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JP6999232B2 - 音響特性測定装置および方法 - Google Patents

音響特性測定装置および方法 Download PDF

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Description

本発明は、車室内等に設置されたスピーカと聴取位置との間の音響特性を測定する音響特性測定装置および方法に関する。
従来から、TSP(Time-Stretched Pulse)信号や正弦波信号を用いて、スピーカからリスニングポイント(聴取位置)までのインパルス応答を算出する音響処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。TSP信号を用いる場合には、マイクロホンで集音した後にインパルス応答が求められる。このインパルス応答は、各スピーカから出力される音声のリスニングポイントまでの音響特性なので、原音再生のため各スピーカから出力する音声の遅延時間の調整や周波数特性の補正に利用される。また、正弦波信号を用いる場合には、1周波数ずつ正弦波信号を出力しマイクロホンで集音して得られた測定音波形の立上りエッジを検出したり、システム同定を行ったりすることでスピーカからリスニングポイントまでのインパルス応答が算出される。
特開2008-209491号公報
ところで、上述した特許文献1に開示された音響処理装置では、TSP信号や正弦波信号などの測定用信号をスピーカから出力してマイクロホンで集音しているため、スピーカやマイクロホンが通常動作で使用されている間(通常動作時)は、スピーカからマイクロホンまでの間の音響特性を測定することができないという問題があった。また、通常動作の前後や、通常動作を中断して、上述した測定用信号をスピーカから出力して音響特性を測定することはできるが、測定のためだけの時間が必要になるとともに、測定用信号は音声や音楽とは関係のない音であるため、利用者が耳障りに感じるおそれがあるという問題があった。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、通常動作と並行して音響特性を測定することができ、測定のためだけの時間が不要であって、利用者が耳障りに感じることを防止することができる音響特性測定装置および方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の音響特性測定装置は、透かし信号が埋め込まれた音響信号を出力するスピーカと、スピーカから出力された音響信号を所定の聴取位置で集音するマイクロホンと、マイクロホンによって集音した音響信号に埋め込まれた透かし信号に基づいて、スピーカから聴取位置までの音響空間の音響特性を判定する音響特性判定手段とを備えている。
また、本発明の音響特性測定方法は、透かし信号が埋め込まれた音響信号をスピーカから出力することと、スピーカから出力された音響信号を所定の聴取位置でマイクロホンで集音することと、マイクロホンによって集音した音響信号に埋め込まれた透かし信号に基づいて、スピーカから聴取位置までの音響空間の音響特性を音響特性判定手段によって判定することとを有している。
透かし信号を用いてスピーカからマイクロホンまでの音響空間の音響特性が測定されるため、音響信号を用いた通常動作と音響特性の測定動作とを並行して行うことができ、音響特性測定のためだけの時間が不要となる。また、透かし信号が音響信号に埋め込まれているため、利用者が音響特性測定のための信号を特に意識することがなく、利用者が耳障りに感じることを防止することができる。
また、上述した音響信号に埋め込まれた透かし信号がスピーカから出力される出力タイミングを通知する透かし信号タイミング通知手段をさらに備え、音響特性判定手段は、透かし信号タイミング通知手段による通知に応じて音響特性の判定を行う。透かし信号がスピーカから出力されるタイミングを知ることにより、スピーカから透かし信号が出力されるタイミングを基準としたスピーカからマイクロホンまでの音響空間の音響特性を測定することが可能となる。
また、上述した音響特性判定手段は、マイクロホンで集音した音響信号における透かし信号の埋め込み位置を検出する透かし埋め込み位置判定手段と、透かし信号タイミング通知手段による通知と透かし埋め込み位置判定手段による判定結果とに基づいて、音響特性としての音響空間における音響信号の遅延時間を算出する遅延時間算出手段とを備えることが望ましい。これにより、スピーカから出力される透かし信号の出力タイミングとマイクロホンで集音した音響信号に含まれる透かし信号の埋め込み位置、すなわちマイクロホンに到達した透かし信号のタイミングとの差としての遅延時間を得ることができる。
また、上述した透かし埋め込み位置判定手段は、マイクロホンで集音した音響信号と透かし信号との相互相関を算出することにより、透かし信号の埋め込み位置を検出することが望ましい。音響信号に埋め込まれた透かし信号がマイクロホンで集音されるタイミングで、この音響信号と透かし信号との相互相関が最大となるため、相互相関の算出結果に基づいて、集音した音響信号における透かし信号の埋め込み位置を知ることができる。
また、上述した透かし信号タイミング通知手段は、スピーカから透かし信号の出力が完了した第1のタイミングを通知し、透かし埋め込み位置判定手段は、透かし信号の埋め込み位置を検出することにより、マイクロホンに透かし信号の取り込みが完了した第2のタイミングを判定し、遅延時間算出手段は、第1および第2のタイミングの差を遅延時間として算出することが望ましい。これにより、スピーカから透かし信号の出力が終了した時点からマイクロホンによってこの透かし信号の取り込み(集音)が終了した時点までの時間を遅延時間として測定することが可能となる。
また、上述した透かし信号タイミング通知手段は、透かし信号をスピーカから出力する時刻を出力タイミングとして透かし信号に含ませる。透かし信号にその出力時刻を含ませることにより、同種の情報の別系統での通知が不要になり、構成を簡略化することができる。
あるいは、上述した音響特性判定手段は、マイクロホンによって集音した音響信号に埋め込まれた透かし信号を抽出する透かし信号抽出手段と、スピーカから出力される音響信号に含まれる透かし信号としての第1の透かし信号と、透かし信号抽出手段によって抽出された透かし信号としての第2の透かし信号とに基づいて、音響特性としての周波数応答関数を算出する周波数応答関数算出手段とを備える。この場合、スピーカからマイクロホンまでの音響空間を挟んで入出力される前後の2種類の透かし信号を調べることにより、音響空間の音響伝達特性を算出することが可能となる。
また、上述した周波数応答関数算出手段は、第1および第2の透かし信号のそれぞれの離散フーリエ変換を算出することにより、周波数応答関数の算出を行うことが望ましい。特に、上述した周波数応答関数算出手段は、第1および第2の透かし信号のそれぞれの離散フーリエ変換を高速フーリエ変換で算出することが望ましい。これにより、音響信号が音響空間を通過する際の周波数と位相の変化を示す音響伝達特性を得ることができる。
また、上述した透かし信号タイミング通知手段は、スピーカから透かし信号の出力を開始した第3のタイミングを通知し、周波数応答関数算出手段は、第3のタイミングに合わせて第1および第2の透かし信号から周波数応答関数の算出を行うことが望ましい。これにより、音響空間に出力された後の音響信号の周波数等の変化の内容を確実に知ることができる。
また、上述した透かし信号は、スペクトル拡散法を用いて生成されることが望ましい。特に、上述した透かし信号は、所定のデータに疑似乱数系列データを乗算することにより生成されることが望ましい。これにより、広い周波数帯に信号成分が分散した透かし信号を用いることができ、特定周波数の成分について利用者が耳障りに感じることをさらに防止することが可能になるとともに、広い周波数帯に対応する遅延時間や周波数応答関数などの音響特性を測定することが可能となる。
また、上述した透かし信号が埋め込まれた前記音響信号を格納する音響信号格納手段と、前記音響信号格納手段から前記音響信号を読み出して前記スピーカから出力する音響信号出力手段とをさらに備えることが望ましい。特に、上述した音響信号格納手段は、あらかじめ用意されて読み出す毎に内容が変化しない音響信号が格納されていることが望ましい。これにより、音響特性の測定に適した音響信号を予め用意しておくことが可能となる。
また、上述した透かし信号が埋め込まれる前の音響信号としての埋め込み対象音響信号が入力され、透かし信号の埋め込みの適否を判定する埋め込み適否判定手段と、埋め込み適否判定手段によって、透かし信号の埋め込みに適していると判定された埋め込み対象音響信号に対して透かし信号を埋め込んで音響信号を作成する音響信号作成手段とをさらに備えることが望ましい。これにより、通常動作において使用する音響信号の中から音響特性の測定に適したものをその都度選択することが可能となる。
また、上述した埋め込み適否判定手段は、可聴帯域について周波数成分のレベルが埋め込み信号よりも埋め込み対象音響信号の方が大きい場合に、透かし信号の埋め込みに適している旨の判定を行うことが望ましい。これにより、音響特性測定用に用いられる透かし信号を確実にマスキングすることが可能となる。
本発明の音響特性測定装置の概略的な構成を示す図である。 オープニング音と透かし信号の埋め込み位置との関係を示す図である。 遅延時間測定を行う音響特性測定装置の構成を示す図である。 オープニング音に透かし音を埋め込む処理を示す図である。 マイクロホンに到達したオープニング音における透かし信号の埋め込み位置を示す図である。 遅延時間測定の変形例を示す図である。 遅延時間測定の他の変形例を示す図である。 透かし信号の出力タイミングを透かし信号に含ませて通知を行う遅延時間測定の変形例を示す図である。 自身の出力完了時刻を含む透かし信号が埋め込まれたオープニング音を生成する構成を示す図である。 復号処理部によるデータ復元の概要を示す図である。 音響伝達特性測定を行う音響特性測定装置の構成を示す図である。 オーディオ音に透かし信号を埋め込む構成を示す図である。
以下、本発明を適用した一実施形態の音響特性測定装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の音響特性測定装置の概略的な構成を示す図である。図1に示すように、本発明が適用される音響特性測定装置は、オープニング(OP)音出力部100、スピーカ110、透かし信号タイミング通知部120、マイクロホン150、音響特性測定部160を備えている。オープニング音出力部100が音響信号出力手段に、音響特性測定部160が音響特性判定手段に、透かし信号タイミング通知部120が透かし信号タイミング通知手段にそれぞれ対応する。
この音響特性測定装置は、車両に搭載された車載装置の一部を構成しており、オープニング音出力部100やスピーカ110、マイクロホン150は、音響特性測定以外の用途に用いられているものが音響特性測定の用途にも用いられている。
オープニング音出力部100は、所定のオープニング音を出力する。例えば、このオープニング音としては、車両のアクセサリースイッチがオンされて電源が投入された際に、ナビゲーション装置やオーディオ装置などを含む車載装置において起動時の初期画面の表示と同時に出力される音声や効果音を用いる場合、ETC車載機から出力されるETCカード挿入の有無を知らせる音声を用いる場合など、毎回出力する毎に内容が変化しない音響信号を用いることを想定している。また、このオープニング音には、予め透かし信号が埋め込まれている。
この透かし信号については、例えば、以下の文献に記載されている「スペクトル拡散法」に対応する透かし信号を用いることができる。
西村明,「音響信号への情報秘匿技術」,日本音響学会誌,63巻,11号,(2007),p.660-667
特に、上述したオープニング音は、内容が既知(固定)であって、従来から用いられてきたオープニング音に代えて、透かし信号を埋め込んだオープニング音を用意して記憶しておいて、この記憶したオープニング音を読み出してスピーカ110から出力するだけでよい。また、上述したスペクトル拡散法で作成した透かし信号は、広い周波数範囲にわたって拡散されるため、このような透かし信号をマスキングして利用者に意識させないようにするためには、少なくとも透かし信号が埋め込まれる箇所については、同じく広い周波数範囲にわたって周波数成分を有するオープニング音を選択する必要がある。
また、スピーカ110およびマイクロホン150は、音響空間内であって、音響特性測定を行う所定位置に配置されている。例えば、イコライザ装置やアクティブノイズキャンセラ(ANC)などで用いる音響特性(音響伝達特性)の測定を想定する場合には、これらの装置に接続されたスピーカ110や、利用者の聴取位置近傍に設けられたマイクロホン150がそのまま用いられる。あるいは、オーディオ装置などにおいて複数のスピーカのそれぞれから出力されたオーディオ音が利用者の聴取位置に到達するまでの時間差を補正する場合には、オーディオ装置に接続されたスピーカ110や、利用者の聴取位置近傍に設けられたマイクロホン150がそのまま用いられる。
透かし信号タイミング通知部120は、オープニング音出力部100から出力されるオープニング音(音響信号)に埋め込まれた透かし信号がスピーカ110から出力される出力タイミングを音響特性測定部160に向けて通知する。
図2は、オープニング音と透かし信号の埋め込み位置との関係を示す図である。横軸は経過時間tを、縦軸はオープニング音の信号レベルをそれぞれ示している。また、オープニング音の出力開始時点をt1、オープニング音の出力完了時点をt4、所定の時間長を有して埋め込まれた透かし信号の出力開始時点をt2、透かし信号の出力完了時点をt3とする。透かし信号タイミング通知部120は、透かし信号の出力開始時点t2と出力完了時点t3の少なくとも一方を出力タイミングとして通知する。
音響特性測定部160は、透かし信号タイミング通知部120による通知に応じて、マイクロホン150によって集音した音響信号(オープニング音)に埋め込まれた透かし信号に基づいて、スピーカ110からマイクロホン150までの音響空間の音響特性を判定(測定)する。
本実施形態において測定対象となる音響特性としては、(1)スピーカ110から出力された音響信号がマイクロホン150に到達するまでの遅延時間と、(2)この音響空間の音響伝達特性(周波数応答関数)を考えるものとし、以下ではそれぞれの音響特性の測定方法について具体的に説明する。
(1)遅延時間の測定
図3は、遅延時間測定を行う音響特性測定装置の構成を示す図である。図1と同じ構成については同じ符号を用い、必要な場合を除き説明は省略する。また、図1に示す構成と対応する構成には類似の符号が用いられている。
図3に示す音響特性測定装置は、オープニング(OP)音出力部100、スピーカ110、透かし信号完了タイミング通知部120A、マイクロホン150、遅延時間測定部160Aを備えている。
上述したように、オープニング音出力部100が出力するオープニング音には予め透かし音が埋め込まれているため、その都度透かし音を埋め込む処理は不要であるが、マイクロホン150で集音したオープニング音から透かし音を抽出する処理をわかりやすくするために、最初に、オープニング音に透かし音を埋め込む処理を簡単に説明する。
図4は、オープニング音に透かし音を埋め込む処理を示す図である。所定ビット数のデータ(例えば、スピーカ110を識別する情報など)と、スペクトル拡散のための信号兼復号化するための鍵となる疑似乱数系列とを乗算器10で乗算して透かし信号を生成した後、レベル調整器12でオープニング音にマスキングされるようにレベルを調整し、加算器14によってオープニング音を加算する。このようにして、拡散された透かし信号が重畳されたオープニング音(図2)が作成される。例えば、入力されるデータは、8サンプルごとに1あるいは-1の振幅によりビット情報を表しており、データのビット数を6、1ビットのデータレート長が8サンプルで50msとすると、6ビットのデータの全体が48サンプルで、透かし信号の埋め込み時間長は300msとなる。なお、疑似乱数系列は、1サンプルごとに1あるいは-1が割り当てられており、乗算器10によって、サンプル単位でデータと疑似乱数系列との乗算が行われる。
このようにして作成されたオープニング音は、オープニング(OP)音格納部16に格納される。図1や図3に示したオープニング音出力部100は、透かし音が埋め込まれた後のオープニング音をオープニング音格納部16から読み出してスピーカ110から出力している。上述したオープニング音格納部16が音響信号格納手段に対応する。
次に、図3に戻って、遅延時間測定部160Aによる遅延時間の測定動作を説明する。遅延時間測定部160Aは、透かし信号完了タイミング通知部120Aによる通知に応じて、マイクロホン150によって集音したオープニング音に埋め込まれた透かし信号に基づいて、スピーカ110からマイクロホン150までの音響空間における音響信号の遅延時間を測定する。
図3に示すように、遅延時間測定部160Aは、相互相関算出部162、透かし埋め込み位置判定部163、タイマ164を備えている。上述した透かし信号完了タイミング通知部120Aが透かし信号タイミング通知手段に、相互相関算出部162、透かし埋め込み位置判定部163が透かし埋め込み位置判定手段に、タイマ164が遅延時間算出手段にそれぞれ対応する。
相互相関算出部162は、マイクロホン150から出力される集音されたオープニング音と、このオープニング音に埋め込まれた透かし信号を作成するために用いられた疑似乱数系列との相互相関を算出する。上述したように、透かし信号が48サンプルのビットデータからなる場合には、この48サンプル分の相関値が、オープニング音の対象箇所を1サンプル分ずつずらしながら算出される。
透かし埋め込み位置判定部163は、相互相関算出部162によって算出される相関値が最大となった対象箇所を、オープニング音に対する透かし信号の埋め込み位置として判定する。
図5は、マイクロホン150に到達したオープニング音における透かし信号の埋め込み位置を示す図である。図5において、OP1は、スピーカ110から出力されたオープニング音であり、図2に示したものと同じである。スピーカ110からはt1の時点においてオープニング音OP1の出力が開始され、t2の時点において透かし信号の出力が開始される。その後、t3の時点で透かし信号の出力が完了し、さらにt4の時点でオープニング音OP1の出力が完了する。このように透かし信号が埋め込まれたオープニング音OP1は、スピーカ110からマイクロホン150までの音響信号の遅延時間をTとすると、スピーカ110から出力された後、時間Tだけ遅れてマイクロホン150に到達する。
図5において、OP2は、集音されてマイクロホン150から出力されるオープニング音である。このオープニング音OP2は、t11(=t1+T)の時点で開始され、t14(=t4+T)の時点で終了する。一方、このオープニング音OP2に埋め込まれた透かし信号は、t12(=t2+T)の時点で開始され、t13(=t3+T)の時点で終了する。
上述した相互相関算出部162によって算出される相互相関は、透かし信号の出力が終了したt13の時点で最大となるため、透かし埋め込み位置判定部163は、このt13を透かし信号の埋め込み位置として判定して、透かし信号の検出通知をタイマ164に向けて出力する。
透かし信号完了タイミング通知部120Aは、スピーカ110からオープニング音OP1が出力中であって、埋め込まれた透かし信号の出力を完了したとき(図2や図5におけるt3の時点)に、透かし信号の出力完了通知をタイマ164に向けて出力する。
タイマ164は、透かし信号完了タイミング通知部120Aから透かし信号の出力完了通知が入力された時点t3でカウントを開始し、その後、透かし埋め込み位置判定部163から透かし信号の検出通知が入力された時点t13でカウントを停止することにより、カウントを開始されてから停止するまでの時間T(t13-t3=(t3+T)-t3=T)を計測する。この時間Tが、スピーカ110から出力されたオープニング音がマイクロホン150に到達するまでの遅延時間Tとして遅延時間測定部160Aから出力される。
このように、本実施形態の音響特性測定装置では、透かし信号を用いてスピーカ110からマイクロホン150までの音響空間の音響特性としての遅延時間Tが測定されるため、音響信号を用いた通常動作と音響特性の測定動作とを並行して行うことができ、音響特性測定のためだけの時間が不要となる。また、透かし信号が音響信号に埋め込まれているため、利用者が音響特性測定のための信号を特に意識することがなく、利用者が耳障りに感じることを防止することができる。
特に、スピーカ110から出力される透かし信号の出力タイミングとマイクロホン150で集音した音響信号に含まれる透かし信号の埋め込み位置、すなわちマイクロホン150に到達した透かし信号のタイミングとの差としての遅延時間を得ることができる。
図6は、遅延時間測定の変形例を示す図である。図6に示す音響特性測定装置は、2つのスピーカ110(例えば、車両の左右に備わった1組のスピーカ)のそれぞれからマイクロホン150までの音響信号の遅延時間T1、T2を測定するためのものであり、2つのスピーカ110のそれぞれに対応してオープニング音出力部100と透かし信号完了タイミング通知部120Aを備えている。
また、一方のオープニング音出力部100がスピーカ110から出力するオープニング音OP-Aに埋め込まれた透かし信号Aと、他方のオープニング音出力部100がスピーカ110から出力するオープニング音OP-Bに埋め込まれた透かし信号Bとでは、それぞれの埋め込み位置が重ならないようにずらして設定されている。なお、透かし信号Aと透かし信号Bは、図4に示した乗算器10に入力するデータの内容が異なっているとともに、透かし信号A、Bの作成に用いられる疑似乱数系列の内容が異なっている。
一方の遅延時間測定部160Aは、オープニング音OP-Aに埋め込まれた透かし信号Aに着目して一方のスピーカ110からマイクロホン150までの音響信号の遅延時間T1を測定する。また、他方の遅延時間測定部160Aは、オープニング音OP-Bに埋め込まれた透かし信号Bに着目して一方のスピーカ110からマイクロホン150までの音響信号の遅延時間T2を測定する。
なお、図6に示した構成では、2つのスピーカ110と1つのマイクロホン150との組み合わせについて説明したが、3以上のマルチスピーカと1つのマイクロホン150の組み合わせや、1あるいは複数のスピーカと2以上のマイクロホンとの組み合わせについても同様であり、図6に示した構成を拡張することができる。
ところで、スピーカ110の数が多くなると(マルチスピーカの場合)、スピーカ110の数に対応して用意される複数の透かし信号がオープニング音に収まらなくなるおそれがある。この場合には、1回目のオープニング音出力時に一部のスピーカ110について遅延時間を測定し、次回の起動時等の2回目以降のオープニング音出力時に残りのスピーカ110について遅延時間を測定するようにすればよい。例えば、このような遅延時間測定を分割して行う制御(遅延時間測定を実施するオープニング音出力部100と遅延時間測定部160Aの選択)は、図示しない制御部によって行われる。
また、複数のスピーカ110のそれぞれについて遅延時間の測定を行う場合には、複数の遅延時間測定部160Aにおける演算処理を並行して行うことになるが、スピーカ110の数が多くなるとこの演算処理を行うデジタル処理装置(DSP)等のプロセッサの演算量が多くなり、高価なプロセッサを用いる必要がある。このため、上述したマルチスピーカの場合と同様に、複数回に分けて、同時に演算を行う遅延時間測定部160Aの数を減らすようにしてもよい。この場合も、遅延時間測定を分割して行う制御(遅延時間測定を実施するオープニング音出力部100と遅延時間測定部160Aの選択)は、図示しない制御部によって行われる。
また、この場合に、1回目のオープニング音と2回目以降のオープニング音とでは、必ずしも透かし信号の埋め込み位置をずらしたり、内容を変更する必要はなく、同じ透かし信号を用いるようにしてもよい。これにより、マイクロホン150に接続される遅延時間測定部160Aの数、すなわち、遅延時間測定に必要な処理負担を少なくすることができる。
図7は、遅延時間測定の他の変形例を示す図である。図7に示す音響特性測定装置は、2つのスピーカ110のそれぞれからマイクロホン150までの音響信号の遅延時間を測定するためのものであり、1組のオープニング音出力部100および透かし信号完了タイミング通知部120Aと、透かし信号が埋め込まれていないオープニング音を出力するオープニング音出力部100Aと、2つの切替スイッチ170、172と、制御部180とを備えている。
この音響特性測定装置では、1回目のオープニング音の出力によって一方のスピーカ110からマイクロホン150までの音響信号の遅延時間測定を行い、2回目のオープニング音の出力によって他方のスピーカ110からマイクロホン150までの音響信号の遅延時間測定を行う。制御部180は、2つの切替スイッチ170、172を切り替えることにより、1回目のオープニング音出力時には、一方のスピーカ110から透かし信号が埋め込まれたオープニング音が出力され、他方のスピーカ110から透かし信号が含まれないオープニング音が出力されるようにする。これにより、透かし信号が埋め込まれた一方のスピーカ110からマイクロホン150までの遅延時間が測定される。また、制御部180は、2つの切替スイッチ170、172を切り替えることにより、2回目のオープニング音出力時には、他方のスピーカ110から透かし信号が埋め込まれたオープニング音が出力され、一方のスピーカ110から透かし信号が含まれないオープニング音が出力されるようにする。これにより、透かし信号が埋め込まれた他方のスピーカ110からマイクロホン150までの遅延時間が測定される。
ところで、上述した実施形態では、透かし信号タイミング通知部120(透かし信号完了タイミング通知部120A)によってオープニング音出力部100から出力されるオープニング音に埋め込まれた透かし信号がスピーカ110から出力される出力タイミングを音響特性測定部160(遅延時間測定部160A)に通知するようにしたが、同様の信号を透かし信号に含ませて音響特性測定部160(遅延時間測定部160A)に通知するようにしてもよい。
図8は、透かし信号の出力タイミングを透かし信号に含ませて通知を行う遅延時間測定の変形例を示す図である。図8に示す音響特性測定装置は、オープニング音出力部100B、スピーカ110、マイクロホン150、遅延時間測定部160Bを備えている。
オープニング音出力部100Bは、埋め込まれた透かし信号の出力タイミングがこの透かし信号自身に含まれるオープニング音を出力する。音響特性測定装置(車載装置)が起動されてその時点での時刻がわかると、オープニング音の出力時刻もわかるため、オープニング音の所定位置に埋め込まれる透かし信号の出力タイミング(例えば、出力完了時刻T0)を算出して、この透かし信号にこの透かし信号自身の出力完了時刻を含ませることが可能となる。
図9は、自身の出力完了時刻を含む透かし信号が埋め込まれたオープニング音を生成する構成を示す図である。図9に示す構成は、図4に示した構成に対してデータ作成部18が追加されている。データ作成部18は、透かし信号の出力完了時刻を示す所定ビット数のデータを乗算器10に入力する。演算器10以降の処理は、図4に示した構成と同様であり、出力完了時刻を含む透かし信号が埋め込まれたオープニング音がオープニング音格納部16に格納される。
図8に示したオープニング音出力部100Bは、オープニング音格納部16に格納されたオープニング音を所定のタイミング(透かし信号の出力完了タイミングがこの透かし音のデータに含まれる出力完了時刻T0と一致するタイミング)で読み出してスピーカ110から出力する。
遅延時間測定部160Bは、マイクロホン150によって集音したオープニング音に埋め込まれた透かし信号の埋め込み位置とこの透かし信号に含まれる出力完了時刻T0とに基づいて、スピーカ110からマイクロホン150までの音響空間における音響信号の遅延時間を測定する。
図8に示すように、遅延時間測定部160Bは、相互相関算出部162、透かし埋め込み位置判定部163、遅延時間算出部164A、復号処理部165を備えている。図3と同じ構成については同じ符号を用い、必要な場合を除き説明は省略する。また、図3に示す構成と対応する構成には類似の符号が用いられている。
透かし埋め込み位置判定部163は、相互相関算出部162によって算出される相関値が最大となった対象箇所を、オープニング音に対する透かし信号の特定の埋め込み位置として判定し、この透かし信号のマイクロホン150への取り込みが完了した時刻T1を特定する。
復号処理部165は、マイクロホン150から出力される集音されたオープニング音に基づいて、埋め込まれた透かし信号に含まれるデータ(出力完了時刻T0)を復元する。
図10は、復号処理部165によるデータ復元の概要を示す図である。上述したように、透かし信号埋め込み位置判定部163によって透かし信号の取り込みが完了した時点(時刻t13)が判定されると、その時点を基準にしてその直前にマイクロホン150に入力されたオープニング音の中の透かし信号に対応する箇所を同定することができる。加算器20は、同定された箇所の第1のオープニング音(例えば、マイクロホン150から出力されるオープニング音が図示しない格納部に一旦格納され、該当箇所が同定された後に読み出すことができるものとする)から、同じ位置に対応する透かし信号なしの第2のオープニング音を差し引くことにより、オープニング音に埋め込まれた透かし信号を抽出する。乗算器21は、この抽出された透かし信号に、この透かし信号の作成に使用した疑似乱数系列を乗算することにより、スペクトル拡散に対する逆拡散処理を行ってデータを復元する。なお、実際には、データの各ビットが8サンプルで表されている場合には、この8サンプルに相当するデータレートごとに振幅の平均をとることにより、所定ビット数の第2のデータの復元が行われる。
遅延時間算出部164Aは、透かし埋め込み位置判定部163によって特定された時刻T1(透かし信号がマイクロホン150に到達した時刻)から、復号処理部165によって復元されたデータで示される時刻T0(透かし信号がスピーカ110から出力された出力完了時刻T0)を差し引くことにより、これらの差であるスピーカ110からマイクロホン150までの音響信号の遅延時間Tを算出する。
このように、透かし信号にその出力時刻を含ませることにより、同種の情報を別系統で通知を行う必要がないため、構成を簡略化することができる。
なお、スピーカ110が複数ある場合やマイクロホン150が複数ある場合などの組み合わせについても、透かし信号に出力時刻を含ませることにより、同様に各スピーカと各マイクロホンの組み合わせについて遅延時間を算出できる。また、どのスピーカから出力されたオープニング音に含まれる透かし信号かを識別する方法については、透かし信号を作成するために用いられる疑似符号系列に基づいて識別するようにしてもよいし、透かし信号のデータにスピーカのID等を含ませて識別するようにしてもよい。
(2)音響伝達特性(周波数応答関数)の測定
図11は、音響伝達特性測定を行う音響特性測定装置の構成を示す図である。図1と同じ構成については同じ符号を用い、必要な場合を除き説明は省略する。また、図1に示す構成と対応する構成には類似の符号が用いられている。
図11に示す音響特性測定装置は、オープニング(OP)音出力部100、スピーカ110、透かし信号開始タイミング通知部120B、マイクロホン150、周波数応答関数測定部160Cを備えている。
透かし信号開始タイミング通知部120Bは、スピーカ110からオープニング音が出力中であって、埋め込まれた透かし信号の出力を開始したとき(図2や図5におけるt2の時点)に、透かし信号の出力開始通知を周波数応答関数測定部160Cに向けて出力する。
周波数応答関数測定部160Cは、透かし信号開始タイミング通知部120Bによる通知に応じて、マイクロホン150によって集音したオープニング音に埋め込まれた透かし信号に基づいて、スピーカ110からマイクロホン150までの音響空間における音響信号の音響伝達特性(周波数応答関数)を測定する。
図11に示すように、周波数応答関数測定部160Cは、オープニング(OP)音格納部261、加算器262、FFT(高速フーリエ変換)処理部263、265、透かし信号格納部264、周波数応答関数算出部266を備えている。上述した透かし信号開始タイミング通知部120Bが透かし信号タイミング通知手段に、オープニング音格納部261、加算器262が透かし信号抽出手段に、FFT処理部263、265、透かし信号格納部264、周波数応答関数算出部266が周波数応答関数算出手段にそれぞれ対応する。
オープニング音格納部261は、透かし信号開始タイミング通知部120Bから透かし信号の出力開始通知が出力されたときに格納動作を開始し、マイクロホン150で集音されたオープニング音を所定タップ数(サンプル数)分格納する。例えば、図4を用いて説明したように、データのビット数が6、1ビットのデータレート長が8サンプルで50msとすると、6ビットのデータの全体が48サンプル(48タップ)で300msの場合に、175タップ分(=1093.75ms)のオープニング音がオープニング音格納部261に格納される。
加算器262は、オープニング音格納部261に格納されたオープニング音(第1のオープニング音)から、透かし信号が埋め込まれていないオープニング音(第2のオープニング音)を差し引くことにより、マイクロホン150で集音したオープニング音の中から透かし信号に対応する成分を抽出する。FFT処理部263は、加算器262から出力された透かし信号(マイクロホン150で集音した透かし信号)の離散フーリエ変換を高速フーリエ変換を行って算出する。
透かし信号格納部264は、スピーカ110から出力されるオープニング音に埋め込まれた透かし信号と所定数のゼロデータを格納している。具体的には、例えば、図4の乗算器10から出力される48タップ分の透かし信号と、127サンプル(タップ)分のゼロパディングによって追加したゼロデータとで、オープニング音格納部261と同じで全体を174タップとした透かし信号(スピーカ110から出力されて音響空間を通過する前の透かし信号)が格納されている。FFT処理部265は、透かし信号格納部264から読み出した透かし信号(スピーカ110から出力された透かし信号)の離散フーリエ変換を高速フーリエ変換を行って算出する。
周波数応答関数算出部266は、マイクロホン150に到達した透かし信号に対応するFFT処理部263によるFFT結果と、スピーカ110から出力した透かし信号に対応するFFT処理部265によるFFT結果とに基づいて、具体的には、一方のFFT結果を他方のFFT結果で割り算することにより、スピーカ110からマイクロホン150までの音響空間に対応する音響伝達特性(周波数応答関数)を算出する。
このように、スピーカ110からマイクロホン150までの音響空間を挟んで入出力される前後の2種類の透かし信号を調べることにより、音響空間の音響伝達特性を算出することが可能となる。特に、FFT処理部263、265を用いることにより、音響信号が音響空間を通過する際の周波数別の振幅と位相の変化を示す音響伝達特性(周波数応答関数)を得ることができる。
なお、スピーカ110が複数ある場合やマイクロホン150が複数ある場合などの組み合わせについても、各スピーカ110と各マイクロホン150の1対1の組み合わせに着目することにより、同様にして音響伝達特性を測定することができる。また、スピーカ110が複数ある場合に、内容と出力タイミングが異なる複数の透かし信号が別々に埋め込まれたオープニング音を用いることにより、それぞれのスピーカ110からマイクロホン150までの音響空間の音響伝達特性を並行して測定できる点や、同じ透かし信号を用いたオープニング音を各スピーカ110から順番に選択的に出力することにより、各スピーカ110からマイクロホン150までの音響空間の音響伝達特性を順番に測定して処理負担を軽減できる点についても、上述した遅延時間測定の場合と同様である。
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、車両に搭載された車載装置に用いられるスピーカ110とマイクロホン150との間の音響空間における音響信号の遅延時間や音響伝達特性を測定する場合について説明したが、車両以外の音響空間において上述した遅延時間や音響伝達特性を測定する場合について本発明を適用してもよい。
また、上述した実施形態では、予め内容が固定のオープニング音を用いるようにしたが、オーディオ装置から出力されるオーディオ音など、内容が変化する音響信号を用いて透かし信号を埋め込んで遅延時間や音響伝達特性を測定するようにしてもよい。
図12は、オーディオ音に透かし信号を埋め込む構成を示す図である。図12に示す構成は、図4に示した構成に、オーディオ音バッファ30、スペクトル解析部31、埋め込み範囲設定部32、オーディオ音抽出部33、透かし信号合成部34が追加されている。スペクトル解析部31、埋め込み範囲設定部32が埋め込み適否判定手段に、乗算器10、レベル調整器12、加算器14、オーディオ音抽出部33、透かし信号合成部34が音響信号作成手段にそれぞれ対応する。
オーディオ音バッファ30は、スピーカ110から出力する前のオーディオ音を一時的に格納する。スペクトル解析部31は、オーディオ音バッファ30に格納されたオーディオ音についてスペクトル解析を行う。埋め込み範囲設定部32は、スペクトル解析部31の解析結果に基づいて、可聴帯域の全域について所定レベル以上の信号成分が存在するオーディオ音の範囲を透かし信号の埋め込み範囲として設定する。上述したように、スペクトル拡散法で作成した透かし信号は、広い周波数範囲にわたって拡散されるため、このような透かし信号をマスキングするためには、この透かし信号を埋め込むオーディオ音も広い周波数範囲にわたって信号成分を有する必要がある。スペクトル解析部31および埋め込み範囲設定部32は、このような用途に適したオーディオ音の一部分を抽出するためのものである。なお、可聴帯域の全域について所定レベル以上の信号成分が存在するという条件を満たさない場合であっても、オーディオ信号のスペクトルから利用者に透かし信号を聴取されないレベルのマスキング効果が期待できる場合は、透かし信号の埋め込み範囲として設定するようにしてもよい。
オーディオ音抽出部33は、埋め込み範囲設定部32によって設定された透かし信号の埋め込み範囲に対応する部分的なオーディオ音をオーディオ音バッファ30から抽出する。この部分的なオーディオ音は、加算器14に入力され、レベル調整器12から出力される透かし信号がこの部分的なオーディオ音に埋め込まれる。透かし信号合成部34は、透かし信号が埋め込まれた部分的なオーディオ音を、透かし信号が埋め込まれる前のオーディオ音に置き換えるオーディオ音の合成処理を行う。この合成処理によって透かし信号が埋め込まれた後のオーディオ音がオーディオ音バッファ30から読み出されてスピーカ110から出力される。
このようにしてオーディオ音等に透かし信号を埋め込むことにより、通常動作において使用する音響信号の中から音響特性の測定に適したものをその都度選択することが可能となる。
上述したように、本発明によれば、透かし信号を用いてスピーカからマイクロホンまでの音響空間の音響特性が測定されるため、音響信号を用いた通常動作と音響特性の測定動作とを並行して行うことができ、音響特性測定のためだけの時間が不要となる。また、透かし信号が音響信号に埋め込まれているため、利用者が音響特性測定のための信号を特に意識することがなく、利用者が耳障りに感じることを防止することができる。
100、100A、100B オープニング音出力部
110 スピーカ
120 透かし信号タイミング通知部
120A 透かし信号完了タイミング通知部
120B 透かし信号開始タイミング通知部
150 マイクロホン
160 音響特性測定部
160A、160B 遅延時間測定部
160C 周波数応答関数測定部
162 相互相関算出部
163 透かし埋め込み位置判定部
164 タイマ
164A 遅延時間算出部
165 復号処理部
170、172 切替スイッチ
180 制御部

Claims (15)

  1. 透かし信号が埋め込まれた音響信号を出力するスピーカと、
    前記スピーカから出力された音響信号を所定の聴取位置で集音するマイクロホンと、
    前記マイクロホンによって集音した音響信号に埋め込まれた前記透かし信号に基づいて、前記スピーカから前記聴取位置までの音響空間の音響特性を判定する音響特性判定手段と、
    前記音響信号に埋め込まれた前記透かし信号が前記スピーカから出力される出力タイミングを通知する透かし信号タイミング通知手段と、
    を備え、前記音響特性判定手段は、前記透かし信号タイミング通知手段による通知に応じて音響特性の判定を行っており、前記マイクロホンで集音した音響信号における前記透かし信号の埋め込み位置を検出する透かし埋め込み位置判定手段と、前記透かし信号タイミング通知手段による通知と前記透かし埋め込み位置判定手段による判定結果とに基づいて、前記音響特性としての前記音響空間における音響信号の遅延時間を算出する遅延時間算出手段とを備え、
    前記透かし信号タイミング通知手段は、前記透かし信号を前記スピーカから出力する時刻を前記出力タイミングとして前記透かし信号に含ませることを特徴とする音響特性測定装置。
  2. 前記透かし埋め込み位置判定手段は、前記マイクロホンで集音した音響信号と前記透かし信号との相互相関を算出することにより、前記透かし信号の埋め込み位置を検出することを特徴とする請求項に記載の音響特性測定装置。
  3. 前記透かし信号タイミング通知手段は、前記スピーカから前記透かし信号の出力が完了した第1のタイミングを通知し、
    前記透かし埋め込み位置判定手段は、前記透かし信号の埋め込み位置を検出することにより、前記マイクロホンに前記透かし信号の取り込みが完了した第2のタイミングを判定し、
    前記遅延時間算出手段は、前記第1および第2のタイミングの差を遅延時間として算出することを特徴とする請求項またはに記載の音響特性測定装置。
  4. 透かし信号が埋め込まれた音響信号を出力するスピーカと、
    前記スピーカから出力された音響信号を所定の聴取位置で集音するマイクロホンと、
    前記マイクロホンによって集音した音響信号に埋め込まれた前記透かし信号に基づいて、前記スピーカから前記聴取位置までの音響空間の音響特性を判定する音響特性判定手段と、
    前記音響信号に埋め込まれた前記透かし信号が前記スピーカから出力される出力タイミングを通知する透かし信号タイミング通知手段と、
    を備え、前記音響特性判定手段は、前記透かし信号タイミング通知手段による通知に応じて音響特性の判定を行っており、前記マイクロホンによって集音した音響信号に埋め込まれた前記透かし信号を抽出する透かし信号抽出手段と、前記スピーカから出力される音響信号に含まれる前記透かし信号としての第1の透かし信号と、前記透かし信号抽出手段によって抽出された前記透かし信号としての第2の透かし信号とに基づいて、前記音響特性としての周波数応答関数を算出する周波数応答関数算出手段とを備えることを特徴とする音響特性測定装置。
  5. 前記周波数応答関数算出手段は、前記第1および第2の透かし信号のそれぞれの離散フーリエ変換を算出することにより、前記周波数応答関数の算出を行うことを特徴とする請求項に記載の音響特性測定装置。
  6. 前記周波数応答関数算出手段は、前記第1および第2の透かし信号のそれぞれの離散フーリエ変換を高速フーリエ変換で算出することを特徴とする請求項に記載の音響特性測定装置。
  7. 前記透かし信号タイミング通知手段は、前記スピーカから前記透かし信号の出力を開始した第3のタイミングを通知し、
    前記周波数応答関数算出手段は、前記第3のタイミングに合わせて前記第1および第2の透かし信号から周波数応答関数の算出を行うことを特徴とする請求項またはに記載の音響特性測定装置。
  8. 前記透かし信号は、スペクトル拡散法を用いて生成されることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の音響特性測定装置。
  9. 前記透かし信号は、所定のデータに疑似乱数系列データを乗算することにより生成されることを特徴とする請求項に記載の音響特性測定装置。
  10. 前記透かし信号が埋め込まれた前記音響信号を格納する音響信号格納手段と、
    前記音響信号格納手段から前記音響信号を読み出して前記スピーカから出力する音響信号出力手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の音響特性測定装置。
  11. 前記音響信号格納手段は、あらかじめ用意されて読み出す毎に内容が変化しない前記音響信号が格納されていることを特徴とする請求項10に記載の音響特性測定装置。
  12. 前記透かし信号が埋め込まれる前の音響信号としての埋め込み対象音響信号が入力され、前記透かし信号の埋め込みの適否を判定する埋め込み適否判定手段と、
    前記埋め込み適否判定手段によって、前記透かし信号の埋め込みに適していると判定された前記埋め込み対象音響信号に対して前記透かし信号を埋め込んで前記音響信号を作成する音響信号作成手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の音響特性測定装置。
  13. 前記埋め込み適否判定手段は、可聴帯域の全域について所定レベル以上の信号成分が存在する場合に、前記透かし信号の埋め込みに適している旨の判定を行うことを特徴とする請求項12に記載の音響特性測定装置。
  14. 透かし信号が埋め込まれた音響信号をスピーカから出力することと、
    前記スピーカから出力された音響信号を所定の聴取位置でマイクロホンで集音することと、
    前記マイクロホンによって集音した音響信号に埋め込まれた前記透かし信号に基づいて、前記スピーカから前記聴取位置までの音響空間の音響特性を音響特性判定手段によって判定することと、
    前記音響信号に埋め込まれた前記透かし信号が前記スピーカから出力される出力タイミングを透かし信号タイミング通知手段によって通知することと、
    を有する音響特性特定方法であって、
    前記音響特性判定手段は、前記透かし信号タイミング通知手段による通知に応じて音響特性の判定を行っており、前記マイクロホンで集音した音響信号における前記透かし信号の埋め込み位置を検出する透かし埋め込み位置判定手段と、前記透かし信号タイミング通知手段による通知と前記透かし埋め込み位置判定手段による判定結果とに基づいて、前記音響特性としての前記音響空間における音響信号の遅延時間を算出する遅延時間算出手段とを備え、
    前記透かし信号タイミング通知手段は、前記透かし信号を前記スピーカから出力する時刻を前記出力タイミングとして前記透かし信号に含ませることを特徴とする音響特性測定方法。
  15. 透かし信号が埋め込まれた音響信号をスピーカから出力することと、
    前記スピーカから出力された音響信号を所定の聴取位置でマイクロホンで集音することと、
    前記マイクロホンによって集音した音響信号に埋め込まれた前記透かし信号に基づいて、前記スピーカから前記聴取位置までの音響空間の音響特性を音響特性判定手段によって判定することと、
    前記音響信号に埋め込まれた前記透かし信号が前記スピーカから出力される出力タイミングを透かし信号タイミング通知手段によって通知することと、
    を有する音響特性特定方法であって、
    前記音響特性判定手段は、前記透かし信号タイミング通知手段による通知に応じて音響特性の判定を行っており、前記マイクロホンによって集音した音響信号に埋め込まれた前記透かし信号を抽出する透かし信号抽出手段と、前記スピーカから出力される音響信号に含まれる前記透かし信号としての第1の透かし信号と、前記透かし信号抽出手段によって抽出された前記透かし信号としての第2の透かし信号とに基づいて、前記音響特性としての周波数応答関数を算出する周波数応答関数算出手段とを備えることを特徴とする音響特性測定方法。
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