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JP6867126B2 - 粘着剤層付き偏光板、画像表示装置、偏光板の貼り合わせ方法、および粘着剤層付き偏光板の製造方法 - Google Patents

粘着剤層付き偏光板、画像表示装置、偏光板の貼り合わせ方法、および粘着剤層付き偏光板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、粘着剤層付き偏光板に関する。
携帯電話、ノート型パーソナルコンピューター等の画像表示装置(例えば、液晶表示装置)には、偏光板が使用されている。近年、自動車のメータ表示部やスマートウォッチなどにも偏光板の使用が望まれており、偏光板の形状を矩形以外にすることや偏光板に貫通穴を形成することが望まれている。しかし、このような形態を採用する場合、耐久性の問題が発生しやすい。耐久性の向上を目的として、例えば、溶融したのちに凝固して形成された外周端面を有する偏光板が提案されているが(特許文献1参照)、さらなる耐久性の向上が求められている。
特開2009−37228号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、偏光板に耐久性を具備させることにある。
本発明者らは、偏光板と偏光板を貼り合わせる粘着剤層との関係に着目し、偏光板の貼り合わせ面において、粘着剤層と接触しない非接触部を形成することにより、外部環境の変化により両者の間で発生し得る応力の集中する部位をシフトさせて、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の粘着剤層付き偏光板は、偏光子と、この偏光子の少なくとも片側に配置された保護フィルムとを有する偏光板と、偏光板の少なくとも片面に形成される粘着剤層とを有し、偏光板の粘着剤層が形成される面において、粘着剤層と接触しない非接触部が偏光板端部に形成されている。
1つの実施形態においては、上記非接触部は、上記偏光板の端辺から面方向内方に10μm以上の位置に形成されている。
1つの実施形態においては、上記非接触部は、上記偏光子の吸収軸方向端部に形成されている。
1つの実施形態においては、上記偏光板に貫通穴が形成され、この貫通穴の周縁部に上記非接触部が形成されている。
1つの実施形態においては、上記非接触部は、上記偏光板の外縁部に形成されている。
1つの実施形態においては、上記外縁は、面方向内方に凸の略V字形状をなす部位を含む。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記粘着剤層付き偏光板を有する。
本発明のさらに別の局面によれば、偏光板の貼り合わせ方法が提供される。この偏光板の貼り合わせ方法は、偏光子と、この偏光子の少なくとも片側に配置された保護フィルムとを有する偏光板の少なくとも片面に、粘着剤層を形成することと、粘着剤層を介して被接着体に偏光板を貼り合わせることを含み、偏光板の粘着剤層が形成される面において、粘着剤層と接触しない非接触部を偏光板端部に形成する。
本発明のさらに別の局面によれば、粘着剤層付き偏光板の製造方法が提供される。この粘着剤層付き偏光板の製造方法は、偏光子と、この偏光子の少なくとも片側に配置された保護フィルムとを有する偏光板に、樹脂フィルムとこの樹脂フィルムの一方の面に設けられた粘着剤層とを有し、この樹脂フィルムおよび粘着剤層を一体に貫通する貫通孔が形成された粘着フィルムを貼り合わせること、および、上記偏光板の粘着フィルムの貫通孔に対応する位置に、この貫通孔よりも小さい貫通穴を形成することをこの順で含む。
本発明によれば、偏光板に耐久性を具備させることができる。
本発明の1つの実施形態による粘着剤層付き偏光板を上から見た図である。 図1に示す粘着剤層付き偏光板のA−A断面図である。 偏光板と粘着フィルムとの貼り合わせの具体例を示す概略図である。 (a)はヒートサイクル試験後の実施例1の偏光板の貫通穴周辺を示す写真であり、(b)はヒートサイクル試験後の比較例1の偏光板の貫通穴周辺を示す写真である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.粘着剤層付き偏光板
図1は本発明の1つの実施形態による粘着剤層付き偏光板を上から見た図であり、図2は図1に示す粘着剤層付き偏光板のA−A断面図である。
粘着剤層付き偏光板100は、偏光板10と偏光板10の片面(図示例では、下面)10aに形成された粘着剤層20とを有する。偏光板10は、粘着剤層20を介して他の部材(例えば、位相差フィルム、輝度向上フィルム、液晶セル等の光学部材)に貼り合わせられる。図示しないが、代表的には、実用に供するまで、粘着剤層20の表面にはセパレーターが貼り合わされている。
粘着剤層付き偏光板100は、自動車のメータパネルに好適に用いられる。偏光板10は、第1の表示部50と第2の表示部60とが連設されて構成され、各表示部の中心付近には、各種メータ針を固定するための貫通穴51,61がそれぞれ形成されている。貫通穴の直径は、例えば0.5mm〜100mmである。表示部50,60の外縁は、メータ針の回転方向に沿った円弧状に形成されている。
偏光板10は、偏光子11と、偏光子11の片側に配置された第1の保護フィルム12と、偏光子11のもう片側に配置された第2の保護フィルム13とを有する。図示しないが、保護フィルム12,13は、代表的には、偏光子11の表面に、接着剤層を介して貼り合わされている。本図示例では、偏光子の両側に保護フィルムが配置されているが、片側にのみ保護フィルムが配置されていてもよい。なお、偏光子の片側にのみ保護フィルムが配置される場合、上記粘着剤層は、偏光子面に形成されてもよいし、保護フィルム面に形成されてもよい。
偏光板10の下面10aにおいて、粘着剤層20が接触しない非接触部10b,10bが形成されている。図示例では、非接触部は、偏光板10の外縁部101と偏光板10の貫通穴51,61の周縁部51a,61aに形成されている。偏光板の粘着剤層が形成される面において、偏光板に粘着剤層が接触しない非接触部を端部に形成することにより、偏光板にクラックが発生するのを効果的に抑制することができる。具体的には、偏光板は粘着剤層を介して他の部材に貼り合わされるが、外部環境の変化により偏光板が収縮すると粘着剤層との間で応力が発生し得る。偏光板端部に粘着剤層との非接触部を形成することで、応力が集中する部位を、クラックの起点となりやすい偏光板端部から内方へシフトさせることができる。その結果、偏光板にクラックが発生するのを抑制して、偏光板は優れた耐久性を具備し得る。したがって、後述する貫通穴の周縁やV字形状をなす部位のような応力が集中しやすい部位に、非接触部を形成することにより、クラックの発生を効果的に抑制することができる。
図示例のように偏光板に貫通穴を形成する場合、貫通穴の位置は、例えば、偏光板の用途に応じて適宜設定され得る。上記クラックは、貫通穴の周縁を起点に発生しやすく、貫通穴の位置が偏光板の外縁から離れているほどその傾向が顕著となり得る。その結果、貫通穴の位置が偏光板の外縁から離れているほど(例えば、偏光板の外縁から15mm以上)、上記非接触部の形成による効果が顕著に得られ得る。
外縁部101において、非接触部は、少なくとも各表示部の境界部41,42に形成されていることが好ましい。具体的には、非接触部は、外縁が面方向内方に凸のV字形状(アール状を含む)をなす部位において形成されていることが好ましい。外縁が面方向内方に凸のV字形状をなす部位は、上記貫通穴の周縁と同様、クラックの起点となりやすいからである。
非接触部は、好ましくは、偏光子の吸収軸方向端部に形成される。上記クラックは、偏光子の吸収軸方向に沿って発生する傾向にあり、吸収軸方向端部に非接触部が形成されることにより、クラックの発生を効果的に抑制することができる。
非接触部は、偏光板の端辺から面方向内方に10μm以上の位置に形成されていることが好ましく、さらに好ましくは100μm以上、特に好ましくは300μm以上の位置に形成される。例えば、貼りずれがあっても、非接触部を確保できるからである。一方、非接触部は、他の部材への貼り合わせを確実に行う観点、偏光板の有効領域を確保する観点等から、偏光板の端辺から面方向内方に2000μm以下の位置に形成されていることが好ましく、さらに好ましくは1000μm以下の位置に形成される。なお、非接触部は、偏光板の端辺から上記位置にかけて連続的に形成されていることが好ましい。
本発明の粘着剤層付き偏光板は、上記図示例の構成に限らず適宜変更可能である。例えば、偏光板の形状、貫通穴の有無、貫通穴の形状やサイズ、貫通穴の数や形成位置、非接触部の形状は、適宜に変更可能である。また、図示例では、偏光板の片面にのみ粘着剤層が形成されているが、偏光板のもう片側にも粘着剤層が形成されていてもよい。この場合、もう片面にも上記非接触部が形成され得る。より具体的には、偏光板の両面に粘着剤層が形成される場合には、上面のみに上記非接触部が形成されてもよく、下面のみに上記非接触部が形成されてもよく、両面に上記非接触部が形成されてもよい。また例えば、偏光板が偏光子の片面のみに保護フィルムを有するいわゆる片保護偏光板の場合には、保護フィルム側に設ける粘着剤層にのみ非接触部を形成し、偏光子側に設ける粘着剤層には非接触部を設けない構成が好ましい。この構成により偏光板に生じるクラックを抑制するとともに、偏光子の劣化を抑制することができる。
A−1.偏光子
上記偏光子は、代表的には、二色性物質を含む樹脂フィルムから構成される。二色性物質としては、例えば、ヨウ素、有機染料等が挙げられる。これらは、単独で、または、二種以上組み合わせて用いられ得る。好ましくは、ヨウ素が用いられる。
上記樹脂フィルムを形成する樹脂としては、任意の適切な樹脂が用いられ得る。好ましくは、親水性樹脂(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂)が用いられる。PVA系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。PVA系樹脂のケン化度は、通常85モル%〜100モル%であり、好ましくは95.0モル%以上、さらに好ましくは99.0モル%以上、特に好ましくは99.93モル%以上である。ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光子が得られ得る。
PVA系樹脂の平均重合度は、目的に応じて適切に選択され得る。平均重合度は、通常1000〜10000であり、好ましくは1200〜6000、さらに好ましくは2000〜5000である。なお、平均重合度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
偏光子は、好ましくは、波長380nm〜780nmの範囲で吸収二色性を示す。偏光子の単体透過率(Ts)は、好ましくは40%以上、より好ましくは41%以上、さらに好ましくは42%以上、特に好ましくは43%以上である。なお、単体透過率の理論上の上限は50%であり、実用的な上限は46%である。また、単体透過率(Ts)は、JIS Z8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値であり、例えば、分光光度計(日本分光製、V7100)を用いて測定することができる。偏光子の偏光度は、好ましくは99.8%以上、より好ましくは99.9%以上、さらに好ましくは99.95%以上である。
偏光子の厚みは、任意の適切な値に設定され得る。厚みは、代表的には1μm〜80μmであり、好ましくは3μm〜40μmである。
偏光子は、代表的には、上記樹脂フィルムに、膨潤処理、延伸処理、上記二色性物質による染色処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等の処理を施すことにより得ることができる。各処理の回数、順序、タイミング等は、適宜設定され得る。各処理を施す際、樹脂フィルムは、基材上に形成された樹脂層であってもよい。
上記架橋処理は、例えば、樹脂フィルムにホウ酸溶液(例えば、ホウ酸水溶液)を接触させることにより行われる。また、延伸処理において湿式延伸方式を採用する場合、樹脂フィルムにホウ酸溶液を接触させながら延伸することが好ましい。優れた偏光特性を得る観点から、通常、3倍〜7倍に樹脂フィルムは一軸延伸される。延伸処理における延伸方向は、得られる偏光子の吸収軸方向に相当し得る。1つの実施形態においては、長尺状の樹脂フィルムをその長手方向に搬送しながらこの搬送方向(MD)に延伸する。この場合、得られる偏光子の吸収軸方向は長手方向(MD)となり得る。
A−2.保護フィルム
上記保護フィルムの形成材料としては、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂をいう。
保護フィルムの厚みは、好ましくは10μm〜200μmである。保護フィルムの片側(偏光子が配置されない側)には、表面処理層が形成されていてもよい。具体的には、ハードコート処理や反射防止処理、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理が施されていてもよい。また、保護フィルムは位相差フィルムとして機能してもよい。なお、図示例のように、偏光子の両側にそれぞれ保護フィルムが配置される場合、両者の構成(形成材料、厚み等)は、同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
保護フィルムは、代表的には、偏光子表面に、接着剤層を介して貼り合わされている。保護フィルムの貼り合わせに用いられる接着剤としては、任意の適切な接着剤が用いられる。例えば、水系接着剤、溶剤系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤等が用いられる。水系接着剤としては、PVA系樹脂を含む接着剤が好ましく用いられる。
A−3.粘着剤層
上記粘着剤層は、任意の適切な粘着剤で形成され得る。粘着剤の具体例としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
上記アクリル系粘着剤は、代表的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのモノマーユニットを主骨格とするアクリル系ポリマーをベースポリマーとする。ここで、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルをいう。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。当該アルキル基の炭素数は、例えば1〜20である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソミリスチル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。これらは、単独で、または、二種以上組み合わせて用いられ得る。これらアルキル基の平均炭素数は、3〜9であることが好ましい。
例えば、接着性、耐熱性等を改善する観点から、上記アクリル系ポリマーには、共重合モノマーが共重合により導入され得る。共重合モノマーの具体例としては、 (メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の燐酸基含有モノマー等が挙げられる。
上記共重合モノマーの別の具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド、N−アクリロイルモルホリン等のスクシンイミド系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー等が挙げられる。
上記共重合モノマーのさらに別の具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
上記共重合モノマーの中でも、接着性、耐久性の観点から、ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。ヒドロキシル基含有モノマーにおけるヒドロキシアルキルのアルキル基の炭素数は、好ましくは4以上である。例えば、後述のイソシアネート系化合物との反応性に優れ得るからである。このようなヒドロキシル基含有モノマーを用いる場合、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、そのアルキル基の炭素数が、上記ヒドロキシアルキルのアルキル基の炭素数と同数以下のものが好ましく用いられる。
上記アクリル系ポリマーにおいて、上記共重合モノマーの割合は、例えば0重量%〜20重量%である。共重合モノマーとして、ヒドロキシル基含有モノマーを用いる場合、好ましくは0.01重量%〜10重量%、より好ましくは0.01重量%〜5重量%、さらに好ましくは0.03重量%〜3重量%、特に好ましくは0.05重量%〜1重量%である。カルボキシル基含有モノマーを用いる場合、好ましくは0.1重量%〜10重量%、さらに好ましくは0.2重量%〜8重量%、特に好ましくは0.6重量%〜6重量%である。
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、例えば30万〜250万である。アクリル系ポリマーは、任意の適切な方法により製造され得る。例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等のラジカル重合法が採用される。好ましくは、溶液重合法が採用される。ラジカル重合法では、代表的には、アゾ系、過酸化物系の重合開始剤が用いられる。反応温度は、例えば50℃〜80℃である。反応時間は、例えば1時間〜8時間である。溶液重合法で用いられる溶媒としては、例えば、酢酸エチル、トルエンが挙げられる。溶液濃度は、例えば20重量%〜80重量%とされる。
好ましくは、上記粘着剤は架橋剤を含む。架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤が用いられる。これらの中でも、イソシアネート系架橋剤が好ましい。架橋剤(固形分)の配合量は、ベースポリマー(固形分)100重量部に対して、例えば0.001重量部〜20重量部である。イソシアネート系架橋剤を用いる場合、その配合量は、ベースポリマー(固形分)100重量部に対して、好ましくは0.001重量部〜2重量部、さらには0.01重量部〜1.5重量部である。また、上記粘着剤は、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、顔料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等の他の成分を含み得る。
粘着剤層の厚みは、好ましくは2μm〜150μm、さらに好ましくは2μm〜100μm、特に好ましくは5μm〜50μmである。
B.製造方法
上記偏光板は、所望の形状に成形され得る。具体的には、所望の形状への成形方法としては、代表的には、偏光板を切断(打ち抜き)する方法が挙げられる。切断は、偏光板に粘着剤層を形成する前に行ってもよいし、偏光板に粘着剤層を形成した後に行ってもよい。切断(打ち抜き)方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、レーザー光を照射する方法、トムソン刃、ピクナル刃等の切断刃(打ち抜き型)を用いる方法が挙げられる。レーザー光照射によれば、滑らかな切断面が得られ、クラックの起点(初期クラック)の発生を抑制することができ、耐久性の向上に寄与し得る。
上記レーザーとしては、偏光板を切断し得る限り、任意の適切なレーザーが採用され得る。好ましくは、150nm〜11μmの範囲内の波長の光を放射し得るレーザーが用いられる。具体例としては、COレーザー等の気体レーザー;YAGレーザー等の固体レーザー;半導体レーザーが挙げられる。好ましくは、COレーザーが用いられる。
レーザー光の照射条件は、例えば、用いるレーザーに応じて、任意の適切な条件に設定され得る。出力条件は、COレーザーを用いる場合、好ましくは10W〜1000W、さらに好ましくは100W〜400Wである。
粘着剤層の形成方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には、偏光板に上記粘着剤を所望の形状が得られるように塗布する方法、別途、基材(例えば、セパレーター)に所望の形状を有する粘着剤層を形成し、これを偏光板に貼り合わせる方法等が採用される。貼り合わせの際、偏光板にテンションをかけずに貼り合わせることが好ましい。
1つの実施形態においては、貫通穴を有する粘着剤層付き偏光板は、偏光板に貫通孔を有する粘着フィルムを貼り合わせること、および、偏光板の粘着フィルムの貫通孔に対応する位置に、この貫通孔よりも小さい貫通穴を形成することをこの順で含む方法により製造される。このような方法によれば、上記非接触部を高精度で効率的に形成することができる。
上記貫通孔を有する粘着フィルムは、代表的には、樹脂フィルムとこの樹脂フィルムの一方の面に設けられた粘着剤層とを有する積層体を準備し、この積層体に貫通孔を形成することにより作製される。
上記樹脂フィルムとしては、搬送および/または貼り合わせ時の貫通孔の変形を防止する観点から、例えば、弾性率が高いフィルムが好ましい。樹脂フィルムの形成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。好ましくは、エステル系樹脂(特に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂)である。このような材料であれば、弾性率が十分に高く、搬送および/または貼り合わせ時に張力をかけても貫通孔の変形が生じにくいという利点がある。
樹脂フィルムの弾性率は、好ましくは2.2kN/mm〜4.8kN/mmである。樹脂フィルムの弾性率がこのような範囲であれば、搬送および/または貼り合わせ時に張力をかけても貫通孔の変形が生じにくいという利点を有する。なお、弾性率は、JIS K 6781に準拠して測定される。
樹脂フィルムの引張伸度は、好ましくは90%〜170%である。樹脂フィルムの引張伸度がこのような範囲であれば、例えば、搬送中に破断しにくいという利点を有する。なお、引張伸度は、JIS K 6781に準拠して測定される。
樹脂フィルムの厚みは、代表的には20μm〜250μmであり、好ましくは30μm〜150μmである。樹脂フィルムは、例えば、得られる粘着剤層付き偏光板のセパレーターとして機能し得る。この場合、樹脂フィルムの粘着剤層が設けられる面は、予め、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤によりコートされていてもよい。
粘着剤層は、任意の適切な方法で樹脂フィルムに設けられる。例えば、樹脂フィルム上に上記粘着剤を塗布し乾燥する方法が挙げられる。塗布方法としては、例えば、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法が挙げられる。
次に、樹脂フィルム/粘着剤層の積層体に貫通孔を形成する。貫通孔は、樹脂フィルムおよび粘着剤層を一体に貫通する。貫通孔は、例えば、積層体の切断または積層体の所定部分の除去(例えば、レーザーアブレーションまたは化学的溶解)により形成され得る。切断方法としては、例えば、トムソン刃、ピクナル刃等の切断刃(打抜き型)、ウォータージェット等を用いて機械的に切断する方法、レーザー光を照射して切断する方法が挙げられる。
上記貫通孔を有する粘着フィルムを偏光板に貼り合わせた後、偏光板の粘着フィルムの貫通孔に対応する位置に貫通穴を形成する。貫通穴は、所望の非接触部が形成されるように形成される。なお、貫通穴の形成方法(偏光板の打ち抜き方法)は、上述のとおりである。
図3は、偏光板と粘着フィルムとの貼り合わせの具体例を示す概略図である。図示例では、長尺状の偏光板200の片面に、長尺状で貫通孔を有する粘着フィルム300をロールトゥロールにより貼り合わせている。ここで、「ロールトゥロール」とは、ロール状に巻き取られたフィルムを搬送しながら互いの長手方向を揃えて積層することをいう。
図示例では、粘着フィルムロール301から巻き出した粘着フィルム300を長手方向に搬送しながら貫通孔3,3,3…を形成し、その後に、粘着フィルム300を偏光板200に貼り合わせている。貫通孔の配置パターンは、所望の偏光板に応じて適宜設定される。例えば、貫通孔は、図示するように、粘着フィルムの長手方向および/または幅方向に所定の間隔で配置される。
偏光板200に粘着フィルム300を貼り合わせた後、偏光板200の粘着フィルム300の貫通孔3に対応する位置に貫通穴2を打ち抜きにより形成している。図示例では、粘着フィルム300の円形の貫通孔3よりも一回り小さい円形の貫通穴2を、互いの中心が重なるように形成している。代表的には、偏光板200に貫通穴2を形成した後、偏光板200と粘着フィルム300との積層フィルムは所望の形状に切断される(例えば、図中の二点鎖線で示すように)。
C.画像表示装置
本発明の画像表示装置は、上記粘着剤層付き偏光板を有する。画像表示装置が液晶表示装置である場合、例えば、液晶セルに上記粘着剤層付き偏光板が貼り合わせられる。
D.偏光板の貼り合わせ方法
本発明の偏光板の貼り合わせ方法は、上記粘着剤層付き偏光板を被着体(例えば、位相差フィルム、輝度向上フィルム、液晶セル等の光学部材)に貼り合わせることを含む。具体的には、上記偏光板の少なくとも片面に粘着剤層を形成することと、この粘着剤層を介して被着体に上記偏光板を貼り合わせることを含み、上記偏光板の粘着剤層が形成される面において、粘着剤層と接触しない非接触部を上記偏光板端部に形成する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
(偏光板の作製)
偏光子として、長尺状のPVA系樹脂フィルムにヨウ素を含有させ、長手方向(MD)に一軸延伸して得られたフィルム(厚み28μm)を用いた。
上記偏光子の片側にPVA系接着剤を乾燥後の厚みが100nmとなるように塗布し、長尺状で厚み40μmのTACフィルムを互いの長手方向を揃えるように貼り合わせた。
続いて、上記偏光子のもう片側にPVA系接着剤を乾燥後の厚みが100nmとなるように塗布し、長尺状で厚み30μmのアクリルフィルムを互いの長手方向を揃えるように貼り合わせた。
こうして、TACフィルム/偏光子/アクリルフィルムの構成を有する偏光板シートを得た。
得られた偏光板シートを、COレーザー(波長:9.35μm、出力:150W)を用いて切断し、中央に直径2mmの貫通穴が形成された112mm×42mmのサイズの偏光板を得た。なお、得られる偏光板の長辺が偏光子の透過軸方向(短辺が偏光子の吸収軸方向)に対応するように切断した。
中央に直径4mmの貫通穴が形成された108mm×38mmのサイズのセパレーターを用意し、この上に厚み20μmのアクリル系粘着剤層を形成した。これを上記偏光板に貼り合わせて、粘着剤層付き偏光板を得た。なお、貼り合わせに際し、両者の中心が重なるように、かつ、両者の長辺方向を揃えるように貼り合わせた。
[実施例2]
中央に直径4mmの貫通穴が形成された108mm×38mmのサイズのセパレーターを用意し、この上に厚み150μmのアクリル系粘着剤層を形成した。これを実施例1で作成した粘着層付き偏光板の粘着剤が設けられていない面に貼り合わせて、両面に粘着剤層を有し、両面に非接触部が形成されている粘着剤層付き偏光板を得た。なお、貼り合わせに際し、両者の中心が重なるように、かつ、両者の長辺方向を揃えるように貼り合わせた。
[実施例3]
実施例1と同様にして、中央に直径2mmの貫通穴が形成された112mm×42mmのサイズの偏光板を得た。次いで、中央に直径2mmの貫通穴が形成された112mm×42mmのサイズのセパレーターを用意し、この上に厚み20μmのアクリル系粘着剤層を形成した。これを上記偏光板の一方の面に貼り合わせた。さらに、中央に直径4mmの貫通穴が形成された108mm×38mmのサイズのセパレーターを用意し、この上に厚み150μmのアクリル系粘着剤層を形成し、これを上記偏光板のもう一方の面に貼り合わせた。このようにして、両面に粘着剤層を有し、片面のみに非接触部が形成されている粘着剤層付き偏光板を得た。
[比較例1]
中央に直径2mmの貫通穴が形成された112mm×42mmのサイズのセパレーターを用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤層付き偏光板を得た。
得られた粘着剤層付き偏光板の耐久性をヒートサイクル(HS)試験に供した。具体的には、実施例1および比較例1については、ガラス板に、セパレーターを剥離した粘着剤層付き偏光板を貼り合わせ、試験用サンプルを得た。実施例2および3については、両面のセパレーターを剥離し、それぞれの剥離面にガラス板を貼り合わせて試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルをそれぞれ、−40℃の雰囲気下に30分放置した後、85℃の雰囲気下に30分放置した。この操作を1サイクルとして、100サイクル繰り返した後、偏光板にクラックが発生しているか否かを確認した。
図4は、HS試験後の実施例1および比較例1の偏光板の貫通穴周辺の光学顕微鏡(OLYMPUS製、MX61、倍率:5倍)による観察写真である。比較例1では目視ではっきりと視認できる程度のクラックが確認されるのに対し、実施例1ではクラック(小クラックも含めて)の発生は認められない。
本発明の粘着剤層付き偏光板は、矩形状の画像表示装置(液晶表示装置、有機ELデバイス)に加え、例えば、自動車のメータ表示部やスマートウォッチに代表される異形の画像表示部にも好適に用いられ得る。
10 偏光板
10b 非接触部
11 偏光子
12,13 保護フィルム
20 粘着剤層
100 粘着剤層付き偏光板

Claims (5)

  1. 偏光子と、該偏光子の少なくとも片側に配置された保護フィルムとを有する偏光板と、
    前記偏光板の少なくとも片面に形成される粘着剤層とを有し、
    前記偏光板の前記粘着剤層が形成される面において、前記粘着剤層と接触しない非接触部が前記偏光板端部に形成されており、
    前記非接触部が、前記偏光子の吸収軸方向端部に形成され、かつ、前記偏光板に形成された貫通穴の周縁部、および/または、面方向内方に凸の略V字形状をなす部位を含む前記偏光板の外縁部に形成されている、
    粘着剤層付き偏光板。
  2. 前記非接触部が、前記偏光板の端辺から面方向内方に10μm以上の位置に形成されている、請求項1に記載の粘着剤層付き偏光板。
  3. 請求項1または2に記載の粘着剤層付き偏光板を有する、画像表示装置。
  4. 偏光子と、該偏光子の少なくとも片側に配置された保護フィルムとを有する偏光板の少なくとも片面に、粘着剤層を形成することと、
    前記粘着剤層を介して被接着体に前記偏光板を貼り合わせることを含み、
    前記偏光板の前記粘着剤層が形成される面において、前記粘着剤層と接触しない非接触部を前記偏光板端部に形成し、さらに、
    前記非接触部を、前記偏光子の吸収軸方向端部に形成し、かつ、前記偏光板に形成された貫通穴の周縁部、および/または、面方向内方に凸の略V字形状をなす部位を含む前記偏光板の外縁部に形成する、
    偏光板の貼り合わせ方法。
  5. 偏光子と、該偏光子の少なくとも片側に配置された保護フィルムとを有する偏光板に、樹脂フィルムと該樹脂フィルムの一方の面に設けられた粘着剤層とを有し、該樹脂フィルムおよび該粘着剤層を一体に貫通する貫通孔が形成された粘着フィルムを貼り合わせること、および、
    前記偏光板の粘着フィルムの貫通孔に対応する位置に、該貫通孔よりも小さい貫通穴を形成すること
    をこの順で含む、粘着剤層付き偏光板の製造方法。
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