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JP6684070B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、尿や経血などを吸収するための失禁パッド、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に係り、詳しくは幅方向の一方側にのみ、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成された吸収性物品に関する。
従来より、生理用ナプキン、パンティライナー、おりものシート、失禁パッドなどの吸収性物品Nとしては、例えば図15に示されるように、ポリエチレンシートまたはポリエチレンラミネート不織布などからなる不透液性裏面シート50と、不織布または透孔性プラスチックシートなどからなる透液性表面シート51との間に綿状パルプなどからなる吸収体52を介在させ、かつ本体部分の両側部にそれぞれ、外方に突出するウイング状フラップWを一体的に形成したものが知られている。前記吸収性物品Nは、装着時に下着との固定を図るため、本体部分の非肌当接面側(不透液性裏面シート50の外面)に1または複数条の本体ズレ止め粘着剤層53、53が形成されるとともに、ウイング状フラップW、Wの不透液性裏面シート50の外面にウイングズレ止め粘着剤層54、54が形成されている。
前記吸収性物品Nを下着に固定するには、図16に示されるように、吸収性物品Nを局所にあてがい、両側方に突出する前記ウイング状フラップW、Wのうち、右側のウイング状フラップWを右手で、左側のウイング状フラップWを左手でそれぞれ下着のクロッチ部分より外側に取り出した後、それぞれの側の手のひらをウイング状フラップWに添えた状態で手首を回転させて前記ウイング状フラップWを下着のクロッチ部分を巻き込むようにしながら折り返し線RL、RLにて折り返し、前記ウイングズレ止め粘着剤層54を下着の股間部外面に接着するようにしている。
この種の吸収性物品にも幾多の改良が重ねられ、下着への装着性を向上させたものが種々提供されている。例えば下記特許文献1においては、フラップ部が、縦方向においてウイング部と対応する部分に設けられる幅狭部分と、縦方向におけるウイング部の両端部の外側にそれぞれ設けられ、幅方向における幅狭部分の外縁よりも幅方向外側に突出した幅広部分とを有している吸収性物品が開示されている。
また、下記特許文献2においては、吸収性物品の衣類と接触する非肌当接面側に、粘着部およびメカニカルホックの凸部材を備えた係合部が形成された吸収性物品が開示されている。
特開2011−156239号公報 特開平9−253131号公報
上記特許文献1記載の吸収性物品では、前記幅狭部分を設けることにより、ウイング部を視認し易く、着用者による誤使用や取り付けミスを抑制できるようにしており、上記特許文献2記載の吸収性物品では、粘着部ではなくメカニカルホックの凸部材を形成することによって、粘着部を形成しそれぞれに剥離紙を付着させた場合に比して少ない手間で装着・使用することができるようにしているが、いずれの吸収性物品においても、幅方向の両側にウイング状フラップが形成され、装着時に左右のウイング状フラップをそれぞれの側の手を使って取り扱わなければならないため、ウイング状フラップを装着する手間は従来の吸収性物品と変わりがなかった。
また、上記特許文献1、2記載の吸収性物品では、いずれも健常者を対象にして装着ミスを防止したり装着の手間を省いたりしているが、お年寄りの人、半身不随の人、腱鞘炎の人などのように、片手が不自由な人にとっては、特に手が思うように動かない側のウイング状フラップWを下着のクロッチ部分から外側に取り出したり、折り返したりするのが困難で、反対側の手を使ってもうまく取り扱うことができず、装着がしにくいという問題があった。
そこで本発明の主たる課題は、片手で簡単に装着できるようにし、装着の手間を省いた吸収性物品を提供することにある。
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在された本体部分の幅方向の一方側にのみ、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定される側方に突出したウイング状フラップが形成され、他方側には形成されていないとともに、前記ウイング状フラップの基端から先端までのウイング突出長が、前記ウイング状フラップの基端からこれと反対側の吸収性物品の幅方向端縁までの装着時製品幅と同等以下に形成されていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
上記請求項1記載の発明では、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定される側方に突出したウイング状フラップが幅方向の一方側にのみ形成され、他方側には形成されていないため、装着時にウイング状フラップを下着のクロッチ部分から外側に取り出したり、折り返したりする作業が片手で済み、反対側の手が思うように動かない人や片手で簡単に取り付けたい人などでも、片手で簡単に装着でき、装着の手間が省けるようになる。
また、本発明では、前記ウイング状フラップの基端から先端までのウイング突出長が、前記ウイング状フラップの基端からこれと反対側の吸収性物品の幅方向端縁までの装着時製品幅と同等以下に形成されているため、装着時にウイング状フラップを下着のクロッチ部分を巻き込むようにして折り返した状態で、ウイング状フラップが下着のクロッチ部分の範囲内に固定されるようになる。また、前記ウイング突出長を前記装着時製品幅とほぼ同等に形成した場合には、ウイング状フラップが下着のクロッチ部分のほぼ全幅を覆うようになり、吸収性物品がウイング状フラップによって下着により強固に固定できるようになる。
請求項2に係る本発明として、前記ウイング状フラップが吸収性物品の長手方向中央部に形成されるとともに、前記吸収性物品が前後対称に形成され、装着時に前記ウイング状フラップを一方側に突出させた状態と、吸収性物品の前後を入れ換えて他方側に突出させた状態とを選択可能とした請求項1記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項2記載の発明では、前記吸収性物品が前後対称の形状を有することにより、装着時にウイング状フラップを一方側に突出させた状態と、吸収性物品の前後を入れ換えて他方側に突出させた状態とを選択可能としている。このため、人によって装着時に用いる手が異なるのに対して1つの吸収性物品で対応できるようになる。
請求項に係る本発明として、前記ウイング状フラップの下着当接面にウイングズレ止め粘着剤層が形成され、前記ウイングズレ止め粘着剤層は、吸収性物品の長手方向に沿う長さが前記ウイング状フラップの基端側より先端側の方が短く形成されている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、ウイング状フラップの下着当接面に形成されたウイングズレ止め粘着剤層として、吸収性物品の長手方向に沿う長さがウイング状フラップの基端側より先端側の方が短くなるように形成することによって、ウイング状フラップを下着から剥がすときでも片手で簡単に剥がすことができるようになる。
請求項に係る本発明として、前記ウイング状フラップの少なくとも後側の外形線に、装着時に指を引っ掛けて前記ウイング状フラップを折り返しやすくするための内側に窪んだ指引っ掛け部が形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、ウイング状フラップの少なくとも後側の外形線に前記指引っ掛け部が形成されているため、この指引っ掛け部に指を引っ掛けてウイング状フラップを折り返すことが可能となり、片手でもより簡単に装着できるようになる。
請求項に係る本発明として、前記ウイング状フラップは、斜め前方又は斜め後方に向けて突出している請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、ウイング状フラップが斜め前方又は斜め後方に向けて突出するように形成されているため、幅方向に沿って突出するように形成した場合に比べて、下着との接合長さを長くとることができ、下着との接合力を増大させることができるようになる。
請求項に係る本発明として、前記ウイング状フラップの基端から先端に沿う方向に線状のエンボスが付与されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、ウイング状フラップの基端から先端に沿う方向に線状のエンボスが付与されているため、前記線状エンボスによってウイング状フラップが補強され、ウイング状フラップが丸まるのが防止でき、ウイング状フラップを折り返しやすくすることが可能となる。
請求項に係る本発明として、前記裏面シートの下着当接面に、長手方向に沿うとともに幅方向に離間して複数条の本体ズレ止め粘着剤層が形成され、前記ウイング状フラップが形成されない側に配置された前記本体ズレ止め粘着剤層に、前記ウイング状フラップが形成された側に配置された前記本体ズレ止め粘着剤層と比較して下着とのズレ防止を強化したズレ防止強化手段が施されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、ウイング状フラップが形成されない側に配置された本体ズレ止め粘着剤層に所定のズレ防止強化手段を施しているため、ウイング状フラップが形成されない側の本体部分と下着との固定が強化され、ウイング状フラップを設けていないために下着に対してズレやすくなるのが防止できるようになる。前記ズレ防止強化手段としては、前記ウイング状フラップが形成されない側に配置された前記本体ズレ止め粘着剤層を、前記ウイング状フラップが形成された側に配置された前記本体ズレ止め粘着剤層より、該粘着剤層を構成する粘着剤の目付を高くすること、該粘着剤層を構成する粘着剤として粘着力の強いものを用いること、該粘着剤層の幅を大きくすること、該粘着剤層の本数を多くすること及び吸収性物品の長手方向の端縁から内側に10mm以内の範囲内で、該粘着剤層の長さを長くすることのいずれか1つ又は2以上の組み合わせによって構成することが可能である。
請求項に係る本発明として、前記ウイング状フラップの基端の折返し線に沿って線状のエンボスが付与されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明は、ウイング状フラップを折り返しやすくするための手段の一つであり、ウイング状フラップの基端の折返し線に沿って線状のエンボスを付与することによって、このエンボスを可撓軸としてウイング状フラップを基端から折り返しやすくしている。
以上詳説のとおり本発明によれば、片手で簡単に装着でき、装着の手間を省くことができるようになる。
本発明に係る軽失禁パッド1の一部破断展開図である。 図1のII−II線矢視図である。 軽失禁パッド1の変形例を示す展開図である。 下着への装着状態を示す断面図である。 ウイング状フラップWの変形例を示す軽失禁パッド1の展開図である。 ウイング状フラップWの変形例を示す軽失禁パッド1の展開図である。 ウイング状フラップWの変形例を示す軽失禁パッド1の展開図である。 ウイング状フラップWの変形例を示す軽失禁パッド1の展開図である。 従来のウイングズレ止め粘着剤層に作用する力の状態を示す、ウイング状フラップの拡大平面図である。 (A)、(B)は、ウイングズレ止め粘着剤層10の配置パターンの変形例を示す、ウイング状フラップWの拡大平面図である。 (A)〜(E)は、ウイングズレ止め粘着剤層10の配置パターンの変形例を示す、ウイング状フラップWの拡大平面図である。 (A)、(B)は、線状エンボス16を施したウイング状フラップWの拡大平面図である。 軽失禁パッド1の裏面図である。 ウイング状フラップWが形成されない側の側方外形線の変形例を示す、軽失禁パッド1の展開図である。 従来の吸収性物品Nを示す展開図である。 従来の吸収性物品Nの下着への装着状態を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔軽失禁パッド1の基本構成〕
本発明に係る軽失禁パッド1は、図1及び図2に示されるように、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、尿などの体液を速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2、3間に介在された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、前記吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4を囲繞するクレープ紙又は不織布などからなる被包シート5と、表面両側部にそれぞれ長手方向に沿って配設されたサイド不織布7,7とから主に構成されている。前記吸収体4の周囲において、そのパッド長手方向の前後端縁部では、前記不透液性裏面シート2、透液性表面シート3の外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4の側縁よりも側方に延出している前記不透液性裏面シート2と前記サイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、外周に吸収体4の存在しない外周フラップ部が形成されている。
以下、さらに前記軽失禁パッド1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
次いで、前記透液性表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法及びエアスルー法は嵩高で圧縮復元性が高い点で優れている。不織布の繊維は、長繊維または短繊維のいずれでもよいが、好ましくはタオル地の風合いを出すため短繊維を使用するのがよい。また、エンボス処理を容易とするために、比較的低融点のポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系繊維のものを用いるのがよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を好適に用いることもできる。
前記不透液性裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばパルプ中に高吸水性樹脂を混入したもの、或いはパルプ中に化学繊維を混入させるとともに、高吸水性樹脂を混入したものが使用される。前記吸収体4は、形状保持、および体液を速やかに拡散させるとともに、一旦吸収した体液の逆戻りを防止するためにクレープ紙や不織布などからなる被包シート5によって囲繞するのが望ましい。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。また、前記吸収体4として、嵩を小さくできるエアレイド吸収体を用いてもよい。
また、前記吸収体4には合成繊維を混合しても良い。前記合成繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記合成繊維は、体液に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。
前記高吸水性樹脂としては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性樹脂は製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力と吸水速度の調整が可能である。前記高吸水性樹脂の含有率は吸収体重量の10〜60%とするのが望ましい。高吸水性樹脂含有率が10%未満の場合には、十分な吸収能を与えることができず、60%を超える場合にはパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、シート強度が低下し破れや割れ等が発生し易くなる。
前記透液性表面シート3の表面側からの圧搾により、体液排出部が当接する領域を囲むように、適宜の形状でエンボス6が施されている。このエンボス6は、図示例では、分断することなく連続的に形成され、全体として周方向に閉合した形状で形成されているが、幅方向中央部で離間して幅方向両側にそれぞれ長手方向に沿って形成されるようにしてもよい。
本軽失禁パッド1の表面側両側部にはそれぞれ長手方向に沿って、かつ軽失禁パッド1の全長に亘ってサイド不織布7,7が設けられているとともに、このサイド不織布7,7の外側部分が吸収体4より側方に延在されるとともに、前記不透液性裏面シート2が吸収体4より側方に延在され、これら側方に延在されたサイド不織布7部分と不透液性裏面シート2部分とをホットメルト接着剤等により接合することにより吸収体4が介在しない側部フラップが形成されている。
前記サイド不織布7としては、重要視する機能の点から撥水処理不織布または親水処理不織布を使用することができる。たとえば、体液が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの機能を重視するならば、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましく、体液の吸収性を重視するならば、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた親水処理不織布を用いるのが望ましい。かかるサイド不織布7としては、天然繊維、合成繊維または再生繊維などを素材として、適宜の加工法によって形成されたものを使用することができるが、好ましくは目付け量を抑えて通気性を持たせた不織布を用いるのがよい。
前記サイド不織布7の内方側は、図示例では、透液性表面シート3の肌側面にホットメルト接着剤などによって接合されているが、このサイド不織布7の内方側をほぼ二重に折り返すとともに、この二重シート内部に、その高さ方向中間部に両端または長手方向の適宜の位置が固定された1または複数の糸状弾性伸縮部材を配設し、その収縮力によって前記二重シート部分を表面側に起立させた立体ギャザーを形成するようにしてもよい。
〔ウイング状フラップW〕
特に、本軽失禁パッド1の特徴の一つとして、前記透液性表面シート3と不透液性裏面シート2との間に吸収体4が介在された本体部分の幅方向の一方側にのみ、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定される側方に突出したウイング状フラップWが形成され、幅方向の他方側には形成されていないようにしたことが挙げられる。すなわち、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップWが、従来の吸収性物品では、図15に示されるように、通常、本体部分の幅方向両側部にそれぞれ形成されているのに対して、本発明に係る軽失禁パッド1では、幅方向の一方側にのみ形成され、他方側には形成されないようにすることによって、軽失禁パッド1が平面視で左右非対称に形成されるようにしている。
これによって、本発明に係る軽失禁パッド1では、装着時にウイング状フラップWを下着のクロッチ部分から外側に取り出したり、下着のクロッチ部分を巻き込むようにして折り返したりするのが片手で簡単に行えるようになる。従って、反対側の手が思うように動かない人や片手で簡単に取り付けたい人などでも、片方の手だけで簡単に装着することが可能となり、装着の手間を省くことができるようになる。
前記ウイング状フラップWは、側方に延在された前記サイド不織布7の一部と、同じく側方に延在された前記不透液性裏面シート2の一部とにより形成されている。前記ウイング状フラップWは、装着時において、下着のクロッチ部分より外側に取り出して使用されるとともに、下着のクロッチ部分を巻き込むようにしながら基端の折り返し線RLにて不透液性裏面シート2側に折り返され、下着の股間部外面に固定される。前記ウイング状フラップWの下着当接面(前記不透液性裏面シート2の外面)には、下着との固定を図るため、所定の形状でウイングズレ止め粘着剤層10が形成されている。
前記ウイング状フラップWが形成される側は、軽失禁パッド1の肌側からの平面視で、左側又は右側のいずれか一方のみ、図1に示される例では左側のみであり、左右のいずれとするかは任意である。この際、臀部溝まで覆う後方に長く形成された軽失禁パッドなどのように前後非対称の形状を有する軽失禁パッド1の場合、装着する際の前後の向きが限定されるため、ウイング状フラップWを左側に形成したものを左手で装着する人用、右側に形成したものを右手で装着する人用として、2種類用意しておくのが好ましい。一方、主に排尿口部位を覆う大きさで形成され、所謂昼用として使用される前後対称の形状を有する軽失禁パッド1の場合、後述するように、幅方向の一方側にウイング状フラップWが形成された1種類のみで足り、装着時に左側に突出させた状態と、軽失禁パッド1の前後を入れ換えて右側に突出させた状態とを装着者が任意に選択できるようにすることが可能である。
前記ウイング状フラップWの形状は、本体部分から外方に延びる前側外形線11と、本体部分から外方に延びる後側外形線12と、前記前側外形線11と後側外形線12とを繋ぐ先端側外形線13とからなる外形状を成す。前記前側外形線11及び後側外形線12は、パッド幅方向線との成す角度がそれぞれほぼ同等の大きさで形成された、ウイング状フラップWが前後対称の形状を有するものとすることもできるし、後述するように、ウイング状フラップWを斜め前方又は斜め後方に向けて傾斜して突出させた、ウイング状フラップWが前後非対称の形状を有するものとすることもできる。
図1に示されるように、前記ウイング状フラップWの基端から先端までのウイング突出長Aは、前記ウイング状フラップWの基端からこれと反対側の幅方向端縁までの装着時製品幅Bと同等以下とするのが好ましく、図3に示されるように、前記装着時製品幅Bとほぼ同等とするのがより好ましい。ここで、前記ウイング状フラップWの基端とは、ウイング状フラップWの前後においてそれぞれ前記前側外形線11及び後側外形線12が幅方向外方側に突出し始める端点同士をパッド長手方向に結んだ直線部分のことであり、軽失禁パッド1の下着への装着時にウイング状フラップWを下着のクロッチ部分を巻き込むようにして折り返す折り返し線RLのことである。前記ウイング突出長Aとは、前記ウイング状フラップWの基端(折り線RL)からウイング状フラップWの先端までの軽失禁パッド1の幅方向に沿った長さのことである。前記ウイング状フラップWの先端側外形線13が直線ではなく幅方向外方に膨出する湾曲線からなる場合や、前記ウイング状フラップWの基端(折り線RL)がパッド長手方向線と平行ではなく傾斜している場合には、前記ウイング突出長Aは、ウイング状フラップWの基端と先端とのパッド幅方向に沿った離間距離が最も大きくなる長さとする。また、前記装着時製品幅Bとは、前記ウイング状フラップWの基端(折り線RL)から前記ウイング状フラップWが形成されない側の軽失禁パッド1の幅方向端縁までの軽失禁パッド1の幅方向に沿った長さであり、前記装着時製品幅Bは、ウイング状フラップWの基端(折り線RL)がパッド長手方向線に対して傾斜している場合や、反対側のパッド幅方向端縁の外形線がパッド長手方向線と平行ではなく幅方向の外方又は内方に膨出する湾曲線からなる場合には、ウイング状フラップWの基端と反対側のパッド幅方向端縁までのパッド幅方向に沿った離間距離が最も小さくなる長さとする。
前記ウイング突出長Aは、下着のクロッチ部分を巻き込むようにして折り返した際に、下着の股下を通って反対側に届くまでの長さ以内であればよく、具体的には、90mm以下とするのが好ましく、より好ましくは20〜70mm、特に50〜70mmとするのがよい。前記装着時製品幅Bは、下着のクロッチ部分の幅寸法とほぼ同等とするのが好ましく、具体的には50〜70mmとするのがよい。図1に示されるウイング状フラップWでは、前記ウイング突出長Aが装着時製品幅Bの半分以下(AがBの50%以下)に形成されており、図3に示されるウイング状フラップWでは、前記ウイング突出長Aが装着時製品幅Bとほぼ同等(AがBの80%〜100%)に形成されている。
前記ウイング突出長Aを装着時製品幅Bと同等以下に形成することにより、図4に示されるように、装着時に前記ウイング状フラップWを下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定した状態で、ウイング状フラップWが下着の股間部外面を覆う範囲で形成されるようになる。また、前記ウイング突出長Aと装着時製品幅Bとをほぼ同等(AがBの80%〜100%)に形成した場合は、装着時にウイング状フラップWを折り返した状態で、ウイング状フラップWがクロッチ部分のほぼ全幅に亘って配置され、ウイング状フラップWによってより強固に固定できるようになるので好ましい。
前記ウイング状フラップWは、種々の平面形状で形成することが可能である。前記ウイング状フラップWは、図1、図3及び図5に示されるように、前後対称に形成することも可能であるし、図6〜図8に示されるように、前後非対称に形成することも可能である。また、ウイング状フラップWの平面形状は、図1及び図3に示されるように、前側外形線11と後側外形線12との間のパッド長手方向の離間距離がウイング状フラップWの基端側より先端側の方が小さくなる略台形状又は先端側外形線13を有しない略三角形状で形成することも可能であるし、図5に示されるように、前記離間距離がウイング状フラップWの基端側より先端側の方が大きくなる略台形状で形成することも可能である。前者の基端側より先端側の方が前側外形線11と後側外形線12との間の離間距離が小さくなる形状で形成した場合、図1及び図3に示されるように、ウイング状フラップWの基端のパッド長手方向長さCと先端側外形線13のパッド長手方向長さDとの比(D/C)は、0〜0.7が好ましく、0.1〜0.5がより好ましく、0.1〜0.3が特に好ましい。なお、ウイング状フラップWの基端のパッド長手方向長さCと前記突出長さAとの比(A/C)は、0.5〜1.0であるのが好ましい。
また、前述の前後非対称の形状を有するウイング状フラップWとしては、図6〜図8に示されるように、斜め後方又は斜め前方、図示例では斜め後方に向けて傾斜して突出する平面形状とすることが好ましい。ウイング状フラップWを斜めに傾斜して突出させることによって、同じ幅のものを幅方向に沿って突出させたものに比べて下着との接合長さを長くとることが可能となり、下着との接合力を増大させることができるようになる。図示例のように、斜め後方に向けて突出するウイング状フラップWでは、前側外形線11が斜め後方に向けて突出するとともに、後側外形線12も斜め後方に向けて突出している。図6に示されるように、前側外形線11が延びる方向とパッド長手方向線Sとの成す角αは、後側外形線が延びる方向とパッド長手方向線Sとの成す角βと同等以下とするのが好ましい(α≦β)。このような関係で前側外形線11及び後側外形線12を形成することにより、前側外形線11及び後側外形線12のパッド長手方向に沿った離間距離がウイング状フラップWの基端側と先端側とでほぼ同等か、基端側より先端側の方が小さくなるように形成され、片手でも折り返しやすい形状とすることが可能となる。前記βとしては、20°〜80°とするのが好ましい。
図1に示されるように、前記ウイング状フラップWの下着当接面(不透液性裏面シート2の非肌当接面(外面))には、下着に対する固定のために適宜の塗布パターンによってウイングズレ止め粘着剤層10が形成されている。前記ウイングズレ止め粘着剤層10は、軽失禁パッド1の個装状態で、図示しない剥離材によって剥離可能に覆われている。
前記ウイングズレ止め粘着剤層10を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。前記スチレン系ポリマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等が挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、二種以上のポリマーブレンドであってもよい。この中でも熱安定性が良好であるという点で、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。また、前記粘着付与剤および可塑剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができ、粘着付与剤ではたとえばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、前記可塑剤では例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤が挙げられる。
前記ウイングズレ止め粘着剤層10は、ウイング状フラップWに対して所定のパターンで配置されている。前記ウイングズレ止め粘着剤層10は、下着との固定を強化するため、ウイング状フラップWの外形線にほぼ沿う形状で形成するのが好ましい。具体的には、図1に示されるように、ウイング突出長Aが装着時製品幅Bの半分以下である場合、前記ウイングズレ止め粘着剤層10は、ウイング状フラップWの中央部に、パッド長手方向に長い長方形状又はウイング状フラップWの外形線にほぼ沿う台形状に形成することができる。このように、ウイング突出長Aが装着時製品幅Bの半分%以下である場合、軽失禁パッド1を下着から取り外す際、ウイング状フラップWに過大な力が作用しないため、長方形状など、前後の外形線がパッド幅方向に平行な形状で形成することが可能である。
また、図3に示されるように、ウイング突出長Aが装着時製品幅Bとほぼ同等に形成される場合、前記ウイングズレ止め粘着剤層10は、ウイング状フラップWの外形線にほぼ沿う三角形状又は台形状に形成するのが好ましい。このように、ウイング突出長Aが長いウイング状フラップWの場合、前述の三角形状又は台形状に形成することにより、使用済みの軽失禁パッド1を下着から取り外すのに、軽失禁パッド1の本体部分の前端部を持って後側に向けて引き剥がしたとき、ウイング状フラップWが、基端側のウイングズレ止め粘着剤層10の角部から先端側まで徐々に引き剥がされ、片手で簡単に引き剥がすことができるようになる。これに対して、図9に示されるように、ウイングズレ止め粘着剤層を長方形状に形成した場合には、使用済みの軽失禁パッド1の前端部を持って後側に向けて引き剥がしたとき、ウイングズレ止め粘着剤層10の前側の全長に亘って引き剥がし力が作用するため、抵抗が大きくなり、片手で引き剥がしにくいとともに、強引に引っ張るとウイング状フラップWの折り返し部分の前側端部が裂けて破れに繋がるようになる。このように、本軽失禁パッド1では、パッドの装着時に加えて取り外し時においても片手で簡単に作業が行えるようにしている。
ウイング突出長Aが長いウイング状フラップWの場合のウイングズレ止め粘着剤層10の変形例としては、図10に示されるように、(A)台形状や(B)ウイング先端側の粘着剤要素10aの方が長さが短くなるように形成された、パッド長手方向に長い長方形状の複数の粘着剤要素10a…をパッド幅方向に離間して配置したパターンなどとすることが可能である。また、図示しないが、パッド幅方向に離間した複数の台形状の粘着剤層を配置したパターンとすることもできる。
また、ウイング状フラップWが斜めに傾斜して突出している場合、図11に示されるように、(A)ウイング状フラップWの外形線にほぼ平行する外形状で形成したもの、(B)ウイング状フラップWが突出する方向に間欠的に形成したもの、(C)ウイング状フラップWが突出する方向と直交する方向に間欠的に形成したもの、(D)複数の長方形状の粘着剤要素をパッド幅方向に離間して配置したものなどとすることができる。また、ウイング状フラップWの先端側が拡大して形成されるとともに、基端側に後述する指引っ掛け部14が形成されたウイング状フラップWの場合、同図11(E)に示されるように、拡大した先端部分に台形状で形成するのが好ましい。
前記ウイング状フラップWは、装着時に片手でも折り返しやすくするための種々の構造を備えることが可能である。図5、図7及び図8に示される軽失禁パッド1では、ウイング状フラップWの少なくとも後側外形線12に、装着時に指を引っ掛けてウイング状フラップWを折り返しやすくするための内側に窪んだ指引っ掛け部14が形成されている。前記指引っ掛け部14は、ウイング状フラップWの基端側寄り位置に形成され、成人の手の指を引っ掛けることが可能な程度の大きさで形成された外形線を内側に窪ませた窪み部である。前記指引っ掛け部14は、図7に示される例では、後側外形線12にのみ形成され、図5及び図8に示される例では、前側外形線11及び後側外形線12にそれぞれ形成されている。図5に示されるように、前後対称のウイング状フラップWの場合、前側外形線11及び後側外形線12にそれぞれ前後対称の形状で指引っ掛け部14が形成されている。また、図7及び図8に示されるように、前後非対称のウイング状フラップWの場合、前側外形線11に形成される指引っ掛け部14は、前側外形線11の一部を内側に窪ませた形状で形成することができるが、後側外形線12に形成される指引っ掛け部14は、後側外形線12を同じように内側に窪ませると前側外形線11との離間幅が小さくなりすぎて、部材強度の低下や固定強度の低下を招くおそれがあるため、指引っ掛け部14より基端側の外形線をパッド後側に拡大させることにより、相対的に指引っ掛け部14が内側に窪むように形成するのが好ましい。前記指引っ掛け部14をウイング状フラップWの前側及び後側にそれぞれ設けた場合には、後段で詳述するように、装着時にウイング状フラップWを一方側に突出させた状態と、軽失禁パッド1の前後を入れ換えて他方側に突出させた状態とを切替え可能にした形態において、軽失禁パッド1をいずれの方向に配置しても、前記指引っ掛け部14がウイング状フラップWの後側に形成され、指を引っ掛けやすくすることができるようになるため好ましい。
また、前記ウイング状フラップWを折り返しやすくするための他の手段として、図5〜図8に示されるように、前記ウイング状フラップWの外形線と本体部分の外形線とが、両外形線の方向を急激に変化させた外形線急変部15を介して接続されるようにすることができる。前記外形線急変部15を設けることにより、この外形線急変部15を基点としてウイング状フラップWが折り曲げやすくなる。前記外形線急変部15は、両外形線が交差する交点又は本体部分の外形線の外側に中心点を有する10mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下の曲率半径を有する円弧部分で構成されている。
更に、前記ウイング状フラップWを折り返しやすくするための他の手段として、図示しないが、ウイング状フラップWの基端に折返し線RLに沿って、サイド不織布7側又は不透液性裏面シート2側からの圧搾により、1本の線状のエンボスを付与することができる。これにより、このエンボスを可撓軸としてウイング状フラップWを基端から折り返しやすくすることができる。
次いで、前記ウイング状フラップWを折り返しやすくするための他の手段として、図12に示されるように、ウイング状フラップWの基端から先端に沿うウイング状フラップWの突出方向に延びる1本又は複数本の線状エンボス16を付与することができる。この線状エンボス16は、ウイング状フラップWの撓みを補強するためのものであり、ウイング状フラップWを折り返す際にウイング状フラップWが丸まるのを防止するためのものである。この線状エンボス16を複数本設ける場合、図示例のように、ウイング状フラップWの基端と先端とを繋ぐ方向の並列線としてもよいし、図示しないが先端から基端或いは基端から先端に向けた放射線としてもよい。
図1に示されるように、前記透液性表面シート3と不透液性裏面シート2との間に吸収体4が介在された本体部分の下着当接面(不透液性裏面シート2の非肌当接面(外面))には、下着に対する固定のために適宜の塗布パターンによって複数条の、図示例では3条の本体ズレ止め粘着剤層9,9…が形成されている(ウイング状フラップWが形成された側から順に9a、9b、9cとする)。これらのうち、両側の本体ズレ止め粘着剤層9a、9cは、パッド長手方向に沿って連続する帯状に形成され、中央の本体ズレ止め粘着剤層9bは、長手方向中央部がほぼウイング状フラップWの基端長さに相当する長さで前後に離間するとともに、この離間部分の前後にそれぞれ、パッド長手方向に沿って帯状に形成されている。前記本体ズレ止め粘着剤層9、9…は、軽失禁パッド1の個装状態で、図示しない剥離材によって一体的に剥離可能に覆われている。
前記本体ズレ止め粘着剤層9を形成する粘着剤としては、前記ウイングズレ止め粘着剤層10を形成する粘着剤と同様のものを使用することができる。
前記3条の本体ズレ止め粘着剤層9、9…のうち、前記ウイング状フラップWが形成されない側に配置された本体ズレ止め粘着剤層9cには、前記ウイング状フラップWが形成された側に配置された本体ズレ止め粘着剤層9aと比較して下着とのズレ防止を強化したズレ防止強化手段が施されるようにするのが好ましい。ウイング状フラップWが形成されない側は、本体ズレ止め粘着剤層9だけで下着との固定が図られているため、本体ズレ止め粘着剤層9の接合強度が弱い場合には軽失禁パッドと下着とのズレが生じやすくなる。そのため、本軽失禁パッド1では、ウイング状フラップWが形成されない側の本体ズレ止め粘着剤層9cに前記ズレ防止強化手段を施すことによって、下着との接合強度を高め、ズレにくくするのが好ましい。
前記ズレ防止強化手段としては、本体ズレ止め粘着剤層9を構成する粘着剤の目付を高くすること、本体ズレ止め粘着剤層9を構成する粘着剤として粘着力の強いものを用いること、本体ズレ止め粘着剤層9の幅を大きくすること、本体ズレ止め粘着剤層9の本数を多くすること(軽失禁パッド1の長手方向中心線を境界として、「ウイング状フラップWが無い側の本数」>「ウイング状フラップWが有る側の本数」とすること)及び軽失禁パッド1の長手方向端縁から内側に10mm以内の範囲内で、本体ズレ止め粘着剤層9の長さを長くすることのいずれか1つ又は2以上の組み合わせによって構成することが可能である。前記ウイング状フラップWが形成されない側に配置された本体ズレ止め粘着剤層9cの目付は、引き剥がした後に下着に接着剤が残るのを防止するため、45g/m以下とするのが好ましく、他の本体ズレ止め粘着剤層9a、9bと比較して10〜21g/m程度高くするのが好ましい。また、前記ウイング状フラップWが形成されない側に配置された本体ズレ止め粘着剤層9cの幅は、他の本体ズレ止め粘着剤層9a、9bと比較して10mm程度まで大きくするのが好ましい。また、軽失禁パッド1の長手方向中心線を境界として、ウイング状フラップWが無い側の本体ズレ止め粘着剤層9の本数は、ウイング状フラップWが有る側の本体ズレ止め粘着剤層9の本数より1本以上、好ましくは1〜3本程度多くするのがよい。なお、前記本体ズレ止め粘着剤層9は、製品の全周に亘って設けられる全周シールと重ならないように、軽失禁パッド1の周縁より内側に10mm以上離間して配置するのが好ましい。
本軽失禁パッド1では、図1に示されるように、前記ウイング状フラップWがパッド長手方向の中央部に形成されるとともに、軽失禁パッド1が前後対称の形状からなることにより、装着時に前記ウイング状フラップWを一方側に突出させた状態と、軽失禁パッド1の前後を入れ換えて他方側に突出させた状態とを任意に選択できるようにするのが好ましい。これにより、ウイング状フラップWを一方側に突出させた状態で装着した場合と、軽失禁パッド1の前後を入れ換えて、ウイング状フラップWを他方側に突出させた状態で装着した場合とで、本体部分の形状が同一となり、同等の吸収性能が得られるようになる。前記軽失禁パッド1を前後対称に形成するには、軽失禁パッド1を構成する不透液性裏面シート2、透液性表面シート3、吸収体4及びサイド不織布7をそれぞれ前後対称の形状で形成するとともに、本例のように透液性表面シートの表面側から付与されたエンボス6を設ける場合には、前記エンボス6の位置や形状も前後対称に形成するようにする。すなわち、前記エンボス6を軽失禁パッド1の中央に配置するとともに、楕円形や長円形、小判形、ひょうたん形など、前後対称の形状で形成するのが好ましい。
このように前後対称に形成された軽失禁パッド1では、装着時に軽失禁パッド1の前後を入れ換えて、ウイング状フラップWを左右のいずれの方向に向けて突出させた状態でも装着可能であるため、人によって装着時に用いる手が異なるのに対して1つの軽失禁パッド1で対応できるようになる。
また、前記軽失禁パッド1は、ウイング状フラップWが本体部分の長手方向中央部に設けられた条件の下で、少なくとも本体部分が前後対称に形成されていれば、この本体部分の側方に突出するウイング状フラップW自体の平面形状が必ずしも前後対称である必要はなく、前後非対称に形成されるようにしてもよい。つまり、図6などに示されるように、ウイング状フラップWの平面形状が前後非対称のものでは、ウイング状フラップWが本体部分の左側で斜め後方に向けて突出した状態と、軽失禁パッド1の前後を入れ換えて本体部分の右側で斜め前方に突出した状態とを、任意に選択できるようにしてもよい。この場合、装着時にウイング状フラップWを折り返しやすくするために設けられる前述の指引っ掛け部14は、軽失禁パッド1をいずれの方向に取り付けてもウイング状フラップWの後側に形成されるように、ウイング状フラップWの基端部の前後にそれぞれ形成するのが好ましい。なお、図6などに示される前後非対称の平面形状を有するウイング状フラップWの場合、図6とは逆向きにウイング状フラップWが斜め前方に突出した状態で装着したときには、軽失禁パッド1を下着から引き剥がす際、本体部分の前端部を持って後方に向けて引き剥がすとウイング状フラップWが本体部分に追従して剥がれず、ウイング状フラップWと本体部分との境界部分で引き裂かれ、下着にウイング状フラップWが残る可能性がある。そこで、この場合には、サイド不織布7及び不透液性裏面シート2の何れか一方又は両方の素材として厚みや強度の大きなものを用いること、ウイング状フラップWと本体部分との境界部分に補強材を貼着することなどによってウイング状フラップWの強度を高める手段を施すのが好ましい。
一方、着用者の臀部溝まで覆う後方に長く形成された軽失禁パッドなどのように、装着する際の前後の向きが限定された前後非対称に形成された軽失禁パッド1の場合、前述のとおり、ウイング状フラップWが左側に形成されたものと右側に形成されたものの2種類用意する必要がある。この軽失禁パッド1を個装するに際しては、個装状態でウイング状フラップWが左右のどちら側に形成されているかが識別可能なように、粘着剤層を剥離可能に覆う剥離材及び軽失禁パッド1を個装する個装シートの両方又はいずれか一方に、「羽は右側」或いは「右手で装着する人用」などの文字を表記しておくのが好ましい。これにより、左右を間違えて選択するおそれが低減するとともに、前後逆向きに装着して吸収性能が低下するのが防止できる。このような文字表記は、前述の前後対称に形成される軽失禁パッド1の場合には不要である。
前記ウイング状フラップWが形成されない側の側縁の形状は、図1に示されるように、両側にウイング状フラップが形成されていると仮定した場合に、一方側のウイング状フラップを基端部で切り取って、この切り取った部分が前後の形状と滑らかに連続するような形状で形成してもよいが、装着時に軽失禁パッド1の側縁が脚の付け根の内側部分に接触したときに擦れて装着性が低下しないように、図14(A)に示されるように、パッド内側に膨出する円弧状の曲線形状や、同図14(B)に示されるように、フリル波状線で形成するのが好ましい。下着に対する装着時において、前記ウイング状フラップWが形成された側はウイング状フラップWが下着のクロッチ部分を巻き込むようにして折り返されるため、下着のクロッチ部分の側縁に沿うように配置され、擦れが低減されるのに対して、これとは反対側の側縁では、軽失禁パッド1の側縁が直接肌に接触するため、肌との擦れによって装着性が低下するおそれがあった。このため、前述のような下着のクロッチ部分の外形線に沿うような形状で形成するのが好ましい。
1…軽失禁パッド、2…不透液性裏面シート、3…透液性表面シート、4…吸収体、5…被包シート、7…サイド不織布、9…本体ズレ止め粘着剤層、10…ウイングズレ止め粘着剤層

Claims (8)

  1. 透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在された本体部分の幅方向の一方側にのみ、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定される側方に突出したウイング状フラップが形成され、他方側には形成されていないとともに、前記ウイング状フラップの基端から先端までのウイング突出長が、前記ウイング状フラップの基端からこれと反対側の吸収性物品の幅方向端縁までの装着時製品幅と同等以下に形成されていることを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記ウイング状フラップが吸収性物品の長手方向中央部に形成されるとともに、前記吸収性物品が前後対称に形成され、装着時に前記ウイング状フラップを一方側に突出させた状態と、吸収性物品の前後を入れ換えて他方側に突出させた状態とを選択可能とした請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記ウイング状フラップの下着当接面にウイングズレ止め粘着剤層が形成され、前記ウイングズレ止め粘着剤層は、吸収性物品の長手方向に沿う長さが前記ウイング状フラップの基端側より先端側の方が短く形成されている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品。
  4. 前記ウイング状フラップの少なくとも後側の外形線に、装着時に指を引っ掛けて前記ウイング状フラップを折り返しやすくするための内側に窪んだ指引っ掛け部が形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  5. 前記ウイング状フラップは、斜め前方又は斜め後方に向けて突出している請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  6. 前記ウイング状フラップの基端から先端に沿う方向に線状のエンボスが付与されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  7. 前記裏面シートの下着当接面に、長手方向に沿うとともに幅方向に離間して複数条の本体ズレ止め粘着剤層が形成され、前記ウイング状フラップが形成されない側に配置された前記本体ズレ止め粘着剤層に、前記ウイング状フラップが形成された側に配置された前記本体ズレ止め粘着剤層と比較して下着とのズレ防止を強化したズレ防止強化手段が施されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  8. 前記ウイング状フラップの基端の折返し線に沿って線状のエンボスが付与されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
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