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JP6639079B2 - 異方性導電材料 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品を接続させるために用いられる異方性導電材料、接続構造体、タッチパネル装置、及び接続構造体の製造方法に関する。
近年、タッチパネルセンサー等の基板に、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリシクロオレフィン等のようなプラスチック基板が使用されている。これらのプラスチック基板に施されるITO等の配線は、非視認性やコストダウンの目的で、1μm以下の薄い配線が使用される傾向にある。
このような配線基板に対し、通常のACF(Anisotropic Conductive Film)を用いて電気的接続部位を設けると、ACF中に分散して含まれている導電性粒子が、圧着圧力によって端子および端子下部のプラスチック基板を変形させ、端子部にクラックを生じることがある。端子部にクラックが生じると、所定の温度及び湿度などのストレス条件下に曝す信頼性試験の後において導通抵抗が上昇することがあった。
図3に、従来の接続構造体の一例を示す。図3に示す接続構造体は、第1の支持基板112とその主面に設けられた端子111を備える第1の電子部品110と、第2の支持基板121とその主面に設けられた端子122とを備える第2の電子部品120とが、ACF130を介して圧着して接合されたものである。ACF130は、バインダー樹脂131とバインダー樹脂131中に分散して含まれる導電性粒子133を含む。導電性粒子133は、コア粒子136の表面に金属層137が施されている。
導電性粒子133として、圧力に対して変形しにくい高弾性タイプのものを用いた場合、電子部品同士の導通性を確保するためには好適であるが、コア粒子136が硬すぎると、第1の支持基板112がプラスチック基板である場合、圧着時の圧力を吸収しきれず、端子111の一部にクラックを生じてしまう場合がある。このため、導電性粒子の弾性率を所定の条件に規定し、クラックを防止することが試みられている(例えば、特許文献1など)。
特開2001−332136号公報
端子部のクラックを回避するためには、ACF中の導電性粒子を、圧力に対して十分に変形しやすい低弾性タイプにして、導電性粒子の変形によって端子部上の圧着圧力を低減することが考えられる。しかしながら、導電性粒子を低弾性にしすぎると、導電性粒子と端子間の接触が十分でなく、初期導通抵抗が上昇してしまうことがあり、単に低弾性化すれば良いというものではない。
図4に、低弾性の導電性粒子を用いた接続構造体の一例を示す。図4に示す接続構造体において、図3と同じ構成については説明を省略する。図4に示す例では、コア粒子136として柔らかい材料を用いているが、柔らかすぎるため圧着時に変形しすぎてしまい、端子111、122間の十分な導通が得られない。
以上のような状況に鑑み、本発明は、初期及び信頼性試験後において優れた導通性が得られる異方性導電材料、接続構造体、タッチパネル装置、及び接続構造体の製造方法を提供する。
前述した課題を解決するために、本発明に係る異方性導電材料は、バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂中に含まれ、30%変形時の圧縮弾性率が30MPa以上120MPa以下である導電性粒子とを含有し、前記導電性粒子が、樹脂からなるコア粒子と、前記コア粒子を被覆する金属層と、表面に形成された突起部とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る接続構造体は、第1の支持基板上に端子が形成された第1の電子部品と、第2の支持基板上に端子が形成された第2の電子部品と、前記第1の電子部品の端子と前記第2の電子部品の端子とを接続する導電性粒子を含有する異方性導電材料の硬化物からなる異方性導電膜とを備え、前記異方性導電材料が、バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂中に含まれ、30%変形時の圧縮弾性率が30MPa以上120MPa以下である導電性粒子とを含有し、前記導電性粒子が、樹脂からなるコア粒子と、前記コア粒子を被覆する金属層と、表面に形成された突起部とを有することを特徴とする。
また、本発明に係るタッチパネル装置は、前述した接続構造体を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る接続構造体の製造方法は、第1の支持基板上に端子が形成された第1の電子部品と、第2の支持基板上に端子が形成された第2の電子部品とを、バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂中に含まれ、30%変形時の圧縮弾性率が30MPa以上120MPa以下である導電性粒子とを含有し、前記導電性粒子が、樹脂からなるコア粒子と、前記コア粒子を被覆する金属層と、表面に形成された突起部とを有する異方性導電接着フィルムを介在させて圧着し、前記異方性接着フィルムを硬化させ、接続構造体を得ることを特徴とする。
本発明によれば、30%変形時の圧縮弾性率が30MPa以上120MPa以下であり、且つ表面に突起部を有する導電性粒子を用いるため、変形しやすいプラスチック基板を使用した場合でも、初期及び信頼性試験後において、優れた導通性を得ることができる。
図1は、異方性導電材料を用いた接続構造体の一部断面を模式的に示す図である。 図2は、突起部を有する導電性粒子の一例を示す断面図である。 図3は、従来の異方性導電材料を用いた接続構造体の一部断面を模式的に示す図である。 図4は、従来の異方性導電材料を用いた接続構造体の他の例の一部断面を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.異方性導電材料、及び接続構造体
2.実施例
<1.異方性導電材料、及び接続構造体>
図1は、異方性導電材料を用いた接続構造体の一部断面を模式的に示す図である。図1に示すように、接続構造体は、第1の支持基板12上に端子11が形成された第1の電子部品10と、第2の支持基板21上に端子22が形成された第2の電子部品20と、第1の電子部品10の端子11と第2の電子部品20の端子22とを接続する導電性粒子33を含有する異方性導電材料の硬化物からなる異方性導電膜30とを備える。
図1において、導電性粒子33は、コア粒子36の表面全体を覆うように金属層37が被膜されて構成され、圧着時の圧力により若干変形した状態となっている。圧着等の条件によるが、通常、タッチパネルなどにおける接続構造体では、圧着された結果、導電性粒子が約30%程度変形するケースが多く見られる。このため、導電性粒子の硬さを特定するにあたり、30%変形時の圧縮弾性率という特定条件下での圧縮弾性率を指標とすることは、異方性導電材料を用いて電子部品を電気的に良好に接続させた状態の導電性粒子を示すのに、優れた指標である。
すなわち、本実施の形態に係る異方性導電材料は、バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂中に含まれ、30%変形時の圧縮弾性率が30MPa以上120MPa以下である導電性粒子33とを含有し、導電性粒子33が、表面に突起部Pを有する。これにより、例えば第1の支持基板12として、変形しやすいプラスチック基板を使用した場合でも、端子12、22にクラックを生じることを抑制することができ、初期及び信頼性試験後において、優れた導通性を得ることができる。ここで、プラスチップ基板とは、透明性、電気特性を兼ね備えた熱可塑性のフレキシブル基板をいう。
導電性粒子の30%変形時の圧縮弾性率の下限値は、好ましくは30MPa以上、より好ましくは45MPa以上である。圧縮弾性率をこのような下限値以上とすることにより、導電性粒子が柔らかすぎることが原因となって、抵抗値が大きくなることを抑制することが可能となる。また、導電性粒子の30%変形時の圧縮弾性率の上限値は、好ましくは120MPa以下、より好ましくは110MPa以下である。圧縮弾性率をこのような上限値以下とすることにより、電子部品等の異方性導電接続において、端子部のクラック発生を抑制することが可能となる。
導電性粒子の30%変形時の圧縮弾性率は、例えば、次のようにして求めることができる。微小圧縮試験機を用い、導電性粒子を直径の比率で30%圧縮し、その際の荷重値(圧縮変形荷重値)を求める。圧縮変形荷重値P(単位:mN)と粒子直径d(単位:μm)から下記式1により圧縮弾性率St(単位:MPa)を算出することができる。
St=2.8P/(π・d) (式1)
導電性粒子の突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合の下限値は、好ましくは5%以上、より好ましくは20%以上である。突起部の面積割合をこのような下限値とすることにより、突起部と端子との接触が十分に行われ、良好な初期導通性を得ることができる。また、導電性粒子の突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積の上限値は、好ましくは110%以下、より好ましくは95%以下である。突起部の面積をこのような範囲内とすることにより、各突起部に掛かる圧力が適度であるため、初期及び信頼性試験後において優れた導通性を得ることができる。すなわち、導電性粒子の突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合は、20%以上95%以下であることが好ましい。
なお、突起部の面積が100%を上回る場合があるのは、突起部の上に重ねて突起部が形成されているような粒子も実在するため、重ねて形成されている突起部も加算して計算したためである。また、導電性粒子の突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合は、SEM観察によって得られた画像の解析により行うことができる。
導電性粒子の突起部は、ニッケル、パラジウム、及びチタンからなる群から選択される1種以上から構成されることが好ましい。突起部が、比較的硬度の高い金属で構成されていることにより、導電性粒子の圧縮弾性率が比較的低くても、突起部が端子に食い込むため、良好な導通性を得ることができる。また、これらの比較的硬度の高い金属の表面に金メッキを施し、導通性を向上させてもよい。ここで、硬度とは、JIS Z 2244に規定されるビッカース硬度をいう。
図2は、突起部を有する導電性粒子の一例を示す断面図である。図2に示すように、導電性粒子30は、コア粒子36と、コア粒子36を被覆する第1の金属層38と、第1の金属層に付着させた微粒子40と、第1の金属層38と微粒子40とを被覆する第2の金属層39とを有する。
コア粒子36としては、導電性粒子の圧縮弾性率を前述の範囲のものとするために、樹脂粒子が好適に用いられる。コア粒子を形成するための樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、スチレン系樹脂、及びこれらの共重合樹脂などが挙げられる。
第1の金属層38は、ニッケルを含むことが好ましく、第2の金属層39は、金を含むことが好ましい。また、突起となる微粒子40は、ニッケル、パラジウム、チタン、及び金属酸化物からなる群から選択される1種以上から構成されることが好ましい。比較的硬度の高い金属や金属酸化物で構成されていることにより、導電性粒子の圧縮弾性率が比較的低くても、突起部が端子に食い込むため、良好な導通性を得ることができる。
なお、図2に示す導電性粒子において、コア粒子36は、単体として描かれているが、複数の材料で構成されていてもよく、また、コア粒子自体を多層構造としてもよい。また、金属層37も、層の数に特に制限はなく、図2に示す以外の多層構造としてもよい。
導電性粒子の平均粒径(D50)は、2μm以上30μm以下であることが好ましく、4μm以上20μm以下であることがより好ましい。導電性粒子の平均粒径が小さ過ぎると、異方性接続が困難となり、導電性粒子の平均粒径が大き過ぎると、導電性粒子の圧痕の写り込みが目立つ場合がある。
バインダー樹脂は、特に限定されるものではないが、低温硬化が可能なラジカル硬化型が好適に用いられる。ラジカル硬化型のバインダー樹脂は、膜形成樹脂と、ラジカル硬化性樹脂と、ラジカル重合開始剤とを含有する。
膜形成樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレンイソプレン樹脂、ニトリルブタジエン樹脂などが挙げられる。
ラジカル硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ化合物などが挙げられる。過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド化合物、パーオキシエステル化合物、ハイドロパーオキサイド化合物、パーオキシジカーボネート化合物、パーオキシケタール化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、及びケトンパーオキサイド化合物などが挙げられる。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系重合開始剤、オシムエステル系光重合開始剤などが挙げられる。
さらに、バインダー樹脂には、その他の成分として、シランカップリング剤、無機フィラー、アクリルゴムなどのエラストマー、カーボンブラックなどの顔料を、目的に応じて適宜配合してもよい。
また、異方性導電材料の形状は、特に限定されないが、フィルム状に成形して異方性導電フィルムとすることが好適な形態として挙げられる。
次に、前述の異方性導電材料を用いた接続構造体の製造方法について、図1を参照して説明する。本実施の形態に係る接続構造体の製造方法は、第1の支持基板12上に端子11が形成された第1の電子部品10と、第2の支持基板21上に端子22が形成された第2の電子部品とを、バインダー樹脂31と、バインダー樹脂31中に含まれ、30%変形時の圧縮弾性率が30MPa以上120MPa以下である導電性粒子33とを含有し、導電性粒子33が、表面に突起部Pを有する異方性導電接着フィルムを介在させて圧着し、異方性接着フィルムを硬化させ、接続構造体を得る。
第1の電子部品10及び第2の電子部品22は、目的に応じて適宜選択することができるが、第1の支持基板12及び第2の支持基板22の少なくとも一方の弾性率が5.5GPa以下である電子部品が好適に用いられる。弾性率が5.5GPa以下である支持基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリシクロオレフィン等のプラスチップ基板が挙げられる。プラスチック基板としては、透明性、低誘電率、低誘電正接などの観点から、ポリシクロオレフィンが好適に用いられ、性能に照らした価格的な優位性からは、PETが好適に用いられる。
第1の電子部品としては、例えば、タッチパネル用途、LCD(Liquid Crystal Display)パネル用途などのプラスチック基板等を挙げることができる。また、第2の回路部材としては、例えば、COF(Chip On Film)などのフレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)、テープキャリアパッケージ(TCP)基板、IC(Integrated Circuit)等を挙げることができる。また、タッチパネルの形態において、例えば、第1の支持基板12として、可視光に対して80%以上の透過率を有するものを用いることができ、好ましくは95%以上の透過率を有するものを用いることができる。
<2.実施例>
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、所望の圧縮弾性率を有する導電性粒子を作製し、これをバインダー樹脂に添加して異方性導電フィルムを作製した。そして、異方性導電フィルムを用いて基材とFPC(Flexible Printed Circuits)とを接続し、初期及び信頼性試験後の抵抗値を測定した。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[導電性粒子の作成]
導電性粒子は、コア粒子と、コア粒子を被覆する第1の金属層と、第1の金属層に付着させた微粒子と、第1の金属層と微粒子とを被覆する第2の金属層とを有するものを作製した。先ず、ジビニルベンゼンとアクリル酸の共重合体からなる平均粒子径10μmのプラスチック核体粒子をコア粒子として用意した。プラスチック核体粒子は、架橋度を調整し、所定の圧縮弾性率となるものを調製した。
次に、プラスチック核体粒子の表面に、第1の金属層としてニッケルメッキを無電解めっきにより処理した後、突起となる微粒子を付着させ、その後さらに第2の金属層として無電解金メッキにより処理し、突起部を有する導電性粒子を作製した。突起部のサイズは、SEM(Scanning Electron Microscope)によって得られた画像を解析して求めたところ、約0.1μm〜1.0μmであり、平均0.5μmであった。
なお、表面に突起部を有しない導電性粒子は、上記から突起部を形成するための微粒子を付着させる工程を除いて作製した。
[導電性粒子の突起部の占有面積割合の測定]
導電性粒子の表面に設けられた突起部の占有面積は、SEMによって得られた画像の解析により行った。突起部の占有面積割合は、突起部の表面積の積算値を、表面に突起部を設けていない同粒径の表面積の値で除し、百分率(%)にて求めた。なお、下記試験結果において、突起部の占有面積割合が100%を上回るものがあるが、これは突起部の上に重ねて突起部が形成されているような粒子も実在し、重ねてできている突起部についても加算して計算したためである。
[導電性粒子の圧縮弾性率の測定]
導電性粒子の30%変形時の圧縮弾性率は、微小圧縮試験機(MCT−W201、島津製作所製)を用い、次のようにして求めた。直径50μmのダイヤモンド製円柱の平滑端面で、圧縮速度0.331mN/秒間にて、導電性粒子を30%圧縮し、その際の荷重値(圧縮変形荷重値)を求めた。圧縮変形荷重値P(単位:mN)と粒子直径d(単位:μm)から下記式1により圧縮弾性率St(単位:MPa)を算出した。
St=2.8P/(π・d) (式1)
[ACFの作製]
下記組成のバインダー樹脂を調製した。
Figure 0006639079
母材となるバインダー樹脂に、導電性粒子を2質量部添加して攪拌し、導電性粒子をバインダー樹脂母材中に十分に分散させ、その後フィルム状に成形して厚さ25μm、幅2.0mmのACFを得た。
[接続構造体の作製]
基材フィルムとして、PETフィルム(弾性率:5.3GPa、製品名:PET−01−BU、三井化学東セロ株式会社製)、シクロオレフィンコポリマーフィルム(弾性率:2.6GPa、製品名:ARTON D4540、JSR社製)、及びポリイミドフィルム(弾性率:6.9GPa、製品名:ユーピレックス75S、宇部興産社製)を用意した。厚み125μmの各基材フィルムの表面にITO配線パターンを形成して、第1の電子部品を用意した。
ポリイミドフィルム表面に、Ni/Auめっきを施した銅線で配線パターンが形成された第2の電子部品(FPC)を用意した。第2の電子部品の配線高は25μm、ピッチは400μm(L/S=200/200)とした。
第1の電子部品と第2の電子部品を、それぞれの端子が対向するように配置し、ACFを両電子部品の間に挟んで圧着し、電気的接続部を形成し、接合構造体を得た。圧着は、150℃、1MPa/5秒の条件で行った。
[抵抗値の測定、評価]
デジタルマルチメーター(商品名:デジタルマルチメーター7561、横河電機社製)を用いて、接合構造体の初期抵抗値(R1)を測定した。初期抵抗の評価は、次の基準により行った。
◎:0.3Ω以下
○:0.3Ωより大きく、0.5Ω以下
×:0.5より大きい
また、接合構造体を85℃、85%RHの条件下に500時間放置した後、抵抗値を測定し、信頼性試験後抵抗値(R2)とした。信頼性の評価は、信頼性試験後抵抗値(R2)から初期抵抗値(R1)を引いた値(ΔR)を求め、ΔRを以下の基準に照らして行った。
◎:0.5Ω以下
○:0.5Ωより大きく、1.0Ω以下
×:1.0Ωより大きい
また、総合判定は、初期抵抗の評価又は信頼性の評価の悪い方の評価とした。
<比較例1>
表2に示すように、弾性率が5.3GPaのPETフィルムを基材フィルムとした第1の電子部品を用いた。導電性粒子は、表面に突起部を有しないものを使用した。導電性粒子の30%変形時の圧縮弾性率は、32MPaであった。この導電性粒子を添加した異方性導電フィルムを用いて第1の電子部品と第2の電子部品とを接続させ、接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.55Ωであり、初期抵抗の評価は×であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は1.21Ω、ΔRは0.66Ωであり、信頼性の評価は○であった。よって、総合判定は×であった。
<比較例2>
表2に示すように、30%変形時の圧縮弾性率が197MPaの導電性粒子を用いたこと以外は、比較例1と同様に接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.97Ωであり、初期抵抗の評価は×であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は2.53Ω、ΔRは1.56Ωであり、信頼性の評価は×であった。よって、総合判定は×であった。
<従来例>
表2に示すように、弾性率が6.9GPaのポリイミドフィルムを基材フィルムとした第1の電子部品を用いたこと以外は、比較例2と同様に接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.25Ωであり、初期抵抗の評価は◎であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.6Ω、ΔRは0.35Ωであり、信頼性の評価は◎であった。よって、総合判定は◎であった。
<比較例3>
表2に示すように、弾性率が2.6GPaのシクロオレフィンコポリマーフィルムを基材フィルムとした第1の電子部品を用いた。導電性粒子は、微粒子としてニッケルを付着させ、表面に突起部を有するものを使用した。導電性粒子の突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合は55%であった。また、導電性粒子の30%変形時の圧縮弾性率は、28MPaであった。この導電性粒子を添加した異方性導電フィルムを用いて第1の電子部品と第2の電子部品とを接続させ、接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.52Ωであり、初期抵抗の評価は×であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は2.72Ω、ΔRは2.2Ωであり、信頼性の評価は×であった。よって、総合判定は×であった。
<実施例1>
表2に示すように、弾性率が2.6GPaのシクロオレフィンコポリマーフィルムを基材フィルムとした第1の電子部品を用いた。導電性粒子は、微粒子としてニッケルを付着させ、表面に突起部を有するものを使用した。導電性粒子の突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合は55%であった。また、導電性粒子の30%変形時の圧縮弾性率は、32MPaであった。この導電性粒子を添加した異方性導電フィルムを用いて第1の電子部品と第2の電子部品とを接続させ、接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.28Ωであり、初期抵抗の評価は◎であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.69Ω、ΔRは0.51Ωであり、信頼性の評価は○であった。よって、総合判定は○であった。
<実施例2>
表2に示すように、30%変形時の圧縮弾性率が49MPaの導電性粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様に接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.25Ωであり、初期抵抗の評価は◎であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.59Ω、ΔRは0.34Ωであり、信頼性の評価は◎であった。よって、総合判定は◎であった。
<実施例3>
表2に示すように、30%変形時の圧縮弾性率が101MPaの導電性粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様に接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.29Ωであり、初期抵抗の評価は◎であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.62Ω、ΔRは0.33Ωであり、信頼性の評価は◎であった。よって、総合判定は◎であった。
<比較例4>
表2に示すように、30%変形時の圧縮弾性率が197MPaの導電性粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様に接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.91Ωであり、初期抵抗の評価は×であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は3.31Ω、ΔRは2.40Ωであり、信頼性の評価は×であった。よって、総合判定は×であった。
<比較例5>
表2に示すように、弾性率が5.3GPaのPETフィルムを基材フィルムとした第1の電子部品を用いた。導電性粒子は、微粒子としてニッケルを付着させ、表面に突起部を有するものを使用した。導電性粒子の突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合は55%であった。また、導電性粒子の30%変形時の圧縮弾性率は、28MPaであった。この導電性粒子を添加した異方性導電フィルムを用いて第1の電子部品と第2の電子部品とを接続させ、接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.51Ωであり、初期抵抗の評価は×であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は2.63Ω、ΔRは2.12Ωであり、信頼性の評価は×であった。よって、総合判定は×であった。
<実施例4>
表2に示すように、弾性率が5.3GPaのPETフィルムを基材フィルムとした第1の電子部品を用いた。導電性粒子は、微粒子としてニッケルを付着させ、表面に突起部を有するものを使用した。導電性粒子の突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合は55%であった。また、導電性粒子の30%変形時の圧縮弾性率は、32MPaであった。この導電性粒子を添加した異方性導電フィルムを用いて第1の電子部品と第2の電子部品とを接続させ、接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.29Ωであり、初期抵抗の評価は◎であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.64Ω、ΔRは0.35Ωであり、信頼性の評価は◎であった。よって、総合判定は◎であった。
<実施例5>
表2に示すように、30%変形時の圧縮弾性率が49MPaの導電性粒子を用いたこと以外は、実施例4と同様に接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.24Ωであり、初期抵抗の評価は◎であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.56Ω、ΔRは0.32Ωであり、信頼性の評価は◎であった。よって、総合判定は◎であった。
<実施例6>
表2に示すように、30%変形時の圧縮弾性率が101MPaの導電性粒子を用いたこと以外は、実施例4と同様に接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.25Ωであり、初期抵抗の評価は◎であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.55Ω、ΔRは0.30Ωであり、信頼性の評価は◎であった。よって、総合判定は◎であった。
<比較例6>
表2に示すように、30%変形時の圧縮弾性率が197MPaの導電性粒子を用いたこと以外は、実施例4と同様に接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.81Ωであり、初期抵抗の評価は×であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は2.51Ω、ΔRは1.70Ωであり、信頼性の評価は×であった。よって、総合判定は×であった。
<実施例7>
表3に示すように、弾性率が5.3GPaのPETフィルムを基材フィルムとした第1の電子部品を用いた。導電性粒子は、微粒子としてニッケルを付着させ、表面に突起部を有するものを使用した。導電性粒子の突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合は9%であった。また、導電性粒子の30%変形時の圧縮弾性率は、49MPaであった。この導電性粒子を添加した異方性導電フィルムを用いて第1の電子部品と第2の電子部品とを接続させ、接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.33Ωであり、初期抵抗の評価は○であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.79Ω、ΔRは0.46Ωであり、信頼性の評価は◎であった。よって、総合判定は○であった。
<実施例8>
表3に示すように、突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合が29%である導電性粒子を用いたこと以外は、実施例7と同様に接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.26Ωであり、初期抵抗の評価は◎であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.62Ω、ΔRは0.36Ωであり、信頼性の評価は◎であった。よって、総合判定は◎であった。
<実施例9>
表3に示すように、突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合が81%である導電性粒子を用いたこと以外は、実施例7と同様に接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.23Ωであり、初期抵抗の評価は◎であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.55Ω、ΔRは0.32Ωであり、信頼性の評価は◎であった。よって、総合判定は◎であった。
<実施例10>
表3に示すように、突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合が91%である導電性粒子を用いたこと以外は、実施例7と同様に接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.28Ωであり、初期抵抗の評価は◎であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.75Ω、ΔRは0.47Ωであり、信頼性の評価は◎であった。よって、総合判定は◎であった。
<実施例11>
表3に示すように、突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合が98%である導電性粒子を用いたこと以外は、実施例7と同様に接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.35Ωであり、初期抵抗の評価は○であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.91Ω、ΔRは0.56Ωであり、信頼性の評価は○であった。よって、総合判定は○であった。
<実施例12>
表3に示すように、突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合が110%である導電性粒子を用いたこと以外は、実施例7と同様に接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.38Ωであり、初期抵抗の評価は○であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.98Ω、ΔRは0.60Ωであり、信頼性の評価は○であった。よって、総合判定は○であった。
<実施例13>
表3に示すように、弾性率が5.3GPaのPETフィルムを基材フィルムとした第1の電子部品を用いた。導電性粒子は、微粒子としてパラジウムを付着させ、表面に突起部を有するものを使用した。導電性粒子の突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合は55%であった。また、導電性粒子の30%変形時の圧縮弾性率は、52MPaであった。この導電性粒子を添加した異方性導電フィルムを用いて第1の電子部品と第2の電子部品とを接続させ、接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.23Ωであり、初期抵抗の評価は◎であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.53Ω、ΔRは0.30Ωであり、信頼性の評価は◎であった。よって、総合判定は◎であった。
<実施例14>
表3に示すように、弾性率が5.3GPaのPETフィルムを基材フィルムとした第1の電子部品を用いた。導電性粒子は、微粒子として酸化アルミニウムを付着させ、表面に突起部を有するものを使用した。導電性粒子の突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合は55%であった。また、導電性粒子の30%変形時の圧縮弾性率は、51MPaであった。この導電性粒子を添加した異方性導電フィルムを用いて第1の電子部品と第2の電子部品とを接続させ、接続構造体を得た。接続構造体の初期抵抗値(R1)は0.22Ωであり、初期抵抗の評価は◎であった。信頼性試験後抵抗値(R2)は0.51Ω、ΔRは0.29Ωであり、信頼性の評価は◎であった。よって、総合判定は◎であった。
Figure 0006639079
Figure 0006639079
比較例1,2、及び従来例のように導電性粒子が突起部を有さない場合において、弾性率が5GPa以下の基材フィルムを有する電子部品を接続させた場合、接続構造体の初期抵抗値が大きかった。従来例のように弾性率が5.3GPaを超える基材フィルムを有する電子部品を接続させた場合、接続構造体の初期抵抗値は低かった。
また、比較例3,5のように突起部を有する導電性粒子が柔らかい場合、配線クラックは生じなかったものの、初期抵抗値が高い傾向があった。また、比較例4,6のように、突起部を有する導電性粒子が硬い場合、配線クラックの発生が確認された。
一方、実施例1〜14のように、導電性粒子の30%変形時の圧縮弾性率が30〜120MPaの範囲内にあり、且つ、表面に突起部を有する導電性粒子を用いることにより、初期抵抗値及び信頼性試験後の抵抗値が良好な範囲内に収まり、しかも信頼性試験後の抵抗値の上昇を抑制することが確認された。
また、実施例8〜10のように、突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合が20%以上95%以下である導電性粒子を用いることにより、初期及び信頼性試験後において優れた導通性が得られることが確認された。
10 第1の電子部品、11 端子、12 第1の支持基板、20 第2の電子部品、21 第2の支持基板、22 端子、30 異方性導電膜、31 バインダー樹脂、33 導電性粒子、36 コア粒子、 37 金属層、38 第1の金属層、39 第2の金属層、40 微粒子、 P 突起部

Claims (18)

  1. バインダー樹脂と、
    前記バインダー樹脂中に含まれ、30%変形時の圧縮弾性率が30MPa以上120MPa以下である導電性粒子とを含有し、
    前記導電性粒子が、樹脂からなるコア粒子と、前記コア粒子を被覆する金属層と、表面に形成された突起部とを有する異方性導電材料。
  2. 前記導電性粒子の突起部が無い場合の表面積に占める突起部の面積割合が、20%以上95%以下である請求項1記載の異方性導電材料。
  3. 前記導電性粒子の突起部が、ニッケル、パラジウム、及びチタンからなる群から選択される1種以上から構成される請求項1又は2に記載の異方性導電材料。
  4. 前記導電性粒子が、コア粒子と、前記コア粒子を被覆する第1の金属層と、前記突起部を構成する前記第1の金属層に付着させた微粒子と、前記第1の金属層と前記微粒子とを被覆する第2の金属層とを有する請求項1又は2に記載の異方性導電材料。
  5. 前記微粒子が、ニッケル、パラジウム、チタン、及び金属酸化物からなる群から選択される1種以上から構成される請求項4記載の異方性導電材料。
  6. 前記第1の金属層が、ニッケルを含み、
    前記第2の金属層が、金を含む請求項4又は5に記載の異方性導電材料。
  7. 前記バインダー樹脂が、ラジカル硬化型である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の異方性導電材料。
  8. 第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子とを接続する異方性導電材料であって、
    前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板の少なくとも一方の弾性率が、5.5GPa以下である請求項1乃至のいずれか1項の異方性導電材料。
  9. 前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板の少なくとも一方が、プラスチック基板である請求項記載の異方性導電材料。
  10. 当該異方性導電材料がフィルム状である請求項1乃至のいずれか1項の異方性導電材料。
  11. 第1の支持基板上に端子が形成された第1の電子部品と、
    第2の支持基板上に端子が形成された第2の電子部品と、
    前記第1の電子部品の端子と前記第2の電子部品の端子とを接続する導電性粒子を含有する異方性導電材料の硬化物からなる異方性導電膜とを備え、
    前記異方性導電材料が、バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂中に含まれ、30%変形時の圧縮弾性率が30MPa以上120MPa以下である導電性粒子とを含有し、前記導電性粒子が、樹脂からなるコア粒子と、前記コア粒子を被覆する金属層と、表面に形成された突起部とを有する接続構造体。
  12. 前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板の少なくとも一方の弾性率が、5.5GPa以下である請求項11に記載の接続構造体。
  13. 前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板の少なくとも一方が、プラスチック基板である請求項12に記載の接続構造体
  14. 請求項11乃至13のいずれか1項に記載の接続構造体を備えるタッチパネル装置。
  15. 第1の支持基板上に端子が形成された第1の電子部品と、第2の支持基板上に端子が形成された第2の電子部品とを、バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂中に含まれ、30%変形時の圧縮弾性率が30MPa以上120MPa以下である導電性粒子とを含有し、前記導電性粒子が、樹脂からなるコア粒子と、前記コア粒子を被覆する金属層と、表面に形成された突起部とを有する異方性導電材料を介在させて圧着し、前記異方性導電材料を硬化させ、接続構造体を得る接続構造体の製造方法。
  16. 前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板の少なくとも一方の弾性率が、5.5GPa以下である請求項15に記載の接続構造体の製造方法。
  17. 前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板の少なくとも一方が、プラスチック基板である請求項16に記載の接続構造体の製造方法。
  18. 前記異方性導電材料が、フィルム状である請求項15乃至17のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
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