JP6724545B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびその製造方法、ならびに成形体 - Google Patents
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Description
特許文献2には、フィルムの成形に好適な材料としてマクロモノマー共重合体が記載されているが、耐衝撃性に関する記載は無い。
本発明の目的は、優れた流動性と、成形後の優れた耐衝撃性を併せ持つ芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびその製造方法、ならびに該樹脂組成物からなる成形体を提供することにある。
[1] 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)60〜99質量%、およびマクロモノマー共重合体(B)1〜40質量%を含み、前記マクロモノマー共重合体(B)が、下記式(1)で表されるマクロモノマー(B1)に由来する単位と、前記マクロモノマー(B1)と共重合可能なコモノマー(B2)に由来する単位とを有する、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
[3] 前記コモノマー(B2)が、アルキル(メタ)アクリレートを含む、[1]または[2]の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
[4] [1]〜[3]のいずれかの芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体。
[5] 車両用部材である、[4]の成形体。
[6] 上記式(1)で表されるマクロモノマー(B1)と、前記マクロモノマー(B1)と共重合可能なコモノマー(B2)からなる重合性成分(X)を重合反応させてマクロモノマー共重合体(B)を得る工程と前記マクロモノマー共重合体(B)1〜40質量%と、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)60〜99質量%を含む組成物を調製する工程を有する、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
なお、以下において重合前のモノマー成分のことを「〜単量体」といい、「単量体」を省略することもある。また、重合体を構成する構成単位のことを「〜単量体単位」という。また、(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートを示す。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)(以下、(A)成分ともいう。)は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
例えば、二価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)からなる群(P)から選ばれる1種以上を用いたポリカーボネ−ト(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これら群(P)から選ばれる二価フェノールは、該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
(1)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
(i)吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%であり、かつTgが120〜180℃であるポリカーボネート、あるいは(ii)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%であるポリカーボネート。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
本発明に係るマクロモノマー共重合体(B)は、下記一般式(1)で表されるマクロモノマー(B1)と、マクロモノマー(B1)と共重合可能な他の重合性単量体単位であるコモノマー(B2)からなる重合性成分(X)を共重合して得られる。
マクロモノマー(B1)は、ポリ(メタ)アクリレートセグメントの片末端にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基を持つ。ここで、マクロモノマーとは、重合可能な官能基を持ったポリマーであり、別名マクロマーとも呼ばれる。
一般式(1)において、R及びR1〜Rnは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基である。アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基は、置換基を有することができる。
R又はR1〜Rnの置換基としてのカルバモイル基としては、例えば、N−メチルカルバモイル基及びN,N−ジメチルカルバモイル基が挙げられる。
R又はR1〜Rnの置換基としてのアミド基としては、例えば、ジメチルアミド基が挙げられる。
R又はR1〜Rnの置換基としてのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
R又はR1〜Rnの置換基としてのアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜12のアルコキシ基が挙げられる。具体例としては、メトキシ基が挙げられる。
R又はR1〜Rnの置換基としての親水性又はイオン性を示す基としては、例えば、カルボキシ基のアルカリ塩又はスルホキシル基のアルカリ塩、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基等のポリ(アルキレンオキシド)基及び四級アンモニウム塩基等のカチオン性置換基が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はi−プロピル基が好ましく、入手のしやすさの観点から、メチル基がより好ましい。
一般式(1)において、X1〜Xnは、それぞれ水素原子又はメチル基であり、メチル基が好ましい。さらに、マクロモノマー(B1)の合成し易さの観点から、X1〜Xnの半数以上がメチル基であることが好ましい。
一般式(1)において、Zは、マクロモノマー(B1)の末端基である。マクロモノマー(B1)の末端基としては、例えば、公知のラジカル重合で得られるポリマーの末端基と同様に、水素原子及びラジカル重合開始剤に由来する基が挙げられる。
マクロモノマー(B1)の数平均分子量(Mn)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用し、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の検量線から算出した値を意味する。
マクロモノマー(B1)を得るための原料モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシ基含有ビニル系単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有ビニル系単量体;グリジシル(メタ)アクリレート、グリジシルα−エチルアクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル系単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート系のビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等のアミド基を含有するビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多官能性のビニル系単量体;などが挙げられる。これらは、1種以上を適宜選択して使用することができる。
これらの中で、モノマーの入手のし易さの点で、メタクリレートが好ましい。
メタクリレートとしては、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び4−ヒドロキシブチルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート及び2−エチルヘキシルメタクリレートがより好ましい。
アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート及びt−ブチルアクリレートが挙げられる。これらの中で、入手しやすさの点で、メチルアクリレートが好ましい。
マクロモノマー(B1)は、公知の方法で製造できる。マクロモノマーの製造方法としては、例えば、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法(米国特許第4680352号明細書)、α−ブロモメチルスチレン等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として用いる方法(国際公開第88/04304号)、重合性基を化学的に結合させる方法(特開昭60−133007号公報、米国特許第5147952号明細書)及び熱分解による方法(特開平11−240854号公報)等が挙げられる。
これらの中で、マクロモノマー(B1)の製造方法としては、製造工程数が少なく、連鎖移動定数が高い触媒を使用する点で、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法が好ましい。
コモノマー(B2)は、マクロモノマー(B1)と共重合可能であれば特に限定されず、必要に応じて各種の重合性単量体を使用できる。具体的には、マクロモノマー(B1)を得るためのモノマーと同様のものが挙げられる。コモノマー(B2)は、マクロモノマー(B1)との共重合性が良好であることから、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、特に、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル及び(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましい。
コモノマー(B2)は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
マクロモノマー共重合体(B)は、マクロモノマー(B1)とコモノマー(B2)からなる重合性成分(X)を重合して得られる重合体である。マクロモノマー共重合体(B)は、マクロモノマー(B1)に由来する単位と、コモノマー(B2)に由来する単位を有する。
さらに、マクロモノマー共重合体(B)は、マクロモノマー(B1)単位のみを有するポリマー、コモノマー(B2)のみからなるポリマー、未反応のマクロモノマー(B1)、未反応のコモノマー(B2)から選ばれる少なくとも1種を含有することができる。
マクロモノマー共重合体(B)の製造方法は、特に限定されず、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合等の各種の方法を用いることができる。重合発熱の制御が容易で、生産性に優れることから、懸濁重合又は乳化重合のような水系重合が好ましく、重合、回収操作がより簡便であることから、懸濁重合がより好ましい。
[I]マクロモノマー(B1)をコモノマー(B2)に溶解し、ラジカル重合開始剤を添加する。このマクロモノマー(B1)溶液を、分散剤を溶解させた水溶液に分散させ、シラップ分散液を得る。そして、得られたシラップ分散液を懸濁重合する。
[II]マクロモノマー(B1)を懸濁重合で合成して得られる水性懸濁液にコモノマー(B2)を添加し、シラップ懸濁液として、マクロモノマー(B1)を溶解させたコモノマー(B2)の分散体を得る。そして、得られたシラップ懸濁液を懸濁重合する。
ラジカル重合開始剤を添加する際の温度は、0℃〜(ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度+15℃)が好ましい。ラジカル重合開始剤を添加する際の温度が0℃以上で、ラジカル重合開始剤のモノマーへの溶解性が良好となる。また、ラジカル重合開始剤を添加する際の温度が(ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度+15℃)で安定な重合を行うことができる。
有機過酸化物の具体例としては、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)が挙げられる。
入手しやすさの点で、ベンゾイルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)が好ましい。
ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(Z)は、必要に応じて添加剤(E)を添加することができる。添加剤(E)としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の各種安定剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;カーボンブラック、フェライト等の導電性付与剤;無機充填剤;滑材;離型剤;可塑剤;有機過酸化物;中和剤;架橋剤;等が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(Z)の総重量に対して、添加剤(E)の割合は0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましい。
実施例において「部」は「質量部」を表す。また、実施例中の略号は以下の通りである。
MMA:メチルメタクリレート
MA:メチルアクリレート
BA:ノルマルブチルアクリレート
AMBN:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
ABS:RB(UMG AMS(株)製ABS樹脂、商品名)とAP−H(UMG ABS(株)製AS樹脂、商品名)を重量比80/20の組成比で溶融混練して得たABS系樹脂組成物
[GPC測定]
Mw及びMnは、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用して求めた。以下に測定条件を示す。
装置:HLC−8220(東ソー社製)
カラム:TSK GUARD COLUMN SUPER H−H(4.6×35mm、東ソー社製)と2本のTSK−GEL SUPER HM−H(6.0×150mm、東ソー社製)を直列に接続
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流速: 0.6mL/分
Mw(質量平均分子量)及びMn(数平均分子量)は、Polymer Laboratories製のポリメチルメタクリレート(Mp(ピーク分子量)=141,500、55,600、11,100及び1,590の4種)を用いて作成した検量線を使用して算出した。分子量分布は、式「分子量分布=(質量平均分子量)/(数平均分子量)」により算出した。
[シャルピー衝撃試験]
射出成形で作成したシャルピー試験片(ノッチ有り)を用いてシャルピー衝撃試験機(東洋精機(株)製、商品名:DG−CP)によりシャルピー衝撃強さ(衝撃強度)を測定した。室温23℃、湿度50%、15J錘で5本ずつ試験し、平均値を求めた。試験片が破壊しなかった場合は評価結果を「NB」とした。
射出成形で得たダンベル試験片を用いて、JIS K6251に従ってテンシロン万能試験機((株)オリエンテック製、商品名:RTC−1250A)で引張試験を実施した。室温23℃及び引張速度20mm/分の条件で引張試験を実施し、その時の応力ひずみ曲線から破断点伸度、弾性率を求めた。
得られた成形材料について、(株)テクノ・セブン製のメルトインデクサー(L243)を用いて、JIS K7210(A法)に従い、加熱時間4分でのMFR(メルトフローレート)を測定した。MFRの測定条件は、温度を230℃又は260℃、荷重を49Nとし、試料切り取り時間間隔は試料のMFR値に応じ10秒〜120秒とした。
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた反応装置中に、17質量%水酸化カリウム水溶液61.6部、メチルメタクリレート19.1部及び脱イオン水19.3部を仕込んだ。次いで、反応装置内の液を室温にて撹拌し、発熱ピークを確認した後、4時間撹拌した。この後、反応装置中の反応液を室温まで冷却してメタクリル酸カリウム水溶液を得た。
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物(和光純薬工業社製、和光特級)2.00g(8.03mmol)及びジフェニルグリオキシム(東京化成社製、EPグレード)3.86g(16.1mmol)及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル100mlを入れ、室温で2時間攪拌した。
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム(Na2SO4)0.13部及び製造例1で製造した分散剤(1)(固形分10質量%)0.26部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。次に、MMA95部、MA5部、製造例2で製造した連鎖移動剤(1)0.0030部(30ppm)及び重合開始剤としてパーオクタO(日油(株)製1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、商品名)0.1部を加え、水性分散液とした。
連鎖移動剤(1)の添加量を0.0024部(24ppm)、0.0013部(13ppm)に変更した他は製造例3と同様の方法で、マクロモノマー(B1−2)、マクロモノマー(B1−3)を合成した。マクロモノマー(B1−1〜B1−3)の合成結果を表1にまとめた。
脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.13部及び製造例1で製造した分散剤(1)0.26部を混合して懸濁重合用水分散媒を調製した。冷却管付きセパラブルフラスコに、マクロモノマー(B1−1)40部、コモノマー(B2)としてBA(三菱化学(株)製アクリル酸n−ブチル、商品名)36部及びMMA24部、計60部を仕込み、撹拌しながら50℃に加温し、原料シラップを得た。原料シラップを40℃以下に冷却した後、原料シラップにAMBN0.3部を溶解させ、シラップを得た。
使用原料を表2に示すとおりに変更した以外は、製造例6と同様にして、マクロモノマー共重合体(B−1)〜(B−3)を得た。結果を表2に示す。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)としてユーピロンS2000F(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールAタイプポリカーボネート、粘度平均分子量約22,000、商品名)80部、マクロモノマー共重合体(B−1)20部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。次いで、これを35mmφのスクリュー型2軸押出機(L/D=26)を用いてシリンダー温度240℃〜270℃、Tダイ温度270℃の条件下で溶融混練し、ペレット化して芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(Z−1)からなる成形材料を得た。得られた成形材料のMFR値を表3に示す。
得られた成形材料を用いて、射出成形機((株)東芝製、商品名:IS100)で厚さ3mmの成形体を得た。得られた成形体の引張試験結果とシャルピー衝撃試験結果を表3に示す。
使用する原料を表3に示すものに変更した以外は実施例1と同様の方法で成形材料及び成形体を得た。評価結果を表3に示す。
また、実施例4と実施例5は、実施例1〜3よりマクロモノマー共重合体(B)の添加量が少ない場合と多い場合である。マクロモノマー共重合体(B)の添加量が多いほど流動性改質効果が大きいことがわかる。実施例4、5の耐衝撃性は実施例1〜3に比べるとやや劣るものの、良好である。マクロモノマー共重合体(B)の添加量が多すぎても少なすぎても耐衝撃性が低下する傾向があることがわかる。
比較例2では、芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)にABS樹脂を添加した。その結果、MFRの値が大きくなって流動性が悪化した。
Claims (6)
- 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)60〜99質量%、およびマクロモノマー共重合体(B)1〜40質量%を含み、
前記マクロモノマー共重合体(B)が、下記式(1)で表されるマクロモノマー(B1)に由来する単位と、前記マクロモノマー(B1)と共重合可能なコモノマー(B2)に由来する単位とを有し、
前記マクロモノマー(B1)を構成する全単量体単位に対して、メチルメタクリレート単量体単位が84質量%以上、98質量%以下であり、
前記マクロモノマー共重合体(B)の質量平均分子量が100,000以上、1,000,000以下である、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が、前記芳香族ポリカーボネート樹脂(A)75〜85質量%、および前記マクロモノマー共重合体(B)15〜25質量%を含む、請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記コモノマー(B2)が、アルキル(メタ)アクリレートを含む、請求項1または2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体。
- 車両用部材である、請求項4に記載の成形体。
- 下記式(1)で表されるマクロモノマー(B1)と、前記マクロモノマー(B1)と共重合可能なコモノマー(B2)からなる重合性成分(X)を重合反応させてマクロモノマー共重合体(B)を得る工程と
前記マクロモノマー共重合体(B)1〜40質量%と、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)60〜99質量%を含む組成物を調製する工程を有し、
前記マクロモノマー(B1)を構成する全単量体単位に対して、メチルメタクリレート単量体単位が84質量%以上、98質量%以下であり、
前記マクロモノマー共重合体(B)の質量平均分子量が100,000以上、1,000,000以下である、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
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