JP6746526B2 - 負極活物質、混合負極活物質材料、及び負極活物質の製造方法 - Google Patents
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Description
まず、非水電解質二次電池用負極について説明する。図1は本発明の一実施形態における非水電解質二次電池用負極(以下、「負極」とも呼称する)の断面構成を表している。
図1に示したように、負極10は、負極集電体11の上に負極活物質層12を有する構成になっている。この負極活物質層12は負極集電体11の両面、又は、片面だけに設けられていても良い。さらに、本発明の負極活物質が用いられたものであれば、負極集電体11はなくてもよい。
負極集電体11は、優れた導電性材料であり、かつ、機械的な強度に長けた物で構成される。負極集電体11に用いることができる導電性材料として、例えば銅(Cu)やニッケル(Ni)があげられる。この導電性材料は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しない材料であることが好ましい。
負極活物質層12は、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な本発明の負極活物質を含んでおり、電池設計上の観点から、さらに、負極結着剤(バインダ)や導電助剤など他の材料を含んでいてもよい。負極活物質は負極活物質粒子を含み、負極活物質粒子はケイ素化合物(SiOx:0.5≦x≦1.6)を含有するケイ素化合物粒子を含む。
・装置: X線光電子分光装置、
・X線源: 単色化Al Kα線、
・X線スポット径: 100μm、
・Arイオン銃スパッタ条件: 0.5kV/2mm×2mm。
29Si MAS NMR(マジック角回転核磁気共鳴)
・装置: Bruker社製700NMR分光器、
・プローブ: 4mmHR−MASローター 50μL、
・試料回転速度: 10kHz、
・測定環境温度: 25℃。
負極は、例えば、以下の手順により製造できる。まず、負極に使用する負極活物質の製造方法を説明する。最初に、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x≦1.6)を含むケイ素化合物粒子を作製する。次に、ケイ素化合物粒子にリチウムを挿入し、Li2SiO3及びLi4SiO4のうち少なくとも1種以上を含有させる。次に、ケイ素化合物粒子の表面に、Clイオン及びSO4イオンのうち少なくともいずれか一方を含有させても良い。なお、ケイ素化合物粒子の表面に、ClイオンやSO4イオンを含有させる工程は、ケイ素化合物粒子へのリチウムの挿入工程にて同時に行っても良い。これにより、負極活物質粒子を作製する。また、ケイ素化合物粒子に炭素材を被覆してからケイ素化合物粒子にリチウムを挿入しても良い。
次に、本発明のリチウムイオン二次電池について説明する。本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の負極活物質を含む負極を用いたものである。ここでは具体例として、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池を例に挙げる。
図4に示すラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池20は、主にシート状の外装部材25の内部に巻回電極体21が収納されたものである。この巻回体は正極、負極間にセパレータを有し、巻回されたものである。また正極、負極間にセパレータを有し積層体を収納した場合も存在する。どちらの電極体においても、正極に正極リード22が取り付けられ、負極に負極リード23が取り付けられている。電極体の最外周部は保護テープにより保護されている。
正極は、例えば、図1の負極10と同様に、正極集電体の両面又は片面に正極活物質層を有している。
負極は、上記した図1のリチウムイオン二次電池用負極10と同様の構成を有し、例えば、集電体11の両面に負極活物質層12を有している。この負極は、正極活物質剤から得られる電気容量(電池として充電容量)に対して、負極充電容量が大きくなることが好ましい。負極上でのリチウム金属の析出を抑制することができるためである。
セパレータは正極、負極を隔離し、両極接触に伴う電流短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータは、例えば合成樹脂、あるいはセラミックからなる多孔質膜により形成されており、2種以上の多孔質膜が積層された積層構造を有しても良い。合成樹脂として例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
活物質層の少なくとも一部、又は、セパレータには、液状の電解質(電解液)が含浸されている。この電解液は、溶媒中に電解質塩が溶解されており、添加剤など他の材料を含んでいても良い。
本発明では、上記の本発明の負極活物質の製造方法によって製造した負極活物質を用いて負極を作製し、該作製した負極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する。
以下の手順により、図4に示したラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池20を作製した。
ケイ素化合物のバルク内酸素量を調整したことを除き、実施例1−1と同様に、二次電池の製造を行った。この場合、ケイ素化合物の原料中の金属ケイ素と二酸化ケイ素との比率や加熱温度を変化させることで、酸素量を調整した。実施例1−1〜1−3、比較例1−1、1−2における、SiOxで表されるケイ素化合物のxの値を表1中に示した。
ケイ素化合物粒子の内部に含ませるリチウムシリケートの種類を表2のように変更したこと以外、実施例1−2と同じ条件で二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
ケイ素化合物粒子にリチウムの挿入を行わなかったこと以外、実施例1−2と同じ条件で二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
負極活物質粒子の表面のClイオン及びSO4イオンの含有量を表3に示すように変更したこと以外、実施例1−2と同じ条件で二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。Clイオン及びSO4イオンの含有量は、添加するイオン源の量を調整することで変更した。また、実施例3−1〜3−6ではClイオン及びSO4イオンの含有量は少なくともいずれか一方が5質量ppm〜200質量ppmを満たすように調整した。また、実施例3−1〜3−4では、負極活物質粒子の表面にLiCl及びLi2SO4が含まれていた。また、実施例3−5では、負極活物質粒子の表面にLi2SO4が含まれていた。また、実施例3−6では、負極活物質粒子の表面にLiClが含まれていた。
ケイ素化合物粒子の改質方法を酸化還元法に変更し、Clイオン及びSO4イオンの含有量を表3に示すように変更したこと以外、実施例1−2と同じ条件で二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
負極活物質粒子の表面にClイオンとSO4イオンのいずれも含有させなかったこと以外、実施例1−2と同じ条件で二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
負極活物質粒子の表面のClイオンとSO4イオンの含有量をいずれも、負極活物質粒子の質量に対して200質量ppmより大きくしたこと以外、実施例1−2と同じ条件で二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
ケイ素化合物粒子の改質方法を酸化還元法に変更し、かつ、負極活物質粒子の表面のClイオンとSO4イオンの含有量をいずれも、負極活物質粒子の質量に対して200質量ppmより大きくしたこと以外、実施例1−2と同じ条件で二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
負極活物質粒子の表面のLiOH及びLi2CO3の含有量を表4のように変更したこと以外、実施例1−2と同じ条件で二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
ケイ素化合物粒子の結晶性を表5のように変化させたこと以外、実施例1−2と同じ条件で二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。なお、ケイ素化合物粒子中の結晶性は、原料の気化温度の変更、ケイ素化合物粒子の生成後の熱処理で制御できる。
ケイ素化合物をSi及びLiシリケート領域の最大ピーク強度値Aと上記SiO2領域に由来するピーク強度値Bとの関係がA<Bのものとしたこと以外、実施例1−2と同じ条件で二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。この場合、改質時にリチウムの挿入量を減らすことで、Li2SiO3の量を減らし、Li2SiO3に由来するピークの強度Aを小さくした。
上記試験セルにおける30回の充放電で得られたV−dQ/dV曲線において、いずれの充放電でもVが0.40V〜0.55Vの範囲にピークが得られなかった負極活物質を用いた以外、実施例1−2と同じ条件で二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
ケイ素化合物のメジアン径を表8のように変化させたこと以外、実施例1−2と同じ条件で二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
ケイ素系活物質粒子の表面に被覆された炭素材の平均厚さを変更したこと以外、実施例1−2と同じ条件で二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。炭素材の平均厚さは、CVD条件を変更することで調整できる。
負極活物質中のケイ素系活物質粒子の質量の割合を変更したこと以外、実施例1−2と同じ条件で二次電池を作製し、電池容量の増加率を評価した。
20…リチウム二次電池(ラミネートフィルム型)、 21…巻回電極体、
22…正極リード、 23…負極リード、 24…密着フィルム、
25…外装部材。
Claims (12)
- 負極活物質粒子を含む負極活物質であって、
前記負極活物質粒子は、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x≦1.6)を含むケイ素化合物粒子を含有し、
前記ケイ素化合物粒子は、Li2SiO3及びLi4SiO4のうち少なくとも1種以上を含有し、
前記負極活物質粒子は、Clイオン及びSO4イオンの両方を表面に含み、
前記Clイオンの含有量が前記負極活物質粒子の質量に対して5質量ppm以上200質量ppm以下であること、及び、前記SO4イオンの含有量が前記負極活物質粒子の質量に対して5質量ppm以上200質量ppm以下であることの両方を満たすものであることを特徴とする負極活物質。 - 前記負極活物質粒子は、LiOH及びLi2CO3を表面に含み、前記LiOHの含有量が前記負極活物質粒子の質量に対して0.01質量%以上5.00質量%以下であり、かつ、前記Li2CO3の含有量が前記負極活物質粒子の質量に対して0.01質量%以上5.00質量%以下を満たすものであることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
- 前記負極活物質粒子はLiCl及びLi2SO4のうち少なくともいずれか一方を表面に含むものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の負極活物質。
- 前記ケイ素化合物粒子は、X線回折により得られるSi(111)結晶面に起因する回折ピークの半値幅(2θ)が1.2°以上であるとともに、その結晶面に対応する結晶子サイズは7.5nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の負極活物質。
- 前記ケイ素化合物粒子において、29Si−MAS−NMR スペクトルから得られる、ケミカルシフト値として−60〜−95ppmで与えられるSi及びLiシリケート領域の最大ピーク強度値Aと、ケミカルシフト値として−96〜−150ppmで与えられるSiO2領域のピーク強度値Bが、A>Bという関係を満たすものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の負極活物質。
- 前記負極活物質と炭素系活物質との混合物を含む負極電極と対極リチウムとから成る試験セルを作製し、該試験セルにおいて、前記負極活物質にリチウムを挿入するよう電流を流す充電と、前記負極活物質からリチウムを脱離するよう電流を流す放電とから成る充放電を30回実施し、各充放電における放電容量Qを前記対極リチウムを基準とする前記負極電極の電位Vで微分した微分値dQ/dVと前記電位Vとの関係を示すグラフを描いた場合に、X回目以降(1≦X≦30)の放電時における、前記負極電極の電位Vが0.40V〜0.55Vの範囲にピークを有するものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の負極活物質。
- 前記負極活物質粒子はメジアン径が1.0μm以上15μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の負極活物質。
- 前記負極活物質粒子は、表層部に炭素材を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の負極活物質。
- 前記炭素材の平均厚さは10nm以上5000nm以下であることを特徴とする請求項8に記載の負極活物質。
- 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の負極活物質と炭素系活物質とを含むことを特徴とする混合負極活物質材料。
- ケイ素化合物粒子を含有する負極活物質粒子を含む負極活物質を製造する方法であって、
ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x≦1.6)を含むケイ素化合物粒子を作製する工程と、
前記ケイ素化合物粒子にリチウムを挿入し、Li2SiO3及びLi4SiO4のうち少なくとも1種以上を含有させる工程と、
により負極活物質粒子を作製し、
前記負極活物質粒子から、前記負極活物質粒子の表面のClイオンの含有量が前記負極活物質粒子の質量に対して5ppm以上200ppm以下であること、及び、前記負極活物質粒子の表面のSO4イオンの含有量が前記負極活物質粒子の質量に対して5ppm以上200ppm以下であることの両方を満たすものを選別する工程とを含み、
該選別した前記負極活物質粒子を用いて、負極活物質を製造することを特徴とする負極活物質の製造方法。 - さらに、前記ケイ素化合物粒子の表面に、Clイオン及びSO4イオンのうち少なくともいずれか一方を含有させる工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の負極活物質の製造方法。
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