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JP6964523B2 - 連結部材および支保工の連結方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連結部材およびこれを用いた支保工の連結方法に関する。
地下構造物を構築する際には、地盤に山留壁を構築し、山留壁の内部を掘削して構造物を構築する。地盤の掘削に伴って周辺地盤から山留壁にかかる荷重は、掘削部に設置した切梁等の支保工で支持する(例えば、特許文献1、2等)。
地下構造物を複数の工区に分けて構築する場合、工区境において両工区の工程の相違や支保工の違い等が存在し、先行する第一工区で構築された構造物と、後行する第二工区の地盤掘削時の支保工との連結作業が発生する場合がある。先行する第一工区の床スラブ等と後行する第二工区の切梁を連結する場合などでは、連結箇所に仮設の鉄筋コンクリート躯体を構築して連結部材とし、これにより両者を連結する方法が用いられている。
特開2013−79511号公報 特許第5555643号公報
しかしながら、上記した仮設の鉄筋コンクリート躯体を連結部材に用いると、支保工の連結作業や連結部材の撤去作業が容易ではない。例えば仮設の鉄筋コンクリート躯体を用いることにより支保工の連結に時間的位置的制約が生じる場合がある。すなわち、コンクリートの強度が発現するまで切梁を連結できず、また仮設の鉄筋コンクリート躯体の応力や形状の関係から切梁の設置位置に制約が生じるケースもある。また撤去時にコンクリートをはつる必要があるなど手間がかかり、騒音も生じる。さらに、コンクリートの産廃処分が必要で環境面にも悪影響を与える。
加えて、工区境において床スラブ等と切梁のレベルとが異なっている場合、仮設の鉄筋コンクリート躯体が過大なものとなったり、複雑な形状となったりする。また仮設の鉄筋コンクリート躯体が連結箇所の応力を許容することが困難な場合もある。
本発明は前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、支保工の連結作業や連結部材の撤去作業を容易に行うことができる連結部材等を提供することである。
前述した目的を達成するための第1の発明は、所定の区画に構築された構造物に接続される、前記所定の区画に隣接する区画の地盤を掘削する際に用いる支保工を連結するための鋼製の連結部材であって、前記構造物に平面において間隔を空けて取付けられる複数の接続部と、隣り合う前記接続部に取付けられ、前記所定の区画と前記所定の区画に隣接する区画との境界部に沿って延びる梁部材と、を有することを特徴とする連結部材である。
本発明では、鋼製の連結部材を用いることにより、コンクリートの強度発現までの養生期間が不要となるため支保工の連結に時間的な制約がなく、また鋼材により応力を伝達できることから支保工の連結に際し位置的な制約が少ない。そのため、仮設の鉄筋コンクリート躯体を用いる場合と比較して、支保工の連結時の時間的位置的自由度が向上する。また連結部材の撤去時にコンクリートをはつる等の必要が無くなって撤去も容易となり、騒音の低減も図れ、産廃処分が不要となることで環境負荷も低減できる。さらに、連結部材は支保工の高さに合わせて構造物の適当な位置に容易に取付けることができ、結果、連結部材を単純な形状とでき、その形状や部材サイズを調整することで様々な応力に対応可能となる。
前記所定の区画に隣接する区画は、例えば山留壁を挟んで前記所定の区画に隣接している。
本発明では、例えば山留壁を挟んで隣接する区画の地盤を掘削する際の支保工を、上記の連結部材に連結することができる。
前記連結部材は、前記構造物に平面において間隔を空けて取付けられる複数の接続部と、隣り合う前記接続部に取付けられ、前記所定の区画と前記所定の区画に隣接する区画との境界部に沿って延びる梁部材と、を有する構成とすることで、最小の構成で支保工の連結時の位置的自由度が向上する。
前記接続部は、例えば前記構造物の鉄骨柱に接続される。
この場合、連結部材を支保工に合わせた高さで設置できる。
第2の発明は、所定の区画で構築した構造物に鋼製の連結部材を接続する工程と、所定の区画に隣接する区画の地盤を掘削する際に用いる支保工を前記連結部材に連結する工程と、を具備する支保工の連結方法であって、前記連結部材は、前記構造物に平面において間隔を空けて取付けられる複数の接続部と、隣り合う前記接続部に取付けられ、前記所定の区画と前記所定の区画に隣接する区画との境界部に沿って延びる梁部材と、を有することを特徴とする支保工の連結方法である。
前記所定の区画に隣接する区画は、例えば山留壁を挟んで前記所定の区画に隣接している
本発明によれば、支保工の連結作業や連結部材の撤去作業を容易に行うことができる連結部材等を提供することができる。
切梁支保工20の連結方法を示す図。 連結部材10を示す図。 連結部材10を示す図。 連結部材10を示す図。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る支保工の連結方法を示す図である。図1(a)に平面を示すように、本実施形態では先行して地下構造物の構築が行われる区画である第一工区1(所定の区画)と、山留壁9を挟んで第一工区1に隣接し、後行して施工が行われる区画である第二工区2(所定の区画に隣接する区画)が存在する。
山留壁9は第二工区2の地盤4を支持するもので、第一工区1と第二工区2の境界部に配置される。山留壁9には例えば鋼矢板が用いられるがこれに限ることはなく、例えばRC連壁などでもよい。また、第二工区2の掘削をオープン掘削により行う場合もあり、この場合は山留壁9が使用されず、第一工区1と第二工区2の境界部に第二工区2の地盤4の法面が位置する。
第一工区1では、第二工区2に先行して地盤4が掘削され、本設の構造物である床スラブ6と複数の鉄骨柱5が構築されている。鉄骨柱5は山留壁9に沿って所定間隔で設置される。
本実施形態では、この構造物に支保工の連結部材10が接続されており、図1(b)に示すように第二工区2の地盤4を掘削する際に用いる切梁支保工20の一端がこの連結部材10に連結される。連結部材10に切梁支保工20を連結するために、山留壁9は切梁支保工20の連結前にその一部または全部が除去される。
切梁支保工20は掘削部において水平方向に配置され、その他端は掘削部の周囲の山留壁(不図示)に連結される。切梁支保工20は床スラブ6と異なる高さに設置されることがあり、連結部材10はこの切梁支保工20の高さに合わせて床スラブ6と異なる高さに設置される場合がある。
連結部材10は鋼製の部材であり、複数の接続部11と、隣り合う接続部11に取付けられる仮設梁13を有する。
接続部11は平面において山留壁9に沿って間隔を空けて配置され、各接続部11が各鉄骨柱5にそれぞれ接続される。
仮設梁13は、接続部11の間で山留壁9に沿って水平方向に延びるように配置される梁部材である。
切梁支保工20は仮設梁13に連結される。鋼製の連結部材10は応力を好適に伝達しこれを各所に分散できるため、切梁支保工20は連結部材10の任意の位置に連結すればよく、例えば仮設梁13の中間部に連結することが可能である。
図2〜4は連結部材10を示す図である。図2は第一工区1から第二工区2に向かう方向に沿った連結部材10の鉛直断面を示したものである。また図3は連結部材10の斜視図であり、図4はこのうち仮設梁13を分解して示したものである。なお図3、4において、第一工区1の構造物については鉄骨柱5のみを図示している。
本実施形態では各鉄骨柱5の適当な高さにブラケット7がそれぞれ取付けられる。鉄骨柱5およびブラケット7には例えばH形鋼が用いられ、ブラケット7の部材軸方向の一方の端面が鉄骨柱5のフランジに溶接等により固定される。連結部材10はこのブラケット7に取付けられ、床スラブ6に応力伝達可能な高さに設置される。また、ブラケット7には本設の鉄骨を用いることもできる。
ブラケット7の部材軸方向の他方の端面には連結部材10の接続部11が取付けられる。接続部11には例えばH形鋼が用いられ、その部材軸方向をブラケット7から山留壁9に向かう方向に合わせて水平方向に配置される。
接続部11の部材軸方向の一方の端面は、ブラケット7の上記他方の端面に突き合わせられ、接続部11とブラケット7のウェブ同士、接続部11とブラケット7のフランジ同士が連結される。
接続部11とブラケット7のウェブ同士の連結には添接板31と締結具33が用いられる。すなわち、接続部11のウェブとブラケット7のウェブに跨るようにしてウェブ両面に添接板31が配置され、添接板31と接続部11のウェブ、添接板31とブラケット7のウェブがそれぞれ締結具33で締結される。
締結具33にはボルトおよびナットが用いられ、添接板31および接続部11のウェブを貫通する孔(不図示)に、両面の添接板31のうち一方の添接板31からボルトの軸部を通し、他方の添接板31から突出する軸部の先端にナットが締め込まれる。同様に、添接板31およびブラケット7のウェブを貫通する孔(不図示)に、一方の添接板31からボルトの軸部を通し、他方の添接板31から突出する軸部の先端にナットが締め込まれる。
こうして接続部11とブラケット7のウェブ同士が連結される。接続部11とブラケット7のフランジ同士も同様にして添接板41と締結具43を用いて連結され、これにより接続部11がブラケット7に固定される。
接続部11のウェブの両面には鉛直板17および水平板19(図4参照)が略ト字状に取付けられる。鉛直板17、水平板19には鋼板が用いられ、溶接等によって接続部11のウェブおよびフランジに固定される。
仮設梁13にはH形鋼が用いられ、その両端が接続部11の上記した鉛直板17および水平板19に取付けられる。
仮設梁13の部材軸方向の端面は、接続部11の鉛直板17および水平板19に突き合わせられ、仮設梁13の一方のフランジと鉛直板17、仮設梁13のウェブと水平板19がそれぞれ連結される。
仮設梁13のフランジと鉛直板17の連結には、前記と同様、添接板51と締結具53が用いられる。すなわち、仮設梁13のフランジと鉛直板17に跨るようにして仮設梁13のフランジおよび鉛直板17の両面に添接板51が配置され、添接板51と鉛直板17、添接板51と仮設梁13のフランジがそれぞれ締結具53で締結される。
締結具53には前記と同じくボルトおよびナットが用いられ、添接板51と鉛直板17を貫通する孔(不図示)に、両面の添接板51のうち一方の添接板51からボルトの軸部を通し、他方の添接板51から突出する軸部の先端にナットが締め込まれる。同様に、添接板51および仮設梁13のフランジを貫通する孔(不図示)に、一方の添接板51からボルトの軸部を通し、他方の添接板51から突出する軸部の先端にナットが締め込まれる。
こうして仮設梁13の一方のフランジと鉛直板17が連結される。仮設梁13のウェブと水平板19も同様にして添接板61と締結具63を用いて連結され、これにより仮設梁13が接続部11に固定される。
以上に説明した本実施形態によれば、鋼製の連結部材10を用いることにより、コンクリートの強度発現までの養生期間が不要となるため切梁支保工20の連結に時間的な制約がなく、また鋼材により応力を伝達できることから切梁支保工20の連結に際し位置的な自由度が向上する。そのため、仮設の鉄筋コンクリート躯体を用いる場合と比較して、切梁支保工20の連結時の時間的位置的自由度が向上する。
また連結部材10の撤去時にコンクリートをはつる等の必要が無くなって撤去も容易となり、騒音の低減も図れ、産廃処分が不要となることで環境負荷も低減できる。さらに、連結部材10は切梁支保工20の高さに合わせて鉄骨柱5の床スラブ6に応力伝達可能な位置に容易に取付けることができ、結果、連結部材10を単純な形状とできる。
また、連結部材10を前記の接続部11と仮設梁13による構成とすることで、最小の構成で切梁支保工20の連結時の位置的自由度を向上することができ、鉄骨柱5への接続も容易である。
しかしながら、本発明は上記の実施形態に限らない。例えば具体的な連結部材10の形状や部材サイズは前記したものに限らず、切梁支保工20の連結時の応力を考慮して定めることができ、様々な応力に対応可能とできる。また連結部材10に連結する支保工も切梁支保工20に限定されることはない。
また本実施形態では連結部材10を本設の鉄骨柱5に取付けたが、連結部材10を取付ける構造物はこれに限ることはなく、第一工区1に構築される柱や杭などをはじめとした各種の本設の構造物あるいは仮設の構造物、特に鋼製の部材に好適に取付けることが可能である。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1:第一工区
2:第二工区
4:地盤
5:鉄骨柱
6:床スラブ
7:ブラケット
9:山留壁
10:連結部材
11:接続部
13:仮設梁
17:鉛直板
19:水平板
20:切梁支保工
31、41、51、61:添接板
33、43、53、63:締結具

Claims (5)

  1. 所定の区画に構築された構造物に接続される、前記所定の区画に隣接する区画の地盤を掘削する際に用いる支保工を連結するための鋼製の連結部材であって、
    前記構造物に平面において間隔を空けて取付けられる複数の接続部と、
    隣り合う前記接続部に取付けられ、前記所定の区画と前記所定の区画に隣接する区画との境界部に沿って延びる梁部材と、
    を有することを特徴とする連結部材
  2. 前記所定の区画に隣接する区画は、山留壁を挟んで前記所定の区画に隣接していることを特徴とする請求項1記載の連結部材。
  3. 前記接続部は、前記構造物の鉄骨柱に接続されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の連結部材。
  4. 所定の区画で構築した構造物に鋼製の連結部材を接続する工程と、
    所定の区画に隣接する区画の地盤を掘削する際に用いる支保工を前記連結部材に連結する工程と、
    を具備する支保工の連結方法であって、
    前記連結部材は、
    前記構造物に平面において間隔を空けて取付けられる複数の接続部と、
    隣り合う前記接続部に取付けられ、前記所定の区画と前記所定の区画に隣接する区画との境界部に沿って延びる梁部材と、
    を有することを特徴とする支保工の連結方法
  5. 前記所定の区画に隣接する区画は、山留壁を挟んで前記所定の区画に隣接していることを特徴とする請求項記載の支保工の連結方法。
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