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JP6966867B2 - 発酵麦芽飲料 - Google Patents

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Description

本発明は、発酵麦芽飲料において、麦芽使用比率がさほど高くない場合であっても飲み応えを改善する方法、及び当該方法により飲み応えが改善された発酵麦芽飲料に関する。
ビールや発泡酒等のビール様発泡性飲料は、消費者の嗜好の多様化にともない、多種多様の商品が上市されている。特に、近年の消費者の健康志向から、低カロリーや低糖質のビール様発泡性飲料に対する需要が高まっている。例えば、発酵工程を経て製造される発酵ビール様発泡性飲料の場合には、発酵原料として、酵母に対し非資化性の糖質を比較的多く含む麦芽の使用量を抑え、液糖のような非資化性の糖質を含まない糖類を多く使用することによって、飲料の糖質含有量やカロリーを低減させることができる。
しかしながら、ビール等の麦芽を原料とする発酵ビール様発泡性飲料においては、飲み応えやコク感は、その多くを麦芽由来の香味成分に依存しているため、麦芽の使用比率が低い発酵麦芽飲料では、すっきりしたキレのある味感が強くなる一方で、味わいやコクが不足し易いという傾向がある。麦芽の使用比率が低い発酵麦芽飲料の製造方法としては、例えば、特許文献1に、発酵原料の一部として酵母エキスと玄米を用いる方法が開示されている。麦芽には、酵母による正常な発酵に必要なアミノ酸やミネラル類が多く含まれている。当該文献に記載の方法では、麦芽の使用比率を低くすることにより不足するアミノ酸等を酵母エキスにより補い、かつ玄米により酵母エキス由来の好ましくない臭いや味を低減させている。
特開2010−207214号公報
本発明は、麦芽使用比率がさほど高くない発酵麦芽飲料であっても飲み応えを改善する方法、及び当該方法により製造された発酵麦芽飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、発酵麦芽飲料において、飲料中のジメチルスルフィド(DMS)と3−メチル−2−ブテン−1−チオール(MBT)の含有量を所定の範囲内に調整することによって、麦芽の使用比率を高めることなく、飲み応えを改善できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明に係る発酵麦芽飲料、発酵麦芽飲料の製造方法、及び発酵麦芽飲料の飲み応えを改善する方法は、下記[1]〜[]である。
[1] 発酵原料に占める麦芽の使用比率が27〜51質量%であり、DMS含有量が15〜40ppbであり、MBT含有量が5〜15pptであることを特徴とする、発酵麦芽飲料。
詰飲料である、前記[1]発酵麦芽飲料。
] 麦芽を含む発酵原料と水とを含む混合物を糖化処理し、得られた糖化液を煮沸処理して発酵原料液を調製する仕込工程と、
得られた発酵原料液に酵母を接種して発酵させる発酵工程と、
を有し、
前記発酵原料に占める麦芽の使用比率が27〜51質量%であり、
DMS含有量が15〜40ppbであり、MBT含有量が5〜15pptである発酵麦芽飲料を製造することを特徴とする、発酵麦芽飲料の製造方法。
発酵原料に占める麦芽の使用比率が27〜51質量%である発酵麦芽飲料の飲み応えを改善するために、飲料中のDMS及びMBTの含有量を、
DMS含有量が15〜100ppb及びMBT含有量が5〜100pptとなるように調整することを特徴とする、発酵麦芽飲料の飲み応えを改善する方法。
本発明により、麦芽の使用比率を高めることなく、飲み応えが改善された発酵麦芽飲料を提供できる。
本発明及び本願明細書における発酵麦芽飲料とは、麦芽を発酵原料とし、発酵工程を経て製造される飲料を意味する。本発明における発酵麦芽飲料のアルコール濃度は限定されず、1.0容量%以上のアルコール飲料であってもよく、1.0容量%未満のいわゆるノンアルコール飲料であってもよい。
本発明における発酵麦芽飲料としては、特にビール様発泡性飲料であることが好ましい。ビール様発泡性飲料とは、ビールらしさ(香味上ビールを想起させる呈味)を有する発泡性飲料を意味する。ビール様発泡性飲料である発酵麦芽飲料としては、具体的には、ビール、麦芽を原料として発酵工程を経て製造された発泡酒、麦芽を原料として発酵工程を経て製造されたノンアルコールビール等が挙げられる。本発明における発酵麦芽飲料としては、麦芽を原料として発酵工程を経て製造された飲料を、アルコール含有蒸留液と混和して得られたリキュール類であってもよい。
なお、アルコール含有蒸留液とは、蒸留操作により得られたアルコールを含有する溶液であり、一般に蒸留酒に分類されるものを用いることができる。例えば、原料用アルコール、スピリッツ、ウィスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、焼酎等を用いることができる。
本発明に係る発酵麦芽飲料は、DMS含有量が15ppb以上であり、MBT含有量が5ppt以上であることを特徴とする。発酵麦芽飲料中のDMSとMBTの含有量をそれぞれ前記範囲内に調整することによって、麦芽の使用比率を高めることなく、飲み応え(コク)を改善できる。DMSは、麦芽由来のビールのオフフレーバーであり、麦汁の煮沸温度が低い場合に生成されやすい。MBTは、「日光臭」といわれるホップ等に由来するビールのオフフレーバーである。このように、ビールのオフフレーバーとして知られている香気成分の含有量を調整することによって、エキス分を増加させることなく、飲み応えが改善できることは、本発明者によって初めて見出された知見である。
本発明に係る発酵麦芽飲料のDMS含有量は、15ppb以上の範囲内であれば特に限定されるものではない。充分な飲み応え改善効果とビールらしい香味に優れていることから、本発明に係る発酵麦芽飲料のDMS含有量としては、15ppb以上120ppb以下が好ましく、15ppb以上100ppb以下がより好ましく、15ppb以上40ppb以下がさらに好ましい。
本発明に係る発酵麦芽飲料のDMS含有量は、例えば、DMSを添加剤として添加することにより調整することができる。添加剤として添加するDMSは、合成されたDMSでもよく、天然物から抽出・精製されたDMSでもよい。また、DMSをその他の成分と共に含有する香料であってもよい。
本発明に係る発酵麦芽飲料のDMS含有量は、DMSを原料として直接添加せずとも、製造条件を適宜調整することによっても調整することができる。DMSは、麦汁の煮沸処理によって主に麦芽由来のS−メチオニルメチオニンが分解され生成される。このため、例えば、DMS含有量は、原料とする麦芽として、元々DMSの含有量が同種の他の品種等よりも高いものを選択して用いたり、麦芽の使用量を調整することにより、調整することができる。また、DMSは、酵母による含硫化合物の代謝によっても産生されるため、発酵条件を適宜調整することによっても、発酵麦芽飲料のDMS含有量を調整することができる。
本発明に係る発酵麦芽飲料のDMSの含有量は、例えば、炎光光度検出器を用いたガスクロマトグラフィー(Gas Chromatography−Flame Photometric Detector;GC−FPD)分析により測定することができる。具体的には、まず、サンプルをスターラーバーの入ったバイアル瓶に入れ、所定量の塩化ナトリウムを加え、次いで3N塩酸、内部標準液(硫化エチルメチル10mg/mL)を所定量ずつ加えた後、アルミキャップで密栓する。密栓した状態で、室温で10分間スターラーバーを回転させて撹拌することにより塩化ナトリウムを溶解させたサンプルを、ヘッドスペースGC−FPDに供し、内部標準比からサンプルのDMS濃度を定量する。
本発明に係る発酵麦芽飲料のMBT含有量は、5ppt以上の範囲内であれば特に限定されるものではない。充分な飲み応え改善効果とビールらしい香味に優れていることから、本発明に係る発酵麦芽飲料のDMS含有量としては、5ppt以上120ppt以下が好ましく、5ppt以上100ppt以下がより好ましく、5ppt以上15ppt以下がさらに好ましい。
本発明に係る発酵麦芽飲料のMBT含有量は、例えば、MBTを添加剤として添加することにより調整することができる。添加剤として添加するMBTは、合成されたMBTでもよく、天然物から抽出・精製されたMBTでもよい。また、MBTをその他の成分と共に含有する香料であってもよい。
本発明に係る発酵麦芽飲料のMBT含有量は、MBTを原料として直接添加せずとも、製造条件を適宜調整することによっても調整することができる。MBTは、紫外線〜可視光線によりイソα酸のアリル側鎖が光分解を受けた結果に生じたラジカルと含硫化合物から生じたラジカルとから生成される。ホップを原料とする場合、イソα酸は、ホップを麦汁に添加して煮沸処理することにより、イソα酸を含む発酵原料液が調製される。このため、原料として用いるホップの種類や使用量、煮沸条件を適宜調整することによって、発酵原料液中のイソα酸の含有量を調整することができ、ひいては最終的に飲料中に含まれるMBT含有量を調整することができる。また、MBTは、酵母による含硫化合物の代謝によっても産生されるため、発酵条件を適宜調整することによっても、発酵麦芽飲料のMBT含有量を調整することができる。さらに、発酵麦芽飲料に照射する日光量を調整することによっても、当該発酵麦芽飲料のMBT含有量を調整することができる。
本発明に係る発酵麦芽飲料のMBTの含有量は、例えば、供試サンプルから含硫化合物を水銀等の重金属化合物に結合させた後、強陰イオン交換樹脂カラムに吸着させる。その後、システインにより当該カラムから溶出させた含硫化合物を、質量分析計を搭載したGC(GC/MS)分析し、内部標準比から当該供試サンプルのMBT濃度を定量する。
本発明に係る発酵麦芽飲料は、飲料中のDMS含有量とMBT含有量を所定の範囲内に調整する以外は、一般的な発酵麦芽飲料と同様にして製造できる。一般的な発酵麦芽飲料は、仕込(発酵原料液調製)、発酵、貯酒、濾過の工程で製造することができる。
発酵原料としては、少なくとも麦芽を用いていればよく、麦芽のみを用いてもよく、麦芽以外の発酵原料を用いてもよい。発酵原料として用いる麦芽は、大麦麦芽であってもよく、小麦麦芽であってもよく、両者を併用してもよい。本発明の効果がより効果的に発揮できることから、本発明の発酵麦芽飲料は、発酵原料として、麦芽と麦芽以外の原料を併用するもの、すなわち、麦芽使用比率(発酵原料全体に占める麦芽の使用量の割合)が100質量%未満であることが好ましい。中でも、よりコクが強く、ビールらしい風味に優れるため、麦芽使用比率が20〜90質量%であることが好ましく、26〜90質量%であることがより好ましく、26〜66質量%であることがさらに好ましい。
麦芽以外の発酵原料としては、穀物原料のみを用いてもよく、糖質原料のみを用いてもよく、両者を混合して用いてもよい。糖質原料としては、例えば、液糖等の糖類が挙げられる。また、穀物原料としては、例えば、大麦や小麦等の麦芽以外の麦類、米、トウモロコシ、大豆等の豆類、イモ類等が挙げられ、大麦が特に好ましい。また、本発明において用いられる麦芽以外の穀物原料としては、1種類の穀物原料であってもよく、複数種類の穀物原料を混合したものであってもよい。
麦芽をはじめとする各穀物原料は、穀物シロップ、穀物エキス等として用いることもできるが、粉砕処理して得られる穀物粉砕物として用いることが好ましい。穀物類の粉砕処理は、常法により行うことができる。穀物粉砕物としては、麦芽破砕物、コーンスターチ、コーングリッツ等のように、粉砕処理の前後において通常なされる処理を施したものであってもよい。
仕込工程(発酵原料液調製工程)として、発酵原料から発酵原料液を調製する。具体的には、まず、発酵原料と原料水とを含む混合物を調製して加温し、発酵原料の澱粉質を糖化させる。当該混合物には、発酵原料等と水以外の副原料を加えてもよい。当該副原料としては、例えば、ホップ、酵母エキス、タンパク質分解物、水溶性食物繊維、甘味料、苦味料、果汁、着色料、香草、香料等が挙げられる。
水溶性食物繊維とは、水に溶解し、かつヒトの消化酵素により消化されない又は消化され難い炭水化物を意味する。本発明において用いられる水溶性食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、大豆食物繊維、ガラクトマンナン、イヌリン、グアーガム分解物、ペクチン、アラビアゴム等が挙げられる。これらの水溶性食物繊維は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
甘味料としては、砂糖であってもよく、比較的甘味度の低いものであってもよく、高甘味度甘味料であってもよい。比較的甘味度の低い甘味料としては、具体的には、多糖類、甘味系アミノ酸が挙げられる。多糖類とは、3以上の単糖が重合した糖質を意味する。多糖類は、主にその大きさによって、でんぷん、デキストリン、及びオリゴ糖に大別される。オリゴ糖は、3〜10個程度の単糖が重合した糖質であり、デキストリンは、でんぷんを加水分解して得られる糖質であって、オリゴ糖よりも大きなものを指す。甘味系アミノ酸としては、アラニンやグリシンが挙げられ、アラニンが好ましい。高甘味度甘味料としては、アセスルファムカリウム、ネオテーム、アスパルテーム、スクラロース、ステビア、酵素処理ステビア等が挙げられる。これらの甘味料は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
苦味料としては、製品である発酵麦芽飲料において、ビールと同質若しくは近似する苦味を呈するものであれば特に限定されるものではなく、ホップ中に含まれている苦味成分であってもよく、ホップには含まれていない苦味成分であってもよい。当該苦味料としては、具体的には、マグネシウム塩、カルシウム塩、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ナリンジン、クワシン、イソα酸、テトライソα酸、β酸の酸化物、キニーネ、モモルデシン、クエルシトリン、テオブロミン、カフェイン等の苦味付与成分、及びゴーヤ、センブリ茶、苦丁茶、ニガヨモギ抽出物、ゲンチアナ抽出物、キナ抽出物等の苦味付与素材が代表的に挙げられる。これらの苦味料は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
タンパク質分解物としては、例えば、大豆タンパク分解物等が挙げられる。
着色料としては、例えば、カラメル色素等が挙げられる。
香料としては、例えば、ビールフレーバー、ビール香料、ホップ香料等が挙げられる。
仕込工程においては、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ等の糖化酵素やプロテアーゼ等の酵素剤を添加することが好ましい。これらの酵素により、発酵原料中の非資化性糖を、資化性糖への分解反応が促進され、麦芽使用比率が高い発酵原料を用いた場合でも、非資化性糖の含有量が低く抑えられた発酵原料液を調製することができる。
糖化処理は、穀物原料等由来の酵素や、別途添加した酵素を利用して行う。糖化処理時の温度や時間は、用いた穀物原料等の種類、発酵原料全体に占める穀物原料の割合、添加した酵素の種類や混合物の量、目的とする発酵麦芽飲料の品質等を考慮して、適宜調整される。例えば、糖化処理は、穀物原料等を含む混合物を35〜70℃で20〜90分間保持する等、常法により行うことができる。糖化処理の時間を調節することにより、糖化効率を制御し、最終的に得られる発酵麦芽飲料の糖質含有量を所望の範囲内に調整することもできる。
糖化処理後に得られた糖液を煮沸することにより、煮汁(糖液の煮沸物)を調製することができる。糖液は、煮沸処理前に濾過し、得られた濾液を煮沸処理することが好ましい。また、この糖液の濾液に替わりに、麦芽エキスに温水を加えたものを用い、これを煮沸してもよい。煮沸方法及びその条件は、適宜決定することができる。
煮沸処理前又は煮沸処理中に、香草等を適宜添加することにより、所望の香味を有する発酵麦芽飲料を製造することができる。特にホップは、煮沸処理前又は煮沸処理中に添加することが好ましい。ホップの存在下で煮沸処理することにより、ホップの風味・香気成分を効率よく煮出することができる。ホップの添加量、添加態様(例えば数回に分けて添加するなど)及び煮沸条件は、適宜決定することができる。
仕込工程後、発酵工程前に、調製された煮汁から、沈殿により生じたタンパク質等の粕を除去することが好ましい。粕の除去は、いずれの固液分離処理で行ってもよいが、一般的には、ワールプールと呼ばれる槽を用いて沈殿物を除去する。この際の煮汁の温度は、15℃以上であればよく、一般的には50〜100℃程度で行われる。粕を除去した後の煮汁(濾液)は、プレートクーラー等により適切な発酵温度まで冷却する。この粕を除去した後の煮汁が、発酵原料液となる。
次いで、発酵工程として、冷却した発酵原料液に酵母を接種して、発酵を行う。冷却した発酵原料液は、そのまま発酵工程に供してもよく、所望のエキス濃度に調整した後に発酵工程に供してもよい。発酵に用いる酵母は特に限定されるものではなく、通常、酒類の製造に用いられる酵母の中から適宜選択して用いることができる。上面発酵酵母であってもよく、下面発酵酵母であってもよいが、大型醸造設備への適用が容易であることから、下面発酵酵母であることが好ましい。
さらに、貯酒工程として、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させた後、濾過工程として、熟成後の発酵液を濾過することにより、酵母及び当該温度域で不溶なタンパク質等を除去して、目的の発酵麦芽飲料を得ることができる。当該濾過処理は、酵母を濾過除去可能な手法であればよく、例えば、珪藻土濾過、平均孔径が0.4〜1.0μm程度のフィルターによるフィルター濾過等が挙げられる。また、所望のアルコール濃度とするために、濾過前又は濾過後に適量の加水を行って希釈してもよい。得られた発酵麦芽飲料は、通常、充填工程により容器詰めされて、製品として出荷される。本発明に係る発酵麦芽飲料は、保存中のMBTの予期せぬ増量を抑制するため、缶等の遮光容器に充填することが好ましい。
その他、酵母による発酵工程以降の工程において、例えばアルコール含有蒸留液と混和することにより、酒税法におけるリキュール類に相当する発酵麦芽飲料を製造することができる。アルコール含有蒸留液の添加は、アルコール濃度の調整のための加水前であってもよく、加水後であってもよい。添加するアルコール含有蒸留液は、より好ましい麦感を有する発酵麦芽飲料を製造し得ることから、麦スピリッツが好ましい。
DMS又はこれを含有する香料やMBT又はこれを含有する香料を原料とする場合には、添加したDMS及びMBTが製造工程中で失われることを抑制するために、DMS及びMBTは、発酵原料液の煮沸処理後の任意の時点において添加することが好ましく、貯酒工程又はその後の濾過工程において添加することがより好ましい。
次に実施例及び参考例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。
<DMS濃度の測定>
以降の実施例において、DMSの濃度は、GC−FPD分析により測定した。
具体的には、まず、供試サンプルをスターラーバーの入ったバイアル瓶に入れ、所定量の塩化ナトリウムを加え、次いで3N塩酸、内部標準液(硫化エチルメチル10mg/mL)を所定量ずつ加えた後、アルミキャップで密栓した。密栓した状態で、室温で10分間スターラーバーを回転させて撹拌することにより塩化ナトリウムを溶解させた供試サンプルを、ヘッドスペースGC−FPDに供し、内部標準比から供試サンプルのジメチルスルフィド濃度を定量した。
<MBT濃度の測定>
以降の実施例において、MBTの濃度は、GC/MS分析により測定した。
供試サンプル500mLに、0.1M Trisに溶解させた2mM p−HMB(p−ヒドロキシ水銀安息香酸)25mLと20mM tert−ブチル−4−メトキシフェノール(BHA)エタノール溶液 500μLと、内部標準液である500ng/mL 4−メトキシ−2−メチル−2−メルカプトブタン(4M4M2MB)エタノール溶液100mLとを添加し、密栓して、スターラーバーで室温10分間、強く攪拌し、供試サンプル中の含硫化合物を、水銀化合物であるp−HMBに吸着させた。この反応物をDowex−1(強陰イオン交換樹脂)カラムに吸着させた後、0.2mM tert−ブチル−4−メトキシフェノールを含有する0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH6)100mLで当該カラムを洗浄した後、10mg/mL L−システイン塩酸塩一水和物を含有する0.1M 酢酸ナトリム緩衝液(pH6)100mLにより、含硫化合物をカラムから溶出させた。回収された溶出液を、酢酸エチル0.5mL、次いでジクロロメタン5mLで2回抽出し、回収された有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、窒素ガスにて100μLまで濃縮し、質量分析計を搭載したGC分析に供してMBTを定量した。
[実施例1]
発酵麦芽飲料に、DMS及びMBTを添加し、飲み応えに対する影響を調べた。
まず、10kgの麦芽に原料水を混合した混合物を常法に従って加温して糖化液を製造した。得られた糖化液を濾過し、得られた濾液に25kgの液糖(固形分75質量%)、1kgの大豆タンパク質、及びホップを添加した後、煮沸して麦汁(穀物煮汁)を得た(麦芽使用比率:27質量%)。得られた麦汁を沈降槽に移して沈殿物を分離、除去した後、原麦汁エキスが12質量%となるように加水調整したものを発酵原料液とした。得られた発酵原料液200Lを約7℃に冷却した後、当該冷麦汁にビール酵母を接種し、約10℃で7日間発酵させた後、7日間貯酒タンク中で熟成させた。熟成後の発酵液をフィルター濾過(平均孔径:0.65μm)し、発酵麦芽飲料Aを得た。この発酵麦芽飲料Aは、アルコール度数5容量%、炭酸ガス圧0.23MPa、DMS含有量10ppb、MBT含有量3pptであった。
この発酵麦芽飲料Aに、DMS及びMBTを、飲料中の濃度が表1〜2に記載の濃度となるようにそれぞれ添加して発酵麦芽飲料B〜Jを得た。
6名の専門パネルにより、発酵麦芽飲料B〜Jの飲み応えについて、発酵麦芽飲料Aを対照とした官能評価を行った。具体的には、各発酵麦芽飲料の飲み応えを、対照サンプル(発酵麦芽飲料A)を3点とし、1点が対照サンプルに比べて非常に弱く感じる、2点が対照サンプルに比べて弱く感じる、3点が対照サンプルと同等に感じる、4点が対照サンプルに比べて強く感じる、5点が対照サンプルに比べて非常に強く感じる、とする5段階で、ブラインドで評価した。6名のパネルの評点の平均値が3.5以上の場合に、飲み応えの改善効果があったと評価した。評価結果を表1〜2に示す。表中の官能評価の欄の「○」は飲み応え改善効果があったとの評価を、「×」は飲み応え改善効果がなかったとの評価をそれぞれ示す。
Figure 0006966867
Figure 0006966867
表1及び2に示すように、DMS含有量が15ppb以上、MBT含有量が5ppt以上であった発酵麦芽飲料F〜Lは、いずれも飲み応え改善効果が観察された。一方で、DMS含有量が15ppb以上ではあるものの、MBT含有量が5ppt未満であった発酵麦芽飲料C及びEは、飲み応え改善効果が観察されなかった。MBT含有量が5ppt以上ではあるものの、DMS含有量が10ppbであった発酵麦芽飲料B及びDは、MBTを添加しなかった発酵麦芽飲料Aよりも飲み応えは悪化していた。
[実施例2]
麦芽使用比率の異なる発酵麦芽飲料にそれぞれ、DMS及びMBTを添加し、飲み応えに対する影響を調べた。
麦芽の使用量を2kg、液糖の使用量を30kg(固形分75質量%)とし、麦芽使用比率を6質量%とした以外は実施例1の発酵麦芽飲料Aと同様にして、アルコール度数5容量%、炭酸ガス圧0.23MPaである発酵麦芽飲料を製造し、これにMBTとDMSをそれぞれ、飲料のMBT含有量が5ppt、DMS含有量が20ppbとなるように添加し、発酵麦芽飲料Mを製造した。
また、麦芽の使用量を20kg、液糖の使用量を20kg(固形分75質量%)とし、大豆タンパク質は使用せず、麦芽使用比率を51質量%とした以外は実施例1の発酵麦芽飲料Aと同様にして、アルコール度数5容量%、炭酸ガス圧0.23MPaである発酵麦芽飲料を製造し、これにMBTとDMSをそれぞれ、飲料のMBT含有量が6ppt、DMS含有量が20ppbとなるように添加し、発酵麦芽飲料Nを製造した。
実施例1で製造した発酵麦芽飲料Aを対照として実施例1と同様にして、発酵麦芽飲料M及びNの発酵麦芽飲料Fの飲み応えを官能評価した。結果を、実施例1の発酵麦芽飲料A及びFの結果と共に表3に示す。この結果、麦芽使用比率が51質量%であった発酵麦芽飲料Nでは飲み応え改善効果が観察されたが、麦芽使用比率が6質量%であった発酵麦芽飲料Mでは飲み応え改善効果が観察されなかった。
Figure 0006966867

Claims (4)

  1. 発酵原料に占める麦芽の使用比率が27〜51質量%であり、
    ジメチルスルフィド含有量が15〜40ppbであり、3−メチル−2−ブテン−1−チオール含有量が5〜15pptであることを特徴とする、発酵麦芽飲料。
  2. 詰飲料である、請求項1記載の発酵麦芽飲料。
  3. 麦芽を含む発酵原料と水とを含む混合物を糖化処理し、得られた糖化液を煮沸処理して発酵原料液を調製する仕込工程と、
    得られた発酵原料液に酵母を接種して発酵させる発酵工程と、
    を有し、
    前記発酵原料に占める麦芽の使用比率が27〜51質量%であり、
    ジメチルスルフィド含有量が15〜40ppbであり、3−メチル−2−ブテン−1−チオール含有量が5〜15pptである発酵麦芽飲料を製造することを特徴とする、発酵麦芽飲料の製造方法。
  4. 発酵原料に占める麦芽の使用比率が27〜51質量%である発酵麦芽飲料の飲み応えを改善するために、飲料中のジメチルスルフィド及び3−メチル−2−ブテン−1−チオールの含有量を、
    ジメチルスルフィド含有量が15〜100ppb及び3−メチル−2−ブテン−1−チオール含有量が5〜100pptとなるように調整することを特徴とする、発酵麦芽飲料の飲み応えを改善する方法。
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