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JP6777372B2 - 粉末状清涼飲料用組成物の製造方法 - Google Patents

粉末状清涼飲料用組成物の製造方法 Download PDF

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JP6777372B2 JP2014141037A JP2014141037A JP6777372B2 JP 6777372 B2 JP6777372 B2 JP 6777372B2 JP 2014141037 A JP2014141037 A JP 2014141037A JP 2014141037 A JP2014141037 A JP 2014141037A JP 6777372 B2 JP6777372 B2 JP 6777372B2
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Description

本発明は、賦形剤等としてデキストリンを用いているにもかかわらず、澱粉臭等のいわゆるデキストリン臭が少ない粉末状清涼飲料用組成物、及び当該粉末状清涼飲料用組成物の製造方法に関する。
近年、無糖のストレート茶飲料市場が急成長している。すぐに飲める液状のペットボトルに充填された茶飲料に加えて、インスタント粉末茶も、その手軽さに加えて、嵩張らず、持ち運びに便利なことなどから注目を浴びている。インスタント粉末茶は、一般的に、茶葉より抽出されたエキスに、賦形剤としてデキストリンを溶解させた後、乾燥させることにより調製される。この際に用いられるデキストリンとしては、茶本来の味を損なわないようにするため、甘味の少ないDE(Dextrose Equivalent)値の低いデキストリンがしばしば利用されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方で、DE値の低いデキストリンは、いわゆる澱粉臭などのデキストリン特有の臭気(デキストリン臭)が強く、風味上好ましくない影響を与えるという問題がある。DE値の低いデキストリンのうち、分枝部分を含んだ分枝デキストリンは、直鎖状のものに比べてデキストリン臭が少ないため、インスタント粉末茶の製造においてDE10以下の分枝デキストリンを賦形剤として用いることにより、デキストリン臭を低減する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。その他、澱粉からヘキサナール、2−ヘプタノン、ヘプタノール、トリメチルベンゼン、ノナナール、BHTアルデヒド、及び酢酸といった異臭成分を除去して精製する方法として、澱粉を超臨界流体又は液相流体と接触させ、前記異臭成分を前記超臨界流体又は液相流体に溶解させて除去する方法も開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特公平3−35898号公報 特許第3285381号公報 特開2003−137903号公報
分枝デキストリンは、澱粉を酵素処理することにより得られるものであり、工程が複雑であり、製造コストも割高になる。また、特許文献3に記載の澱粉の精製方法は、超臨界流体抽出法を利用するため、特別な装置が必要な特殊な方法であり、簡単に実施できるようなものではない。
さらに、デキストリン臭の原因物質も未だ不明であるため、どのような精製方法により精製すればデキストリン臭の少ないデキストリンになるのかについても、未だ有効な知見はない。
本発明は、賦形剤等としてデキストリンを用いているにもかかわらず、デキストリン臭が少ない粉末状清涼飲料用組成物、及び当該粉末状清涼飲料用組成物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、デキストリンに含有される多数のアロマ成分とデキストリン臭との相関を調べ、アセトインの含有量がデキストリン臭と強い相関があること、及びアセトインがデキストリン臭を呈する一要因成分であることを見出し、本発明を完成させた。
[1] 本発明の第一の態様に係る粉末状清涼飲料用組成物の製造方法は、アセトイン含有量が300μg/100g以下となるようにデキストリンを選択して原料とし、前記デキストリンは、澱粉が酵素反応又は酸処理により分解されたものであ(ただし、アミロペクチンを6−α−グルカノトランスフェラーゼで低分子化して得られたデキストリン、及び澱粉加水分解物から精製された分岐デキストリンを除く。)、製造された粉末状清涼飲料用組成物のデキストリン含有量が、当該粉末状清涼飲料用組成物を液体と混合して得られる清涼飲料におけるデキストリンに由来するアセトイン濃度が8質量ppb以下になるように、当該粉末状清涼飲料用組成物の組成を調整することを特徴とする。
] 前記[1]粉末状清涼飲料用組成物の製造方法としては、前記デキストリンのDE値が20以下であることが好ましい。
] 前記[1]又は[2]の粉末状清涼飲料用組成物の製造方法としては、原料としてさらに、可溶性茶固形分を用いることが好ましい。
] 前記[]の粉末状清涼飲料用組成物の製造方法としては、前記可溶性茶固形分が、烏龍茶、緑茶、ルイボスティー、紅茶、花茶、及びハーブ茶からなる群より選択される1種以上の可溶性茶固形分であることが好ましい。
本発明により、デキストリンを含有しているにもかかわらず、デキストリン臭が少ない粉末状清涼飲料用組成物が得られる。当該粉末状清涼飲料用組成物から、異臭の少ない、風味の良好な清涼飲料が調製できる。
参考例1において、デキストリンのアセトイン含有量と、デキストリン臭の強さとの関係を示した図である。 参考例1において、デキストリンのアセチルフランの含有量(ピーク面積値)と、デキストリン臭の強さとの関係を示した図である。
本発明及び本願明細書において、「粉末状清涼飲料用組成物」とは、水や牛乳等の液体に溶解又は分散させることによって清涼飲料を調製し得る粉末状の組成物を意味する。粉末状清涼飲料用組成物は、固体のため、安定的に長期保存が可能である。
また、「清涼飲料」は、乳酸菌飲料、乳及び乳製品を除く、酒精分1容量パーセント未満を含有する飲料を意味する。
本発明及び本願明細書において、「粉末」とは粉粒体(異なる大きさの分布をもつ多くの固体粒子からなり、個々の粒子間に、何らかの相互作用が働いているもの)を意味する。本発明及び本願明細書において、「粉末」には、「顆粒(粉末から造粒された粒子(顆粒状造粒物)の集合体)」も含まれる。
本発明に係る粉末状清涼飲料用組成物の製造方法(以下、「本発明に係る組成物の製造方法」ということがある。)は、アセトイン含有量が300μg/100g以下であるデキストリンを原料とすることを特徴とする。後記参考例1に示すように、デキストリンに含有されるアロマ成分とデキストリン臭の強度の相関を調べたところ、アセトイン含有量とデキストリン臭の強度は正の相関があり、アセトイン濃度の高いデキストリンほど、デキストリン臭が強い。そこで、粉末状清涼飲料用組成物を製造する際に、賦形剤等として、アセトイン含有量が比較的少ないデキストリンを用いることにより、製造された粉末状清涼飲料用組成物を水等の液体と混合させることにより、デキストリン臭の少ない清涼飲料を調製することができる。
本発明に係る組成物の製造方法により製造される粉末状清涼飲料用組成物としては、水等に溶解等させることにより清涼飲料が製造可能なものであれば特に限定されるものではない。本発明においては、嗜好性飲料が好ましく、茶飲料、コーヒー、ココア、又はこれらの混合飲料がより好ましく、茶飲料がさらに好ましい。
[デキストリン]
本発明において用いられるデキストリンのアセトイン含有量は、300μg/100g以下であり、150μg/100g以下が好ましく、120μg/100g以下がより好ましく、100μg/100g以下がさらに好ましく、50μg/100g以下がよりさらに好ましい。アセトイン含有量がより低いデキストリンを選択して用いることにより、デキストリン臭のより少ない清涼飲料を調製し得る粉末状清涼飲料用組成物が得られる。
なお、本発明及び本願明細書において、デキストリン等のアセトイン含有量は、ダイナミックヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析(以下、「DHS−GCMS」)法により測定することができる。DHS−GCMS法において用いるカラムとしては、アセトインが他の物質から分離して検出可能なものであれば特に限定されるものではないが、液相がポリエチレングリコールのものが好ましい。
本発明において用いられるデキストリンとしては、アセトイン含有量が低いことに加えて、DE値が低いものが好ましい。DE値が低いデキストリンほど甘味が少なく、粉末状清涼飲料用組成物の原料として用いた場合に、当該清涼飲料本来の味に対する影響を小さくすることができる。本発明において用いられるデキストリンとしては、DE値が20以下のものが好ましく、DE値が10以下のものがより好ましい。
本発明において用いられるデキストリンとしては、澱粉を酵素反応又は酸処理により分解した後、各種精製法を施すことにより得られたものを用いることができ、市販されているデキストリンを用いることもできる。また、市販されているデキストリンを、アセトイン含有量を低減させるように精製したものを用いてもよい。当該精製方法としては、例えば、アセトインの溶解性が高いがデキストリンの溶解性は低い有機溶剤にデキストリンを接触させることによって当該有機溶剤にデキストリン中のアセトインを溶出させた後、当該有機溶剤をデキストリンから除去する方法が挙げられる。当該有機溶剤としては、例えば、エーテル等が挙げられる。なお、デキストリンにアセトインが含まれていること、及びアセトインがデキストリン臭の一要因であることは、本発明の発明者らによって初めて見出された知見である。
本発明に係る組成物の製造方法においては、組成物全体に対するデキストリンの含有量を、製造された粉末状清涼飲料用組成物を液体と混合して得られる清涼飲料におけるデキストリンに由来するアセトイン濃度が8質量ppb以下になるように調整することが好ましい。清涼飲料のアセトイン濃度を8質量ppb以下にすることにより、デキストリン臭を顕著に低減することができ、風味を改善することができる。本発明に係る組成物の製造方法において製造される粉末状清涼飲料用組成物のデキストリンの含有量は、当該粉末状清涼飲料用組成物から調製された清涼飲料のアセトイン濃度(飲用時のアセトイン濃度)が、5質量ppb以下となる量であることが好ましく、4質量ppb以下となる量であることがより好ましい。
[茶飲料の可溶性固形分]
本発明に係る組成物の製造方法により製造される粉末状清涼飲料用組成物が、茶飲料を製造するための粉末状組成物(茶飲料用組成物)の場合には、原料として、可溶性茶固形分を用いる。可溶性茶固形分は、植物の葉や花、種子、茎等の茶原料から抽出された可溶性の固形分であり、粉末であってもよく、水溶液であってもよい。保存安定性が良好であるため、本発明においては、粉末の可溶性固形分を原料とすることが好ましい。
本発明において原料となる可溶性茶固形分としては、1種類の茶原料から調製された可溶性茶固形分であってもよく、2種類以上の茶原料からそれぞれ別個に調製された可溶性茶固形分の混合物であってもよく、2種類以上の茶原料の混合物から抽出された可溶性茶固形分であってもよい。本発明において用いられる可溶性茶固形分としては、例えば、烏龍茶、緑茶、紅茶、花茶(茶葉に花の香りを付けた茶、又は花を茶原料とする茶)、ルイボス茶、ハニーブッシュ茶、マテ茶、麦茶、はと麦茶、野菜茶(野菜を茶原料とする茶)、コーン茶、ハーブ茶、漢方茶(複数種類の生薬を茶原料とする茶)、豆茶、きのこ茶、玄米茶、はぶ茶(ハブソウ(Senna occidentalis)又はエビスグサ(Senna obtusifolia)の種子を茶原料とする茶)、チコリー茶、アロエ茶、又は羅布麻茶の可溶性茶固形分が挙げられる。花茶としては、ジャスミン茶、桂花茶等が挙げられる。ハーブ茶の原料となるハーブとしては、例えば、カモミール、ハイビスカス、ローズヒップ、ペパーミント、ミント、レモングラス、レモンバーム、ラベンダー、ローズマリー、タイム、シナモン等が挙げられる。なかでも、本発明において、粉末状清涼飲料用組成物の原料として用いられる可溶性茶固形分としては、烏龍茶、緑茶、ルイボスティー、紅茶、花茶、及びハーブ茶からなる群より選択される1種以上の可溶性茶固形分が好ましい。
粉末又は液状である茶飲料の可溶性固形分は、常法により製造することができ、また、市販されているものを用いてもよい。例えば、粉末状の可溶性固形分は、烏龍茶葉、ルイボス茶葉等の茶原料から熱水を用いて可溶性の固形分を抽出し、得られた抽出物を乾燥することにより得られる。茶原料から可溶性固形分を抽出する際の温度や抽出時間は、茶原料の種類や所望の飲料品質を考慮して適宜決定することができる。例えば、茶原料から可溶性固形分を抽出する水の温度は、冷水(0〜10℃)であってもよく、常温(15〜25℃)であってもよく、微温湯(30〜40℃)であってもよく、60〜100℃の高温であってもよい。得られた抽出物の乾燥方法としては、凍結乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥等が挙げられる。また、茶原料からの抽出物は、乾燥前に、必要に応じて濃縮してもよい。当該濃縮方法としては、熱濃縮方法、冷凍濃縮方法、逆浸透膜や限外濾過膜等を用いた膜濃縮方法等の汎用されている濃縮方法により行うことができる。
[その他の原料]
本発明に係る組成物の製造方法においては、デキストリンは、賦形剤、結合剤、又は増粘剤の少なくとも一部として用いられる。当該製造方法においては、製造する目的の清涼飲料の種類や望まれる品質特性によって、デキストリン以外にも様々な成分を含有させる。当該成分としては、甘味料、酸味料、果汁、香料、着色料、酸化防止剤、pH調整剤、増粘剤、乳化剤、賦形剤、結合剤、流動性改良剤(固結防止剤)、乳原料、クリーミングパウダー(クリームの代用として、紅茶、コーヒー等の嗜好性飲料に添加される粉末)等が挙げられる。また、必要に応じて、茶類やハーブ、焙煎したコーヒー豆等を抽出することなく微粉砕したものを混ぜてもよく、レモンピール、オレンジピール等の果皮を混ぜてもよい。
甘味料としては、砂糖、ショ糖、オリゴ糖、ブドウ糖、果糖等の糖類、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース等の高甘味度甘味料、ステビア等が挙げられる。
酸味料としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸が挙げられる。
果汁は、粉末状であってもよく、液状であってもよい。粉末果汁としては、100%果汁の凍結乾燥品、真空乾燥品、又は噴霧乾燥品でもよく、デキストリン等の固体担体と共に乾燥することによって、当該固体担体に固定化されたものでもよい。固体担体としてデキストリンを用いる場合、当該デキストリンとしては、アセトイン含有量が300μg/100g以下のものを用いる。この際に、アセトイン含有量が低く、かつ低DE値であるデキストリンを用いることが好ましい。液状の果汁としては、果物から圧搾した果汁そのものであってもよく、濃縮果汁であってもよい。
香料としては、飲食品に配合可能な香料の中から、清涼飲料の種類等を考慮して適宜選択して用いることができる。例えば、シトラスフレーバー、アップルフレーバー、ピーチフレーバー等の果物の香りの香料を用いることにより、果物の香りのする清涼飲料を製造することができる。その他、ジャスミン等の花の香りのフレーバーを用いることにより、花の香りのする清涼飲料を製造することができる。
酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキン等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、コハク酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸。グルコン酸等の有機酸や、リン酸等の無機酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、二酸化炭素等が挙げられる。
増粘剤としては、麦芽糖、トレハロース等の糖類、難消化性デキストリン、ペクチン、グアーガム、カラギーナン等の食物繊維、カゼイン等のタンパク質等が挙げられる。
乳化剤としては、例えば、モノグリセライド、ジグリセライド、有機酸モノグリセライド、ポリグリセリンエステル等のグリセリン脂肪酸エステル系乳化剤;ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル系乳化剤;プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノパルミテート、プロピレングリコールオレエート等のプロピレングリコール脂肪酸エステル系乳化剤;ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等のシュガーエステル系乳化剤;レシチン、レシチン酵素分解物等のレシチン系乳化剤等が挙げられる。
デキストリン以外の賦形剤や結合剤としては、麦芽糖、トレハロース等の糖類、難消化性デキストリン等の食物繊維、カゼイン等のタンパク質等が挙げられる。なお、賦形剤や結合剤は、造粒時の担体としても用いられる。
流動性改良剤としては、微粒酸化ケイ素、第三リン酸カルシウム等の加工用製剤が用いられてもよい。
乳原料としては、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー等が挙げられる。
クリーミングパウダーは、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、コーン油、綿実油、ナタネ油、乳脂、牛脂、豚脂等の食用油脂;シヨ糖、グルコース、澱粉加水分解物等の糖質;カゼインナトリウム、第二リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、脱脂粉乳、乳化剤等のその他の原料等を、望まれる品質特性に応じて選択し、水に分散し、均質化し、乾燥することによって製造できる。本発明において原料として用いられるクリーミングパウダーとしては、植物性油脂と、コーンシロップ等の澱粉加水分解物と、乳タンパク質とを少なくとも含むものが好ましく、乳脂肪分と乳タンパク質とを少なくとも含むものであってもよい。
クリーミングパウダーは、例えば、食用油脂をはじめとする原料を水中で混合し、次いで乳化機等で水中油型乳化液(O/Wエマルション)とした後、水分を除去することによって製造することができる。水分を除去する方法としては、噴霧乾燥、噴霧凍結、凍結乾燥、凍結粉砕、押し出し造粒法等、任意の方法を選択して行うことができる。得られたクリーミングパウダーは、必要に応じて、分級、造粒及び粉砕等を行ってもよい。
[製造]
本発明に係る組成物の製造方法は、賦形剤、結合剤、又は増粘剤の少なくとも一部としてデキストリンを用い、かつ原料として用いられるデキストリンとしてアセトイン含有量が300μg/100g以下のデキストリンを用いる以外は、他の清涼飲料を製造するための粉末状組成物と同様にして製造できる。例えば、全ての原料が粉末の場合には、デキストリンを含む全ての原料をそのまま混合することによって、粉末状清涼飲料用組成物が製造される。また、粉末原料と液状の原料を用いる場合、粉末の原料を全て予め混合し、得られた混合粉末に、液状の原料の混合液を噴霧して乾燥させることによって、粉末状清涼飲料用組成物が製造される。その他、水、アルコール類、グリセリン類、又はこれらの混合溶媒に溶解させたデキストリンを、固形状のその他の原料を全て混合した混合物の造粒時噴霧した後、得られた造粒物を乾燥させることによっても、粉末状清涼飲料用組成物が製造される。
本発明に係る組成物の製造方法により製造された粉末状清涼飲料用組成物としては、アセトイン濃度が100μg/100g以下であることが好ましく、70μg/100g以下であることがより好ましく、60μg/100g以下であることがさらに好ましい。組成物全体のアセトイン濃度が少ないほど、デキストリン臭がより少なく、嗜好性の高い清涼飲料を製造可能な粉末状清涼飲料用組成物になる。
本発明に係る組成物の製造方法により製造された粉末状清涼飲料用組成物は、飲用1杯分を小パウチなどに個包装したり、使用時に容器から振り出したりスプーンで取り出したりして使用するように瓶などの容器に数杯分をまとめて包装して商品として供給することもできる。個包装タイプとは、スティック状アルミパウチ、ワンポーションカップなどに清涼飲料1杯分の中身を充填包装するものであり、容器を開けて指で押し出すなどの方法で中身を取り出すことができる。個包装タイプは、1杯分が密閉包装されているので取り扱いも簡単で、衛生的であるという利点を有する。
次に実施例及び参考例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。なお、以下の実施例等において、特に記載がない限り、「%」は「質量%」を意味する。
<アセトイン含有量の測定>
以降の実施例及び参考例において、デキストリン及び粉末状組成物のアセトイン含有量は、DHS−GCMS法により測定した。
具体的には、まず、デキストリン粉末又は粉末状組成物30gを精製水に溶解させて100mLにメスアップし、デキストリン又は粉末状組成物の水溶液を調製した。当該水溶液10mLを20mL容ガラスバイアルに入れ、下記の条件でDHS−GCMSにかけた。アセトインの標準試薬はシグマアルトリッチ社製を用い、シクロヘキサノール(和光純薬社製)を内部標準として用いた。
<DHS−GCMS条件>
DHS装置:GERSTEL DHS(GESTEL社製)
GCMS装置:Agilent 7890A GC System/5975C inert XL MSD(Agilent Technologies社製)
分離カラム:InertCap(登録商標) WAX HT(0.25mm×60m)(液相:ポリエチレングリコール)(GL Sciences社製)
解析ソフトウェア:Automated Mass Spectral Deconvolution and Identification System(ver.2.7)(Agilent Technologies社製)/Mass Profiler Professional(ver. B12.01)(Agilent Technologies社製)
[参考例1]
市場に販売されている粉末状のデキストリン6種(デキストリンA〜F)について、含有されているアロマ成分とデキストリン臭について調べた。
各デキストリンのデキストリン臭は、嗜好性パネラー5名により、5段階(1がデキストリン臭が最も弱く、5がデキストリン臭が最も強い。)でスコア付けをして評価した。各嗜好性パネラーが付けた点数を平均し、平均スコアを評価とした。
また、各デキストリンのアロマ成分について、一斉分析(定性)を行った。各デキストリンのアセトイン含有量は、前記の通り測定した。また、アセトイン以外のアロマ成分についても、それぞれ適した標準試薬を用いた以外はアセトインと同様にしてDHS−GCMSにて測定した。
GCMSによって得られた測定データを用い、メタボローム解析を行ったところ、デキストリン臭とアセトイン濃度に高い相関関係を見出した。
Figure 0006777372
各デキストリンのデキストリン臭の評価結果とアセトイン濃度を表1及び図1に示す。また、今回確認できたアロマ成分の多くは、図2に示すアセチルフランのように、デキストリン臭の強度とデキストリン中の濃度との相関が確認できなかった。
[参考例2]
デキストリン臭が弱くアセトイン含有量が少なかったデキストリンAと、デキストリン臭が強くアセトイン含有量が多かったデキストリンFとを各比率でブレンドした混合物について、参考例1と同様にしてデキストリン臭の官能評価を行った。各混合物の混合比率、デキストリン臭の評価結果、及びアセトイン濃度を表2に示す。この結果、デキストリンFの含有比率が高くなるほどデキストリン臭が強くなり、アセトイン濃度が300μg/100g以下のデキストリンでは、デキストリン臭の評価が3以下であった。
Figure 0006777372
[実施例1]
茶飲料を製造するためのデキストリンを含有する粉末状組成物を製造し、そのデキストリン臭を調べた。
具体的には、まず、ルイボス茶パウダー(ルイボス茶の可溶性固形分のパウダー)にデキストリンを配合した5種類の組成物(サンプルA、C〜F)、及び烏龍茶パウダー(烏龍茶の可溶性固形分のパウダー)にデキストリンを配合した1種類の組成物(サンプルB)を調製した。各サンプルは、使用するデキストリンの種類や含有量を変えてアセトイン含有量を表3に示す量に調製した。各サンプルについて、1杯あたり1g(サンプルBは1.5g)を90℃の温水150mLに溶解させてルイボス茶及び烏龍茶を調製した。各サンプルについて、参考例1と同様にして組成物自体のアセトイン含有量を測定し、得られた測定値から、当該組成物から調製された茶飲料のアセトイン濃度(飲用時のアセトイン濃度)を算出した。また、各サンプルについて、参考例1と同様にしてデキストリン臭を評価した。
また、対照として、市場に販売されている粉末状のデキストリンを含有する緑茶用粉末組成物(市販品A)について、製造元により提供されている標準レシピ(パッケージに記載されている推奨レシピ)の濃度で90℃の温水に溶解させて緑茶を調製した。調製された緑茶についても同様にして、粉末自体のアセトイン含有量を測定して得られた測定値から調製された緑茶のアセトイン濃度を算出し、さらにデキストリン臭を評価した。測定及び評価結果を表3に示す。
Figure 0006777372
この結果、デキストリン臭が強かったサンプルEのルイボス茶及び市販品Aの緑茶は、飲用時のアセトイン濃度が10ppb以上であった。これに対して、組成物のアセトイン含有量が120μg/100g以下であり、飲用時のアセトイン濃度が8質量ppb以下であるサンプルA〜D、Fは、デキストリン臭が少なく、風味が良好であった。これらの結果から、茶飲料の種類にかかわらず、アセトイン含有量が少ないほど、デキストリン臭が弱く、風味が良好であることがわかった。

Claims (4)

  1. アセトイン含有量が300μg/100g以下となるようにデキストリンを選択して原料とし、
    前記デキストリンは、澱粉が酵素反応又は酸処理により分解されたものであ(ただし、アミロペクチンを6−α−グルカノトランスフェラーゼで低分子化して得られたデキストリン、及び澱粉加水分解物から精製された分岐デキストリンを除く。)
    製造された粉末状清涼飲料用組成物のデキストリン含有量が、当該粉末状清涼飲料用組成物を液体と混合して得られる清涼飲料におけるデキストリンに由来するアセトイン濃度が8質量ppb以下になるように、当該粉末状清涼飲料用組成物の組成を調整することを特徴とする、粉末状清涼飲料用組成物の製造方法。
  2. 前記デキストリンのDE値が20以下である、請求項1記載の粉末状清涼飲料用組成物の製造方法。
  3. 原料としてさらに、可溶性茶固形分を用いる、請求項1又は2に記載の粉末状清涼飲料用組成物の製造方法。
  4. 前記可溶性茶固形分が、烏龍茶、緑茶、ルイボスティー、紅茶、花茶、及びハーブ茶からなる群より選択される1種以上の可溶性茶固形分である、請求項に記載の粉末状清涼飲料用組成物の製造方法。
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