JP6219144B2 - 吸収性物品 - Google Patents

Description

本発明は、主には生理用ナプキン、おりものシート、失禁パッド、医療用パッド、トイレタリー等に使用される吸収性物品に係り、ウイング状フラップによって固定しない「羽なし」の状態と、ウイング状フラップを拡げて下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定する「羽つき」の状態とが任意に選択可能な吸収性物品に関する。

従来より、生理用ナプキン、パンティライナー、おりものシート、失禁パッドなどの吸収性物品Ｎとしては、例えば図９および図１０に示されるように、ポリエチレンシートまたはポリエチレンラミネート不織布などからなる不透液性裏面シート５０と、不織布または透孔性プラスチックシートなどからなる透液性表面シート５１との間に綿状パルプなどからなる吸収体５２を介在させたものが知られている。

この種の吸収性物品Ｎとしては、装着状態でのズレ止めを図るために、例えば非肌当接面側（外面）に１または複数条の粘着剤層５３，５３を形成し、かつナプキン本体の長手方向両側部に、外方に延在するウイング状フラップＷ、Ｗを一体的に形成するとともに、このウイング状フラップＷ、Ｗの不透液性裏面シート５０側の面（外面）に粘着剤層５４，５４を設けるようにしたものが存在する。

前記吸収性物品Ｎを下着３０に固定する際には、図１１に示されるように、吸収性物品Ｎを局所にあてがい、側方に突出する前記ウイング状フラップＷ、Ｗを下着より取り出し、両ウイング状フラップＷ、Ｗを折返し線ＲＬ、ＲＬで折返し、下着のクロッチ部分を巻き込むようにしながら下着３０の股間部外面に接着するようにする。

前記ウイング状フラップＷを下着に固定することによって、吸収性物品Ｎが下着にしっかりと固定されるので多くの人がこのウイング状フラップＷを利用しているが、装着の手間がかかる、下着の外にはみ出して見た目が悪いなどの理由から、少数ながらウイング状フラップＷが付いていないものを好む人もいる。また、下着のタイプや排血量の程度、その日の気分などによって、ウイング状フラップＷを下着に固定したかったり、不要だったりする場合もある。

このようなウイング状フラップＷの有無が選択可能な吸収性物品として、下記特許文献１では、液体透過性上層と、液体不透過性下層と、前記上層と下層の間にある吸収性本体と、前記下層の上にある不透過性トップフィルムと、前記下層と前記トップフィルムの間に休止位置に折り畳んで収容できる横方向に延長可能なウイングとを有し、前記ウイングは前記不透液性下層側に折り畳んだ休止位置において前記トップフィルムによって覆われている生理用ナプキンが開示されている。

また、下記特許文献２では、両側に括れ部を有する吸収性本体と、該吸収性本体に接合された拡縮自在の一対のフラップとを備え、前記フラップは、収縮状態で前記吸収性本体側に湾曲した襞が形成される拡縮部を前記括れ部の外側に有しているとともに、前記襞の外側にずれ止め材を有している吸収性物品が開示されている。

特開２０００−８３９９７号公報 特開２００６−２９６８４１号公報

しかしながら、上記特許文献１記載の生理用ナプキンでは、「羽なし」として使用する場合、ウイングが不透液性下層側に折り畳まれた休止状態にあるだけで、ウイング自体が体液の漏れ防止に何ら機能するものではなかった。また、ウイングを下着に固定するための接着剤を保護するための保護シートが不透液性下層に設けられているが、「羽つき」として使用する場合、この保護シートについても体液の漏れ防止に何ら機能するものではなかった。更に、「羽つき」として使用する際、休止位置にあるウイングを展開するには、トップフィルムに設けられた接着バンドから取り外すとともに、ウイングの接着領域を保護シートから取り外すという２箇所の接着を解除しなければならない装着時の手間があった。

一方、上記特許文献２記載の吸収性物品では、「羽なし」として使用する場合、フラップを収縮状態にした襞を防漏壁として機能させているが、このような襞では横漏れを十分に防止することができなかった。

そこで本発明の主たる課題は、「羽なし」と「羽つき」の装着状態を任意に選択できるようにした吸収性物品において、装着しやすく、横漏れを確実に防止した吸収性物品を提供することにある。

上記課題を解決するために請求項１に係る本発明として、透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在された本体部分の肌当接面側の両側部に夫々、肌側に起立する立体ギャザーが形成されるとともに、前記本体部分の両側部に夫々、外方に延在するとともに前記裏面シート側の面に粘着剤層を有するウイング状フラップが形成された吸収性物品において、
前記立体ギャザーの外面側に、露出面側を剥離処理した剥離機能シートが接合され、
前記ウイング状フラップは、前記透液性表面シート側に折り返されるとともに、前記粘着剤層を前記剥離機能シートに剥離可能に貼着した状態で設けられていることを特徴とする吸収性物品が提供される。

上記請求項１記載の発明では、本体部分の肌当接面側の両側部に夫々、肌側に起立する立体ギャザーと、外方に延在するウイング状フラップとが形成された吸収性物品において、前記立体ギャザーの外面側に、露出面側を剥離処理した剥離機能シートを接合している。また、前記ウイング状フラップは、透液性表面シート側に折り返されるとともに、裏面シート側に形成された粘着剤層を前記立体ギャザーの剥離機能シートに剥離可能に貼着した状態で設けられている。この状態で装着することにより、ウイング状フラップを下着に固定しない「羽なし」の状態として使用できる。また、装着時に必要に応じて、前記ウイング状フラップを剥離機能シートから剥離し、裏面シート側に折り返して下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定することにより、「羽つき」の状態として使用することもできる。つまり、本吸収性物品では、「羽なし」の状態と「羽つき」の状態とが任意に選択できるようになっている。

「羽なし」の状態として使用する場合、前記ウイング状フラップが透液性表面シート側に折り返され、粘着剤層を立体ギャザーの剥離機能シートに剥離可能に貼着した状態で設けられているので、ウイング状フラップが立体ギャザーの肌側への起立を補助するとともに、ウイング状フラップがループ状に配置されることにより立体ギャザーのクッション性が向上するようになる。その結果、立体ギャザーが肌面に押し付けられ、肌と立体ギャザーとの間に隙間が生じにくくなるので、体液の横漏れが確実に防止できるようになる。更に、前記立体ギャザーの外側にウイング状フラップがループ状に配置され、装着時にこのウイング状フラップが幅方向外側に膨らんで下着を覆う面積が増えるため、体液の横漏れがより確実に防止できるようになる。このように、本吸収性物品では、「羽なし」として使用する場合でも、ウイング状フラップが体液の漏れ防止効果を向上させるように機能している。

一方、「羽つき」として使用する場合、ウイング状フラップの粘着剤層を前記剥離機能シートから剥離して裏面シート側に折り返すだけなので、装着作業が非常に簡単である。

更に、本吸収性物品では、前記立体ギャザーの外面側に前記剥離機能シートが接合されているため、立体ギャザーからの体液の浸み出しが防止でき、横漏れ防止効果が一層高められている。このように、本吸収性物品では、剥離機能シートも体液の横漏れ防止のために機能している。

請求項２に係る本発明として、前記立体ギャザーは、吸収性物品の横断面視で肌側に向かうに従って外側に傾斜する外側傾斜部分を有し、前記ウイング状フラップの粘着剤層は、前記立体ギャザーの外側傾斜部分の外面側に接合された前記剥離機能シートに剥離可能に貼着されている請求項１記載の吸収性物品が提供される。

上記請求項２記載の発明では、前記立体ギャザーに、吸収性物品の横断面視で肌側に向かうに従って外側に傾斜する外側傾斜部分を備え、前記ウイング状フラップの粘着剤層を、この外側傾斜部分の外面側に接合された剥離機能シートに剥離可能に貼着するようにしている。このため、「羽なし」として使用する場合において、ループ状に配置されたウイング状フラップの復元力が立体ギャザーに伝わりやすくなり、立体ギャザーが肌側に起立しやすくなる。また、外側傾斜部分にウイング状フラップの粘着剤層を貼着することにより、ループ状に配置されたウイング状フラップと立体ギャザーとの間に空間部が設けられ、程良いクッション性が得られるようになる。

請求項３に係る本発明として、前記ウイング状フラップの本体部分からの延在幅は、吸収性物品の横断面視で前記立体ギャザーの断面に沿う起立基端部から頂部までの長さ以下に設定されている請求項１、２いずれかに記載の吸収性物品が提供される。

上記請求項３記載の発明では、「羽なし」として使用する場合、吸収性物品の横断面視で、ウイング状フラップが立体ギャザーより外側に大きく膨らむと違和感が生じるため、ウイング状フラップの本体部分からの延在幅を、吸収性物品の横断面視で立体ギャザーの断面に沿う起立基端部から頂部までの長さ以下に設定している。

請求項４に係る本発明として、前記剥離機能シートは、吸収性物品の長手方向に対して、少なくとも前記ウイング状フラップの配設範囲に設けられている請求項１〜３いずれかに記載の吸収性物品が提供される。

上記請求項４記載の発明では、立体ギャザーの外面側に接合する前記剥離機能シートの吸収性物品の長手方向に対する配設範囲について規定している。前記剥離機能シートは、ウイング状フラップを透液性表面シート側に折り返したときに粘着剤層と貼着されるので、少なくともウイング状フラップの配設範囲に設けることが好ましい。なお、前記剥離機能シートが立体ギャザーからの体液の浸み出し防止効果も有することから、立体ギャザーの起立範囲の全体に亘って設けることも可能である。

請求項５に係る本発明として、前記粘着剤層の幅方向外側端部が、前記ウイング状フラップの幅方向先端部から５ｍｍ以下の範囲に設けられている請求項１〜４いずれかに記載の吸収性物品が提供される。

上記請求項５記載の発明では、「羽なし」として使用する場合に、ウイング状フラップの幅方向先端部から粘着剤層の幅方向外側端部までの隙間が広いとウイング状フラップを立体ギャザーの剥離機能シートにしっかりと貼着できないため、この隙間を５ｍｍ以下に設定している。

請求項６に係る本発明として、前記ウイング状フラップは、吸収性物品の長手方向に沿って１又は複数条の線状のエンボスが施されている請求項１〜５いずれかに記載の吸収性物品が提供される。

上記請求項６記載の発明では、ウイング状フラップを透液性表面シート側に折り返す際に、エンボス線を可撓軸として折り返しやすくするため、ウイング状フラップの吸収性物品の長手方向に沿って１又は複数条の線状のエンボスを施している。

請求項７に係る本発明として、前記ウイング状フラップの粘着剤層が第２の剥離機能シートによって覆われるとともに、前記第２の剥離機能シートの外面側に、前記立体ギャザーの剥離機能シートに対し剥離可能に貼着される第２の粘着剤層が設けられている請求項１〜６いずれかに記載の吸収性物品が提供される。

上記請求項７記載の発明では、前記ウイング状フラップの粘着剤層を第２の剥離機能シートによって覆うとともに、この第２の剥離機能シートの外面側に、前記立体ギャザーの剥離機能シートに対し剥離可能に貼着される第２の粘着剤層を設けることによって、「羽つき」として使用する際、前記第２の剥離機能シートを摘んで外側に引っ張ることによりウイング状フラップが展開できるので、ウイング状フラップの展開作業がより一層容易になる。

以上詳説のとおり本発明によれば、「羽なし」と「羽つき」の装着状態を任意に選択できるようにした吸収性物品において、装着しやすく、横漏れが確実に防止できるようになる。

本発明に係る生理用ナプキン１の一部破断展開図である。 そのII−II線矢視図（横断面図）である。 図１のIII−III線矢視図（横断面図）である。 「羽なし」として使用する場合の装着状態を示す横断面図である。 「羽つき」として使用する場合の装着状態を示す横断面図である。 立体ギャザーＢＳを示す生理用ナプキン１の横断面図である。 ウイング状フラップＷの拡大図である。 他の形態例に係る生理用ナプキン１の横断面図である。 従来の生理用ナプキンＮの展開図である。 その横断面図である。 その装着状態図である。

以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。

〔生理用ナプキン１の基本構成〕
本発明に係る生理用ナプキン１は、図１〜図３に示されるように、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性裏面シート２と、経血やおりものなどを透過させる透液性表面シート３と、これら両シート２，３間に介在された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体４と、表面両側部にそれぞれ長手方向に沿って配設されたサイド不織布７，７とから構成されている。前記吸収体４の周囲において、そのナプキン長手方向の前後端縁部では、前記不透液性裏面シート２と透液性表面シート３との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体４の端縁よりも側方に延出している前記不透液性裏面シート２と前記サイド不織布７とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、外周に吸収体４の存在しない外周フラップ部が形成されている。

以下、さらに前記生理用ナプキン１の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート２は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート（この場合には防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。）などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。

本生理用ナプキン１では、後段で詳述するように、「羽なし」として使用する場合、ウイング状フラップＷを透液性表面シート３側に折り返すことにより不透液性裏面シート２が肌側に露出して、不透液性裏面シート２が脚の付け根部分に触れる可能性があるので、前述のポリエチレン樹脂などの一般的な素材でも構わないが、脚回りに触れても柔らかい感触の前記ラミネート不織布等の素材を用いることが好ましい。

次いで、前記透液性表面シート３は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法及びエアスルー法は嵩高でソフトである点で優れている。

これら不透液性裏面シート２と透液性表面シート３との間に介在される吸収体４は、たとえばパルプ中に高吸水性樹脂を混入したもの、或いはパルプ中に化学繊維を混入させるとともに、高吸水性ポリマーを混入したものが使用される。前記吸収体４は、形状保持、および経血等を速やかに拡散させるとともに、一旦吸収した経血等の逆戻りを防止するために、図２などに示されるように、クレープ紙５によって囲繞することも可能である。

前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。前記吸収体４は、積繊やエアレイド法により作成されたものを用いることができる。特に、薄型生理用ナプキンとする場合にはエアレイド法により作製されたものを用いることが好ましい。また、前記高吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉（ＳＡＰ）や高吸水ポリマー繊維（ＳＡＦ）を用いることができる。

一方、前記透液性表面シート３の幅寸法は、図示例では、図２および図３の横断面図に示されるように、吸収体４の幅よりも若干長めとされ、吸収体４を覆うだけに止まり、前記立体ギャザーＢＳは前記透液性表面シート３とは別のサイド不織布７、具体的には経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの目的に応じて、適宜の撥水処理または親水処理を施した不織布素材を用いて構成されている。かかるサイド不織布７としては、たとえば、体液が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの機能を重視するならば、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いることが望ましい。また、前記ウイング状フラップＷ、Ｗにおける体液の吸収性を重視するならば、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第２スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた親水処理不織布を用いるようにすることが望ましい。

前記サイド不織布７は、図２および図３に示されるように、生理用ナプキン１の展開状態において、幅方向中間部より外側部分を吸収体４の内側位置から吸収体側縁を若干越えて不透液性裏面シート２の外縁までの範囲に亘ってホットメルトなどの接着剤によって接着し、これら前記サイド不織布７と不透液性裏面シート２との積層シート部分により、ほぼ体液排出部に相当する吸収体側部位置に左右一対のウイングフラップＷ、Ｗを形成している。このウイング状フラップＷについては後段で詳細に説明する。

一方、前記サイド不織布７の内方側部分はほぼ二重に折り返されるとともに、この二重シート内部に、その高さ方向に両端または長手方向の適宜の位置が固定された１又は複数本の、図示例では２本の糸状弾性伸縮部材８、８が配設されている。この二重シート部分は前後端部では図３に示されるように、断面Ｚ状に折り畳んで積層された状態で吸収体４側に接着されることによって、内側の糸状弾性伸縮部材８配設部位を屈曲点として、断面く字状に表面側に起立する立体ギャザーＢＳ、ＢＳが形成されている。この立体ギャザーＢＳについては後段で詳細に説明する。

図１及び図２に示されるように、前記透液性表面シート３と不透液性裏面シート２との間に吸収体４が介在された本体部分の非肌当接面側には、下着に対する固定のために適宜の塗布パターンによって１又は複数条の、図示例では３条の本体ズレ止め粘着剤層９、９…が形成されている。また、ウイング状フラップＷ、Ｗの不透液性裏面シート２側の面には、ウイングズレ止め粘着剤層１０、１０が形成されている。

〔立体ギャザーＢＳ及びウイング状フラップＷについて〕
図２に示されるように、前記立体ギャザーＢＳの外面側にはそれぞれ、露出面側に剥離処理が施された剥離機能シート１１がホットメルト接着剤やヒートシール等の接合手段によって強固に接合されている。前記剥離機能シート１１は、図２に示される生理用ナプキン１の横断面視で、立体ギャザーＢＳの起立基端部から頂部又はその近傍までの立体ギャザーＢＳの外面側をほぼ全て覆う範囲に配設されている。前記剥離機能シート１１は、立体ギャザーＢＳの頂部まで覆うように配設してもよいが、頂部まで剥離機能シート１１を延在させると肌当たりが悪くなる場合があるので、頂部より若干短い範囲までを覆うように配設する方が好ましい。

前記剥離機能シート１１としては、ウイングズレ止め粘着剤層１０に対する当接面に対し、例えばシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、または四フッ化エチレン系樹脂などの離型処理液を塗工するかスプレー塗布し離型処理した紙（上質紙）またはプラスチックシートを用いることができる。この場合、立体ギャザーＢＳにおける体液の浸み出しを防止しやすいプラスチックシートを用いるのが好ましい。なお、離型処理をしなくても、実質的に粘着力の低下を招かないものであれば、フィルムそのものであってもよい。

図４に示されるように、前記ウイング状フラップＷは、製品状態（生理用ナプキン１を個装する包装シート（図示せず）から取り出した状態）において、不透液性裏面シート２が外面側に露出するように透液性表面シート３側に折り返されるとともに、不透液性裏面シート２側の面に備えられたウイングズレ止め粘着剤層１０を前記剥離機能シート１１に剥離可能に貼着した状態で設けられている。具体的には、図１に示されるようにウイング状フラップＷを基端部に沿う折返し線ＲＬにて肌側に向けて起立させるように透液性表面シート３側に折り曲げるとともに、この折り曲げたウイング状フラップＷの先端部を、ウイングズレ止め粘着剤層１０より基端側の位置にて更に内側に折り曲げ、不透液性裏面シート２側の面に備えられたウイングズレ止め粘着剤層１０を剥離機能シート１１に貼着する。これにより、吸収体４の肌当接面側の両側部にそれぞれ、立体ギャザーＢＳの外側にウイング状フラップＷが接続した中空断面のループ状部分が形成されるようになる。

この状態で、本体ズレ止め粘着剤層９、９…を下着３０のクロッチ部分の内面に接着することにより、ウイング状フラップＷを下着に固定しない「羽なし」の状態として使用できる。この状態で使用した場合、ウイング状フラップＷを透液性表面シート３側に折り返し、ウイングズレ止め粘着剤層１０を立体ギャザーＢＳの剥離機能シート１１に剥離可能に貼着した状態としているので、ウイング状フラップＷが展開状態に戻ろうとする復元力によって、立体ギャザーＢＳの肌側への起立を補助するとともに、立体ギャザーＢＳに肌面からの圧力が加わっても、ウイング状フラップＷがループ状に配置されることにより立体ギャザーＢＳのクッション性が向上するようになる。その結果、立体ギャザーＢＳの肌当接面が肌面に押し付けられ、肌と立体ギャザーＢＳとの間に隙間が形成されにくくなるので、体液の横漏れが確実に防止できるようになる。更に、前記立体ギャザーＢＳの外側にウイング状フラップＷがループ状に配置され、装着時にこのウイング状フラップＷが幅方向外側に膨らんで、立体ギャザーＢＳだけのときより下着を覆う面積を増加させているので、体液の横漏れがより確実に防止できるようになる。

一方、本生理用ナプキン１は、図５に示されるように、装着時に必要に応じて、ウイング状フラップＷのズレ止め粘着剤層１０を剥離機能シート１１から剥離して、不透液性裏面シート２側に折り返し、下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定することにより、「羽つき」の状態として使用することもできる。この状態で使用するに際しては、前述の通り、ウイング状フラップＷを剥離機能シート１１から剥離して不透液性裏面シート２側に折り返すだけの操作なので、装着作業が非常に簡単となる。なお、この「羽つき」として使用する場合でも、肌当接面側の両側部に夫々、肌側に起立する立体ギャザーＢＳが形成されているので、横漏れが確実に防止できる。

更に、本生理用ナプキン１では、前記立体ギャザーＢＳの外面側に剥離機能シート１１が接合されているため、立体ギャザーＢＳを構成するギャザー不織布７単体のものより立体ギャザーＢＳからの体液の浸み出しが防止でき、横漏れ防止効果がより一層高められるようになっている。

前記立体ギャザーＢＳは、図２に示されるように、生理用ナプキン１の横断面視で、基端部側から順に、肌側に向かうに従って内側に向けて傾斜する内側傾斜部分１３が形成されるとともに、前記内側傾斜部分１３の先端部を基点として肌側に向かうに従って外側に向けて傾斜する外側傾斜部分１２が形成された、断面略く字状に形成されている。このように、前記立体ギャザーＢＳは、前記外側傾斜部分１２を少なくとも１箇所有する断面形状で形成することが好ましい。そして、ウイング状フラップＷのウイングズレ止め粘着剤層１０は、前記立体ギャザーＢＳの外側傾斜部分１２の外面側に接合された剥離機能シート１１に剥離可能に貼着することが好ましい。これにより、「羽なし」として使用する場合において、立体ギャザーＢＳとの間でループ状に配置されたウイング状フラップＷが展開状態に戻ろうとする復元力が、立体ギャザーＢＳを肌側に起立させる力として作用しやすくなる。また、図４に示されるように、「羽なし」として使用する場合、立体ギャザーＢＳとウイング状フラップＷとの間に中空の空間部１４が設けられるようになり、立体ギャザーＢＳに程良いクッション性が得られるようになるとともに、体液の浸み出しがより一層確実に防止できるようになる。

前記立体ギャザーＢＳは、図６(A)、(B)に示されるように、種々の断面形状で形成することが可能である。図６(A)は、前記外側傾斜部分１２のみからなるものである。図６(B)は、基端部から順に、外側傾斜部分１２、内側傾斜部分１３、外側傾斜部分１２と断面Ｚ形の３段に形成されたもので、この場合には、基端側の外側傾斜部分１２より、先端側の外側傾斜部分１２にウイングズレ止め粘着剤層１０を貼着した方が、立体ギャザーＢＳが起立しやすくなるので好ましい。

図１に示されるように、前記ウイング状フラップＷの本体部分からの延在幅ａは、１５ｍｍ≦ａ≦３５ｍｍ、好ましくは２０ｍｍ≦ａ≦３０ｍｍとするのがよい。前記延在幅ａは、ウイング状フラップＷが本体部分から外側に突出し始める部分を基点とした幅であり、基端部を長手方向に延びるウイング状フラップＷの折返し線ＲＬから外側に延在する幅のことである。

図２に示される生理用ナプキン１の横断面視で、前記延在幅ａは、立体ギャザーＢＳの断面に沿う起立基端部から頂部までの長さｂ以下（ａ≦ｂ）に設定することが好ましい。これにより、「羽なし」として使用する場合において、ウイング状フラップＷが立体ギャザーＢＳより外側に大きく膨らむことがなく、装着時の違和感が軽減できるようになる。

図１に示されるように、前記剥離機能シート１１は、ナプキン長手方向に対して、少なくともウイング状フラップＷの配設範囲に設けることが好ましい。これにより、剥離機能シート１１にウイング状フラップＷのウイングズレ止め粘着剤層１０を貼着できるようになる。また、立体ギャザーＢＳからの体液の浸み出しを防止するため、ウイング状フラップＷの配設範囲の前後にも設けることが好ましく、この場合には立体ギャザーＢＳの起立範囲の全体に亘って設けてもよいし、生理用ナプキン１の全長に亘って設けてもよい。

前記ウイングズレ止め粘着剤層１０は、図１に示されるように、幅方向外側端部とウイング状フラップＷの幅方向先端部とのナプキン幅方向の隙間ｃが５ｍｍ以下、好ましくは３ｍｍ以下に設定するのがよい。「羽なし」として使用する際、前記隙間ｃが広いとウイング状フラップＷを立体ギャザーＢＳの剥離機能シート１１にしっかりと貼着できないため、この隙間ｃを５ｍｍ以下と通常のものに比べて比較的小さく設定している。一方、幅方向内側端部とウイング状フラップＷの幅方向先端部とのナプキン幅方向の距離ｄは、立体ギャザーＢＳの外側傾斜部分１２の幅ｅよりも短く形成されている。これにより、ウイングズレ止め粘着剤層１０が全体に亘って剥離機能シート１１に貼着しやすくなり、ウイングズレ止め粘着剤層１０の剥離機能シート１１に貼着していない部分が着用者の脚などの肌面に接着するのが防止できる。

前記ウイング状フラップＷは、図７に示されるように、ナプキン長手方向に沿って１又は複数条の線状エンボス１５を施すことが好ましい。図示例では、ナプキン幅方向にほぼ等間隔で４条の線状エンボス１５、１５…が施されている。前記線状エンボス１５は、複数のドットを線状に配置したものや、点線状のもの、直線状のものなど、種々のパターンで配置することができる。前記線状エンボス１５を設けることにより、前記線状エンボス１５が可撓軸となってウイング状フラップＷが透液性表面シート３側に折り曲げやすくなる。前記線状エンボス１５は、ウイング状フラップＷの折返し線ＲＬからウイングズレ止め粘着剤層１０の幅方向内側端部までの間に設け、ウイングズレ止め粘着剤層１０の形成範囲及びその外側範囲には設けないことが好ましい。この範囲は、立体ギャザーＢＳの剥離機能シート１１に貼着させる範囲なので、途中で折れ曲がることなく貼着させる必要があるためである。

本生理用ナプキン１の他の形態例として、図８に示されるように、前記ウイング状フラップＷのウイングズレ止め粘着剤層１０が第２の剥離機能シート１６によって覆われるとともに、この第２の剥離機能シート１６の外面側に、前記立体ギャザーＢＳの剥離機能シート１１に対し剥離可能に貼着される第２の粘着剤層１７が設けられるようにすることができる。これにより、「羽つき」として使用する場合、前記第２の剥離機能シート１６を摘んで外側に引っ張ることによりウイング状フラップＷが展開できるので、装着作業が更に容易化できる。なお、展開したウイング状フラップＷを下着に装着するときは、前記第２の剥離機能シート１６をウイングズレ止め粘着剤層１０から取り外して使用する。前記第２の剥離機能シート１６は素材的には上質紙やフィルム、不織布などを用いることができるが、「羽なし」として使用する場合、前記第２の剥離機能シート１６が脚の付け根部分に接触して違和感を生じるおそれがあるので、ラミネート不織布等の柔らかい素材を用いることが好ましく、また立体ギャザーＢＳからの体液の浸み出しを防止するならフィルムを用いることが好ましい。

以上の構成からなる生理用ナプキン１は、ウイング状フラップＷを透液性表面シート３側に折り返すとともに、ウイングズレ止め粘着剤層１０を剥離機能シート１１に剥離可能に貼着した状態で、包装シート上に載置され、包装シートともに長手方向に三つ折りされ個装される。

１…生理用ナプキン、２…不透液性裏面シート、３…透液性表面シート、４…吸収体、５…クレープ紙、７…サイド不織布、８…糸状弾性伸縮部材、９…本体ズレ止め粘着剤層、１０…ウイングズレ止め粘着剤層、１１…剥離機能シート、１２…外側傾斜部分、１３…内側傾斜部分、１４…空間部、１５…線状エンボス、１６…第２の剥離機能シート、１７…第２の粘着剤層、ＢＳ…立体ギャザー、Ｗ…ウイング状フラップ

Claims (7)

1. 透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在された本体部分の肌当接面側の両側部に夫々、肌側に起立する立体ギャザーが形成されるとともに、前記本体部分の両側部に夫々、外方に延在するとともに前記裏面シート側の面に粘着剤層を有するウイング状フラップが形成された吸収性物品において、
   前記立体ギャザーの外面側に、露出面側を剥離処理した剥離機能シートが接合され、
   前記ウイング状フラップは、前記透液性表面シート側に折り返されるとともに、前記粘着剤層を前記剥離機能シートに剥離可能に貼着した状態で設けられていることを特徴とする吸収性物品。
2. 前記立体ギャザーは、吸収性物品の横断面視で肌側に向かうに従って外側に傾斜する外側傾斜部分を有し、前記ウイング状フラップの粘着剤層は、前記立体ギャザーの外側傾斜部分の外面側に接合された前記剥離機能シートに剥離可能に貼着されている請求項１記載の吸収性物品。
3. 前記ウイング状フラップの本体部分からの延在幅は、吸収性物品の横断面視で前記立体ギャザーの断面に沿う起立基端部から頂部までの長さ以下に設定されている請求項１、２いずれかに記載の吸収性物品。
4. 前記剥離機能シートは、吸収性物品の長手方向に対して、少なくとも前記ウイング状フラップの配設範囲に設けられている請求項１〜３いずれかに記載の吸収性物品。
5. 前記粘着剤層の幅方向外側端部が、前記ウイング状フラップの幅方向先端部から５ｍｍ以下の範囲に設けられている請求項１〜４いずれかに記載の吸収性物品。
6. 前記ウイング状フラップは、吸収性物品の長手方向に沿って１又は複数条の線状のエンボスが施されている請求項１〜５いずれかに記載の吸収性物品。
7. 前記ウイング状フラップの粘着剤層が第２の剥離機能シートによって覆われるとともに、前記第２の剥離機能シートの外面側に、前記立体ギャザーの剥離機能シートに対し剥離可能に貼着される第２の粘着剤層が設けられている請求項１〜６いずれかに記載の吸収性物品。

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