JP6969962B2 - 車両の運転支援及び/又は走行制御のための地図情報提供システム - Google Patents
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Description
道路地図情報を用いて車両の運転支援及び/又は走行制御に利用されるための前記車両の走行予定経路の地図情報を構成し提供するシステムであって、
道路に存在する複数の交差点の各々の位置を特定する緯度及び経度の情報と、前記交差点の各々に於ける道路幅、車線数、各車線の車両進行方向並びに前記車両進行方向に沿った前方端及び後方端の位置の情報と、前記交差点の各々に於ける隣接する二つの交差点間の車線毎の走路距離である交差点間走路距離の情報と、道路に存在するカーブ路又は屈曲路上の地点であるカーブ構成点の各々の位置を特定する該カーブ構成点の各々の車両進行方向後方の最も近い交差点の車両進行方向前方端からの車線毎の走路距離であるカーブ構成点走路距離の情報と、前記カーブ構成点の各々の車線毎の角度変化及び曲率半径の情報とを含む道路地図情報を蓄積する道路地図情報データベースと、
道路上に於ける車両の位置を検出し決定する車両位置決定手段と、
前記車両の位置に基づいて前記車両の位置の周辺の所定の範囲の前記道路地図情報を前記道路地図情報データベースから抽出する道路地図情報抽出手段と、
任意の時点に於ける前記車両の位置であるウェイポイント基準点と前記抽出された道路地図情報とに基づいて、前記車両の走行予定経路に沿って前記車両の進行方向前方に所定の間隔にて並んだ複数のウェイポイントの位置を、前記ウェイポイント基準点を原点とした二次元平面にして、距離が走路距離にて表わされ、方向が前記走行予定経路に沿った車線の延在方向にて表される二次元平面である走路距離平面上のX−Y座標であるウェイポイント座標を用いて決定し、前記複数のウェイポイントから成るウェイポイント・マップを構成するウェイポイント・マップ構成手段と
を含み、前記ウェイポイント・マップが前記車両の運転支援装置及び/又は走行制御装置へ供給され前記走行予定経路の地図情報として利用されるシステム
によって達成される。
「道路地図情報」とは、道路地図情報データベースに蓄積されている、上記に列記されている如き、道路(車両が走行可能な路)に於ける交差点、カーブ路又は屈曲路上の地点であるカーブ構成点等に関わる情報全般のことを意味する。なお、「道路地図情報」には、各交差点、各車線、各カーブ構成点等を識別するための識別情報(例えば、識別番号など)が含まれていてよい。
「車両の走行予定経路の地図情報」とは、車両が走行を予定している経路の位置を特定する情報であり、本発明に於いては、後に説明される如く、道路地図情報データベースに蓄積されている「道路地図情報」を用いて構成されるウェイポイント・マップがそれに相当する。「走行予定経路」は、車両の運転者又はシステムの使用者等により或いは後述の「車両の運転支援装置及び/又は走行制御装置」により適時設定されてよい。
「ウェイポイント」とは、既に述べた如く、(カーナビゲーションシステムや自動運転走行に於いて設定される如く)車両の走行予定経路が与えられ、車両がその走行予定経路に沿って走行する場合に車両が通過するべき経路上の地点の各々のことであり、ウェイポイント・マップは、車両の走行予定経路に沿ったウェイポイントの配列のことである。典型的には、ウェイポイントは、道路地図情報に基づいて車両の走行予定経路の車線の中央と仮定される地点に配置され、ウェイポイント・マップは、車線の中央線と仮定される線上に沿って延在させられることとなる。
「車両の運転支援及び/又は走行制御」とは、本発明に於いては、ウェイポイント・マップを利用する任意の車両の運転支援技術又は走行制御技術であってよく、例えば、ウェイポイント・マップに沿って車両を走行させる自動運転技術、ウェイポイント・マップに沿って車両を走行させるように運転者の運転を誘導又は助言する運転支援技術などであってよい。「車両の運転支援装置及び/又は走行制御装置」とは、そのような車両の運転支援技術又は走行制御技術を達成する任意の装置であってよい。
「走路距離」とは、車両が実際に走行する距離を意味している。即ち、或る2地点間の道路面に沿った車両が移動する正味の距離、換言すれば、2地点間の三次元空間に於ける道路の距離のことを言うものとする。従って、例えば、2地点間に於いて道路に勾配や湾曲がある場合には、「走路距離」は、2地点とそれらの間の道路とを緯度・経度にて表す二次元的地図上での距離或いは三次元空間に於ける2地点をそのまま二次元平面に射影した場合の2地点間を道路に沿って測った距離よりも長くなる。なお、「走路距離」は、本発明のシステムの地図に於ける長さを表す基本的な変数として用いられる。
「交差点」とは、少なくとも二つの道路が交差又は合流する地点、即ち、三叉路、T字路、十字路、五叉路…の全ての場合で有り得る。かかる「交差点」についての道路地図情報としては、上記に列記されている如く、各交差点の緯度・経度、道路幅、車線数、各車線の車両進行方向、車両進行方向に沿った前方端及び後方端の位置の情報が含まれていてよい。特に、ここで、車両進行方向は、車両が進行可能な全ての方向(左折、右折、直進等)であり、車両進行方向に沿った後方端は、車両の交差点の範囲の進入位置であり、車両進行方向に沿った前方端とは、車両の左折後、右折後又は直進後の交差点の範囲の脱出位置を意味している。車両の交差点の範囲の進入位置及び脱出位置は、交差点内の路面の停止線や横断歩道など(ランドマーク等)が存在する場合にはそれらの位置に決定されてよく、そのようなランドマーク等がない場合には、かかる交差点の進入位置及び脱出位置は、それぞれ、車両の進行方向に沿って車線の曲率が所定値以下から所定値以上に変化する位置及び車線の曲率が所定値以上から所定値以下に変化する位置に決定されてよい。
「交差点間走路距離」とは、道路に於いて隣接する二つの交差点の間の車線毎の「走路距離」である。なお、「交差点間走路距離」は、以下に於いて、特に断らない限り、二つの隣接する交差点の車両進行方向に於いて始端側(後方)の交差点の前方端から終端側(前方)の交差点の前方端までの走路距離を言うものとするが(図2(B)参照)、これに限定されなくてもよい(例えば、二つの隣接する交差点の車両進行方向の後方端間の走路距離であってもよい。)。
「カーブ構成点」とは、単路(即ち、二つの隣接する交差点の間の道路)であって湾曲又は屈曲した道路上に配置される一つ又は複数の地点である(カーナビゲーション用地図情報に於いて「リンク構成点」と称されることのある地点に相当する。)。かかる「カーブ構成点」についての道路地図情報としては、上記に列記されている如く、各カーブ構成点に於ける車線毎の角度変化及び曲率半径の情報が含まれていてよい。ここで「角度変化」とは、車両の進行方向に沿って、各カーブ構成点とその一つ前のカーブ構成点とを結ぶ線が各カーブ構成点とその次のカーブ構成点とを結ぶ線へと回転する角度の変化の方向と大きさにて表される量であり、各カーブ構成点からその次のカーブ構成点までの間のヨーレートを積算(時間積分)して得られる車両のヨー角の変化に相当する(図12(A)参照)。
「カーブ構成点走路距離」とは、上記の如く、そのカーブ構成点の車両進行方向後方の最も近い交差点の車両進行方向前方端からの車線毎の「走路距離」である。
「車両の位置」とは、上記の如く、道路上に於いて車両が検出された位置であり、ウェイポイント・マップに沿って車両を走行させるための運転支援又は走行制御の実行中に於いては、特に断らない限り、現在の車両の位置となる。「車両の位置」は、走行開始後の初期に於いては、車両の位置の検出に利用可能な任意の手段、例えば、GPS装置等、によって検出されるところ、後に説明される如く、車両の走行開始後に何等かのランドマークが検出されると、そのランドマークの位置に基づいて「車両の位置」が補正され特定される。
「車両の位置の周辺の所定の範囲」とは、システムの使用者によって適宜設定されてよい範囲である。例えば、ウェイポイント・マップに沿って車両を走行させる自動運転技術、ウェイポイント・マップに沿って車両を走行させるように運転者の運転を誘導又は助言する運転支援技術などの場合、車両の位置から車両の進行方向に於ける400m程度の範囲などであってよい。
「任意の時点に於ける前記車両の位置であるウェイポイント基準点」とは、システムの使用者によって適宜選択されてよい時点に於ける「車両の位置」である。「任意の時点」は、典型的には、車両の走行開始時、車両の走行開始後に最初に交差点を通過した時点(例えば、車両が車両進行方向に沿った前方端に到達した時点)などであってよい。
車両の走行予定経路に沿って車両の進行方向前方に複数のウェイポイントの位置が並ぶ「所定の間隔」は、システムの使用者又は設計者が適宜設定してよい間隔であり、例えば、5cm程度であってよい。
「ウェイポイント座標」とは、上記の如く、ウェイポイント基準点を原点とした二次元平面であって、距離が走路距離にて表わされ、方向が車両の走行予定経路に沿った車線の延在方向にて表される二次元平面(「走路距離平面」と称する。)上に於けるウェイポイントの位置を表すX−Y座標である。従って、後の実施形態の欄にて詳細に説明される如く、複数のウェイポイントが或る車線に沿って並べられる場合、隣接するウェイポイント間の距離は、走路距離であり、隣接するウェイポイント間の方向は、車両が走行するべく選択された車線の延在方向に一致することとなる。なお、以下に於いて、特に断らない限り、ウェイポイント基準点に於ける車両の進行方向(前後方向)をX軸方向とし、車両の横方向をY軸方向と定義するものとするが、これに限定されなくてもよい。また、ウェイポイントの各々の位置は、ウェイポイント座標と共にウェイポイント基準点からの累計の走路距離である「ウェイポイント走路距離」を用いて決定されてよい。「ウェイポイント走路距離」とは、ウェイポイント基準点から各ウェイポイントまでの道路面に沿った距離、即ち、三次元空間に於ける道路の距離となる。
上記の如き道路地図情報を用いて車両の運転支援及び/又は走行制御に利用されるための前記車両の走行予定経路の地図情報を構成し提供するシステムのうちのいずれかの態様のシステムであって、
前記車両の走行中に、所定の間隔の記録ポイントの各々にて、任意の時点に於ける前記車両の位置である走行軌跡基準点からの実際の走行距離である実車両走路距離と、前記車両の走行中の車線の中心線と前記車両の位置との距離である横偏差と、車速と、ヨーレートとを含む走行ログを記録する走行ログ記録手段と、
任意の二つの隣接する交差点間の任意の車線を同一の方向に運転者自らが運転して走行した車両の前記走行ログにして前記横偏差に於いて異常値を含まない走行ログである正常走行ログを用いて前記任意の二つの隣接する交差点間の前記任意の車線の走行軌跡を生成する走行軌跡生成手段であって、
前記道路地図情報データベースに蓄積された前記任意の二つの隣接する交差点の各々の前記車両の走行方向に沿った前方端又は後方端の位置の情報に基づいて前記正常走行ログに於ける前記実車両走路距離を用いて前記正常走行ログに於ける前記任意の二つの隣接する交差点の間の前記任意の車線の始端及び終端の位置を、前記走行軌跡基準点を原点とした二次元平面にして、距離が走路距離にて表わされ、方向が前記車両の走行した方向にて表される二次元平面である走行軌跡平面上にて決定する車線始端及び終端位置決定手段と、
前記正常走行ログの各記録ポイントに対応して、前記正常走行ログに記録された前記横偏差、前記車速及び前記ヨーレートを参照して、前記任意の車線の始端及び終端の間に於ける前記任意の車線の中心線上に位置決めされた車線中心ポイントの位置を前記走行軌跡平面上にて決定し、複数の前記車線中心ポイントの位置を前記任意の車線の始端及び終端の間に於ける走行軌跡として記録する走行軌跡記録手段と、
を含む走行軌跡生成手段と、
前記任意の車線の前記走行軌跡の数が所定数に達すると、前記所定数に達した数の前記走行軌跡に基づいて、前記道路地図情報データベースに蓄積されている前記道路地図情報を補正する道路地図情報補正手段とを含むシステム
によって達成される。
「走行ログ記録手段」により記録される「走行ログ」に含まれる「実車両走路距離」、即ち、「走行軌跡基準点」からの実際の走行距離、は、車両の走行時の車速×時間によって与えられてよい。或いは、通常、車両に於いて装備される車輪速センサは、車輪の回転と伴にパルス信号が発せられるので、かかるパルス信号をカウントすることにより、車輪の回転の累計数が得られ、回転累計数と車輪半径とから「実車両走路距離」(=回転累計数×2π×車輪半径)が算出される。なお、「走行軌跡基準点」とは、「ウェイポイント基準点」と同様に、システムの使用者によって適宜選択されてよい時点に於ける「車両の位置」であり、「任意の時点」は、典型的には、車両の走行開始時、車両の走行開始後に最初に交差点を通過した時点(例えば、車両が車両進行方向に沿った前方端に到達した時点)などであってよい。車両をウェイポイント・マップに沿って走行させる場合には、「走行軌跡基準点」は、「ウェイポイント基準点」と同じであってよい。
「走行ログ」に含まれる「横偏差」は、上記の如く、車両の走行中の車線の中心線と車両の位置との距離である。かかる「横偏差」は、車載カメラの撮影した車線の像に対して任意の車線認識アルゴリズムを適用して、車線の範囲及びその中央に延在する中心線を特定し、その特定された車線中心線からの自車両の位置の距離を算定することにより取得可能である。また、上記の「横偏差」と共に、任意の車線認識アルゴリズムを用いることにより、車線の延在方向に対する車両の前後方向軸の角度(「車両−車線偏差角」)も計測され、記録されてよい。
「車速」と「ヨーレート」は、それぞれ、車両に於いて装備された車輪速センサ、ジャイロセンサ又はヨーレートセンサ等により計測されてよい。
なお、走行ログの各パラメータは、上記の如く、所定の間隔の「記録ポイント」の各々にて記録される。ここで「所定の間隔」とは、任意に設定される時間間隔又は距離間隔であってよい。即ち、走行ログは、車両の走行中、所定の時間間隔毎に、或いは、所定の走行距離毎に記録されるようになっていてよい。また、走行ログは、走行中の交差点、車線等が識別できる態様にて、例えば、交差点、車線等の識別情報と共に記録される。走行中の交差点、車線等の識別のための情報は、前記の車両位置決定手段を通じて取得されてよい。例えば、車両の通過する交差点の進入時又は脱出時が、通過する交差点内又は近傍にて検出されるランドマークと車両との位置関係から検出され、そのことがその時点の走行ログに記録されてもよい。
前記任意の二つの隣接する交差点間の前記任意の車線の終端側の交差点に於いて前記車両が左折又は右折した走行軌跡の数が前記所定数に達した場合に、前記所定数に達した数の前記走行軌跡に於ける前記終端側の交差点内での前記車両の車速及びヨーレートに基づいて前記車両の左折又は右折の範囲の角度及び曲率半径の前記所定数に達した数の前記走行軌跡に於ける平均値をそれぞれ算出する手段と、
前記算出された前記車両の左折又は右折の範囲の角度及び曲率半径の平均値と前記道路地図情報データベース内に蓄積された前記終端側の交差点の道路地図情報とを用いて前記終端側の交差点内のウェイポイント・マップを構成する手段と、
前記終端側の交差点内のウェイポイント・マップに於ける停止線の位置に前記所定数に達した数の前記終端側の交差点内の走行軌跡の各々に於ける停止線の位置を整合し、前記終端側の交差点内のウェイポイント・マップの前記車両の左折又は右折の直前の経路の向きに前記終端側の交差点内の走行軌跡の各々の前記車両の左折又は右折の直前の経路の向きを整合し、前記終端側の交差点内のウェイポイント・マップの前記車両の左折又は右折の後の経路と前記終端側の交差点内の走行軌跡の各々の前記車両の左折又は右折の後の経路との偏差の二乗和が最小となるように前記終端側の交差点内のウェイポイント・マップの位置を平行移動したときの前記終端側の交差点内のウェイポイント・マップの左折又は右折の開始位置を前記終端側の交差点内に於ける左折又は右折の開始位置として決定する手段と、
前記終端側の交差点内の前記左折又は右折の開始位置として特定された位置、前記車両の左折又は右折の範囲の角度及び曲率半径の平均値を用いて前記道路地図情報データベース内に蓄積された前記終端側の交差点の道路地図情報を更新する手段と
を含むよう構成されていてよい。かかる構成によれば、車両の右左折に於いて重要な交差点に於ける屈曲の開始位置、角度及び曲率半径についての道路地図情報の精度をカーナビゲーション用地図情報にて得られる情報から算出した値よりも向上することが可能となる。
12FL,FR,RL,RR…車輪
14…差動歯車装置
20…操舵装置
22…ハンドル
22a…ステアリングシャフト
24…操舵倍力装置
26R,L…タイロッド
30…ヨーレート、横加速度センサ
40…車載フロントカメラ
42…車載レーダー装置
44…GPS装置
46…車載リアカメラ
50…コンピュータ(地図情報提供システム)
60…表示器
図1(A)を参照して、本発明の地図情報提供システムの好ましい実施形態が搭載される自動車等の車両10に於いては、通常の態様にて、左右前輪12FL、12FRと、左右後輪12RL、12RR、運転者によるアクセルペダルの踏込みに応じて各輪(図示の例では、後輪駆動車であるから、後輪のみ。前輪駆動車、四輪駆動車であってもよい。)に制駆動力を発生する駆動系装置(一部のみ図示)と、前輪の舵角を制御するための操舵装置20(更に、後輪用の操舵装置が設けられていても良い。)と、各輪に制動力を発生する制動系装置(図示せず)とが搭載される。駆動系装置は、通常の態様にて、エンジン及び/又は電動機(図示せず。エンジンと電動機との双方を有するハイブリッド式の駆動装置であってもよい。)から、変速機(図示せず)、差動歯車装置14を介して、駆動トルク或いは回転力が後輪12RL、12RRへ伝達されるよう構成されていてよい。操舵装置20には、運転者によって操舵されるステアリングホイール(ハンドル)22の回転を、その操舵トルクを倍力装置24により倍力しながら、タイロッド26L、Rへ伝達し前輪12FL、10FRを転舵するパワーステアリング装置が採用されてよい。
A.システムの概略構成
図1(B)を参照して、本実施形態による地図情報提供システムの構成に於いては、まず、車両の運転支援又は走行制御に利用される地図情報を提供するための構成として、「道路地図情報データベース」、「自己位置検出部」、「道路地図情報プロバイダ」、「ウェイポイント・マップ構成部」及び「ランドマーク検出部」が設けられる。
本実施形態による地図情報提供システムに於ける「道路地図情報データベース」に蓄積される道路地図情報には、既に触れた如く、道路に存在する交差点に関する情報、カーブ構成点に関する情報、ランドマークに関する情報が含まれていてよい。以下、本実施形態に於ける道路地図情報の各項目について説明する。
本実施形態の地図情報提供システムに於いて、既に触れた如く、車両の地図上の位置が未検出の状態、例えば、車両の走行開始時まで、では、自己位置検出部は、GPS装置からの車両の位置情報(緯度・経度、向き)を利用して車両の位置を特定する。この段階に於いては、GPS装置情報にて特定された車両の位置に基づいて、道路地図情報データベース内に蓄積された道路地図情報に於いて、車両の位置の車両進行方向後方の最も近いノードが検索され、そのノードの車両進行方向前方端からの車両の現在の位置までの走路距離(車両走路距離)が算出され、車両走路距離により、車両の位置が特定される。ただし、ここでの車両走路距離は、GPS装置からの情報であるので、十分な精度にて算出できていない場合がある。しかしながら、図3(B)に模式的に描かれている如く、車両10が走行を開始すると、比較的直ぐに、道路上にて、制限速度標識Lm10、信号機Lm12、停止線マークLm14、停止線Lm16、横断歩道Lm18などのランドマークが車載カメラやレーダー装置によって検出され、それらのランドマークと車両10との間の距離が計測可能となる。そうすると、ランドマークは、(上記の如く道路地図情報データベース内に蓄積された)ランドマーク走路距離にて位置が特定されるので、いずれかのランドマークの位置と現在の車両の位置との間の距離とそのランドマーク走路距離とから、車両の位置の車両進行方向後方の最も近いノードの車両進行方向前方端からの走路距離(車両走路距離)が、より高い精度にて算出できることとなる。即ち、本実施形態の地図情報提供システムに於いては、道路地図情報上での車両の位置は、車両の走行開始後に検出されるランドマークの位置関係によって精度良く特定できることとなる。なお、車両の走行開始時に、前回の走行終了後にてランドマークの位置に基づいて決定された車両走路距離が記憶されている場合には、その記憶されている車両走路距離がそのまま使用されてよい。
本実施形態の地図情報提供システムに於いては、既に触れた如く、道路地図情報プロバイダによって、車両の位置の周辺の所定の範囲、例えば、周囲400mの範囲、に於ける道路地図情報が抽出され、後に説明されるウェイポイント・マップの構成に利用される。具体的には、道路地図情報として、車両の位置の周辺の所定の範囲内に存在するノードの緯度・経度、各ノード内に於いて取り得る走路、各ノードの車両進行方向の前方端と後方端との位置、車両の位置の周辺の所定の範囲内の取り得るレーンの始端及び終端の位置とそれらの交差点間走路距離、車両の位置の周辺の所定の範囲内に存在するランドマークのランドマーク走路距離、カーブ構成点の角度変化及び曲率のそれぞれの情報が、それぞれの地図要素の識別情報と伴に抽出されてよい。なお、車両の走行中に於いては、その位置の移動と伴に、周辺の所定の範囲も移動していくこととなるので、道路地図情報プロバイダは、所定の範囲の移動に伴って上記の道路地図情報を追加していくこととなる。
上記の如く車両の位置の周辺の所定の範囲内の道路地図情報が抽出されると、ウェイポイント・マップ構成部に於いて、車両の走行予定経路の地図情報として、ウェイポイント・マップが構成される。本実施形態に於いて、ウェイポイント・マップの構成処理では、まず、車両の走行予定経路に沿って車両の位置の周辺の所定の範囲内の通過するべきノードとリンクとが選択される。ここで、車両の走行予定経路は、既に触れた如く、任意の手法にて車両の現在位置と任意に決定された目的地とを参照して決定されてよい。そして、走行予定経路上の通過するべきノードとリンクとが選択されると、典型的には、車両の現在位置がウェイポイント・マップの起点(ウェイポイント基準点)として決定され、そのウェイポイント基準点から、抽出されている道路地図情報の範囲内に於いて、選択されたノードを順々に連結するリンク内にてレーンが順々に選択され、選択されたレーンが繋ぎ合わされる。図4(A)は、かかる処理の様子を模式的に示している。同図を参照して、例えば、現在の車両の位置がリンクLk1上に在るとして(車両がどのリンクのレーン上に存在しているかは、GPS装置情報からでも特定可能である。)、まず、走行予定経路に沿って通過するべきノードとして、N1〜N5が選択され、リンクとして、Lk1〜Lk6が選択される。その後、通過するべきレーンが、リンクLk1〜Lk6に於いてそれぞれ選択され、ノードN1〜N5にて順々に連結される。
(Xwpi,Ywpi,θwpi,Owpi)
によって特定されてよい。(iは、ウェイポイントの識別符号)
図5は、本実施形態の地図情報提供システムの、ウェイポイント・マップ(車両の走行予定経路の地図情報)の提供を実行する処理をフローチャートの形式にて表している。なお、同図の処理は、プログラムに従ったコンピュータ50の作動により、車両の運転支援及び/又は走行制御を開始する際から所定の時間間隔にて反復して実行される。同図を参照して、ウェイポイント・マップ提供処理に於いては、まず、ウェイポイント・マップが既に構成されているか否かを表すフラッグFwpがFwp=1であるか否かが判定される(ステップ1)。ウェイポイント・マップがまだ構成されていない場合、即ち、Fwp≠1である場合、には、GPS情報による車両の緯度・経度情報を用いて車両の位置の検出が実行される(ステップ2)。次いで、車両の走行の目的地が設定されると、車両の現在位置から走行予定経路が決定され(ステップ3)、道路地図情報プロバイダによって、道路地図情報データベースから車両の検出位置の周辺の所定範囲の道路地図情報が抽出され(ステップ4)、車両の現在位置に於ける車両走路距離が決定される(ステップ5)。ただし、既に触れた如く、この時点では、車両の現在位置は、GPS情報に基づいているので、車両走路距離は、仮の値である。
(a)道路地図情報の更新処理の概略
本実施形態の地図情報提供システムに於いてウェイポイント・マップは、概して述べれば、相対的な位置関係がレーンの走路距離にて表された複数のノードを走行予定経路に沿って繋ぎ合わせて構成される。そして、既に述べた如く、ノード間の相対的な位置関係を表すレーンの走路距離(交差点間走路距離)は、車両が実際にそのレーンを走行した際に得られた情報によって、より精度よく更新することが可能である。また、実際にレーンが延在している経路、ランドマークの位置(ランドマーク走路距離)、カーブ構成点の角度変化及び曲率等も、車両が実際にそのレーンを走行した際に得られた情報によってより精度よく更新することが可能である。かくして、本実施形態の地図情報提供システムは、車両の実際の道路上の走行と伴に記録された走行ログを用いて、道路地図情報データベースに蓄積されている道路地図情報がより精度良く更新されるよう構成されていてよい(道路地図情報の深化)。
本実施形態のシステムでは、図6(A)に模式的に描かれている如く、車両の走行中に、「走行ログ記録部」によって、所定の時間間隔又は所定の走行距離間隔毎の記録ポイントにて、下記のパラメータが、走行ログとして記録されてよい。
(Os_vcj,LDj,φj,Vj,γj,Lmj)
[jは、記録ポイントの識別符号である。]
上記の各パラメータは、下記の如く定義される値である。
Os_vcj:実車両走路距離−任意に設定される基準点(走行軌跡基準点)、例えば、車両の走行開始時の地点、からの実際の走行距離。ウェイポイント・マップを用いた運転支援又は走行制御により車両が走行する場合には、走行軌跡基準点は、ウェイポイント基準点と同一であってよい。実車両走路距離は、車輪速センサにより計測された車輪速値に基づいて決定されてよい。具体的には、例えば、車速×時間又は回転累計数×2π×車輪半径によって与えられる。
LDj:横偏差−車両の中心位置Vgから走行中のレーン(車線)Laの中心線LaCまでの距離。レーンの中心線LaCの延在位置は、任意の車線認識アルゴリズムを用いて車載のカメラにて撮影されたレーンLaの画像に於いて検出されたレーン両端LaEの延在位置に基づいて決定され、車両中心位置Vgからのレーン中心線LaCまでの距離である横偏差LDjは、レーンの画像に於ける中心線LaCの位置から幾何学的に決定される。(例えば、LDjは、レーン中心線LaCと車両前後方向軸Vaxとの交点Pgと車両中心位置Vgとの間の距離Lvと下記の車両−車線偏差角φjを用いて、Lv・sinφjにより算出される。)
φj:車両−車線偏差角−レーンの中心線LaCの延在方向に対する車両の前後方向軸Vaxの成す角。車両−車線偏差角は、任意の車線認識アルゴリズムを用いてレーンLaの画像内に於ける中心線LaCの延在方向と車両の前後方向軸の方向とから計測される。
Vj:車速−車輪速センサにより計測された車輪速値に基づいて決定されてよい。
γj:ヨーレート−ジャイロセンサ又はヨーレートセンサにより計測されたヨーレートであってよい。
Lmj:ランドマーク・カーブ構成点識別情報−ランドマーク又はカーブ構成点が検出された時に、その時の実車両走路距離に対応付けて検出されたランドマーク又はカーブ構成点の識別情報が記録される。ランドマークの検出は、既に触れた如く、車載カメラやレーダー装置によって検出されてよい。カーブ構成点は、道路地図情報データベースに蓄積された情報に基づいて特定されるカーブ構成点の存在する位置を車両が通過した時点(例えば、車両走路距離がカーブ構成点走路距離に到達した時点)で記録されてよい。具体的には、例えば、図6(B)を参照して、車両が地点Aにあるときには、地点Aまでの実車両走路距離がOsAと上記の一連のパラメータが走行ログとして記録されるところ、ここでは、ランドマークは、存在しないので、LmAには、何も記録されない。一方、車両が地点Bにあるときには、地点Bまでの実車両走路距離OsBとそのときの上記の一連のパラメータが走行ログとして記録され、ここでは、ランドマークとして制限速度標識が存在するので、LmBには、そのランドマークの識別情報が記録される。
なお、後に詳細に説明される如く、逐次的に記録された車速Vjとヨーレートγjとを用いて、図6(A)に示されている如き、走行軌跡基準点を原点とした走行軌跡平面(X−Y平面)上に於ける車両中心位置Vgの座標(x_vj,y_vj)とX軸から測ったヨー角Ψjが算出される。なお、「走行軌跡平面」とは、既に述べた如く、走行軌跡基準点を原点とし、「走路距離平面」と同様に、距離が走路距離にて表わされ、方向は車両の走行した方向にて表される二次元平面であり、例えば、車両の走行開始時の位置を原点(走行軌跡基準点)とし、そのときの進行方向がX軸に設定されてよい。そして、車両の位置Vgの座標(x_vj,y_vj)、ヨー角Ψj、車両−車線偏差角φj及び横偏差LDjを用いて、走行軌跡平面上に於けるレーンの中心線LaC上のポイントLaPjの座標(x_ej,y_ej)が算出できることとなる。
上記の如く車両の走行中の走行ログが、運転者自らが車両を運転して、即ち、完全な自動運転ではなく、運転者自身がハンドルを握って操舵しながら走行した際に記録された場合には、車両が車線の略中央を走行しているときの走行ログとなっていることが期待される(一方、ウェイポイント・マップを用いた運転支援又は走行制御により車両が走行する場合、ウェイポイント・マップがカーナビゲーション用地図情報のみに基づいて構成されているときには、その精度に依存して、ウェイポイント・マップが実際の車線の中央線上に延在していない場合が起き得る。)。その場合、既に触れた如く、走行ログに記録された車速、ヨーレートを用いると、距離が走路距離で表された走行軌跡平面上での各記録ポイントに於ける車両の位置が得られ、それらの車両の位置を、走行ログに記録された「横偏差」の分だけ移動すれば、真の車線の中央線の延在経路、即ち、「走行軌跡」が精度良く検出できると考えられる。そこで、運転者自らが車両を運転した場合の走行ログが記録されると、「走行軌跡生成部」によって、記録された走行ログから任意の二つの隣接するノード(交差点)間の任意のレーン(車線)を同一の方向に走行した部分の走行ログが選択され、その選択された走行ログを用いて走行軌跡が生成される。
Ψj=Ψj−1+γj−1・Δt (Ψ0=0)
により逐次的に決定されてよい(ここでΔtは、記録ポイント間の時間間隔)。そして、車両中心位置Vg(x_vj,y_vj)は、
x_vj=x_vj−1+Vj−1・Δt・cosΨj−1 (x_v0=0)
y_vj=y_vj−1+Vj−1・Δt・sinΨj−1 (y_v0=0)
により逐次的に決定されてよい。そして、走行ログのパラメータのうち、横偏差LDjと車両−車線偏差角φjとを用いて、図7(F)に模式的に描かれている如く、各記録ポイントに於ける車両の中心位置Vgを横偏差LDjだけ移動して、レーンの中心線LaC上のポイントLaPjの座標(x_ej,y_ej)が決定されてよい。具体的には、車両中心位置Vg(x_vj,y_vj)とレーン中心線ポイントLaPj(x_ej,y_ej)との関係は、図6(B)右を参照して、下記の如く与えられる。
x_ej=x_vj+LDj・cos(Ψj−π/2+φj)
y_ej=y_vj+LDj・sin(Ψj−π/2+φj)
本実施形態のシステムに於いては、上記のレーン中心線ポイントLaPjの配列が、車両が車線を実際に走行して得られた「走行軌跡」として用いられる。かかるレーン中心線ポイントLaPjは、実際に車両が通過した車線の中心線上に配置されていると考えられるので、レーン中心線ポイントに沿って算出される距離(実交差点間走路距離)は、より精度の高い二つの隣接するノード間のレーンの走路距離、即ち、交差点間走路距離となっていることが期待される。なお、実交差点間走路距離は、レーンの始端LnS及び終端LnEの間のレーン中心線ポイント間の距離を積算することにより算出されてよい。
上記の如く或るレーンについて生成された走行軌跡の数が所定数に達すると、それらの走行軌跡を用いて、そのレーンについて道路地図情報データベースに蓄積されている道路地図情報が更新されてよい。なお、当業者に於いて理解される如く、更新に使用する走行軌跡の数が多いほど、更新後の道路地図情報の精度が向上するところ、上記の「所定数」は、走行軌跡の数がその「所定数」に達すると、十分な精度の地図情報の更新が達成できる数である。かかる所定数の条件として、100m当たり1m未満の精度を要求するときには、経験則により得られている条件式:
1/(21/2×n)≦0.1m
を満たすnが選択され、この場合、n=8となる(Fix条件)。以下、本実施形態に於いて実行される道路地図情報の更新処理の態様のいくつかについて説明する。
道路地図情報の更新処理の一つの態様に於いては、上記の或る二つの隣接するノード間の或るレーンの実交差点間走路距離を用いて、対応するレーンの道路地図情報データベース内に蓄積されている交差点間走路距離の値が更新されてよい。図8は、前記の走行軌跡の生成から交差点間走路距離の更新までの処理の例をフローチャートの形式にて示している。かかる処理は、車両が或る走行経路に沿って同一の方向に複数回に亙って走行した後に、システムの使用者又は管理者或いは車両の使用者の指示によって、適時実行されてよい。なお、図示の処理のうち、ステップ21〜29は、走行軌跡生成部にて、ステップ30、31は、道路地図情報補正部にて、それぞれ、実行される。同図を参照して、具体的には、まず、更新の対象となる二つの隣接するノード間のレーンの選択が為され(ステップ21)、選択されたレーンの走行ログが選択され(ステップ22)、しかる後に、選択された走行ログが、前記の如き「正常走行ログ」であるか否かが検査され判定される(ステップ23)。選択された走行ログが「正常走行ログ」でない、即ち、横偏差等に異常値が含まれていると判断された場合には、選択されたレーンの新たな走行ログが選択され検査される。一方、選択された走行ログが正常走行ログであると判定されると、前記に説明された如く、レーン始端の検出(ステップ24−前のレーンの終端の検出)、レーン終端の検出(ステップ25)及びレーン中心ポイントの決定(ステップ26)が実行される。そして、レーン中心ポイントから得られた走行軌跡は、データ記録装置に記録され(ステップ27)、その走行軌跡に沿って実交差点間走路距離が算出される(ステップ28)。
道路地図情報の更新処理の別の態様に於いては、或る二つの隣接するノード間の或るレーンについて、そのレーンが右左折して終了する場合の終端近傍に於けるウェイポイント・マップ(終端ウェイポイント・マップ)が、正常走行ログとして記録されたパラメータを用いて更新されてよい。かかるレーンが右左折して終了する場合の終端ウェイポイント・マップ、即ち、ノード内の走路(交差点のモデル化の説明参照)は、一次的には、車両が、カーナビゲーション用地図情報に於ける道路線形に基づいて算出される曲率半径と角度とにて、ノード内の適当に設定された地点から旋回して走行すること(旋回開始点)を仮定して設定される。本実施形態のここに於ける態様では、かかる終端ウェイポイント・マップが、所定数に達した数の正常走行ログに於いて記録されたパラメータに基づいてより精度良く更新されることとなる。なお、レーンが右左折して終了する場合の終端ウェイポイント・マップは、車両が交差点に於いて右左折する際の走行経路を案内することとなるので、運転支援・走行制御に於いて、終端ウェイポイント・マップの地図情報が特に高精度に提供できることが好ましいことは理解されるべきである。
道路地図情報の更新処理のもう一つの態様に於いては、ランドマークの位置を特定するランドマーク走路距離が、正常走行ログ又は走行軌跡を用いて更新されてよい。既に触れた如く、本実施形態の地図情報提供システムに於いて、ランドマーク走路距離は、車両の位置を精度良く決定するために利用されるので、運転支援・走行制御に於いて、特に高精度に提供できることが好ましいことは理解されるべきである。
道路地図情報の更新処理の更にもう一つの態様に於いては、カーブ構成点に於ける角度変化及び曲率半径の情報が正常走行ログ又は走行軌跡を用いて更新されてよい。本実施形態の地図情報提供システムに於いて、カーブ構成点に於ける角度変化及び曲率半径の情報は、レーンに於けるウェイポイントの配置に利用されるので、運転支援・走行制御に於いて、特に高精度に提供できることが好ましいことは理解されるべきである。
図13のフローチャートを参照して、上記までに説明された道路地図情報の更新処理は、道路地図情報補正部によって、次の手順にて実行されてよい。まず、更新の対象となる二つの隣接するノード間のレーンの選択が為され(ステップ41)、次に、記録された走行軌跡の数或いは正常走行ログの数が前記の所定数に達しているか否か、即ち、Fix条件が満たされているか否かが判定される(ステップ42)。Fix条件が満たされていないときには、道路地図情報の更新は、実行されない(リターン)。一方、Fix条件が満たされているときには、選択されたレーンに於いて、その終端にて左折又は右折が為される場合には(ステップ43)、前記の如く、終端ウェイポイント・マップの生成処理が実行される(ステップ44)。また、選択されたレーンに於いて、ランドマークが存在していた場合には(ステップ45)、前記の如く、ランドマーク情報(ランドマーク走路距離)の更新処理が実行される(ステップ46)。そして、選択されたレーンに於いて、カーブ構成点が存在していた場合には(ステップ47)、前記の如く、カーブ構成点の情報(角度変化、曲率半径)の更新処理が実行される(ステップ48)。
Claims (16)
- 道路地図情報を用いて車両の運転支援及び/又は走行制御に利用されるための前記車両の走行予定経路の地図情報を構成し提供するシステムであって、
道路に存在する複数の交差点の各々の位置を特定する緯度及び経度の情報と、前記交差点の各々に於ける道路幅、車線数、各車線の車両進行方向並びに前記車両進行方向に沿った前方端及び後方端の位置の情報と、前記交差点の各々に於ける隣接する二つの交差点間の車線毎の走路距離である交差点間走路距離の情報と、道路に存在するカーブ路又は屈曲路上の地点であるカーブ構成点の各々の位置を特定する該カーブ構成点の各々の車両進行方向後方の最も近い交差点の車両進行方向前方端からの車線毎の走路距離であるカーブ構成点走路距離の情報と、前記カーブ構成点の各々の車線毎の角度変化及び曲率半径の情報とを含む道路地図情報を蓄積する道路地図情報データベースと、
道路上に於ける車両の位置を検出し決定する車両位置決定手段と、
前記車両の位置に基づいて前記車両の位置の周辺の所定の範囲の前記道路地図情報を前記道路地図情報データベースから抽出する道路地図情報抽出手段と、
任意の時点に於ける前記車両の位置であるウェイポイント基準点と前記抽出された道路地図情報とに基づいて、前記車両の走行予定経路に沿って前記車両の進行方向前方に所定の間隔にて並んだ複数のウェイポイントの位置を、前記ウェイポイント基準点を原点とした二次元平面にして、距離が走路距離にて表わされ、方向が前記走行予定経路に沿った車線の延在方向にて表される二次元平面である走路距離平面上のX−Y座標であるウェイポイント座標を用いて決定し、前記複数のウェイポイントから成るウェイポイント・マップを構成するウェイポイント・マップ構成手段と
を含み、
前記走路距離が、対応する2地点間の三次元空間に於ける道路の距離であり、
前記ウェイポイント・マップが前記車両の運転支援装置及び/又は走行制御装置へ供給され前記走行予定経路の地図情報として利用されるシステム。 - 請求項1のシステムであって、前記車両位置決定手段が、前記抽出された地図情報に基づいて前記車両の位置の車両進行方向後方の最も近い交差点の車両進行方向前方端からの走路距離である車両走路距離を決定する車両走路距離決定手段を含み、前記車両の位置が前記車両走路距離によって特定され、
前記ウェイポイント・マップ構成手段が、前記車両走路距離と、前記抽出された道路地図情報に於ける前記走行予定経路に沿った車線上に存在する各交差点に於ける前記車両進行方向に沿った後方端及び前方端の間の走路距離と、前記走行予定経路に沿った車線上に存在する各交差点の交差点間走路距離と、前記走行予定経路に沿った車線上に存在するカーブ構成点のカーブ構成点走路距離、角度変化及び曲率半径とを用いて、前記複数のウェイポイントの前記ウェイポイント座標とを決定するシステム。 - 請求項2のシステムであって、前記道路地図情報データベースに蓄積され、前記道路地図情報抽出手段によって抽出される道路地図情報に、前記道路に存在するランドマークの位置を特定する該ランドマークの前記車両進行方向後方の最も近い交差点の車両進行方向前方端からの走路距離であるランドマーク走路距離の情報が含まれており、
前記車両の走行中に前記車両が前記ランドマークを検出すると、前記車両走路距離決定手段が前記検出されたランドマークの前記ランドマーク走路距離と該ランドマークと前記車両との距離とに基づいて前記車両走路距離を補正するシステム。 - 請求項3のシステムであって、前記ランドマークが路面の停止線、横断歩道、信号機、一時停止標識、速度制限標識及びその他の道路標識からなる群から選択されるシステム。
- 請求項1乃至4のいずれかのシステムであって、前記道路地図情報抽出手段が前記車両の位置の移動と伴に新たな範囲の前記道路地図情報を抽出すると、前記ウェイポイント・マップ構成手段が、前記新たに抽出された道路地図情報と基づいて、前記車両の走行予定経路に沿って前記車両の進行方向前方に所定の間隔にて並んだ新たなウェイポイントの位置を前記ウェイポイント座標を用いて決定し、前記ウェイポイント・マップに追加するシステム。
- 請求項1乃至5のいずれかのシステムであって、前記車両の走行移動距離が所定距離を超えると、前記ウェイポイント基準点がその後の任意の時点に於ける前記車両の位置に更新されるシステム。
- 請求項1乃至6のいずれかのシステムであって、前記ウェイポイントの各々の位置が、前記ウェイポイント座標と前記ウェイポイント基準点からの累計の走路距離であるウェイポイント走路距離とを用いて決定されるシステム。
- 請求項1乃至7のいずれかのシステムであって、
前記車両の走行中に、所定の間隔の記録ポイントの各々にて、任意の時点に於ける前記車両の位置である走行軌跡基準点からの実際の走行距離である実車両走路距離と、前記車両の走行中の車線の中心線と前記車両の位置との距離である横偏差と、車速と、ヨーレートとを含む走行ログを記録する走行ログ記録手段と、
任意の二つの隣接する交差点間の任意の車線を同一の方向に運転者自らが運転して走行した車両の前記走行ログにして前記横偏差に於いて異常値を含まない走行ログである正常走行ログを用いて前記任意の二つの隣接する交差点間の前記任意の車線の走行軌跡を生成する走行軌跡生成手段であって、
前記道路地図情報データベースに蓄積された前記任意の二つの隣接する交差点の各々の前記車両の走行方向に沿った前方端又は後方端の位置の情報に基づいて前記正常走行ログに於ける前記実車両走路距離を用いて前記正常走行ログに於ける前記任意の二つの隣接する交差点の間の前記任意の車線の始端及び終端の位置を、前記走行軌跡基準点を原点とした二次元平面にして、距離が走路距離にて表わされ、方向が前記車両の走行した方向にて表される二次元平面である走行軌跡平面上にて決定する車線始端及び終端位置決定手段と、
前記正常走行ログの各記録ポイントに対応して、前記正常走行ログに記録された前記横偏差、前記車速及び前記ヨーレートを参照して、前記任意の車線の始端及び終端の間に於ける前記任意の車線の中心線上に位置決めされた車線中心ポイントの位置を前記走行軌跡平面上にて決定し、複数の前記車線中心ポイントの位置を前記任意の車線の始端及び終端の間に於ける走行軌跡として記録する走行軌跡記録手段と、
を含む走行軌跡生成手段と、
前記任意の車線の前記走行軌跡の数が所定数に達すると、前記所定数に達した数の前記走行軌跡に基づいて、前記道路地図情報データベースに蓄積されている前記道路地図情報を補正する道路地図情報補正手段と
を含むシステム。 - 請求項8のシステムであって、
前記走行軌跡生成手段が、前記任意の二つの隣接する交差点の間の前記任意の車線の始端及び終端の間の前記走行軌跡の長さを前記任意の二つの隣接する交差点間の前記任意の車線に於ける実交差点間走路距離として算出する手段を含み、
前記道路地図情報補正手段が、前記道路地図情報データベースに蓄積されている前記任意の二つの隣接する交差点間の前記任意の車線に於ける交差点間走路距離を、前記所定数に達した数の前記走行軌跡に於ける前記実交差点間走路距離の平均値に更新するシステム。 - 請求項3を引用する請求項5乃至7及び請求項4を引用する請求項5乃至7のうちのいずれかのシステムあって、
前記車両の走行中に、任意の時点に於ける前記車両の位置である走行軌跡基準点からの実際の走行距離である実車両走路距離と、前記車両の走行中の車線の中心線と前記車両の位置との距離である横偏差と、前記車両の走行中にランドマークを検出したときに前記実車両走路距離と関連付けて該ランドマークの存在を示す情報とを含む走行ログを記録する走行ログ記録手段と、
任意の二つの隣接する交差点間の任意の車線を同一の方向に運転者自らが運転して走行した車両の前記走行ログにして前記横偏差に於いて異常値を含まない走行ログである正常走行ログの数が所定数に達すると、前記所定数に達した数の前記正常走行ログに於いて共通に検出されているランドマークの前記道路地図情報データベースに記録されている前記ランドマーク走路距離を、前記所定数に達した数の前記正常走行ログに於ける、そのランドマークの検出したときの前記実車両走路距離からそのランドマークの前記車両進行方向後方の最も近い交差点の車両進行方向前方端までの実車両走路距離を差し引いた値の平均値に更新する道路地図情報補正手段と
を含むシステム。
- 請求項10のシステムであって、
前記任意の二つの隣接する交差点間の前記任意の車線上に複数のランドマークが存在する場合には、前記道路地図情報補正手段が、前記任意の車線の始端側の交差点から数えて二番目以降に存在するランドマークの前記道路地図情報データベースに記録されているランドマーク走路距離を、該ランドマークと前記始端側の交差点から数えて一つ前に存在するランドマークとの間の実際の走行距離に、前記始端側の交差点から数えて一つ前に存在する前記ランドマークのランドマーク走路距離を加算して与えられる距離に更新するシステム。 - 請求項1乃至7のいずれかのシステムであって、
前記車両の走行中に、任意の時点に於ける前記車両の位置である走行軌跡基準点からの実際の走行距離である実車両走路距離と、前記車両の走行中の車線の中心線と前記車両の位置との距離である横偏差と、前記車両の車速及びヨーレートと、前記車両の走行中にカーブ構成点を検出したときに前記実車両走路距離と関連付けて該カーブ構成点の存在を示す情報とを含む走行ログを記録する走行ログ記録手段と、
任意の二つの隣接する交差点間の任意の車線を同一の方向に運転者自らが運転して走行した車両の前記走行ログにして前記横偏差に於いて異常値を含まない走行ログである正常走行ログの数が所定数に達すると、前記所定数に達した数の前記正常走行ログに於いて共通に検出されているカーブ構成点の前記道路地図情報データベースに記録されている角度変化及び曲率半径を、前記所定数に達した数の前記正常走行ログの各々に於ける対応するカーブ構成点の前記車両の走行方向に沿った所定の距離範囲に於ける車速及びヨーレートとから決定される角度変化及び曲率半径に基づいて更新する道路地図情報補正手段と
を含むシステム。 - 請求項12のシステムであって、前記道路地図情報補正手段が、
前記所定数に達した数の前記正常走行ログに於いて共通に検出されている前記カーブ構成点の前記道路地図情報データベースに記録されている曲率半径を、対応するカーブ構成点の前記車両の走行方向に沿った所定の距離範囲に於ける前記所定数に達した数の前記正常走行ログに於ける車速をヨーレートで除し手得られる曲率半径の平均値の、前記所定数に達した数の前記正常走行ログに於ける平均値に更新し、
前記所定数に達した数の前記正常走行ログに於いて共通に検出されている前記カーブ構成点の前記道路地図情報データベースに記録されている角度変化を、対応するカーブ構成点からその次のカーブ構成点までの間の前記所定数に達した数の前記正常走行ログに於けるヨーレートを積算して得られる前記車両のヨー角の変化の、前記所定数に達した数の前記正常走行ログに於ける平均値に更新するシステム。 - 請求項8のシステムであって、
前記走行ログ記録手段が、前記任意の二つの隣接する交差点内に横断歩道及び/又は停止線が存在する場合には、前記横断歩道及び/又は停止線までの前記走行軌跡基準点からの実際の走行距離である実交差点内ランドマーク走路距離を前記走行ログとして更に記録し、
前記車線始端及び終端位置決定手段が、前記任意の車線の始端又は終端の位置を、前記交差点内にて検出された前記横断歩道及び/又は停止線の位置と前記車両進行方向に沿った前方端の位置との距離に前記実交差点内ランドマーク走路距離を加算した位置に決定するシステム。 - 請求項8のシステムであって、
前記車線始端及び終端位置決定手段が、前記任意の車線の始端又は終端の位置を、前記任意の二つの隣接する交差点内に於いて前記車両の進行方向に沿って前記ヨーレートを前記車速で除して得られる曲率が所定値以上から前記所定値以下に変化した位置に決定するシステム。 - 請求項8のシステムであって、
前記道路地図情報補正手段が、
前記任意の二つの隣接する交差点間の前記任意の車線の終端側の交差点に於いて前記車両が左折又は右折した走行軌跡の数が前記所定数に達した場合に、前記所定数に達した数の前記走行軌跡に於ける前記終端側の交差点内での前記車両の車速及びヨーレートに基づいて前記車両の左折又は右折の範囲の角度及び曲率半径の前記所定数に達した数の前記走行軌跡に於ける平均値をそれぞれ算出する手段と、
前記算出された前記車両の左折又は右折の範囲の角度及び曲率半径の平均値と前記道路地図情報データベース内に蓄積された前記終端側の交差点の道路地図情報とを用いて前記終端側の交差点内のウェイポイント・マップを構成する手段と、
前記終端側の交差点内のウェイポイント・マップに於ける停止線の位置に前記所定数に達した数の前記終端側の交差点内の走行軌跡の各々に於ける停止線の位置を整合し、前記終端側の交差点内のウェイポイント・マップの前記車両の左折又は右折の直前の経路の向きに前記終端側の交差点内の走行軌跡の各々の前記車両の左折又は右折の直前の経路の向きを整合し、前記終端側の交差点内のウェイポイント・マップの前記車両の左折又は右折の後の経路と前記終端側の交差点内の走行軌跡の各々の前記車両の左折又は右折の後の経路との偏差の二乗和が最小となるように前記終端側の交差点内のウェイポイント・マップの位置を平行移動したときの前記終端側の交差点内のウェイポイント・マップの左折又は右折の開始位置を前記終端側の交差点内に於ける左折又は右折の開始位置として決定する手段と、
前記終端側の交差点内の前記左折又は右折の開始位置として特定された位置、前記車両の左折又は右折の範囲の角度及び曲率半径の平均値を用いて前記道路地図情報データベース内に蓄積された前記終端側の交差点の道路地図情報を更新する手段とを含んでいるシステム。
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