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JP6874416B2 - 二輪自動車用タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、二輪自動車用タイヤに関する。
二輪自動車が旋回する時、タイヤのサイド部には、大きな荷重が負荷される。サイド部の剛性が十分でないとき、この荷重によりサイド部の変形が大きくなる。これにより、旋回時の反力が小さくなる。さらに、トラクションをかけたときの剛性感が低下する。一方、サイド部の剛性を大きくすることは、旋回時の接地感を損なう。
高い剛性感と吸収性との両立を図った二輪自動車用のタイヤが、特開2008−49799公報に開示されている。このタイヤでは、サイドウォールは、軸方向において内側に位置する内層と、外側に位置する外層とからなる。内層の複素弾性率は、外層の複素弾性率より小さくされている。
特開2008−49799公報
二輪自動車の性能の向上に伴い、さらに旋回時の剛性感及び接地感が向上されたタイヤが求められている。
本発明の目的は、旋回時における優れた剛性感及び接地感が実現された二輪自動車用タイヤの提供にある。
本発明に係る二輪自動車用タイヤは、一対のサイドウォール、一対のビード及びカーカスを備えている。上記カーカスは、両側のビードの間に架け渡されており、上記サイドウォールの内側に沿っている。それぞれのサイドウォールは、上記ビードの軸方向外側に位置する第一層と、この第一層から半径方向外向きに延びる第二層とを備えている。上記カーカスと上記サイドウォールとの境界面の軸方向外側端が位置Pcとされたとき、半径方向において、上記第一層の外側端が位置Pcより内側に位置している。上記第一層の硬さH1は、上記第二層の硬さH2より高い。
好ましくは、上記硬さH2の上記硬さH1に対する比(H2/H1)は、0.70以上0.95以下である。
好ましくは、上記第二層の複素弾性率E2の上記第一層の複素弾性率E1対する比(E2/E1)は、0.35以上0.8以下である。
好ましくは、上記サイドウォールの軸方向外側面における上記第一層と上記第二層との境界点がPoとされ、このサイドウォールの軸方向内側面における上記第一層と上記第二層との境界点がPiとされたとき、半径方向において、ビードベースラインから上記境界点Piまでの高さhiは、このビードベースラインから上記境界点Poまでの高さhoより大きい。
好ましくは、上記高さhiの上記高さhoに対する比(hi/ho)は、1.2以上3.0以下である。
好ましくは、このタイヤが組み込まれるリムのビードベースラインからフランジの外側端までの半径方向高さがGとされたとき、上記高さhoのこの高さGに対する比(ho/G)は、0.5以上1.6以下である。
好ましくは、上記ビードが、コアと、このコアから半径方向外向きに延びるエイペックスとを備えており、上記第一層の外側端と、このエイペックスの先端との距離dは、2mm以上である。
発明者らは、二輪自動車用のタイヤについて、優れた剛性感と接地感とを実現するためのサイド部の構造を検討した。その結果、ビードの近辺におけるサイドウォールの硬さがタイヤの剛性感に効果的に寄与し、カーカスが外側に湾曲した部分におけるサイドウォールのしなやかな撓みがタイヤの接地感に効果的に寄与することを見出した。
このタイヤでは、サイドウォールは、ビードの軸方向外側に位置する第一層と、この第一層から半径方向外向きに延びる第二層とを備えている。第一層の硬さH1は、第二層の硬さH2より高い。この硬い第一層は、剛性感に効果的に寄与する。このタイヤは旋回時の剛性感に優れる。さらにこのタイヤでは、カーカスとサイドウォールの境界面の軸方向外側端が位置Pcとされたとき、半径方向において、上記第一層の外側端は、位置Pcより内側に位置している。カーカスが外側に湾曲した位置Pcの近辺には、柔らかな第二層が位置している。柔らかな第二層は、サイド部のしなやかな撓みに効果的に寄与する。この第二層は、接地感に効果的に寄与する。このタイヤは、良好な接地感が実現されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2の断面が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。このタイヤ2は、トレッドパターンを除き、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ2の赤道面を表す。このタイヤ2は、二輪自動車に装着される。このタイヤ2は、特に二輪自動車の後輪に装着される。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のビード8、カーカス10、バンド12、インナーライナー14及び一対のチェーファー16を備えている。
トレッド4は、架橋ゴムからなる。トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、トレッド面18を備えている。このトレッド面18は、路面と接地する。図示されないが、このトレッド面18に溝が刻まれることにより、トレッドパターンが形成されてもよい。
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。サイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。サイドウォール6は、カーカス10の外傷を防止する。
それぞれのビード8は、サイドウォール6よりも軸方向略内側に位置している。ビード8は、コア20と、このコア20から半径方向外向きに延びるエイペックス22とを備えている。コア20はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス22は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス22は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス10は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6の内側に沿っている。カーカス10は、カーカスプライを備えている。この実施形態では、カーカス10は、第一プライ24及び第二プライ26の二つのカーカスプライからなる。
第一プライ24は、コア20の周りにて折り返されている。第一プライ24は、第一主部28と第一折返し部30とを備えている。第一主部28は、一方のビード8の軸方向内側から他方のビード8の軸方向内側まで延びている。第一折返し部30は、ビード8の軸方向外側を略半径方向に延びている。第二プライ26は、コア20の周りにて折り返されている。第二プライ26は、第二主部32と第二折返し部34とを備えている。第二主部32は、第一主部28の外側において、一方のビード8の軸方向内側から他方のビード8の軸方向内側まで延びている。第二折返し部34は、ビード8と第一折返し部30との間において、略半径方向に延びている。第一プライ24又は第二プライ26が、折返し部を有さなくてもよい。カーカス10が、1枚のカーカスプライから形成されてもよい。
この実施形態では、半径方向において、第一折返し部30の端は、第二折返し部34の端よりも外側に位置している。軸方向において、第一折返し部30は第二折返し部34の外側に位置している。このタイヤ2では、第一折返し部30がサイドウォール6と接している。このタイヤ2では、第一折返し部30とサイドウォール6の境界面が、カーカス10とサイドウォール6の境界面である。
図示されないが、第一プライ24及び第二プライ26は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。この実施形態では、それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、65°から90°である。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
バンド12は、トレッド4の半径方向内側に位置している。バンド12は、カーカス10の半径方向外側に位置している。バンド12は、カーカス10に積層されている。図示されないが、バンド12は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド12は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。バンド12は、タイヤ2の半径方向の剛性に寄与しうる。バンド12は、走行時に作用する遠心力の影響を抑制しうる。このタイヤ2は、高速安定性に優れる。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
インナーライナー14は、カーカス10の内側に位置している。インナーライナー14は、カーカス10の内面に接合されている。インナーライナー14は、架橋ゴムからなる。インナーライナー14には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー14の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー14は、タイヤ2の内圧を保持する。
それぞれのチェーファー16は、ビード8の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー16がリムと当接する。この当接により、ビード8の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー16は、布とこの布に含浸したゴムとからなる。
図2は、図1のタイヤ2のビード8の部分が示された拡大断面図である。図2において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。図2において、実線BBLはビードベースラインである。ビードベースラインBBLは、リムのリム径(JATMA参照)を規定する線である。このビードベースラインBBLは、軸方向に延びる。
図に示されるとおり、サイドウォール6は、第一層36と第二層38とを備えている。第一層36は、ビード8の軸方向外側に位置する。半径方向において、第一層36は外向きに先細りであり、内向きにも先細りである。第一層36の半径方向内側端は、コア20の近辺まで延びている。第二層38は第一層36から半径方向略外向きに延びている。この実施形態では、第二層38は、第一層36の軸方向外側から半径方向略外向きに延びている。半径方向において、第二層38は外向きに先細りであり、内向きにも先細りである。第二層38の半径方向外側端は、トレッド4に接合されている。このタイヤ2では、第一層36の硬さH1は、第二層38の硬さH2より高い。
本願において、第一層36の硬さH1及び第二層38の硬さH2は、「JIS K6253」の規定に準じ、タイプAのデュロメータによって測定される。図1に示された断面にこのデュロメータが押し付けられて、硬さが測定される。測定は、23℃の温度下でなされる。
図2において、位置Pcは、カーカス10とサイドウォール6の境界面上の位置である。この実施形態では、位置Pcは、第一折返し部30とサイドウォール6の境界面上の位置である。位置Pcは、この境界面の軸方向外側端である。このタイヤ2では、半径方向において、第一層36の外側端40は、位置Pcより内側に位置している。このタイヤ2では、第一層36は、位置Pcまで延びていない。このタイヤ2では、第一層36の半径方向外側端40は、軸方向において、位置Pcより内側に位置している。すなわち、位置Pcの近辺において、カーカス10は第二層38と接している。
以下、本発明の作用効果が説明される。
発明者らは、二輪自動車用のタイヤについて、優れた剛性感と接地感とを実現するためのサイド部の構造を検討した。その結果、ビードの近辺におけるサイドウォールの硬さがタイヤの剛性感に効果的に寄与し、カーカスが外側に湾曲した部分におけるサイドウォールのしなやかな撓みがタイヤの接地感に効果的に寄与することを見出した。
このタイヤ2では、サイドウォール6は、ビード8の軸方向外側に位置する第一層36と、この第一層36から半径方向外向きに延びる第二層38とを備えている。第一層36の硬さH1は、第二層38の硬さH2より高い。この硬い第一層36は、サイド部に付加される荷重を効果的に支える。この第一層36は、剛性感に効果的に寄与する。このタイヤ2は旋回時の剛性感に優れる。さらにこの硬い第一層36は、旋回時の反力に寄与する。このタイヤ2は、旋回時の反力に優れる。
このタイヤ2では、第一層36の半径方向外側端40は、カーカス10とサイドウォール6の境界面の軸方向外側端である位置Pcよりも、半径方向内側に位置している。第一層36は、位置Pcまで延びていない。カーカス10が外側に湾曲した位置Pcの近辺には、柔らかな第二層38が位置している。柔らかな第二層38は、サイド部のしなやかな撓みに効果的に寄与する。この第二層38は、接地感に効果的に寄与する。このタイヤ2では、良好な接地感が実現されている。
硬さH2の硬さH1に対する比(H2/H1)は、0.95以下が好ましい。比(H2/H1)を0.95以下とすることで、この第一層36は、剛性感に効果的に寄与する。このタイヤ2は、トラクションをかけたときの剛性感に優れる。さらにこの第一層36は、旋回時の反力に効果的に寄与する。このタイヤ2は、旋回時の反力に優れる。この観点から、比(H2/H1)は、0.90以下がより好ましい。
第一層36の硬さが高すぎると、第一層36の硬さと第二層38との硬さとの差が大きくなる。第一層36と第二層38との境界面で応力の集中が起こる。第一層36と第二層38との境界面で、屈曲が起こり易くなる。これは、旋回時のトラクションをかけたときの剛性感を損なう。これは、旋回時の反力を小さくしうる。
比(H2/H1)は、0.70以上が好ましい。比(H2/H1)を0.70以上とすることで、第一層36と第二層38との境界面での屈曲が抑えられている。このタイヤ2は、トラクションをかけたときの剛性感に優れる。このタイヤ2は、旋回時の反力に優れる。この観点から、比(H2/H1)は、0.75以上がより好ましい。
硬さH1は、67以上が好ましい。硬さH1を67以上とすることで、この第一層36は、剛性感に効果的に寄与する。このタイヤ2は、トラクションをかけたときの剛性感に優れる。さらにこの第一層36は、旋回時の反力に効果的に寄与する。このタイヤ2は、旋回時の反力に優れる。この観点から、硬さH1は69以上がより好ましい。硬さH1は、80以下が好ましい。硬さH1を80以下とすることで、サイド部の剛性は適度に抑えられている。この第一層36の接地感への影響は抑えられている。このタイヤ2では、良好な接地感が実現されている。この観点から、硬さH1は78以下がより好ましい。
硬さH2は、65以下が好ましい。硬さH2を65以下とすることで、この第二層38は、接地感に効果的に寄与する。このタイヤ2では、良好な接地感が実現されている。この観点から、硬さH2は63以下がより好ましい。硬さH2は、55以上が好ましい。硬さH2を55以上とすることで、この第二層38は、剛性感に寄与する。このタイヤ2は、トラクションをかけたときの剛性感に優れる。さらにこの第二層38は、旋回時の反力に寄与する。このタイヤ2は、旋回時の反力に優れる。この観点から、硬さH2は57以上がより好ましい。
第一層36の複素弾性率E1は、第二層38の複素弾性率E2より高いのが好ましい。このようにすることで、複素弾性率が高い第一層36は、剛性感に効果的に寄与する。このタイヤ2は旋回時の剛性感に優れる。さらにこの複素弾性率の高い第一層36は、旋回時の反力に寄与する。このタイヤ2は、旋回時の反力に優れる。また、複素弾性率が低い第二層38は、サイド部のしなやかな撓みに効果的に寄与する。この第二層38は、接地感に効果的に寄与する。このタイヤ2では、良好な接地感が実現されている。
本発明では、複素弾性率E1びE2は、「JIS K 6394」の規定に準拠して、下記の測定条件により、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所社製の商品名「VESF−3」)を用いて計測される。
初期歪み:10%
振幅:±1.0%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:30℃
複素弾性率E2の複素弾性率E1に対する比(E2/E1)は、0.8以下が好ましい。比(E2/E1)を0.8以下とすることで、この第一層36は、剛性感に効果的に寄与する。このタイヤ2は、トラクションをかけたときの剛性感に優れる。さらにこの第一層36は、旋回時の反力に効果的に寄与する。このタイヤ2は、旋回時の反力に優れる。この観点から、比(E2/E1)は、0.7以下がより好ましい。
第一層36の複素弾性率が高すぎると、第一層36の複素弾性率と第二層38との複素弾性率との差が大きくなる。第一層36と第二層38との境界面で応力の集中が起こる。第一層36と第二層38との境界面で、屈曲が起こり易くなる。これは、旋回時のトラクションをかけたときの剛性感を損なう。これは、旋回時の反力を小さくしうる。
比(E2/E1)は、0.35以上が好ましい。比(E2/E1)を0.35以上とすることで、第一層36と第二層38との境界面での屈曲が抑えられている。このタイヤ2は、トラクションをかけたときの剛性感に優れる。このタイヤ2は、旋回時の反力に優れる。この観点から、比(E2/E1)は、0.4以上がより好ましい。
複素弾性率E1は、6.0MPa以上が好ましい。複素弾性率E1を6.0MPa以上とすることで、この第一層36は、剛性感に効果的に寄与する。このタイヤ2は、トラクションをかけたときの剛性感に優れる。さらにこの第一層36は、旋回時の反力に効果的に寄与する。このタイヤ2は、旋回時の反力に優れる。この観点から、複素弾性率E1は6.5MPa以上がより好ましい。複素弾性率E1は、10.0MPa以下が好ましい。複素弾性率E1を10.0MPa以下とすることで、サイド部の剛性は適度に抑えられている。この第一層36の接地感への影響は抑えられている。このタイヤ2では、良好な接地感が実現されている。この観点から、複素弾性率E1は9.5MPa以下がより好ましい。
複素弾性率E2は、5.5MPa以下が好ましい。複素弾性率E2を5.5MPa以下とすることで、この第二層38は、接地感に効果的に寄与する。このタイヤ2では、良好な接地感が実現されている。この観点から、複素弾性率E2は5.3MPa以下がより好ましい。複素弾性率E2は、4.0MPa以上が好ましい。複素弾性率E2を4.0MPa以上とすることで、この第二層38は、剛性感に寄与する。このタイヤ2は、トラクションをかけたときの剛性感に優れる。さらにこの第二層38は、旋回時の反力に寄与する。このタイヤ2は、旋回時の反力に優れる。この観点から、複素弾性率E2は4.2MPa以上がより好ましい。
このタイヤ2では、硬い第一層36が剛性感に効果的に寄与するため、サイドウォール6の厚みを従来より薄くすることができる。薄いサイドウォール6は、サイド部のしなやかな撓みに効果的に寄与する。このタイヤ2では、良好な接地感が実現されている。薄いサイドウォール6は、タイヤ2の質量の低減に効果的に寄与する。このタイヤ2では、小さな質量が実現されている。
図2に示されるとおり、サイド部は、クリンチャーライン48を備えている。実線Mはクリンチャーライン48の半径方向外側の根元を通る基準線である。実線Mは、サイドウォール6の内側面の法線である。両矢印Sは、基準線Mに沿って計測した、サイドウォール6の厚みである。厚みSは2.5mm以下が好ましい。厚みSを2.5mm以下とすることで、このサイドウォール6はサイド部のしなやかな撓みに効果的に寄与する。このタイヤ2では、良好な接地感が実現されている。このサイドウォール6は、タイヤ2の質量の低減に効果的に寄与する。このタイヤ2では、小さな質量が実現されている。厚みSは1.5mm以上が好ましい。厚みSを1.5mm以上とすることで、このサイドウォール6はタイヤ2の剛性感に寄与する。このタイヤ2は、トラクションをかけたときの剛性感に優れる。
図2において、点Poはサイドウォール6の軸方向外側面上の点である。点Poは第一層36と第二層38との境界点である。この実施形態では、境界点Poは、第二層38の半径方向内側端42と一致する。図において、点Piはサイドウォール6の軸方向内側面上の点である。点Piは第一層36と第二層38との境界点である。この実施形態では、境界点Piは、第一層36の半径方向外側端40と一致する。
図2において、両矢印hoはビードベースラインBBLから境界点Poまでの半径方向高さである。両矢印hiはビードベースラインBBLから境界点Piまでの半径方向高さである。このタイヤ2では、高さhiは、高さhoよりも大きいのが好ましい。すなわち、第一層36と第二層38の境界面の軸方向内側に第一層36が位置するのが好ましい。このようにすることで、この第一層36は、剛性感に効果的に寄与する。この第一層36は、旋回時の反力に寄与する。このタイヤ2は、旋回時の剛性感及び反力に優れる。さらに、第一層36よりも軸方向外側に位置する第二層38は、サイド部の撓みに効果的に寄与する。この第二層38は、接地感に効果的に寄与する。このタイヤ2では、良好な接地感が実現されている。
高さhoと高さhiがほぼ同じであるとき、第一層36と第二層38の境界面は、ほぼ軸方向に延びる。このタイヤ2のサイド部の剛性は、この境界面近辺において、急激に変化する。荷重が負荷されたとき、この境界面近辺で、屈曲が起こり易くなる。これは、旋回時のトラクションをかけたときの剛性感を損なう。これは、旋回時の反力を小さくしうる。
高さhiの高さhoに対する比(hi/ho)は、1.2以上が好ましい。比(hi/ho)を1.2以上とすることで、境界面での屈曲が効果的に抑えられる。このタイヤ2は、旋回時の剛性感及び反力に優れる。この観点から、比(hi/ho)は2.0以上がより好ましい。比(hi/ho)は、3.0以下が好ましい。比(hi/ho)を3.0以下とすることで、この第一層36が接地感に与える影響が抑えられている。このタイヤ2は、接地感に優れる。
図示されないが、高さGは、このタイヤ2が組み込まれるリムのビードベースラインBBLからフランジの外側端までの半径方向高さである。高さhoの高さGに対する比(ho/G)は、0.5以上が好ましい。比(ho/G)を0.5以上とすることで、この第一層36は、剛性感に効果的に寄与する。このタイヤ2は旋回時の剛性感に優れる。さらにこの第一層36は、旋回時の反力に寄与する。このタイヤ2は、旋回時の反力に優れる。この観点から、比(ho/G)は、0.7以上がより好ましい。比(ho/G)は、1.6以下が好ましい。比(ho/G)を1.6以下とすることで、サイド部の剛性は適度に抑えられている。この第一層36の接地感への影響は抑えられている。さらにこのとき、この第二層38は、接地感に効果的に寄与する。このタイヤ2では、良好な接地感が実現されている。この観点から、比(ho/G)は1.4以下がより好ましい。
高さhoは、8mm以上が好ましい。高さhoを8mm以上とすることで、この第一層36は、剛性感に効果的に寄与する。このタイヤ2は旋回時の剛性感に優れる。さらにこの第一層36は、旋回時の反力に寄与する。このタイヤ2は、旋回時の反力に優れる。この観点から、高さhoは、10mm以上がより好ましい。高さhoは、22mm以下が好ましい。高さhoを22mm以下とすることで、サイド部の剛性は適度に抑えられている。この第一層36の接地感への影響は抑えられている。さらにこのとき、この第二層38は、接地感に効果的に寄与する。このタイヤ2では、良好な接地感が実現されている。この観点から、高さhoは20mm以下がより好ましい。
高さhiは、20mm以上が好ましい。高さhiを20mm以上とすることで、この第一層36は、剛性感に効果的に寄与する。このタイヤ2は旋回時の剛性感に優れる。さらにこの第一層36は、旋回時の反力に寄与する。このタイヤ2は、旋回時の反力に優れる。この観点から、高さhiは、25mm以上がより好ましい。高さhiは、37mm以下が好ましい。高さhiを37mm以下とすることで、サイド部の剛性は適度に抑えられている。この第一層36の接地感への影響は抑えられている。さらにこのとき、この第二層38は、接地感に効果的に寄与する。このタイヤ2では、良好な接地感が実現されている。この観点から、高さhiは35mm以下がより好ましい。
図2において、両矢印Lは、位置Pcと第一層36の半径方向外側端40との軸方向距離である。距離Lは、10mm以下が好ましい。距離Lを10mm以下とすることで、この第一層36は、剛性感に効果的に寄与する。このタイヤ2は旋回時の剛性感に優れる。さらにこの第一層36は、旋回時の反力に寄与する。このタイヤ2は、旋回時の反力に優れる。この観点から、距離Lは、8mm以下がより好ましい。距離Lは、1mm以上が好ましい。距離Lを1mm以上とすることで、サイド部の剛性は適度に抑えられている。この第一層36の接地感への影響は抑えられている。さらにこのとき、この第二層38は、接地感に効果的に寄与する。このタイヤ2では、良好な接地感が実現されている。この観点から、距離Lは2mm以上がより好ましい。なお、この明細書では、半径方向において第一層36の外側端40が位置Pcの内側に位置するとき、距離Lは正の値で表される。第一層36の外側端40が位置Pcの外側に位置するとき、距離Lは負の値で表される。
エイペックス22の先端44と第一層36の外側端40との距離が近いと、このタイヤ2のサイド部の剛性は、これらの近辺において、急激に変化する。荷重が負荷されたとき、このエイペックス22の先端44及び第一層36の外側端40近辺で、屈曲が起こり易くなる。これは、旋回時のトラクションをかけたときの剛性感を損なう。これは、旋回時の反力を小さくしうる。
図2において、両矢印dは、エイペックス22の先端44と第一層36の半径方向外側端40との距離である。距離dは、2mm以上が好ましい。距離dを2mm以上とすることで、エイペックス22の先端44及び第一層36の外側端40近辺での屈曲が効果的に抑えられる。このタイヤ2は、旋回時の剛性感及び反力に優れる。この観点から、距離dは5mm以上がより好ましい。
カーカスプライの折返し部の端と第一層36の外側端40との距離が近いと、このタイヤ2のサイド部の剛性は、これらの近辺において、急激に変化する。荷重が負荷されたとき、折返し部の端及び第一層36の外側端40近辺で、屈曲が起こり易くなる。これは、旋回時のトラクションをかけたときの剛性感を損なう。これは、旋回時の反力を小さくしうる。
図2において、両矢印eは、折返し部の端と第一層36の外側端40との距離である。折返し部が複数存在する場合、距離eは、第一層36の外側端40と、これに最も近い折返し部の端との距離として定義される。図2のタイヤ2では、距離eは、第二折返し部34の端46と第一層36の外側端40との距離である。距離eは、2mm以上が好ましい。距離eを2mm以上とすることで、折返し部の端及び第一層36の外側端40近辺での屈曲が効果的に抑えられる。このタイヤ2は、旋回時の剛性感及び反力に優れる。この観点から、距離eは5mm以上がより好ましい。
本発明では、タイヤ2及びタイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された構造を備えた、実施例1の二輪自動車用タイヤを得た。タイヤのサイズは、200/55ZR17とされた。表1にこのタイヤの諸元が示されている。このタイヤでは、第一層の外側端は、位置Pcより内側に位置している。第一層の外側端が位置Pcより内側に位置することは、距離Lが正の値であることで表されている。
[比較例1]
比較例1のタイヤでは、サイドウォールは、二つの層を有していない。サイドウォールは、一つの層で構成された。このため表1では、硬さH1とH2とは同じ値である。複素弾性率E1と複素弾性率E2とは同じ値である。このタイヤでは、サイドウォールの厚みSは、実施例1のタイヤのそれよりも大きくされた。これらの他は実施例1のタイヤと同じとされた。このタイヤは、従来のタイヤである。
[比較例2]
比較例2のタイヤでは、サイドウォールの厚みSは実施例1と同じとされた。その他は比較例1と同じとされた。
[実施例2−4]
高さhoを表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−4のタイヤを得た。高さhoが変更されたため、比(hi/ho)及び比(ho/G)も変更となっている。
[実施例5、比較例3]
高さho及びhiを表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例5及び比較例3のタイヤを得た。高さho及びhiが変更されたため、比(hi/ho)、比(ho/G)及び距離dも変更となっている。比較例3では、半径方向において第一層の外側端は位置Pcの外側に位置している。第一層の外側端が位置Pcより外側に位置することは、距離Lが負の値であることで表されている。
[旋回接地感、旋回反力、トラクション剛性感]
試作タイヤを標準リム(サイズ=17×MT6.00)に組み込み、排気量が1000ccである二輪自動車の後輪に装着した。内圧が200kPaとなるように、このタイヤに空気を充填した。前輪には、市販のタイヤ(サイズ:120/70ZR17)を装着し、その内圧が200kPaとなるように空気を充填した。この二輪自動車を、その路面がアスファルトであるサーキットコースで走行させて、ライダーによる官能評価を行った。評価項目は、旋回接地感、旋回反力及びトラクション時の剛性感である。この結果が、比較例1を100とした指数で、下記表1−2に示されている。値が大きいほど好ましい。
Figure 0006874416
Figure 0006874416
表1−2に示されるように、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたタイヤは、様々な二輪自動車にも適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・バンド
14・・・インナーライナー
16・・・チェーファー
18・・・トレッド面
20・・・コア
22・・・エイペックス
24・・・第一プライ
26・・・第二プライ
28・・・第一主部
30・・・第一折返し部
32・・・第二主部
34・・・第二折返し部
36・・・第一層
38・・・第二層
40・・・第一層の外側端
42・・・第一層の内側端
44・・・エイペックスの先端
46・・・第二折返し部の端
48・・・クリンチャーライン

Claims (9)

  1. 一対のサイドウォール、一対のビード及びカーカスを備えており、
    上記カーカスが、両側のビードの間に架け渡されており、上記サイドウォールの内側に沿っており、
    それぞれのサイドウォールが、第一層と、この第一層から半径方向略外向きに延びる第二層とを備えており、
    上記ビードが、コアと、このコアから半径方向外向きに延びるエイペックスとを備えており、上記第一層が上記エイペックスの軸方向外側に位置しており、
    上記カーカスと上記サイドウォールとの境界面の軸方向外側端が位置Pcとされたとき、半径方向において、上記第一層の外側端が位置Pcより内側に位置しており、
    上記第一層の硬さH1が、上記第二層の硬さH2より高い二輪自動車用タイヤ。
  2. 一対のサイドウォール、一対のビード及びカーカスを備えており、
    上記カーカスが、両側のビードの間に架け渡されており、上記サイドウォールの内側に沿っており、
    それぞれのサイドウォールが、上記ビードの軸方向外側に位置する第一層と、この第一層から半径方向略外向きに延びる第二層とを備えており、
    上記カーカスと上記サイドウォールとの境界面の軸方向外側端が位置Pcとされたとき、半径方向において、上記第一層の外側端が位置Pcより内側に位置しており、
    上記第一層の硬さH1が、上記第二層の硬さH2より高く、
    上記ビードが、コアと、このコアから半径方向外向きに延びるエイペックスとを備えており、
    上記第一層の外側端と、このエイペックスの先端との距離dが、2mm以上である二輪自動車用タイヤ。
  3. 上記硬さH2の上記硬さH1に対する比(H2/H1)が、0.70以上0.95以下である請求項1又は2に記載の二輪自動車用タイヤ。
  4. 上記第二層の複素弾性率E2の上記第一層の複素弾性率E1対する比(E2/E1)が、0.35以上0.8以下である請求項1から3のいずれかに記載の二輪自動車用タイヤ。
  5. 上記サイドウォールの軸方向外側面における上記第一層と上記第二層との境界点がPoとされ、このサイドウォールの軸方向内側面における上記第一層と上記第二層との境界点がPiとされたとき、
    半径方向において、ビードベースラインから上記境界点Piまでの高さhiが、このビードベースラインから上記境界点Poまでの高さhoより大きい請求項1からのいずれかに記載の二輪自動車用タイヤ。
  6. 上記高さhiの上記高さhoに対する比(hi/ho)が、1.2以上3.0以下である請求項に記載の二輪自動車用タイヤ。
  7. このタイヤが組み込まれるリムのビードベースラインからフランジの外側端までの半径方向高さがGとされたとき、上記高さhoのこの高さGに対する比(ho/G)が、0.5以上1.6以下である請求項又はに記載の二輪自動車用タイヤ。
  8. このタイヤのサイド部がクリンチャーラインを備え、
    上記クリンチャーラインの半径方向外側の根元を通る上記サイドウォールの内側面の法線がMとされたとき、この法線Mが上記第一層及び上記第二層と交差しており、
    上記法線Mに沿って計測した上記サイドウォールの厚みSが1.5mm以上2.5mm以下である、請求項1から7のいずれかに記載の二輪自動車用タイヤ。
  9. 上記位置Pcと上記第一層の半径方向外側端との軸方向距離Lが、1mm以上10mm以下ある、請求項1から8のいずれかに記載の二輪自動車用タイヤ。
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