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JP6792660B2 - 光学積層体及びその製造方法 - Google Patents

光学積層体及びその製造方法 Download PDF

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JP6792660B2 JP2019038802A JP2019038802A JP6792660B2 JP 6792660 B2 JP6792660 B2 JP 6792660B2 JP 2019038802 A JP2019038802 A JP 2019038802A JP 2019038802 A JP2019038802 A JP 2019038802A JP 6792660 B2 JP6792660 B2 JP 6792660B2
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Description

本発明は、光学積層体及びその製造方法に関する。
特許文献1には、少なくとも対向する端辺に沿って厚肉部が形成された偏光板が提案されている。また、特許文献2には、衝撃吸収粘着剤層を有する衝撃吸収粘着剤シートが開示され、衝撃吸収粘着剤層の側面がテーパ面である衝撃吸収粘着剤シートが開示されている。
特開2012−173588号公報 特開2015−166459号公報
光学積層体は、レーザー光等を用いて光学積層フィルムから切断された場合、屈曲性が低下する場合がある。
本発明は、レーザー光等によって光学積層フィルムから切断された場合でも屈曲性に優れた光学積層体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す積層体及びその製造方法を提供する。
[1] 前面板と、偏光子層とを備える光学積層体であって、平面視において外周端部の少なくとも一部を含む変形部と、変形部以外の領域である正常部とを有し、下記式(1)を満たす光学積層体。
/WHAZ≧4.0 (1)
HAZ:変形部の幅[μm]
:正常部の厚み[μm]
[2] 下記式(2)を更に満たす、[1]に記載の光学積層体。
1≦M/MHAZ<1.15 (2)
HAZ:変形部の圧縮弾性率[MPa]
:正常部の圧縮弾性率[MPa]
[3] 前面板と、偏光子層とを備える光学積層体であって、平面視において外周端部の少なくとも一部を含む変形部と、変形部以外の領域である正常部とを有し、下記式(2)を満たす光学積層体。
1≦M/MHAZ<1.15 (2)
HAZ:変形部の圧縮弾性率[MPa]
:正常部の圧縮弾性率[MPa]
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の光学積層体を含む、画像表示装置。
[5] [1]〜[3]のいずれかに記載の光学積層体の製造方法であって、
光学積層フィルムをレーザーカッターから照射されるレーザー光で切断して光学積層体を得る切断工程を含む、製造方法。
[6] 前記レーザー光を1回照射したときの単位長さ当たりのエネルギーは150[mJ/mm]以下である、[5]に記載の製造方法。
本発明によれば、レーザー光等によって光学積層フィルムから切断された場合でも屈曲性に優れた光学積層体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る光学積層体の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る光学積層体の他の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る光学積層体のさらに他の一例を示す概略断面図である。 走査型電子顕微鏡による光学積層体の断面観察像である。 本発明に係る光学積層体の他の一例の外周端部を示す概略断面図である。 実施例1における光学積層体の製造方法を説明する概略断面図である。 実施例1における光学積層体の製造方法を説明する概略断面図である。 実施例1における光学積層体の製造方法を説明する概略断面図である。 実施例1における光学積層体の製造方法を説明する概略断面図である。 実施例1における光学積層体の製造方法を説明する概略断面図である。 実施例1における光学積層体の製造方法を説明する概略断面図である。 実施例6における光学積層体の製造方法を説明する概略断面図である。 実施例6における光学積層体の製造方法を説明する概略断面図である。 実施例6における光学積層体の製造方法を説明する概略断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の全ての図面においては、各構成要素を理解し易くするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
<光学積層体>
図1は、本発明の一実施形態による光学積層体の概略断面図である。図1に示す光学積層体(以下、省略して「積層体」ともいう)1は、前面板10と、偏光子層20とを含む屈曲可能な積層体である。屈曲可能とは、積層体1を、偏光子層の吸収軸方向及び透過軸方向に屈曲させたときに、クラック及び破断せずに曲げることができることを意味する。屈曲可能とは、好ましくは積層体の内面の曲率半径が2.5mmでの屈曲が可能であることを意味し、より好ましくは積層体の内面の曲率半径が2.5mmでの屈曲回数が1万回であってもクラックが生じないことを意味する。
吸収軸方向とは、偏光子層20を構成する後述の二色性色素および重合性液晶化合物が基材面に対して水平配向した状態で重合性液晶化合物が硬化された場合や液晶性を示す二色性色素が基材面に対して水平配向した場合において、二色性色素および重合性液晶化合物の配向方向をいう。透過軸方向とは、偏光子層20を構成する後述の二色性色素と重合性液晶化合物とが基材面に対して水平配向した状態で重合性液晶化合物が硬化された場合や液晶性を示す二色性色素が基材面に対して水平配向した場合において、基材面に対して水平な方向であって、かつ配向方向に対して垂直な方向をいう。偏光子層20の配向状態は偏光顕微鏡観察によって確認することができる。偏光顕微鏡に積層体1を設置し、偏光顕微鏡の偏光板を回転させていったときに光抜けが発生して最も明るい明視野で観察されるとき、偏光顕微鏡の偏光板の配向方向が積層体1の偏光子層20の吸収軸方向となる。光抜けが発生せずに最も暗い暗視野で観察されるとき、偏光顕微鏡の偏光板の配向方向が積層体1の偏光子層20の透過軸方向となる。
光学積層体1は、上述した層以外の他の層を含むことができる。他の層は、例えば、前面板10と偏光子層20との間や、偏光子層20の外側(前面板側とは反対側)に配置され得る。他の層としては、例えば、前面板10と偏光子層20との間に配置される第1粘着剤層や、偏光子層20の前面板10側とは反対側の面に第2粘着剤層を介して配置される支持基材又はタッチセンサパネル、タッチセンサパネルが第2粘着剤層を介して配置される場合にはタッチセンサパネルの第2粘着剤層側とは反対側の面に第3粘着剤層を介して配置される支持基材等が挙げられる。
光学積層体1は、第1粘着剤層と偏光子層20との間に配置される熱可塑性樹脂フィルム層を含むことができる。例えば、光学積層体1は、偏光子層20における前面板10側の面及び/又は支持基材若しくはタッチセンサパネル側の面に例えば接着剤層を介して積層される熱可塑性樹脂フィルム層を含んでいてもよい。また、光学積層体には、塗布液の塗布によって層を形成する際に塗布液が塗布される基材フィルムが上記層とともに組込まれていてもよい。
光学積層体1の厚みは、光学積層体1に求められる機能及び光学積層体1の用途等に応じて異なるため特に限定されないが、例えば50μm以上1000μm以下であってよく、好ましくは100μm以上500μm以下であり、より好ましくは100μm以上300μm以下である。
光学積層体1の平面視形状は、例えば方形形状であってよく、好ましくは長辺と短辺とを有する方形形状であり、より好ましくは長方形である。光学積層体1の平面視形状が長方形である場合、長辺の長さは、例えば10mm以上1400mm以下であってよく、好ましくは50mm以上600mm以下である。短辺の長さは、例えば5mm以上800mm以下であり、好ましくは30mm以上500mm以下であり、より好ましくは50mm以上300mm以下である。
光学積層体1の平面視形状が方形形状である場合、光学積層体1を構成する各層における各辺の長さは互いに同じであってよい。光学積層体1を構成する各層は、角部がR加工されたり、端部を切り欠き加工されたり、穴あき加工されたりしていてもよい。
本明細書において、平面視とは、層の厚み方向から見ることを意味する。
上述のように光学積層体1は、その面内における少なくとも一方向に関して、光学積層体1の内面の曲率半径が2.5mmとなるように繰り返し屈曲させるとき、好ましくは、その屈曲回数が1万回であってもクラックが生じない。
光学積層体1は、その面内における少なくとも一方向に関して、光学積層体1の内面の曲率半径が2.5mmとなるように繰り返し屈曲させるとき、より好ましくは、その屈曲回数が3万回であってもクラックが生じず、さらに好ましくは、その屈曲回数が5万回であってもクラックが生じず、なおさらに好ましくは、その屈曲回数が10万回であってもクラックが生じない。
光学積層体1は、少なくとも、その面内における一方向及びそれに直交する方向に関して、上記繰り返しの屈曲をさせたときのクラックを生じない屈曲回数が上記範囲であることが好ましい。
本明細書において、屈曲には、曲げ部分に曲面が形成される折り曲げの形態が含まれる。折り曲げの形態において、折り曲げた内面の曲率半径は特に限定されない。また、屈曲には、内面の屈折角が0度より大きく180度未満である屈折の形態、および内面の曲率半径がゼロに近似、または内面の屈折角が0度である折り畳みの形態が含まれる。
屈曲性が良好な光学積層体1を適用した画像表示装置は、屈曲可能なフレキシブルディスプレイとして用いることができる。
図2は、本発明に係る光学積層体の一例を示す概略断面図である。図2に示される光学積層体2は、前面板10、第1粘着剤層30、偏光子層20、第2粘着剤層40、支持基材50をこの順に備える。
図3は、本発明に係る光学積層体の他の一例を示す概略断面図である。図3に示される光学積層体3は、前面板10、第1粘着剤層30、偏光子層20、第2粘着剤層40、タッチセンサパネル60、第3粘着剤層70、支持基材50をこの順に備える。
光学積層体は、平面視において外周端部の少なくとも一部を含む変形部と、変形部以外の領域である正常部とを有し、下記式(1)を満たす。
/WHAZ≧4.0 (1)
HAZ:平面視における変形部の幅[μm]
:断面視における正常部の厚み[μm]
光学積層体は、式(1)を満たすことにより、屈曲性に優れることとなる。
光学積層体は、長尺状又は枚葉状の光学積層フィルムから所定の寸法や形状に切断することにより得ることができる。得られた光学積層体が、例えばレーザー光等によって形成された切断面を有する場合、屈曲したときに、その切断面を有する外周端部領域にクラック等が生じ易く、十分な屈曲性が得られない場合があった。クラックが発生した外周端部領域の断面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、図4aに示されるように、厚み方向において熱により変形が生じ、両方の面において厚み方向に膨張していることが多いことが分かった。図4bに示すように、厚みが大きくなっている領域を変形部とし、厚みに変化が生じていない領域を正常部としたとき、変形部の幅(WHAZ)101に対して未変形部の厚み(T)102が所定の値以上である場合、光学積層体は屈曲性に優れることを見出した。なお変形部101と正常部102との境界103は、走査型電子顕微鏡により光学積層体の断面において両面又は片面に観察される厚み変化が始まる箇所のうち外周端部より最も離れた箇所を含む厚み方向に平行な直線とする。また、境界が複数観察される場合は、外周端部より最も離れた境界より外側(外周端部側)にある領域を変形部とする。また、本発明では、変形部以外の領域を正常部とし、その厚みを正常部の厚みTとする。変形部101と正常部102との境界103は、切断面を含む外周端部領域の透過光を光学顕微鏡で観察したときに明暗の違いにより観察することもできる。
変形部は、通常、切断面に沿って一定の幅で光学積層体の外周に形成されることが多い。変形部が切断面に沿って一定の幅でない場合、変形部の幅は、変形部の最長の幅であることができる。光学積層体は、外周端部の少なくとも一部が光学積層フィルムから切断されたものであればよく、すなわち変形部が外周端部の少なくとも一部を含むものであればよい。また、光学積層体は、外周端部の全部が光学積層フィルムから切断されたものであってもよく、すなわち変形部が外周端部の全部を含むものであってもよい。
図5は、図2の構成の光学積層体2の外周端部を示す概略断面図である。切断面201は、レーザー光により切断された切断面であり、レーザー照射方向202において照射側から出射側にかけて傾斜している。この傾斜の角度は、例えばレーザー光の出力や切断速度、照射角、照射方向などによって変化し得る。図5において、変形部と正常部との境界は、レーザー光照射側の面に変形が生じている部分からレーザー光出射側の面に降ろした垂線203の位置とすることができる。変形部の幅WHAZは、この垂線203と光学積層体のレーザー光出射側面との交点から、光学積層体のレーザー光出射側面の端部との距離204となる。
変形部の幅WHAZは、変形部が切断面に沿って線状に形成される場合、切断面に垂直な方向における線の幅を意味する。例えば変形部が切断面に沿って直線状に形成される場合、その切断面から垂直な方向における正常部までの距離となる。外周に沿った方向の切断面の長さは例えば1mm以上であってよく、通常、光学積層体の外周の長さ以下である。
変形部の幅WHAZは、例えば1μm以上65μm以下であってよく、好ましくは5μm以上50μm以下であり、より好ましくは10μm以上40μm以下であり、さらに好ましくは15μm以上35μm以下である。変形部の幅WHAZは後述の実施例の欄に説明する方法によって測定することができる。
変形部の幅WHAZは、切断条件の調節によって上記範囲とすることができる。例えばレーザー光により光学積層フィルムを切断する場合、変形部の幅WHAZは、レーザー光の出力を小さくすると変形部の幅も小さくなる傾向にある。
図5に示す正常部の厚みT205は、上述の光学積層体の厚みであってよく、例えば50μm以上1000μm以下であり、好ましくは100μm以上500μm以下であり、より好ましくは100μm以上300μm以下である。
変形部の厚みTHAZは、部材の厚みの振れ及び屈曲性の観点から、正常部の厚みTより例えば0.1μm以上1000μm以下厚くなっていてよい。変形部の厚みTHAZは、走査型電子顕微鏡により観察される光学積層体の変形部の断面において一方の面と他方の面においてそれぞれ厚みが大きくなった箇所を含めたときの最大厚みである。
/WHAZは、好ましくは6以上であり、より好ましくは8以上であり、さらに好ましくは10以上である。上限値は特に限定されないが、T/WHAZは、100以下であることができ、50以下であることができ、30以下であってもよい。
別の観点から光学積層体は、下記式(2)を満たす。
1≦M/MHAZ<1.15 (2)
HAZ:変形部の圧縮弾性率[MPa]
:正常部の圧縮弾性率[MPa]
光学積層体は、式(2)を満たすことにより、屈曲性に優れることとなる。光学積層体は、式(1)および式(2)を満たすことにより、更に優れた屈曲性が得られる傾向にある。
本発明者により、変形部の圧縮弾性率は変化している場合があることが見出された。そのような場合、圧縮弾性率は高くなる傾向にある。変形部の圧縮弾性率の変化が大きくなり過ぎないようにすると優れた屈曲性が得られる傾向にあることが突止められた。
上記式(2)を満たすようにするために、切断条件を調節することができる。例えばレーザー光により光学積層フィルムを切断する場合、変形部の圧縮弾性率は、レーザー光の出力を小さくすると増加が抑制され易くなる傾向にある。
正常部の圧縮弾性率Mは、例えば1000MPa以上4000MPa以下であってよく、好ましくは1500MPa以上3500MPa以下である。圧縮弾性率は、前面板の表面における正常部と変形部とでそれぞれ測定される。圧縮弾性率は後述の実施例の欄において説明する方法で測定される。
/MHAZは、好ましくは1以上1.10以下であり、より好ましくは1以上1.08以下であり、さらに好ましくは1以上1.05以下であり、特に好ましくは1以上1.03以下である。M/MHAZは、1を超えてもよい。
[前面板]
前面板10は、好ましくは、光を透過可能な板状体である。前面板10は、1層のみから構成されてもよく、2層以上から構成されてもよい。前面板10は、画像表示装置の最表面を構成する層であることができる。
前面板10としては、例えば、ガラス製の板状体(例えば、ガラス板、ガラスフィルム等)、樹脂製の板状体(例えば、樹脂板、樹脂シート、樹脂フィルム等)が挙げられる。
上記の中でも、光学積層体及びこれを含む画像表示装置の屈曲性の観点から、樹脂フィルム等の樹脂製の板状体であることが好ましい。
樹脂フィルム等の樹脂製の板状体を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)等のポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;エチレン−酢酸ビニル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエーテルイミド系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリビニルアセタール系樹脂;ポリエーテルケトン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、単独で又は2種以上混合して用いることができる。
中でも、可撓性、強度及び透明性の観点から、前面板10を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂が好適に用いられる。
前面板10は、基材フィルムの少なくとも一方の面にハードコート層を設けて硬度をより向上させたフィルムであってもよい。基材フィルムとしては、上述の樹脂フィルムを用いることができる。
ハードコート層は、基材フィルムの一方の面に形成されていてもよいし、両方の面に形成されていてもよい。ハードコート層を設けることにより、硬度及びスクラッチ性を向上させることができる。
ハードコート層は、例えば、紫外線硬化型樹脂の硬化層である。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。ハードコート層は、強度を向上させるために、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は限定されることはなく、無機系微粒子、有機系微粒子、又はこれらの混合物が挙げられる。
前面板10は、画像表示装置の前面(画面)を保護する機能(ウィンドウフィルムとしての機能)を有するのみではなく、タッチセンサとしての機能、ブルーライトカット機能、視野角調整機能等を有するものであってもよい。
前面板10の厚みは、例えば20μm以上2000μm以下であってよく、好ましくは25μm以上1500μm以下、より好ましくは30μm以上1000μm以下、さらに好ましくは40μm以上500μm以下、特に好ましくは40μm以上200μm以下、なおさらには40μm以上100μm以下であってもよい。
[第1粘着剤層]
第1粘着剤層30は、前面板10と偏光子層20との間に配置される粘着剤層である。
光学積層体は、第1粘着剤層30として1層又は2層以上の粘着剤層を含むことができるが、好ましくは1層である。
第1粘着剤層30は、(メタ)アクリル系、ゴム系、ウレタン系、エステル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物で構成することができる。中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよい。
粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上をモノマーとする重合体又は共重合体が好適に用いられる。
ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、通常は架橋剤をさらに含有する。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの;ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの;ポリエポキシ化合物やポリオールであって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの;ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線の照射を受けて硬化する性質を有しており、活性エネルギー線照射前においても粘着性を有してフィルム等の被着体に密着させることができ、活性エネルギー線の照射によって硬化して密着力等の調整ができる性質を有する粘着剤組成物である。
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、紫外線硬化型であることが好ましい。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、ベースポリマー、架橋剤に加えて、活性エネルギー線重合性化合物をさらに含有する。さらに必要に応じて、光重合開始剤や光増感剤等を含有させてもよい。
活性エネルギー線重合性化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー;官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物等の(メタ)アクリル系化合物が挙げられる。
粘着剤組成物は、光散乱性を付与するための微粒子、ビーズ(樹脂ビーズ、ガラスビーズ等)、ガラス繊維、ベースポリマー以外の樹脂、粘着性付与剤、充填剤(金属粉やその他の無機粉末等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、着色剤、消泡剤、腐食防止剤、光重合開始剤等の添加剤を含むことができる。
第1粘着剤層30は、上記粘着剤組成物の例えば有機溶剤希釈液を基材上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を用いた場合は、形成された粘着剤層に、活性エネルギー線を照射することにより所望の硬化度を有する硬化物とすることができる。
第1粘着剤層30の厚みは、例えば、2μm以上100μm以下であり、好ましくは3μm以上50μm以下であり、より好ましくは5μm以上30μm以下である。
[偏光子層]
偏光子層20としては、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルム又は延伸層、吸収異方性を有する色素を塗布し硬化させてなる層等が挙げられる。
吸収異方性を有する色素としては、例えば、二色性色素が挙げられる。二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性の有機染料が用いられる。二色性有機染料には、C.I.DIRECT RED 39等のジスアゾ化合物からなる二色性直接染料、トリスアゾ、テトラキスアゾ等の化合物からなる二色性直接染料が包含される。
吸収異方性を有する色素を塗布し硬化させてなる偏光子層としては、液晶性を有する二色性色素を含む組成物又は二色性色素と重合性液晶とを含む組成物を塗布し硬化させて得られる層等の重合性液晶化合物の硬化物を含む偏光子層が挙げられる。
吸収異方性を有する色素を塗布し硬化させてなる偏光子層は、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルム又は延伸層に比べて、屈曲方向に制限がないため好ましい。したがって、少なくとも面内における一方向及びそれに直交する方向、さらには、面内におけるあらゆる方向に関して、上記繰り返しの屈曲をさせたときのクラックを生じない屈曲回数が上記範囲である光学積層体を得るうえでは、偏光子層20として、吸収異方性を有する色素を塗布し硬化させて層を用いることが好ましい。
(1)延伸フィルム又は延伸層である偏光子層
吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムである偏光子層20は、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造することができる。
偏光子層20の厚みは、例えば2μm以上40μm以下である。偏光子層の厚みは、5μm以上であってもよく、20μm以下、さらには15μm以下、なおさらには10μm以下であってもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することによって得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体が用いられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールも使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1000以上10000以下であり、好ましくは1500以上5000以下である。
吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸層である偏光子層20は、通常、上記ポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を基材フィルム上に塗布する工程、得られた積層フィルムを一軸延伸する工程、一軸延伸された積層フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させて偏光子層20とする工程、二色性色素が吸着されたフィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造することができる。
必要に応じて、基材フィルムを偏光子層20から剥離除去してもよい。基材フィルムの材料及び厚みは、後述する熱可塑性樹脂フィルムの材料及び厚みと同様であってよい。
延伸フィルム又は延伸層である偏光子層20は、その片面又は両面に熱可塑性樹脂フィルムが貼合されている形態で光学積層体に組み込まれてもよい。この熱可塑性樹脂フィルムは、偏光子層20用の保護フィルム、又は位相差フィルムとして機能し得る。
熱可塑性樹脂フィルムは、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂など)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂など)等のポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;又はこれらの混合物等からなるフィルムであることができる。
熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、薄型化の観点から、通常300μm以下であり、好ましくは200μm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは80μm以下であり、なおさらに好ましくは60μm以下であり、また、通常5μm以上であり、好ましくは20μm以上である。
熱可塑性樹脂フィルムは位相差を有していても、有していなくてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムは、例えば、接着剤層を用いて偏光子層20に貼合することができる。
(2)吸収異方性を有する色素を塗布し硬化させてなる偏光子層
吸収異方性を有する色素を塗布し硬化させてなる偏光子層としては、液晶性を有する重合性の二色性色素を含む組成物又は二色性色素と重合性液晶とを含む組成物を基材フィルム(又は基材フィルム上に形成された配向膜)に塗布し硬化させて得られる層等の重合性液晶化合物の硬化物を含む偏光子層が挙げられる。
必要に応じて、基材フィルム又は基材フィルムと配向膜との両方を偏光子層20から剥離除去してもよい。基材フィルムの材料及び厚みは、上述した熱可塑性樹脂フィルムの材料及び厚みと同様であってよい。
吸収異方性を有する色素を塗布し硬化させてなる偏光子層20は、その片面又は両面に熱可塑性樹脂フィルムが貼合されている形態で光学積層体に組み込まれてもよい。熱可塑性樹脂フィルムとしては、延伸フィルム又は延伸層である偏光子層に用い得る熱可塑性樹脂フィルムと同様のものを用いることができる。
熱可塑性樹脂フィルムは、例えば、接着剤層を用いて偏光子層20に貼合することができる。
吸収異方性を有する色素を塗布し硬化させてなる偏光子層20としては、具体的には、特開2013−37353号公報や特開2013−33249号公報等に記載のものが挙げられる。
吸収異方性を有する色素を塗布し硬化させてなる偏光子層20の厚みは、通常10μm以下であり、好ましくは0.5μm以上8μm以下であり、より好ましくは1μm以上5μm以下である。
偏光板に後述の位相差フィルム(例えば、位相差層としてλ/4板を含む位相差フィルム)を積層し、円偏光板を得ることができる。このとき、偏光子の吸収軸とλ/4板の遅相軸とのなす角度は、45°±10°であることができる。
[第2粘着剤層]
第2粘着剤層40は、偏光子層20とタッチセンサパネル60との間に配置される粘着剤層である。
ただし、これらの実施形態に限定されず、光学積層体は、第2粘着剤層40を含んでいなくてもよいし、第2粘着剤層40として1層又は2層以上の粘着剤層を含んでいてもよい。第2粘着剤層40の数は、好ましくは1以上であり、より好ましくは1以上3以下であり、さらに好ましくは1又は2である。
第2粘着剤層40を構成する粘着剤組成物の組成及び配合成分、粘着剤組成物のタイプ(活性エネルギー線硬化型や熱硬化型であるか否か等)、第2粘着剤層40に配合され得る添加剤、第2粘着剤層40の作製方法、第2粘着剤層40の厚みについては、第1粘着剤層30についての記述が引用される。
第2粘着剤層40に相当する1層又は2層以上の粘着剤層はそれぞれ独立に、厚み等において、第1粘着剤層30と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
[支持基材]
支持基材50は、好ましくは、光を透過可能な板状体である。支持基材50は、1層のみから構成されてもよく、2層以上から構成されてもよい。支持基材50は、位相差フィルム、タッチセンサパネル、有機EL表示素子などの表示素子又はこれらの組合せであることもできる。
支持基材50としては、前面板10と同様に、例えば、ガラス製の板状体(例えば、ガラス板、ガラスフィルム等)、樹脂製の板状体(例えば、樹脂板、樹脂シート、樹脂フィルム等)が挙げられる。
上記の中でも、光学積層体及びこれを含む画像表示装置の屈曲性の観点から、樹脂フィルム等の樹脂製の板状体であることが好ましい。樹脂フィルム等の樹脂製の板状体を構成する熱可塑性樹脂の具体例については、前面板10についての記述が引用される。熱可塑性樹脂は、好ましくは、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等である。
支持基材50の厚みは、光学積層体の薄型化の観点から、好ましくは15μm以上200μm以下であり、より好ましくは20μm以上150μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上130μm以下である。
(位相差フィルム)
位相差フィルムは、1層または2層以上の位相差層を含むことができる。位相差層としては、λ/4板やλ/2板のようなポジティブAプレート、およびポジティブCプレートであることができる。位相差層は、上述の保護フィルムの材料として例示をした樹脂フィルムから形成されてもよいし、重合性液晶化合物が硬化した層から形成されてもよい。位相差フィルムは、さらに配向膜や基材フィルムを含んでいてもよい。
位相差フィルムの厚みは、例えば1μm以上50μm以下であってよい。
[タッチセンサパネル]
タッチセンサパネル60は、タッチされた位置を検出可能なセンサであれば、検出方式は限定されることはなく、抵抗膜方式、静電容量結合方式、光センサ方式、超音波方式、電磁誘導結合方式、表面弾性波方式等のタッチセンサパネルが例示される。低コストであることから、抵抗膜方式、静電容量結合方式のタッチセンサパネルが好適に用いられる。
抵抗膜方式のタッチセンサパネルの一例は、互いに対向配置された一対の基板と、それら一対の基板の間に挟持された絶縁性スペーサーと、各基板の内側の前面に抵抗膜として設けられた透明導電膜と、タッチ位置検知回路とにより構成されている。抵抗膜方式のタッチセンサパネルを設けた画像表示装置においては、前面板10の表面がタッチされると、対向する抵抗膜が短絡して、抵抗膜に電流が流れる。タッチ位置検知回路が、このときの電圧の変化を検知し、タッチされた位置が検出される。
静電容量結合方式のタッチセンサパネルの一例は、基板と、基板の全面に設けられた位置検出用透明電極と、タッチ位置検知回路とにより構成されている。静電容量結合方式のタッチセンサパネルを設けた画像表示装置においては、前面板10の表面がタッチされると、タッチされた点で人体の静電容量を介して透明電極が接地される。タッチ位置検知回路が、透明電極の接地を検知し、タッチされた位置が検出される。
タッチセンサパネル60の厚みは、例えば5μm以上2,000μm以下であってよく、好ましくは5μm以上100μm以下、さらに好ましくは5μm以上50μm以下である。
[第3粘着剤層]
第3粘着剤層70は、タッチセンサパネル60と支持基材70との間に配置される粘着剤層である。
ただし、これらの実施形態に限定されず、光学積層体は、第3粘着剤層70を含んでいなくてもよいし、第3粘着剤層70として1層又は2層以上の粘着剤層を含んでいてもよい。第3粘着剤層70の数は、好ましくは1以上であり、より好ましくは1以上3以下であり、さらに好ましくは1又は2である。
第3粘着剤層70を構成する粘着剤組成物の組成及び配合成分、粘着剤組成物のタイプ(活性エネルギー線硬化型や熱硬化型であるか否か等)、第3粘着剤層70に配合され得る添加剤、第3粘着剤層70の作製方法、第3粘着剤層70の厚みについては、第1粘着剤層30についての記述が引用される。
第3粘着剤層70に相当する1層又は2層以上の粘着剤層はそれぞれ独立に、厚み等において、第1粘着剤層30と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
<光学積層体の製造方法>
光学積層体の製造方法は、光学積層フィルムをレーザーカッターから照射されるレーザー光で切断して光学積層体を得る切断工程を含む。
光学積層フィルムは、粘着剤層、あるいはさらに接着剤層を介して光学積層体を構成する層同士を貼合する工程を含む方法によって製造することができる。粘着剤層や接着剤層を介して層同士を貼合する場合には、密着性を高めるために、貼合面の一方又は両方に対して、例えばコロナ処理等の表面活性化処理を施すことが好ましい。
偏光子層や位相差層は、熱可塑性樹脂フィルム又は基材フィルム上に直接、又は配向膜を介して形成することが可能であり、この熱可塑性樹脂フィルム又は基材フィルムは光学積層体に組み込まれてもよいし、あるいは、偏光子層や位相差層から剥離されて光学積層体の構成要素とはならなくてもよい。光学積層フィルムは、例えば後述する実施例の欄に記載の方法により製造することができる。
切断工程では、光学積層フィルムをレーザーカッターで所望の形状や寸法に切断して光学積層体を得ることができる。また、製造方法は、光学積層フィルムをレーザーカッターで切断して光学積層体を得る切断工程の前若しくは後に、又はこの工程中において、レーザーカッターを用いる切断方法以外の切断方法、例えばトムソン刃を用いて切断する工程、リールカット工程等を含むこともできる。
レーザーカッターから照射するレーザー光の種類としては、例えばCOレーザー(波長9.3μm)、ファイバーレーザー(波長1064nm、YAGレーザー(波長1064nm)、YVOレーザー(波長1064nm)等が挙げられる。中でも光学積層体が式(1)を満たし易くする観点から好ましくはCOレーザー(波長9.3μm)である。COレーザー(波長9.3μm)としては、例えばSynrad社製の光源を用いることができる。レーザー光は、パルス光であってもよいし、CW光であってもよい。
レーザー光を照射する方向としては、光学積層フィルムの前面板側であってもよく、その反対面側であってもよいが、好ましくは前面板側である。
レーザー光は、水平に設置した光学積層フィルムの上側表面に対して鉛直下向きに照射することができ、レーザー光の走査方向に対して斜めに照射することもできる。レーザー光は、水平に設置した光学積層フィルムの下側表面に対して焦点を合わせるように照射することができる。例えばレーザー光を前面板側から照射する場合、前面板の表面に焦点を合わせることができる。これにより、変形部が大きくなり過ぎるのを抑制し易くすることができる。
レーザー光の出力は、例えば1W以上75W以下であってよく、好ましくは5W以上65W以下、より好ましくは10W以上55W以下であり、さらに好ましくは10W以上30W以下である。レーザー光の出力は低い方が上述の変形部の幅WHAZが小さくなる傾向にある。
レーザー光を複数回照射することにより切断を行い易くすることが可能である。レーザー光を複数回照射する場合、レーザー光の照射回数は、例えば2回以上5回以下であってよく、好ましくは2回以上3回以下である。
レーザー光を走査する速度は、例えば10mm/秒以上1000mm/秒以下であってよく、好ましくは200mm/秒以上600mm/秒以下である。
レーザー光を1回照射したときの単位長さあたりのエネルギー(照射量)は、例えば150mJ/mm以下であってよく、好ましくは10mJ/mm以上125mJ/mm以下であってよく、好ましくは15mJ/mm以上110mJ/mm以下であり、より好ましくは20mJ/mm以上100mJ/mm以下である。
光学積層体の角部にR加工を施したり、端部に切り欠きや孔を設けたりするためにレーザーカッターを用いてもよい。
<画像表示装置>
本発明に係る画像表示装置は、上記本発明に係る光学積層体を含む。画像表示装置は特に限定されず、例えば有機EL表示装置、無機EL表示装置、液晶表示装置、電界発光表示装置等の画像表示装置が挙げられる。画像表示装置はタッチパネル機能を有していてもよい。光学積層体は、屈曲又は折り曲げ等が可能な可撓性を有する画像表示装置に好適である。
画像表示装置において、光学積層体は、前面板を外側(表示素子側とは反対側、すなわち視認側)に向けて、画像表示装置が有する表示素子の視認側に配置される。
本発明に係る画像表示装置は、スマートフォン、タブレット等のモバイル機器、テレビ、デジタルフォトフレーム、電子看板、測定器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器等として用いることができる。
本発明に係る画像表示装置は、屈曲性に優れているため、フレキシブルディスプレイ等に好適である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。例中の「%」及び「部」は、特記のない限り、質量%及び質量部である。試験及び測定は以下のようにして行った。
[圧縮弾性率]
得られた光学積層体の変形部及び正常部について、以下の条件で圧縮弾性率を測定した。Tipは、前面板の表面に対して押し込んだ。
評価装置:Nano Indenter
評価温度:常温、25℃
圧力:10mN
Tipの種類:Vickers Tip
反復測定:10回
[層の厚み]
接触式膜厚測定装置(株式会社ニコン製「MS−5C」)を用いて測定した。ただし、偏光子層及び配向膜については、レーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製「OLS3000」)を用いて測定した。
[変形部の幅]
まず、走査型電子顕微鏡による断面観察により変形部と正常部との境界を決定した。走査型電子顕微鏡により光学積層体の断面において両面又は片面に観察される厚み変化が始まる点のうち外周端部より最も離れた点を決定し、その点を含む厚み方向に平行な直線を境界とした。その境界から外周端部までの距離を測定し、その距離を変形部の幅とした。
[屈曲性]
得られた光学積層体について、以下の条件で屈曲性を測定した。
評価装置:Forehu社製、型名:F1−2SV
評価温度:常温、25℃
屈曲方式:In−folding(前面板を内側にした屈曲)
屈曲速度:1Hz
屈曲間待機時間:0秒
屈曲回数:最初にクラックが見えるまで繰返し屈曲を行った。
曲率半径:2.5mm(2.5R)
[実施例1]
下記の手順に従って、図2と同様の構成を有する光学積層体を作製した。
(1)前面板の用意
前面板10として、両面にハードコート層を有するウィンドウフィルム(ポリイミドフィルム(全体の厚み:70μm)を用意した。ハードコート層は、アクリル系樹脂が硬化した層であり、その厚みは10μmであった。ポリイミドフィルムの厚みは50μmであった。
(2)粘着シートAの作製
下記成分を、窒素雰囲気下で撹拌しながら55℃で反応させることによりアクリル樹脂を得た。
アクリル酸ブチル:70部
アクリル酸メチル:20部
アクリル酸:2.0部
ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル):0.2部
溶剤(酢酸エチル):80部
得られたアクリル樹脂に、架橋剤(東ソー株式会社製「コロネートL」)1.0部、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「X−12−981」)0.5部を混合し、全体固形分濃度が10%になるように酢酸エチルを添加して、粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物を離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(剥離フィルムB、厚み38μm)の離型処理面に、アプリケーターを利用して乾燥後の厚みが25μmになるように塗布した。塗布層を100℃で1分間乾燥して、粘着剤層を備えるフィルムを得た。その後、粘着剤層の露出面上に、離型処理された別のポリエチレンテレフタレートフィルム(剥離フィルムA、厚み38μm)を貼合した。その後、温度23℃、相対湿度50%RHの条件で7日間養生させた。
このようにして、剥離フィルムA/粘着剤層/剥離フィルムBからなる粘着シートAを作製した。
(3)偏光子層を有する積層フィルムAの作製
(3−1)重合性液晶化合物の調製
下記式(1−6)で表される重合性液晶化合物(以下、「化合物(1−6)」ともいう。)及び下記式(1−7)で表される重合性液晶化合物(以下、「化合物(1−7)」ともいう。)を、Lub et al.Recl.Trav.Chim.Pays−Bas、115、321−328(1996)に記載の方法に従って調製した。
(3−2)二色性色素の用意
二色性色素として、下記式(2−1a)、(2−1b)及び(2−3a)で示される特開2013−101328号公報の実施例に記載のアゾ色素を用意した。
(3−3)偏光子層形成用組成物の調製
重合性液晶化合物である化合物(1−6)75部及び化合物(1−7)25部、二色性色素である式(2−1a)、(2−1b)及び(2−3a)で示されるアゾ色素各2.5部、重合開始剤としての2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(BASFジャパン社製「Irgacure369」)6部、並びにレベリング剤としてのポリアクリレート化合物(BYK−Chemie社製「BYK−361N」)1.2部を、溶剤のトルエン400部に混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、偏光子層形成用組成物を調製した。
(3−4)配向膜形成用組成物の調製
以下の構造単位からなる光反応性基を有するポリマーを濃度が5%となるようにシクロペンタノンに溶解して、配向膜形成用組成物を調製した。
(3−5)偏光子層を有する積層フィルムAの作製
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(厚み25μm)上に、上記(3−4)で得られた配向膜形成用組成物をバーコート法により塗布し、80℃の乾燥オーブン中で1分間加熱乾燥した。
得られた乾燥塗膜に偏光UV照射処理を施して、第1配向膜(AL1)を形成した。偏光UV処理は、UV照射装置(ウシオ電機株式会社製「SPOT CURE SP−7」)から照射される光を、ワイヤーグリッド(ウシオ電機株式会社製「UIS−27132##」)を透過させて、波長365nmで測定した積算光量が100mJ/cmである条件で行った。第1配向膜(AL1)の厚みは100nmであった。
形成した第1配向膜(AL1)上に、上記(3−3)で得られた偏光子層形成用組成物をバーコート法により塗布し、120℃の乾燥オーブンにて1分間加熱乾燥した後、室温まで冷却した。上記UV照射装置を用いて、積算光量1200mJ/cm(365nm基準)で紫外線を、乾燥塗膜に照射することにより、偏光子層(pol)を形成した。得られた偏光子層の厚みは1.8μmであった。
このようにして偏光子層/第1配向膜(AL1)/熱可塑性樹脂フィルム層(TACフィルム)からなる積層フィルムAを得た。
(4)タッチセンサパネルの用意
タッチセンサパネルとして、タッチセンサパターン層を準備した。タッチセンサパターン層は、透明導電層としてのITO層と、分離層としてのアクリル系樹脂組成物の硬化層とを含むものであり、厚みが7μmであった。
(5)支持基材の用意
厚さ113μm、有機EL素子を備えるポリイミドフィルムを用意した。
(6)光学積層体の作製
図6〜図10を参照しながら説明する。なお、図6〜図10において配向膜は割愛している。
また、以下に示すあらゆる層同士の貼合においては、貼合される2つの層のそれぞれの貼合面にコロナ処理(出力0.3kW、速度3m/分、1回)を実施してから貼合を行った(他の実施例及び比較例についても同様である。)。
まず、上記(2)で得られた粘着シートAの剥離フィルムAを剥離し、露出した粘着剤層を、上記(3)で得られた積層フィルムAの偏光子層の面に貼合して、図6に示される積層フィルムを得た。図6において、参照符号20は、積層フィルムAの偏光子層を示し、参照符号90は、積層フィルムAの熱可塑性樹脂フィルム層を示し、参照符号40は、粘着シートAの粘着剤層を示し、これが第2粘着剤層40に相当し、参照符号41は、粘着シートAの剥離フィルムBを示す。
次に、図6に示される積層フィルムから剥離フィルムB41を剥離し、露出した粘着剤層40の面に、上記(4)のタッチセンサパネル(タッチセンサパネル60)を貼合して、図7に示される積層フィルムを得た。
次に、2つ目の粘着シートAを用意し、この粘着シートAの剥離フィルムAを剥離するとともに、露出した粘着剤層の面に、タッチセンサパネル60に貼合して、図8に示される積層フィルムを得た。図8において、参照符号70は、2つ目の粘着シートAの粘着剤層を示し、これが第3粘着剤層70に相当し、参照符号71は、2つ目の粘着シートAの剥離フィルムBを示す。
次に、図8に示される積層フィルムから剥離フィルムB71を剥離し、露出した粘着剤層の面に、上記(5)の支持基材(支持基材50)を貼合して、図9に示される積層フィルムを得た。
次に、3つ目の粘着シートAを用意し、この粘着シートAの剥離フィルムAを剥離し、露出した粘着剤層を、図9に示される積層フィルムの熱可塑性樹脂フィルム層90(TACフィルム)に貼合して、図10に示される積層フィルムを得た。図10において、参照符号30は、3つ目の粘着シートAの粘着剤層を示し、これが第1粘着剤層20に相当し、参照符号31は、3つ目の粘着シートAの剥離フィルムBを示す。
最後に、図10に示される積層フィルムから剥離フィルムBを剥離し、露出した粘着剤層30の面に、上記(1)で用意した前面板10を貼合して、図11の構成を有する光学積層フィルムを得た。
得られた光学積層フィルムを、レーザーカッター(LPTech社製、レーザー光源:Synrad社、COレーザー、レーザー波長:9.3μm)を用いて20mm×110mmの矩形へ切断し、光学積層体を得た。レーザーカッターは光学積層フィルムの前面板10側から入射し、前面板10の表面にレーザーの焦点を合わせた。レーザーの照射回数は2回である。すなわち、1回目にレーザーを照射した箇所に対して、再びレーザーを照射した。各照射において、レーザー出力および切断速度は同じであった。その他の切断条件は表1に示す。得られた光学積層体についての評価結果を表1に示す。
[実施例2]
レーザーカッターによる光学積層フィルムの切断条件を表1に示す条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして、光学積層体を得た。得られた光学積層体についての評価結果を表1に示す。
[実施例3]
レーザーカッターによる光学積層フィルムの切断条件を表1に示す条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして、光学積層体を得た。得られた光学積層体についての評価結果を表1に示す。
[実施例4]
レーザーカッターによる光学積層フィルムの切断条件を表1に示す条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして、光学積層体を得た。得られた光学積層体についての評価結果を表1に示す。
[実施例5]
レーザーカッターによる光学積層フィルムの切断条件を表1に示す条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして、光学積層体を得た。得られた光学積層体についての評価結果を表1に示す。
[実施例6]
下記の手順に従って光学積層体を作製した。図6、図12〜図14を参照しながら説明する。なお、図6、図12〜図14において配向膜は割愛している。
まず、実施例1と同様にして、図6に示される積層フィルムを得た。次に、図6に示される積層フィルムから剥離フィルムBを剥離するとともに、露出した粘着剤層の面に、上記(5)の支持基材(支持基材50)を貼合して、図12に示される積層フィルムを得た。
次に、2つ目の粘着シートAを用意し、この粘着シートAの剥離フィルムAを剥離し、露出した粘着剤層を、図12に示される積層フィルムの熱可塑性樹脂フィルム層90(TACフィルム)に貼合して、図13に示される積層フィルムを得た。次いで、図13に示される積層フィルムから剥離フィルムB31を剥離し、露出した粘着剤層の面に、上記(1)で用意した前面板10を貼合して、図14の構成を有する光学積層フィルムを得た。
得られた光学積層フィルムを、レーザーカッター(LPTech社製、レーザー光源:Synrad社、COレーザー、レーザー波長:9.3μm)を用いてセル単位(20mm×110mm)へ切断し、光学積層体を得た。レーザーカッターは光学積層フィルムの前面板10側から入射し、前面板10の表面にレーザーの焦点を合わせた。その他の切断条件は表1に示す。得られた光学積層体についての評価結果を表1に示す。
[実施例7]
レーザーカッターによる光学積層フィルムの切断を表1に示す条件に変えたこと以外は実施例6と同様にして、光学積層体を得た。得られた光学積層体について評価結果を表1に示す。
[実施例8]
レーザーカッターによる光学積層フィルムの切断を表1に示す条件に変えたこと以外は実施例6と同様にして、光学積層体を得た。得られた光学積層体についての評価結果を表1に示す。
[比較例1]
レーザーカッターによる光学積層フィルムの切断を表1に示す条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして、光学積層体を得た。得られた光学積層体についての評価結果を表1に示す。
[比較例2]
レーザーカッターによる光学積層フィルムの切断を表1に示す条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして、光学積層体を得た。得られた光学積層体についての評価結果を表1に示す。
1,2,3 光学積層体、10 前面板、20 偏光子層、30 第1粘着剤層、40 第2粘着剤層、31,41,71 剥離フィルムB、50 支持基材、60 タッチセンサパネル、70 第3粘着剤層、90 熱可塑性樹脂フィルム、101 変形部の幅、102 正常部の厚み、103 境界、201 切断面、202 照射方向、203 垂線、204 変形部の幅、205 正常部の厚み。

Claims (6)

  1. 前面板と、偏光子層とを備える光学積層体であって、平面視において外周端部の少なくとも一部を含む変形部と、変形部以外の領域である正常部とを有し、下記式(1)を満たす光学積層体。
    /WHAZ≧4.0 (1)
    HAZ:変形部の幅[μm]
    :正常部の厚み[μm]
  2. 下記式(2)を更に満たす、請求項1に記載の光学積層体。
    1≦M/MHAZ<1.15 (2)
    HAZ:変形部の圧縮弾性率[MPa]
    :正常部の圧縮弾性率[MPa]
  3. 前面板と、偏光子層とを備える光学積層体であって、平面視において外周端部の少なくとも一部を含む変形部と、変形部以外の領域である正常部とを有し、下記式(2)を満たす光学積層体。
    1≦M/MHAZ<1.15 (2)
    HAZ:変形部の圧縮弾性率[MPa]
    :正常部の圧縮弾性率[MPa]
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光学積層体を含む、画像表示装置。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の光学積層体の製造方法であって、
    光学積層フィルムをレーザーカッターから照射されるレーザー光で切断して光学積層体を得る切断工程を含む、製造方法。
  6. 前記レーザー光を1回照射したときの単位長さ当たりのエネルギーは150[mJ/mm]以下である、請求項5に記載の製造方法。
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