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JP6942640B2 - 断熱材、及びそれを用いた横葺き外装構造 - Google Patents

断熱材、及びそれを用いた横葺き外装構造 Download PDF

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Description

本発明は、横葺き外装構造の施工に際し、断熱材の敷設と横葺き外装材の敷設とを必ずしも連続的に施工する必要が無く、また施工の途中で降雨があっても支障なく横葺き外装構造を構築できる断熱材、及びそれを用いた横葺き外装構造に関する。
各種の横葺き外装材を敷設してなる横葺き屋根の裏面側に、断熱材を配設して断熱層を形成した構造は広く知られている。そして、このような横葺き屋根構造を施工する方法としては、以下の方法が知られている。
まず、第1の方法として、特許文献1のように横葺き屋根の裏面に断熱材を貼り付ける又は嵌め込み、屋根材と断熱材と一体化して施工する工法がある。
また、第2の方法として、屋根材を施工しつつその裏面側に断熱材を葺き込んでいく工法がある。
さらに、第3の方法として、断熱材を敷き込んだ上から横葺き屋根を施工する工法も知られている。
特開2008−38425号公報
しかしながら、前記特許文献1に示される前記第1の方法では、屋根端部の納めなどでの切断・曲げ等の加工が困難であるという問題があった。
また、前記第2の方法では、屋根材を固定するまで断熱材が固定されず、強風等による断熱材のズレや飛散の恐れがあった。
さらに、前記第3の方法では、断熱材を固定した後、更に屋根材を吊子やビスで固定する必要があるため、施工の手間がかかるという問題があった。
そこで、本発明は、横葺き外装構造の施工に際し、断熱材の敷設と横葺き外装材の敷設とを必ずしも連続的に施工する必要が無く、また施工の途中で降雨があっても支障なく横葺き外装構造を構築できる断熱材、及びそれを用いた横葺き外装構造を提案することを目的とする。
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、下地表面に隙間ない断熱層を形成でき、該断熱層の表面には横葺き外装材を配設することができる断熱材であって、水下端に表層部分が水下側へ延出する突出部を備える上側重合部と、水上端に長さ方向に連続する水返し凸部を備える下側重合部と、を備え、長さ方向に交互に配された二種の隆状領域と、該領域間に配された継手用凸部で表面が形成され、継手捨板が配設される継手用凸部間が、長さ方向に少なくとも二箇所以上形成されていることを特徴とする断熱材を提案するものである。
また、本発明は、前記断熱材において、断熱材は非透水性の素材で形成されることを特徴とする断熱材をも提案する。
また、本発明は、二種の隆状領域は、それぞれ流れ方向に島状部が複数形成されていることを特徴とする断熱材をも提案する。
また、本発明は、二種の隆状領域のうちの一方の領域の下側重合部には、継手捨板の水上端と当接する配設用凸部が設けられていることを特徴とする断熱材をも提案する。
また、本発明は、二種の隆状領域のうちの他方の領域の下側重合部には、突出部の裏面と当接する固定用凸部が設けられていることを特徴とする断熱材をも提案する。
さらに、本発明は、下地表面に前記構成の断熱材が隙間なく敷設され、前記断熱材の外側には横葺き外装材を敷設してなる横葺き外装構造であって、前記横葺き外装材は、面板部の水上側に、前記断熱材に沿わせる固定片部と、その水下側に、水下側が開放する横溝、前記断熱材の突出部に嵌合する嵌合部を備える水上側成形部と、面板部の水下側に、裏面側に折り返して水上側へ延在させて前記横溝に係合可能な差し込み片、前記嵌合部の外側に重合させる重合部を備える水下側成形部と、を有することを特徴とする横葺き外装構造をも提案するものである。
本発明の断熱材は、長さ方向に交互に形成された二種の隆状領域間に継手用凸部が形成され、この継手用凸部と隣り合う継手用凸部との間に継手捨板を取り付けることができるものである。この継手捨板は、左右方向に隣り合う横葺き外装材の接続(継手)箇所に相当するので、継手捨板を適正位置に且つ容易に調整することができ、横葺き外装材を例えば一文字法でも階段法でも容易に施工することができる。
また、断熱材が非透水性の素材である場合には、単に隙間無い断熱層が形成されるばかりでなく、非透水性の断熱防水層、即ち高い防水性を有する隙間無い断熱層が形成されることになるので、現場の天候条件に施工を左右されないという利点がある。また、形成された断熱層の外側に横葺き外装材を敷設した外装面が形成され、該外装面も防水性を有するので、断熱層と外装面とで二重の防水が果たされるものとなる。
また、二種の隆状領域が、それぞれ流れ方向に島状部が複数形成されている場合、特に断熱材が非透水性の素材であれば、島状部分と島状部分との間が排水溝となるため、仮に雨水等が横葺き外装材の裏面側に侵入したとしても、速やかに水下側へ排水することができる。
また、二種の隆状領域のうちの一方の領域の下側重合部には、継手捨板の水上端と当接する配設用凸部が設けられている場合には、継手捨板の左右の側縁が継手用凸部にそれぞれ係止し、且つその水上端が配設用凸部に当接する状態であるため、継手捨板をより安定に配設することができ、その上面における横葺き外装材の継手(接続)に際してもズレ動き等を生ずることなく作業を行うことができる。
また、二種の隆状領域のうちの他方の領域の下側重合部には、突出部の裏面と当接する固定用凸部が設けられている場合には、当該位置に横葺き外装材を取り付ける固定具を打ち込んで固定することができる。しかも断熱材に設けた突出部が横葺き外装材との接続部分となるので、断熱材とそれに接する横葺き外装材とが物理的に安定に取り付けられるため、一体性の高い横葺き外装構造となるという利点も有する。
さらに、本発明の横葺き外装構造は、吊子等を必要とすることなく断熱材と横葺き外装材との一体性が高い外装構造である。
(a)本発明の第1実施例の断熱材を示す斜視図、(b)その平面図、(c)用いた継手捨板を示す斜視図である。 (a)第1実施例の断熱材を流れ方向に接続した状態を示す斜視図、(b)流れ方向の接続部分の一部を示す平面図、(c)この断熱材の側面図である。 (a)第1実施例の断熱材を用いた横葺き外装構造を示す側断面図、(b)水下側から3段目の横葺き外装材を取り付ける状態を示す側面図、(c)取り付けた状態を示す側面図、(d)その要部を示す斜視図、(e)横葺き外装材の固定片部から断熱材の固定用凸部に固定具を打ち込んだ状態を示す側断面図である。 (a)第1実施例の断熱材を用いた横葺き外装構造を軒先に適用した一例を示す側断面図、(b)軒先に配する断熱材を加工した状態を示す側面図、(c)用いた横葺き外装材を示す側面図、(d)用いた軒先唐草を示す側面図である。 (a)第1実施例の断熱材に継手捨板を配した状態を示す斜視図、(b)配設した継手捨板に片側の横葺き外装材を配設した状態を示す斜視図である。 (a)配設した片側の横葺き外装材に、他方の横葺き外装材を傾けて臨ませた状態を示す斜視図、(b)一方の横葺き外装材に対して他方の横葺き外装材を回動させて接続する状況を示す平面図、(c)左右方向に隣り合う横葺き外装材の接続(継手)構造を示す斜視図である。 (a)一文字法の施工態様を示す平面図、(b)階段法の施工態様を示す平面図、(c)廻し葺きの施工態様を示す平面図である。
本発明の断熱材は、下地表面に隙間ない断熱層を形成でき、該断熱層の表面には横葺き外装材を配設することができる断熱材であって、水下端に表層部分が水下側へ延出する突出部を備える上側重合部と、水上端に長さ方向に連続する水返し凸部を備える下側重合部と、を備え、長さ方向に交互に配された二種の隆状領域と、該領域間に配された継手用凸部で表面が形成され、継手捨板が配設される継手用凸部間が、長さ方向に少なくとも二箇所以上形成されていることを特徴とする。
この断熱材は、前述のように水下端に表層部分が水下側へ延出する突出部を備えるものであれば、特にその素材(材質)を限定するものではないが、発泡系の断熱材、特に多少の弾性を備える素材、例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン等の合成樹脂の単層或いは積層体を用いることが好ましい。更に望ましくは、非透水性の発泡系の素材であり、気泡部分がそれぞれ独立してランダムに存在しているので、切断等の加工を行ってもその非透水性は常に確保されるので望ましい。
前記突出部は、水下端の表層部分、即ち水下端における厚み方向の上方部分が水下側へ延出する部分であって、横葺き外装材の水上側成形部(嵌合部)を嵌合させる嵌合受部の役割を果たす。また、この突出部は、水下側へ延出するので、その下方には空間が形成され、後述する横葺き外装材の横溝の配置空間となる。この突出部としては、特にその形状を限定するものではなく、例えば嵌合部と略同様の形状とし、圧縮状に弾性変形させて嵌合させてもよい。
なお、この断熱材は、前述のように下地表面に複数の隙間なく敷設されるものであって、流れ方向と左右方向の何れか一方は相じゃくり状に接続されていることが望ましい。特に前述のように非透水性の素材を用いる場合には、非透水性の断熱防水層、即ち高い防水性を有する隙間無い断熱層を形成するために、流れ方向に隣り合う断熱材同士が相じゃくり状に接続されていることが望ましい。そのため、前記水下端の突出部は、相じゃくり状の上側重合部の役割をも果たすことが望ましい。また、この断熱材の水上端には、前記突出部(上側重合部)と接続する下側重合部が設けられるが、この下側重合部には、後述する図示実施例のように上方に突出する水返し凸部や上方に突出して配設状態にて横葺き外装材(突出部)の裏面に当接する固定用凸部を有することが望ましい。前記水返し凸部は、長さ方向に連続状に設けられ、前記固定用凸部は、長さ方向に適宜間隔にて設けられていればよい。
この断熱材を下地表面に敷設して固定する手段を特に限定するものではないが、一般的に流れ方向よりも左右(横)方向に広く形成される断熱材であるから、例えば左右方向に2箇所以上のビス固定を行うことが望ましい。
また、前記下側重合部における前記固定用凸部は、その上面が水上側の断熱材の突出部の裏面と当接するため、後述する図示実施例(図3)に示すように横葺き外装材の固定片部から固定具を打ち込む部位としても適している。このように、この態様では、固定片部から固定用凸部へ固定具を安定に打ち込むことができ、横葺き外装材の固定を下地表面へ固定するばかりでなく、流れ方向に隣り合う断熱材同士を接続(連結)する役割も果たす。
また、この断熱材の表面に形成される,長さ方向に交互に配された二種の隆状領域とは、平坦状ではなく部分的に隆状に形成された領域が二種類形成されている状態を示し、具体的にはそれぞれ流れ方向に島状部が複数形成される構成が望ましいが、流れ方向に溝(凹部)が沿うように形成されていてもよい。なお、「平坦状」であることは「全面的に隆状」に形成されていると見なせるので、「隆状領域」とは、少なくとも溝状部を含んで部分的に隆状である領域を示している。
前記多数の島状部は、その上面(頂面)が、横葺き外装材の面板部の裏面(又は裏面に添設した裏張り材)と近接しているので、正荷重が作用した際に面板部が撓んで当接(受支)した際に面板部の変形を防止する役割を果たす。
前記島状部は、前述のように当該断熱材が非透水性である場合、結露水等を滞留させない形状であることが望ましい。
この島状部の形状は、特に限定するものではないが、前述の面板部の変形防止作用と、前記排水作用とを考慮して、後述する図示実施例に示すように平面視が水下側を向く太矢印の頭部状に形成することが望ましい。
後述する図示実施例は、非透水性の断熱材であるから、多数の島状部を設けることで島状部の間隔(間隙)が排水溝となり、横葺き外装材の敷設前、或いは敷設後の結露水等を断熱材上に滞留させることなく水下側に排出させることができる。
また、前記多数の島状部は、施工に際して固定具等を打ち込む位置を表示することにも利用できる。例えば、前述のようにこの断熱材は、流れ方向よりも左右(横)方向に広く形成されるから、この断熱材自体を下地表面に固定するためのビス固定の位置や横葺き外装材の固定を行う固定具の位置を、断熱材毎に不均一な位置にならないように規定されていることが望ましい。後述する図示実施例では、三角状の印(窪み)や円状の印(窪み)が形成されているが、施工(作業)者は施工指針書に示された当該位置にそれぞれのビスや固定具を打ち込んで断熱材や横葺き外装材を容易に且つ均質に取り付けることができる。
前記継手用凸部は、前記二種の隆状領域と共に当該断熱材の表面を形成するものであって、前記二種の領域間に配され、隣り合う継手用凸部間には、継手捨板が配設される。
この継手用凸部は、前記島状部の高さ寸法より僅かに高く形成することで、継手捨板を島状部を覆うように配設し、その左右の端縁を継手用凸部に係止することができ、横葺き外装材の接続作業に際して継手捨板がズレ動くことがない。言い換えれば、継手捨板の左右の端縁が継手用凸部に係止する(継手用凸部間に継手捨板を嵌合する)ように、継手捨板の左右幅に一致する配置間隔となるように前記継手用凸部を設ける。
この断熱材には、前記継手用凸部間が、長さ(左右)方向に少なくとも二箇所以上形成されているが、この構成により、継手捨板の配設位置を調整することができる。この継手捨板の配設位置を調整できるということは、その上面で左右方向に隣り合う横葺き外装材を接続(継手)するので、左右方向に隣り合う横葺き外装材の継手部分を左右方向に調整できることを意味している。そのため、後述する図示実施例に示すように一般的な一文字法と呼ばれる平面視が左右対称状の態様を選択することもできるし、意図的に継手部分をずらせて平面視が階段状の態様を選択することもできる。
さらに、この断熱材の裏面についても、前記表面と同様に平坦状であってもよいし、突起や溝等を形成することによって空間(隙間)を設けるようにしてもよい。形成された空間(隙間)は、下地材との間で空気の流通等を可能とする。なお、この断熱材の突起は、下段断熱材の水返し凸部より水下側(軒側)に位置させることにより、断熱材上を流下した「水」が下段の断熱材上に流下して裏面への回り込みを防ぐ。
前記断熱材を下地表面に沿って複数敷設して隙間無い断熱層を形成するが、例えば後述する図示実施例では、流れ方向に隣り合う断熱材同士を相じゃくり状に接続すると共に左右方向に隣り合う断熱材同士は突き合わせ状に敷設している。このように流れ方向よりも左右(横)方向に広く形成されている場合、左右方向に2箇所以上のビス(固定具による)固定を行うことが望ましい。
前記断熱材による形成される断熱層上に敷設される横葺き外装材は、前述のように面板部の水上側に、前記断熱材(突出部)に沿わせる固定片部と、その水下側に、水下側が開放する横溝、前記断熱材の突出部に嵌合する嵌合部を備える水上側成形部と、面板部の水下側に、裏面側に折り返して水上側へ延在させて前記横溝に係合可能な差し込み片、前記嵌合部の外側に重合させる重合部を備える水下側成形部と、を有する。
このような横葺き外装材としては、特にその素材や形状を限定するものではなく、代表的には概ね0.4〜1.6mm程度の表面化粧鋼板、ラミネート鋼板、メッキ鋼板、ステンレス鋼板、アルミ合金板、チタン合金板、銅板等の公知の金属素材をロール成形、押し出し成形その他の手段で所定の形状に成形したものを適宜に用いることができる。さらに、新設外装材の裏面には、結露防止、防音、防火対策上の理由により、必要に応じてポリエチレンフォーム、グラスウールシート等の裏貼り材を添装しても良い。
前記面板部は、略平坦状でもよいし、特にその形状を特定するものではない。
この面板部の左右方向の端縁には、接続用凸部と凹部からなる構成の継手用側縁部が形成され、左右方向に隣り合う横葺き外装材の接続部分にて、それぞれ接続用凸部と凹部とが噛み合うように突き合わされて接続される。なお、前記接続用凸部は、面板部の端縁から裏面側へ段状に延在して外方へ突出している爪状片であって、該爪状片の形成間隔が前記凹部に相当する。そして、何れか一方の接続用凸部が他方の凹部に突き合わされると共に一方の爪状片が他方の面板部の裏面側に沿う状態で接続される。
また、前記固定片部は、前述のように前記面板部の水上側(端)に設けられるものであって、前記断熱材(突出部)に沿わせてビス等の固定具を用いて固定される部位であって、特にその具体的構成を限定するものではないが、後述する図示実施例のように水上端に設けられる横片状であることが多い。
前記水上側成形部は、前述のように前記固定片部の水下側に位置して水下側が開放する横溝、前記断熱材の突出部に嵌合する嵌合部を備える部位である。
前記横溝は、水下側成形部に設ける差し込み片を係合させる部位であって、特にその具体的構成を限定するものではないが、後述する図示実施例のように横向き折返し片状に形成してもよい。
前記嵌合部は、前記断熱材の突出部(嵌合受部)に嵌合させる部位であって、特にその具体的構成を限定するものではなく、前述のように前記突出部と略同様の形状とし、前記突出部を密着状に嵌合させるようにしてもよいが、後述する図示実施例のようにこれらの横溝と嵌合部を上下に隣接させて形成することにより、前記横溝の長さ寸法とこの嵌合部の長さ寸法を略等しく形成してもよい。
なお、前記嵌合部は、前述のように前記断熱材の突出部(嵌合受部)に嵌合させる部位であるが、横葺き外装材の水下側成形部(重合部)を重合させる被重合部の役割をも果たす。
前記水下側成形部は、前述のように面板部の水下側に、裏面側に折り返して水上側へ延在させて前記横溝に係合可能な差し込み片、前記嵌合部の外側に重合させる重合部を備える部位である。
前記差し込み片は、面板部の水下端を裏面側に折り返して水上側へ延在させて前記横溝に係合可能である部位であって、特にその具体的構成を限定するものではないが、後述する図示実施例のように横片状に形成してもよい。配設状態からの脱離を防止する目的で、差し込んだ状態で弾性が作用するように予め配設状態より成形角度を小さく形成しておく方が望ましい。
前記重合部は、前記嵌合部(被重合部)の外側に重合させる部位であって、特にその具体的構成を限定するものではないが、後述する図示実施例のようにこれらの重合部を差し込み片とを上下に隣接させて形成することにより、弾性係合(弾性嵌合)が果たされるようにすることが望ましい。
なお、この水下側成形部の左右方向の端縁は、一方が他方に嵌合状に組み合わされるように形成されていることが望ましい。その場合、左右方向に隣り合う横葺き外装材の接続(継手)作業に際し、この水下側成形部の嵌合部分を、後述する図9(b)のように何れか一方の横葺き外装材を回動させるための軸とすることができる。
そして、前記断熱材を隙間なく敷設して形成した断熱層上に前記横葺き外装材を敷設するには、断熱材に形成した、水下側へ延出する突出部に、嵌合部が嵌合するように配設する。また、前述のように嵌合部の下方の空間には、横溝を配置できる。この状態で固定片部にビス等の固定具を打ち込んで固定すればよいので、安定に横葺き外装材を取り付けることができる。
また、流れ方向に前記横葺き外装材を接続するには、既に固定した水下側の横葺き外装材に対し、(水下側成形部の)差し込み片を(水上側成形部の)横溝に差し込むように係合させると共に(水下側成形部近傍の)面板部を(水上側成形部の)固定片部に重合状に敷設する。
そのため、固定片部に打ち込んだビス等の固定具を、その水上側の横葺き外装材の面板部が覆うため、当該固定具は雨水の浸入箇所にはならず、防水性を有する外装面が形成される。
このように本発明の横葺き外装構造には、前記構成の断熱材と前記構成の横葺き外装材と固定具を用いるだけであって、吊子等を必要とすることなく、容易に防水性に優れ、一体性が高い外装構造を構築することができる。
図1(a),(b)に示す本発明の第1実施例である断熱材2は、水下端に表層部分が水下側へ延出する突出部22を備える上側重合部と、水上端に長さ方向に連続する水返し凸部231を備える下側重合部23と、を備え、長さ方向に交互に配された二種の隆状領域21A,21Bと、該領域21A,21B間に配された継手用凸部213で表面が形成され、継手捨板9が配設される継手用凸部213,213間が、長さ方向に少なくとも二箇所以上形成されている構成であり、非透水性の発泡ポリスチレンで形成されている。
前記二種の隆状領域21A,21Bは、それぞれ流れ方向に島状部211(211a,211b)が複数形成されている構成であって、本体部21の表面側に多数の島状部211(211a,211b)を設け、その形成間隔(間隙)を排水溝212とするものでもある。なお、図中に波線で囲った部分が前記隆状領域21Bを示し、該領域21B,21B間が前記隆状領域21Aである。
図示実施例は、前記島状部211として、平面視が水下側を向く太矢印の頭部状に形成した2種(幅広の島状部を211a、やや幅狭の島状部を211bとした)を採用して二種の隆状領域21A,21Bを形成し、前記島状部211を流れ方向にそれぞれ3列、長さ方向(左右方向)に合計15列形成している。
なお、幅広の島状部211aにて形成される流れ方向の1列(隆状領域21A)と、やや幅狭の凸上部211bにて形成される1列(隆状領域21B)とは交互に形成され、左右方向の15列のうち、中央を含む7列が幅広の島状部211aの列(隆状領域21A)であり、左右の側端を含む8列がやや幅狭の島状部211bの列(隆状領域21B)である。また、前記排水溝212は、幅広の島状部211a,211a間、やや幅広の島状部211b,211b間にも形成されるので、網目状に形成されているものである。
また、前記島状部211の左右方向の列(隆状領域21A,B)間、即ち幅広の島状部211aの列(隆状領域21A)とやや幅狭の島状部211bの列(隆状領域21B)との間には、前記島状部211の高さ寸法より僅かに高く形成される継手用凸部213が流れ方向に3列形成され、長さ方向には合計16列の継手用凸部213が形成されている。なお、この継手用凸部213は、平面視を楕円状に形成している。
図2(a),(b)は、前記第1実施例の断熱材2を流れ方向に接続した状態を示し、その側端面が揃うように断熱材2,2を配設しているが、それぞれの隆状領域21A,21Bが連続するものであれば、特にそれに限定するものではない。
この断熱材2の本体部21の水上側(図面の上方側)の下側重合部23は左右方向に連続状に形成されているが、水下側(図面の下方側)へ延出する突出部(上側重合部)22は、左右方向の島状部211の15列の水下側にそれぞれ突出状片に形成されているので、合計15片の突出部22が形成されている。この突出部22のうち、幅広の島状部211aの列の水下側に位置する突出状片の水上側には、三角状の孔(窪み)24xや円状の孔(窪み)24yが形成されている。この三角状の孔(窪み)24xは、断熱材2を固定する固定具を打ち込む位置を示し、円状の孔(窪み)24yは、横葺き外装材1を打ち込む列であることを示すものである。
前記下側重合部23は、上方に突出する水返し凸部231が水上端に沿って連続するように形成され、その水下側で、幅広の島状部211aの列の水上側には、上方に突出して配設状態にて水上側の断熱材2の突出部22の裏面に当接する固定用凸部である押釦状凸部232が形成され、やや幅狭の島状部211bの列の水上側には、上方に突出して継手捨板9の水上端92を受支し得る配設用凸部であるL字状凸部233が形成されている。なお、前記押釦状凸部232の役割については後述する図3や図4にて、前記L字状凸部233の役割については後述する図5にて説明する。
図3(a)は、前記断熱材2を用いた横葺き外装構造であって、図3(b)は、その施工段階において、水下側から3段目の横葺き外装材(1")を取り付ける状態を示し、図3(c),(d)は、取り付けた状態を示している。
また、図4(a)は、前記断熱材2を用いた横葺き外装構造を軒先に適用した一例であって、これらの横葺き装構造における横葺き外装材1は図4(c)に示すように、略へ字状の面板部11の水上端(図面右端)に、前記断熱材2に沿わせる固定片部14と、その水下側(図面右側)に水上側成形部13と、面板部11の水下側(図面左側)に水下側成形部12と、を形成した金属成形板である。詳しくは、裏面側に裏張り材1cが添着され、前記面板部11の水上側に、前記断熱材2に沿わせる固定片部14と、その水下側に、水下側が開放する横溝131、前記断熱材2の突出部22に嵌合する嵌合部132を備える水上側成形部13と、面板部11の水下側に、裏面側に折り返して水上側へ延在させて前記横溝131に係合可能な差し込み片121、前記嵌合部132の外側に重合させる重合部122を備える水下側成形部12と、を有する。
なお、この横葺き外装材1の固定片部14は略平坦状であり、横溝131は横向き折返し片状であり、嵌合部132は横溝131と上下に隣接して形成されている。さらに、差し込み片121は先端を屈曲状に成形して差し込んだ状態が安定に保持されるものであり、重合部122は前記差し込み片121と上下に隣接して形成され、前記嵌合部132の外側に弾性嵌合する。
前述のように図4(a)は、前記横葺き外装構造を軒先に適用した一例であり、構造材3Aの上面側に下地4が配設され、その軒端には外壁材(鼻隠し)5が固定されているが、前記下地4上の軒先に配する断熱材2'は、その突出部22を図4(b)に示すように削除したものであり、該部分には図4(c)に示す軒納め材(軒先唐草)6を取り付けている。
前記下地4について簡単に説明すると、傾斜状に配設された構造材3の上面側に、木毛セメント等のボード状の断熱材4が敷設され、その表面側には防水シート材4bが敷設されたものであり、その軒端には、外壁材(鼻隠し)5や軒納め材(軒先唐草)6が取り付けられている。
ここで用いた軒納め材(軒先唐草)6は、下地4の軒先端へ取り付けられる略コ字状の取付部61の上片611が、水上側へ長く延在して下地4の上面に沿っているが、断熱材2を固定する固定具(当該図では一点鎖線にて示している)2bがこの上片611に至っている。また、この軒納め材6には、前記取付部61の軒先側に立ち上げられた縦片62の上端に最軒先の横葺き外装材1"の水下側成形部12を係合させる略T字状の保持部63と、前記縦片62の途中から軒先側へ延在して更に下方へ向かう略L字状の化粧部64とが設けられている。
また、前記外壁材5は、鼻隠しである縦壁面であって、軒樋7は、排水路71の裏面側に設けられた取付部72を前記鼻隠し5に固定している。
この図示実施例の横葺き屋根構造を施工する手順について以下に説明する。
まず、第1の工程として、前記断熱材2を、下地4表面に沿って複数敷設して隙間無い断熱層を形成する。特に前記断熱材2は非透水性であるため、非透水性の断熱防水層、即ち高い防水性を有する隙間無い断熱層が形成される。
この第1の工程については、特に施工方向を限定するものではないが、水下側の上側重合部を兼ねる突出部22を上方に、水上側の下側重合部23を下方に配して接続する。形成された重合層は、前述のように本体部21は、水下側から水上側へ次第に肉薄になるように成形されているものの、その上面部分は図示するように水上側から水下側へ傾斜しているため、仮に降雨があっても水下側へ流下させることができる。しかも、下側重合部23の先端には、前述のように水返し凸部231が設けられているため、この重合状の接続部分からの水の浸入を防止できる。
次に、第2の工程として、前記横葺き外装材1を水下側から順に敷設するが、前述のように断熱材2に形成した突出部22に、水上側に形成された嵌合部132を嵌合させるように配設し、突出部22の下方空間220には横溝131を配置させる。この状態で断熱材2に沿わせた固定片部14に固定具1bを打ち込んで固定するので、安定に固定作業を行うことができ、安定に横葺き外装材1を取り付けることができる。
より詳しくは、前記横葺き外装材1は、水下側から水上側へスライドさせるように取り付けるものであって、図3(b)に示すように断熱材2に形成した突出部22に、嵌合部132を嵌合させるように配設し、突出部22の下方空間220には横溝131を配置させる。この状態で断熱材2に沿わせた固定片部14に固定具1bを打ち込んで固定するが、固定具1bを打ち込む固定片部14には凹部141が形成され、該凹部141から図3(e)に示すように下地4に対して略垂直状に固定具1bを打ち込んでいる。この固定具1bは、裏面側の断熱材2の相じゃくり接続部分をも貫通する。具体的には、水上側の断熱材2の突出部22と水下側の断熱材2の押釦状凸部232とが隙間無く当接する部分を固定具1bが貫通する。また、その際に、水下側の横葺き外装材1に対し、水下側に形成された差し込み片121を、前記横溝131に差し込むように係合させると共に面板部11を、前述のように固定具1bを打ち込んだ固定片部14"に重合状に敷設し、図3(c),(d)に示す状態を形成することができ、最終的に図3(a)に示す横葺き外装構造を施工することができる。
このように押釦状凸部232は、水上側に隣接する断熱材2の突出部22と隙間無い相じゃくり接続部分を形成するように組み合わされ、該部分に固定具1bを打ち込むので、安定に固定具1bを打ち込むことができる。また、固定具1bを打ち込む位置は、幅広の島状部211aの列に形成された三角状の孔24xにて容易に視認できるため、容易に適正な施工を行うことができる。
また、その際に流れ方向に前記横葺き外装材1,1同士を接続するには、既に固定した水下側の横葺き外装材1に対し、水下側に形成された差し込み片121を横溝131に差し込むように係合させると共に面板部11を、前述のように固定具1bを打ち込んだ固定片部14に重合状に敷設する。
このように、固定片部14に打ち込んだビス等の固定具1bを、その水上側の横葺き外装材1の面板部11が覆うため、当該固定具1bは雨水の浸入箇所にはならず、防水性を有する外装面が形成される。
図5(a)は、前記断熱材2上の所定位置(やや幅狭の島状部211bの列)に継手捨板9を配した状態を示し、前記断熱材2の継手用凸部213に左右の端縁を係止させるように継手捨板9が取り付けられている。前記断熱材2には、前述のように複数の継手用凸部213が設けられているが、この継手用凸部213の左右の配設間隔は、予め継手捨板9の左右寸法と略同一になるように形成されているので、継手捨板9の配設に際し、左右の継手用凸部213,213間に嵌合するように安定に配設することができる。
前記継手捨板9は、図1(c)に示すように略平板状の面板部91の左右に複数の水返し部911,911が流れ方向に形成され、略中央には位置確認用の隆状部912が形成されている。また、その水上端92が表面側へ折曲され、その水下端93は裏面側へ折曲される構成である。
この継手捨板9は、断熱材2の水下側から水上側に向かって、継手用凸部213,213間に嵌合するように配設するが、その水上端92を、図5(a)中に拡大して示すように断熱材2のL字状凸部233に当接するように配設する。
このようにL字状凸部233は、継手捨板9の水上端と当接するように組み合わされ、該部分に図5(b)に示すように横葺き外装材1"の側端部を配設するものである。
前記横葺き外装材1の流れ方向の端縁、即ち水上側及び水下側の構成については既に説明したとおりであるが、左右方向の端縁については、図1(c)に示すように爪状の接続用凸部15aと凹部15bからなる構成の継手用側縁部15を採用した。なお、同図における12aは、隣り合う水下側成形部12に嵌め付けて回動の軸とするための嵌合部分である。
なお、前記横葺き外装材1は、前記継手捨板9の≡状部912に側縁が沿うように目視にて位置を調整しつつ配置すればよく、適正位置に配設することができる。
図6(a)は、取り付けた一方(図面の左方)側の横葺き外装材1に、他方(図面の右方)側の横葺き外装材1を傾けて臨ませた状態を示し、前記嵌合部分12aに対して水下側成形部12を嵌合させるように配置している。
図6(b)は、一方(図面の左方)側の横葺き外装材1に対して他方(図面の右方)側の横葺き外装材1を回動させる状況を示し、左方の横葺き外装材1"の継手用側縁部15に対して右方の横葺き外装材1の継手用接続部16を接続する状態が示されている。即ち継手用側縁部15の爪状の接続用凸部15aは、接続用側縁部16の凹部16bの裏面側に配置され、継手用側縁部16の爪状の接続用凸部16aは、接続用側縁部15の凹部15bの裏面側に配置され、図6(c)に示す継手接続構造が形成できる。
このように前記断熱材2を用いることにより、隙間無い断熱層が形成されるばかりでなく、その上面に配設する横葺き外装材1の施工に付随する様々な施工、例えば継手捨板9の取付やその上面における横葺き外装材1,1の継手接続などをそれぞれ容易に且つ適正位置にて行うことができる。
この断熱材2には、前記継手用凸部213,213間が、長さ(左右)方向に合計8箇所に形成されているため、前記継手捨板9の配設位置を適宜に調整することができる。この継手捨板9の配設位置を調整できることは、その上面で左右方向に隣り合う横葺き外装材1,1の継手部分を左右方向に調整できることを意味しているため、図7(a)に示す一般的な一文字法と呼ばれる平面視が左右対称状の態様を選択することもできるし、意図的に継手部分をずらせて図7(b)に示す平面視が階段状の態様を選択することもできる。なお、図中の太矢印は、横葺き外装材1の施工方向を示すものであって、図7(c)は、ハッチングで示す余剰部分を、矢印にて示すように次段の補充部分として廻し葺きすることが可能である。
1 横葺き外装材
11 面板部
12 水下側成形部
121 差し込み片
122 重合部
13 水上側成形部
131 横溝
132 嵌合部
14 固定片部
1b 固定具
1c 裏張り材
2 断熱材
21 本体部
22 突出部(上側重合部)
220 下方空間
23 下側重合部
231 水返し凸部
2b 固定具
3 構造材
4 断熱材(下地)
5 外壁材
6 軒納め材
7 軒樋
9 継手捨板

Claims (6)

  1. 下地表面に隙間ない断熱層を形成でき、該断熱層の表面には横葺き外装材を配設することができる断熱材であって、
    水下端に表層部分が水下側へ延出する突出部を備える上側重合部と、
    水上端に長さ方向に連続する水返し凸部を備える下側重合部と、を備え、
    長さ方向に交互に配された二種の隆状領域と、該領域間に配された継手用凸部で表面が形成され、
    継手捨板が配設される継手用凸部間が、長さ方向に少なくとも二箇所以上形成されていることを特徴とする断熱材。
  2. 断熱材は非透水性であることを特徴とする請求項1に記載の断熱材。
  3. 二種の隆状領域は、それぞれ流れ方向に島状部が複数形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱材。
  4. 二種の隆状領域のうちの一方の領域の下側重合部には、継手捨板の水上端と当接する配設用凸部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の断熱材。
  5. 二種の隆状領域のうちの他方の領域の下側重合部には、突出部の裏面と当接する固定用凸部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の断熱材。
  6. 下地表面に請求項1〜5の何れか一項に記載の断熱材が隙間なく敷設され、前記断熱材の外側には横葺き外装材を敷設してなる横葺き外装構造であって、
    前記横葺き外装材は、面板部の水上側に、前記断熱材に沿わせる固定片部と、その水下側に、水下側が開放する横溝、前記断熱材の突出部に嵌合する嵌合部を備える水上側成形部と、面板部の水下側に、裏面側に折り返して水上側へ延在させて前記横溝に係合可能な差し込み片、前記嵌合部の外側に重合させる重合部を備える水下側成形部と、を有することを特徴とする横葺き外装構造。
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