[構成]
図1は、この実施形態に係る非接触電力伝送システム10の側面視的模式図、図2は、図1に示した非接触電力伝送システム10の斜視的模式図である。
図1及び図2に示すように、非接触電力伝送システム10は、基本的には、充電ステーション30と、バッテリである蓄電器(BAT)50を備える車両20と、から構成される。
車両20の蓄電器50は、充電ステーション30から非接触(ワイヤレス)で充電される。
充電ステーション30は、地面23に設けられた送電部としての送電パッド(1次パッド)21と、該送電パッド21の中の送電コイル11に、ケーブル62を介して低周波、例えば、50Hz乃至60Hz等の商用周波数より高い周波数であって、数百[kHz]程度以下の基準周波数frの交流電源を供給する電源ユニット31を有する。
この実施形態では、図1に模式的に示すように、送電パッド21は、駐車場等の地面23に設けられている。
車両20は、EV車両(電気自動車)、PHV車両(プラグインハイブリッド自動車)又はPFCV(プラグイン燃料電池自動車)であり、該車両20の底部に設けられた、2次コイルとしての受電コイル12を備える受電部としての受電パッド(2次パッド)22を有する。
図3Aは、車両20の車体中心線25に対して対象配置されている受電パッド22が、充電ステーション30の送電パッド21に位置合わせされた状態を示す模式的平面視図である。図3Aにおいて、矢印の方向は、それぞれ、車両20の前方向、後ろ方向、左方向及び右方向を示している。
図1及び図2は、送電パッド21に対して受電パッド22が位置合わせされた状態を示している。なお、図1において、矢印の方向は、それぞれ、車両20の前方向、後ろ方向、下方向及び上方向を示している。
位置合わせされた状態で、送電コイル11の主面(概ね送電パッド21の上面)と受電コイル12の主面(概ね受電パッド22の下面)は、平行状態で対面している。
図2及び図3Aにおいて、正方形の受電パッド22の中に、太い破線で示すように、車両20側の受電コイル12の形状は、円形である。その一方、充電ステーション30側の送電コイル11の形状は、長方形の送電パッド21の中に、太い破線で示すように、概ね、横長楕円形である。
なお、送電コイル11及び受電コイル12の形状は、方形(正方形又は長方形)のコイル又は円形のコイルであってもよい。
図1に示すように、充電ステーション30の電源ユニット31は、電源ECU(Electronic Control Unit)61と、送受信アンテナを備える通信装置81とを有し、図示しない商用の50Hz乃至60HzのAC電源に接続される。
電源ユニット31は、前記AC電源から、例えば、数十kHz程度の低周波の送信電力P1を生成し、ケーブル62を介して送電パッド21の送電コイル11に給電する。なお、送信電力P1は、電源ECU61により位置合わせ用の微弱電流による微弱電力Plpe(lpe:low power excitation)と本充電用の通常電流による本電力Pnに切り替えられる。送電パッド21から微弱電力Plpeに対応する微弱電力(この微弱電力もPlpeという。)又は本電力Pnに対応する本電力(この本電力もPnという。)が送電される。
図2において、送電パッド21(送電コイル11)上に描いたxyz軸が、車両20の受電パッド22(受電コイル12)上に描いたXYZ軸に平面視で各軸が一致するように車両20を走行させることで位置合わせ処理が実行される。なお、送電パッド21(送電コイル11)のxyz軸(xyz座標)の原点位置(座標原点)oは、送電コイル11の中心に採り、受電パッド22(受電コイル12)のXYZ軸(XYZ座標)の原点位置(座標原点)Oは、受電コイル12の中心に採る。
よって、位置合わせ処理は、平面視的に見て、充電ステーション30の送電パッド21の送電コイル11の中心(座標原点o)に対し、車両20の受電パッド22の受電コイル12の中心(座標原点O)を一致させる処理になる。
相互の中心が一致(z軸とZ軸が一致)したとき、送電パッド11(送電コイル11)のXY軸が、受電パッド22(受電コイル12)のxy軸に対して回転していても電力伝送効率(受電効率=Prn/Pn=受電パッド22の受電電力/送電パッド11の送電電力)は、変化しない。
図1に示すように、車両20の受電パッド22は、配線42、整流器44、コンタクタ46付き配線48、及び電圧センサ52を通じて蓄電器50に接続されている。
整流器44、コンタクタ46、及び蓄電器50は、ECU(Electronic Control Unit)60により制御される。
さらに、ECU60は、車両20の全体を制御するために、車内通信線66に接続されている。
この車内通信線66には、車両20の後方を見るためのリアカメラ(撮像装置)71、ドライバ等の乗員により操作される入力装置(タッチセンサ)を兼ねる表示器(表示装置)72の他、スピーカ・ブザー73、車速センサ74、アクセルペダルセンサ76、操舵角センサ78及びシフト位置センサ(シフトポジションセンサ)79等が接続され、各センサ74、76、78、79で検知された車両情報{車速Vv、アクセルペダル開度(アクセル開度)θa、操舵角(前輪の方向角に対応する)θs、シフト位置Sp(駐車位置P、後退位置R、中立位置N、前進位置D)}がECU60で利用に供される。
表示器72は、例えば、ダッシュボード上に設置されたナビゲーション装置等の表示器が利用され、この表示器72上に、ECU60は、ドライバの位置合わせ走行の支援情報として、位置合わせ途上の情報等を表示する。
ECU60は、さらに、該ECU60に接続された、送受信アンテナを有する通信装置82を通じ、電源ユニット31の通信装置81を介して該電源ECU61とペアリング等の交信を行う。
この実施形態においては、ドライバが表示器72上の位置合わせ支援情報(位置合わせ途上状況)を見ながら車両20を走行・操舵させることで充電ステーション30の送電パッド21に対する受電パッド22の位置合わせ処理を行うが、位置合わせ処理は、所謂自動駐車で行ってもよい。
図4は、車両20の機能ブロック図である。
車両20は、駆動輪84がトランスミッション86を介してモータ80により機械的に回転駆動される。モータ80は、駆動装置であるインバータ88を通じて電気的に回転駆動される。
インバータ88の電源入力端には、蓄電器50から直流電力が供給され、インバータ88の制御入力端には、前記蓄電器50の直流電力を、アクセルペダルセンサ76から出力されるアクセルペダル開度θa等に応じた、3相電力(3相交流電力)に変換するためのスイッチング素子のオンオフ制御信号が供給される。
3相交流電力により車両駆動用のモータ80が力行駆動され、モータ80のトルクは、トランスミッション86を介して車両20の駆動輪84に伝達される。車両20は、モータ80を含む駆動機構の他に、図示しないステアリングホイール及び電動パワーステアリング装置等を含む操舵機構、並びに電動ブレーキ及びディスクブレーキ等の制動機構を含む。
充電ステーション30の制御部である電源ECU61、並びに車両20の制御部であるECU60は、それぞれマイクロコンピュータを含む計算機であり、CPU(中央処理装置)、メモリであるROM(EEPROMも含む。)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、その他、A/D変換器、D/A変換器等の入出力装置、計時部としてのタイマ等を有しており、CPUがROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで各種機能実現部(機能実現手段)、たとえば制御部、演算部、及び処理部等として機能する。これらの機能は、ハードウエアにより実現することもできる。ECU60は、1個ではなく、車両ECU、充電ECU、及び蓄電器ECU等、複数個に分割してもよい。
この実施形態において、ECU60は、電圧センサ52で検知した微弱電圧値(受信電圧)vlpeを取り込む電圧値検知部102と、微弱電圧vlpeの有意性判定部104と、位置微分部106p及び時間微分部106tを含む微分部106と、微弱電力の検知範囲内外判定部108と、移動量検知部(移動変位量検知部)110と、移動方向検知部111と、初期位置・パラメータ設定部112と、操作量算出・設定・通知部114と、微弱電圧積分値算出部115と、送電コイル11に対する受電コイル12の位置(相対位置)を算出する相対位置算出部116と、受電コイル12が送電コイル11のx軸上の正側(図2参照)にいるのか負側にいるのかを判定する正負判定部118と、位置合わせ用の支援画像等を生成する画像生成部119と、を備える。
さらにECU60は、自身の記憶部200の中、微弱電圧値特性記憶部(電圧値特性記憶部)200vに、微弱電圧値vlpeの電圧値特性(微弱電圧値特性ともいう。)202を記憶し、微弱電圧積分値特性記憶部(電圧積分値特性記憶部)200iに前記微弱電圧値特性202の位置積分値である微弱電圧積分値vilpeの特性(微弱電圧積分値特性という。)204を記憶している。
なお、微弱電圧積分値特性204から得られる微弱電圧積分値vilpeは、予め記憶しないで、位置合わせ駐車を実行する際に、その都度、z軸高さzhに対応する微弱電圧値特性202から生成してもよい。
ここで、微弱電圧値特性202及び微弱電圧積分値特性204は、位置xy及びz軸高さzhをパラメータとする微弱電圧値vlpe及び微弱電圧積分値vilpeの3次元マップである。
また、記憶部200の誘起電圧特性記憶部200eには、送電コイル11からの距離(半径距離)と、車速Vvと、受電コイル12の誘起電圧の対応関係を示すマップである車速誘起電圧特性206が記憶されている。
[動作]
次に、上述の実施形態の[全体動作]、及び[第1〜第6実施例]の各動作について、説明する。
[全体動作]
駐車場の充電ステーション30にて、蓄電器50に充電しようとする車両20のドライバは、位置合わせ時、前記ペアリングの前に、まず、充電ステーション30の送電パッド21のx軸上に自車両20の車体中心線25が一致するように、例えば、駐車場の側壁に沿って、あるいは駐車枠の側線に沿って、及び又は表示器72上でリアカメラ71の映像を見ながら後ろ向きに車両20を走行(後退走行)させる。
なお、送電パッド21上のx軸及びy軸に白線を描いておいてもよい。
ドライバが、送電パッド21の近くまで、例えば、送電パッド21が車両20の底面にかかり、リアカメラ71の映像で送電パッド21を確認できなくなる位置まで車両20を走行させたとき、車両20を一旦停車させる。
この停車位置で、ドライバは、タッチパネル式の表示器72上で、非接触充電の「位置合わせ処理」の開始ボタンを押下する。
「位置合わせ処理」の開始ボタンの押下を検知したECU60は、通信装置82を通じ電源ECU61の通信装置81を介して、電源ECU61とWiFi等の無線LANにて微弱電力の送電要求のためのペアリングを行う。
ペアリングにより相互の認証が成立すると、充電ステーション30の電源ECU61は、送電パッド21の送電コイル11に、一定交流の微弱電流を流し、この微弱電流により送電パッド21(送電コイル11)から微弱電力をワイヤレス送電する。
一方、認証が成立すると、車両20のECU60によりコンタクタ46が閉状態にされ、電圧値検知部102は、電圧センサ52を通じて微弱電圧値vlpeの取り込み検知を開始するが、認証成立時点では、微弱電圧値vlpeの検知範囲外になっており、微弱電圧値vlpeは、ゼロ値で、検知されない。なお、電圧センサ52には、ノイズ除去フィルタを設けてもよい。
アクセルペダル77が軽く踏まれてモータ80が回転し車両20が緩やかな走行を開始すると、既知の位置(初期位置)で微弱電力の受電が開始され、電圧値検知部102でゼロ値ではない微弱電圧値vlpeの検知(取得)が開始される。
次いで、ECU60は、受信電圧である微弱電圧値vlpeを微弱電圧値特性202等を利用して解析し、解析結果から充電ステーション30側の送電コイル11の位置、及び該位置に対する車両20側の受電コイル12の位置(相対位置)等を表示器72上に表示し、ドライバに通知することで、位置合わせ走行に資する。
そして、位置合わせ走行を続行して、微弱電圧値vlpeが既知の最大ピーク値vlpemaxとなったことを検知したときに、位置合わせ処理が終了され、車両20のモータ80の駆動が停止される。
この位置合わせ処理の終了位置で、位置合わせが終了した旨が、車両20のECU60から充電ステーション30の電源ECU61に通知される。
以降、電源ECU61は、電源ユニット31の送信電力P1を微弱電力Plpeから本電力Pnに切り替え、送電パッド21の送電コイル11に給電する。これにより受電パッド22の受電コイル12を通じて蓄電器50に対する本電力Pnに基づく非接触充電が行われる。
[第1実施例]
<送電コイル11に対する受電コイル12の相対位置検出手法その1>
図5の模式的な平面視上、上側に示す車両20の位置は、ペアリング後、送電コイル11からの微弱電力の送電中に、同図中x軸の上方(正側)から送電パッド21(送電コイル11)の中心oに向かって後退走行中の車両20が、該車両20の電圧値検知部102で、電圧センサ52を通じて初めて微弱電力を検出し、微弱電圧値vlpe(vlpe=0+)を検知した位置を示している。
微弱電圧値vlpeを初めて検知したとき、ECU60は、微弱電圧値特性202を参照し、該位置を既知距離の初期位置xint{xint=(x,y)=(xint,0)}に設定し、以降、微弱電圧値特性202を参照しながらの位置合わせ処理を開始する。同時に、検知した微弱電圧値vlpeを微弱電圧積分値算出部115で位置積分した微弱電圧積分値vilpeの算出を開始する。
ここでは、初期位置xintにおいて、車両20の車体中心線25が送電コイル11のx軸に一致している。
実際上、初期位置xintの送電コイル11の原点oからの距離xは、車両20の車幅以下の距離であり、ドライバが車両20のリアカメラ71を通じて直接見ることはできない。
図5中、y軸から上の象限(位置)ではx軸の距離は正の値を採り、y軸から下の象限(位置)ではx軸の距離xは負の値を採るように設定している。また、x軸から右の象限(位置)ではy軸の距離yは正の値を採り、x軸から左の象限(位置)ではy軸の距離yは負の値を採るように設定している。
車両20は、ペアリング後に、初期位置xintの手前から、例えば、ECU60等によって指定された、車両20が直ぐに止まれる程度の徐行速度よりも遅い微速の一定の目標車速Vvtarで駐車のための後退位置合わせ走行をしている。
図5中、右側に示す車両20は、位置合わせ後退走行中の車両20の位置ずれ量を誇張して描いた車両20の現在位置(現在の座標位置、相対半径)ra{(ra=(x,y)}を描いたものである。なお、車両20の現在位置ra(x,y)は、受電パッド22(受電コイル12)の中心位置(原点O)としている。
図5において、初期位置xintから現在位置raまでの車両変位を車両移動量(移動量又は移動変位量ともいう。)cvpとする。なお、この車両移動量cvpは、移動量検知部(移動変位量検知部ともいう。)110において、車速Vvと微小時間dtとから積分値∫Vv・dt=cvpで求めることができるし、車速Vvが一定であれば、車速Vv×所要時間で求めることができる。
ここで、車両20がx軸に沿って真っ直ぐに後退した場合の、受電コイル12の、初期位置xintから現在位置ra(x,y)までのx軸上の相対移動量(移動量、車両移動量、x軸移動量)xvpは、次の(1)式で求めることができる。
xvp=xint−x …(1)
x軸位置は、(1)式を変形した次の(2)式で算出される。
x=xint−xvp …(2)
例えば、車両20がx軸に沿って真っ直ぐに後退走行し、距離xがx=0となった場合に、位置合わせが完了することになる。
この第1実施例では、受電コイル12と送電コイル11の電磁誘導による電圧特性(微弱電圧値特性202という。)と、この微弱電圧値特性202を、初期位置xintから送電コイル11の中心(前記座標原点o)まで位置積分した電圧特性(微弱電圧積分値特性204)と、からx軸の相対移動量xvp及びx軸位置(距離x)を取得している。
図6の上側の図は、予め微弱電圧値特性記憶部200vにマップとして記憶されている微弱電圧値特性202を示し、図6の下側の図は、予め微弱電圧積分値記憶部200iにマップとして記憶されている微弱電圧積分値特性204を示している。
微弱電圧値特性202及び微弱電圧積分値特性204は、送電コイル11と受電コイル12のz軸上の地面23(水平面)からの高さの差(以下、z軸高さともいう。)zh(図2参照)が既知の高さ(距離)である場合の一つの特性である。
z軸高さzhが前記既知の高さと異なる場合には、高さ補正した微弱電圧値特性202及び微弱電圧積分値特性204を利用することができる。
微弱電圧値特性202は、縦軸が微弱電圧値vlpe、横軸がx軸上の原点oからの距離xを示している。
微弱電圧値特性202中、実線で示した微弱電圧値特性2020sは、y軸の値がy=0[mm]で車速VvがVv=0[mm/s]のときのx軸上の特性である。
破線で示した微弱電圧値特性2021sは、y軸の値がy=ya[mm]、この実施形態では、yaは、ya<xint/2程度の値で車速VvがVv=0[mm/s]のときのx軸上の特性である。
車速Vv=0のときの微弱電圧値vlpeは、基準周波数frで振動している磁界によって生じる電圧である静的な起電圧であり、その値は、両コイル(送電コイル11と受電コイル12)の形状に依存するが、この実施形態では、y=0での微弱電圧値特性2020sと、y=yaでの微弱電圧値特性2021sから理解できるように、距離xがx=0〜xintの範囲では、y軸の値が異なっていても(y=0〜yaの範囲)略同一の電圧値になる。
この理由は、図3Bに示すように、送電コイル11が横長の楕円形に近い形状なので、面積が小さい円形の受電コイル12のy軸方向のずれに対しては、送電コイル11の鎖交磁束数減少による微弱電圧値vlpeへの影響が極めて少なく、y軸方向のずれが一定距離ya以下(y≦ya)であれば、x=0のy軸上での微弱電圧値vlpeの差が殆どないことによる。
その一方、図3Cに示すように、送電コイル11は横長の楕円形に近い形状なので、仮に、送電コイル11がx方向にx>ya分以上離れていると、送電コイル11の鎖交磁束数減少による微弱電圧値vlpeへの影響が大きい。
よって、距離xが、至近距離閾位置xc程度までの座標原点oに近い至近距離領域Dcでは、微弱電圧値(閾値)vlpec以上の微弱電圧値vlpeが検知できるので、検知した微弱電圧値vlpeを引数として微弱電圧値特性202を参照しt、x軸上の相対移動量xvp(図5参照)を感度良く正確に求めることができる。
上記したように、微弱電圧値特性202中、実線で示した微弱電圧値特性2020sは、y軸の値がy=0[mm]で車速VvがVv=0[mm/s]のときの特性である。
これに対し、一点鎖線で示した微弱電圧値特性2020dは、y軸の値がy=0[mm]で車速Vvが一定微速の目標車速Vvtar(Vv=Vvtar[mm/s])のときの特性である。
車速VvがVv=0(停止中)のときの微弱電圧値特性2020sと車速Vvが目標車速Vvtarのときの微弱電圧値特性2020dとを比較すると、原点oからの距離xが短い至近距離閾位置xcまでの至近距離領域Dcと、原点oからの距離xが長い近距離閾位置xnから初期位置xintまでの遠距離領域Dfでは、共に略単調減少特性となっているが、原点oからの距離xが中間の至近距離閾位置xcから近距離閾位置xnまでの近距離領域Dnでは、車速Vv(Vv=0、Vv=Vvtar)により電圧変化が生ずる部分(両特性2020sと2020dが乖離する部分)がある。
その理由は、受電コイル12自体が車速Vv=Vvtarで移動することで電磁誘導の法則により生じる電圧である動的な起電圧(誘起電圧)が、基準周波数frで振動している磁界によって生じる電圧である静的な起電圧(車速Vv=0)に加算されることによる。
この電圧変化が生ずる部分(距離)は、受電コイル12と送電コイル11のコイル形状等に依存することが分かっている。
そこで、この実施形態では、車速Vvと動的な起電圧(誘起電圧)の対応関係を、予め誘起電圧特性記憶部200eに記憶している。
図6に示すように、微弱電圧値特性2020s等において、至近距離閾位置xcと近距離閾位置xnとの間で、微弱電圧値vlpeがvlpe=0とゼロ値(図6では、オフセット分が加算されたボトムピーク値vlpeth)になる位置(点)が存在し、該位置をボトム位置(ボトム距離)xbという。
このように、微弱電圧値特性202(特に、静的な微弱電圧値特性2020s等)は、コイル形状等により磁界の分布が一定でないため、送電コイル11の中心から径方向全周に送電される前記微弱電力の大きさに対応する微弱電圧値vlpeの鉛直方向の断面に沿う値が、送電コイル11(送電部中心)の最大ピーク値(極大値)vlpemaxから径方向外側に向かって小さくなってボトムピーク値(極小値)vlpeth(vlpeth≒0)となり、該ボトムピーク値vlpethからさらに径方向外側に向かうに従い値が上昇してサイドピーク値(極大値)vlpenとなり、該サイドピーク値vlpenからさらに径方向外側に向かうに従い下降し微弱電力を検知し得ないゼロ値となる特性になっている。
このように、径方向外側に向かって微弱電圧値vlpeが凹凸を有する特性のために、近距離領域Dnと遠距離領域Dfとを合わせた離隔距離領域Dsでは、同一の微弱電圧値vlpeであっても、距離xが3個所(3位置)に存在することとなり、微弱電圧値vlpeから距離x及び相対移動量xvpが一意に定まらないことになる。
その一方、微弱電圧値特性202から分かるように、微弱電圧値vlpeが、離隔距離領域Ds内のサイドピーク値(極大値)Vlpenに対して、余裕代を持って上回る微弱電圧値(閾値)vlpec以上となるように設定した至近距離領域Dcでは、微弱電圧値特性202の勾配が急であり、且つ微弱電圧値vlpeに対して距離xが一意に定まるので、勾配の急な微弱電圧値特性202を利用して距離x(相対移動量xvp)を感度(精度)よく測定することができる。
なお、距離x=0の原点oにて、微弱電圧値vlpeは、最大ピーク値(極大値)vlpemaxとなり、車両20が原点oを行き過ぎると、距離xの値が負の値になり、微弱電圧値特性202は、y軸に対して線対称な特性になる。
位置合わせ途上のx>0での極大値である微弱電圧値(サイドピーク値)vlpen及びx=0での微弱電圧値(最大ピーク値)vlpemaxは、それぞれ、いわゆる変曲点となるので、次の(3)式に示す微弱電圧値vlpeの位置微分値(微弱電圧位置微分値)vdplpeは、ゼロ値(vdplpe=0)になる。
vdplpe=d(vlpe)/dx …(3)
離隔距離領域Dsで距離x及び相対移動量xvpを一意に定めるために、図6の下側に示す微弱電圧積分値特性204を利用する。
微弱電圧積分値特性204の縦軸は、微弱電圧値特性202から次の(4)式により予め算出した微弱電圧値vlpeの積分値(以下、微弱電圧積分値vilpeという。)であり、横軸は、x軸上の原点oからの距離xである。
vilpe=∫vlpe・dx …(4)
微弱電圧積分値特性204中、実線で示した微弱電圧積分値特性2040sは、y軸の値がy=0[mm]で車速VvがVv=0[mm/s]のときの特性である。
破線で示した微弱電圧積分値特性2041sは、y軸の値がy=ya[mm]、で車速VvがVv=0[mm/s]のときの特性である。
一点鎖線で示した微弱電圧積分値特性2040dは、y軸の値がy=0[mm]で車速VvがVv=Vvtar[mm/s]のときの特性である。
2点鎖線で示した微弱電圧積分値特性2041dは、y軸の値がy=ya[mm]で車速VvがVv=Vvr[mm/s](基準車速という。)のときの特性である。
微弱電圧積分値特性204では、近距離領域Dnと遠距離領域Dfとを合わせた離隔距離領域Dsで、相対移動量xvpの増加に伴い微弱電圧積分値vilpeが単調に増加し、微弱電圧積分値vilpeによる距離xが一意に定まることが分かる。
なお、微弱電圧積分値特性204のx軸上の位置において、微弱電圧積分値vilpeの値は、初期位置xintでの値はゼロ値であり、近距離閾位置xnでの値は、微弱電圧値特性202の初期位置xintから近距離閾位置xn(サイドピーク値vlpen)までの位置積分値である微弱電圧積分値vilpen(vilpen=∫vlpe・dx:積分区間は、xintの0値からxint−xn値まで)になり、至近距離閾位置xcでの値は、初期位置xintから至近距離閾位置xc(微弱電圧値vlpec)までの位置積分値である微弱電圧積分値vilpec(vilpen=∫vlpe・dx:積分区間は、xintの0値からxint−xc値まで)になり、原点o(距離xがゼロ値)の位置では、微弱電圧積分値vilpeh(vilpen=∫vlpe・dx:積分区間は、xintの0値からxint値まで)になる。
さらに、原点oを行き過ぎると、微弱電圧積分値特性204は、微弱電圧積分値vilpehを中心とした点対称の増加特性になる。従って、離隔距離領域Ds内で、微弱電圧積分値vilpeが微弱電圧積分値vilpec未満の場合には距離xが「正」、以上の場合には距離xが「負」と判定することができる。
すなわち、微弱電圧積分値vilpeが、微弱電圧積分値(微弱電圧閾積分値)vilpec未満か否かで手前側から行き過ぎ側までの位置の正(vilpe<vilpec)負(vilpe>vilpec)を判定することができる。
よって、図6の吹き出しの中に記載しているように、この第1実施例では、微弱電圧積分値特性204及び微弱電圧値特性202を参照して、原点oからのx軸上の距離x、すなわち、受電コイル12の位置、換言すれば、初期位置xintからx軸上の相対移動量xvpを求める場合には、微小移動量dx毎に、検知した微弱電圧値vlpe及びその位置積分値である微弱電圧積分値vilpeを求める。
そして、求めた微弱電圧値vlpeからx軸上の相対移動量xvpが一意に定まらない初期位置xintから至近距離閾位置xcまでの間(近距離領域Dn及び遠距離Df)では、求めた微弱電圧積分値vilpeを引数として、相対移動量xvpが一意に定まる微弱電圧積分値特性204を参照し、原点oからの距離x、すなわち初期位置xintからx軸上の相対移動量xvpを求める。
その一方、微弱電圧値vlpeからx軸上の相対移動量xvpが一意に定まる至近距離閾位置xcから原点o(距離x=0)までの間(至近距離領域Dc)では、微弱電圧値vlpeを引数として、微弱電圧値特性202を参照し、原点oからの距離x、すなわち初期位置xintからx軸上の相対移動量xvpを求める。
[駐車支援の表示]
ここで、車両20のドライバに対する位置合わせ駐車支援のための表示器72上への画像表示について説明する。
車両20の受電コイル12の位置を、充電ステーション30の送電コイル11の位置に位置合わせを行うためには、目標車速Vvtarを得るためのアクセルペダル77を踏む強さである目標アクセルペダル開度(目標アクセル開度)θatar、及び踏んでいる時間である位置合わせに要する時間Tpをドライバに通知することが好ましい。
図7に示すように、表示器72上に、画像生成部119が生成した模式的な位置合わせ用の支援画像73aを画像表示する。
支援画像73a上には、アクセルペダル画像77aと、現在の車速Vvpでのアクセル開度(アクセルペダル開度)θapと、目標車速Vvtarを得るのに必要なアクセルペダル開度(目標アクセル開度)θatarと、アクセルペダル77の操作方向77bと、を画像表示している。これらの画像表示により、ドライバによるアクセルペダル77の円滑な位置合わせ操作を支援する。
なお、破線で描いたアクセルペダル画像77aは、アクセルペダル77の原位置を示し、実線で描いたアクセルペダル画像77aは、アクセルペダル77の現在位置を示している。
さらに、支援画像73a上には、現在のアクセル開度θapを踏み続けた場合、何秒間で目標位置である原点oに到達するのかを通知するために、位置合わせに要する時間Tpをゲージ画像90iで表示している。
このように、円滑に駐車するのに最適な目標車速Vvtar[km/m]を定義し、それを目標アクセル開度θatarとする。ドライバに現在のアクセル開度θapと目標アクセル開度θatarとを視覚的にわかりやすく通知することができる。
図8は、画像生成部119が生成した模式的な位置合わせ用の他の支援画像73bの画像表示を示している。
支援画像73b上には、送電パッド画像21iの位置を基準とした受電パッド画像22iの現在の位置、ステアリングホイールの左右調整量及び、現在位置から目標位置である原点oまでの残距離xpを通知するゲージ画像91iを画像表示している。
このように、位置合わせ用の支援画像73a、73bを画像表示することで、ドライバは、習熟なしに、的確な(正確な)位置合わせ位置(平面視で原点oと原点Oとが合致した位置)に車両20を駐車させることができる。
このように、この第1実施例では、受電コイル12と送電コイル11の電磁誘導による微弱電圧値vlpeと、受電コイル12の移動変位に対応した微弱電圧積分値vilpeから送電コイル11のx軸の座標原点oからの受電コイル12の相対位置である距離xを推定(取得)し得る。
この場合、距離xが一意に定まる至近距離領域Dcでは、既知のz軸高さzhに対応して設定された微弱電圧値特性202を参照して、微弱電圧値vlpeから距離xを算出する。
この場合、至近距離領域Dcにおけるx軸の正負判定は、(3)式に示した微弱電圧位置微分値vdlpeの傾きとシフト位置Spから判定する。
また、近距離領域Dnから至近距離領域Dcに入ったか否かの判定は、微弱電圧値vlpeが微弱電圧値vlpecを上回ったか否か、又は微弱電圧積分値vilpeが、微弱電圧値vlpecと同位置での微弱電圧積分値vilpcを上回ったか否かにより判定する。
離隔距離領域Dsにおけるx軸の正負判定は、次の(5)式により算出した微弱電圧積分値vilpeの位置微分値(微弱電圧積分値位置微分値)vdpilpeの傾きとシフト位置Spから判定する。
vdpilpe=d(vilpe)/dx …(5)
微弱電圧値特性202から距離xが一意に定まらない離隔距離領域Dsでは、距離xが一意に定まる微弱電圧積分値特性204から距離xを算出する。
なお、車両20の現在位置(半径距離)ra(x,y)は、微弱電圧積分値特性204を用いずに、単純に、微弱電圧検知範囲外(微弱電圧検知範囲外領域)Doutから微弱電圧検知範囲内領域Dinの遠距離領域Df内に進入した際の初期位置xintと、車速センサ74による車速Vv及び操舵角センサ78による操舵角θsに基づいて算出した車両移動量cvp(図5参照)とから求めてもよい。
さらに、近距離領域Dnでは、受電コイル12と送電コイル11との相対移動速度に応じた誘起電圧が発生するため、車速Vvから予め求めておいた誘起電圧の対応特性のマップである車速誘起電圧特性206を参照し、微弱電圧値vlpeをオフセット補正した微弱電圧値vlpeを求める。また、微弱電圧積分値vilpeは、補正した微弱電圧値vlpeを積分した値を用いる。
さらに、微弱電圧値特性202は、受電コイル12と送電コイル11との間のギャップであるz軸高さzhにより変化するため、該z軸高さzhを考慮して微弱電圧値特性202を選択乃至補正する。
さらにまた、微弱電圧積分値vilpeは、誤差も積算してしまうため、誘起電圧が発生しない車速Vv=0の場合に、現在の微弱電圧値vlpeと微弱電圧積分値vilpeとから、微弱電圧積分値vilpeを、車速Vvが、Vv=0の微弱電圧値vlpeに対する微弱電圧積分値特性204上の値、すなわち基準値にリセットする。
この場合、現在の微弱電圧積分値vilpeから至近距離領域Dc、近距離領域Dn、及び遠距離領域Dfの各領域を判断し、各領域毎に、リセット後の微弱電圧積分値vilpeとして、微弱電圧値vlpeの値に対応する微弱電圧積分値特性204上の値、すなわち基準値を代入してリセットすればよい。
[第2実施例]
[微弱電圧検知範囲外領域Doutと微弱電圧検知範囲内領域Dinの識別判定]
上述したように、この実施形態において、基本的には、微弱電圧値vlpeを最初に受電した初期位置xintからの受電コイル12のx軸の移動量xvp、換言すれば、原点oからのx軸の位置(距離)xを算出する。
そのため微弱電圧検知範囲外領域Doutでは、微弱電圧積分値vilpe及びx軸移動量xvpをリセットし、車両20が微弱電圧検知範囲内領域Dinに進入(検知範囲外から検知範囲内への進入時)したら微弱電圧積分値vilpe等のパラメータをリセットして初期位置xintとする初期化を行うとともに、微弱電圧積分値vilpe及びx軸移動量xvpの算出を開始する。
微弱電圧検知範囲外領域Doutでは、微弱電圧値vlpeが下限に張り付く(幾分かのランダムノイズ、オフセットは混入している。)が、微弱電圧検知範囲内領域Dinであっても、ボトム位置xbでは、微弱電圧値vlpeが下限値になり、微弱電圧値vlpeだけでは、微弱電圧検知範囲内外領域を正確に判定することができない。
微弱電圧値vlpeは、微弱電圧検知範囲内領域Dinでは、ボトム位置xbを除き、必ず、ゼロ値を上回るので、ゼロ値を僅かに上回る電圧、概ね上述したボトムピーク値vlpethに対応する電圧を、微弱電圧閾値{略同値であるので、同符号で微弱電圧閾値vlpethという。(図6参照)}に設定する。
そこで、微弱電圧値vlpeが微弱電圧閾値vlpeth以上であれば、微弱電圧検知範囲内領域Dinと判定する。なお、フィルタ処理してノイズを除去し、オフセット分を除去しているので、微弱電圧閾値vlpethは、0+の値(正であるがゼロに近い値)に設定される。
また、微弱電圧値vlpeが微弱電圧閾値vlpeth以下であって、且つ停車中(Vv=0)の場合には、微弱電圧検知範囲外領域Doutの位置かボトム位置xbかを判定できないため、前回までに検出したパラメータ値(微弱電圧積分値vilpe等)をリセットせず保持する。
さらに、微弱電圧値vlpeが微弱電圧閾値vlpeth以下であって且つ走行中(Vv≠0)に、次の(6)式に示す微弱電圧値vlpeの時間微分値vdtlpeがゼロ値になっている期間が閾値時間Tth継続すれば、微弱電圧検知範囲外領域Doutと判定し、パラメータ値をリセットする。
vdtlpe=d(vlpe)/dt …(6)
さらにまた、微弱電圧値vlpeが微弱電圧閾値vlpeth以下であって且つ走行中(Vv≠0)に、微弱電圧時間微分値vdtlpeがVdtlpe≠0に変化すれば、微弱電圧検知範囲内領域Dinと判定する。
さらに、微弱電圧検知範囲外領域Doutから微弱電圧検知範囲内領域Dinに進入したときの初期位置xintと、車速センサ74及び操舵角センサ78から算出した車両移動量cvpからx軸位置xを算出し、算出したx軸位置からx位置の正負を判定してもよい。
[第3実施例]
[x軸移動量xvpの算出手法]
図9は、x軸の原点oの正負両側まで描いた微弱電圧値特性2020s(z軸高さzhをzh1としている。)及び微弱電圧値特性2020s´(z軸高さzh=zh2、zh2>zh1)を示している。
微弱電圧値特性2020s´は、z軸高さがzh=zh2と、z軸高さzh=zh1より高いときの特性であり、微弱電圧値vlpeは、微弱電圧検知範囲内領域Dinの全領域で低い値になる。
例えば、微弱電圧検知範囲外領域Dout(+)から微弱電圧検知範囲内領域Din(+)に車両20が進入すると、(3)式に示した微弱電圧位置微分値vdplpeがゼロ値(vdplpe=0)から非ゼロ値(vdplpe≠0)に遷移する。
図10Aに示すように、微弱電圧位置微分値vdplpeがゼロ値から非ゼロ値に遷移した位置を初期位置xintに設定する。
図10Bに示すように、初期位置xint(xint,0)から移動量xvpを差し引くことで、x軸位置(距離x)を求めることができる。なお、y軸移動量は無視できるほど、小さいと近似している。
この第3実施例では、初期位置xint(xint,0)から微弱電圧値vlpeが2度目にサイドピーク値(vlpen)になる至近距離閾位置+xbcbに少し余裕を持った至近距離閾位置xc(xc,0)又は至近距離閾位置+xbcまでは、車速Vv×所要時間、例えば、Vvtar×所要時間、又は∫Vv・dxで、x軸移動量xvpを算出し、2度目にサイドピーク値(vlpen)になる位置(至近距離閾位置+xbc)又は至近距離閾位置xc(xc,0)から原点o(0,0)までは、至近距離領域Dcの微弱電圧値特性2020(2020s又は2020s´)を参照してx軸移動量xvpを算出している。
これにより、微弱電力の初期位置(初期検知位置)+xintから最大ピーク値vlpemaxの位置(最大ピーク値検知位置)まで車両20の受電コイル11を確実かつ簡易な構成で位置合わせすることができる。
なお、図9中、もう一方のサイドピーク値vlpen´は、微弱電圧値特性2020s´のサイドピーク値を示している。
[第4実施例]
[x軸の正負判定]
シフト位置Sp、微弱電圧値vlpe、車両変位に対する微弱電圧積分値vilpe、及び車両変位に対する微弱電圧位置微分値vdplpeから送電コイル11に対する受電コイル12の相対的な前後位置(正負位置)を推定する。
また、微弱電圧検知範囲外領域Doutから微弱電圧検知範囲内領域Dinに車両20が進入したときのシフト位置Spから初期位置xintでの正負を判定する。
近距離領域Dn及び遠距離領域Dfでは微弱電圧積分値vilpeからx軸の正負を判定する。
至近距離領域Dcでは、微弱電圧値vlpeの車両変位に対する微分値、すなわち、微弱電圧位置微分値vdplpeの正負から受電コイル12が送電コイル11に対して接近しているか離隔しているかを推定し、シフト位置Spから車両20の前進又は後退を判断することで、x軸位置の正負を判定する。
[第5実施例]
[y軸移動量の推定]
図11に示す車両移動量xvpと図12に示す微弱電圧値vlpeとから至近距離領域Dc内に車両20が位置すると推定される場合に、y軸方向距離(y軸移動量)を推定する。
図12において、微弱電圧値特性202中、実線で示した微弱電圧値特性2020sは、y軸の値がy=0[mm]で車速VvがVv=0[mm/s]のときのx軸上の特性である。
破線で示した微弱電圧値特性2022sは、y軸の値がy=yb(yb>ya)[mm]で車速VvがVv=0[mm/s]のときのx軸上の特性である。
一点鎖線で示した微弱電圧値特性2020dは、y軸の値がy=0[mm]で車速Vvが一定微速の目標車速Vvtar(Vv=Vvtar[mm/s])のときの特性である。
二点鎖線で示した微弱電圧値特性2020dは、y軸の値がy=yb[mm]で車速Vvが一定微速の目標車速Vvtar[mm/s]のときのx軸上の特性である。
特性2040s、2040d、2042s、2042dは、それぞれ、特性2020s、2020d、2022s、2022dに対応する微弱電圧積分値特性である。
車両20が至近距離領域Dc内に位置すると推定される場合に、y軸方向距離の変位がya以内であれば、x軸移動量xvpの増加に連れて微弱電圧値vlpeが増加する。しかしy軸方向のズレが大きい、例えばy=yb>yaの場合は、x軸移動量xvpが増加すると逆に微弱電圧値vlpeが小さくなる。
従って、y軸移動量は、図11に示すx軸移動量xvp、例えばxvp=車速Vv×所要時間と、図12に示す特性202、204から求める。なお、y軸移動量の正負は、車両20の操舵角θsから判定することができる。
[第6実施例]
[x軸位置x及びy軸位置yを求める手法]
図13に示すように、送電パッド21´の中の送電コイルが円形の送電コイル11´と仮定して、現在の座標位置ra(x,y)を求める場合には、次の(7)式に示すように、車速Vvから車両移動量cvpを算出する。
cvp=∫Vv・dt …(7)
三平方の定理から次の(8)、(9)式が求められる。
y2+x2=ra2 …(8)
y2+(cb−x)2=cvp2 …(9)
ここで、raは、yがy<yaである場合の微弱電圧値vlpeから微弱電圧値特性202を参照して求められるベクトルの大きさである。cbは、初期位置(初期距離)xintに等しい。
(8)、(9)式をx、yについて解くと、次の(10)、(11)式が得られ、該式により現在の座標位置(半径)ra(y,x)を求めることができる。
x=ra2−cvp2+cb2/2・cb …(10)
y={(ra+cb+cvp)(ra−cb+cvp)(ra+cb+cvp)(−ra+cb+cvp)}1/2/2cb …(11)
[フローチャートによる動作の説明]
次に、充電ステーション30の送電パッド21(送電コイル11)に対する車両20の受電パッド(受電コイル12)の位置合わせ処理、換言すれば、送電コイル11に対する受電コイル12の相対位置の検出処理(算出処理)についてフローチャートを参照して説明する。
図14は、相対位置検出処理の全体的なフローチャートである。なお、フローチャートに係るプログラムの実行主体はECU60であるが、煩雑を回避するために一部記載を省略する。また、全体的なフローチャートは、微小時間で繰り返し実行される。
ステップS1にて、ECU60は、パラメータ算出と、算出したパラメータのリセット処理及び初期化処理を行う。
パラメータは、基本的には、車両20の移動量cvpと微弱電圧積分値vilpeである。なお、y軸移動量が無視できる程、微小の場合には、移動量cvpは、x軸相対移動量(x軸移動量)xvpとしてもよい。初期化処理では、現在位置ra(x,y)の初期化処理、すなわち、cvp(x,y)=xint(xint,0)とする処理が行われる。
リセット・初期化処理後のステップS2にて、ECU60は、検知した微弱電圧値vlpeから微弱電圧積分値vilpeの算出処理を行う。
次いで、ステップS3にて、x軸の正負を判定する。
さらにステップS4にて、微弱電圧値vlpe及び微弱電圧積分値vilpiに基づき、充電ステーション30の送電部としての送電パッド21(送電コイル11)に対する車両20の受電部としての受電パッド(受電コイル12)の相対位置の検出処理(算出処理)を行う。
図15は、パラメータとしての車両移動量cvpの算出と、該車両移動量cvp及び微弱電圧積分値vilpeのリセット処理・初期化処理等の説明に供されるステップS1の処理の詳細フローチャートである。
ステップS1aにて、微弱電圧値vlpeを検知する。なお、微弱電圧値vlpeを検知する際には、ノイズ除去・オフセット検知・除去等のためのフィルタ処理を行っている。
次いで、ステップS1bにて、微弱電圧値vlpeの位置微分値vdplpe及び時間微分値vdtlpeを算出する。
次に、ステップS1cにて、検知した微弱電圧値vlpeが微弱電圧閾値vlpeth以上の値であるか否かを判定する。
最初の判定では、車両20は、微弱電圧検知範囲外領域Doutにいるので、微弱電圧値vlpeは、微弱電圧閾値vlpeth未満となり、この判定は否定的(ステップS1c:NO)とされる。
次いで、ステップS1dにて、車速Vvを検知し、車両20が移動中(変位中)であるか否かを判定し、移動中である場合、ステップS1eにて、位置微分値vdplpe及び又は時間微分値vdtlpeが、次の(12)式及び(13)式に示すように、閾値(位置微分閾値dpth、時間微分閾値dtth)以下であるか否かを判定する。
vdplpe≦dpth …(12)
vdtlpe≦dtth …(13)
ステップS1eにて、少なくとも一方の判定が肯定的(ステップS1e:Yes)となっている場合には、ステップs1fにて、微小時間の閾値時間Tthが経過しているか否かを判定し、経過している(ステップS1f:YES)場合には、ステップS1gにて、車両20の受電コイル12は、微弱電圧検知範囲外領域Doutにいると判定する。
その一方、上記したステップS1cの判定にて、微弱電圧値vlpeが微弱電圧閾値vlpeth以上である(ステップS1c:YES)場合、及びステップS1eの判定にて、少なくとも一方の微分値が閾値を上回る(ステップS1e:NO)場合には、ステップS1hにて、車両20の受電コイル12は、微弱電圧検知範囲内領域Dinにいると判定する。
次いで、ステップS1iにて、微弱電圧検知範囲外領域Doutから微弱電圧検知範囲内領域Dinに進入(遷移)したか否かを判定する。
進入(遷移)していない(ステップS1i:NO)場合、換言すれば、検知範囲外領域Doutに継続しているか、又は検知範囲内領域Dinに継続している場合には、ステップS1jにて、パラメータリセット要求が無いものとする。
その一方、進入(遷移)した(ステップS1i:YES)場合には、ステップS1kにて、パラメータリセットの要求及び初期化要求があるものとする。
次いで、ステップS1lにて、パラメータリセットの要求及び初期化要求がある(ステップS1l:YES)場合、ステップS1mにて、微弱電圧積分値vilpeをリセットしてゼロ値とし、且つ、移動量cvpを初期位置xint(xint,0)にする初期化処理を行う。
ステップS1lにて、パラメータリセットの要求及び初期化要求がない(ステップS1l:NO)場合、ステップS1nにて、超低速走行であることを前提として、車両20の移動量cvpのX軸移動量成分及びY軸移動量成分を、車速Vv、ホイールベース長さ等の車両諸元及び操舵角θsに基づき求める。
なお、移動量cvpは、GPS装置等の測位装置を利用して求めること、あるいは慣性航法を用いて求めることもできる。
図16は、微弱電圧積分値vilpeの算出処理の説明に供されるステップS2の処理の詳細フローチャートである。
ステップS2aにて、受電コイル12が近距離領域Dn内にいる場合、車速Vvを原因として生じる誘起電圧の影響を考慮して微弱電圧値vlpeを補正(LPE誘起電圧補正)する。
次いで、ステップS2bにて、パラメータリセット・初期化要求があったか否かを判定し、あった(ステップS2b:YES)場合には、さらに、ステップS2cにて、シフト位置Spを参照して、前進駐車か後退駐車かを判定する。
前進駐車である場合、ステップS2dにて、x軸を負の値として、微弱電圧積分値vilpeを積分値初期値として代入する。
後退駐車である場合、ステップS2eにて、x軸を正の値として、微弱電圧積分値vilpeを積分値初期値として代入する。
ステップS2bの判定にて、パラメータリセット・初期化要求がなかった場合、ステップS2fで微弱電圧検知範囲内領域Dinであることを確認した後、ステップS2gにて、車速Vvが0[km/h]であるか否かを判定し、停車している(ステップS2g:YES)場合には、ステップS2hにて、微弱電圧積分値vilpeの電圧静特性補正処理を行う。
この電圧静特性補正処理では、微弱電圧積分値vilpeで積算されている誤差を解消してリセットするために、現在の微弱電圧積分値vilpeから至近距離領域Dc、近距離領域Dn、及び遠距離領域Dfの各領域を判断し、各領域毎に、リセット後の微弱電圧積分値vilpeとして、現在の微弱電圧値vlpeの値に対応する微弱電圧積分値特性204上の値、すなわち基準値を代入する。
ステップS2gの判定にて、車速Vvがゼロ値ではなく走行中である(ステップS2g:NO)場合には、ステップS2iにて、微弱電圧積分値vilpeを算出する。
なお、微弱電圧検知範囲内領域Dinにて、車両20が停止状態から走行を開始する場合を考慮し、微弱電圧積分値vilpeの値は、前回車速Vvがゼロ値になったときに保持したバックアップ値を用いる。
図17及び図18は、それぞれ、送電パッド21(送電コイル11)に対する受電パッド(受電コイル12)のステップS3のx軸正負判定処理及びステップS4の相対位置の検出処理(算出処理)の説明に供される詳細フローチャート(1/2及び2/2)である。
図17のステップS3aにて、例えば、充電ステーション30から受電コイル12との間のz軸高さzhの情報を取得し、z軸高さzhに適合する微弱電圧値特性202を設定(選択)する。
ステップS3bにて、上記ステップS1g、S1hの検知範囲内外判定結果(プログラム上は、フラグ)を見る。
受電コイル12が検知範囲内領域Dinにいる(ステップS3b:NO)場合、ステップS3cにて、ステップS2cのシフト位置Spの判定結果を見て、後退位置Rであれば、ステップS3dにて、受電コイル12のx軸位置は、「正」とする。前進位置Dであれば、ステップS3eにて、受電コイル12のx軸位置は、「負」とする。
一方、ステップS3bにて、受電コイル12が微弱電圧検知範囲内領域Dinにいる(ステップS3b:YES)と判定された場合、ステップS3fにて、至近距離領域Dc内にいるのか、離隔距離領域Ds内にいるのかを判定する。
ステップS3fの判定では、例えば、検知している微弱電圧値vlpeが、微弱電圧値(閾値)vlpec(図6参照)以上であれば、至近距離領域Dc内にいると判定し、微弱電圧値(閾値)Vlpec未満であれば、離隔距離領域Ds内にいると判定する。
離隔距離領域Ds内にいる場合、ステップS3gにて、微弱電圧積分値vilpeが微弱電圧積分値(閾値)vilpec(図6参照)未満か以上かを判定する。
微弱電圧積分値(閾値)vilpec未満であれば、ステップS3hにて、x軸位置が「正」と判定し、微弱電圧積分値(閾値)vilpec以上であれば、ステップS3iにて、x軸位置が「負」と判定する。
ステップS3fの判定にて、至近距離領域Dc内にいると判定した場合、その至近距離領域Dcでの正負を決定するために、ステップS3jにて、シフト位置Spが後退位置Rにあるか前進位置Dにあるかを判定する。
後退位置Rにあれば、ステップS3kにて、微弱電圧位置微分値vdplpe及び微弱電圧時間微分値vdtlpeの少なくとも一方が正の値であるか否か判定し、正の値であれば、送電パッド21(送電コイル11)に対して受電パッド22(受電コイル12)が接近している位置にいるので、ステップS3lにて、x軸位置を「正」と判定し、負の値であれば、ステップS3mにて、送電パッド21(送電コイル11)の位置に対して受電パッド22(受電コイル12)が行き過ぎて離反した位置にいることになるので、x軸位置を「負」と判定する。
ステップS3jの判定にて、シフト位置Spが前進位置Dにあれば、ステップS3nにて、微弱電圧位置微分値vdplpe及び微弱電圧時間微分値vdtlpeの少なくとも一方が正の値であるか否か判定し、正の値であれば、送電パッド21(送電コイル11)に対して受電パッド22(受電コイル12)が接近している位置にいるので、ステップS3oにて、x軸位置を「負」と判定し、負の値であれば、ステップS3pにて、送電パッド21(送電コイル11)の位置に対して受電パッド22(受電コイル12)が行き過ぎて離反した位置にいることになるので、x軸位置を「正」と判定する。
次いで、図18のフローチャートのステップS4aにて、至近距離領域Dc内にいるのか、離隔距離領域Ds内にいるのかを判定する。
離隔距離領域Ds内にいると判定した場合、ステップS4bにて、微弱電圧値vlpe及び微弱電圧積分値vilpeを引数としてそれぞれ微弱電圧値特性202、微弱電圧積分値特性204を参照して相対半径raを算出する。
ステップS4aにて、至近距離領域Dc内にいると判定した場合、さらに、ステップS4cにて、図11に示した車両移動量cvpが至近距離領域Dc内であるか否かを判定し、至近距離領域Dc内であれば、ステップS4dにて、微弱電圧値vlpeからx軸移動量xvpを算出し、至近距離領域Dc外であれば、ステップS4eにて微弱電圧値vlpeから相対半径raを算出する。
次に、ステップS4fにて、y軸移動量yvpが閾値以下であるか否かを判定し、閾値以下でない(ステップS4f:NO)場合には、ステップS4gにて、初期位置xint、相対半径ra、車両20の移動量cvpからxy軸位置ra(x,y)を算出する。
ステップS4fにて、車両Y軸移動量yvpが閾値以下であるか否かを判定し、閾値以下である(ステップS4f:YES)場合には、ステップS4hにて、x軸位置xを算出(x軸位置xは、相対半径raと近似する。)し、さらに、ステップS4iにてy軸位置を車両y軸移動量ybpとして算出する。
[まとめ及び変形例]
以上説明したように、上述した非接触電力伝送システム10は、位置合わせ用の微弱電力を送電する送電部としての送電コイル11を有する充電ステーション30と、前記微弱電力を非接触で受電する受電部としての受電コイル12を有する車両20と、を備える。
車両20の制御部としてのECU60は、受電コイル12にて受電した前記微弱電力の大きさに対応した微弱電圧値vlpeを検知する電圧値検知部102と、微弱電圧値vlpeと送電コイル11から受電コイル12までの距離との対応関係を表す微弱電圧値特性202を予め記憶した電圧値特性記憶部200vと、検知した微弱電圧値vlpeを引数として微弱電圧値特性202を参照し、送電コイル11から受電コイル12までの距離である相対位置を算出する相対位置算出部116と、を備える。
このように、相対位置算出部116は、電圧値検知部102により検知した微弱電圧値vlpeを引数として微弱電圧値特性202を参照し、送電コイル11から受電コイル12までの距離(半径距離)、すなわち相対位置を正確に算出することができる。
なお、微弱電圧値vlpeは、平面視で送電コイル11の中心に対して受電コイル12の中心が一致する状態で位置合わせされたときが最大値(最大ピーク値)vlpmaxとなるので、最大ピーク値vlpmaxとなったときに位置合わせの実行を終了することで、充電ステーション30の送電コイル11に対する車両20の受電コイル12の位置を、最適な位置に的確に合わせることができる。
この場合、ECU60は、さらに、微弱電圧値特性202を位置積分した微弱電圧積分値vilpeと送電コイル11から受電コイル12までの距離との対応関係を表す微弱電圧積分値特性204を有する。
相対位置算出部116は、電圧値検知部102が検知した微弱電圧値vlpeの積分値∫vlpe・dxを引数として、微弱電圧積分値特性204を参照して、送電コイル11から受電コイル12までの距離を算出するようにしてもよい。
微弱電圧値特性202は、送電コイル11から受電コイル12までの距離が短くなっても微弱電圧値vlpeが増加しない又は低下する特異な部分を有する可能性が高い。微弱電圧値特性202に特異な部分があっても送電コイル11に向かう方向での微弱電圧値vlpeの積分値∫vlpe・dxは増加する。よって、検知した微弱電圧値vlpeの積分値∫vlpe・dxを引数として微弱電圧積分値特性204を参照することで、送電コイル11から受電コイル12までの距離、すなわち送電コイル11に対する受電コイル12の相対位置を正確に特定することができる。
すなわち、送電コイル11までの距離が短くなっても微弱電圧値vlpeが増加しない部分、及び微弱電圧値vlpeが低下することにより距離が異なっていても微弱電圧値vlpeが同値となる位置(距離)が存在する部分(例えば、図6の微弱電圧値特性2020s中、サイドピークの両側の部分、及びボトム位置xbと至近距離閾位置xcとの間の部分の3位置で同値になる。)であっても、微弱電圧値vlpeは発生しているので、微弱電圧積分値vilpeは距離に応じて増加する。したがって、上記同値部分では、微弱電圧積分値特性204を参照することで距離(位置)を一意に算出することができる。
相対位置算出部116は、微弱電圧値vlpeが所定電圧値である微弱電圧値(閾値)vlpec以上となる送電コイル11の近傍の位置から送電コイル11の位置までの領域では、微弱電圧値特性202に基づき送電コイル11から前記受電コイル12までの距離を算出する。
所定電圧値である微弱電圧値(閾値)vlpec以上であれば、微弱電圧値特性202に基づき位置が一意に特定され、且つ送電コイル11近傍の位置(至近距離領域Dc内)における微弱電圧値特性202は、送電コイル11近傍の位置における微弱電圧積分値特性204に比較して、単位距離あたりの特性値の増加量、すなわち感度{(電圧値上昇/単位距離)>(積分電圧値上昇/単位距離)が大きいので、所定電圧値{微弱電圧値(閾値)vlpec}以上、換言すれば、送電コイル11近傍での位置合わせは、微弱電圧値特性202に基づき行うことでより正確に位置合わせを行うことができる。
ここで、微弱電圧値特性202は、送電コイル11から径方向全周に送電される前記微弱電力の大きさに対応する前記微弱電圧値vlpeの鉛直方向の断面に沿う値が、送電コイル11中心の最大ピーク値vlpemaxから径方向外側に向かって小さくなってボトムピーク値vlpethとなり、該ボトムピーク値vlpethからさらに径方向外側に向かうに従い値が上昇してサイドピーク値vlpenとなり、該サイドピーク値vlpenからさらに径方向外側に向かうに従い下降しゼロ値となる特性を有している。
この場合、相対位置算出部116は、送電コイル11の前記径方向外側から内側に向かって、微弱電圧値vlpeがゼロ値からサイドピーク値vlpenを介してボトムピーク値vlpeth、該ボトムピーク値vlpethからさらに径方向内側に向かってサイドピーク値vlpenと同値になる位置までは、微弱電圧積分値特性204を参照して送電コイル11から受電コイル12までの距離を算出し、サイドピーク値vlpenと同値になる位置より内側の位置では、微弱電圧値特性202を参照して送電コイル11から前記受電コイル12までの距離を算出する。
このように、微弱電圧値vlpeを初めて検知した位置(初期位置)xintからサイドピーク値vlpen以上の所定電圧値{図6例では、微弱電圧値(閾値)vlpec}になるまでの位置は、微弱電圧積分値特性204を参照して送電コイル11からの距離を算出し、所定電圧値{微弱電圧値(閾値)vlpec}以上の位置(至近距離閾位置xc)から最大ピーク値vlpemaxとなる位置までは微弱電圧値特性202を参照して送電コイル12からの距離を算出することで、微弱電圧値vlpeが所定電圧値{微弱電圧値(閾値)vlpec}以上となる送電コイル11の近傍領域である至近距離領域Dcでは位置に対する電圧変化の感度の高い微弱電圧値特性202を参照して位置を算出し、前記近傍領域より外側の離隔距離領域Ds内の位置では、内側に向かって微弱電圧値vlpeが単調に増加する微弱電圧積分値特性204を参照して位置を算出するようにしているので、送電コイル11に対する受電コイル12の位置を確実に算出しつつ、送電コイル11に対する前記受電コイル12の位置を最適な位置に位置合わせすることができる。
さらに、車両20の車速Vvを検知する車速センサ74と、車速Vvと誘起電圧との対応関係である車速誘起電圧特性206を予め記憶する誘起電圧記憶部200eと、を備え、前記外側から前記内側に向かって、サイドピーク値vlpen(所定電圧値)となる位置(近距離閾位置xn)から、さらに径方向内側に向かってサイドピーク値vlpen(所定電圧値)と同値になる位置(略至近距離閾位置xc)までは、車両20の車速Vvによる前記誘起電圧の発生に伴い前記微弱電圧値vlpeに変化が生じる特異な領域である。
相対位置算出部116は、前記特異な領域では、車速Vvと誘起電圧との対応関係を参照して、微弱電圧値特性202を補正し、且つ該補正した微弱電圧値特性202の微弱電圧積分値特性204を参照して、送電コイル11から受電コイル12までの距離を算出する。
このように、車両20の車速Vvによる前記誘起電圧の発生に伴い微弱電圧値vlpeに変化が生じる特異な領域では、車速Vvと前記誘起電圧との対応関係を参照して、微弱電圧値特性202を車速=0の特性に補正し、且つ該補正した微弱電圧値特性202の微弱電圧積分値特性204、換言すれば、車速=0の微弱電圧積分値特性204を参照して、送電コイル11から受電コイル12までの距離を算出するようにしたので、車速Vvで誘起電圧が発生する領域が存在していても正確な相対位置を算出することができる。
[変形例]
上述の実施形態に係る非接触電力伝送システム10は、充電ステーション30から送電される位置合わせ用の微弱電力を受電した車両20又は該車両20のドライバが、前記微弱電力に基づき前記車両20の前記充電ステーション30への位置合わせを実行するようにしているが、これに限らず、車両20から送電される位置合わせ用の微弱電力を受電した充電ステーション30が、車両20と交信しながら、前記微弱電力に基づき車両20の充電ステーション30への位置合わせを車両20又は該車両20のドライバに実行させるようにしてもよい。
この場合、車両20は、微弱電力送電用のコイルと本充電用のコイルを共用してもよく、別々に構成してもよい。また、充電ステーション30は、微弱電力受電用のコイルを送電コイル11と共用してもよく、別に構成してもよい。車両20のECU60と、充電ステーション30の電源ECU61とは、位置合わせ中に充電ステーション30から車両20側に情報を送信する等のために交信し、協調して位置合わせ処理を実行する。
すなわち、この変形例では、位置合わせ用の微弱電力を送電する送電部(送電コイル)を有する車両と、前記微弱電力を非接触で受電する受電部(受電コイル)を有する充電ステーションと、を備える非接触電力伝送システムとされる。
この変形例に係る充電ステーションの制御部は、前記受電部にて受電した前記微弱電力の大きさに対応した微弱電圧値を検知する電圧値検知部と、前記微弱電圧値と前記送電部から前記受電部までの距離との対応関係を表す微弱電圧値特性を予め記憶した電圧値特性記憶部と、検知した前記微弱電圧値を引数として前記微弱電圧値特性を参照し、前記送電部から前記受電部までの距離である相対位置を算出する相対位置算出部と、を備える。
この変形例によれば、相対位置算出部は、電圧値検知部により検知した微弱電圧値を引数として微弱電圧値特性を参照し、送電部から受電部までの距離、すなわち相対位置を正確に算出することができる。
なお、微弱電圧値は、送電部に対して受電部が位置合わせされたときが最大値(最大ピーク値)となるので、最大値となったときに位置合わせの実行を終了することで、充電ステーションの受電部に対する車両の送電部の位置を、最適な位置に的確に合わせることができる。
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。