以下、実施形態の利用券を、図面を参照して説明する。以下の実施形態では、利用券処理装置は、鉄道の駅に設置される自動改札機であるものとして説明するが、利用券処理装置は、イベント会場等で使用される入場券、その他の券を処理する装置であってもよい。
[乗車券]
図1は、実施形態の乗車券100Aの構成図である。図2は、実施形態の乗車券100Bの構成図である。乗車券100Aは、例えば、二次元コード115Aが印刷された表示面110Aを有する紙基材110を備える。乗車券100Bは、例えば、二次元コード115Bが印刷された表示面110Aを有する紙基材110と、紙基材110に漉き込まれたチップ120およびアンテナ130とを備える。
なお、以下の説明において、乗車券100Aおよび乗車券100Bにおける紙基材110は、同一の構成であるので同一符号を付して説明する。また、以下の説明において、乗車券100Aを「コード媒体」、乗車券100Bを「コード/タグ媒体」とも呼ぶ。
二次元コード115A、115Bは、「表示オブジェクト」の一例である。二次元コード115A、115Bには、この乗車券100A、100Bの効力を示す効力情報と媒体判別コード(媒体判別用情報)とがエンコードされている。なお、二次元コード115A、115Bには、乗車券100A、100Bの識別情報(以下、コード側乗車券ID)がエンコードされていてもよい。
エンコードとは、情報を、符号化、記号化、その他の手法により、人が内容を直接的に認識できない状態に変換することをいう。また、効力情報とは、例えば以下のような情報であり、乗車券100A、100Bの利用可能な範囲を規定する情報である。なお、二次元コードに代えて、バーコードその他の、情報がエンコードされた任意の種類の表示オブジェクトが印刷されてもよい。
(1)利用可能な区間および日付
例:A駅〜B駅までの区間を、12/1〜12/31まで利用可能
(2)運賃上限および利用可能な日付
例:運賃500円までの区間を、12/1〜12/31まで利用可能
また、媒体判別コードは、コード媒体とコード/タグ媒体とを判別するための情報である。媒体判別コードには、自動改札機1が、乗車券がコード媒体とコード/タグ媒体とのいずれであるかを区別できる情報が設定される。二次元コード115Aには、コード媒体であることを表す情報が設定された媒体判別コード、および効力情報がエンコードされる。また、二次元コード115Bには、コード/タグ媒体であることを表す情報が設定された媒体判別コード、および効力情報がエンコードされる。
また、この乗車券100A、100Bは、1回の乗車についての効力のみ有する通常券であってもよいし、利用日において何度も利用可能な1日乗車券や、沿線の店で使用できる食事券付き乗車券などの企画券であってもよい。こうした利用回数に関する情報も効力情報に含まれてよい。
チップ120は、例えば、パッシブタイプのIC(Integrated Circuit)チップであり、RFID(Radio Frequency Identifier)技術によって、後述するリーダライタ200との間で情報を送受信する。チップ120は、RF回路121、制御回路122、記憶部123などを備える。チップ120による処理は、リーダライタ200からアンテナ130を介して受信したコマンドに応答するコマンドレスポンス方式で行われる。
RF回路121は、リーダライタ200が発信する電波から駆動用電力を取りだす整流回路、リーダライタ200が発信する電波から信号(コマンド)を取りだすデコーダなどを含む。制御回路122は、例えば論理回路によって構成される。制御回路122は、RF回路121によって取りだされたコマンドの内容に応じて、リーダライタ200から指示されたデータを記憶部123に書き込んだり、記憶部123から読み出したデータを、アンテナ130を介してリーダライタ200に送信したりする処理を行う。
記憶部123は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの読書き可能な不揮発性記憶媒体を含む。記憶部123には、例えば、二次元コード115Bにエンコードされたコード側乗車券IDと照合可能な情報(以下、チップ側乗車券ID)が、発券段階から記憶されている。また、記憶部123には、乗車券100Bの利用記録が、リーダライタ200によって書き込まれる。乗車券100Bの利用記録とは、例えば、入場駅、入場日時などの情報である。図3は、実施形態における記憶部123に書き込まれる情報の一例を示す図である。なお、チップ側乗車券IDについては、ROM(Read Only Memory)等の書き換え不能な不揮発性記憶媒体に書き込まれてもよい。
ここで、チップ側乗車券IDがコード側乗車券IDと照合可能な情報であるためには、例えば、(1)両者が完全一致すること、(2)両者が部分一致すること、(3)一方または双方を所定のアルゴリズムで演算処理または復号処理すると、他方と完全一致または部分一致すること、(4)一方または双方を鍵として暗号処理すると、他方と完全一致または部分一致することなど、一方に基づいて他方の正当性を検証可能とするための種々の条件を満たせばよい。なお、本実施形態において、チップ側乗車券IDとコード側乗車券IDの照合は省略されてもよい。
アンテナ130を用いたリーダライタ200との通信は、例えば、900[MHz]帯や2.45[GHz]帯などのUHF(Ultra High Frequency)帯を用いて行われる。このUHF帯は、交通系のICカードが通信に使用する13.56[MHz]などのISM帯とは異なるものであるため、自動改札機1に内蔵されるリーダライタ200と乗車券の通信が、交通系のICカードと自動改札機1の通信との間で干渉を起こすのを防止することができる。なお、交通系のICカードが通信に使用する通信帯域と異なるものであれば、UHF帯以外の通信帯域が使用されてもよい。交通系のICカードは、文字通りカード状に形成されたものと、携帯電話などの電子デバイスに内蔵されたものとの双方を含んでよい。
[リーダライタ、自動改札機]
図4は、実施形態の乗車券100A、100Bに対応可能なリーダライタ200の構成図である。リーダライタ200は、アンテナ210と、通信制御部220と、カメラ230と、ライト240とを備える。リーダライタ200は、乗車券100Bに給電すると共に、乗車券100Bと無線通信を行う。前述したように、この無線通信は、例えば、900[MHz]帯や2.45[GHz]帯などのUHF帯を用いて行われる。なお、UHF帯ではなく、交通系のICカードが通信に使用する通信帯域と異なるものであれば、他の通信帯域が使用されてもよい。
リーダライタ200の通信制御部220は、アンテナ210を用いて読出コマンドを送信する。通信制御部220は、利用された乗車券が乗車券100Bである場合、乗車券100Bからチップ側乗車券IDや利用記録などの情報を取得し、取得した情報を自動改札機1に出力する。通信制御部220は、利用された乗車券が乗車券100Aである場合には、読出コマンドを送信しても信号が送信されず、信号を受信する処理をしない。
また、リーダライタ200は、上位装置から指示された情報を含む書込コマンドを、アンテナ210を用いて送信することで、乗車券100Bの記憶部123に情報を書き込む。この情報は、例えば、乗車券100Bの利用記録を含む。
リーダライタ200は、通信可能範囲が10[cm]程度以下になるように、アンテナ210の出力が設定されている。これによって、リーダライタ200と、乗車券100B以外のRFIDタグ等との間で通信が成立するのを抑制することができる。UHF帯を利用した通常の通信では、数[m]程度の通信が可能であるが、本実施形態のリーダライタ200では、自動改札機1における使用態様(利用者が乗車券100Bをリーダライタ200に翳す、或いはタッチする)に合わせた通信可能範囲としている。これによって、本来の用途である、自動改札機1の改札処理に用いられる情報以外の情報がリーダライタ200に混入することを抑制することができ、スムーズな改札処理を実現することができる。
また、リーダライタ200のカメラ230は、利用者によって翳された乗車券100A、100B(特に二次元コード115A、115B)を撮像する。ライト240は、カメラ230が撮像動作を行う際に、乗車券100A、100Bに光を照射する。リーダライタ200のアンテナ210は、例えば、カメラ230の光軸230Aを囲むように巻き回される。なお、リーダライタ200のアンテナ210がカメラ230の光軸230Aを囲むように巻き回されることは、あくまで一例であり、これに限定されない。カメラ230により撮像された画像のデータは、例えば自動改札機1に出力される。また、カメラ230により撮像された画像は、リーダライタ200内でデコード処理が行われ、デコード処理によって取りだされた情報が自動改札機1に出力されるようにしてもよい。カメラ230は、可視光を撮像するカメラであってもよいし、赤外光を撮像するカメラであってもよい。
リーダライタ200は、例えば、自動改札機1において、交通系ICカードに対するリーダライタとは別体として設けられる。図5は、実施形態のリーダライタ200と、交通系のICカードに対するリーダライタ20が設けられた自動改札機1の外観構成図である。自動改札機1は、図中A方向への利用者の通過を制御する。自動改札機1は、各種情報を表示する表示部30、扉部40等を備える。図5では、リーダライタ200がリーダライタ20よりも手前側に設けられるように示したが、これに限定されるものではない。また、自動改札機1は、交通系ICカードを処理せず、乗車券100A、100Bのみを処理するものであってもよい。この場合、図5におけるリーダライタ20は省略される。また、図5では図示を省略したが、自動改札機1は、乗車券100A、100Bおよび交通系のICカードに加えて、磁気券を処理可能なものであってもよい。
また、図6は、実施形態の自動改札機1の機能構成図である。自動改札機1は、制御部50を備える。制御部50には、外部通信部60が接続される。外部通信部60は、自動改札機1の外部のセンター装置(上位装置)400との間で、駅ごとに設置される駅サーバ350、およびインターネット等のネットワークNWを介した通信を行う。
制御部50は、例えば、デコード部51、エンコード部52と、SF(Stored Fare)処理部53と、デコード部54と、エンコード部55と、画像処理部56と、読取状態判別部57と、乗車券処理部58と、とを備える。これらの機能部は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。また、デコード部51とエンコード部52は、リーダライタ20の内蔵コンピュータにより実現される機能であってもよく、デコード部54およびエンコード部55と、画像処理部56とのうち一方または双方は、リーダライタ200の内蔵コンピュータにより実現される機能であってもよい。
デコード部51は、リーダライタ20が交通系のICカードから読み取った情報をデコードし、SF処理部53に出力する。エンコード部52は、SF処理部53により指示された情報をエンコードし、リーダライタ20に出力する。リーダライタ20は、エンコード部52から入力された情報を交通系のICカードに書き込む。
SF処理部53は、交通系のICカードが保持する電子マネーのチャージ残高に基づく運賃収受を行う。SF処理部53は、交通系のICカードが入場条件または出場条件を満たす場合に、扉部40を開放状態に制御して利用者を通過させ、入場条件または出場条件を満たさない場合に、扉部40を閉止状態に制御して利用者の通行を禁止する。また、SF処理部53は、利用者の通過の可否に応じた画像を表示部30に表示させる。
デコード部54は、リーダライタ200が乗車券100Bのチップ120から読み取った情報をデコードし、読取状態判別部57に出力する。エンコード部55は、乗車券処理部58により指示された情報をエンコードし、リーダライタ200に出力する。リーダライタ200は、エンコード部55から入力された情報を乗車券100Bのチップ120に書き込む。画像処理部56は、リーダライタ200のカメラ230によって撮像された画像を解析し、二次元コード115A、115Bにエンコードされた情報を解読して読取状態判別部57に出力する。
読取状態判別部57は、リーダライタ200により乗車券100A、100Bが検知されたときに、デコード部54や画像処理部56の出力情報、またはこれらからの応答に基づいて、媒体判別コードと、通信制御部220による情報の読取状態と、カメラ230による情報の読取状態とを判別する。読取状態判別部57は、少なくとも、媒体判別コードに設定された情報、通信制御部220による情報の読取状態が正常であるか否か、およびカメラ230による情報の読取状態が正常であるか否かを判別する。読取状態判別部57は、判別結果を乗車券処理部58に出力する。
乗車券処理部58は、媒体判別コードと、通信制御部220により情報の読取状態と、カメラ230による情報の読取状態との組み合わせに基づいて、コード媒体に対応したコード媒体処理、またはコード/タグ媒体に対応したコード/タグ媒体処理を行う。コード媒体処理とは、二次元コード115Aから読み取った効力情報、および外部から取得した利用記録に基づいて入場条件または出場条件を満たす有効な乗車券100Aであるか否かを判定し、有効であると判定した場合に利用者を通行させる処理である。なお、外部から取得した利用記録を参照する処理は、省略されてもよい。コード/タグ媒体処理とは、二次元コード115から読み取った効力情報およびチップ120から読み取った利用記録に基づいて入場条件または出場条件を満たす有効な乗車券100A、100Bであるか否かを判定し、有効であると判定した場合に利用者を通行させる処理である。
乗車券処理部58は、有効な乗車券100A、100Bであることを判定した場合に、扉部40を開放状態に制御して利用者を通過させる。乗車券処理部58は、有効な乗車券100A、100Bではないことを判定した場合に、扉部40を閉止状態に制御して利用者の通行を禁止する。
図7は、実施形態の自動改札機1により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。図8は、実施形態において、媒体判別コードと、チップ120の読取状態と、媒体の取り扱い結果との関係を示す図である。
まず、自動改札機1は、利用者によって翳された乗車券がリーダライタ200により検知されるまで待機する(ステップS100)。乗車券が検知されると、自動改札機1は、以下の処理を開始する。
次に、自動改札機1は、カメラ230により二次元コード115A、115Bから情報を読み取ると共に、通信制御部220によりチップ120から情報を読み取る(ステップS102)。制御部50の読取状態判別部57は、ステップS102においてカメラ230および通信制御部220を動作させた結果として、二次元コード115A、115Bの読取異常があるか否かを判定する(ステップS104)。乗車券処理部58は、二次元コード115A、115Bの読取異常がある場合、乗車券の取り扱いが不可であること表す画像を表示部30により提示させ、処理を終了する(ステップS120)。例えば、乗車券処理部58は、画像処理部56の処理結果が所定の形式ではない場合に、二次元コード115A、115Bの読取異常であると判定する。
二次元コード115A、115Bの読取異常がない場合、読取状態判別部57は、二次元コード115A、115Bから読み取った情報に含まれる媒体判別コードを読み取る(ステップS106)。読取状態判別部57は、媒体判別コードがコード媒体を表している場合、ステップS108以降に処理を進める。読取状態判別部57は、媒体判別コードがコード/タグ媒体を表している場合、ステップS114以降に処理を進める。
ステップS108において、読取状態判別部57は、ステップS102におけるチップ120の情報の読取状態が、乗車券から受信した信号がない状態であるか否かを判定する。ここで、利用者によって翳された乗車券が乗車券100Aである場合、チップ120の情報の読取状態は、乗車券から受信した信号がない状態となる。
読取状態判別部57により、乗車券から受信した信号がない状態であると判定された場合、乗車券処理部58は、乗車券が有効な乗車券であることを認識し、コード媒体処理を行う(ステップS110)。一方、読取状態判別部57により、乗車券から受信した信号がない状態ではないと判定された場合、乗車券処理部58は、乗車券の取り扱いが不可であること表す画像を表示部30により提示させ、処理を終了する(ステップS112)。
乗車券から受信した信号がない状態ではない状態とは、チップ120から受信した信号があり、チップ120から正常に情報が読み取られた状態またはチップ120から受信した情報(信号)が異常である状態である。媒体判別コードが「コード媒体」であり、チップ120から情報が正常に読み取られた場合とは、例えば、チップ120を有する紙基材に、不正に二次元コードが貼り付けられた場合である。従って、上記処理においてコード媒体から正常に情報が読み取られたと判定したことに応じて有効な乗車券として扱わないことにより、乗車券の不正使用を防止することができる。また、媒体判別コードが「コード媒体」であり、チップ120から受信した情報(信号)が異常である場合とは、例えば、情報(信号)が所定の形式に合致していない場合や、コード/タグ媒体の利用終了時にキルコマンド等によりチップ120の再利用が禁止されている場合や、乗車券とは異なるチップから情報を読み取った場合である。従って、上記処理においてコード媒体から受信した情報(信号)が異常であると判定したことに応じて有効な乗車券として扱わないことにより、乗車券の不正使用を防止することができる。
ステップS114において、読取状態判別部57は、チップ120の情報の読取状態が正常であるか否かを判定する。読取状態判別部57によりチップ120の情報の読取状態が正常であると判定された場合、乗車券処理部58は、乗車券が有効な乗車券であることを認識し、コード/タグ媒体処理を行う(ステップS116)。一方、乗車券処理部58は、読取状態判別部57によりチップ120の情報の読取状態が正常ではないと判定された場合には、乗車券の取り扱いが不可であること表す画像を表示部30により提示させ、処理を終了する(ステップS118)。
チップ120の情報の読取状態が正常ではない状態とは、チップ120から受信した信号がない、または、チップ120から受信した情報(信号)が異常である状態である。媒体判別コードが「コード/タグ媒体」であり、チップ120から受信した信号がない場合とは、例えば、チップ120がない紙基材に不正に二次元コードが貼り付けられた場合である。従って、上記処理においてコード/タグ媒体から受信した信号がないと判定したことに応じて有効な乗車券として扱わないことにより、乗車券の不正使用を防止することができる。また、媒体判別コードが「コード/タグ媒体」であり、チップ120から受信した情報(信号)が異常である場合とは、例えば、情報(信号)が所定の形式に合致していない場合や、コード/タグ媒体の利用終了時にキルコマンド等によりチップ120の再利用が禁止されている場合や、乗車券とは異なるチップから情報を読み取った場合である。従って、上記処理においてコード/タグ媒体から受信した情報(信号)が異常であると判定したことに応じて有効な乗車券として扱わないことにより、乗車券の不正使用を防止することができる。
以下、コード媒体に対応したコード媒体処理を説明する。図9は、実施形態の自動改札機1におけるコード媒体処理の処理手順を示すシーケンス図である。このコード媒体処理は、A駅〜B駅までの区間が効力情報としてエンコードされた二次元コード115Aが印刷された乗車券100Aが利用される場合について説明する。
A駅における自動改札機1の乗車券処理部58は、利用者が乗車券100Aを利用してA駅に入場する場合において、乗車券100Aにおける二次元コード115Aから読み取った効力情報(A駅〜B駅までの区間)を参照して、入場を許可する(ステップS200)。乗車券処理部58は、入場を許可したことに応じ、外部通信部60を制御して入場情報をセンター装置400に送信させる。この入場情報には、二次元コード115Aから読み取ったコード側乗車券IDおよび効力情報、および入場駅が「A駅」であること示す利用記録が含まれる。
センター装置400は、A駅の自動改札機1から入場情報が送信されたことに応じ、当該入場情報を図示しない記憶部に記録する(ステップS202)。これにより、センター装置400の記憶部には、コード側乗車券ID、効力情報および利用記録が対応づけて記録される。
B駅における自動改札機1の乗車券処理部58は、利用者が乗車券100Aを利用してB駅から出場する場合において、乗車券100Aにおける二次元コード115Aから効力情報(A駅〜B駅までの区間)を読み取り、外部通信部60を制御して、出場情報をセンター装置400に送信させる。この出場情報には、二次元コード115Aから読み取ったコード側乗車券IDおよび出場駅が「B駅」であること示す利用記録が含まれる。
センター装置400は、B駅の自動改札機1から出場情報が送信されたことに応じ、効力情報の有効性を判定する。センター装置400は、出場情報に含まれるコード側乗車券IDと合致するコード側乗車券IDを記憶部から検索する。センター装置400は、検索されたコード側乗車券IDに対応した効力情報と、入場情報に含まれる利用記録および出場情報に含まれる利用記録とを照合して、効力情報が有効であると判定する(ステップS204)。センター装置400は、乗車券100Aの効力情報が有効であるという判定結果をB駅の自動改札機1に送信する。
B駅における自動改札機1の乗車券処理部58は、外部通信部60により判定結果を受信したことに応じ、判定結果に基づいて出場を許可する(ステップS206)。
以上が、コード媒体処理の説明である。なお、乗車券100Aが、固定区間内を乗車することができる券である場合、センター装置400との通信を介した判定処理は省略されてもよい。この場合、入場駅および出場駅の双方において、自駅が固定区間内であるか否かが判定され、固定区間内である場合に効力情報が有効であると判定される。
以下、コード/タグ媒体に対応したコード/タグ媒体処理を説明する。図10は、実施形態の自動改札機1におけるコード/タグ媒体処理の処理手順を示すフローチャートである。
まず、乗車券処理部58は、二次元コード115Bから読み取った効力情報およびチップ120から読み取った利用記録に基づいて、入場条件または出場条件を満たす有効な乗車券100Bであるか否かを判定する(ステップS300)。乗車券処理部58は、有効な乗車券100Bである場合にはステップS302に処理を進め、有効な乗車券100Bではない場合にはステップS308に処理を進める。
乗車券処理部58は、例えば図3に示したように、利用記録として記録された入場駅「A駅」および利用記録として記録された入場時刻「2014年12月31日13時15分」と、効力情報である「A駅〜B駅までの区間を、12/1〜12/31まで利用可能」とを照合することにより、出場条件を満たす有効な乗車券100Bであると判定する。
ステップS302において、乗車券処理部58は、通信制御部220によりチップ120に利用記録の書き込みを行わせ、チップ120への利用記録の書き込みが成功したか否かを判定する(ステップS304)。乗車券処理部58は、利用記録の書き込みが成功した場合には、扉部40を開放状態に制御して利用者の入出場を許可し、乗車券100Bの処理を終了する(ステップS306)。チップ120への利用記録の書き込みが失敗した場合、扉部40を閉止状態に制御して利用者の入出場を禁止させ、乗車券100Bの処理を終了する(ステップS308)。
以上が、コード/タグ媒体処理の説明である。
以上説明したように、実施形態の自動改札機1によれば、二次元コード115A、115Bから読み取られた情報に含まれる媒体判別コードと、二次元コード115A、115Bの読取状態およびチップ120の読取状態の組み合わせとに基づく処理を行うので、有効な乗車券であれば媒体判別コードにより表された利用券の機能と二次元コード115A、115Bの読取状態およびチップ120の読取状態とが整合していることを利用して、利用券の機能に対応した処理を行うことができる。その結果、実施形態の自動改札機1によれば、コード媒体とコード/タグ媒体とが混在する状況においても、コード媒体とコード/タグ媒体とを判別した上で乗車券が有効な乗車券であることを認識して、利用券の機能に対応した処理を実行することができる。
また、実施形態の自動改札機1によれば、二次元コード115Bから読み取られた情報に含まれる媒体判別コードがコード/タグ媒体であることを表している場合、二次元コード115Bの読取状態が正常でありチップ120の読取状態が正常であることを判定して、乗車券が有効な乗車券であることを認識し、コード/タグ媒体に対応した処理を行うことができる。その結果、実施形態の自動改札機1によれば、媒体判別コードがコード/タグ媒体であることを表している場合に、有効な乗車券であれば二次元コード115Bの読取状態およびチップ120の読取状態がコード/タグ媒体の機能に整合していることを利用して、コード/タグ媒体に対応した処理を行うことができる。
さらに、実施形態の自動改札機1によれば、二次元コード115Aから読み取られた情報に含まれる媒体判別コードがコード媒体であることを表している場合、二次元コード115Aの読取状態が正常でありチップ120の読取状態が正常ではないことを判定して、乗車券が有効な乗車券であることを認識し、コード媒体に対応した処理を行うことができる。その結果、実施形態の自動改札機1によれば、媒体判別コードがコード媒体であることを表している場合に、有効な乗車券であれば二次元コード115Aの読取状態およびチップ120の読取状態がコード媒体の機能に整合していることを利用して、コード媒体に対応した処理を行うことができる。
なお、上述した実施形態は、二次元コードに媒体判別コードがエンコードされた乗車券を説明したが、乗車券処理部58は、媒体判別コードを読み取らず、二次元コード115A、115Bの読取状態およびチップ120の読取状態に基づいてコード媒体処理またはコード/タグ媒体処理を行ってもよい。
乗車券処理部58は、二次元コード115Bの読取状態が正常であり、チップ120の読取状態が正常である場合にコード/タグ媒体であると判定した場合に、当該コード/タグ媒体を有効な乗車券として扱う。また、乗車券処理部58は、二次元コード115Bの読取状態が正常であり、チップ120の読取状態が正常ではない場合にコード媒体であると判定し、当該コード媒体を有効な乗車券として扱う。
この実施形態の自動改札機1によれば、上述した実施形態と同様に、利用券の機能によって二次元コード115A、115Bの読取状態およびチップ120の読取状態が異なることを利用してコード媒体とコード/タグ媒体とを判別して処理を行うことができる。
[発券機]
以下、乗車券を発行する発券機について説明する。図11は、乗車券を発行する発券機300の構成図である。発券機300は、例えば、操作・表示部310と、金銭収受部320と、リーダライタ330と、制御部340と、供給部350と、搬送部360と、内部リーダライタ370と、二次元コード印刷部380と、乗車券搬出部390とを備える。
操作・表示部310は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)表示装置などの表示装置に、接触検知機構が重畳して設けられたタッチパネル式ディスプレイ装置である。乗車券の購入者は、操作・表示部310を操作することで、所望の効力情報を有する乗車券を購入することができる。なお、タッチパネル式の操作・表示部に代えて、機械的なスイッチを含む操作・表示部が設けられてもよい。
金銭収受部320およびリーダライタ330は、利用者から乗車券の料金を収受するために設けられる。金銭収受部320は、利用者によって投入された紙幣や硬貨をカウントし、乗車券の代金を超過した場合には釣銭として利用者に返却する。リーダライタ330は、利用者によって提示された交通系のICカードが保有する電子マネーから、乗車券100の代金を差し引く処理を行う。
制御部340は、CPUなどのプロセッサを備え、発券機300の各部を制御する。供給部350は、搬送部360に乗車券の紙基材110(二次元コードが未だ印刷されていないもの)を供給する。搬送部360が紙基材110を搬送するのに応じて、二次元コード印刷部380が二次元コード115A、115Bを印刷する。乗車券にチップ120が含まれている場合、制御部340は、内部リーダライタ370が紙基材110内のチップ120と通信を行わせて、二次元コード115Bを印刷させる。こうして作成された乗車券は、乗車券搬出部390によって、装置の筐体外部に搬出され、利用者に届けられる。
図12は、実施形態の発券機300により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、発券機300は、利用者によって購入される乗車券の内容が確定するまで待機する(ステップS400)。乗車券の内容が確定すると、供給部350は、紙基材110を一つ搬送部360に送出し、搬送を開始させる(ステップS402)。
次に制御部340は、発券する媒体がコード/タグ媒体であるか否かを判定する(ステップS404)。例えば、制御部340は、内部リーダライタ370によりチップ120との通信を試みて、応答がある場合には発券する媒体がコード/タグ媒体であると判定し、応答がない場合には発券する媒体がコード/タグ媒体ではないと判定する。制御部340は、発券する媒体がコード/タグ媒体である場合にはチップ側乗車券IDを決定して、内部リーダライタ370により、チップ120の記憶部123にチップ側乗車券IDを書き込ませる(ステップS406)。制御部340は、コード/タグ媒体ではない場合にはステップS408に処理を進める。
次に、制御部340が、コード側乗車券IDと、確定した乗車券の内容に対応する効力情報と媒体判別コードとをエンコードした二次元コード115A、115Bを生成する(ステップS408)。このとき、制御部340は、ステップS404の判定結果に基づいて、発券する乗車券がコード媒体であるかコード/タグ媒体であるかを判定して媒体判別コードを決定してもよい。そして、二次元コード印刷部380が、ステップS408で生成された二次元コード115A、115Bを紙基材110に印刷し(ステップS410)、乗車券が作成される。作成された乗車券は、乗車券搬出部390によって搬出される(ステップS412)。なお、図12のフローチャートを実行する場合、内部リーダライタ370に代えて、チップ120への情報の書き込みのみ可能なライタ装置が使用されてもよい。
以上説明した実施形態の発券機300によれば、媒体判別コードをエンコードした二次元コード115A、115Bを生成するので、自動改札機1にコード媒体またはコード/タグ媒体に対応した処理を行わせることができる。また、実施形態の発券機300によれば、単に媒体判別コードを生成するだけでよく、軽い処理負担で自動改札機1に媒体に対応した処理を行わせることができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、チップ120から正常に情報が読み取られなかった場合に、二次元コード115A、115Bから読み取った情報に基づいて効力情報の有効性を判定するので、チップ120の読み取りに異常が発生した場合であっても乗車券100の利用を許可することができ、乗車券100の利便性を高めることができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、カメラ230により読み取られた情報に含まれる媒体判別コードと、カメラ230による情報の読取状態および通信制御部220による情報の読取状態の組み合わせとに基づく処理を行う制御部を持つので、利用券の機能に対応した処理を行うことができる。
上記実施形態は、以下のように表現することができる。
アンテナを有し、利用券が有する無線通信部と無線通信を行う通信部と、
前記利用券の表示オブジェクトから、情報を光学的に読み取る光学読取部と、
前記光学読取部により読み取られた情報に含まれる媒体判別用情報と、前記光学読取部による情報の読取状態および前記通信部による情報の読取状態の組み合わせとを判定し、判定した結果に基づいて前記利用券を有効な利用券であることを認識する制御部と、
を備える、利用券処理装置。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
上述した実施形態においては自動改札機1について説明したが、上述した実施形態は駅係員に操作され乗車券を処理する窓口処理機にも適用することができる。この窓口処理機は、カメラ230による情報の読取状態および通信制御部220による情報の読取状態に基づいて、コード媒体に対応した処理およびコード/タグ媒体に対応した処理を行う。また、窓口処理機は、上述したように乗車券の取り扱いが不可である場合に、表示部に媒体判別コードの内容、二次元コード115A、115Bの読み取り結果、チップ120の読み取り結果を提示してもよい。
上述した実施形態においては、コード媒体およびコード/タグ媒体が乗車券である場合について説明したが、コード媒体およびコード/タグ媒体は、各種の利用券であってもよい。利用券において、利用履歴を記録する利用券をコード/タグ媒体とし、利用履歴を記録しない利用券をコード媒体とする。例えば、複数のブースを有するイベント会場において、特定のブースのみが利用可能な利用券をコード媒体とし、任意のブースが利用可能であり利用履歴を記録する利用券をコード/タグ媒体にしてもよい。