(92)の明るさセンサ(20)の出力が所定の閾値(基準閾値Va)以上である場合に、人検知の感度を低く設定する。
この構成によると、人検知システム(1)は、明るさ検知エリア(92)の明るさセンサ(20)の出力が所定の閾値以上である場合に、人検知の感度を低く設定する。明るさセンサ(20)の出力が所定の閾値以上である場合には検知エリア(90)が光の照射により温められている可能性がある。そのため、人検知システム(1)は、人検知の感度を低く設定するので、検知エリア(90)外で人が移動している場合にその影が検知エリア(90)内に現れた場合であっても、人が検知エリア(90)に存在していると誤検出する可能性を低くすることができる。
第2の態様の人検知システム(1)では、第1の態様において、制御部(310)は、明るさセンサ(20)の出力が閾値としての第1閾値(基準閾値Va)以上となり人検知の感度を低くした後において、明るさセンサ(20)の出力が第2閾値(基準閾値Va)未満となると人検知の感度を高く設定する。この構成によると、人検知システム(1)は、人検知の感度を低く設定した後、明るさセンサ(20)の出力が第2閾値未満となると人検知の感度を高く設定するので、明るさに応じて人検知を適切に行うことができる。
第3の態様の人検知システム(1)は、第1又は第2の態様において、検知エリアでの赤外線変化を検知する焦電センサ(10,10a)を、更に備える。制御部(310)は、焦電センサ(10,10a)が検知した赤外線変化によって得られた検知値(例えば、出力信号V1)が人検知の感度として設定された閾値(閾値Vb,Vc)以上となる場合に検知エリア(90)内で人を検知したと判別する。制御部(310)は、検知エリア(90)内で人を検知した場合には、明るさセンサ(20)の出力に応じて検知エリア(90)に設けられた照明器具(41)の点灯の要否を判断する。この構成によると、人を検知した場合であっても、明るさセンサ(20)の出力に応じて照明器具(41)の点灯の要否を判断するので、不要な消費電力の削減が期待できる。例えば、人を検知した場合であっても、検知エリア(90)内の照明が無くても明るい場合には照明の点灯を不要と判断することで、不要な消費電力の削減することができる。
第4の態様の人検知システム(1)では、第1〜第3のいずれかの態様において、人検知における動作モードは、進入検知モードと、滞在検知モードをと含む。進入検知モードは、検知エリア(90)の外から検知エリア(90)内に人が進入したことを検知する。滞在検知モードは、検知エリア(90)からの人の退出の有無を検知する。制御部(310)は、進入検知モードにおいて、明るさセンサ(20)の出力に応じた人検知の感度で人検知を行う。この構成によると、人が検知エリア(90)に進入したか否かの検知における誤検知を低減することができる。
第5の態様の人検知システム(1)は、第1〜第4のいずれかの態様において、明るさセンサ(20)を、更に備える。この構成によると、人検知システム(1)において明るさ検知エリア(92)の明るさを検知することができる。
第6の態様のプログラムは、コンピュータを、第1〜第5のいずれかの態様の人検知システム(1)として機能させるためのプログラムである。このプログラムによると、明るさ検知エリア(92)の明るさセンサ(20)の出力が所定の閾値以上である場合に、人検知の感度は低く設定される。人検知の感度が低く設定されるので、検知エリア(90)外で人が移動している場合にその影が検知エリア(90)内に現れた場合であっても、人が検知エリア(90)に進入したと誤検出する可能性を低くすることができる。
第7の態様の人検知方法は、検知エリア(90)内で人を検知する人検知システムで用いられる。人検知方法は、制御ステップを含む。制御ステップは、検知エリア(90)の少なくとも一部を含む明るさ検知エリア(92)の明るさセンサ(20)の出力が所定値以上である場合に、人検知の感度を低く設定する。この人検知方法によると、明るさ検知エリア(92)の明るさセンサ(20)の出力が所定の閾値以上である場合に、人検知の感度は低く設定される。そのため、検知エリア(90)外で人が移動している場合にその影が検知エリア(90)内に現れた場合であっても、人が検知エリア(90)に進入したと誤検出する可能性を低くすることができる。