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JP6832122B2 - 二液混合形塗料組成物 - Google Patents

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JP6832122B2 JP2016205277A JP2016205277A JP6832122B2 JP 6832122 B2 JP6832122 B2 JP 6832122B2 JP 2016205277 A JP2016205277 A JP 2016205277A JP 2016205277 A JP2016205277 A JP 2016205277A JP 6832122 B2 JP6832122 B2 JP 6832122B2
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Description

本発明は、低温での硬化性及び塗膜性能に優れ、ミネラルスピリット等の弱溶剤に可溶で、かつ、防錆性に優れた、主剤及び硬化剤からなる二液混合形エポキシ樹脂塗料組成物に関する。
エポキシ樹脂は、耐食性、耐薬品性、付着性等に優れているため、防錆塗料用樹脂として広く使用されている。従来、塗料用のエポキシ樹脂及びその硬化剤としてのポリアミンは、トルエン、キシレン等の溶剤にて溶解した、あるいは、溶解可能なものであったが、近年は、人体への有害性が少なく、高引火点、高沸点であるミネラルスピリット等の弱溶剤に可溶なエポキシ樹脂及びポリアミンが使用されつつある。
しかしながら、外気温の影響を受けやすい橋梁や石油タンク等の鋼構造物は冬場の基材温度が低くなるため、弱溶剤に可溶なエポキシ樹脂及びポリアミンからなるエポキシ樹脂塗料組成物は、乾燥性、硬化性、旧塗膜に対する塗り重ね性及び塗膜性能において未だ十分なものが得られていない。
例えば、(A)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が15,000〜45,000であるエポキシ樹脂と、(B)シランカップリング剤と、(C)防錆顔料と、(D)アミン系硬化剤とを含んでなることを特徴とする二液混合形塗料組成物が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
更に、主剤成分(A)及び硬化剤成分(B)を含有してなるエポキシ樹脂組成物において、主剤成分(A)が、液状エポキシ樹脂(a1)とシランカップリング剤(a2)を含有し、硬化剤成分(B)が、アミン系硬化剤(b1)を含有し、主剤成分(A)及び/又は前記硬化剤成分(B)が、液状炭化水素樹脂を含有する二液混合形塗料組成物が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特許文献1に記載された技術を用いることにより、優れた防食性能と共に、超低温時であっても優れた付着性を有する塗膜を形成することができる。また、特許文献2に記載された技術を用いることにより、基材との付着性、耐水性、防食性に優れる防食皮膜を形成することができる。
特開2016−164261号公報 特開2005−15572号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術を用いた場合には、鋼構造物に形成された塗膜が、外気温による鋼材の伸び縮みに対応できず、クラックやはがれ等の塗膜不良が生じるという課題がある。また、特許文献2に記載の技術を用いた場合には、十分な低温硬化性が得られないといった課題がある。二液混合形塗料組成物の有機溶剤として弱溶剤を用いない場合にも同様の課題がある。
これらの課題を同時に解決できる二液混合形塗料組成物が求められている。
本発明は、低温硬化性及び塗膜性能に優れた二液混合形塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明は、金属基材の表面を被覆する防錆塗膜を形成するために用いられる、主剤(I)及び硬化剤(II)を含む二液混合形塗料組成物であって、前記主剤(I)は、エポキシ樹脂(a)を含み、前記硬化剤(II)は、ポリアミン(b)を含み、前記エポキシ樹脂(a)は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はノボラック型エポキシ樹脂の少なくともいずれかで、かつ、重量平均分子量が6,500〜10,000であり、前記ポリアミン(b)は、脂環式ポリアミン(b−1)と、脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2)と、アルキルフェノール(b−3)と、を含む二液混合形塗料組成物に関する。
また、主剤(I)は、更にシランカップリング剤(c)を含み、前記シランカップリング剤(c)は、異なる2種の官能基の一方の官能基として、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基を有することが好ましい。
また、弱溶剤を更に含むことが好ましい。
また、前記脂環式ポリアミン(b−1)は、前記硬化剤(II)の総質量に対して、10〜20質量%含まれることが好ましい。
また、前記脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2)は、前記硬化剤(II)の総質量に対して、0.6〜6.3質量%含まれることが好ましい。
また、アルキルフェノール(b−3)は、前記硬化剤(II)の総質量に対して、6〜30質量%含まれることが好ましい。
また、前記主剤(I)の顔料体積濃度(PVC)が30〜60%であることが好ましい。
本発明によれば、低温硬化性及び塗膜性能に優れた二液混合形塗料組成物を提供することができる。
以下、本発明に係る主剤(I)及び硬化剤(II)からなる二液混合形エポキシ樹脂塗料組成物(以下、「二液混合形塗料組成物」と総す)について具体的に説明する。
二液混合形塗料組成物は、金属基材の表面を被覆する防錆塗膜を形成するために用いられ、主剤(I)及び硬化剤(II)からなる。主剤(I)は、エポキシ樹脂(a)を含み、硬化剤(II)は、ポリアミン(b)を含む。主剤(I)は、更に顔料やシランカップリング剤(c)を含むことが好ましい。また、溶剤としては、ミネラルスピリット等の弱溶剤が用いられることが好ましい。
本実施形態に係る二液混合形塗料組成物の低温硬化性は、低温乾燥性、防食性、付着性、塗り重ね性、踏み込み性という観点で評価される。また、防錆塗膜の外観は、ちぢみ性、温冷繰り返し性(耐割れ性)という観点で評価される。
<エポキシ樹脂(a)>
本実施形態に係る二液混合形塗料組成物は、エポキシ樹脂(a)として、ノボラック型エポキシ樹脂又はビスフェノールA型エポキシ樹脂の少なくともいずれか一方を含み、これらの両方が含まれていてもよい。このようなエポキシ樹脂(a)を用いることにより、ミネラルスピリット等の弱溶剤に可溶であり、かつ、低温硬化性及び塗膜性能を向上させることができる二液混合形塗料組成物が得られる。また、ブラスト鋼板、ショップ塗装鋼板、有機ジンク塗装鋼板等の基材に対する付着性を改善することもできる。エポキシ樹脂(a)は、それぞれ1種のエポキシ樹脂が用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。また、エポキシ樹脂(a)は、ミネラルスピリット等の弱溶剤に可溶な構造に変性されてもよい。
本発明において、エポキシ樹脂(a)は、ノボラック型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂以外の他のエポキシ樹脂を含有していてもよく、このような他のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂等が挙げられる。かかる他のエポキシ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
主剤(I)の総質量に対して、ノボラック型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂の合計量は、樹脂固形分として10〜40質量%とすることが好ましく、20〜30質量%とすることがより好ましい。10質量%未満であると、十分な低温硬化性が得られない傾向があり、40質量%を超えると塗膜中の顔料の割合が減ることで塗膜の隠ぺい性が低下する傾向がある。
なお、本明細書において、主剤(I)の総質量とは、エポキシ樹脂(a)等の樹脂と、顔料と、シランカップリング剤(c)と、その他の主剤(I)に対する添加剤(弱溶剤を含む)とを合算した総質量をいう。
低温での硬化性及び塗膜性能の観点から、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び他のエポキシ樹脂の重量平均分子量は、6,500〜10,000であることが好ましく、8500〜10,000であることがより好ましい。
重量平均分子量が10,000を超えると、例えば後述する温冷繰り返し試験後に塗膜の割れが発生し好ましくない。また、形成された塗膜が、外気温による鋼材の伸び縮みに対応できず、クラックやはがれ等の塗膜不良が生じることも想定される。
一方で、重量平均分子量が6,500未満であると、低温状態においてエポキシ樹脂と硬化剤ポリアミンの、混合後の高分子化が促進しないことから、十分な低温硬化性が得られない。重量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
また、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び他のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、1,000以上であることが好ましく、1,100〜1,200であることがより好ましい。エポキシ当量が1,000未満であると、十分な低温硬化性が得られない。
本発明において使用できるノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、商品名で、「EPICLON 5970−60」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量1000以上、DIC社製)等が挙げられる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、商品名で、「EPICLON 1040−70X」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量1300、比重1.0、DIC社製)等があげられる。
<ポリアミン(b)>
ポリアミン(b)は、硬化剤(II)の主成分であり、脂環式ポリアミン(b−1)と、脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2)と、アルキルフェノール(b−3)と、を含む。上述のポリアミンは(b)はミネラルスピリット等の弱溶剤に可溶な構造に変性されてもよい。
脂環式ポリアミン(b−1)としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン、4,4’−イソプロピリデンビスシクロヘキシルアミン、ノルボルナジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン(MDA)等を含む脂環式ポリアミンが挙げられる。
低温での硬化性及び塗膜性能の観点から、脂環式ポリアミン(b−1)は、硬化剤(II)の総質量に対して、10〜20質量%含まれることが好ましく、13〜16質量%含まれることがより好ましい。脂環式ポリアミン(b−1)が18質量%を超える場合には、形成される塗膜に粘着性が残りやすくなり、踏み込み性が悪くなる傾向ある。また、脂環式ポリアミン(b−1)が10質量%未満である場合には、十分な低温硬化性が得られない。
なお、本明細書において、硬化剤(II)の総質量とは、脂環式ポリアミン(b−1)、脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2)、アルキルフェノール(b−3)等のポリアミン(b)と、その他の硬化剤(II)に対する添加剤(弱溶剤を含む)とを合算した総質量をいう。
脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2)としては、脂肪族系アミン、芳香族系アミン、複素環系アミン等から選択されるいずれかのアミン化合物を含むポリアミン等が挙げられる。
脂肪族系アミンとしては、例えば、アルキレンポリアミン、ポリアルキレンポリアミン、その他の脂肪族系アミン等が挙げられる。
アルキレンポリアミンとしては、例えば、HN−R−NH(式中、Rは、1個以上の炭素数1〜10の炭化水素基で置換されていてもよい炭素数1〜12の二価の炭化水素基である。)で表されるポリアミン化合物が挙げられる。より具体的には、メチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン等が挙げられる。
ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
その他の脂肪族系アミンとしては、例えば、テトラ(アミノメチル)メタン、テトラキス(2−アミノエチルアミノメチル)メタン、1,3−ビス(2’−アミノエチルアミノ)プロパン、トリエチレン−ビス(トリメチレン)ヘキサミン、ビス(3−アミノエチル)アミン、ビスヘキサメチレントリアミン[HN(CHNH(CHNH]等が挙げられる。
芳香族系アミンとしては、例えば、ビス(アミノアルキル)ベンゼン、ビス(アミノアルキル)ナフタレン、ベンゼン環に結合した2個以上の1級アミノ基を有する芳香族ポリアミン化合物、及びその他の芳香族系ポリアミン化合物等が挙げられる。芳香族系アミンは特に限定されるものではないが、より具体的には、ビス(シアノエチル)ジエチレントリアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン(MXDA)、p−キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ナフチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4’−ジアミノビフェニル、2,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、ビス(アミノメチル)ナフタレン、ビス(アミノエチル)ナフタレン等が挙げられる。
複素環系アミンとしては、例えば、N−メチルピペラジン[CH−N(CHCHNH]、モルホリン[HN(CHCHO]、1,4−ビス−(8−アミノプロピル)−ピペラジン、ピペラジン−1,4−ジアザシクロヘプタン、1−(2’−アミノエチルピペラジン)、1−[2’−(2’’−アミノエチルアミノ)エチル]ピペラジン、1,11−ジアザシクロエイコサン、1,15−ジアザシクロオクタコサン等が挙げられる。
脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2)は、硬化剤(II)の総質量に対して、0.6〜6.3質量%含まれることが好ましく、2.9〜3.6質量%含まれることがより好ましい。脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2)が6.3質量%を超える場合には、形成される塗膜に粘着性が残りやすくなり、踏み込み性が悪くなる傾向ある。また、脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2)が、0.6質量%未満である場合には、十分な低温硬化性が得られない。
アルキルフェノール(b−3)としては、例えば、メチルフェノール(o,m,p−クレゾール)、エチルフェノール、ブチルフェノール、ターシャリブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、ジノニルフェノール等の1価フェノールが挙げられる。
アルキルフェノール(b−3)のアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
アルキルフェノール(b−3)は、硬化剤(II)の総質量に対して、6〜30質量%含まれることが好ましく、12〜24質量%含まれることがより好ましい。アルキルフェノール(b−3)が30質量%を超える場合には、形成される塗膜に粘着性が残りやすくなり、踏み込み性が悪くなる傾向ある。また、アルキルフェノール(b−3)が、6質量%未満である場合には、十分な低温硬化性が得られない。
<添加剤>
本実施形態に係る二液混合形塗料組成物の主剤(I)には、顔料、シランカップリング剤(c)、その他の添加剤が含有されてもよい。
顔料としては、体質顔料、着色顔料、防錆顔料のうちの1種のみが用いられてもよく、2種以上を用いてもよい。
体質顔料としては、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ケイ酸、ケイ酸塩、酸化アルミニウム水和物、硫酸カルシウム、石膏、雲母状酸化鉄(MIO)、ガラスフレーク、スゾライト・マイカ、クラライト・マイカ等が挙げられる。石膏を用いる場合には、焼石膏(CaSO・1/2HO)を含有させることで、防錆塗膜の耐水性、防食性をより向上させることができる。具体的には、商品名で「PH−200」(焼石膏、丸石石膏社製)等を使用することができる。焼石膏を使用する場合、その添加量は、二液混合形塗料組成物の固形分中、2〜30質量%とすることが好ましい。2質量%未満であると、効果が認められず、30質量%を超えると、防錆塗膜の表面への析出、白化現象が生じ、防錆塗膜の外観異常をきたす。
着色顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、鉛白、黒鉛、硫化亜鉛、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化クロム、黄色ニッケルチタン、黄色クロムチタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ウルトラマリンブルー、キナクリドン類、アゾ系赤・黄色顔料等が挙げられる。
防錆顔料としては、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、亜鉛末(Zn)、リン酸亜鉛、アルミ粉(Al)等が挙げられる。
シランカップリング剤(c)は、有機ポリマー(硬化樹脂等)に対して反応性及び/又は親和性を示す有機官能基と、無機系材料(二液混合形塗料組成物に含有される顔料等)に対して反応性及び/又は親和性を示す有機官能基とを併せ持つ化合物である。シランカップリング剤(c)を用いることにより、有機ポリマーと無機系材料とが接する界面の接着性等を向上させることが可能となる。
本発明においては、このようなシランカップリング剤(c)として、異なる2種の官能基の一方の官能基として、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基を有する化合物が用いられる。トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基を有する化合物を用いることにより、防錆塗膜の防食性や基材との付着性を向上させることができる。
本発明においては、シランカップリング剤(c)として、1種又は2種以上のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤(c)は、主剤(I)の総質量に対して、0.5〜5質量%の割合で用いられることが好ましい。この割合でシランカップリング剤(c)を用いることにより、二液混合形塗料組成物から形成される防錆塗膜と基材との付着性や防錆塗膜の耐膨れ性をより優れたものとすることができる。
顔料、シランカップリング剤(c)以外のその他の主剤(I)に対する添加剤としては例えば、併用樹脂、溶剤、タレ止め・沈降防止剤、色分れ防止剤、消泡・ワキ防止剤、レベリング剤、ツヤ消し剤等が挙げられる。
併用樹脂としては、例えば、石油系樹脂(キシレン樹脂等)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。これらの併用樹脂を用いることにより、防錆塗膜の物性を改善することができる。
溶剤としては、当該分野において通常用いられるものを用いることができ、例えば、トルエン、キシレン、イソブチルアルコール、メチルエチルケトン、及びこれらの2種以上の混合溶剤等が挙げられる。後述する弱溶剤を用いることもできる。
タレ止め・沈降防止剤としては、当該分野において通常用いられるものを用いることができ、例えば、商品名で「ディスパロン 6700」(脂肪族ビスアマイド揺変剤、楠本化成社製)等を好ましく用いることができる。色分れ防止剤としては、例えば、商品名で「ディスパロン 2100」(シリコン添加脂肪族系多価カルボン酸、楠本化成社製)等を好ましく用いることができる。消泡・ワキ防止剤としては、例えば、商品名で「ディスパロン 1950」(特殊ビニル系重合物、楠本化成社製)等を好ましく用いることができる。
<溶剤>
本実施形態に係る二液混合形塗料組成物は、溶剤として弱溶剤を含むことが好ましい。詳細には、主剤(I)又は硬化剤(II)の少なくともいずれか一方の溶剤として弱溶剤が用いられることが好ましく、本実施形態においては、主剤(I)及び硬化剤(II)の溶剤として弱溶剤が用いられる。
従来用いられてきた二液混合形塗料組成物においては、主剤(I)や硬化剤(II)の種類によっては十分な低温硬化性を得られない場合がある。本実施形態に係る二液混合形塗料組成物は、弱溶剤を用いない場合でも十分な低温硬化性が得られるが、弱溶剤が二液混合形塗料組成物の溶剤として用いられることで、更に低温硬化性(特に塗り重ね性)を向上させることができる。また、二液混合形塗料組成物の臭気を低減させることもできる。また、防錆塗膜の外観異常(ちぢみ)を防止することもできる。
弱溶剤とは、脂肪族炭化水素系溶剤であり、ミネラルスピリットやターペン等に代表されるような高引火点、高沸点、低有害性であるものをいう。より具体的な弱溶剤としては、ミネラルスピリット、ホワイトスピリット、ミネラルターペン、イソパラフィン、ソルベント灯油、芳香族ナフサ、VM&Pナフサ、ソルベントナフサ等挙げられる。
弱溶剤の市販品としては、いずれも商品名で「ソルベッソ100」、「ソルベッソ150」、「ソルベッソ200」(いずれもエッソ石油社製)や、いずれも商品名で「スワゾール310」、「スワゾール1000」、「スワゾール1500」(いずれもコスモ石油社製)等が挙げられる。この他、単成分溶剤としてはn−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソノナン、n−デカン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロブタン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
主剤(I)の溶剤としての弱溶剤は、主剤(I)の総質量に対して、5〜50質量%含まれることが好ましい。弱溶剤が5〜50質量%含まれることにより、塗り重ね性を向上させる効果、臭気を低減させる効果、外観異常(ちぢみ)を抑制させる効果を十分に得ることができる。
<PVC>
本実施形態に係る二液混合形塗料組成物は、その主剤(I)の顔料体積濃度(PVC)が30〜60%であることが好ましい。PVCが60%を超えると塗膜が脆くなり割れの発生や付着性の低下が生じる。PVCが20%未満であると塗膜中の顔料の割合が減ることで塗膜の隠ぺい性が低下する傾向がある。
なお、本実施形態で示すPVC(pigment volume concentration)とは、主剤(I)中の全樹脂分と全顔料との合計固形分に占める当該顔料分の体積百分率(%)である。
本実施形態に係る二液混合形塗料組成物の塗装は、刷毛、ローラー、スプレー等の一般的な方法により行なうことができる。二液混合形塗料組成物を使用する直前に、主剤(I)と硬化剤(II)とを混合することにより得られる塗料を、上記方法を用いて塗布する。かかる主剤(I)と硬化剤(II)とを混合することにより得られる塗料の塗装は、主剤(I)と硬化剤(II)との混合後、可使時間内に行なう。本実施形態に係る二液混合形塗料組成物は、典型的には、30分〜8時間程度の可使時間を示す。溶剤の量によっては、2〜8時間程度を示す。塗装を行なった後は、エポキシ基−アミノ基間の硬化反応やシランカップリング剤(c)によるカップリング反応等が進行することによって硬化反応が進行するため、低温硬化性が優れた二液混合形塗料組成物を得ることができる。
被塗物(本実施形態に係る二液混合形塗料組成物が塗装される対象物)としては、防食を必要とするものであれば特に限定されるものではないが、例えば、船舶、車両(例えば、鉄道車両、大型車両)、航空機、橋梁、海上構築物、プラント、タンク(例えば、石油タンク)、パイプ、鋼管、鋳鉄管等、又は鋼製構造物、建築物の鋼性部分等が挙げられる。また、旧塗膜の残る被塗物に対して適用された場合にも、二液混合形塗料組成物は良好な低温硬化性を示す。また、本発明で述べる低温とは冬場の外気温低下に従って上述被塗物の基材温度が低くなる状態を示し、具体的には基材表面の温度が10℃より低い状態を示す。
被塗物の表面は、予めブラスト処理されたものであってもよく、さび止め塗装、ショップ塗装、有機又は無機ジンクプライマー塗装が施されたものであってもよい。かかる表面に対しても、二液混合形塗料組成物の低温硬化性は優れている。
本実施形態に係る二液混合形塗料組成物の塗布により形成される防錆塗膜の膜厚は、被塗物の種類、用途等に応じて適宜のものとすることができるが、通常、乾燥膜厚は10〜300μm程度である。また、本実施形態に係る二液混合形塗料組成物の塗布により形成される防錆塗膜は、該組成物を複数回にわたって塗布することにより、積層構造とすることも可能である。その際の1回の塗布量及び塗料組成物の粘度は特に制限されるものではなく、通常、それぞれの防錆塗膜の乾燥膜厚が10〜300μmとなるように塗布される。
以上のようにして形成された防錆塗膜(下塗り層)上には、上塗り層として、上塗り塗料や機能性塗料を塗装してもよい。本実施形態に係る二液混合形塗料組成物から形成される防錆塗膜は、このような上塗り塗料や機能性塗料からなる塗膜に対しても、本実施形態における二液混合形塗料組成物は、優れた付着性を示すことができる。
上塗り塗料としては、例えば、油性系塗料、長油性フタル酸樹脂塗料、シリコンアルキッド樹脂塗料、フェノール樹脂塗料、塩化ゴム系樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、変性エポキシ樹脂塗料、タールエポキシ樹脂塗料、塩化ビニル樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、シリコン変性樹脂塗料等が挙げられる。
また、機能性塗料としては、汚染物質に対してセルフクリーニング機能を発現する光触媒塗料、海洋生物等の付着を防止する防汚塗料等が挙げられる。これらのなかでも、エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、アクリル樹脂系防汚塗料、ビニル樹脂系防汚塗料等が好ましく用いられる。本実施形態に係る二液混合形塗料組成物から形成される防錆塗膜は、同系のエポキシ樹脂系塗料に対しても、また、異系の塗料に対しても優れた付着性を示すことができる。
なお、本実施形態に係る二液混合形塗料組成物は、上塗り層の形成のために用いられてもよい。この場合、上塗り層の乾燥膜厚は、通常、10〜300μm程度とされる。
以上説明したように、本実施形態における二液混合形塗料組成物は、金属基材の表面を被覆する防錆塗膜を形成するために用いられる、主剤(I)及び硬化剤(II)を含む二液混合形塗料組成物であって、主剤(I)は、エポキシ樹脂(a)を含み、硬化剤(II)は、ポリアミン(b)を含み、エポキシ樹脂(a)は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はノボラック型エポキシ樹脂の少なくともいずれかで、かつ、重量平均分子量が6,500〜10,000であり、ポリアミン(b)は、脂環式ポリアミン(b−1)と、脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2)と、アルキルフェノール(b−3)と、を含む。これにより、低温硬化性及び塗膜性能が優れた二液混合形塗料組成物を得ることができる。
また、主剤(I)は、更にシランカップリング剤(c)を含み、シランカップリング剤(c)は、異なる2種の官能基の一方の官能基として、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基を有する。これにより、防錆塗膜の防食性や基材との付着性を向上させることができる。
また、二液混合形塗料組成物は、弱溶剤を更に含む。弱溶剤が二液混合形塗料組成物の溶剤として用いられることで、より低温硬化性(特に塗り重ね性)を向上させることができる。また、二液混合形塗料組成物の臭気を低減させることもできる。また、防錆塗膜の外観を良好にできる。
また、脂環式ポリアミン(b−1)は、硬化剤(II)の総質量に対して、10〜20質量%含まれる。また、脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2)は、硬化剤(II)の総質量に対して、0.6〜6.3質量%含まれる。また、アルキルフェノール(b−3)は、硬化剤(II)の総質量に対して、6〜30質量%含まれる。また主剤(I)の顔料体積濃度(PVC)は30〜60%である。これらの条件を満たすことで、低温硬化性及び塗膜性能がより優れた二液混合形塗料組成物を得ることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜22>
表1に示される配合処方に従い、配合成分を混合し、エポキシ樹脂を含む主剤(I)及び硬化剤(II)をそれぞれ調製し、実施例1〜22の二液混合形塗料組成物を得た。表1に示される各配合成分の詳細は次のとおりである。表1には、主剤(I)の顔料体積濃度(PVC)を併記する。
(1)ノボラック型エポキシ樹脂A:エポキシ樹脂(a)
温度計、撹拌装置及び冷却管をつけた水分離装置を備えた2L反応器に、ヒタノール#1133(日立化成工業社製;p−第三ブチルフェノールノボラック樹脂、OH当量158、平均核体数3)250g、ヒタノール#1501(日立化成工業社製;オクチルフェノールノボラック樹脂、OH当量214、平均核体数3)250g及びエピクロルヒドリン1440gを仕込み、撹拌して均一溶液にした後、48重量%水酸化ナトリウム268gを60〜110℃で2時間かけて滴下した。この間、系内で生成した水分はエピクロルヒドリンと共沸させて水分離装置で系外へ除去しながらエピクロルヒドリンを系内で還流させた。滴下終了後、100〜120℃で2時間熟成し、理論水量が流出した時点で反応を終了させた。
得られたエポキシ化合物のエピクロルヒドリン溶液にキシレン150gを加え、大量の水で洗浄し、生成した食塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去した後、3重量%リン酸水溶液で中和した。次いで、減圧下でエピクロルヒドリン及びキシレンを留去し、これにスワゾール310(コスモ石油製;高沸点パラフィン系溶剤)を460g加え、液状のエポキシ樹脂(ノボラック型エポキシ樹脂A)を得た。この重量平均分子量は8,500、エポキシ当量は1010、固形分は60重量%、比重は0.90であった。
(2)ノボラック型エポキシ樹脂B:エポキシ樹脂(a)
エピクロルヒドリンを2040gに変更した以外は上述の処方に準じてノボラック型エポキシ樹脂Bを得た。この重量平均分子量は6,500、エポキシ当量は1000、固形分は60重量%、比重は0.90であった。
(3)ノボラック型エポキシ樹脂C:エポキシ樹脂(a)
エピクロルヒドリンを1040gに変更した以外は上述の処方に準じてノボラック型エポキシ樹脂Cを得た。この重量平均分子量は9,500、エポキシ当量は1020、固形分は60重量%、比重は0.90であった。
(4)ビスフェノールA型エポキシ樹脂D:エポキシ樹脂(a)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂DとしてjER1007(三菱化学社製)を用いた。この重量平均分子量は10,000、エポキシ当量は1975、固形分は100重量%、比重は1.19であった。
(5)重炭:KS−8000(比重2.5、カルファイン社製)
(6)タルク:タルクSSS(比重2.75、日本タルク社製)
(7)酸化チタン:R−996(比重2.65、LOMON社製)
(8)防錆顔料:CLF−102(比重0.3、広西化工研究院社製)
(9)シランカップリング剤(c):トリメトキシシリル基含有シランカップリング剤A:KBM−403(比重1.07、信越化学社製)
(10)シランカップリング剤(c):トリエトキシシリル基含有シランカップリング剤B:KBE−403(比重1.00、信越化学社製)
(11)脂環式ポリアミン(b−1):WN−155(比重1.29、DIC社製)
(12)脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2):メタキシレンジアミン(比重1.05、東京化成社製)
(13)アルキルフェノール(b−3):オルト−ターシャリブチルフェノール(比重0.908、東京化成社製)
(14)弱溶剤:ソルベッソ100(比重0.88、エッソ石油社製)
(15)キシレン:キシロール(昭栄ケミカル社製)
<比較例1〜10>
表2に示される配合処方に従い、配合成分を混合し、エポキシ樹脂を含む主剤(I)及び硬化剤(II)をそれぞれ調製し、比較例1〜10の二液混合形塗料組成物を得た。表2に新たに示される各配合成分の詳細は次のとおりである。表2には、表1と同様に主剤(I)の顔料体積濃度(PVC)を併記する。
(16)ビスフェノールA型エポキシ樹脂E
ビスフェノールA型エポキシ樹脂EとしてjER1009(三菱化学社製)を用いた。この重量平均分子量は20,000、エポキシ当量は2850、固形分100重量%であった。
(17)非ノボラック型かつ非ビスフェノールA型エポキシ樹脂F(重量平均分子量420、エポキシ当量145):エポライト100MF(共栄社化学社製)
(18)ノボラック型エポキシ樹脂G
ノボラック型エポキシ樹脂FとしてEPICLON NK59−60MS(DIC社製)を用いた。この重量平均分子量は5,700、エポキシ当量は1000以上、固形分60重量%、比重0.95であった。
(19)脂肪族ポリアミン:フジキュアー FXP−8088(比重0.96、T&K TOKA社製)
Figure 0006832122
Figure 0006832122
以上の実施例及び比較例の二液混合形塗料組成物の主剤(I)と硬化剤(II)とを混合、調整し、被塗物に塗布し、二液混合形塗料組成物の低温硬化性と、防錆塗膜の外観とを評価した。
[1]低温硬化性
二液混合形塗料組成物の低温硬化性を、以下に示す低温乾燥性、防食性、付着性、塗り重ね性、踏み込み性の試験により評価した。実施例及び比較例の結果を表3及び表4に示す。
<低温乾燥性>
実施例及び比較例に示す二液混合形塗料組成物の低温乾燥性を、特許第3652864号公報を参考に評価した。詳細には、二液混合形塗料組成物を、脱脂した磨き鋼板(150×70×0.8mm)にエアスプレーを用いて乾燥膜厚が約60μmとなるように塗装し、0℃の条件で16時間乾燥し防錆塗膜を得た。防錆塗膜を指触し、以下の評価基準で低温乾燥性を評価した。
(評価基準)
4:指で強く押しても塗膜がずれない。
3:指で強く押すと塗膜がずれるが、軽くこすっても跡が残らない。
2:指で軽くこすると跡がつくが、軽く触っても塗料がつかない。
1:指で軽く触ったときに塗料がつく。
<防食性>
実施例及び比較例に示す二液混合形塗料組成物の防食性を、JIS K 5600−7−9を参考に評価した。詳細には、調製直後の二液混合形塗料組成物を、グリッドブラスト鋼板(7cm×15cm×3.2mm)に、エアスプレーを用いて乾燥膜厚が約60μmとなるように塗装し、23℃50%RHの条件で7日間養生し、防錆塗膜を得た。二液混合形塗料組成物に対して3枚の防錆塗膜を用意し、JIS K 5600−7−9 サイクル腐食性試験 120cyc(サイクルD)を参考に、以下の評価基準で防食性を評価した。
(評価基準)
4:防錆塗膜3枚中すべてでさび・ふくれ・われを認めない。
3:防錆塗膜3枚中1枚でさび・ふくれ・われを認める。
2:防錆塗膜3枚中2枚でさび・ふくれ・われを認める。
1:すべての防錆塗膜でさび・ふくれ・われを認める。
なお、防錆塗膜の周辺約10mm以内及び塗膜に付けた傷の両側それぞれ4mm以内の塗膜は評価の対象外とし、さび汁による汚れも評価の対象外とした。
<付着性>
実施例及び比較例に示す二液混合形塗料組成物の付着性を、JIS K 5600−5−6を参考に評価した。詳細には、二液混合形塗料組成物を、6か月間屋外曝露したZnめっき鋼板(150×70×3.2mm)に、エアスプレーを用いて乾燥膜厚が約60μmとなるように塗装し、23℃50%RHの条件で7日間養生し、更に、50℃95%RHの条件で7日間投入し防錆塗膜を得た。JIS K 5600−5−6の7.の方法を参考に、2mm間隔で防錆塗膜の各方面にそれぞれ6本の切り込みを入れ、切り込みを入れた面に粘着テープを圧着し、引きはがし、目視で塗面を観察することで防錆塗膜の付着性を評価した。具体的には、JIS K 5600−5−6の8.3の表1を参考に、以下の評価基準で付着性を評価した。
(評価基準)
4:分類0又は分類1
3:分類2
2:分類3
1:分類4以下
<塗り重ね性>
実施例及び比較例に示す二液混合形塗料組成物の塗り重ね性を、JIS K 5551−7.10を参考に評価した。詳細には、二液混合形塗料組成物を、ボンデ鋼板(150mm×70mm×0.8mm)にハケを用いて乾燥膜厚が約60μmとなるように塗装し、5℃の条件で24時間乾燥し防錆塗膜を得た。防錆塗膜に対して、上塗り塗料として、ハイポン30ファイン中塗(商品名、日本ペイント社製)を、塗装器具として刷毛を用いて塗り重ね、刷毛の塗装作業性、下塗り塗膜の再溶解の観点から、以下の評価基準で塗り重ね性を評価した。
(評価基準)
塗装作業性:刷毛作業感が重くないか(i)。
下塗り塗膜の再溶解:上塗り塗料が下塗を再溶解していないか(ii)、
リフティングが起きていないか(iii)。
4:(i)〜(iii)のうち、いずれも問題ない。
3:(i)〜(iii)のうち、一つの項目で問題がある。
2:(i)〜(iii)のうち、二つの項目で問題がある。
1:(i)〜(iii)のすべての項目で問題がある。
<踏み込み性>
実施例及び比較例に示す二液混合形塗料組成物の踏み込み性を、特開2010−24408号公報を参考に評価した。詳細には、二液混合形塗料組成物をボンデ鋼板(900×225×0.8mm)にエアスプレーを用いて乾燥膜厚が約60μmとなるように塗装し、0℃の条件で16時間養生し防錆塗膜を得た。防錆塗膜の塗膜表面を靴で踏み、全体重を3秒間かけた後、以下の評価基準で踏み込み性を評価した。
(評価基準)
4:塗膜に跡がつかない。
3:塗膜に跡はつかないが、粘着性は残っている。
2:粘着性が残っており、かつ、塗膜に跡がつく。
1:踏み込んだ靴の裏に塗料が付着する。
[2]防錆塗膜の外観
二液混合形塗料組成物の防錆塗膜の外観を、以下に示すちぢみ性、温冷繰り返し性の試験により評価した。実施例及び比較例の結果を表3及び表4に示す。
<ちぢみ性>
実施例及び比較例に示す二液混合形塗料組成物のちぢみ性を、評価した。詳細には、アルキド樹脂塗料(速乾PZヘルゴンエコ:商品名、日本ペイント社製)を、溶融亜鉛めっき鋼板(150×70×3.2mm)に刷毛を用いて乾燥膜厚が約60μmとなるように塗装し、23℃50%RHの条件で1日乾燥した。ついで、二液混合形塗料組成物を、刷毛を用いて乾燥膜厚が約50μmとなるように塗装し防錆塗膜を得たのち、以下の評価基準で防錆塗膜のちぢみ性を評価した。
(評価基準)
4:外観異常なし
3:10%以下の面積でちぢみが発生
2:50%以下の面積でちぢみが発生
1:全面でちぢみが発生
<温冷繰り返し性>
実施例及び比較例に示す二液混合形塗料組成物の温冷繰り返し性を、JIS−K−5600−7−4に従って評価した。詳細には、二液混合形塗料組成物を、ボンデ鋼板(150mm×70mm×0.8mm)に刷毛を用いて乾燥膜厚が約60μmとなるように塗装し、23℃50%RHにて16時間養生した。防錆塗膜に対して、上塗り塗料として、ハイポン30ファイン中塗(商品名、日本ペイント社製)を塗装器具として刷毛を用いて塗り重ね、23℃50%RHにて7日間養生した。ついで、23±2℃にて18時間、マイナス20℃にて3時間、50±3℃にて3時間を1サイクルとして、温冷繰り返し試験を50サイクル実施した。50サイクル終了後、以下の評価基準で温冷繰り返し性を評価した。
(評価基準)
4:外観異常なし
3:10%以下の面積で割れが発生
2:50%以下の面積で割れが発生
1:全面で割れが発生
Figure 0006832122
Figure 0006832122
実施例1〜4と比較例2との比較から、実施例1〜4の塗料組成物の方が、比較例2の塗料組成物よりも塗膜形成時の低温乾燥性、塗り重ね性、踏み込み性が良好であることが分かった。この結果から、本発明に示す重量平均分子量8,500以上のエポキシ樹脂(a)を含有させることで、低温硬化性、塗り重ね性、踏み込み性が向上することが確認された。
実施例1〜4と比較例1との結果から、実施例1〜4の塗料組成物の方が、比較例1の塗料組成物よりも形成される塗膜の温冷繰り返し試験性能が良好であることが分かった。この結果から本発明に示す重量平均分子量10,000以下のエポキシ樹脂(a)を含有させることで、温冷繰り返し試験性能が向上することが確認された。
実施例1と実施例22との比較から、実施例1の塗料組成物の方が、実施例22の塗料組成物よりも塗り重ね後の耐ちぢみ性能が良好であることが分かった。この結果から本発明に示すエポキシ樹脂(a)と弱溶剤を含むことで、耐ちぢみ性能が更に向上することが確認された。
実施例1と実施例19との比較から、実施例1の塗料組成物の方が、実施例19の塗料組成物よりも防食性、付着性が良好であることが分かった。この結果から更にシランカップリング剤(c)を含有させることで、防食性、付着性がより向上することが確認された。
実施例1と比較例9との比較から、実施例1の塗料組成物の方が、比較例9の塗料組成物よりも低温乾燥性、塗り重ね性、踏み込み性が良好であることが分かった。この結果からポリアミン(b)として脂環式ポリアミン(b−1)を含有させることで、低温乾燥性、塗り重ね性、踏み込み性が向上することが確認された。
実施例1と比較例5との比較から、実施例1の塗料組成物の方が、比較例5の塗料組成物よりも低温乾燥性、塗り重ね性、踏み込み性が良好であることが分かった。この結果からポリアミン(b)として脂環式ポリアミン(b−1)を含まないポリアミン(b−2)を含有させることで、低温乾燥性、塗り重ね性、踏み込み性が向上することが確認された。
実施例1と比較例7との比較から、実施例1の塗料組成物の方が、比較例7の塗料組成物の方が低温乾燥性、塗り重ね性、踏み込み性が良好であることが分かった。この結果から、アルキルフェノール(b−3)を主剤(I)に対して6質量%以上含有させることで、低温乾燥性、塗り重ね性、踏み込み性が向上することが確認された。

Claims (4)

  1. 金属基材の表面を被覆する防錆塗膜を形成するために用いられる、主剤(I)及び硬化剤(II)を含む二液混合形塗料組成物であって、
    前記主剤(I)は、エポキシ樹脂(a)を含み、
    前記硬化剤(II)は、ポリアミン(b)を含み、
    前記エポキシ樹脂(a)は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はノボラック型エポキシ樹脂の少なくともいずれかで、かつ、重量平均分子量が6,500〜10,000であり、
    前記ポリアミン(b)は、脂環式ポリアミン(b−1)と、脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2)と、アルキルフェノール(b−3)と、を含み、
    前記脂環式ポリアミン(b−1)は、前記硬化剤(II)の総質量に対して、10〜20質量%含まれ、
    前記脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2)は、前記硬化剤(II)の総質量に対して、0.6〜6.3質量%含まれ、
    前記アルキルフェノール(b−3)は、前記硬化剤(II)の総質量に対して、6〜30質量%含まれる、二液混合形塗料組成物。
  2. 前記主剤(I)は、更にシランカップリング剤(c)を含み、
    前記シランカップリング剤(c)は、異なる2種の官能基の一方の官能基として、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基を有する請求項1に記載の二液混合形塗料組成物。
  3. 弱溶剤を更に含む請求項1又は2に記載の二液混合形塗料組成物。
  4. 前記主剤(I)の顔料体積濃度(PVC)が30〜60%であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の二液混合形塗料組成物。
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