以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る車両用視認装置10の概略構成がブロック図にて示されている。また、図2(A)には、車両用視認装置10が設けられた車両12の車室内の主要部が車両後側から見た正面図にて示されており、図2(B)には、車両12が上方視の平面図にて示されている。尚、各図において、車両前側が矢印FRにて示され、車幅方向が矢印Wにて示され、上方が矢印UPにて示されている。
車両用視認装置10には、第1撮像部としての車外カメラ14が設けられており、車外カメラ14は、車両後部かつ車幅方向中央部(例えば、リアバンパの車幅方向中央部)に配置されて、車両12の後方を所定の画角(撮像領域)で撮像可能にされている。また、車外カメラ14は、車両12のウインドガラスを通さずに車外の撮像領域を撮像する。車外カメラ14の撮像領域には、車室内に設けられたルームミラーにリアウインドガラス(リアウインドシールドガラス)16A、及びリアサイドドアのドアガラス(リアサイドドアウインドガラス)16Bを通して映る車両後方の領域が含まれている。
車両12の車室内には、インナーミラー18が設けられている。インナーミラー18には、ブラケット20が設けられており、ブラケット20の基部が車室天井面の車両前側かつ車幅方向中央部に取付けられている。ブラケット20には、表示部としての長尺矩形状とされたモニタ22が設けられており、モニタ22は、長手方向が車幅方向とされ、かつ表示面が車両後側に向けられてブラケット20の下端部に取付けられている。これにより、モニタ22は、車両前側のフロントウインドシールドガラスの上部付近に配置され、表示面が車室内の乗員に視認可能にされている。
モニタ22の表示面は、車両後方へ向けて凸状の湾曲面とされている。また、モニタ22の表示面には、ハーフミラー(ワイドミラー)が設けられており、モニタ22が非表示の場合に、ハーフミラーには、車室内と共に、ウインドガラスとしてのリアウインドガラス16A及びドアガラス16Bを通した後方視界が写される。
ブラケット20には、第2撮像部としてのインナーカメラ24が設けられており、インナーカメラ24がモニタ22の上側(天井側)においてブラケット20に固定されている。インナーカメラ24は、車両後側に向けられており、インナーカメラ24は、車両前側から車室内及びリアウインドガラス16A及びドアガラス16Bを通した範囲において車外カメラ14の撮像領域の撮像が可能にされている。
一方、車両用視認装置10には、表示部を構成する制御部としての制御装置26が設けられており、制御装置26に車外カメラ14、モニタ22及びインナーカメラ24が接続されている。制御装置26には、CPU28A、ROM28B、RAM28C、記憶部としての不揮発性記憶媒体(例えば、EPROM)28D、及びI/O(入出力インタフェース)28Eがそれぞれバス28Fに接続されたマイクロコンピュータが含まれている。ROM28B等には、乗員の視認を補助する画像をモニタ22に表示する車両用視認表示制御プログラム等の各種のプログラムが記憶されており、CPU28AがROM28B等に記憶されるプログラムを読み出して実行することで、制御装置26及びモニタ22が乗員の視認を補助する表示部として機能する。
制御装置26は、車外カメラ14により撮像された車外画像としての車両後方画像に、インナーカメラ24により撮像された第1車室内画像としての車室後方画像を合成する。また、制御装置26には、第2車室内画像としての車室画像が記憶されている。制御装置26は、車室画像、車室後方画像及び車両後方画像を合成し、合成画像をモニタ22に表示するように制御する。
ここで、車室画像としては、予めインナーカメラ24等を用いて、車室内の車両前側から車室内の車両後方側を撮像した撮影画像が用いられる。また、車室画像は、乗員が乗車しておらず、かつ車室内に荷物等が載せられていない状態の撮影画像が用いられる。即ち、車室画像には、インナーカメラ24の撮像領域に含まれる車体部品としての前席16C、後席16D、車室内天井16E、センターピラー16F、及びリアピラー16Gなどの車体を構成する部品及び車室内に配置されて車体に取付けられている部品の画像が含まれる(図2(B)参照)。
この車室画像としては、動画が適用されても良いが、静止画を用いることができ、第1の実施の形態では静止画を用いる。また、車室画像は、車両12の工場出荷時、納車時などにおいて、インナーカメラ24により撮像された撮影画像を適用できる。さらに、車室画像は、車両走行するために乗員が車両12に乗車する際、乗員の乗車に先立ってインナーカメラ24に撮像された撮影画像を適用しても良く、この場合、乗員が車両12の運転席側のドアを開けたときや、ドアを開けるために解錠したタイミングなどで撮像される。
制御装置26は、車室画像に対して、リアウインドガラス16A、ドアガラス16Bなどの光透過性を有する部分を非画像領域(透過率100%で固定された領域)に設定する。即ち、車室画像は、車室内の撮影画像からリアウインドガラス16A及びドアガラス16Bの画像を除いた車室内の車体部品の画像が抽出されて生成される。なお、車室画像は、インナーカメラ24により撮像された画像に限らず、インナーカメラ24とは別の撮像手段(カメラ)により車室内の車両前側からインナーカメラ24の撮像領域を撮像した撮影画像(静止画又は動画)が適用されても良い。この場合、撮影画像を下記仮想視点から見た画像に変換する処理が行われて記憶媒体に記憶されていれば良い。
一方、車外カメラ14の撮影画像とインナーカメラ24の撮影画像とでは、視点位置が異なっており、制御装置26は、各撮影画像の視点位置を合わせる。この際、制御装置26は、モニタ22の中心位置(車幅方向及び上下方向の中間位置)よりも車両前側に仮想視点を設定し、車外カメラ14の撮像画像及びインナーカメラ24の撮像画像の各々を、仮想視点から見た画像に変換する。なお、インナーカメラ24がモニタ22に隣接して設けられているので、仮想視点としてインナーカメラ24の視点が適用されても良い。
制御装置26は、仮想視点から見た画像に変換した撮影画像の各々を、仮想視点からの視野角が一致するようにトリミング処理等を行う。これにより、各撮影画像に同一の対象物が映っていると仮定したときに、その対象物の画像が重なった画像が生成される。この際、湾曲面又は平面とされた仮想スクリーンを設定し、各々の撮影画像を仮想スクリーン上に投影させた画像に変換するなどの手法が適用される。
さらに、制御装置26では、車室後方画像及び車室画像に対する透過状態として、透過率が設定されており、制御装置26は、車室後方画像及び車室画像の各々に対して、設定された透過率の透過状態となるように画像変換を行う。車両後方画像及び車室画像において、透過率が高くなることで、透明度が増して透過性が高くなり、透過率が低い場合に比べて画像が淡く(薄く)なる(透過率が低い場合には、濃くなる)。車室画像及び車室後方画像に設定される透過率としては、合成画像上で車両後方画像が認識可能となる透過率とされている。また、車室後方画像の透過率よりも車室画像の透過率が高く設定されている。制御装置26は、設定された透過率となるように画像変換を行った車室画像及び車室後方画像を車両後方画像に重ねて合成し、合成画像をモニタ22に表示する。
次に、本実施の形態の作用として、車両用視認装置10の制御装置26において実行される具体的な処理について説明する。図3には、制御装置26において実行されるモニタ22への合成画像の表示処理(画像処理)の流れがフローチャートにて示されている。また、図4(A)〜図4(D)には、制御装置26において生成される画像が概略図にて示されており、図4(A)には車室画像30が示され、図4(B)には車室後方画像32が示され、図4(C)には車両後方画像34が示され、図4(D)には合成画像36が示されている。
図3に示されるフローチャートでは、最初のステップ100において車室画像30を生成する撮影画像を読み込む。この撮影画像(車室画像)は、モニタ22への画像表示に先立ってインナーカメラ24により撮像された車両12の車室内の撮影画像が用いられる。次のステップ102では、読み込んだ撮影画像に対して、視点変換処理を行うと共に、透過率の変換処理を行う。これにより、図4(A)に示される車室画像30が得られる。
この車室画像30では、リアウインドガラス16Aの画像及びドアガラス16Bの画像を除いた部分の画像が、所定の透過率とされる。これにより、車室画像30は、リアウインドガラス16A及びドアガラス16Bを除く車体部品の画像が、透過率に応じた濃さにされている。例えば、透過率が90%とされている場合、透過率0%(非透過)の場合に対して10%の濃さとなり、撮影画像よりも極めて淡い車室画像30が得られる。このステップ100、102は、予め実行されていても良く、この場合、制御装置26には、視点変換及び透過率の変換処理が行われた車室画像30が記憶媒体28Dに記憶される。
一方、車両用視認装置10では、車両12の図示しないイグニッションスイッチ(IG)がオンされると、モニタ22への画像表示を開始する。なお、以下では、イグニッションスイッチのオン/オフによってモニタ22の表示/非表示を切り替えるように説明するが、これに限らず、車両用視認装置10にモニタ22の表示/非表示を切り替えるスイッチが設けられていても良い。この場合、スイッチがオン操作されることで、モニタ22への画像表示が開始され、スイッチがオフ操作されることで、モニタ22への画像表示が終了されて、モニタ22がルームミラー(ハーフミラー)として機能される。
ここで、イグニッションスイッチがオンされると、図3のステップ104で肯定判定されてステップ106へ移行する。このステップ106では、インナーカメラ24により撮像された車室内の撮影画像を読み込み、次のステップ108では、読み込んだ撮影画像に対して、視点変換処理(トリミング処理を含む)を行うと共に、予め設定された透過率に変換処理される。これにより、図4(B)に示される車室後方画像32が得られる。また、車両12に乗車している乗員がインナーカメラ24により撮像されると、車室後方画像32には、この乗員が映り込む。
この車室後方画像32においては、透過率が車室画像30の透過率よりも低くされている。例えば、車室画像30の透過率が90%とされている場合、車室後方画像32は、透過率が80%とされる。これにより、車室後方画像32は、インナーカメラ24の撮影画像の濃さに対して20%の濃さとなり、車室後方画像32は、車室画像30よりが僅かに濃くされる。
また、図3のステップ110では、車外カメラ14により撮像された撮影画像を読み込み、次のステップ112では、読み込んだ撮影画像に対して、視点変換処理が行われると共に、トリミング処理等が行われる。これにより、図4(C)に示される車両後方画像34が得られる。車両後方画像34では、車室後方画像32のリアウインドガラス16Aに重なる車外の対象物が、車室後方画像32のリアウインドガラス16A越しに映るのと同じ大きさの画像にされる。なお、ステップ106、108の処理とステップ110、112の処理とは、並行して実行される。
この後、ステップ114では、車両後方画像34に車室画像30及び車室後方画像32が重ねられて合成される。これにより、図4(D)に示される合成画像36が得られ、この合成画像36がモニタ22に表示される。ステップ116では、イグニッションスイッチがオフされたか否かが確認され、イグニッションスイッチがオンされている間は、ステップ116において肯定判定されて、ステップ106〜ステップ114の処理が繰り返される。これにより、時間経過に応じて変化する車外カメラ14の撮影画像及びインナーカメラ24の撮影画像が合成されてモニタ22に表示される。
ここで、モニタ22に表示される合成画像36では、車室画像30及び車室後方画像32の各々に透過性を持たせている。このため、車両後方画像34に車室画像30及び車室後方画像32が重なっていても、車両後方画像34の視認性が低下するのを抑えられて、乗員の車両後方の視認を補助できる。
また、合成画像36では、車室画像30と車室後方画像32とが重なるので、車室画像30及び車室後方画像32の各々に現れている同一の車体部品の画像の濃度が、車室画像30及び車室後方画像32の一方の画像の濃度よりも高くなっている。即ち、車室画像30の透過率が90%、及び車室後方画像32の透過率が80%の場合、合成画像36上の車体部品の画像の濃度が30%となる。このため、車室画像30及び車室後方画像32の各々の透過率を高くしても、合成画像36において車体部品(車体野画像)が明瞭となる。しかも、合成画像36には、車室画像30及び車室後方画像32が合成されているので、車両12の車体を把握できて、車両後方画像34に映っている車両後方の対象物について車両12に対する相対位置を把握できる。
さらに、車両12に乗員が乗車している場合、乗車している乗員の画像は車室後方画像32に映る。このとき、車室画像30と車室後方画像32との間で透過率を異ならせているので、合成画像36は、車室後方画像32に映る乗員を認識するのを容易にできる。しかも、車室画像30の透過率よりも車室後方画像32の透過率が高くされているので、合成画像36は、車室後方画像32に映る乗員(乗員の画像)をより容易に認識できる。
また、車室画像30では、リアウインドガラス16A等の透過部材の画像の透過率が100%とされている。このため、車室後方画像32の透過率を高くして、合成画像36上において車両後方画像34が濃く映るようにしても、車室後方画像32において乗員(例えば、乗員の頭部野画像)がリアウインドガラス16Aの画像に重なることで、車室後方画像32に映る乗員の視認性が向上する。
従って、車室内に乗員が居るにもかかわらず、車室内の乗員がモニタ22に表示されないことにより、モニタ22の表示画像を視認する乗員に違和感が生じるのを抑制できる。しかも、車室後方画像32に映る乗員の画像は、合成画像36上で車体部品の画像よりも薄くなっている(透過率が高くなっている)ので、乗員の映像(画像)が車両後方の視認性を損ねるのを抑制できる。
また、車室後方画像32においてリアウインドガラス16A等を通して見える車両後方の対象物の画像は、合成画像36上で車両後方画像34上の同一対象物の画像と重なるので、リアウインドガラス16A等を通して見える対象物の画像が濃く表示(例えば120%の濃さに表示)されて明瞭になる。しかも、リアウインドガラス16A等の周囲の車体部品の画像に透過性を持たせているので、車両後方の対象物が何であるかの識別を容易にできる。従って、モニタ22に表示される合成画像36は、乗員の視認(車両後方の視認)を適正に補助できる。
なお、以上説明した第1の実施の形態では、車室画像30の透過率に対して、第1画像としての車室後方画像32の透過率を高くしたが、車室後方画像32は、車室内の乗員等が認識できる透過率であれば良く、車室画像30の透過率よりも低くても良い。即ち、車室画像30の透過状態は、車室後方画像32の透過率よりも低い透過率であっても良い。
また、第1の実施の形態では、車室画像30の透過状態として透過率を一定としたが、これに限らず、車室画像30の透過状態は、透過率を車両12の走行速度(車速)に応じて異ならせても良い。この場合、制御装置26には、車両12の車速センサ(図示省略)が接続されると共に、透過率の異なる複数の車室画像30が記憶される。制御装置26は、車速センサにより検出される車速を複数段階(例えば、低速、中速、高速の3段階)に分け、低速であれば、複数の車室画像から透過率が低くされた車室画像を選択して合成画像36を生成し、高速であれば、複数の車室画像から透過率の最も高い車室画像を選択して合成画像36を生成する。これにより、モニタ22に表示された合成画像から、車速に応じて、車速が低い場合よりも車速が高い場合に、車外の視認範囲を広げて乗員の視認を補助できる。
〔第2の実施の形態〕
次に第2の実施の形態を説明する。なお、第2の実施の形態において第1の実施の形態と同様の機能部品については、第1の実施の形態と同様の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
第2の実施の形態は、第2車室内画像において、ウインドガラス周縁部分について車体部品の画像の透過率を高くし(例えば100%)、周縁部分から離れるに従って車体部品の画像の透過率を徐々に低くする所謂ぼかし処理を行っている。図5(A)には、第2の実施の形態に係る第2車室内画像としての車室画像30Aが概略図にて示されており、図5(B)には、車室画像30Aが合成された合成画像36Aが概略図にて示されている。
車室画像30Aは、全体の透過率として高い透過率(例えば、90%)が設定されている。また、車室画像30Aでは、リアウインドガラス16Aの周縁に接する車両後側の車体部品の画像である後席16D、車室内天井16E、及び車幅方向両側のリアピラー16Gのリアウインドガラス16A側の周縁部分に対して、輪郭をぼかす処理(ぼかし処理)が行われる。また、車室画像30Aでは、リアウインドガラス16Aよりも車両前側のドアガラス16Bに接する車体部品である車室内天井の車幅方向両側、センターピラー16F、及びリアピラー16Gの周縁部分に対してぼかし処理が行われる。
これにより、車室画像30Aには、ぼかし部38Aがリアウインドガラス16Aの画像の外側に形成されると共に、ぼかし部38Bがドアガラス16Bの画像の外側に形成されている。なお、図5(A)では、ぼかし処理された車体部品の輪郭が二点鎖線で示されている。
ぼかし部38A、38Bを形成するぼかし処理は、リアウインドガラス16A及びドアガラス16Bとの境界部分の透過率を最も高くし(例えば、略100%)、境界部分から離れるに従って透過率が徐々に(段階的でも良い)低くなるようにする。また、ぼかし処理においては、車両後側の車体部品における透過率の変化度合いを、車両前側の車体部品の画像における透過率の変化度合いよりも小さくする(透過率100%から透過率90%に達するまでの幅であるぼかし幅を狭くする)。
このため、車室画像30Aでは、リアウインドガラス16Aの周囲における透過率の高い領域(透明度の高い領域、ぼかし部38A)が、ドアガラス16Bの周囲における透過率の高い領域(ぼかし部38B)より広くされる(ぼかし幅が広くされる)。このようなぼかし処理は、図3のステップ102において撮影画像に対して画像処理を行う際、撮影画像上の車体部品の画像ごとに透過率の変換処理が行われれば良い。なお、ドアガラス16Bは、車両前後方向に配置されているので、ぼかし部38Bは、ドアガラス16Bの車両後側と車両前側とでぼかし幅を異ならせてもよい。
これにより、車室画像30Aでは、リアウインドガラス16A及びドアガラス16Bに接する車体部品の輪郭(画像の輪郭)をあいまい(ぼやかす)にできる。また、車室画像30Aでは、ぼかし幅の広いぼかし部38Aが設けられた車体部品の画像と、ぼかし幅の狭いぼかし部38Bが設けられた車体部品の画像との間で、ぼかし幅の狭い車体部品よりにぼかし幅の広い車体部品が遠く感じるという遠近感が持たせられる。
また、車室画像30Aでは、車両後側のリアウインドガラス16Aに接する車体部品の輪郭を、車両前側のドアガラス16Bに接する車体部品の輪郭よりもあいまい(ぼやかす)にできて、合成画像36A上で車両後方の視認性を向上できる。
これにより、図5(B)に示される合成画像36Aにおいては、車体部品の骨格を認識できると共に、車両後方画像34の視認性が車室画像30Aにより低下されるのを抑えられる。従って、モニタ22に表示される合成画像36Aは、乗員の車両後方の視認を補助できる。しかも、合成画像36Aには、車室画像30Aが含まれることで、乗員に違和感を生じさせるのを抑制できると共に、車体部品の凡その輪郭が示されて、車両後方画像34に映っている対象物の相対位置を認識可能にできる。
また、車室画像30Aは、予め生成しておくことができるので、車体部品ごとの画像の透過率が異なっていても、モニタ22に車室画像30Aを含む合成画像36Aを表示するために、制御装置26(CPU28A)の処理負荷が増加するのを抑制できる。
〔第3の実施の形態〕
次に第3の実施の形態を説明する。なお、第3の実施の形態において第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様の機能部品については、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
第3の実施の形態では、第2車室内画像において、車両前側の車体部品の画像と車両後側の車体部品の画像との間で透過率を異ならせている。図6(A)には、第3の実施の形態に係る第2車室内画像として車室画像30Bが概略図にて示されており、図6(B)には、車室画像30Bが合成された合成画像36Bが概略図にて示されている。
図6(A)に示されるように、車室画像30Bでは、車両前側の車体部品(前席16C、センターピラー16F等)の画像の透過率を、車両後側の車体部品(リアウインドガラス16Aの周縁の車室内天井16E、後席16D、及びリアピラー16G等)の画像の透過率よりも低くしている。例えば、車室画像30Bでは、車両前側の車体部品の画像の透過率が90%とされて、車両後側の車体部品の画像の透過率が車幅方向の中央部分で最も高くされ(一例として100%)、車幅方向外側へ向けて徐々に低くされている(一例として100%〜95%)。このような処理は、図3のステップ102において撮影画像に対して画像処理を行う際、透過率の変換処理について、撮影画像上の車体部品の画像ごとに透過率の変換処理が行われれば良い。
これにより、車室画像30Bでは、車両後側の車体部品が車両前側の車体部品より遠く感じるように遠近感を持たせられる。また、車室画像30Bでは、車両後側のリアウインドガラス16Aが開放されていると感じられる。
図6(B)に示される合成画像36Bには、車室後方画像32が含まれるので、車体部品や車室内の乗員を認識でき、モニタ22に表示される合成画像36Bを視認する乗員に違和感を生じさせるのを抑制できる。また、合成画像36Bでは、車両後側の車体部品の透過率が高くされているので、車両後方画像34の視認範囲(特に車両後方)を広くできて、視認の車両後方の視認を補助できる。
また、車室画像30Bは、予め生成しておくことができるので、車体部品の画像ごとに透過率が異なっていても、モニタ22に車室画像30Bを含む合成画像36Bを表示するために、制御装置26(CPU28A)の処理負荷が増加するのを抑制できる。
なお、第2の実施の形態及び第3の実施の形態では、車両前側の車体部品の画像の透過率を車両後側の車体部品の画像の透過率よりも低くしたが、これに限らず、車両前側の車体部品の画像の透過率を車両後側の車体部品の画像の透過率よりも高くしても良い。
〔第4の実施の形態〕
次に第4の実施の形態を説明する。なお、第4の実施の形態において第1の実施の形態から第3の実施の形態と同様の機能部品については、第1の実施の形態から第3の実施の形態と同様の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
第4の実施の形態では、第2車室内画像上において、画像の透過率が、画像下側(画面の下側部分)と画像上側(画面の上側部分)とで透過率を異ならせている。図7(A)には、第4の実施の形態に係る第2車室内画像として車室画像30Cが概略図にて示されており、図7(B)には、車室画像30Cが合成された合成画像36Cが概略図にて示されている。
図7(A)に示されるように、車室画像30Cでは、下辺側の画像の透過率が所定の透過率(例えば、90%)とされ、上辺へ向けて徐々に透過率が高くされて、上辺近傍において画像の透過率が最も高く(例えば、透過率100%)されている。このような処理は、図3のステップ102において撮影画像に対して画像処理を行う際、透過率の変換処理について、撮影画像全体に対して透過率の変換処理が行われれば良い。これにより、車室画像30Cでは、下辺から上辺へ向けて画像の濃さが徐々に薄くされている。
図7(B)に示される合成画像36Cには、車室後方画像32が含まれるので、車体部品や車室内の乗員を認識でき、モニタ22に表示される合成画像36Cを視認する乗員に違和感を生じさせるのを抑制できる。また、合成画像36Cでは、上辺側の車体部品の画像の透過率が高くされているので、車両後方画像34の視認範囲(特に車両後方)を広くできて、視認の車両後方の視認を補助できる。
なお、第2車室内画像は、画像の上辺から画像の下辺へ向けて透過率が高くなるように変化されても良い。図7(C)には、第4の実施の形態の他の一例とする第2車室内画像として車室画像30Dが概略図にて示されており、図7(D)には、車室画像30Dが合成された合成画像36Cが概略図にて示されている。
図7(C)に示されるように、車室画像30Dでは、上辺側の画像の透過率が所定の透過率(90%)とされ、下辺にいくに従って徐々に透過率が高くされて、下辺近傍において画像の透過率が最も高く(透過率100%)されている。これにより、車室画像30Dでは、画像の透過率が上辺から下辺へ向けて高くされて、画像の濃さが徐々に薄くされている。
図7(D)に示される合成画像36Dには、車室後方画像32が含まれるので、車体部品や車室内の乗員を認識でき、モニタ22に表示される合成画像36Dを視認する乗員に違和感を生じさせるのを抑制できる。また、合成画像36Dでは、下辺側の車体部品の画像の透過率が高くされているので、車体部品の画像に重なる車両後方画像34の下側の視認範囲が容易となり、視認の車両後側近傍の視認を補助できる。
また、車室画像30C、Dは、予め生成しておくことができるので、車体部品の画像ごとに透過率が異なっていたり、画像面の上下で透過率が異なったりしていても、モニタ22に合成画像36C、36Dを表示するために、制御装置26(CPU28A)の処理負荷が増加するのを抑制できる。
なお、第4の実施の形態では、第2車室内画像の下辺及び上辺の一方から他方へ向けて透過率が高くなるようにしたが、これに限るものではない。第2車室内画像は、画像の横方向(例えば、車幅方向)の一方の辺から他方の辺に向けて透過率が徐々に高くなるようにしても良く、また、画像の幅方向の両側の各々から中央部へ向けて透過率が高くなるようにしても良く、さらに、画像の幅方向の中央部から幅方向の両側へ向けて透過率が高くなるようにしても良い。
また、第4の実施の形態では、車室画像30C又は車室画像30Dを車室後方画像32及び車両後方画像34に重ねるようにしたが、これに限らず、車両12の走行速度(車速)に応じて車室画像30C及び車室画像30Dの一方を選択して表示するようにしても良い。この場合、制御装置26は、車速センサにより検出される車速を複数段階(例えば、低速、中速、高速の3段階)に分け、車速が低速であれば、車室画像30Dを選択して、車室画像30Dを含む合成画像36Dを表示し、車速が高速であれば、車室画像30Cを選択して、車室画像30Cを含む合成画像36Cを表示しても良い。
これにより、車両12が高速走行中は、車両後方の視認性が向上され、車両12が低速走行中は、車両後方近傍の視認性が向上されるので、車速に応じて乗員の視認を適正に補助できる。なお、車両12が中速走行中であれば、車室画像30C、30Dの何れも用いずに、車室後方画像32及び車両後方画像34を合成してモニタ22に表示するようにしても良い。
一方、第2の実施の形態及び第3の実施の形態では、第2車室内画像としての車室画像30A、30Bにおいて車体部品の透過率を変化させて、車室画像30A又は車室画像30Bを車室後方画像32、及び車両後方画像34に合成した。また、第4の実施の形態では、第2車室内画像として画像面の上下で透過率の異なる車室画像30C、30Dを車室画像30Bを車室後方画像32、及び車両後方画像34に合成した。しかしながら、第1車室内画像について車外部品の画像又は画像面の透過率を変化させて、車両後方画像34に合成しても良い。これにより、第2車室内画像を用いることなく、表示部に表示する合成画像に遠近感を持たせることができる共に、表示される合成画像に違和感を生じるのを抑制できる。
従って、第1の実施の形態から第4の実施の形態は、第1撮像部により車外から車両後方を撮像し、第2撮像部により車室内の車両前側から車室内と共に、ウインドガラスを通して前記第1撮像部の撮影領域を撮像し、前記第2撮像部により撮像されて車両前側の車体部品の透過率及び車両後側の車体部品の透過率の一方を他方よりも低くされた室内画像を前記第1撮像部により撮像された車外画像に合成して、車室内の車両前側に設けられた表示部に表示する車両用視認画像表示方法を含む。
〔第5の実施の形態〕
次に第5の実施の形態を説明する。なお、第5の実施の形態において第1の実施の形態から第4の実施の形態の何れかと同様の機能部品については、第1の実施の形態から第4の実施の形態と同様の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
第5の実施の形態では、予め第2撮像部の撮像領域を撮像して得られる第2車室内画像を用いないで、第2撮像部により撮像された撮影画像から得られる車室内画像(第1車室内画像に相当する画像)を第1撮像部により撮像された車外画像に合成する。図8(A)には、第5の実施の形態に係る車室内画像としての車室後方画像32Aが概略図にて示されており、図8(B)には、第5の実施の形態に係る合成画像36Eが概略図にて示されている。
車室後方画像32Aは、インナーカメラ24により車室内が撮像された撮影画像に対して、所定の透過状態とすることで生成される。車室後方画像32Aでは、車両前側の車体部品(前席16C、センターピラー16F等)の画像と車両後側の車体部品(リアウインドガラス16Aの周縁の車室内天井16E、後席16D、及びリアピラー16G等)の画像との間で透過率を異なっている。車室後方画像32Aでは、インナーミラー18に近い車両前側の車体部品の画像の透過率が、インナーミラー18から離れた位置にある車両後側の車体部品の画像の透過率より高くされ、車両前側の車体部品が車両後側の車体部位品より淡く映るようにされる。この際、車両前側の車体部品の画像の透過率は、合成画像上で視認可能となる透過率(例えば、80%〜90%)とされ、車両後側の車体部品の画像の透過率は、車両前側の車体部品の画像より濃く視認される透過率(例えば、70%〜80%程度)とされる。
また、車室後方画像32Aに対しては、リアウインドガラス16A及びドアガラス16Bに接している車体部品の輪郭に対してぼかし処理(第2の実施の形態参照)を行うことで、ぼかし部38A、38Bを設ける。ぼかし処理の範囲(ぼかし幅)は、リアウインドガラス16A及びドアガラス16Bとの間で、車両前側となるドアガラス16Bの車体部品のぼかし部38Bより車両後側となるリアウインドガラス16Aの周囲の車体部品のぼかし部38Aにおいて広くなるようにされる。なお、図8(A)では、ぼかし処理された車体部品の輪郭が二点鎖線で示されている。
第5の実施の形態に係る処理を実行する場合、図3のフローチャートにおいてステップ100、102が省略され、ステップ108の画像処理において、車体部品ごとの透過率の変換処理と共に、及びリアウインドガラス16A及びドアガラス16Bに接する車体部品に対する輪郭のぼかし処理が行われ、これにより、生成された車室後方画像32Aが車両後方画像34により合成されて、合成画像36Eが得られる。
ここで、合成画像36Eでは、車室後方画像32Aにぼかし部38A、38Bが設けられることで、リアウインドガラス16A及びドアガラス16Bに接する車体部品の画像の輪郭があいまい(ぼやかす)とされているので、車両後方の視認性を向上できて、乗員の車両後方の視認性を向上できる。
また、合成画像36Eでは、リアウインドガラス16Aの周囲のぼかし部38Aのぼかし幅が、リアウインドガラス16Aより車両前側のドアガラス16Bの周囲のぼかし部38Bのぼかし幅より広くなっている。このため、合成画像36Eでは、車体部品の間で遠近感が得られ、車両12後方に映る対象物の車両12に対する相対位置(遠近)を認識可能にできる。しかも、車両前側の車体部品の画像と車両後側の車体部品の画像との間で濃さが相違するので、車体部品の遠近感をより向上できて、車両12後方に映る対象物の車両12に対する相対位置(遠近)の認識性を向上できる。
なお、第5の実施の形態では、車両前側の車体部品の画像の透過率を車両前側の車体部品の画像の透過率より高くしたが、これに限らず、車両前側の車体部品の画像の透過率より車両後側の車体部品の画像の透過率を高くしてもよく、車両前側の車体部品の画像と車両部品の画像との間で透過率(ぼかし部分を除く透過率)を同様としても良い。さらに、インナーカメラ24の撮影画像から得られる車室内画像上において、画像の下辺及び画像の上辺の一方から他方へ向けて透過率が高くなるように変化させると共に、リアウインドガラス16A及びドアガラス16Bの周縁外側にぼかし部分を設けるようにしても良い。
また、以上説明した第1の実施の形態から第5の実施の形態では、車両後方を撮像する第1撮像部として、1台の車外カメラ14を用いた。しかしながら、第1撮像部としては、複数台のカメラが用いられても良い。第1撮像部としては、車幅方向の両側において車両後側(車両後側の車幅方向両側)の各々に車外カメラを設けて、車両後側を含む車両右後側及び車両後側を含む車両右後側を撮像しても良い。また、第1撮像部としては、車両後側に撮像手段を設けると共に、左右のドアミラー又は左右のドアミラー付近の各々において車両後側を撮像する撮像手段を設けてもよい。第1撮像部に複数の撮像手段が用いられる場合に、車両後方画像は、各々の撮像手段の撮影画像を合成して生成されるものであれば良い。
さらに、第1の実施の形態から第5の実施の形態では、第1撮像部としての車外カメラ14及び第2撮像部としてのインナーカメラ24の撮像方向を車両後方とした。しかしながら、第1撮像部は、車両後方に限らず、車幅右方向、車幅左方向、及び車両前方の何れであっても良く、第2撮像部の撮像方向は、車室内から第1撮像部の撮像領域を含む方向であれば良い。これにより、乗員の車両側方及び車両前方の視認を補助できる。