実施の形態1.
以下、図1〜図39を参照して、実施の形態1を説明する。
(定義)
「家電機器」EEとは、主に家庭で使用されることを想定して設計された電気機器をいう。家電機器EEには、後述する寝具掃除機・寝具乾燥機20やキッチン内家電機器KP、テレビジョン受像機2等の映像機器、空気調和機3、空気清浄機や空気脱臭機等の空気処理機、電気ストーブ等の暖房機器、電気掃除機、電気洗濯機(乾燥機能付きを含む)、お風呂に使用される給湯機器(給湯タンク付きを含む)が含まれる。なお、以下の説明では、家電機器EEという場合には、特に断りがない限り、寝具掃除機と寝具乾燥機の双方を含む。
家電機器EEの「識別情報」とは、家電機器EEを特定するための情報で、家電機器EEに固有の情報のことであり、的確な修理や点検を行う場合に必要となる重要な情報である。例えば、具体的には、以下のようなものが識別情報に含まれるが、これらには限定されない。
(1)家電機器の製造者名
(2)型名
(3)形式番号
(4)定格消費電力
(5)購入年月日(製造業者や販売業者の品質保証期間の起算日になる場合が多い)
(6)使用開始年月日(食器洗い乾燥機では、法定点検時期の起算日になる)
(7)品質保証書番号
前記(6)の法定点検とは、2009年4月1日から改正・施行された「消費者生活用製品安全法」で新設された「長期使用製品安全点検制度」による点検をいう。なお、この法律とは別の「電気用品安全法」では、技術基準省令の改正により、長期使用製品安全表示制度が創設されており、消費生活用製品のうち、特定の製品については、設計上の標準使用期間と経年劣化について、消費者に対し適切な保守点検を促すように注意喚起等の表示が義務化されている。そこで、その標準使用期間の参考となるように、消費者に対して表示する「製品の製造日」や製造年月から起算した「経過年数」の情報を、家電機器EEの「識別情報」に含めても良い。
また後述する空気調和機3等のような「特定家電機器」(環境改善機器)SP1であるかどうかも識別情報の一部である。統合管理装置(「電力指令装置」ともいう)5と相互に無線通信を行う場合、その統合管理装置5側にこの識別情報が、特定家電機器(環境改善機器)SP1側から提供される。
「統合管理装置」5とは、2つ以上の家電機器EEを連携して動作させるための装置をいう。例えば寝具乾燥機の運転と、他の家電機器EE、例えば空気調和機3やTV受像機2等の運転とを連携させる装置をいう。統合管理装置5は、家電機器EEの運転や停止、待機状態等の現在状況に関する情報を、有線又は無線信号で家電機器EEから取得する機能を有する。
「電力指令装置」とは、複数の家電機器EEの消費電力を個々に制限し、1つの家庭における総消費電力の上限を規制する機能を備えたものをいう。1つの家電機器EEに対して、「統合管理装置」が「電力指令装置」を兼ねている場合がある。また1つの家電機器の「電力指令装置」5が、他の家電機器についても電力指令装置であるとは限らない。例えば、実施の形態1では、後述する空気調和機3とキッチン内家電機器KPの消費電力を制限する電力指令装置5は、寝具乾燥機と寝具掃除機にとっては電力指令装置ではない。当該電力指令装置5は、寝具乾燥機と寝具掃除機の運転情報を取得するが、その消費電力の上限値を規制して、1つの家庭の総消費電力の上限が、所定値を超えないように規制する機能がない。
統合環境検知部9の「環境情報」とは、後述する統合環境検知部9で、それぞれ検出する「環境データ」それ自体と、そのような環境データに基づいて作成した「環境評価情報」を総称したものをいう。「環境情報」には、家屋の居住快適性に影響する以下のような種類の情報を含むが、これに限定されない。
(1)温度情報
(2)湿度情報
(3)塵埃飛散度(単位空気容積あたりの塵埃量)情報
(4)花粉飛散量情報
(5)光量(可視光線量)情報・・・言い換えると居住空間の明るさの情報である。
(6)騒音情報・・・居住空間の静けさの情報である。
統合環境検知部9が取得する「環境データ」とは、計測された温度や湿度等の物理的状態を示すデータそれ自体をいう。例えば気温35℃は環境データに該当する。その気温35℃に基づいて、何らかの評価基準や計算処理等を経て分類やランク付け、又はその他加工をされた情報は、前述したように「環境評価情報」に該当する。例えば、「室温は高い」、「標準気温」というような情報が前記「環境評価情報」に該当する。
「寝具乾燥」とは、寝具の表面に対して温風を吹きかけ、寝具の中の湿気を除去することをいう。この寝具乾燥には、寝具を透過した温風の中から塵埃を除去し、綺麗な空気にすることも含む。寝具乾燥によって除去される塵埃には、例えば、土埃や花粉、繊維の屑、飛散した髪の毛、ダニの死骸や糞等の有害物、有害生物等が含まれるが、これらには限定されない。寝具乾燥には、このような塵埃の除去は必須ではない。また、電気ヒータによる空気加熱は必須ではなく、空気を供給する電動送風機の排気熱によって温まった空気を供給する場合も寝具乾燥になり得る。
「寝具掃除」とは、電気ヒータによって加熱した温風を供給せず、単に寝具側から空気を吸引して寝具の表面や内部にある塵埃を捕集することをいう。
塵埃を捕集する手段としては、例えば、フィルター(濾過部材)やサイクロン式集塵器の何れか一方又はその両方を使用する場合が多いが、これら手段に限定されない。
本発明で「寝具乾燥機」とは、寝具乾燥の機能がある電気機器をいう。
本発明で「寝具掃除機」とは、寝具掃除の機能がある電気機器をいう。
本発明で、寝具掃除機が、温風を寝具の表面に吹きかけて寝具の中の湿気を除去する機能も兼ね備えている場合には「兼用乾燥機」と呼ぶ。
寝具を綺麗にする運転のことは「寝具清掃専用」運転又は「寝具清掃専用モード」運転と呼ぶ。兼用乾燥機は、寝具清掃専用運転をした場合、寝具掃除機となり得る。
「環境情報」とは、寝具乾燥機や寝具掃除機を使用する空間(居室など)の雰囲気の温度情報と、塵埃飛散量情報、光量情報の3種類をいう。これらは、統合環境検知部9の「環境情報」とは異なった検出手段、センサーによって取得されるものである。
寝具乾燥機や寝具掃除機、兼用乾燥機で生成し、運転に利用する「塵埃飛散度情報」は、寝具乾燥又は寝具掃除のための運転の際に参考にするものであり、寝具の表面に堆積した所謂「ハウスダスト」の量を示したものである。「塵埃飛散度情報」は、寝具の乾燥効果、掃除効果を使用者に報知するためのものである。「塵埃飛散度情報」には、単位空気容積(例えば、1立方メートル)あたりの塵埃量計測結果のデータを、所定の基準で分類し、「綺麗」、「やや綺麗」、「汚れあり」等の清浄度(段階)を示す指標が用いられても良い。
寝具乾燥機や寝具掃除機、兼用乾燥機の「特定情報」とは、寝具の基本的な区別に有益な情報である。例えば、敷き布団100Aの、平面的な大きさを示すサイズデータやサイズの識別コード(例えば、「Sは、シングルサイズ」、「Wは、ダブルサイズ」等の区別)、当該布団の素材(内部が、羽毛か綿か、などの区別)、布団の表の生地の素材等の情報であるが、これに限定されない。なお、寝具の製造や販売業者が寝具を特定するために設けた固有の記号やコード(二次元コード、三次元コードを含む)も特定情報になり得る。
「寝具の硬さ情報」とは、「特定情報」の一種である。
本発明では、寝具の種類が異なると、その硬さが異なることに着目し、寝具の硬さのレベルから区別される情報である。例えば、芯となる中の素材が綿であるものを「綿布団」と定義し、ウレタンフォーム等の発泡成形で形成された素材を使ったものを「マット」と定義し、比較的厚さが薄い羊毛布団と毛布は「羊毛布団」、「毛布」という区分にしている。なお、これは1例であり、更に詳細な区分を設けても良い。また「その他」という区分を設け、これは使用者がその都度、マニュアルで寝具乾燥機や寝具掃除機、兼用乾燥機の制御装置に対して寝具の種類を特定する情報(名称、コード番号等を含む)をインプットするようにしても良い。また寝具の通気性は、硬い寝具程通気性が低いという前提条件から、寝具の硬さを識別することで、通気性を間接的に識別できる。また、布団の素材情報がない場合に、それを補完出来得る場合がある。
さらに寝具清掃(掃除)においては、寝具の硬さを識別することで、清掃対象となった寝具の表面と寝具掃除機の吸込口との対向間隔の大小が間接的に分かる。このため、対向間隔が大きい場合には、電動送風機の真空吸引力を増加させる等の調整に利用できる。つまり、寝具清掃時に塵埃を含んだ空気の導入能力を調整する制御にも利用できる。
本実施の形態1では、「環境情報の利用」とは、後述する各種の家電機器EEが、前記した環境情報を、その家電機器EEの効率的運転又は効果的運転又は環境に配慮した運転に利用することをいう。「環境情報の利用」には、以下のような例を含む。
(1)温度が高い場合、電気炊飯器の保温機能を炊飯工程の終了に連続して動作させる。
(2)湿度が高い場合、家電機器EEの1種である除湿機を動作させる。または換気扇を運転開始する。空気調和機3の運転条件(目標とする室温など)を変える。
(3)空中を浮遊するような微細な塵埃が飛散している場合、空気清浄機を動作させる。または換気扇を運転開始する。
(4)花粉飛散量が多い場合、空気清浄機の運転を開始する。
(5)比較的直径や長さが大きく、床に落下する土埃や衣類の埃等がある場合、寝具掃除機を運転開始させる。また寝具乾燥機を運転(特に、寝具専用運転モード)するときに、その運転条件設定の参考にする。
(6)光量(可視光線量)が少ない場合、照明器具4を点灯させる。
(7)騒音の情報の利用として、騒音がない状態から深夜などの静寂な時間帯と判断し、ブロワーモータの運転音や走行音が発生する寝具掃除機の運転や、洗濯乾燥用ドラムを回転させる電気モータの運転音が発生する洗濯乾燥機の運転を避ける。
(8)寝具乾燥機が、「寝具乾燥運転」の際に、その寝具のある居住空間HAの気温や湿度を参考にして、乾燥運転時間や温風の目標温度を自動的に調節する。
なお、気温と湿度の関係で、いわゆる「不快指数」を算出し、空気調和機3の運転を開始することも含む。
「寝具」とは、通気性を有するものであり、敷布団や掛け布団をいう。またベッドやマットレスパッドの上に就寝している場合には、そのベッドやマットレス、マットレスパッドも寝具の1種になり得る。また敷き布団の上に毛布を敷いて就寝している場合には、その毛布も寝具の一部になり得る。なお、マットレスとは、内部にスプリングや弾力性に富む発泡材等が内蔵されて、厚さが数cm〜20cm程度のものをいい、これより厚みが小さく、マットレスの上面を覆うように敷いて使用されるものは、マットレスパッドと呼んでいる。
寝具の使用時、寝具カバー(「シーツカバー」ともいう)を用いる場合が多い。寝具カバーは、ポリエステル100%素材や、綿100%素材、絹(シルク)100%素材の繊維で形成されたもの等多種あるが、敷き布団の上に寝具カバーを被せた状態で、その寝具カバーの上に直接寝具掃除機、寝具乾燥機20を自力で走行させることも想定して以下説明する。
寝具カバーは薄い布であるため、後述する寝具識別手段59では、そのような寝具カバーを被せた状態であっても、敷き布団の硬さを識別できるものである。
さらにまた本実施の形態1では、環境情報の利用により、以下のように居住者の利便性が向上する。
(1)居住環境を良くするために家電機器EEの使用について、アドバイス情報が出る(例えば、換気扇や空気清浄機など)。このアドバイス情報により、居住者の利便性、快適性が確保される。
(2)現在、運転中の家電機器EEが分かる。
(3)離れた居住空間の人の存在・不存在が分かる。
(4)高い温度で、かつ湿度も高い、快適ではない居住空間が分かる。
(5)室内運動をする際に、運動に不向きな居住空間が分かる。
(6)統合管理装置5から、警報を出すために、室温の上限値を設定しておけば、その設定値を超えた部屋があることを知ることが分かり、離れた部屋の環境も知ることができる。
また居住空間内の空気に良い影響を与え、改善することができる家電機器EEを「第1の特定家電機器」(「環境改善機器」)SP1という場合がある。室内空間の快適性を維持、向上させるために、暖房用の熱を発生する電気ヒータ式ストーブや空気調和機3は環境改善機器SP1の1種である。また、寝具乾燥機も、この環境改善機器SP1の1種である。
一方、室内空間の快適性維持・向上が本来の目的ではなく、室内空間に熱を与えてしまう電熱加熱調理器等のような家電機器EEを「第2の特定家電機器SP2」という場合がある。
さらにまた、複数の家電機器EEの中で、電力削減要請信号AS2や電力削減指令信号AS3を受信するものを「第1の家電機器」いう場合がある。またその第1の家電機器と区別するために別の家電機器を「第2の家電機器」という場合がある。
「環境改善機器」SP1とは、居住空間内の空気の温度、湿度、質を改善する効果のあるものをいう。空気の質を向上させると有害物質や塵埃の含有量が少なく、清浄な空気となる。
本発明の実施の形態1でいう「睡眠判定部」23とは、睡眠センサー24から、生体情報を受信して睡眠状態を判定する機能を発揮する手段をいう。この生体情報とは、例えば居住者の就寝時(就床時)の生体の心拍、呼吸数、血圧、および体動の時間変化を示す情報であるが、これらに限定されない。
各種の睡眠検知手段や睡眠状態の判定技術が既に提案されており、例えば日本国特許公開2007−199025号公報には、睡眠センサー付き身体装着装置及び睡眠報知制御方法が提案されている。また日本国特許公開2014−73237号公報には、対象者の呼吸から睡眠状態を推定する睡眠モニタリングシステムが提案されている。日本国特許公開2014−70766号公報には、脚を具備するベッドと、脚に設置され脚に掛かる荷重を検出する荷重計と、寝室を空調する空調機と、荷重計にて検出された荷重の変動に基づき使用者の睡眠状態を判定して使用者の睡眠状態に基づきエアコンの設定温度を決定する温度決定部と、寝室の温度が温度決定部によって決定され設定温度になるようにエアコンを制御する制御基板と、を備える睡眠環境制御システムが提案されている。日本国特許公開2014−42773号公報では、浅い睡眠から深い睡眠へと遷移する際に最適な制御を行い、利用者に違和感を与えることなく浅い睡眠から深い睡眠へと誘導することができる睡眠環境温度制御装置が提案されている。その他として日本国特許公開2013−213642号公報では、就寝者に快適な睡眠環境を提供可能な室内環境制御システムが提案されている。
本発明の実施の形態1でいう睡眠判定部には、上記したような各種方式、構成の技術が適用できる。
本実施の形態1では、「在宅検知部」22(「在宅検知手段」ともいう)とは、以下のような手段を含むが、以下の実施の形態の説明では全ての手段については詳しく説明せず、代表的な手段についてのみ詳しく説明する。
(1)住宅の入口(玄関)の外側に設置された電子錠42とその電子錠42に入力された暗証番号や生体情報(例えば指紋情報)とから、居住者が帰宅したことを検知する手段。
(2)居住者が保持している固有の身分証やIDカード等に記録された個人特定情報を、磁気的又は光学的手段で、あるいは近距離通信やその他通信手段で電力指令装置5に直接読み込ませ、その読み込ませた情報を解読してその本人が在宅していると判定する手段。
(3)居住者が保持している携帯用電話等の情報通信端末機器25等に記録された個人特定情報を、近距離通信やその他通信手段で直接電力指令装置5に読み込ませ、その読み込ませた情報を解読してその本人が在宅していると判定する手段。
(4)個人が固有している身分証やIDカード等の情報通信端末機器25等に記録された個人特定情報を特定の家電機器EEに読み込ませ、又は個人だけが知っているID番号やパスワードを家電機器EEに読み込ませたり入力キーによって入力させたりして、その個人特定情報やパスワードを電力指令装置5側にて解読して読み込ませた本人が在宅していると判定する手段。
本実施の形態1では、「居住者」とは、後述する1つの家屋に居住する者をいう。居住者には、血縁関係にある親子、兄弟、姉妹等が含まれる。また居住者には、後述する居住空間HAに所定期間だけ臨時で宿泊する訪問者や、生活を共にするその他の者も含まれる。また居住者には、1つ又は複数の居住空間を1人又は数人で借用している者も含む。なお、寝具乾燥機やその他家電機器EEを使用した場合には、居住者を「使用者」と呼び、また睡眠時間、睡眠時間帯を計測する場合には、その対象者を「睡眠者」と呼ぶ場合がある。
本実施の形態1では、「家庭」とは、特定の管理者が管理する1つの家屋を意味しており、複数の部屋があり、複数の家族が入居している集合住宅も含む場合がある。すなわち、そのような集合住宅でも、1つの家屋の場合と同様に商用電力の上限が1つの電力遮断機器(1つのブレーカーBK、あるいは複数の電力遮断器等)で、一元的に管理されている場合は、ここでいう家庭とみなす。
本実施の形態1において、後述する統合管理装置(「電力指令装置」ともいう)5の「動作情報」とは、1つの家庭に設定されている上限の総電力量を示す情報、現在使用している使用電力量を示す情報、総電力量と現在使用中の総電力量との差を表す情報、当該電力指令装置5が制御対象にしている家電機器EEを具体的に特定する名称等の情報、当該家電機器EEの使用状態を示した情報、各家電機器EEで使用されている電力量の情報(例えば1分間の平均電力量)等をいうが、これらに限定されるものではない。
本実施の形態1において、後述する寝具乾燥機や寝具掃除機、兼用乾燥機(統一符号は20)の「記憶装置」(記憶部)とは、特に明記ない限り、制御装置33の記憶部33RとNFC記憶部31の一方又は両方をいうものとする。
兼用乾燥機(寝具乾燥機・寝具掃除機)20の運転時に、制御装置33が実行する各種プログラム、並びに各種プログラムを実行する際に使用及び作成される各種データ等は、主に記憶部33Rに記憶されている。また記憶部33Rは、例えば、ROM、フラッシュメモリ又はHDD等の不揮発性記憶装置及び作業領域を構成するRAM等の揮発性記憶装置から構成されている。
本実施の形態1において、「家電機器側の電力制限情報」とは、電力指令装置5から家電機器EEが受けた、電力消費量に関する何らかの信号に関する情報をいう。この「家電機器側の電力制限情報」とは、後述する電力削減要請信号AS2、電力削減指令信号AS3等のような送信指令に関する情報を含んだものをいう。それら情報には、その信号の受信時期(年月と秒単位の時刻)と信号の意味を示す情報が含まれる。例えば、誘導加熱調理器に対するある時点の電力削減指令信号AS3についての「受信時刻:2015年4月1日 17時00秒 瞬間最大消費電力量を2%下げ」のような情報である。なお、この家電機器EE側の電力制限情報は、例えば誘導加熱調理器では、その制御装置の記憶装置の中に時系列で記憶されており、主電源をON又はOFFしても消えない。主電源をONし、OFFしたことを1回の調理と考えて、少なくとも数回分は記憶保持されるようになっている。それを超えた分が順次自動的に消去される。
本実施の形態1において、「家電機器側の位置情報」とは、居住空間HAの中のどの部屋に、家電機器が存在しているのかを示す情報(コード)である。この「家電機器側の位置情報」は、例えば居間はコード001、キッチンはコード002、寝室は003、のように事前に電力指令装置5の制御部36によってルール化されている。当該位置情報は、家電機器EEを使用して電力指令装置5の(電力)制御対象になる場合には、その家電機器EEの識別情報とともに電力指令装置5に登録される。なお、寝具乾燥機や寝具掃除機、兼用乾燥機のように、電力指令装置5の(電力)制御対象ではない家電機器EEであっても、その設置位置、使用場所を示す最新の位置情報を発信させても良い。この実施の形態1における兼用乾燥機20では、少なくとも乾燥運転の都度、その運転の位置情報を統合管理装置5に対して発信するようになっている。
キッチンの厨房家具の中に設置されて使用されるビルト・イン式の誘導加熱調理器や、壁に固定して使用される空気調和機3のように、最初の設置位置が変化しない(非可搬式)家電機器EEの場合は、そのまま永続的に位置情報を利用できる。
しかしながら、自走式電気掃除機や本実施の形態の兼用乾燥機20のように、使用者が任意の場所に持ち運び容易な(可搬式)家電機器EEの場合には、その最新の位置が、電力指令装置(統合管理装置)5と例えば無線通信を行った場合に電力指令装置5によって割り出される。ある居住空間に兼用乾燥機20が存在することを電力指令装置(統合管理装置)5が割り出した場合には、その時の、その居住空間の識別コードが、その兼用乾燥機20の乾燥運転のデータ(例えば、運転開始時刻と終了時刻)と対になって、統合管理装置5の制御部36の記憶部(後述する第2の記憶部)36Bに記憶されるようになっている。言い換えると、その後に別の居住空間において、その兼用乾燥機20を再度運転すると、別の居住空間の識別コードが付されて制御部36の記憶部36Bに記憶される。
電力指令装置5と電気的接続又は通信セッションが確立した家電機器について、その位置を電力指令装置5側から特定する技術は色々提案されている。
例えば最近のものでは、日本国特許公開2014−79036号公報には、新規に導入した家電機器と電源タップとの関係情報を管理するために、従来では家電機器の使用者が手動で情報を手動登録しなければならないという課題があったことを解決するための技術が提案されている。この従来技術では、電源タップに家電機器を接続した際、電源タップからは機器接続検知イベント通知を、また家電機器からは起動完了イベント通知を行い、2つの通知を受信した家電機器(情報家電)管理装置は、どの家電機器の電源コードの電源プラグが、接続口に挿されたかの候補情報をテーブルに登録する。その後、家電機器管理装置より電源タップに対し、該当接続口に対する電源OFF指示を行い、相関関係を仮定した家電機器との通信状態をモニタする。電源OFF指示の結果、相関関係を仮定した家電機器との通信が切れた場合には、再度、該当接続口に対する電源ON指示を行うとともに、仮定した相関関係が正しいものとして家電機器、及び接続口の登録を行う。これにより、家電機器管理装置では、人手を介さずに自動的に接続口と家電機器との正しい接続関係を検知し、自動登録処理を行うことが可能となる。つまり、接続口を把握することで、家電機器の使用される場所の特定が可能となる。
この実施の形態1の説明では、兼用乾燥機20やその他個々の可搬性家電機器の最新の位置を把握する手段についての詳細な説明は省略する。なお、電源タップからは機器接続検知イベント情報を送信せず、家電機器EE自体から機器接続検知イベント情報を送信しても良い。
(全体構成)
図1は、本実施形態1の兼用乾燥機20を使用した1つの家屋の例を示している。図1において、HA1は1つの家屋の居住空間(寝室)を示す。HA2は前記居住空間HA1と壁SBで仕切られた隣の居住空間(キッチン)を示す。なお、居住空間を総称する場合にはHAを符号として使用する。なお、居住空間には、この図1には示していないが、そのほかに「居間」や「浴室」等、またトイレのある部屋も含まれる。居住空間には、これ以外の部屋があっても良い。
全ての居住空間HAには、家屋の外部にある電力会社の商用電源EPから例えば200Vの電力が供給されている。その電力は、電力量計136を介して家屋の内部に引き込まれている。1は、電圧が200Vの商用電源EPにブレーカーBKを介して接続された電源線(主幹線)である。この電源線1には、各種放送受信できるテレビジョンの受像機(以下、「TV受像機」という)2、空気調和機3、照明器具4A及び4B、台所用電気機器(以下、「キッチン内家電機器」という)KPがそれぞれ接続されている。なお、図1においては、TV受像機2、空気調和機3、キッチン内家電機器KPは、それぞれ1つしか示されていないが、複数個あっても良い。また照明器具も4A、4Bの2つだけではないが、他のものは図示を省略している。
5はブレーカーBKを介して電力が供給される電力指令装置(統合管理装置を兼ねている)である。電力指令装置5は、居住空間HA2(キッチン)の壁面等のように、家族が容易に接近できる場所に壁掛け状態で設置されているか、又は床面の上に置いてある。なお、その他の家電機器EEとして、食器洗い乾燥機(図示せず)や自動洗濯衣類乾燥機(図示せず)等も複数あるが、これらは後で説明する。この電力指令装置5は、1つの家庭の総電力使用量を制限するものである。電力指令装置5は、1つの家庭では、その内部にある家電機器EEの全部又は主要なものに対して電力供給を遮断し、またはその電力供給量の上限値を制限する等の動作を行う。
図1において、ADは、前記した「電源タップ」である。なお、この実施の形態1では、居住空間の各家電機器EE自体から、設置されている居住空間HAを示す位置情報、部屋情報等の識別コードを統合管理装置5に対して送信するため、この電源タップは省略しても良い。
この実施の形態1では兼用乾燥機20は、家庭の総電力使用量を制限する目的で電力指令装置5によって電力供給を遮断されず、また電力供給量の上限値を制限されない。言い換えると、電力指令装置5からの指令信号で兼用乾燥機20の通電が開始される場合はあっても、電力削減要請信号AS2や電力削減指令信号AS3に応じて兼用乾燥機20への供給電力が低下又は遮断されるような動作はしない。
図1において、SLは居住空間HAの天井を構成する壁面を示す。6は、居住空間HA2の室内の気温と湿度を検出する複合センサー(温度・湿度センサー)であり、環境センサーの1種である。7は、居住空間HA1の室内気温と室内湿度を検出する温度・湿度センサーであり、環境センサーの1種である。8は、家屋の外部空間に設置された温度センサーであり、環境センサーの1種である。
前記複合センサー6、温度センサー8、温度・湿度センサー7は、測定された温度や湿度を無線又は電気信号で後述する電力指令装置5の統合環境検知部9に送信する機能を有している。またこれら環境センサーの電源は充電された電池でも良いし、電源線1からの電力でも良い。またこれらセンサーは、その消費電力は1W(ワット)程度の小さいものであるため、電源線1からの電力で運転する場合でも、電力指令装置5の電力制限対象にはしていない。これら環境センサーは、所定のタイミングで電力指令装置5へ計測データを継続的に送信している。例えば、空気調和機3のある居住空間(寝室)HA1においては、10分間隔で、またキッチンでは5分間隔で気温と湿度が計測されている。
図示していないが、上記したものの他に、環境センサーの1種として、空気中の花粉の飛散量を測定する花粉センサーと、空気中の単位容積あたりの塵埃量を測定する塵埃センサーと、室内の騒音の大きさを検知する騒音センサーと、室内の明るさを検知する照度センサーとが、各居住空間内のそれぞれ適当な位置に設けてある。また前記温度・湿度センサー7の他に、室外又は家屋の外部の気温と湿度とを検知する温度センサーや湿度センサーを設けても良い。花粉センサーは、室内だけではなく室外(例えば家屋の外壁表面や窓の外枠、ベランダ、屋上等)にも設置しても良い。なお、この統合環境検知部9自体は電力指令装置5の本体5Aに内蔵している前提で図3に記載している。統合環境検知部9が、この本体5Aと離れた場所、あるいは別の居住空間に設置され、その本体5Aと無線又は有線で接続されている場合も、「統合環境検知部9は電力指令装置5に備えている」と定義している。
図1において、10は、人間が自然に発する赤外線を検知して居住空間HA1の中に人間が居るかどうかを検知できる人感知センサーである。11は、同じく人間が自然に発する赤外線を検知して居住空間HA2の中に人間が居るかどうかを検知できる人感知センサーである。なお、この他の居住空間HAにもこのような人感知センサーを設置しても良い。
人感知センサー10、11は、人が居るかどうかを検出した結果を、電力指令装置5の本体5Aに内蔵された人感知部12に対し、無線又は電気信号で送信する機能を有している。また人感知センサー10、11の電源には、事前に充電された電池が使用されても良いし、電源線1から分岐して供給される電力を使用しても良い。またこれらセンサーは、その消費電力は1W〜数W程度の小さいものであるため、前記電源線1からの電力で運転する場合でも、電力指令装置5の電力制限対象にはしていない。これらセンサーは、所定のタイミング(例えば10秒毎)で電力指令装置5へ計測データを継続的に送信している。なお、人感知センサー10、11は、赤外線式だけに限定されず、他の方式、例えば超音波方式のものを採用しても良い。
引き続いて図1を説明する。13は、前記TV受像機2のチューナ(図示せず)に接続されている屋外アンテナである。14Aは、電力指令装置5に接続されたルーターAである。このルーターAは、特定の地域の家庭の電力指令装置5に対して、有益な情報を発信する特定地域の地震情報提供機関や電力会社等の外部機関15Aにインターネット等の広域通信回路網(「通信ネットワーク」又は「インターネット」と称する場合がある)16を介して接続している。
14Bは、前記TV受像機2に接続されたルーターBである。このルーターBは、TV受像機2を、広域通信回路網16を介して外部機関15Bに接続している。この外部機関15Bは、例えば放送番組を提供する放送局や、医療・健康管理情報・運動計測(運動管理)情報を提供する公的機関や民間会社等であるが、これら以外であっても良い。前記2つの外部機関15A、15Bは別々のものであっても良く、また同じ機関であっても良い。
運動計測情報を提供する民間会社等とは、例えば、本格的なトレーニングプログラムを希望者へ提供し、また当該希望者が実施した各種運動(歩行、走行、ダンスやヨガ等)のデータや、それら運動した人の体組成バランス(例えば、体脂肪の率)や活動消費カロリー等の各種データを管理する組織をいう。怪我や病気で運動機能が低下した人に対し、その運動機能の改善を目的としたリハビリ情報を提供する機関も含まれている。
図1において、20は兼用乾燥機であり、例えば、居住空間HA1の中に置いて使用される。44は、後述するベッド等の家具であり、後述する敷き布団100A等の寝具100を載せてある。
次に図2を参照しながら、この家庭の外部の通信環境を説明する。なお、この実施の形態1の電力指令装置5は、ルーターA14Aを介して外部機関15Aに通信ネットワークで接続されているが、ルーターA14Aには一般にホーム・ゲートウエイと呼ばれる機器を使用しても良い。この場合のホーム・ゲートウエイとは、インターネット接続やデジタル放送、IP電話などの各種デジタル情報メディアと、電力指令装置5やデジタル家電機器などの端末との間に設置される家庭内用機器をいう。ホーム・ゲートウエイは、電力指令装置5等をネットワーク化して制御したり、通信・放送メディアから受け取った情報をそれら電力指令装置5やデジタル家電機器に伝達したりする役割を担うものである。一般的に、常時接続型のブロードバンド・サービスで、インターネット接続に加えてIP電話やコンテンツ配信サービスを提供している際に、事業者がこのような家庭の居住者(使用者)に貸し出すルーターを「ホーム・ゲートウエイ」と称する場合が多い。
電力指令装置5は、図1では広域通信回路網16を介して外部機関15Aに接続されていた。実際にはこの図2に示すように、広域通信回路網16は、16Aと16Bの2つ又はそれ以上から構成されている。電力指令装置5は、中継サーバー26と、それぞれの広域通信回路網16A、16Bを介して外部機関15AのASP(「アプリケーション・サービス・プロバイダー」のことをいう)サーバー27にアクセスする。このASPサーバー27には、後述するように各種データベースが設けられており、多数の住宅に対応して後述する各種情報を記憶するように構成されている。つまり、このASPサーバー27は、情報サーバーとしての機能を保有するので、以後、情報サーバー27と呼ぶ。
情報サーバー27は、各種の家電機器EEの主に制御手段及び情報提供手段として機能するものである。情報サーバー27は、家電機器EEの製造業者(メーカ)、販売業者、修理業者、あるいは情報サービス提供業者等の組織が、単独で、又は2つ以上の組織が共同で設置しており、家電機器EEに関する各種サービスを、広域通信回路網16を介して利用者に提供するものである。なお、情報サーバーは、外部機関15の1種でもあるため、符合15Cを併記している。
情報サーバー27には、このサーバーのホストコンピュータとして機能する中央演算処理装置27CPと、広域通信回路網16に接続されて情報の授受を行う通信手段である通信部27IFと、家電機器EEのアプリケーション・ソフトウェアを記憶し、また改善ソフトウェアを蓄積している改善ソフトウェア(対策プログラム)提供部27Sと、家電機器EEの使用者を特定する利用者特定用データベース(「使用者情報データベース」ともいう)27Uと、家電機器EEの製造業者(メーカ)が提供した技術情報を蓄積したメーカ側情報データベース27Mと、後述する汚れ状態の判定のための判定部27Hと、がそれぞれ設けられている。
情報サーバー27の判定部27Hには、情報通信端末機器25から広域通信回路網16を介して送信されてくる寝具の撮影データから、寝具の汚れ状態を分析(推定)する機能がある。この分析結果は、例えば「汚れ 10%」のように出力される。なお、この分析結果は、このような絶対値での出力ではなく、例えば汚れの程度が少ない最低レベルを「−5」とし、最も汚れの度合いが大きい最上位レベルを「+5」にして、合計11段階に区分されたものでも良い。このような二次的な評価値に変換したものも、この実施の形態1では「汚れ判定データ」と呼ぶ。
情報サーバー27は、一般に「Webサーバー」(以下「ウェブサーバー」という)と呼ばれているもので良い。ウェブサーバーは、HTTP(HTML文書や画像などのデータをWebサーバーとWebブラウザ間でやり取りするために使われるプロトコル)に則り、各種情報通信端末機器25、各家庭等にあり情報通信機能を備えた電力指令装置5、あるいはその他パーソナル・コンピュータ等のような、「情報を受け取る側」の情報処理機器(クライアント)側ソフトウェアのウェブ・ブラウザに対して、HTMLやオブジェクト(画像など)の表示情報を提供するサービスプログラム及び、そのサービスが動作するサーバーコンピュータを指す。なお、ウェブ・ブラウザは、「インターネットブラウザ」、又は「WWWブラウザ」ともいい、「World Wide Web」の利用に供するブラウザである。
利用者特定用データベース27Uには、利用者からの、所謂ユーザー登録により受け付けた情報として例えば情報サーバー27へのログインIDやパスワードなどの利用者固有情報、ルーターA14Aのネットワークアドレス(MACアドレス)などの設定情報、特定の家電機器EEのネットワークアドレスや種類、型名といった固有の情報(前記した「識別情報」を含む)が記憶されている。つまり、家電機器EEの使用者情報を、検索可能な状態で蓄積する機能を備えている。
またアプリケーションデータベース27Bには、居住空間の外部、例えば居住者の勤務先や外出先等の遠隔地から、電力指令装置5又は家電機器EEを遠隔制御することができるようにした制御用アプリケーション・ソフトウェアが格納・記憶されている。後述する情報通信端末機器25、例えばスマートフォンと呼ばれている機器から情報サーバー27にアクセスして制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロード(読み込み)することにより、前記した遠隔制御を実現することができる。
情報サーバー27には、家電機器EEの特定の機種モデルに対応して、家電機器EEの動作プログラムの内容を改善した「改善ソフトウェア」が保管してある。それを電力指令装置5が広域通信回路網16を介して入手した場合、当該改善ソフトウェアは、電力指令装置5の入出力部30B(図3参照)を介して電力指令装置5から家電機器EE側へ提供される。なお、ここでいう「改善ソフトウェア」は、「対策ソフトウェア」と同じである。改善ソフトウェアは、1回作成されるだけではなく、必要に応じ、さらに改善したバージョン・アップ版が用意される場合がある。
(寝具の汚れ判定部)
情報サーバー27は、寝具の表面の汚れの状態を判定する判定部27Hを備えている。ここでいう汚れの判定とは、敷き布団等の寝具の表面に掛かった尿や、唾液、嘔吐物、排泄物等のような有機物質に存在するリンを検出するために、リンに対応して蛍光性の光を放つような紫外線を寝具の表面に放射して、そのような有機物質の存在を検出することをいう。例えば、波長が375〜400nm(ナノメートル)の紫外線を発光するLED素子(「光源部」又は「発光部」という)で紫外線を寝具の表面に照射し、その照射された寝具表面をCCD素子等からなる撮影部で撮影した結果を、画像分析して判定される。そのような汚れが使用者の肉眼では見えない場合でも、その汚れの存在が判定できる。なお、上記のような発光部は、一般に「ブラックライト」と呼ばれている。
この実施の形態1でいう情報通信端末機器25とは、使用者が気軽に携帯して屋内や屋外、その他外出先等で通話やデータ(メール情報を含む)の通信を行える携帯用通信機器のことである。広域通信回路網16を介して屋外の情報提供サイトから情報をダウンロードしたり、メールを送信・受信したり、遠隔操作信号を発信できる機器であるが、通話できない機器でも良く、そのような携帯用通信機器を総称して情報通信端末機器25と呼んでいる。なお、小型の携帯用パーソナル・コンピュータも情報通信端末機器25の一種である。
本実施の形態1における情報通信端末機器25は、各家電機器EEの入出力部に数センチメートル程度接近(又は接触させても良い)した状態で、近距離通信で信号の授受をする機能を備えている。なお、この近距離通信とは、Near Field Communication(略称:NFC)として知られている無線通信の国際規格技術のことである。
このNFCの通信では、兼用乾燥機20を含む家電機器EE側に、いわゆる無線タグ(NFCタグ)が埋め込まれている。当該NFCタグは、NFC用の通信制御IC(以下、「NFC制御回路」という)28(図7参照)と、この制御回路に接続されていて、外部から所定の周波数の無線を受けると前記制御回路のための電力が発生するアンテナ29と、前記NFC制御回路に接続されているマイクロチップメモリー(以下、「NFC記憶部」31という)とから構成されている(図7参照)。
一方、情報通信端末機器25側では、そのNFCタグを介して家電機器EEのNFC記憶部31からデータを読み取る(ステータス情報を取得する)ことができる。さらには、情報通信端末機器25側から制御データ(「制御コマンド」ともいう)を家電機器EEのNFC記憶部31へ送り、家電機器EEの制御装置33(「ホストコンピューター」ともいう)が、NFC記憶部31に記憶された制御コマンドに従って制御動作することもできる(このような形式のNFCタグを、「アクティブ・タグ」と呼ぶ場合がある)。
この実施の形態1のNFCは、家電機器EEの内部記憶装置にある情報を、情報通信端末機器25側で読み出す機能(このような機能のNFCタグを、「単純タグ」と呼ぶ場合がある)だけではなく、家電機器EE側の動作も情報通信端末機器25からの制御コマンドによって起動できる機能まで保有している。つまり、情報通信端末機器25は、家電機器EEからの各種情報の読み出しだけではなく、NFC記憶部31への書き込み機能を有しており、リーダーとライターの2つの機能を保有している。なお、NFCの利点は、一般的には通信で交換できるデータの形式を制限しておらず、テキストデータは勿論、動画やXMLデータ等を交換できる点にあると言われている。
図2において、35は基地局である。基地局35は、居住者HMが所有している情報通信端末機器25が、図2に示すように離れた場所にある施設34の場所で使用された場合に、情報通信端末機器25との間で通信を行う。
図2において、広域通信回路網16Bには、中継サーバー26、広域通信回路網16Aを介して情報通信端末機器25の基地局35が接続されている。情報通信端末機器25は、基地局35を介して情報サーバー27やルーターA14Aにアクセスすることができるようになっている。つまり、この家庭の居住者HMが所有している情報通信端末機器25を、図2に示すように離れた場所にある勤務先の施設34から広域通信回路網16Aに接続すれば、情報サーバー27にアクセスすることができ、電力指令装置(統合管理装置)5又は電気機器EEの制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロードすることにより、家庭から離れた施設34から、電気機器EEを遠隔制御することができる。
この実施の形態1においては、情報通信端末機器25から兼用乾燥機20を含む家電機器EE側に対する直接的な遠隔操作はできないようにしてある。家電機器EEの中には、電熱調理器等のように高熱を発するもの(第2の特定家電機器SP2)もあるため、家屋の外から多くの人が利用する通信回路を経由して遠隔操作することは採用していない。その代わり、電力指令装置5を経由して全ての家電機器EEの操作が可能となるようにしている。なお、家屋の内部では、情報通信端末機器25は、リモコン機能を備え、TV受像機2のみを操作できるように制限してある。また兼用乾燥機20に対しては近距離通信(NFC)によって運転条件やその他情報(例えば、睡眠時間)を入力することができる。遠隔制御の内容は後で詳しく説明する。
図3は、本実施形態1の兼用乾燥機20が無線通信で接続された電力指令装置5や、その他各種家電機器EE等のハードウエアの構成例を示したブロック図である。この図3において、5Aは、前記電力指令装置5の本体で、外形は箱形状をしている。この本体5Aの内部には、1つの家庭で使用できる電力使用限度の設定器(図示せず)、家電機器EEの消費電力値と電力上限値(家庭内で使用できる総電力)との差を判定する比較器(図示せず)、強制的に電力を削減する場合に削減すべき家電機器の優先順位の設定手段(図示せず)、電力制御部47及びこれら各構成要素を制御する中央制御部36が全て格納されている。
図3において、23Mは、寝具100の近くに置いて使用される睡眠判定部23の本体である。この本体23Mは、本体5Aの内部にあり、1つ又は複数の睡眠センサー24から、無線通信によって計測データを含んだ信号を受信できるように接続してある。
睡眠センサー24は、例えば、居住者の体(脚や指を含む)の一部に装着され、血圧や心拍、体温等を計測するようになっている。なお、睡眠センサー24は、生体から直接体温データ等を取得することに代えて、非接触で計測するセンサーであっても良い。さらに、睡眠判定部23に近距離無線通信機能を備えることにより、後述する近距離無線通信機能(NFC機能)を備えた情報通信端末機器25から、近距離無線通信によって直接睡眠に関する生体データを受信できるようにしても良い。
図3において、37は、電力指令装置5の本体5Aの正面に設けた表示盤、37Aは、その表示盤37の表示画面である。38は本体5Aに内蔵された記憶装置(大容量メモリー)で、例えばDVD記録装置や各種半導体メモリー、又はハードディスクドライブ装置(HDD)等である。また、表示盤37の表面は、例えばタッチ式パネルで構成されている。表示盤37は、電力制御や居住空間HAの気温や湿度等の環境関係の情報を表示する表示部としての機能と、画面に触れることにより使用者からの入力が行われる操作入力部39としての機能とを有している。この操作入力部39を操作することにより、電力指令装置5における前記した使用限度設定器の上限電力値や電力削減すべき家電機器の(電力供給)優先順位の設定が行える。また表示盤37の操作入力部39で、家電機器EEの運転条件(例えば運転開始時刻や停止時刻、加熱や冷却、乾燥等の能力設定など)の設定も行える。この操作入力部39で入力した情報は、家電機器EE側に対して、運転指令信号としてその都度送信される。つまり、遠隔操作信号を家電機器EEへ送信できる。
図3において、30A、30B、30Cは、無線通信を行うための入出力部である。1つの入出力部30Aは、各種の家電機器EEと無線通信を行うためのものである。入出力部30Bは、ルーターA14Aと無線通信を行うためのものである。30Cは、TV受像機2と無線通信を行うためのものである。なお、各家電機器EEには、通信機能を内蔵させずに、(図3には図示していないが)通信用アダプター135を各家電機器EEと入出力部30Aとの間に1つずつ設置(介在)させても良い。そのような通信用アダプター135は、IEEEにより策定された、広く普及している無線LAN関連規格の一つである「国際標準規格IEEE 802.11b」で定める2.4GHzのISM帯と呼ばれる周波数帯域を利用するものである。なお、通信用アダプター135と前記した電源タップADとを一体化して、家電機器EEの電源側に1つずつ設置しても良い。
図3において、40は、NFCのための無線入出力部である。これは、情報通信端末機器25の無線通信部41(「無線入出力部」ともいう)(図4参照)が所定の距離(約10センチメートル)まで接近した場合に、情報の授受が行える通信確立状態となり(1つの通信セッションの開始となる)、情報の授受を行うための入出力部となる。
無線入出力部40は、電力指令装置5における表示盤37の操作入力部39の直ぐ近くの下方に、常時「NFC」の文字を表示して設けてある。これにより、無線入出力部40の設置位置が明確になるようにしてある。
TV受像機2は、外部機関15Bから緊急的な情報、例えば夏場の日中において、この家庭の総電力量の上限値を早急に下げる動作(いわゆる「ピークカット対応」)をして欲しいという要請情報が届いた場合、あるいは緊急地震情報が気象庁や居住地域を担当する地域の防災センターや地震警報センター等から届いた場合等に、それら情報をこの居住空間HAにいる居住者に早期に知らせることができる。なお、TV受像機2を視聴していない場合であっても、緊急遮断情報が発信された場合、当該情報で起動され、情報を報知するようにしたTV受像機は従来から色々提案されているので、ここでは具体的な説明を省略する。
電力指令装置5の電力関連情報、例えばその時点における家庭内の総電力使用量や、外部から電力削減要請を受けていることを示す情報等は、電力指令装置5の表示画面37Aではなく、居住者が集まっている居間等の居住空間に設置されているTV受像機2で表示させることができる。
36は、前記したように、3つの無線通信用の入出力部30A〜30Cや、表示画面37Aを集中的に制御する(中央)制御部である。また前記電力制御部47は、その制御部36からの指令を受けて、家電機器EEに対して、電力削減要請信号AS2、電力削減指令信号AS3の送信を指令する。兼用乾燥機20は、「第1の家電機器」ではないので、電力指令装置5の入出力部30Aから前記電力削減要請信号AS2、電力削減指令信号AS3を受信することはない。
制御部36には、電力制御関係で専用の「第1の記憶部」となる第1のメモリー36A(図示せず)が保有されている。「第1の記憶部」となる第1のメモリー36Aには、ブレーカーBKに設定された総電力量上限値の情報や、各種の家電機器EEの消費電力量を制限するための電力量上限値のデータ、さらには居住者毎に設定された電力上限値等の情報が、それぞれ記憶されている。
また制御部36には、兼用乾燥機20専用の「第2の記憶部」となる第2のメモリー36Bが保有されている。「第2の記憶部」となる第2のメモリー36Bには、睡眠判定部23によって取得された睡眠時間、時刻等の各種データやその解析結果の情報が、それを実際に取得した日付や時刻等の詳細情報と対になって時系列に記憶されている。
さらに、この第2の記憶部36Bには、兼用乾燥機20の運転中において、それが使用された居住空間における環境情報又は環境データ(例えば、気温、湿度)が、その乾燥運転時間と対になって時系列で記録される。例えば、乾燥運転開始時刻が22時10分であった場合、それから2分ごとに統合環境検知部9によって取得された気温と湿度の環境データが、その時刻情報と共に順次記憶され、乾燥運転時間(例えば60分間)の平均の気温と湿度が制御部36によって算出できるようになっている。
図3において、9は前記した統合環境検知部である。この統合環境検知部9は、環境センサー6、7、8で測定された温度や湿度の情報を受け取る。12は、人感知センサー10、11の人感知情報を受け取る人感知部である。
統合環境検知部9には、各居住空間HAの中にそれぞれ設置された照度センサー(図示せず)が接続される。その照度センサーは、居住空間が明るいか暗いかを見分けるためのものである。例えば人感知部12が、ある居住空間HAに人がいないと判断している状況で、照度センサーが明るい状態であることを示している場合、居住者が照明器具4を点灯したままの状態であることを忘れている可能性が考えられる。そこでこのような場合は、電力指令装置5の制御部36は、その時点での総電力使用量が使用限度設定器で設定された上限値よりも十分に余裕のある少ない量であったとしても、電気エネルギーの無駄を無くすという観点から照明器具4の消灯を使用者に(表示画面37AやTV受像機2の表示画面を通じて)勧告する。その後、電力指令装置5の制御部36は消灯指令信号を当該照明器具4に発する(但し、当該照明器具4を電力指令装置5の電力削減対象機器になるように、接続しておくことが必要)。
図3において、22は在宅検知手段(「在宅検知部」ともいう)であり、人感知部12からの人の存在を検知しているかどうかの検知信号を受ける構成になっている。
また居住空間HAの共通した出入口である玄関(図示せず)の外側には、電子錠42が設置されている。その電子錠42に入力された暗証番号や生体情報(例えば指紋情報)に基づいて、居住者が帰宅したことを検知する個人認証手段(図示せず)を備えている。この個人認証手段では居住者からのパスワードの入力に基づいて、居住者であるかどうかが判定されるが、その判定結果は在宅検知手段22に送信される構成になっている。なお、居住者が携行する情報通信端末機器25との情報授受によって、居住者の個人認証を行うようにしても良い。
玄関のドアを電子的にロックしている電子錠42と個人認証手段については、既に多くの構成例が提案されているので詳しく説明しない。本実施の形態1においては、各居住者(例えば居住者HMが4人居る場合、居住者A、居住者B、居住者C、居住者)にそれぞれ固有のパスワードが割り当てられている。全ての居住者には「4桁の(共通の)数字の後に、個人別数字2文字」というルールでパスワードを決めるように指示されている。居住者Aのパスワードは「123401」、居住者Bのパスワードは「123402」、居住者Aのパスワードは「123403」となっている。なお、このパスワードは、玄関ドアの電子錠42の所に設置してある10個の入力キー(テン・キー)で入力する。
前記したパスワード入力をして居住空間の中に入った後、玄関から逆に外に出る際には、パスワード入力は必要ない。人感知部12が、所定の時間(例えば30分間)に亘って全ての居住空間HAから人の存在を検知できない場合は、在宅検知手段22が、全ての居住者が外出しているものと判断し、それまでに入力した全ての居住者のパスワード入力記録を取り消し、在宅状態から留守状態へ検知情報を変更する。
この後、居住者が帰宅した場合は、再度パスワード入力が必要となる。なお、玄関から外出する際に、各居住者が外出することを前記した個人認証装置にインプットするようにすれば、更に在宅状態の検知は正確になる。また前記したように、パスワードの入力を省略するため、生体情報(例えば指紋情報)から、居住者が帰宅したことを検知する手段に変えたり、居住者が保持している固有の身分証やIDカード等に記録された個人特定情報を、磁気的又は光学的手段で個人認証装置に直接読み込ませたりするという方法でも良いが、詳しい説明は省略する。
図3に示した表示盤37の表示画面37Aでは、睡眠判定部23が判定した睡眠時間関係のデータを、情報通信端末機器25はそのNFC入出力部41を介して読み出すことができる。つまり、睡眠時間関係の情報は、入出力部40を介して情報通信端末機器25のNFC入出力部41で取得できる。このため睡眠時間データを事前に取得した情報通信端末機器25を、家庭の外部に持ち出して、遠隔地でその睡眠時間のデータを専門家(例えば医師)に見て貰って質の良い睡眠の助言を得ることも可能となる。
図1〜図3に示したTV受像機2の表示画面で表示できる情報と、表示盤37の表示画面37Aで表示できる情報とは、基本的に較差はない。つまり電力指令装置5の「動作情報」、統合環境検知部9の「環境情報」は、TV受像機2の表示画面でも表示盤37の表示画面37Aでも、同様に表示可能である。但し、TV受像機2は通常20〜60インチの画面サイズであるのに対し、表示盤37の表示画面37Aの画面サイズは、10〜15インチ程度と、数分の1以下と狭いので、全く同じ内容が同じ大きさで表示される訳ではない。当然ながら表示される文字のサイズは小さくなるが、前記した居住空間の温度・湿度表示情報や各種環境情報は、何れも表示される。
以上説明した構成により、TV受像機2の液晶表示画面と表示盤37の表示画面37Aとの間で、表示される情報の齟齬が生じないようにして、キッチンでも居間でも同じ情報を確認できるようにしている。なお、これら各種情報の表示画面37Aでの表示は、制御部36の表示用制御プログラムによって実行される。
(情報通信端末機器25の内部構成)
次に図4について説明する。
25は、スマートフォンや携帯用小型コンピュータ等の情報通信端末機器である。情報通信端末機器25は、LEDランプやタッチ式入力方式を採用した液晶表示画面を有する表示部73と、使用者が操作する複数の入力キーを有する操作入力部(操作部)74と、無線インターフェース(無線通信入出力部)41と、姿勢検知部75と、マイクロコンピューターを内蔵した制御部76と、操作場面に応じた複数種類の合成音声を出力して且つ必要に応じて情報通信端末機器25を振動させる小型バイブレータを内蔵した報知部87と、を備えている。
このバイブレータは、報知部87から音声を出す(鳴動する)ときに、それと同期して情報通信端末機器25自体を振動させることができる。これにより表示部73だけでは確実に使用者に対して操作状況や通知の着信等を伝えることができない状況でも、音と振動でそれを補うことができる。
88は、寝具表面計測部であり、後述するレンズ88Aと、発光部を構成する発光ダイオード88Bと、制御部88Cと、撮影部88Dと、判定部88Eと、記憶部88Fと、を備えている。
88Aは、レンズであり、これは後述する敷き布団100A等の寝具100表面に近接した位置で、その表面を拡大して接写するためのものである。なお、この接写時には、太陽光やその他外乱光が周囲からレンズ88A前方の撮影部分に入らない構造になっている。
88Bは、レンズ88Aの背後側から寝具撮影用の特殊な光を発する発光ダイオード(LED)である。例えば前記した波長が375〜400nm(ナノメートル)の紫外線を発光するものである。88Cは、制御部であり、使用者が所定の操作をした場合、撮影指令信号を発信して発光部88Bを発光させ、撮影部88Dに寝具表面を撮影させる。
判定部88Eは、撮影された画像データを取得し、そのデータを専用の解析アルゴリズムによって分析することにより、寝具表面の汚れを判定する。88Fは、判定部88Eの解析結果のデータを一時的に記憶する記憶部である。なお、判定部88Eを省略し、そのような汚れの判定を、情報サーバー27の判定部27Hによって行わせるようにしても良い。そのような外部にある情報サーバー27へ送る撮影データを一時的に記憶させておくのが、この記憶部88Fである。
無線入出力部41は、2つの入出力部から構成され、その1つは、前記した広域通信回路網(通信ネットワーク)16との間で所定の通信を行う無線入出力部41Aである。他の1つは、電力指令装置5のNFC入出力部40及び兼用乾燥機20のNFC入出力部63との間で、それぞれ近距離無線通信する無線入出力部41Bである。
表示部73、操作部74、無線入出力部41、姿勢検知部75、制御部76、報知部87及び寝具表面計測部88は、図示していないが、信号回路で相互に接続されている。姿勢検知部75には、ジャイロセンサーが備えられている。姿勢検知部75は、使用者が情報通信端末機器25を(左右・前後方向に)傾ける際の姿勢を検出して、当該姿勢を示す信号を制御部76に出力する。
制御部76は、大きく分けて中央演算処理装置(CPU)77と、半導体記憶素子を主体に形成された記憶部78とを備える。CPU77は、記憶部78の中にあるROM、RAM部79に格納されている制御プログラムに従って、情報通信端末機器25全体の処理を実行するものであり、処理を実行する過程で必要なデータを前記ROM、RAM部79から読み出したり、処理を実行する過程で生成したデータを、前記ROM、RAM部79に格納したりする。86は、記憶部78の一部を構成する半導体製の不揮発性メモリーである。このメモリー86には、前記無線入出力部40から読み込んだ各種情報(睡眠時間の情報や、寝具の汚れ状態を示す判定結果の情報を含む)を記憶させておくことができる。
電力指令装置5から読み込んだ各種電気機器EEの運転状況を示す情報、睡眠時間の情報や、統合環境検知部9から提供された環境情報、「異常発生情報」、及び情報サーバー27から送信された情報、後述する対策ソフトウェア等は、前記メモリー86に一時的に記憶・蓄積される。なお、この「一時的」という意味は、使用者が特に消去の指令操作をしない限り保存される場合や、1ケ月又は1週間等の一定期間だけ自動的に記憶保持され、その期間経過後には自動消去される場合を指す。前記した寝具表面計測部88の撮影のデータも、このように記憶部78に「一時的」に記憶される。
記憶部78には、アプリケーション・ソフトウェア部80が含まれる。このアプリケーション・ソフトウェア部80には、受信処理部81、送信処理部82、通信確立部83、表示制御部84、選択確定部85、メモリー86が含まれている。
なお、寝具表面計測部88を、情報通信端末機器25の内部に組み込まず、1つのアダプター形式で形成し、情報通信端末機器25の所定位置に装着して、寝具100の表面を計測部するように構成しても良い。このようにすれば、情報通信端末機器25として汎用のものを使用できるという利点がある。
(寝具乾燥機)
次に図5に基づいて本発明の寝具乾燥機20について詳細に説明する。
図5は、兼用乾燥機20を、その後方(背後)側から見た縦断面図である。
図5において、100Aは、ベッド等の家具44や床の上に乗せられた敷き布団(第1の寝具)である。100Bは、この敷布団の上に重ねて置かれた掛け布団(第2の寝具)である。なお、これら2枚の布団を総称して「寝具」という場合には、符号は100を用いる。敷き布団100Aは、4つの周縁を有しており、使用者が就寝したときに頭部側になる第1辺100Hと、この第1辺から見て左側に位置する第2辺100Lと、反対に右側に位置する第3辺100Rと、足元側になる第4辺100Eと、をそれぞれ備えている。
これら寝具100は、使用者の身長よりも十分大きな寸法に形成されている。寝具100は、ベッドの上に置かれて使用されるものと畳や床に直接置かれて使用されるものに大別され、その両者では若干大きさが異なる。例えばあるメーカのものでは、ベッド用のもので、最も小さな「シングルサイズ」と呼ばれているものでは、掛け布団100Bは、横幅150cm×長さ210cm、また敷き布団100Aは、横幅100cm×長さ200cm程度の大きさである。大きな「ダブルサイズ」と呼ばれているものでは、掛け布団100Bは、横幅190cm×長さ210cm、また敷き布団100Aは、横幅140cm×長さ200cm程度の大きさである。周知のように、布団は、通気性のある布製の表袋の中に、綿(「中綿」ともいう)や羽毛等を詰めることにより、保温機能と、吸放湿機能(湿気を吸い、また吐き出すこと)に富むように設計されている。
兼用乾燥機20は、図5に示しているように、敷き布団100Aの上に置いて使用される。その際に、掛け布団100Bを兼用乾燥機20の上から被せると、上下2枚の寝具100を同時に乾燥することができる。
20Cは兼用乾燥機の本体20Aの外郭を形成する本体ケースである。本体ケース20Cは、プラスチックの一体成型により、平面形状が真円形に形成されており、また縦断面形状は楕円形を呈している。このような本体ケース20Cであるため、敷き布団100Aと掛け布団100Bとの間を自力で移動する場合、それら寝具100との摩擦が少なく、兼用乾燥機20の進行がスムーズになる。なお、本体ケース20Cの表面全体(少なくとも、上面と前後左右の4つの側面)は、掛け布団100Bの下面と直接接触することを想定し、できるだけ円滑な表面、つまり3次元曲面に形成される。またその曲面には敷き布団100Aの表面が引っ掛かるような細かい突起が無いように形成されている。
45は、本体ケース20Cの底面中央部に形成された平面形状が、横長長方形又は横長楕円形状の温風吹出口である。この吹出口45は、図5に示すように横幅寸法がSWであり、また図6に示すように、兼用乾燥機20の進行方向FDにおける長さがHWに形成されている。前記したように、吹出口45は平面的に見て横長形状であるため、SW>HWの関係になっている。
Wは、本体ケース20Cの温風吹出口45に依存する乾燥域である。この乾燥域Wとは、兼用乾燥機20が、その進行方向FDに移動した際に、敷き布団100Aを乾燥できると判断される横幅である。乾燥域Wは、吹出口45の横幅寸法SWに対し、少なくとも2倍程度の大きさである。例えば、この吹出口45の横幅寸法SWが7cmであった場合、この実施の形態1では、実験結果等から、平均して乾燥域Wは15cmになると想定してある。但し、乾燥域Wは、吹出口45と敷き布団100Aとの対向間隔や温風の吹き出し速度等にも影響して変化するので、吹出口45の横幅寸法に対して常に一定の比率の大きさで乾燥できることにはならない。
吹出口45は、敷き布団100Aの中にできるだけ多くの温風を導入させるため、敷き布団100Aの上面と出来るだけ近接した位置にあることが望ましい。但し、吹出口45の下端縁が本体ケース20Cの移動時に敷き布団100Aの上面と連続的に接触し、本体ケース20Cの円滑な進行に障害となる懸念もある。そこで、兼用乾燥機20の本体ケース20Cが、その進行方向FDに移動している期間中は、吹出口45の下端縁が敷き布団100Aの上面と離れるようにしてもよい。本体ケース20Cが一時停止して温風を吹き出している期間中には、吹出口45の下端縁の位置が(本体ケース20Cの移動中よりも)低くなるか、又は敷き布団100Aの上面と接触するように、吹出口45を上下に移動させる機構を設けても良い。
後述する寝具清掃運転の場合には、吹出口45の下端縁が、本体ケース20Cの底面よりも突出しないように上方へ退避させて、本体ケース20Cを走行させることが望ましい。また、このような手段としては、例えば吹出口45を嵌り合った、二重の筒体で構成し、寝具清掃運転の場合には、本体ケース20Cに固定されている外側の筒体の内部を、内側の筒体だけが上方向に案内されて移動する構成で良い。
また、寝具掃除だけを行う寝具掃除機の場合、前記吹出口45は、敷き布団100Aに向けて近接させて設ける必要はないので、前記吹出口45は本体ケース20Cの後部の底面又は背面(後面)に設けて良い。
46は、前記吹出口45の中央に横たわるように設けた電気ヒータであり、PTCヒータが用いられている。このヒータ46は、上下方向に通風用の多数の貫通孔が形成されている。48は、ヒータ46の真上の位置に配置された電動送風機である。48Mは、この電動送風機48のモータであり、上面が開口した円形の送風ケース48Cに支持されている。
電動送風機48と電気ヒータ46とは、敷き布団100A等の寝具を温風で乾燥させる場合の、温風供給源となる。また兼用乾燥機20を、電気掃除機として使用し、寝具100の塵埃を除去する場合には、その塵埃を導入する空気流の発生手段ともなる。このように、寝具100の清掃と乾燥の両方の場面で共用できるように、後述する風洞(通風ダクト)54の中央部に電動送風機48のモータ48M及びファンは配置されている。なお、
電動送風機48単独では、例えば、室温20℃の空気は、電動送風機48から排気側では40℃程度まで温められた空気になるが、これに前記電気ヒータ46の発熱が加わると60℃〜70℃程度まで温度を上昇させることができる。温風の温度を過剰に高くすると、寝具100の素材を傷めたり、寿命を短くする懸念があるので、乾燥に適する温度を超えないように制御装置33に繋がる温度センサーを設ける等、監視手段を設けても良い。
49は、大きさ、形状及び材質が全く同じである4個の車輪(駆動輪)であり、吹出口45の前後・左右を囲むように配置されている。言い換えると、平面的に見た場合、吹出口45の右側に、進行方向FDに沿って前後に2個の車輪49が配置される。またその吹出口45を挟んで対称的な左側位置に、残りの2個の車輪49が配置されている。なお、これら車輪49の内、少なくとも左右の1つは、それぞれ専用のモータにより回転駆動され、本体20Aを前進させ、後退させ、方向転換させる推進力を発揮する。言い換えると、これら車輪49は、後述する車輪駆動部95によって、左右それぞれが別個に駆動される。そして、兼用乾燥機20は、本体ケース20Cの左右両側の車輪49が同一方向に回転することで前進又は後退し、両輪が互いに逆方向に回転することで方向を転換する。ここで、車輪49と車輪駆動部95は、機械的駆動部の一例である。
掛け布団100Bが、その自重で本体ケース20Cの上面に被さり、接触している状態でも、本体ケース20Cを所定の方向に進行させるため、前記4個の車輪49は、十分な回転駆動力が与えられるように形成されている。また前記4個の車輪49は、敷き布団100Aの上面と摩擦抵抗が発生するような材質に形成されている。また垂直中心線VLを挟んで左右対称位置に、寝具100Aの上面と接触する車輪49が配置されている。このため、本体ケース20Cが掛け布団100Bの下面に接触して進行の妨げになるような力を受けても、本体ケース20Cの左右対称に均等な推進力が発生し、本体ケース20Cは前方へ安定して直進状態に進行することができる。
50は、本体ケース20Cの下面に形成された吸込口である。この吸込口50は、吹出口45とは逆に、本体ケース20Cの内部へ空気を導入する入口になる。この吸込口50は、本体ケース20Cを下方から見た場合、車輪49の前後・左右を囲むような位置に設けてあり、全ての吸込口50は、同じ大きさ(口径)に形成されている。これは一例であり、吸込口50の大きさは積極的に異ならせても良い。例えば、兼用乾燥機20の進行方向FDにある吸込口50の口径を、逆方向にある吸込口50の口径よりも小さく形成し、本体ケース20Cの進行(移動)に伴って、その後方側から吸い込む風量が、前方側の風量よりも大きくなるようにしても良いし、また逆に前方側から吸い込む風量を大きくしても良い。また吸込口50の開口形状を、同一形状に全て揃えなくともよい。
51は、本体ケース20Cの底面に4個所形成した開口51Hに、本体ケース20Cの外側から挿入された吸込口ユニットである。この吸込口ユニット51は、電動送風機48に連通するように中空の筒形に形成され、その最も下の底面には吸込口50が大きく形成されている。4つの吸込口ユニット51の内、進行方向FD側とこの反対側にある2つの吸込口ユニットの吸込口50には、寝具乾燥と寝具清掃の運転時に、下端が敷き布団100Aの表面に回転しながら接触するよう、吸込口50から先端が少し突出した回転ブラシ52が配置されている(図6参照)。
前記回転ブラシ52は、専用のモータを有するブラシ駆動部53により、水平な回転軸に支持されてその軸周囲を回転する。これにより、敷き布団100Aの上表面にある塵埃が掻き出され、吸込口50に吸い込まれる空気流によって敷布団100Aから塵埃が除去される。なお、図8では、吸込口ユニット51は1つしか図示していないが、実際には2つ備えている。
寝具の清掃運転時と寝具乾燥運転時には、ブラシ駆動部53が、本体ケース20Cが移動している期間中、回転ブラシ52を回転させるが、停止している間は回転を停止するように制御している。
図5で示した破線矢印F1は、吸込口50に吸い込まれる空気流を示している。同様に破線矢印F2、F3は、本体ケース20Cの内部から吹出口45を経由して吹出される風の流れを示している。矢印F3で示される風は、ヒータ46によって暖められるため、温風である。なお、この矢印F3で示される空気流は、運転によって温度上昇する電動送風機48のモータ48Mの周囲を通過し、それを冷却するため、そのモータ48Mによっても温度が上げられる。
吸込口ユニット51は、開口51Hから使用者が取り外し、また装着できる構造になっている。この吸込口ユニット51の中には、ブラシ52と、空気中の塵埃を捕集する目の粗いフィルター(「プレフィルター」という。図示せず)と、が設けてある。そのプレフィルターとブラシ52は、その吸込口ユニット51から更に取り外して清掃、洗浄(水洗い)できるようになっている。このため、兼用乾燥機20を使用してプレフィルターに溜まった糸くずや、その他塵埃は、使用者が取り除くことができる。同様に、ブラシ52に絡んだ髪の毛等も除去できる。なお、ブラシ52を吸込口ユニット51に組込み、吸込口50部分にセットした状態では、そのブラシ52の一端部に形成してある第1のギア部が、本体ケース20Cの内部にある第2のギア部と噛み合うことにより、ブラシ52は回転駆動力を受ける。第2のギアは、専用のモータ(図示せず)によって回転駆動される。
54は、本体ケース20Cの中で大きな体積を占めている通風ダクトであり、前記4つの吸込口50に接続される入口部54Aを備えている。そして中央部には、入口部54Aに繋がる出口部54Bがそれぞれ形成された逆円錐形の集塵筒部54Cが形成されている。
集塵筒部54Cは、上面と下面(底面)全体が開放される。集塵筒部54Cの下面に形成された円形の開口部54Uは空気流の出口であり、上面が開口した円形の送風ケース48Cの上端部に密着している。そしてこの集塵筒部54Cの内部空間が集塵室を形成している。
17は、集塵筒部54Cの内周面に密着するように、その集塵筒部54Cの上面開口部54Tから設置されるコップ形状に形成されたメインフィルターである。メインフィルター17は、前記プレフィルターよりも微細な塵埃を濾過できる機能があり、プラスチックや不織布等で形成されている。なお、このメインフィルター17には、前記4つの出口部54Bの対向部に、それぞれその出口部54Bの口径に合致させた円形の窓が設けられてあり、通風ダクト54の中に吸引された空気が導入できるようになっている。
18は、前記メインフィルター17の上面開口を塞ぐように設置された剛体の蓋であり、プラスチック材等で形成されている。なお、この蓋18は、メインフィルター17の上面開口縁に着脱自在に装着され、蓋18を持ち上げるとメインフィルター17が持ち上がり、集塵筒部54Cの中から取り出せる構造になっている。
このように、前記本体ケース20C内部には、入口部54A及び出口部54Bを有する通風ダクト54の中から、集塵筒部54C内部、送風ケース48Cの内部、そして温風吹出口45に至る一連の通風路BTが形成される。この通風路BTの途中に、電動送風機48が配置され、入口部54Aから寝具100上の空気が吸引され、その空気流の中に含まれる塵埃が集塵室54Cで空気と分離される構成になっている。このため、温風を供給するための気流発生手段と、塵埃を捕集するための掃除機の基本機能を発揮させる空気導入手段とが、共通の電動送風機48及び通風路BTによって実現されている。
また本体ケース20Cの外郭部には蓋体20Tによって開閉自在に覆われた窓20Wを有する。窓20Wを開放した状態で、集塵室(集塵筒部54C内部空間)は本体ケース20Cの外部に開放される構成になるため、メインフィルター17に堆積した塵埃を、前記窓20Wから取り出すことができる。
このように、この実施の形態1の構成によれば、本体ケース20C内部空間を有効に活用し、共通の電動送風機48で乾燥用(温風供給)と掃除用の気流発生を実現しているので、全体の構成をコンパクトにできる。
55は、蓋18の下面中央部に下方へ突出するような形状で取り付けられた消音整流板であり、音を吸収しやすい材料から逆円錐形状に形成されている。この消音整流板55は、4つの吸込口50から吸い込まれた空気の流れが合流する地点にあり、空気流の合流時に発生する騒音を低下させる効果を得るために設置してある。なお、前記したメインフィルター17は、塵埃が溜まった場合、そのまま廃棄できるような交換自在なものでも良い。その場合、蓋18と前記消音整流板55とが結合された部品は、何度も使用できるようにすると、経済的で良い。
前述したように、本体ケース20Cの上面中央部には、蓋18を持ち上げることによってメインフィルター17を取り出すことができるように円形の窓20Wが形成されている。この窓20Wは、通常時は円形の蓋体20Tで塞がれている。20Pは、蓋体20Tの外周縁に装着された機密性を上げるためのパッキン材であり、弾力性に富むシリコンゴム製で、中空構造になっている。蓋体20Tを窓20Wに嵌めた場合、このパッキン20Pが圧縮状態に挟まれる。これにより、窓20Wと蓋体20Tとの間の空気の通過が遮断され、集塵筒部54Cの機密性が保持される。
図5において、59Sは、後述する寝具識別回路59C専用の近距離センサーである。このセンサーは、対象物(敷き布団100A等の寝具)表面に赤外線(波長は850nm)の光を放射し、対象部からの反射光が戻ってくるまでの時間を計測して距離を求めるものである。電源電圧5V程度、動作電流2mA程度であるため、後述する電源回路92に負担とならない。
前記近距離センサー59Sは、計測のための赤外線を放射する発光部が、図5と図10に示すように右側の車輪49の後方位置となるよう、本体ケース20Cの底面を貫通するように設けてある。近距離センサー59Sは、本体ケース20の底面に窓を形成し、その窓に臨むように本体ケース20Cの内部に完全に収まるよう設置しても良い。
近距離センサー59Sは、前方にある右側の車輪49と、後方にある右側車輪49を結ぶ直線上に位置している。59Tは、前記発光部59Sに電源を供給する電源回路部品(図示せず)や後述する寝具識別回路59C等を実装した回路基板であり、本体ケース20の内側に固定されている。寝具識別回路59Cと近距離センサー59S及び回路基板59Tによって寝具識別手段59が構成される。
次に図6について説明する。
56は、集塵筒部54Cから見て後方位置で、風洞54の上方部に設置された制御部主回路基板であり、後述する兼用乾燥機20の制御装置33を構成する各種電気・電子部品が実装されている。
57は、集塵筒部54Cから見てそれより前方位置に斜めに設置された入力回路基板であり、後述する入力操作部58(図7参照)を構成する各種電気・電子部品が実装されている。図6では図示していないが、入力操作部58の中には、本体ケース20Cの天井面の内側に設置した静電容量変化検知電極がある。
21は、前記入力回路基板57の端部に取り付けてある光センサーであり、本体ケース20C上方向からの各種照明用の光や太陽光等の可視光線(図6に破線の矢印で示している)を検出する。つまり、そのような可視光線を感知すると、所定の検知信号を制御装置33に出力する。そしてこの光センサー21と制御装置33によって、掛け布団100Bの存在有無を検知するための掛け布団存在検知部21Sを構成している。なお、光の量を判定して掛け布団100Bの存在有無を判定する専用の判定回路(図示せず)を設け、当該判定回路と光センサー21とによって掛け布団存在検知部を構成しても良い。
本体ケース20Cは、光センサー21が本体ケース20Cの外部からの光を感知できるように、例えば乳白色材料(不透明材料)で形成されている。そして光センサー21の真上の部分は、可視光線を透過させやすいように、透明な板が嵌めこまれた窓を形成するか、又は肉薄形状になっている(但し、肉薄構造であっても、上方からの荷重に対して十分な強度を有しており、本体ケース20C全体の剛性を損なわない工夫がされている)。
63は、後述する近距離無線通信(NFC)用入出力部であり、前記入力回路基板57の上に実装されている。
60は、吸込口50から通風ダクト54の内部に吸い込まれる空気流に対して、レーザ光線等を当てて所定粒径以上の塵埃の数をカウントする塵埃センサーである。なお、このような塵埃センサー自体は、既に色々なものが知られている。例えば、日本特開2014−236838号公報で紹介された自走式掃除機では、気流に含まれる塵埃の多少を判別する技術が紹介されている。このため塵埃センサーの詳しい説明を省略するが、この塵埃センサーで計測した塵埃の量に応じて、前述した「塵埃飛散度情報」が制御装置33の中にある塵埃判定部61で生成される。この実施の形態1では、兼用乾燥機20が前進する方向で塵埃量を計測するため、図6に示しているように、塵埃センサー60は、進行方向FD側にある吸込口50の近くに設置され、その吸込口50から流入した直後の空気の塵埃量を計測する。この塵埃飛散度情報は、兼用乾燥機20のホストコンピュータとして機能する制御装置33によって電動送風機48の回転数、即ち、空気吸込み能力の制御に利用される。
72は、本体ケース20Cの後部側にある吸込口50から通風ダクト54の内部に吸い込まれる空気流に対して、マイナスイオンを発生させて混合させるイオン発生デバイスである。なお、イオン発生デバイス72ではなく、オゾン発生デバイスを設置しても良い。何れにしても、通風ダクト54の内部に流入する寝具100上方の空気に対して、殺菌や消臭の効果を発揮させることを目的に設置しているものである。
64は、兼用乾燥機20の進行方向FD側の敷き布団100A表面に特殊な光を放射する発光部であり、1つ又は複数のLED素子を備えている。65は、発光部64からの光の反射光を受ける受光部で、例えばフォトトランジスタを使用している。これら発光部64と受光部65は、寝具表面検知部62の主要部を構成するものである。なお、この発光部64の「特殊な光」とは、太陽光や室内照明灯の光と同じ可視光線領域の光、又は赤外発光領域の光である。114は、受光部65が受けた敷き布団100A等の物体からの反射光のデータを一時的に保存する一時記憶部である。
67は、後述する汚れ検知部66を構成する発光部である。68は、同じく汚れ検知部66を構成する1つの部分であり、発光部67によって照らされた敷き布団100Aの上面の所定範囲(例えば、直径数cmの円形又は楕円の範囲)を撮影するカメラ等の受光部である。この受光部68は、敷き布団100A等の寝具100表面に近接した位置で、その表面を拡大して接写可能なCCDカメラ等が望ましい。発光部67は、情報通信端末機器25の発光ダイオード(LED)88Bと同様に、寝具100撮影用の特殊な光を発する発光ダイオード(LED)を有している。特殊な光とは、例えば波長が375〜400nm(ナノメートル)の紫外線である。
図6において、SFは、兼用乾燥機20が、移動・停止・移動という動作を繰り返す場合、その1回の移動時に進行方向FDに進む距離である。この距離SFは吹出口45の前後方向の幅HWよりも、1.5倍〜2倍程度大きい。
本体ケース20Cの上面(正面側)で、NFC入出力部63よりも発光部64に近い側には、静電容量変化を利用したタッチパネル式感知部が配置されている。その感知部はタッチ式の入力操作部58(図6参照)を兼ねている。本体ケース20Cには、近距離通信(NFC)のためのNFC機能を持った情報通信端末機器25を示す目標位置を使用者が視認できるように表示するため、本体ケース20Cの内側から光で照らすための発光ダイオード素子(LED)103(図7参照)が、NFC入出力部63に対応して、入力回路基板57の上面に配置してある。
次に図7について説明する。
図7は、兼用乾燥機20の内部主要構成を示すブロック図である。70Aは、本体ケース20Cの上面壁に押圧操作可能に支持された主電源スイッチ70の押しボタンである。33は、兼用乾燥機20のホストコンピュータとして機能する制御装置である。63は、前記情報通信端末機器25と通信するための近距離無線通信(NFC)用入出力部である。29は、その入出力部の一部を構成しているアンテナである。主電源スイッチ70の操作ボタン70Aは、一度押すと閉(スイッチON)となり、次に押すと開(スイッチOFF)となり、以後これを繰り返す。
90は、統合管理装置5の入出力部30Aとの間で直接無線通信を行うための通信アンテナ部であり、前記本体ケース20Cの中の入力回路基板57の近傍に設置されている。この通信アンテナ部90と送受信回路(図示せず)とによって無線通信用の入出力部91を構成している。
図7において、101は、前述したタッチ式の入力操作部58を(本体ケース20Cの内側から)適宜照らして操作を誘導する発光素子群であり、LED駆動回路91Eによって駆動される。102は、タッチ式の入力操作部58の外殻を構成する本体ケース20Cの内側に密着するように設置した静電容量変化の検知電極(タッチセンサー)である。この検知電極は、複数個設置されており、タッチ式の入力キー(102K)を複数個備えている。なお、入力キー102Kの部分には、その都度、当該キーの入力できる機能(例えば、「停止」)を示す文字情報が、前記発光素子群101で照らされ、使用者が容易に視認できるようになっている。
91Aは、タッチセンサー102からの検知信号を感知して入力が行われたことを判定する判定回路である。91Bは、入力判定回路91Aからの入力情報(入力信号)に応じて制御装置33の制御条件を設定する入力制御回路である。91Dは、使用者からの入力情報に応じて発光素子群101を適宜光で案内するために必要な制御データを格納したメモリーである。91Cは、入力制御回路91Bと制御装置33との間を接続するためのインターフェース部である。
28は、前述したように、所定の位置に配置されたNFCタグの一部を構成するNFC用の通信制御IC(NFC制御回路)である。アンテナ29は、このNFC制御回路28に接続されていて、外部から所定の周波数の無線を受けるとNFC制御回路28のための電源となる誘導電力を発生させる。31は、NFC制御回路28に接続されているマイクロチップメモリー(前述した「NFC記憶部」と同じ)である。
LED103は、常時発光していなくとも良く、制御装置33によって、情報通信端末機器25との情報の授受に同期した所定のタイミングで点灯される。なお、点灯から一定時間経過後、LED103は自動消灯する。
入力制御回路91Bは、制御装置33を構成するマイクロコンピューターとは別の、専用のマイクロコンピューター(図示せず)によって構成されているが、同じマイクロコンピューターで構成しても良い。
図7において、93は、リアルタイム・クロックとも呼ばれている時計回路であり、主電源スイッチ70に繋がる電源回路92とは別の専用電源(内蔵電池)から電源が供給され、長期間に亘って駆動されるようになっている。これは例えば電波時計でも良く、常に制御装置33から求めがあれば、現在の日にちと正確な時刻を秒単位で知らせるものである。このため、兼用乾燥機20の製造段階で正しい日時にセットされている。従って、兼用乾燥機20の主電源を切り、その後再度主電源を投入しても、この時計回路93の時刻情報は影響を受けず、常に最新の正しい時刻を制御装置33に伝える機能がある。このため、制御装置33の記憶装置33Rに記録される各種情報は、常に正確な時間が同時に記録されて保存されることになる。従ってNFC用入出力部63から情報通信端末機器25によって外部に読み出される異常監視データや、布団の乾燥運転履歴、汚れ検知部66の判定結果を示すデータ等には、前記した発生時刻情報が付加されている。これにより後でデータを分析する際に、データ取得時刻が正確に把握できる。
制御装置33は、統合管理装置5に対して睡眠時間を把握するために、入眠時点の時刻データ等のような、リアルな情報の提供を求める場合がある。つまり、睡眠判定部23を利用した統合管理装置5による睡眠時間の判定結果を取得し、寝具100の乾燥時間を決定する場合の参考にする機能がある。例えば、前日又は過去数日間の睡眠時間の累積データを取得し、兼用乾燥機20の運転時間を延長又は逆に短縮する動作を行う。あるいは、そのような運転時間の提案を使用者に音声ガイドやランプ等で報知するという機能を保有させることができる。
図7において、94は、兼用乾燥機20を寝具100の上面に沿って所定の方向に移動させるための機械的駆動部である。機械的駆動部94は、図5、図6に示した車輪49と、この車輪を直接又は差動ギア等を介して回転駆動するモータを備えた車輪駆動部95と、前記車輪の回転数をカウントするカウンター回路96と、車輪49が指令信号通りの回転方向、回転数で回転したかどうかを判定する回転判定部97、とから構成されている(図8参照)。
図7において、98は、各種検知部であり、寝具表面検知部62、汚れ検知部66、電流検出部53A、塵埃量検知部60、光センサー21等を含んでいる。また電気ヒータ46は、PTCヒータであり、温度上昇に伴って自己に流れる電流を自動的に抑制する特性がある。このPTCヒータ専用の温度検知素子は設けていないが、通風ダクト54内部や本体ケース20Cの内部温度を監視するための感熱素子、例えばサーミスタ等を設けて、異常に高い温度にならないよう異常時処理部111で監視させている。なお、この各種検知部の中には、前記寝具表面検知部62、汚れ検知部66、近距離センサー59S、寝具識別回路59Cも含まれている。
次に図8について説明する。
図8は、兼用乾燥機20の内部主要構成を示す別のブロック図であり、図1〜図7で説明した構成については、同一符合を付けて重複した説明は省略する。
104は、寝具表面検知部62の中核を構成する判定部である。判定部104は、撮影部105からの指令信号を受けて動作し、寝具100表面からの反射光のデータを解析して、寝具100が所定範囲にあるかどうかを判定する。
107は、寝具の汚れ検知部66の中核機能を備えた汚れ判定部である。この判定部107は、撮影部106の指令を受けて、発光部67からのブラックライトの光で撮影した1つの画面の画像データを専用のアルゴリズムで解析して、1つの画面毎に基準画面との比較結果から、相違度合を判定する。例えば1つの画面を薄いブルーの背景色にしたまま、その1画面内での周囲と明るさが変化している点の有無をカウントする。なお、細菌には蛍光物質をもつものがあり、ブラックライトを当てることによりそれらの菌の繁殖個所も、周囲よりも白い色で識別できる。
110は、寝具汚れ判定部である。これは判定部107の比較結果データを蓄積し、1回あたりの寝具乾燥運転終了時に、寝具100全体としての表面の汚れ度合い(例えば、3段階評価)を最終的に判定する。寝具汚れ判定部110は、音声ガイド部108による音声情報や表示部101を介した発光、点滅等の手段によって、寝具100全体としての表面の汚れ度合いを使用者に対して報知する。この寝具汚れ判定部110で、所定以上の汚れ(例えば、3段階評価で、最も汚れがある評価点)が検知された場合には、制御装置33が統合管理装置5に対して当該汚れの事実と、詳細な判定データを一括送信して報知することがある。なお、前記音声ガイド部108は、音声合成装置(図示せず)と、この音声合成装置で生成された音声ガイド信号に従って音声を出すスピーカ(図示せず)とを備えている。113は、受光部68で取得した画像データを時系列で記録する一時記憶部である。
居住者が希望すれば、前記統合管理装置5から、情報通信端末機器25に対しても、寝具汚れ判定部が判定処理完了した旨の報知を行うように統合管理装置5の自動転送機能を設定しておく。このようにすれば、その通知を受けた情報通信端末機器25が、兼用乾燥機20から直接無線通信(NFC入出力部41B経由)で、寝具汚れ判定結果の情報を取得できる。
109は、制御装置33の中核部を構成する中央制御部であり、マイクロコンピューターで構成されている。
111は、異常発生時に緊急停止等の所定の処理をプログラムによって行い、異常の判定を行う異常時処理部である。前記主電源スイッチ70をONして、制御装置33が寝具乾燥運転を開始した場合、前記各種検知部98からのデータを監視し、異常な運転状態がないかどうか判定する。112は、前記電気ヒータ46の駆動回路である。
次に寝具識別手段59の基本動作と距離の計測原理について、図9を参照しながら説明する。
図9(A)は、寝具100の上に車輪49が乗った状態を示した模式図である。車輪49の中心点を通る水平線VL1と、寝具100の上面との間隔は、符号GP1で示している。近距離センサー59Sの発光部先端(下端)と寝具100の上面との間隔は、符号H1で示している。
図9(A)は、寝具100が硬いものである場合を示している。このように硬い寝具100の場合、その上に寝具乾燥機20が置かれた場合、車輪49は寝具100の上面から下方へ沈みこむ量が少ない。
図9(B)は、軟らかい寝具100の上に車輪49が乗った状態を示した模式図である。車輪49の中心点を通る水平線VL2と、寝具100の上面との間隔は、符号GP2で示している。近距離センサー59Sの発光部先端(下端)と寝具100の上面との間隔は、符号H2で示している。
この図9(B)から分かるように、軟らかい寝具100の場合、その上に兼用乾燥機20が置かれた場合、車輪49は寝具100の上面から下方へ大きく沈みこむ。
以上の説明から分かるように、この近距離センサー59Sの発光部先端(下端)と寝具100の上面との間隔GP1、GP2の大きさは、寝具100の硬さや軟らかさに応じたものである。そこで、近距離センサー59Sは、その発光部から発せられた計測用の光(赤外線)が、寝具100に当たって戻ってくるまでの時間から、前記間隔GP1、GP2の大きさを1mm単位で算出する。
近距離センサー59Sは、この計測結果を前記寝具識別回路59Cに計測情報として送信する。なお、この計測のタイミングや回数は、後で詳しく説明する。なお、寝具識別回路59Cの中には、計測された距離(間隔)と、寝具100の硬さレベルを対応させたテーブルが記憶させてあり、少なくとも3段階の硬さに識別できる。そしてこの硬さを示す固有のデータが前記制御装置33の中央制御部109に送信される構成になっている。
図10は、前記近距離センサー59Sや4つの車輪49等の位置関係を示す平面図であり、この図から明らかなように、前記発光部64の反射光を受ける受光部65は、本体ケース20の進行方向FDの最も先頭側に配置されている。温風吹出口45を囲むように4つの車輪49が配置されている。
次に図11について説明する。
図11は、兼用乾燥機20の移動経路MKを示す説明図であり、ダブルサイズの敷き布団100Aの上を、兼用乾燥機20が途中まで進行した状態を示している。図1〜図10で説明した構成については、同一符合を付けて重複した説明は省略する。
兼用乾燥機20の移動軌跡(経路)MKは、この図11の例では、起点(移動開始点)SAPから終点(移動終了点)STPまでである。このように、所謂「一筆書き」のような移動経路に限らず、直線上を前後又は左右に往復するような移動経路でも良い。また起点SAPと終点STPを同じにしても良い。つまり、必ず出発地点まで戻るような経路設定にしても良い。
このような移動経路MKを示す制御データは、図11に示すようにX軸とY軸の座標データとして、寝具乾燥機20の制御装置33の中央制御部109を構成するマイクロコンピューターにプログラムとして組み込まれている。但し、この移動経路MKの全長や、経路の形は、敷き布団100Aの平面積の大小に依存して決定した方が良い。そこで、前記入力操作部58では、乾燥運転開始前に、例えば「面積:大」又は「布団サイズ:大」等のような入力キーを表示させておいて、それを選択することにより、所望の乾燥面積となるようにしている。
図11に示すように、兼用乾燥機20が移動軌跡MKの上を移動して終点STPまで至った段階では、その兼用乾燥機20による乾燥効果の期待できる面積(以下、「乾燥面積」という)は、図11で示すKZのようになる。なお、LAは、敷き布団100Aの長さ、WAは、同じくその横幅寸法を示している。
図11に示すように、兼用乾燥機20の移動する起点SAPは、敷き布団100Aの左端からL1の位置である。起点SAPから見た場合、左側縁からWL、また右側縁からWR、最も先の側縁(後述する第4の辺100E)からL2の位置を移動する移動軌跡MKになっている。このL1、WL、WR、L2は、最初に使用者が寝具乾燥機20を置いた位置が起点SAPであった場合であり、この起点SAPの位置が異なれば、L1、WL、WR、L2は変化する。兼用乾燥機20は、後述するように敷き布団100Aの上面から脱落しないように制御装置33によって自動制御される。つまり、敷き布団100Aの形状や面積が異なれば、図11に示した移動軌跡(経路)MKは変化する。前記したような「シングルサイズ」の敷き布団100Aでは、当然ながら移動軌跡MKの全長は短く設定される。
図11において、Wは、図5に示したように、兼用乾燥機20が1度の移動によって乾燥効果を発揮できる乾燥域である。また、SFは、兼用乾燥機20が、移動・停止・移動という動作を繰り返す場合、その1回の移動時に進行方向FDに進む距離である。この図11に示すように、起点SAPから終点STPまで、複数回折り返して進行する場合には、前記進行方向FDは、その折り返し点では直角(90度)変更され、その後は更に90度転向することになる。
この図11から明らかなように、この実施の形態1の兼用乾燥機20では、所定の乾燥面積(「乾燥エリア」ともいう)KZを乾燥させるために、隣り合う移動軌跡MKの間隔は、乾燥域Wが連続するように、言い換えると隣り合う2つの乾燥域Wの間に、非乾燥域が生じないように設定されている。これにより、最小の運転時間で、所定の乾燥面積KZを網羅的に乾燥させることが可能となっている。
前記乾燥エリアは、寝具100を掃除する目的で使用される寝具掃除機20の場合には「清掃エリア」又は「掃除エリア」と呼ぶ。実施の形態1の兼用乾燥機20で、ヒータ46に通電しない場合も、電動送風機48の排気熱により温度が上昇した風を供給できるが、このような場合においても、「乾燥エリア」を「清掃エリア」又は「掃除エリア」と呼ぶ場合がある。
この実施の形態1においては、前記乾燥エリアと「清掃エリア」又は「掃除エリア」の総面積は、寝具乾燥機20、兼用乾燥機20、寝具掃除機20が、仮に同じ移動軌跡MKの上を移動しても、厳密には同じにならない。しかしながら、敷き布団100Aの上の近似した範囲を乾燥や清掃(掃除)を自動的に実行させることができる。
図11において、CL1は、敷き布団100AのX軸方向における中心線である。CL2は、敷き布団100AのY軸方向における中心線である。
兼用乾燥機20が、移動・停止・移動という動作を繰り返して移動経路MKを移動する場合、または微速度によって連続的に移動する場合の、何れにおいても、敷き布団100Aの乾燥面積KZの中を、乾燥度「強」と乾燥度「弱」のように、差を付けても良い。一般に、就寝者が就寝中に発散する汗等は、特に背中を中心とした部位に多いと言われているので、敷き布団100Aの乾燥を主目的にする場合は、中心線CL1より図11において左側領域を中心に乾燥させた方が良い。しかし、冬の季節に就寝する場合、足元の方が温かいと快適な睡眠が期待できるので、逆に、中心線CLより右側の乾燥度を上げるように乾燥能力を上げて運転するようにしても良い。乾燥能力を上げるとは、例えば、寝具乾燥機20を進行方向FDにおいて距離SFだけ移動させ、その後所定時間停止し、その停止中に電気ヒータ46で温風を発生させる場合、同じ停止時間において電気ヒータ46の供給電力を増加させることをいう。又は、その停止時間を長くすること等の方法でも良い。このような乾燥度の選択を、使用者が入力操作部58によって任意にできるようにしてあるので、この実施の形態1では、使い勝手が向上し、実用的なものとなっている。
この実施の形態1では、兼用乾燥機20の移動は、所定距離移動・停止・所定距離移動という動作を、数十回以上繰り返して移動経路MKを移動する方針を基本的な運転パターンに採用している。これは、後述するように、寝具表面検知部62や汚れ検知部66との動作と連携させるために有利であることが1つの理由である。
(兼用乾燥機20の動作)
次に図12について説明する。
図12は、兼用乾燥機20の主電源スイッチ70をONした後の動作ステップを示している。
S1〜S8が、制御装置33の中の中央制御部109を構成するマイクロコンピューターにプログラムで規定されている。
使用者が、兼用乾燥機20の主電源スイッチ70をONする(S1)。すると、電源回路92を介して制御装置33が起動される。そして各種検知部98からの検知信号を制御装置33がチェックし、異常の有無が判定される。また異常がない場合には、入出力部91を介して統合管理装置5に対し、所定の起動情報を送信する(S2)。
ここで、統合管理装置5の制御部36が、前記ステップ(S1)以前の段階で、睡眠判定部23から睡眠時間データを取得する動作について説明する。
統合管理装置5の制御部36は、所定時間になると、又は居住者(寝具乾燥機20の使用者)が指令すると、睡眠センサー24を起動して睡眠時間のデータを取得するように指令する。すると睡眠判定部本体23Mは、睡眠センサー24を起動する。
その後、使用者が入眠し、睡眠判定部本体23Mが「入眠状態になった」と判定した場合、その時点の時刻情報が制御部36へ報知される。制御部36は、前記入眠時刻のデータを、専用の第1の記憶部(図示せず)で一時的に保存する。その後、使用者が覚醒し、睡眠判定部23が「覚醒状態になった」と判定した場合、その時点の時刻情報が制御部36へ報知される。
制御部36では、睡眠判定部本体23Mから受け取った生体データや、入眠時刻から覚醒時刻までの経過時間で算出した睡眠時間等を一時的に第2の記憶部(図示せず)に保存する。つまり、制御部36は、算出した睡眠時間のデータ(入眠時刻、覚醒時刻、日時)を基礎にして睡眠時間帯のデータを作り、就寝者を示す識別コードや日時データ、データ取得した居住空間名(位置コード)等とセットにして、第2の記憶部(図示せず)に記憶させる。
なお、前記睡眠時間帯や識別コード等のデータは、NFC入出力部40を介して情報通信端末機器25でも読みだすことができる。
兼用乾燥機20は、所定の起動開始情報を送信したあと、入力操作部58を起動して、使用者からのタッチ入力を受け付ける準備を完了し、音声ガイド部108を起動して、使用者に入力操作を促す(S3)。そして運転モードの選択をするような表示をし、又はこれに代えて、あるいは加えて、音声ガイド部108から音声で運転モードの選択を促す(S4)。
次に制御装置33は、自動運転モードが選択されたか、手動運転モードが選択されたかどうかの判定を行う(S5)(S7)。
ステップS5で、自動運転モードが選択された場合には、次のステップ(S6)へ進む。自動運転モードが選択されない場合には、ステップS5は、「No」となり、ステップS7へ進む。ステップS7で手動運転モードが選択された場合には、次のステップ(S8)に進む。
次に、図12について説明する。
図12は、自動運転モードが選択された場合の動作(ステップS6、S9〜S17)を説明するフローチャートである。
まず、自動運転モードが選択された場合(S6)、兼用乾燥機20は、自動運転モードで乾燥運転を開始することを示す「起動開始情報」を、統合管理装置5へ送信する(S9)。
統合管理装置5の制御部36は、第2の記憶部(図示せず)に保存してある睡眠時間のデータに、就寝者を示す識別コードや日時データ、居住空間を特定する位置コード等のデータをセットにして、入出力部30Aから兼用乾燥機20の入出力部91に送信する(S10)。
また、寝具100の特定情報も送信する。この寝具の「特定情報」とは、前述したように例えば、敷き布団100Aの、平面的な大きさを示すサイズデータやサイズの識別コード(例えば、「Sは、シングルサイズ」等の区別)、当該布団の素材(内部が、羽毛か綿か、などの区別)等の情報であり、使用者が情報通信端末機器25や操作入力部37によって、統合管理装置5の制御部36にインプットすることができる。なお、特に敷き布団100Aの表の生地の素材は、兼用乾燥機20が機械的駆動部94の主要部である車輪49と、この車輪49が直接接触する敷き布団100Aの表面との間の摩擦係数に影響する。つまり、敷き布団100A自体の表面(敷き布団が布カバーによって覆われている場合には、その布カバーの表面)が、仮に滑りやすい生地や繊維状態であった場合には、車輪49が回転した場合、滑りが発生し、同じ回転数であっても本体ケース20Cの移動距離に差が出る可能性がある。そこで、そのような滑りやすい生地や繊維状態かどうかを特定情報で把握し、制御部36が車輪49の駆動速度(回転速度)や回転数を自動的に微調整するようにしている。
敷き布団100A等の寝具の「特定情報」は、情報通信端末機器25を利用した場合も同じである。また、情報通信端末機器25を利用する場合は、敷き布団100A等を購入した際に、その保証書や製品の品質保証票等の記載又はそこに示されたバーコード、3次元コード等を情報通信端末機器25に通常内蔵されているカメラ(寝具表面計測部88とは異なる、汎用のもの)で撮影し、その撮影情報を情報サーバー27に送信して、情報サーバー27から所定のコード(数字や記号の組み合わせ)に変換したものを受信し、そのコードを、NFC入出力部63を介して兼用乾燥機20に読み込ませることもできる。
さらに前記ステップS10では、寝具識別手段59が制御装置33により起動される。すると、近距離センサー59Sから計測用の赤外線が敷き布団100Aに向けて放射される。寝具識別回路59は、前記赤外線の発光時刻から、敷き布団100Aからの反射光が届く時刻を計測し、反射時間を計算する。そしてその時間を基準に、計測された距離(間隔)と、寝具100の硬さレベルを対応させたテーブル(対応マトリックス表)から、敷き布団100Aの硬さのレベルを特定する(例えば、「硬い」と特定)。これにより「特定情報」の一部を補う。言い換えると「特定情報」を充実化できる。
前記「睡眠時間のデータ」とは、前回の乾燥運転の日時以後、蓄積された数日間の睡眠時間の累積時間である。前記した「起動開始情報」を受けた場合、統合管理装置5の制御部36では、その前のある日時に「起動開始情報」を受けていることの履歴情報を保有している。統合管理装置5の制御部36は、例えば7日前に「起動開始情報」を受け、その時点で睡眠時間のデータを兼用乾燥機20に送信していれば、今度は、6日前の時点から蓄積した睡眠時間のデータを兼用乾燥機20に送信することになる。
制御装置33の中央制御部109では、(過去の)睡眠時間のデータや寝具100の特定情報(硬さの識別情報含む)等の各種データを参考にして、乾燥運転の時間と移動経路MKを計算する(S11)。なお、ここでいう「乾燥運転の時間」とは、後述するステップS17を基準にして、電気ヒータ46に通電開始してからその通電を終えるまでの時間をいう。兼用乾燥機20では、電気ヒータ46の通電を終えたあとも、その電気ヒータ46の残熱があるので、その後も1分程度は電動送風機48を運転しても良い。なお電気ヒータ46の通電停止と電動送風機48を運転停止のタイミングを同じにしても良い。
寝具(敷き布団100A)の硬さと、通気性について説明する。
一般に、内部が木綿100%で構成される敷き布団100Aは、寝汗を吸い込む吸湿性に優れているため、高温多湿な日本の気候にマッチした素材であるといえる。しかし、吸い込んだ水分を吐き出す放湿性は低くなっており、温風を十分浸透させることが望ましい。
一方、発泡材(ウレタンフォーム)で形成された敷き布団100Aは、湿気がこもりにくく、耐久性にも優れている。しかも、形状の加工についても自由度が高く、身体が沈まないように反発力を強め、高い弾力を保有していることが特徴である。
さらに、羊毛の敷き布団100Aは、一般的に内部に多くの空気を含んでいるため、吸湿性に優れているが、使っているうちに空気の層が潰れ、へたってしまう弱点があり、発泡材(ウレタンフォーム)で形成された敷き布団と比べて反発力も低めである。また、羊毛の敷き布団は基本的に厚みがなく、せいぜい2〜3cm程度の厚みである。
以上のように、敷き布団100Aの内部の素材や構造によって敷き布団の硬さは大きく異なり、硬い敷き布団100Aでは通気性が良くない。そこでこの実施の形態1では、前記寝具識別手段59によって敷き布団100Aの硬さを計測している。硬い敷き布団100Aの標準的な乾燥時間は、軟らかい敷き布団100Aの乾燥時間よりも長く自動設定される。
また、硬い敷き布団100Aの掃除の際の「真空吸引力」は、標準より強くする。
逆に、軟らかい敷き布団100Aの掃除の際の「真空吸引力」は、標準より弱くする。真空吸引力は、電動送風機48のモータ48M回転数を増加又は減少させることによって調節される。電動送風機48の吸引能力とは、この真空吸引力をいう。
なお、このような硬さに応じた乾燥運転時間の自動調整を行わないように、使用者が入力制御部58によって前記寝具識別手段59の機能を停止することもできる。
次に中央制御部109は、計算して求めた移動経路MKと、その移動に要する時間等を、入力操作部58に表示し、また音声ガイド部108から報知する。例えば「乾燥運転開始します。乾燥運転終了まで60分掛かります」等のように報知する。そして、この条件で運転開始して良いかと使用者に確認を求めるような案内をする(S12)。なお、前記寝具識別手段59によって敷き布団100Aの硬さを計測した結果を報知しても良い。例えば、「敷き布団の硬さは、硬いタイプであると計測しました。異なっていれば、入力キーで変更して下さい」のように使用者へ音声で確認を促せば、さらに良い。
次に前記ステップS12から所定時間内(例えば1分以内)に、入力操作部58の所定のキー(スタート開始指令用)にタッチ操作があるかどうかを判定し(S13)、タッチ操作があれば、ステップS15に進む。
前記ステップS13で所定のキー(スタート開始指令用)にタッチ操作がない場合には、中央制御部109は、入力操作部58に、所定の入力キーを表示させ、その入力キーにタッチすることで、入力が有効になるようにする。そして入力操作部58や音声ガイド部108により、使用者に対して希望の運転条件を入力するように促す(S14)。そして、使用者の入力に応じてステップS11に戻り、再度乾燥運転の時間の計算等を行う。
ステップS14の段階で、図12に示したステップS8に移行し、完全に手動モードに切り換えるように変更しても良い。手動モードでは、前記したステップS11のように所要時間を算出するが、その時間算出の基礎となる移動経路MKを決めるため、最初に、敷き布団100Aの縦寸法(LA)と横幅寸法(WA)か、又は「シングルサイズ」、「ダブルサイズ」等の敷き布団100Aの大きさを示す指標を使用者が設定する。その入力結果に応じて移動経路を制御装置33が自動で算出し、その結果(移動経路の概要と、乾燥運転の所要時間の概算も併せて)が使用者に表示・報知され、それに同意すれば移動経路が決定する。また、寝具識別手段59は機能せず、敷き布団100Aの硬さは計測されない。
次にステップS15では、制御装置33は入出力部91を介して統合管理装置5に対し、乾燥運転開始したことを示す報知信号と、予想される乾燥運転の時間を踏まえ、最終的に運転が停止するまでの所要時間の情報とを、送信する(S16)。
次のステップS17では、電気ヒータ46に通電が行われ、また電動送風機48にも通電が行われ、乾燥運転が開始され、本体ケース20Cから温風が吹き出される。そして次のステップS18へ進む。なお、イオン発生デバイス72へも通電が開始される。このイオン発生デバイス72の通電時間帯は、電動送風機48への通電時間帯と同一であるので、送風が行われている時には、イオンが発生している。電動送風機48への通電を停止すれば、同時にイオン発生デバイス72の通電も停止される。
次に、図14について説明する。
図14は、自動運転モードで、乾燥運転が開始された場合の動作(ステップS18〜S28)を説明するフローチャートである。
まず、ステップS18では、自動運転モードでの乾燥運転時間を制御するため、中央制御部109は、経過時間をカウントする。この経過時間のカウントには、時計回路93(図7参照)からの時刻情報が利用される。
次に、ステップS19では、中央制御部109が、異常時処理部111に指令して、各種検知部98からの電気的又は物理的監視データを取得する。例えば、機械的駆動部94の回転判定部97からのデータ、電流検出部53Aで計測された電流値、その他として温度監視データ等を取得する。
次のステップS20で異常状態が認められるかどうかの判定を異常時処理部111が行う。異常がなかった場合には、寝具表面検知部62によって寝具100Aが前方進行方向(FD)に存在するかどうかの判定がステップS21で行われる。
ステップS21の次のステップS22で異常状態が認められなかった場合には、次のステップS23に進み、乾燥運転の開始からの経過時間のチェックを行う。
そして、次のステップS24で、所定の経過時間に到達したことが判定されると、次のステップS25に進み、乾燥運転開始からステップS24までの運転履歴情報を、前記中央制御部109が取得し、記憶部33Rに格納する。
そして次のステップS26では、乾燥運転の停止のため、まず電気ヒータ46への通電を完全に停止し、またその後所定時間(例えば1分間)経過すると、電動送風機48への通電を停止する(S26)。なお、この電気ヒータ46と電動送風機48への通電を、同時に停止させても良い。そしてこのような運転停止を示す報知信号を統合管理装置5に送信する。その際に、前記ステップS25で取得した運転履歴情報を併せて送信しても良い(S27)。そして一連の運転を終了する(S28)。
前記ステップS20で、異常状態が認められた場合には、ステップS29へ進み、その異常内容に応じた対応措置を、異常時処理部111が決定し、そのための各種指令信号を中央制御部109が発令する。
また、前記ステップS22で、異常状態が認められた場合には、ステップS30へ進み、寝具100Aが検知されないという異常内容に応じた対応措置を、異常時処理部111が決定し、そのための各種指令信号を中央制御部109が発令する。このステップS30については、図17で説明する。
次に、以上のような乾燥運転時における次の各制御項目について説明する。
その1:兼用乾燥機20の本体部(本体ケース20C)の動き
その2:寝具表面検知部62と寝具汚れ判定部110の動作
その3:光センサー21の動作
その4:汚れ検知部66の動作
その5:塵埃判定部61の動作
(その1:兼用乾燥機20の本体部の動き)
図13のステップS17で、中央制御部109は電気ヒータ46に通電するため駆動回路112に通電開始を指令し、また機械的駆動部94にも移動指令信号が出される(但し、この2つの指令は、同時ではない。詳しくは図16、図17で説明する)。
図15において、SA1〜SA14は、兼用乾燥機20の本体部(本体ケース20C)の移動パターンを示す基本的なステップである。これらステップを実行するように、中央制御部109には、動作プログラムが事前に格納されている。
兼用乾燥機20の本体部(本体ケース20C)は、以下の説明で明らかになるように、寝具乾燥の場合は、所定距離(FS)だけ移動し、その後所定時間(T2)停止したまま、その位置で温風を吹き出して寝具100の乾燥を行う。寝具乾燥時における、兼用乾燥機20の本体部(本体ケース20C)の移動方式は、その所定時間(T2)経過後、再び所定距離移動する、という「間欠移動方式」である。
まず、スタート(SA1)して、中央制御部109から機械的駆動部94の車輪駆動部95に対し、前進指令信号が出される(SA2)と、寝具表面検知部62は、撮影部105が発光部64に指令して、所定の光線(例えば、赤外線)を出させる。その光線は、兼用乾燥機20の本体部(本体ケース20C)を敷布団100Aの上に置いているとき、敷布団100Aの上面で反射して、受光部65が反射光の一部を受光する。本体ケース20Cの進行方向FDに、敷き布団100Aが存在すれば、受光部65が所定の検知信号を出し、検知信号は一時記憶部114に瞬時に保存され、その検知信号を判定部104が受信し、敷布団100Aが存在する、との判定結果を中央制御部109に送信する。このような寝具表面検知部62の判定が、ステップSA3の段階である。
ステップSA3で、「寝具表面検知した」との判定(Yes)があると、次のステップSA4に進む。ここでは、機械的駆動部94の車輪駆動部95に対し、駆動用電力が供給される。同時に(第1の)所定時間T1の計測が開始される。
車輪駆動部95は、本体ケース20Cを直線的に前進させる場合には、外径寸法が同じ左右2つの車輪49を同時に、同一方向に同一数だけ比較的低速度で回転させ、数秒間(所定時間T1)程度掛けて距離SF(例えば、5cm)だけ移動させる。仮に高速度で回転させると、車輪49の表面の材質、摩擦係数にもよるが、寝具100Aの上面生地との間でスリップし、電気エネルギーを浪費することになる。なお、このような制御のために、回転判定部97と回転数カウンター回路96(図8参照)を設けている。回転数カウンター96の計測データは、リアルタイムで回転判定部97にインプットされ、回転判定部97からは、車輪49の回転と同期して、その判定データが中央制御部109へ出力される。この判定データは、中央制御部109による機械的駆動部94の制御における、フィードバック情報として利用されている。なお、車輪49は、1回転未満でも回転数カウンター回路96によって、回動した角度が検知されるようになっている。そのために角位置センサー(図示せず)を車輪49部分に設置してある。角位置センサーはロータリーエンコーダともいうが、その代表的なものとして光学式のロータリーエンコーダがある。
次のステップSA5では、経過時間TAが所定時間T1になったかどうかの判定が行われる。つまり、このステップでは、経過時間が監視されているが、単位時間(例えば1秒間)あたりの移動速度が分かっているので、所定距離FSだけ進んだかどうかの判断が行われることになる。
経過時間TAが所定時間T1に到達した場合、次のステップSA6に進む。中央制御部109では、本体ケース20Cが移動経路(移動軌跡)MKの上で所定距離FSの1単位だけ進行したことにより、本体ケース20Cの位置を示すX軸座標データが進行後のものに更新される。そして所定時間T1の計測結果(カウント値)をリセットする(ゼロに戻る)。
次のステップSA7では、運転終了の指令信号有無が判定され、使用者が緊急停止等の指令を入力操作部58で行わない限り、このステップSA7は「Yes」判定となり、次のステップSA8で電気ヒータ46が駆動回路112で通電開始される。電気ヒータ46はPTCヒータであり、急激に温度を上げる。またこれと同時に(第2の)所定時間T2も計測開始される。
次のステップSA9では、経過時間TBが所定時間T2になったかどうかの判定が行われる。そして(第2の)所定時間T2(例えば、15秒間)になった場合には、次のステップSA10に進む。
次のステップSA10では、電気ヒータ46の通電は、駆動回路112で停止される。また、所定時間T2の計測結果(カウント値)をリセットする(ゼロに戻る)。次のステップSA11では、運転終了の指令信号有無が判定され、使用者が緊急停止等の指令を入力操作部58で行わない限り、このステップSA11は「Yes」判定となる。
そして、ステップSA11からステップSA12に進むと、方向転換点であるかどうかの判定が行われる。このステップSA12では、ステップSA6の位置を基準にして、次に所定距離FSだけ進行した場合の目標位置の座標が、Y座標上で変化する場合には、進行方向が90度又は180度変更されることになり、方向転換処理のステップSA14へ進む。もし、方向転換点ではない場合には、再びステップSA2に戻り、中央制御部109から車輪駆動部95に対し、前進指令が出される。
図16は、機械的駆動部94と電気ヒータ46に対する、それぞれの電力供給のタイミング及び電力の量を示した説明図である。
この図から明らかなように、機械的駆動部94の車輪駆動部95に対して前進指令信号が出されて移動している期間(所定時間T1)の電力量はYワットである(例えば、30W)。
そして、次に機械的駆動部94への通電がゼロとなり、本体ケース20Cが静止したままの期間(図16で説明した所定時間T2)の電力量はXワットである(例えば、200W)。このXワットの電力は、電気ヒータ46の発熱用に大半が消費され、残りの殆どは電動送風機用モータ48Mで消費される。
このように、この実施の形態1では、(寝具乾燥運転時は)機械的駆動部94と電気ヒータ46に対する、それぞれの電力供給の期間(T1、T2)を互いに重ならないようにずらしている。これにより、限られた電気エネルギーを有効に活用し、瞬間的な総電力量が大きくならないようにしている。これは、特に電源としてリチウム・イオン電池等の充電池を使用する場合に、定格電流の小さな、軽量の充電池を採用でき、コスト抑制や兼用燥機20の軽量化の点で有益である。
(その2:寝具表面検知部62と寝具汚れ判定部110の動作)
図14に示したステップS22で、寝具100Aが検知されないという異常状態を寝具表面検知部62が検知した場合は、異常時処理部111が以下のような制御動作を決定し、各種指令信号を中央制御部109から発令する(ステップS30)。
図17の摸式図は、敷き布団100Aの上面を、左から右縁100E方向に向かって寝具乾燥機20が移動している場合の、移動経路(移動軌跡)MKを示している。黒い点(X1、X2、X3・・・)は、兼用乾燥機20が一時停止して温風で寝具100の乾燥動作をする位置である。兼用乾燥機20が乾燥運転を開始した時点では、各一時停止位置(X1、X2、・・)の座標(X軸、Y軸)は中央制御部109の制御プログラムの中に生成されて特定されている。
兼用乾燥機20の本体ケース20Cが、X3の位置を過ぎ、X4の位置に向かい、X4の位置からは図17の破線で示す半円形の経路のように、180度向きを反転させ、所定位置X5に向かうように設定されている。
このX3の位置を過ぎ、X4の位置に向かっている途中で、前記寝具表面検知部62が敷き布団100Aの不存在を検知した場合には、異常時処理部111が次のような動作指令信号を中央制御部109へ発信する。
(1)兼用乾燥機20の本体ケース20Cの移動(前進動作)を、直ちに停止させる(機械的駆動部94に緊急停止指令信号が出る)。
(2)兼用乾燥機20の本体ケース20Cは、敷き布団100Aの不存在を検知して停止した位置SSから、直前の一時停止位置X3に戻るように、機械的駆動部94に、後退のための所定の駆動指令信号を出す。
(3)兼用乾燥機20の本体ケース20Cが、直前の一時停止位置X3に戻った時点で、X3の位置からはX6の位置に移動するように、次の目標位置の座標をX6の座標に変え、X3の位置から半円状に進行させ、180度向きを反転させて、位置X6まで進める。そして、X6の位置で、平常時と同様に、所定時間T2だけ静止し、この静止状態で乾燥動作を行わせる。
なお、図14で示したフローチャートにおけるステップS18の時間カウントは、前記したX4からX3の位置に戻る期間中は停止しても良いが、X4からX3に戻るための所要時間は1分にも満たないので、ステップS18の時間カウントは、そのまま続行していても良い。また、X3からX6に移動する時点で、図14で示したフローチャートにおけるステップS23に復帰する。
図17の摸式図では、兼用乾燥機20の本体ケース20Cが、敷き布団100Aの不存在を検知して停止した位置SSから、敷き布団100Aの足元側になる第4辺100Eまでの距離は十分大きい。図17の摸式図では、本体ケース20Cが次の目標地点X4を経て、図17に破線で半円形状に示すような移動経路MKで進行させても、敷き布団100A上面から脱落することはない。この実施の形態1では、寝具表面検知部62の検知範囲(感知ゾーンSZ)は、本体ケース20Cの最も前方位置に近い(図6参照)ので、何らかの不測の原因で第4辺100E側へ脱落することを確実に避けるため、直前の一時停止位置X3に戻るという方法を採用している。この兼用乾燥機20を実施する場合、必ずしも一時停止位置X3に戻る制御にしなくとも良い。
この実施の形態1では、敷き布団100Aに接触し、かつ本体ケース20Cの重量を支える手段は、4つの車輪49である。この車輪49に代えて無限軌道等の他の推進機構を設ければ、図17のL2の寸法を、さらに小さなものにすることは可能である。
また、この図17のL2の寸法は、敷き布団100Aの置かれている状況で適宜変化するように、兼用乾燥機20の入力操作部58で設定できる。例えば、畳の上に直接敷き布団100Aが置かれている場合と、ベッドの上に敷き布団100Aが敷かれている場合では、後者の方が不安要素は大きい。最初に入力操作部58で、敷き布団100Aの設置状況を入力する段階で、適正に入力すれば、L2の寸法が自動的に広く設定された移動経路MKが自動的に選択される。なお、統合管理装置5と連携させた自動運転モードによれば、ステップS10において、統合管理装置5から寝具乾燥機20の入出力部91に対して寝具100の特定情報も送信される。敷き布団100Aのサイズや、設置状態(ベッドの上か、畳の上に直接置いてあるのか等の区別)の情報が兼用乾燥機20で取得できるから、使用者がその都度敷き布団100Aの情報をインプットする労力を大幅に軽減できる。
(その3:光センサー21の動作)
兼用乾燥機20が、図11に示した所定の移動経路(移動軌跡)MKの上を、所定距離FSずつ間欠的に進行し、寝具100の乾燥を行っている場合、通常は兼用乾燥機20の上には掛け布団100Bがあるはずである。しかしながら、この掛け布団100Bの位置が水平位置にずれ、移動経路MKの途中では、兼用乾燥機20の上方に掛け布団100Bが存在しない場合がある。また寝具乾燥運転の途中で、使用者等が掛け布団100Bを一時的に取り除く(上方へ持ち上げる)可能性が考えられる。
上記のように、寝具乾燥運転の途中で、兼用乾燥機20の上方に掛け布団100Bの存在があるかどうかを検知するのが、光センサー21である。仮に乾燥運転の開始前に、掛け布団100Bを掛けていなかった場合には、光センサー21からの検知信号が中央制御部109に入力されない。これにより異常時処理部111は、異常と判断し、図12に示す寝具乾燥の自動運転モードは開始されない(また、使用者が、手動モードを選択しても、運転開始できないし、汚れ検知部66の動作も禁止され、起動されない)。
また、(自動運転モードでも、手動運転モードでも)寝具乾燥運転している際に光センサー21が掛け布団100Bの存在を検知しない場合、つまり、室内の蛍光灯の光や太陽光を受けた場合には、直ちに運転停止し、異常時処理部111は、中央制御部109を介して、汚れ検知部66の動作を禁止する。発光部67の特殊な光が使用者等の人体(眼)に入ることは好ましくないための措置である。なお、寝具表面検知部62も、可視光線を使用しているので、掛け布団100Bが上方に無い場合、室内照明灯の光が外乱要素となって正確な検知できない可能性があるため、発光動作しない。
(その4:汚れ検知部66の動作)
図18のフローチャートは、汚れ検知部66の動作を説明するためのものである。
使用者が、入力操作部58によって、寝具乾燥時に寝具100の汚れも検知することを指定した場合(以後、これを「汚れ確認モード」という。詳しくは後で説明する)、ステップSB1〜SB14に示すような動作する。
まず、兼用乾燥機20の本体ケース20Cが所定の進行方向FDに移動開始すると、この時点で汚れ検知部66は動作をスタート(SB1)する。そして撮影部106が、発光部67等の各部を起動し、撮影準備段階に入る(SB2)。
車輪駆動部95が、本体ケース20Cを進行方向FDに比較的低速度で所定の距離SFだけ移動させて一時停止させると、この状態を撮影部106が検知する。これにより、ステップSB3の判定は「Yes」となり、次のステップSB4に進み、発光部67から敷き布団100Aに向けて図6に示すように、特殊な光が放射される。
汚れ検知部66では、発光部67の発光に同期して、その敷き布団100Aに撮影口を向けてある受光部68のカメラ機能により、本体ケース20Cが静止している状態で、敷き布団100Aの表面の所定範囲(例えば、縦・横とも数cm以下の円形や楕円)が撮影される(SB4)。
受光部68で撮影された画像データは、一時記憶部113に一時的に保存される(SB5)。なお、この画像データは、撮影された順番で一時記憶部113に記憶され、しかも、各画像のデータには、その撮影日時(秒単位)が付帯情報になって記憶される。望ましくは、乾燥運転の最初に、統合管理装置5から兼用乾燥機20が受信した「家電機器側の位置情報」に相当する兼用乾燥機20の位置情報及び敷き布団(寝具)100Aの「特定情報」も同様に、セットにして記憶しておく。
次のステップSB6では、中央制御部109から運転終了指令が出ているかどうかの判定が行われる。終了指令が出ていない場合には、ステップSB3に戻り、再び次の所定距離の前進動作が一時停止したかどうかの判定を行い、一時停止した場合、敷き布団100Aの表面を再度撮影する(SB4)。以後、このような動作を繰り返し、兼用乾燥機20の本体ケース20Cが一時停止する度に、敷き布団100Aの表面の撮影が行われる。
ステップSB6で、中央制御部109から運転終了指令が出ているとの判定が行われた場合、撮影部106では、それまでの乾燥運転時に撮影した各画面の撮影データが撮影順(時系列)に並べられる(SB7)。そして、1つの画面毎に順次汚れ判定部107で判定される。汚れ判定部107は、1つの画面の画像データを専用のアルゴリズムで解析して、1つの画面毎に基準画面との比較結果から、相違度合を判定し、その1画面ずつ、判定結果を3段階評価する(SB8)。例えば汚れの度合いが大きい場合はU3、汚れ無し又は非常に小さい場合はU1、この両者の中間である場合はU2、という判定結果コードで分類する。この判定結果コードは、順次寝具汚れ判定部110の専用メモリーに移送される(SB9)。
このようにして、寝具汚れ判定部110の専用メモリーに移送された判定結果コードのデータは、1つの乾燥運転で撮影された汚れ判定結果として纏めるために集積される。そして判定結果コードの集積結果から、3段階評価の点数を付ける(SB10)。例えば、U3を3点、U2を2点、U1を1点で換算して合計100カ所の撮影結果の合計点を集計すると、例えば30点や10点等の最終結果になる。例えば、30点以上は「寝具の汚れ大。洗濯勧める」などの基準を事前に用意しておくことで、単なる点数ではなく、使用者へ清潔な寝具にする行動を促す助言を提案できる。
このようにして全体の評価を求めることに加え、使用者に汚れが検知された箇所の情報を視覚的に提示できるように、移動軌跡MKデータと対応させて、各撮影ポイント別に前記判定結果コードや評価点数を付ける(SB11)。
このようにして兼用乾燥機20の移動軌跡と汚れ判定結果とを対応させた判定結果の加工データは、兼用乾燥機20の制御装置33の記憶部33Rに格納する(SB12)。この記憶部33Rに格納した1つの理由は、情報通信端末機器25でNFC通信により情報を読み出すことを容易にすることである。また、もう1つの理由は、統合管理装置5に送信し、当該管理装置5自体又はそれを経由してTV受像機2で汚れ検知結果を確認できるようにすることである。
このステップSB12までの処理を終えると、撮影部106は、汚れ検知部66の各部を停止させ、一時記憶部113にある、ステップSB5以降に記憶した撮影データ等を全て消去する指令を発信し、一時記憶部113をリセットする。そして自ら停止する(SB13)ことで一連の動作は終了する(SB14)。なお、通常は、乾燥運転が所定時間経過して終了になる場合、その後、電動送風機48も含めて全ての回路への通電が遮断される(主電源スイッチ70が開放される)タイミングまで1分程度あるが、この1分間の中で、前記ステップSB7〜SB13の処理が行われる。なお、前記ステップSB7〜SB13の処理が完全に完了してからでないと、主電源スイッチ70がOFFにならないようソフトウェアを変更しても良い。
図19の模式図は、汚れ検知部66の検知結果のデータを、例えば情報通信端末機器25で読み出して、その表示部73で表示させた場合を示すものである。この図19から明らかなように、移動軌跡MKの上に、汚れの度合い及び有無等を示す判定結果が図形(円形)の大きさで示される。その円が大きいものは汚れ評価レベルU3、小さいものはU2、汚れ無し又は非常に小さい場合は円形の図形表示無し、というルールで表示される。これにより、使用者が表示部(表示画面)73を見た場合、敷き布団100Aの汚れ度合を、円の数とその大きさでイメージしやすい。なお、汚れ検知部66で判別できる汚れには、敷き布団100Aの色や柄、表面の生地の種類等により、通常では使用者が目視では確認できないものもあり、このような光学的な汚れ検知機能は、使用者の利便性を大きく向上させるものである。
また汚れ検知部66の検知結果のデータ集計結果を、数値で示しても良い。例えば前記したように、合計100カ所の撮影結果の合計点を集計し、「寝具の汚れ大。洗濯勧めます!」等のように表示し、使用者へ注意喚起するようにしても良い。
情報通信端末機器25は、情報サーバー27にアクセスして、そのアプリケーションデータベース27Bから、兼用乾燥機20を遠隔制御できる制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロード(読み込み)することができ、兼用乾燥機20の制御装置33の記憶部33Rに格納してある汚れ検知結果を、上記のように表示部73で表示させることが可能となっている。
(その5:塵埃判定部61の動作)
次に、図6に示した塵埃センサー(塵埃検知部)60と、図8に示した塵埃判定部61との連携動作を説明する。
図20は、「寝具清掃専用」モードを選択して寝具100の清掃のみを行う場合の、制御装置33の動作を説明するフローチャートである。
ステップS1〜S4までは、図12に示したフローチャートのものと同じであるので、重複した説明は省略する。
ステップS4A、S40〜S43が「寝具清掃専用」モード特有のものである。
ステップS4Aは、ステップS4で入力操作部58に表示された特定の入力キー(例えば「清掃専用」と表示されたタッチ式キー)を、タッチ操作したかどうかを判定するステップである。ここでタッチ操作されると、「Yes」判定となり、次のステップS40に進む。タッチ操作されなかった場合には、図12に示したフローチャートの、ステップS5へ進む。
ステップS40では、自動運転モードを選択したかどうかの判定が行われる。自動運転モードを選択した場合には、次のステップS41に進む。選択しなかった場合には、手動モードの選択有無を判定するステップS42へ進む。
図21は、自動運転モードが選択された場合の動作を説明するフローチャートである。
まず、自動運転モードが選択された場合(S41)、兼用乾燥機20は、自動運転モードで寝具の清掃専用運転開始することを示す「起動開始情報」を、統合管理装置5へ送信する(S42)。
統合管理装置5の制御部36は、第2の記憶部(図示せず)に保存してある環境情報に、兼用乾燥機20のある居住空間HAを特定する位置コード等のデータをセットにして、入出力部30Aから兼用乾燥機20の入出力部91に送信する(S43)。また、寝具100の特定情報も送信する。ここでいう環境情報では、特に現在の居住空間HAにおける、気温情報、塵埃飛散度(単位空気容積あたりの塵埃量)情報、及び花粉飛散量情報の3種類を重要視する。これらは、寝具100の清掃結果に影響があるためである。
また前記ステップS43では、寝具識別手段59が制御装置33により起動される。すると、近距離センサー59Sから計測用の赤外線が敷き布団100Aに向けて放射される。寝具識別回路59は、前記赤外線の発光時刻から、敷き布団100Aからの反射光が届く時刻を計測し、反射時間を計算する。そしてその時間を基準に、計測された距離(間隔)と、寝具100の硬さレベルを対応させたテーブルから、敷き布団100Aの硬さのレベルを特定する(例えば、「硬い」と特定)。
制御装置33の中央制御部109では、(過去の)寝具の清掃時のデータや寝具100の特定情報(敷き布団100Aの硬さ識別結果を示す情報を含む)等の各種データを参考にして、移動経路MKと、1秒あたりの移動速度を決定し、それら両者の関係から清掃専用運転の時間(所要時間)を計算する(S44)。なお、ここでいう「清掃専用運転の時間」とは、後述するステップS50を基準にして、電動送風機48に通電開始してからその通電を終えるまでの時間をいう。
次に中央制御部109は、計算して求めた運転清掃専用運転の時間を、入力操作部58に数字で表示し、また音声ガイド部108に報知させる。音声ガイド部108は、例えば「寝具の清掃運転を開始します。運転終了まで60分掛かります」等のように報知する。そして、この条件で運転開始して良いかと使用者に確認を求めるような案内をする(S45)。なお、前記寝具識別手段59によって敷き布団100Aの硬さを計測した結果を報知しても良い。例えば、「敷き布団の硬さは、硬いタイプであると計測しました。異なっていれば、入力キーで変更して下さい」のように使用者へ音声で確認を促せば、さらに良い。1秒あたりの移動速度は、前記敷き布団100Aの硬さの情報が反映されて自動的に微調整される。
次に前記ステップS45から所定時間内(例えば1分以内)に、入力操作部58の所定のキー(スタート開始指令用)にタッチ操作があるかどうかを判定し(S46)、タッチ操作があれば、ステップS48に進む。ステップS48では、乾燥専用運転を開始することを入力操作部58においてLED101で表示し、また音声ガイド部108から音声で報知する。
前記ステップS46で所定のキー(スタート開始指令用)にタッチ操作がない場合には、中央制御部109は、入力操作部58に、所定の入力キーを、特に(LEDで裏側から光で照らし)強調して表示させ、その入力キーにタッチすることで、入力が有効になるようにする。そして入力操作部58や音声ガイド部108により、使用者に対して希望の運転条件を入力するように促す(S47)。そして、使用者の入力に応じてステップS44に戻り、再度清掃運転の所要時間の計算等を行う。
なお、ステップS47の段階で、図20に示したステップS43に移行し、完全に手動モードに切り換えるように運転モードを変更しても良い。手動モードでは、前記したステップS44のような所要時間の計算はするが、その前に、基礎データとして敷き布団100Aのサイズを入力する必要がある。そして中央制御部109から使用者へ表示、又は報知された移動経路の概要と、所要時間(目安時間)とを、使用者は、確認してそれで良ければ同意することを入力操作部58で入力する必要がある。また、寝具識別手段59は起動されず、敷き布団100Aの硬さは計測されない。
次にステップS49では、制御装置33は入出力部91を介して統合管理装置5に対し、清掃専用運転開始したことを示す報知信号と、予想される清掃運転の所要時間を踏まえ、最終的に運転が停止するまでの所要時間の情報とを、送信する。
次のステップS50では、イオン発生デバイス72に通電が行われ、また電動送風機48にも通電が行われ、清掃運転が開始される。本体ケース20Cからは温風が吹き出されない。そして次のステップS51へ進む。電動送風機48で送風が行われている時には、イオン発生デバイス72はイオンを発生させている。電動送風機48への通電を停止すれば、同時にイオン発生デバイス72の通電も停止される。
次に、図22について説明する。
図22は、自動運転モードで、清掃専用モードで運転が開始された場合の動作(ステップS51〜S61)を説明するフローチャートである。
まず、ステップS51では、自動運転モードでの清掃運転時間を制御するため、中央制御部109は、経過時間をカウントする。この経過時間のカウントには、時計回路93(図7参照)からの時刻情報が利用される。
次に、ステップS52では、中央制御部109が、異常時処理部111に指令して、各種検知部98からの電気的又は物理的監視データを取得する。例えば、機械的駆動部94の回転判定部97からのデータ、電流検出部53Aで計測された電流値、その他として温度監視データ等を取得する。また、塵埃量検知部60から得られた塵埃量計測データを、塵埃判定部61で判定させる。
次のステップS53で異常状態が認められるかどうかの判定を異常時処理部111が行う。異常がなかった場合には、寝具表面検知部62によって寝具100Aが前方進行方向(FD)に存在するかどうか検知動作する(S54)。
次のステップS55で異常状態が認められなかった場合には、次のステップS56に進み、清掃運転の開始からの経過時間のチェックを行う。
そして、次のステップS57で、所定の経過時間に到達したことが判定されると、次のステップS58に進み、清掃運転開始からステップS57までの運転履歴情報を、中央制御部109が取得し、記憶部33Rに格納する。
そしてステップS59では、中央制御部109は、清掃運転の停止のため、運転停止を示す報知信号を統合管理装置5に送信する。その際に、前記ステップS58で取得した運転履歴情報を併せて送信しても良い。またステップS60では、清掃運転の停止のため、電動送風機48とイオン発生デバイス72への通電を停止する。そして一連の運転を終了する(S61)。
前記ステップS53で、異常状態が認められた場合には、ステップS62へ進み、その異常内容に応じた対応措置を、異常時処理部111が決定し、そのための各種指令信号を中央制御部109が発令する。
前記ステップS55で異常状態が認められた場合には、ステップS63へ進む。異常状態が認められた部分が、例えば吸込口ユニット51のブラシ駆動部53であった場合について説明する。清掃運転中、常にブラシ52は専用のモータを備えたブラシ駆動部53で回転駆動されている。そのモータ部に流れる電流の状態を電流検出部53Aが監視している。ブラシ52が何らかの障害物でロックし、回転しない場合には、その異常状態が電流検出部53Aで感知される。そこで、この異常が検知された場合には、このステップS63で、異常時処理部111は、問題が発生した吸込口ユニット51のブラシ駆動部53への電力供給を停止し、入力操作部58に、異常発生をLED101の発光で知らせる。また無線入出力部91から統合管理装置5に対して、異常が発生した報知信号を送信する。統合管理装置5が受信した家電機器EEの異常報知を、情報通信端末機器25で常に受信するように設定しておけば、家電機器EEの一種である兼用乾燥機20からの上記異常発生も、情報通信端末機器25で知ることができる。
また前記ステップS55で、異常状態が認められた部分が、塵埃判定部61であった場合について説明する。
電動送風機48の運転を開始して敷き布団100Aと掛け布団100Bの間の空間の空気を本体ケース20Cの通風ダクト54に順次吸引した場合、ある時点で塵埃センサー60が塵埃量の急増を検知する場合がある。このような時には、一時的に電動送風機48への供給電力を増加させて(あるいは駆動電力の周波数を変化させ)、吸引する空気の量を増加させ、寝具100の塵埃を確実に捕集するよう対応する。また逆に、ある時点で塵埃センサー60が塵埃量の急減を検知し、その状態が数秒以上継続する場合がある。このような時には、一時的に電動送風機48への供給電力を下げさせて(あるいは駆動電力の周波数を変化させ)、吸引する空気の量を減少させ、電動送風機48の消費電力を削減するよう対応する。なお、電動送風機48の吸気能力を増加させる代わりに、本体ケース20Cの移動速度を低下させ、同一個所での清掃時間を長くするという方法にしても良い。このように移動速度を変化させた場合、最終的な清掃所要時間が変化する場合があるが、このような変化に応じてステップS57の時間も自動的に修正される。
また、前記ステップS55で、敷き布団100Aの存在が確認できないという異常状態が認められた場合には、ステップS63へ進み、寝具100Aが検知されないという異常内容に応じた対応措置を、異常時処理部111が決定し、そのための各種指令信号を中央制御部109が発令する。このステップS63については、図14で説明したステップS30の内容と基本的に同じであるので、説明は省略する。
この実施の形態1の前記統合管理装置5は、その統合環境検知部9の環境センサーの1種として、空気中の花粉の飛散量を測定する花粉センサー(図示せず)と、空気中の単位容積あたりの塵埃量を測定する塵埃センサー(図示せず)と、を備えている。この構成であるから、兼用乾燥機20は、寝具の表面に堆積した所謂「ハウスダスト」の量を、清掃開始の段階で検知し、そのハウスダストの量に応じて前記したように電動送風機48の吸引力を自動的に変更できる。これに加えて、清掃後の清掃効果、空気清浄度を確認する意味で、清掃の終盤で塵埃量の再チェックを行うこと、またその居住空間の環境状態を知ることができる。
具体的には、上記のステップS58の後に、例えば図22に示すステップS58Aのように、塵埃量検知部60と、統合管理装置5の統合環境検知部9の働きにより、寝具100の塵埃と、室内(居住)空間の塵埃量をそれぞれ計測させることができる。そしてこれらの計測結果を、入力操作部58で表示させたり、音声ガイド部108で報知させたりすることができる(S58B)。
図20で説明したように、兼用乾燥機20を運転する場合、主電源スイッチ70をONした後、最初に運転モード選択を促す表示・報知が行われた(ステップS4)。
そしてこの表示・報知を参考に、使用者が乾燥運転や清掃専用運転等の各種運転モードを選択できた。
この実施の形態1では、これまで説明したものを含め、以下の各種運転モードを使用者が自由に選択できることが特長である。以下、各種運転モードの内容について説明する。
図23は、各種運転モードの一覧表である。この表において、#1〜#11は、説明のために付けた運転モードの整理番号である。
#1:手動(経路と時間確認)運転
#2:お急ぎ(クイック)運転
#3:集中(念入り)乾燥
#4:自動運転A
#5:自動運転B
#6:睡眠時間対応A
#7:睡眠時間対応B
#8:睡眠時間対応C
#9:暖房コースA
#10:暖房コースB
#11:布団情報コース
#12:情報通信端末機器入力コース
#13:布団掃除コースA
#14:布団掃除コースB
#1:手動(経路と時間確認)運転
兼用乾燥機20の移動経路MKを決める基礎的なデータである「敷き布団のサイズ」を、使用者が設定し、その入力結果に応じて移動経路MKを制御装置33が自動で算出し、その結果と、乾燥運転の所要時間(例えば、「60分」のように数字で)の概算とが使用者に表示・報知され、それに同意すれば移動経路MKが決定される。
制御装置が移動経路MKの移動を終了したと判断した時点で、寝具乾燥機20の運転が終了する。乾燥運転を終了する場合の、各部分の動作順序は以下の通りである。
(1)機械的駆動部94への通電(給電)を停止(寝具表面検知部62の動作停止とイオン発生デバイス72への通電停止)。
(2)電気ヒータ46への通電停止。
(3)電動送風機48への通電停止。
(4)汚れ検知部66の動作停止。
なお、使用者が最初に入力操作部58で入力する条件は、敷き布団100Aの縦寸法(LA)と横幅寸法WA(但し、5cm刻み)である。又は、「シングルサイズ」、「ダブルサイズ」等の、大きさを示す指標である。これら寸法や指標は、使用者がインプット又は選択する必要がある。
また、前記情報通信端末機器25を利用して、敷き布団の大きさ(サイズ)の情報(特定情報の1種)を兼用乾燥機20にインプットできるが、これについては後で述べる。
#2:お急ぎ(クイック)運転
#1の「手動運転」のモードを、使用者の選択によって、より短時間に完了させるものである。
図11と図13で説明したように、寝具乾燥機20の本体ケース20Cは、直線的に前進する場合には、数秒間(所定時間T1)程度掛けて距離SF(例えば、5cm)を移動する。このように本体ケース20Cを移動させることが、上記手動運転でも、通常の自動運転でも採用されている速度基準である。しかし、このお急ぎ(クイック)運転では、所定時間T1を移動する所要時間を、30%又は最大で50%短縮するものであり、結果的に1枚の敷き布団100Aの乾燥完了時間を大幅に短縮できる。
このお急ぎ運転を選択した場合、兼用乾燥機20の移動経路MKを決める基礎的なデータである「敷き布団のサイズ」を、使用者が設定すると、その入力結果に応じて移動経路MKを制御装置33が自動で算出する。移動速度は標準値に対して「お急ぎ運転」の場合には所定の率(例えば130%)を掛けて、速度を増すように変更しても良い。これらの算出結果と、乾燥運転の所要時間の概算とが使用者に表示・報知され、それに同意すれば移動経路MKが決定される。例えば、所要時間は「40分」のように数字で表示される。なお、「敷き布団のサイズ」を、使用者が設定したあとで、お急ぎ運転を選択する、という入力操作をした場合も同じ動作を行えるようにしてある。
制御装置が移動経路の移動を終了したと判断した時点で、兼用乾燥機20の運転が終了する。乾燥運転を終了する場合の、各部分の動作順序は以下の通りであり、前記手動運転と基本的に同じである。
(1)機械的駆動部94への通電(給電)を停止(寝具表面検知部62の動作停止とイオン発生デバイスへの通電停止)。
(2)電気ヒータ46への通電停止。
(3)電動送風機48への通電停止。
(4)汚れ検知部66の動作停止。
なお、使用者が最初に入力操作部58で入力する条件は、敷き布団100Aの縦寸法(LA)と横幅寸法WA(但し、5cm刻み)である。又は、「シングルサイズ」、「ダブルサイズ」等の、大きさを示す指標である。これら寸法や指標は、使用者がインプット又は選択する必要がある。
また、前記情報通信端末機器25を利用して、敷き布団サイズの情報を寝具乾燥機20にインプットできるが、これについては後で述べる。
#3:集中(念入り)運転
#1の「手動運転」のモードに比較して、乾燥所要時間を長時間に変更でき、結果的に乾燥度を強化するものである。
兼用乾燥機20の移動経路MKを決める基礎的なデータである「敷き布団のサイズ」を、使用者が設定し、その入力結果に応じて移動経路MKを制御装置33が自動で算出し、その結果と、乾燥運転の所要時間(例えば、「90分」のように数字で)の概算とが使用者に表示・報知され、それに同意すれば移動経路MKが決定される。なお、「敷き布団のサイズ」を、使用者が設定したあとで、集中(念入り)運転を選択する、という入力操作をした場合と、集中(念入り)運転を選択したあとで、敷き布団のサイズを、使用者が設定した場合との何れの場合でもこの集中(念入り)運転が行えるようにしてある。
図11と図13で説明したように、数秒間掛けて本体ケース20Cを所定距離SF(例えば、5cm)移動させることが、上記手動運転でも、通常の自動運転でも採用されている速度基準である。この集中(念入り)運転では、所定時間T1を移動する所要時間が、30%又は最大で50%延長され(逆に所定時間あたりの本体ケース20Cの移動速度は低下し)、結果的に1枚の敷き布団100Aの乾燥完了時間は長くなるが、敷き布団100Aの乾燥度は大幅に向上させられる。
なお、単位時間あたりの移動速度、すなわち、所定距離SFの移動速度を低速度にして乾燥度を上げる方法に代えて、1カ所における乾燥時間を長くする方法でも良い。例えば、図17で説明した一時停止位置(X1、X2、・・)において、寝具乾燥機20の本体ケース20Cが、水平面上を360度(1回転)かそれ以上回転するようにし、その回転中も本体ケース20Cから温風を吹き出すようにしても良い。これによれば、その1つの一時停止位置で、より広い面積に向けて温風を吹き出すことができ、乾燥効果を上げることになる。
制御装置33が移動経路の移動を終了したと判断した時点で、兼用乾燥機20の運転が終了する。乾燥運転を終了する場合の、各部分の動作順序は以下の通りであり、前記手動運転と基本的に同じである。
(1)機械的駆動部94への通電(給電)を停止(寝具表面検知部62の動作停止とイオン発生デバイス72への通電停止)。
(2)電気ヒータ46への通電停止。
(3)電動送風機48への通電停止。
(4)汚れ検知部66の動作停止。
なお、使用者が最初に入力操作部58で入力する条件は、敷き布団100Aの縦寸法(LA)と横幅寸法WA(但し、5cm刻み)である。又は、「シングルサイズ」、「ダブルサイズ」等の、大きさを示す指標である。これら寸法や指標は、使用者がインプット又は選択する必要がある。
#4:自動運転A
図12〜図14に示す動作フローチャートを基本とした運転であるが、以下の点で異なっている。
(1)図12のステップS2では「統合管理装置に起動情報送信」となっているが、この動作を省略できる。
(2)図13のステップS9では「自動運転開始予告信号を統合管理装置に送信」となっているが、このステップ9の動作を省略できる。
(3)図13のステップS10では「寝具の特定情報を統合管理装置から取得」となっている動作は存在しない。代わりに、使用者による入力操作部58からの「敷き布団サイズに関する情報の取得」という動作になる。
(4)図13のステップS16の「乾燥運転開始、運転時間情報を統合管理装置に送信」という動作を省略できる。
(5)図14のステップS27の「運転履歴情報と停止情報を統合管理装置に送信」という動作を省略できる。
#5:自動運転B
図12〜図14に示す動作フローチャートを基本とした運転である。図18で説明した汚れ検知部66の動作において、以下の点で異なっているので、図24を参照しながら説明する。図24は、自動運転Aの特徴である「情報通信端末機器25」又は「統合管理装置5」(これを経由した情報サーバー27)での汚れ度合いの判定と、兼用乾燥機20の制御装置33の動作フローチャートである。
図24に示すフローチャートは、統合管理装置5を利用して汚れ度合いの判定を行う場合を示すもので、ステップSB1〜SB7は、図18で説明したものと同じであるので、重複した説明は省略する。
ステップSB12は、図18で説明したステップSB12と同じである。
ステップSB12では、撮影部106が、一時記憶部114に蓄積してある撮影データを、撮影日時データと一緒にして記憶部33Rに移送する。
次のステップSB20では、撮影部106が一時記憶部114に蓄積してある撮影データを全部消去する。
次のステップSB21では、統合管理装置5に、外部判定用のデータとして前記記憶部33Rに移送してある撮影データを、取得日時のデータとセットにして入出力部91から無線通信で送信する。
統合管理装置5では、仮にこの内部に寝具の汚れレベル解析用の専用ソフトウェアを保有していれば、当該ソフトウェアで判定処理される。この実施の形態1では、家庭の外部にある情報サーバー27にて専門的な汚れ判定処理を行うように求めることができる。何れにしても、統合管理装置5か情報サーバー27にて行われた汚れレベルの判定処理結果は、統合管理装置5の入出力部30Aから寝具乾燥機20の入出力部91経由で制御装置33に届く。そこでその判定結果は、記憶部33Rに格納される(ステップSB22)。
兼用乾燥機20では、入力操作部58のLED101を発光させて、判定結果が届いたことを表示し、また音声ガイド部108でも同様に判定結果の到着を音声で報知する(ステップSB23)。以上により、汚れ検知部66を利用した外部判定処理を終了する(SB24)。
図25に示すフローチャートは、情報通信端末機器25を利用して汚れ度合いの判定を行う場合を示すもので、ステップSB1〜SB7は、図18で説明したものと同じであるので、重複した説明は省略する。
ステップSB12は、図18で説明したステップSB12と同じである。
ステップSB12では、撮影部106が、一時記憶部114に蓄積してある撮影データを、撮影日時データと一緒にして記憶部33Rに移送する。
次のステップSB30では、撮影部106が一時記憶部114に蓄積してある撮影データを全部消去する。
次のステップSB31では、音声ガイド部108から「汚れ判定のための計測データを保存してあり、情報通信端末機器25からNFC通信で簡単に読み出せること」を報知し、情報通信端末機器25で敷き布団100Aの汚れ度合いを確認する動作を使用者に促す。そして、主電源スイッチ70を自動的にOFFにして(SB32)、一連の動作を終了する(SB33)。
制御装置33では、前記ステップSB30の際、情報通信端末機器25からNFC通信で情報の読み出し要求がNFC制御回路28に届くことを想定し、当該NFC制御回路28に、記憶部33Rに格納した撮影データの読み出し準備を指令する。
情報通信端末機器25を、兼用乾燥機20の本体ケース20Cの外殻部にあるNFC入出力部63に接近させ、所定の通信セッションを確立させれば、情報通信端末機器25が撮影データを取得できる。その情報通信端末機器25から、家庭の外部にある情報サーバー27にそのデータを送信して、情報サーバーの解析用の専用ソフトウェアで判定処理された結果を、情報通信端末機器25で受信し、その表示部73の表示画面で確認することができる。
以上の説明から明らかなように、この「情報通信端末機器25」又は「統合管理装置5」を利用した外部判定処理を行う場合には、図8で説明した判定部107は必ずしも必要ではない。しかし、判定部107によって一次判定した分析データを、統合管理装置5か情報サーバー27に送信して、より正確な二次判定を求めるようにしても良い。
#6:睡眠時間対応運転A
図12〜図14に示す動作フローチャートを基本とした運転であるが、以下の点で異なっている。
(1)図12のステップS2では「統合管理装置に起動情報送信」となっているが、この動作を省略できる。
(2)図13のステップS9では「自動運転開始予告信号を統合管理装置に送信」となっているが、このステップ9の動作を省略できる。
(3)図13のステップS10では「寝具の特定情報を統合管理装置から取得」となっている動作は存在しない。代わりに、使用者による情報通信端末機器25からの「睡眠時間情報の取得」という動作になる。
(4)図13のステップS16の「乾燥運転開始、運転時間情報を統合管理装置に送信」という動作を省略できる。
(5)図14のステップS27の「運転履歴情報と停止情報を統合管理装置に送信」という動作を省略できる。
この「睡眠時間対応運転A」の運転メニューの特徴は、乾燥や清掃しようとする敷き布団100Aの使用時間、つまり就寝者の就寝時間を把握し、その結果に応じて乾燥運転や清掃運転の条件(運転時間や乾燥度合い等)を調整しようというものである。
情報通信端末機器25に個人の睡眠時間データを取得する技術は既に提案されているので、この実施の形態1でも、そのような機能の情報通信端末機器25を用いて良い。
さらに、統合管理装置5は、就寝者の生体データを取得して睡眠時間を正確に計測し、データを蓄積するための睡眠判定部23(睡眠判定部本体23M)を有している。このため、この寝具100の就寝者が、情報通信端末機器25を保有しない居住者、例えば子供や高齢者であっても、睡眠判定部23の情報を、NFC入出力部40経由で寝具乾燥機20に伝達し、それによって制御装置33で、例えば自動的に乾燥時間を長く設定するという制御を指定することができる。例えば、夏場において1週間就寝に使用した敷き布団100Aと、2日間使用した敷き布団100Aとでは、それぞれの敷き布団100Aに蓄積されている水分量が異なる。この「睡眠時間運転A」の運転メニューによれば、そのような敷き布団100Aの使用実績に応じた制御を、使用者が簡単に設定できる。毎日の就寝時間の累積を使用者が記録するというような面倒な作業は不要である。
#7:睡眠時間対応運転B
図12〜図14に示す動作フローチャートを基本とした運転であるが、この運転モードに関係するステップは以下の通りである。
(1)図12のステップS2の通り、統合管理装置5に起動情報送信する。
(2)図13のステップS9の通り、自動運転開始予告信号を統合管理装置5に送信する。
(3)図13のステップS10の通り、寝具の特定情報を統合管理装置5から取得する。
なお、図13のステップS16の「乾燥運転開始、運転時間情報を統合管理装置に送信する」と、図14のステップS27の「運転履歴情報と停止情報を統合管理装置に送信」という動作は、省略しても良い。これら2つのステップは、敷き布団100Aに関する睡眠時間情報を、乾燥運転や清掃運転に反映させるという動作には必須ではないためである。
この「睡眠時間対応運転B」の運転メニューの特徴は、乾燥や清掃しようとする敷き布団100Aの使用時間、つまり就寝者の就寝時間を、統合管理装置5を利用して把握し、その結果に応じて乾燥運転や清掃運転の条件(運転時間や乾燥度合い等)を調整しようというものである。
この実施の形態1の統合管理装置5は、就寝者の生体データを取得して睡眠時間を正確に計測し、データを蓄積するための睡眠判定部23(睡眠判定部本体23M)を有している。このため、この家庭の居住者の全員が、仮に情報通信端末機器25を保有しない居住者、例えば子供や高齢者の場合であっても、睡眠判定部23の情報を、直接寝具乾燥機20に伝達し、それによって制御装置33で、例えば自動的に乾燥時間を長く設定するという制御を指定することができる。例えば、夏場において1週間就寝に使用した敷き布団100Aと、2日間使用した敷き布団100Aとでは、それぞれの敷き布団100Aに蓄積している水分量が異なる。この「睡眠時間運転B」の運転メニューによれば、そのような敷き布団100Aの使用実績に応じた制御を、使用者が簡単に設定できる。毎日の就寝時間の累積を使用者が記録するというような面倒な作業は不要である。
#8:睡眠時間対応運転C
この「睡眠時間対応運転C」の運転メニューの特徴は、乾燥や清掃しようとする敷き布団100Aの使用時間、つまり就寝者の就寝時間を使用者が入力し、その結果に応じて乾燥運転や清掃運転の条件(運転時間や乾燥度合い等)を調整しようというものである。
図12〜図14に示す動作フローチャートを基本とした運転であるが、以下の点で異なっている。
(1)図12のステップS2では「統合管理装置に起動情報送信」となっているが、この動作を省略できる。
(2)図13のステップS9では「自動運転開始予告信号を統合管理装置に送信」となっているが、このステップ9の動作を省略できる。
(3)図13のステップS10では「寝具の特定情報を統合管理装置から取得」となっている動作は存在しない。代わりに、使用者が、入力操作部58で、睡眠時間の情報を直接インプットする動作が必要になる。
(4)図13のステップS16の「乾燥運転開始、運転時間情報を統合管理装置に送信」という動作を省略できる。
(5)図14のステップS27の「運転履歴情報と停止情報を統合管理装置に送信」という動作を省略できる。
この「睡眠時間対応運転C」の運転メニューの特徴は、乾燥や清掃しようとする敷き布団100Aの使用時間、つまり就寝者の就寝時間を兼用乾燥機20の使用者や就寝者が把握し、その時間の数字等を運転開始時に、入力操作部58でインプットし、この入力結果に応じて兼用乾燥機20側が乾燥運転や清掃運転の条件(運転時間や乾燥度合い等)を調整しようというものである。この運転メニューは、兼用乾燥機20のある家庭で、情報通信端末機器25や統合管理装置5の機器や設備がない場合にも利用できるので、それら機器や設備を購入せずに、乾燥運転を行うことができるという利点がある。
#9:暖房コースA
この「暖房コースA」の運転メニューの特徴は、特に冬の季節において、就寝時の布団を事前に温めることである。就寝時に布団が冷たいと、快適な眠りになるまでに時間を要するという問題は従来から知られていた。そこで、この暖房コースでは、敷き布団100Aと掛け布団100Bの間を移動する兼用乾燥機20を暖房機として利用する。
使用者は、図12に示したフローチャートのステップS4の段階で、暖房コースを選択する。その際に、狭い面積を早く、効果的に温めるために、「暖房エリア選択」という操作を行う。ここでいう「エリア」とは、兼用乾燥機20の側で事前に移動する範囲を設定してある範囲をいう。例えば、図11に示した敷き布団100Aの長手方向の中心線CL1を挟んだ両側が、それぞれエリアとして設定してある。図11に示しているように、使用者が就寝した場合の胸元側になる半分を「胸元側エリア」ZO1と呼び、足元側を「足元側エリア」ZO2と呼ぶ。
使用者は、図12に示したフローチャートのステップS4のあと、暖房する対象部分を胸元側エリアZO1と足元側エリアZO2の何れか一方から選択する必要がある。この胸元側エリアZO1、足元側エリアZO2の選択に応じて、制御装置33は、兼用乾燥機20の本体ケース20Cを移動させる経路MKを(事前に用意した経路プログラムの中から選択し)設定する。なお、多くの場合は、足元側を温める場合が多いと思われる。
兼用乾燥機20は、この限られたエリアの中を、制御装置33からの指令信号に従って自動的に移動する。その移動時には、ブラシ駆動部53への電力供給はせず、また汚れ検知部66も起動しない。電気ヒータ46へ電力を集中させ、少しでも暖房効果を高めるようにしている。
#10:暖房コースB
この「暖房コースB」の運転メニューの特徴は、前記「暖房コースA」と同様に、特に冬の季節において、就寝時の布団を事前に温めることである。就寝時に布団が冷たいと、快適な眠りになるまでに時間を要するという問題は従来から知られていた。そこで、この暖房コースでは、敷き布団100Aと掛け布団100Bの間を移動する兼用乾燥機20を、暖房機として利用する。
使用者は、図12に示したフローチャートのステップS4の段階で、暖房コースを選択する。その際に、狭い面積を早く、効果的に温めるために、前記「暖房コースA」のように「暖房エリア選択」という操作を行うこともできるが、敷き布団100A全体、つまり、胸元側エリアZO1と足元側エリアZO2の両者を同時に選択できる。
図12に示したフローチャートのステップS4のあと、暖房運転の開始前に、その敷き布団100Aのある居住空間HAの気温の情報を、兼用乾燥機20に自動的に取得させることが、この運転メニューの特徴である。
具体的には、図13に示したフローチャートのステップS10では、兼用乾燥機20は、睡眠時間の情報を統合管理装置5から取得したが、この「暖房コースB」の場合には、統合管理装置5から居住空間HAの気温の情報を取得する。
図12に示したフローチャートのステップS2で説明したように、最初に統合管理装置5は、自動運転開始予告信号(起動情報)を受ける。その統合管理装置5の制御部36は、統合環境検知部9に対して、最新の環境情報を取得するように指令する。統合環境検知部9は、兼用乾燥機20が設置されている寝室等の気温や湿度等の環境情報を取得して、制御部36に送信する。
次に、制御部36は、兼用乾燥機20が設置されている寝室等において、他に運転中の家電機器EEがある場合、その運転情報を取得する。例えば、空気調和機3が運転中であり、運転開始から120分経過していること等の付帯情報も取得する。このような情報取得は、統合管理装置5に対して、兼用乾燥機20やその他各家電機器EEの設置位置の情報が登録されているため可能となる。仮に登録していない場合でも、実施の形態1では、電源タップADにより、居住空間の兼用乾燥機20やその他各家電機器EEから、設置されている居住空間HAを示す位置情報、部屋情報等の識別コードを統合管理装置5に対して送信する。このため、統合管理装置5側の制御部36では、兼用乾燥機20がある居住空間の中にあるその他の家電機器EEを容易に検索して特定できる。
このため、図13に示したフローチャートのステップS11では、運転時間と移動経路を計算する際に、電気ヒータ46の能力(消費電力)も決定される。例えば、気温が10℃以下では、暖房能力を最大とし、10℃を超える場合では、事前に定めた定常時の暖房能力となるように自動調整する。この場合、「暖房エリア選択」が行われて胸元側エリアZO1と足元側エリアZO2の何れか一方のみが暖房の対象になる場合には、当然ながら暖房能力は変化する。
また、図13に示したフローチャートのステップS17で、電動送風機48と電気ヒータ46に通電開始して暖房開始した以後、一定時間間隔(例えば5分毎)で、制御装置33は、統合管理装置5からその兼用乾燥機20のある寝室等の気温の情報を取得して、ヒータ46の供給電力を調節するようにしても良い。例えば、兼用乾燥機20の運転開始時の気温が低くとも、その運転中に、空気調和機3の暖房効果で室温が上がることが想定される。このような制御を採用すると、兼用乾燥機20による過剰な暖房を防止できる。
#11:布団情報コース
この「布団情報コース」の運転メニューの特徴は、図12、図13のフローチャートを参照しながら説明したように、統合管理装置5から寝具100の特定情報を取得して乾燥運転や清掃運転に活用することを特徴としている。
また、前記「暖房コースB」で説明したように、統合管理装置5から、兼用乾燥機20が設置されている寝室等における気温やその他環境情報を取得することも、この「布団情報コース」の運転メニューの特徴の1つである。つまり、1つの寝室等の居住空間HAにおいて、寝具乾燥や清掃を行う場合に統合管理装置5からの情報を有効活用するものである。なお、この「布団情報コース」の動作ステップは、図12〜図15に詳しく説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
情報通信端末機器入力コース
布団情報コースの中の1つのコースである。
この運転メニューの特徴は、情報通信端末機器25で、使用者が寝具の特定情報や希望する条件等、運転開始に必要な主要情報を入力し、それらを情報通信端末機器25から兼用乾燥機20に一括して入力して乾燥運転や清掃運転に活用することを特徴としている。
情報通信端末機器25から、寝具の特定情報や希望する条件等の情報(以下、「事前入力情報」という)を入力するタイミングは、兼用乾燥機20の主電源スイッチ70をONにして、運転条件を設定する過程で行う場合と、主電源スイッチ70をONする前の兼用乾燥機20が全く稼働していない段階で行う場合との2種類ある。以下、後者の場合を前提にして動作を説明する。なお、前者の場合には、図13に示したフローチャートのステップS11のような、移動経路と運転時間を決める前の操作段階で、通信セッションを確立させて行う必要がある。
図26は、兼用乾燥機20の制御装置33の動作を示すフローチャートである。SC1〜SC13は、各動作ステップを示している。
兼用乾燥機20が全く稼働していない停止状態で、スタート(SC1)する。
まず、使用者が寝具の特定情報等の「事前入手情報」を事前に入力した情報通信端末機器25を、兼用乾燥機20の本体ケース20C上部の所定位置に接近させると、情報通信端末機器25とNFC入出力部63とが接近し、その両者間で通信セッションが確立する(SC2)。
この通信セッションが確立している期間中、NFC制御回路28は情報通信端末機器25から、事前入力情報を取得してNFC記憶部31に記憶させる(SC3)。
事前入力情報の取得が完了すると、NFC制御回路28は完了したことを情報通信端末機器25へ通知する(SC4)。この通知を受けて、情報通信端末機器25は、報知部87で完了音を出す。そこで使用者は、情報の読み込みが終わったことを知ることができるので、情報通信端末機器25をNFC入出力部63から離す。これにより通信セッションが終了する(SC5)。このような兼用乾燥機20への情報通信端末機器25による事前入手情報の格納時期は、その兼用乾燥機20の運転を開始する相当前であっても良く、また直前であっても良い。
次に使用者が、兼用乾燥機20の入力操作部58を操作して主電源スイッチ70をONする(SC6)。これは図12のステップS1と同じである。図26、図27では、図12又は図13のステップと同じ又は対応するステップには、このステップS1の例のように、括弧を付けてステップの番号を併記する。
主電源スイッチ70をONすると、電源回路92を介して制御装置33が起動される。そして各種検知部98からの検知信号を制御装置33がチェックし、異常の有無が判定される。また異常がない場合には、入出力部91を介して統合管理装置5に対し、所定の起動開始情報を送信する(SC7)。
制御装置33は、入力操作部58を起動して、使用者からのタッチ入力を受け付ける準備を完了し、音声ガイド部108を起動して、使用者に対し事前入手情報の有無をチェックすることを報知する(SC8)。
次に制御装置33は、事前入力情報が兼用乾燥機20に届いているかどうかをチェックし(SC9)、当該事前入力情報があった場合は、ステップSC9は「Yes」となり、次のステップSC10へ進む。
一次記憶部31に格納されていた事前入力情報は、制御装置33の記憶部に移され、そこに記憶される(SC10)。
次に制御装置33は、自動運転モードのメニュー選択ステップSC11に進む。なお、前記ステップSC9で、事前入力情報が兼用乾燥機20に届いていなかった場合は、ステップSC9は「No」となり、図12の運転モード選択を促すステップS4に進む。
次に、図27に示すフローチャートについて説明する。
SC12〜SC22が、実際に寝具の乾燥運転が開始されるまでの動作を示すステップである。
自動運転モードのメニュー選択ステップが開始される(SC12)と、兼用乾燥機20から、自動運転の開始予告信号が統合管理装置5に向けて送信される(SC14)。但し、統合管理装置5がない家庭では、このステップは不要であるので、必須のステップではない。
また前記ステップSC14では、寝具識別手段59が制御装置33により起動される。すると、近距離センサー59Sから計測用の赤外線が敷き布団100Aに向けて放射される。寝具識別回路59は、前記赤外線の発光時刻から、敷き布団100Aからの反射光が届く時刻を計測し、反射時間を計算する。そしてその時間を基準に、計測された距離(間隔)と、寝具100の硬さレベルを対応させたテーブルから、敷き布団100Aの硬さのレベルを特定する(例えば、「硬い」と特定)。
次に制御装置33の中央制御部109では、事前入力情報と寝具識別手段59からの識別情報を参考にして、乾燥運転の時間と移動経路MKを計算する(SC15)。なお、ここでいう「乾燥運転の時間」とは、後述するステップSC21を基準にして、電気ヒータ46に通電開始してからその通電を終えるまでの時間をいう。兼用乾燥機20では、電気ヒータ46の通電を終えたあとも、その電気ヒータ46の残熱があるので、その後も1分程度は電動送風機48を運転するので、兼用乾燥機20の運転が完全に停止するまでの時間ではない。
次に中央制御部109は、計算して求めた移動経路MKと、その移動に要する時間等を、入力操作部58に表示し、また音声ガイド部108に報知させる。例えば音声ガイド部108は「乾燥運転開始します。乾燥運転終了まで60分掛かります。」等のように報知する。そして、この条件で運転開始して良いかと使用者に確認を求めるような案内をする(SC16)。
次に前記ステップSC16から所定時間内(例えば1分以内)に、入力操作部58の所定のキー(スタート開始指令用)にタッチ操作があるかどうかを判定し(SC17)、タッチ操作があれば、ステップSC19に進む。
前記ステップSC17で所定のキー(スタート開始指令用)にタッチ操作がない場合には、中央制御部109は、入力操作部58に、所定の入力キーを表示させ、その入力キーにタッチすることで、入力が有効になるようにする。そして入力操作部58や音声ガイド部108により、使用者に対して希望の運転条件を入力するように促す(SC18)。そして、使用者の入力に応じてステップSC15に戻り、再度乾燥運転の時間の計算等を行う。
なお、ステップSC18の段階で、図12に示したステップS8に移行し、完全に手動モードに切り換えるように変更しても良い。
次に制御装置33は、入出力部91を介して統合管理装置5に対し、乾燥運転が開始したことを示す報知信号と、予想される乾燥運転の時間を踏まえ、最終的に運転が停止するまでの所要時間の情報とを、送信する(SC20)。
次のステップSC21では、電気ヒータ46に通電が行われ、また電動送風機48にも通電が行われ、乾燥運転が開始され、本体ケース20Cから温風が吹き出される。そして次のステップSC22へ進む。なお、イオン発生デバイス72にも通電が開始される。このイオン発生デバイス72の通電時間帯は、電動送風機48への通電時間帯と同一であるので、送風が行われている時には、イオンが発生している。電動送風機48への通電を停止すれば、同時にイオン発生デバイス72の通電も停止される。
なお、これ以降の動作は、基本的に図14と同じである。ステップSC21から、図12のステップS18へ進む。
#12:布団掃除コースA
この「布団掃除コースA」の運転メニューの特徴は、敷き布団100Aと掛け布団100Bの間の閉鎖状の空間を、兼用乾燥機20が自動的に移動して敷き布団100Aの掃除をするものである。なお、兼用乾燥機20は、この布団掃除コースAと後述する布団掃除コースBの2つの運転プログラムは必須ではないが、布団乾燥機20の場合には、これらの運転プログラムは必須である。
以下、図28のフローチャートを参照しながら説明する。
図28は、兼用乾燥機20の主電源スイッチ70をONした後の動作ステップを示している。
SD1〜SD8が、制御装置33の中の中央制御部109を構成するマイクロコンピューターにプログラムで規定されている。
使用者が、兼用乾燥機20の主電源スイッチ70をONする(SD1)。すると、電源回路92を介して制御装置33が起動される。そして各種検知部98からの検知信号を制御装置33がチェックし、異常の有無が判定される。また異常がない場合には、入出力部91を介して統合管理装置5に対し、所定の起動情報を送信する(SD2)。
ここで、統合管理装置5の制御部36が、前記ステップ(SD1)以前の段階で、睡眠判定部23から睡眠時間データを取得する。この取得動作は、図12のステップ(S2)の説明の際に説明した通りであるので、説明は省略する。なお、前記睡眠時間帯や識別コード等のデータは、NFC入出力部40を介して情報通信端末機器25でも読みだすことができる。
兼用乾燥機20は、所定の起動開始情報を送信したあと、入力操作部58を起動して、使用者からのタッチ入力を受け付ける準備を完了し、音声ガイド部108を起動して、使用者に入力操作を促す(SD3)。そして運転モードの選択をするような表示をし、又はこれに代えて、あるいは加えて、音声ガイド部108から音声で運転モードの選択を促す(SD4)。
図29は、入力操作部58を上方から見た拡大平面図であり、「布団掃除コースA」と
「布団掃除コースB」の何れかを選択する場面における、入力キー102Kの表示内容も示している。なお、後述する自動運転モードAは、上下2枚の寝具の間に寝具掃除機20を走行させる「布団掃除コースA」のことをいう。自動運転モードBは、寝具の上に寝具掃除機20を載せて走行させ、掛け布団B等を掛けない状態で掃除を行う「布団掃除コースB」である。
図29において、115は、寝具清掃モードの選択を行う表示画面であることを知らせる文字情報である。116Aは、自動運転モードA(布団掃除コースA)を選択するための入力キーである。116Bは、自動運転モードB(布団掃除コースB)を選択するための入力キーである。
117Aは、清掃運転の停止を指令する入力キー、117Bは、清掃運転を即時停止するために入力キーである。
図28において、制御装置33は自動運転モードAが選択されたか、自動運転モードBが選択されたかどうかの判定を行う(SD5)(SD7)。
自動運転モードAは、布団掃除コースAのことをいう。自動運転モードBは、布団掃除コースBのことをいう。この布団掃除コースBは、敷き布団100Aだけを掃除するコースであり、掛け布団100Bを兼用乾燥機20の上に掛けない状態で運転するコースである。
ステップSD5で、自動運転モードAが選択された場合(図29の、入力キー116Aがタッチされた場合)には、次のステップ(SD6)へ進む。自動運転モードAが選択されない場合には、ステップSD5は、「No」となり、ステップS7へ進む。ステップS7で自動運転モードBが選択された場合には、次のステップ(SD8)に進む。
図30は、自動運転モードAが選択された場合の動作(ステップSD6、SD9〜SD17)を説明するフローチャートである。
まず、自動運転モードAが選択された場合(SD6)、兼用乾燥機20は、自動運転モードAで寝具の掃除(清掃)の運転動作を開始することを示す「起動開始情報」を、統合管理装置5へ送信する(SD9)。
統合管理装置5の制御部36は、第2の記憶部(図示せず)に保存してある睡眠時間のデータに、就寝者を示す識別コードや日時データ、居住空間を特定する位置コード等のデータをセットにして、入出力部30Aから兼用乾燥機20の入出力部91に送信する(SD10)。
また、寝具100の特定情報も送信する。この寝具の「特定情報」とは、前述したように例えば、敷き布団100Aの、平面的な大きさを示すサイズデータやサイズの識別コード(例えば、「Sは、シングルサイズ」等の区別)、当該布団の素材(内部が、羽毛か綿か、などの区別)等の情報であり、使用者が情報通信端末機器25や操作入力部37によって、統合管理装置5の制御部36にインプットすることができる。なお、特に敷き布団100Aの表の生地の素材は、兼用乾燥機20が機械的駆動部94の主要部である車輪49と、この車輪49が直接接触する敷き布団100Aの表面との間の摩擦係数に影響する。つまり、敷き布団100A自体の表面(敷き布団が布カバーによって覆われている場合には、その布カバーの表面)が、仮に滑りやすい生地や繊維状態であった場合には、車輪49が回転した場合、滑りが発生し、同じ回転数であっても本体ケース20Cの移動距離に差が出る可能性がある。そこで、そのような滑りやすい生地や繊維状態かどうかを特定情報で把握し、制御部36が車輪49の駆動速度(回転速度)や回転数を自動的に微調整するようにしている。
敷き布団100A等の寝具の「特定情報」は、図13の説明の際に詳しく述べたので、重複した説明は省略する。また情報サーバー27から寝具100(特に敷き布団100A)の特定情報を示す所定のコード(数字や記号の組み合わせ)を、情報通信端末機器25からNFC入出力部63(図6参照)を介して兼用乾燥機20に読み込ませることもできる。
さらに前記ステップSD10では、寝具識別手段59が制御装置33により起動される。すると、近距離センサー59Sから計測用の赤外線が敷き布団100Aに向けて放射される。寝具識別回路59は、前記赤外線の発光時刻から、敷き布団100Aからの反射光が届く時刻を計測し、反射時間を計算する。そしてその時間を基準に、計測された距離(間隔)と、寝具100の硬さレベルを対応させたテーブル(対応マトリックス表)から、敷き布団100Aの硬さのレベルを特定する(例えば、「硬い」と特定)。これにより「特定情報」の一部を補う。言い換えると「特定情報」を充実化できる。
前記「睡眠時間のデータ」とは、前回の寝具清掃運転の日時以後、蓄積された数日間の睡眠時間の累積時間である。前記した「起動開始情報」を受けた場合、統合管理装置5の制御部36では、その前のある日時に「起動開始情報」を受けていることの履歴情報を保有している。統合管理装置5の制御部36は、例えば7日前に「起動開始情報」を受け、その時点で睡眠時間のデータを兼用乾燥機20に送信していれば、今度は、6日前の時点から蓄積した睡眠時間のデータを兼用乾燥機20に送信することになる。つまり、前回の寝具清掃から累積した睡眠時間が分かるので、前回掃除した日を忘れても、累積の睡眠時間の情報が取得できる。なお、睡眠時間ではなく、経過日数であっても良い。例えば、前回の寝具清掃運転の日時からの累積経過時間を、1日あたり24時間で計算し、日数に直したデータにすることで良い。
制御装置33の中央制御部109では、(過去の)睡眠時間のデータや寝具100の特定情報(硬さの識別情報含む)等の各種データを参考にして、寝具清掃運転の時間と移動経路MKを計算する(SD11)。ここでいう「寝具清掃運転の時間」とは、後述するステップSD17を基準にして、電動送風機48に通電開始してからその通電を終えるまでの時間をいう。なお、兼用乾燥機20であっても寝具清掃時には、電気ヒータ46には通電しない(通電をした場合には、寝具乾燥運転となる)。
また、布団掃除コースAは、敷き布団100Aと掛け布団100Bの間の閉鎖状の空間を、兼用乾燥機20が自動的に移動して敷き布団100Aの掃除をするものである。そのため、この実施の形態1では、布団掃除コースAが選択された場合、制御装置33の中央制御部109は、電動送風機48の真空吸引力を増加させるよう、当該電動送風機48に供給する駆動電力を増加させる。なお、機械的駆動部94の車輪49の回転力も増加させるため、車輪駆動部95が駆動電力を増加させる(SD11)。
前述したように、敷き布団100Aの内部の素材や構造によって敷き布団の硬さは大きく異なり、硬い敷き布団100Aでは通気性が良くない。そこでこの実施の形態1では、前記寝具識別手段59によって敷き布団100Aの硬さを計測している。
硬い敷き布団100Aの掃除の際の「真空吸引力」は、標準より強くする。つまり、電動送風機48の回転数を増加させ、空気吸引能力を増加させる。
逆に、軟らかい敷き布団100Aの掃除の際の「真空吸引力」は、標準より弱くする。 なお、このような硬さに応じた乾燥運転時間の自動調整を行わないように、使用者が入力制御部58によって前記寝具識別手段59の機能を停止することもできる。例えば、真空吸引力を増加させた運転にすると、仮に機械的駆動部94や電動送風機48を、電池によって駆動する製品では、消費する電力が大きくなって電池の使用時間が短くなってしまう懸念があるため、そのような電源が電池である場合には、前記寝具識別手段59の機能を停止することがあり得る。
次に中央制御部109は、計算して求めた移動経路MKと、その清掃所要時間等を、入力操作部58に表示し、また音声ガイド部108から報知する。例えば「運転開始します。清掃終了まで30分掛かります」等のように報知する。そして、この条件で運転開始して良いかと使用者に確認を求めるような案内をする(SD12)。なお、前記寝具識別手段59によって敷き布団100Aの硬さを計測した結果を報知しても良い。例えば、「敷き布団の硬さは、硬いタイプであると計測しました。異なっていれば、入力キーで変更して下さい」のように使用者へ音声で確認を促せば、さらに良い。
次に前記ステップSD12から所定時間内(例えば1分以内)に、入力操作部58の所定のキー(図29の117B)にタッチ操作があるかどうかを判定し(SD13)、タッチ操作があれば、ステップSD15に進む。
前記ステップSD13で所定のキー(スタート開始指令用)にタッチ操作がない場合には、中央制御部109は、入力操作部58に、所定の入力キーを表示させ、その入力キーにタッチすることで、入力が有効になるようにする。そして入力操作部58や音声ガイド部108により、使用者に対して希望の運転条件を入力するように促す(SD14)。そして、使用者の入力に応じてステップSD11に戻り、再度運転時間の計算等を行う。
ステップSD14の段階で、図29に示したステップSD8に移行し、自動運転モードBに切り換えるように変更しても良い。自動運転モードBでは、前記したステップSD11〜SD15は同じであるが、電動送風機48の運転開始した以降の制御が少し異なる。すなわち、電動送風機48の運転が開始した時点から、掛け布団存在検知部21Sは、機能を停止しない。掛け布団100Bが使用されないためであり、掛け布団100Bが掛けてないことを、制御装置33が異常状態と誤って判断しないためである。
次にステップSD15では、制御装置33は入出力部91を介して統合管理装置5に対し、寝具清掃運転開始したことを示す報知信号と、予想される運転の時間を踏まえ、最終的に運転が停止するまでの所要時間の情報とを、送信する(SD16)。
次のステップSD17では、電動送風機48に通電開始され、吸い込み口ユニット51の所から敷き布団100Aの前上の空気が吸引される。
イオン発生デバイス72の通電時間帯は、電動送風機48への通電時間帯と同一であるので、送風が行われている時には、イオンが発生している。電動送風機48への通電を停止すれば、同時にイオン発生デバイス72の通電も停止される。
次に、図31について説明する。
図30は、自動運転モードA(寝具掃除コースA)で、運転が開始された場合の動作(ステップSD18〜SD28)を説明するフローチャートである。
まず、ステップSD18では、自動運転モードAでの清掃運転時間を制御するため、中央制御部109は、経過時間をカウントする。この経過時間のカウントには、時計回路93(図7参照)からの時刻情報が利用される。
次に、ステップSD19では、中央制御部109が、異常時処理部111に指令して、各種検知部98からの電気的又は物理的監視データを取得する。例えば、機械的駆動部94の回転判定部97からのデータ、電流検出部53Aで計測された電流値、その他として温度監視データ等を取得する。
次のステップSD20で異常状態が認められるかどうかの判定を異常時処理部111が行う。異常がなかった場合には、寝具表面検知部62によって寝具100Aが前方進行方向(FD)に存在するかどうかの判定がステップSD21で行われる。
ステップS21の次のステップS22で異常状態が認められなかった場合には、次のステップSD23に進み、乾燥運転の開始からの経過時間のチェックを行う。
そして、次のステップSD24で、所定の経過時間に到達したことが判定されると、次のステップSD25に進み、運転開始からステップSD24までの運転履歴情報を、前記中央制御部109が取得し、記憶部33Rに格納する。
そして次のステップSD26では、寝具清掃運転の停止のため、まず電動送風機48への通電を停止する(SD26)。同時にイオン発生デバイス72の通電も停止される。
このような運転停止を示す報知信号を統合管理装置5に送信する。その際に、前記ステップSD25で取得した運転履歴情報を併せて送信しても良い(SD27)。そして一連の運転を終了する(SD28)。
前記ステップSD20で、異常状態が認められた場合には、ステップSD29へ進み、その異常内容に応じた対応措置を、異常時処理部111が決定し、そのための各種指令信号を中央制御部109が発令する。
また、前記ステップSD22で、異常状態が認められた場合には、ステップSD30へ進み、寝具100Aが検知されないという異常内容に応じた対応措置を、異常時処理部111が決定し、そのための各種指令信号を中央制御部109が発令する。このステップSD30については、図17で説明したものと基本的に同じであるが、少し異なる点もある。
(寝具表面検知部62と寝具汚れ判定部110の動作)
図30に示したステップSD22で、寝具100Aが検知されないという異常状態を寝具表面検知部62が検知した場合は、異常時処理部111が以下のような制御動作を決定し、各種指令信号を中央制御部109から発令する(ステップSD30)。
図17の摸式図で説明したように、敷き布団100Aの上面を、左から右縁100E方向に向かって兼用乾燥機20が移動した場合、移動経路(移動軌跡)は符号MKで示した通りである。
前述した寝具乾燥運転の場合には、図17に示した黒い点(X1、X2、X3・・・)は、兼用乾燥機20が一時停止して温風で寝具100の乾燥動作をする位置であったが、この寝具清掃運転(寝具掃除コースA、B)では、一時停止しない。X1、X2等の座標(X軸、Y軸)は中央制御部109の制御プログラムの中に生成されて特定されているが、このX1、X2の座標では兼用乾燥機20(寝具乾燥機20も)は一時停止せず、連続的な前進運動を継続する。
兼用乾燥機20の本体ケース20Cが、X3の位置を過ぎ、X4の位置に向かい、X4の位置からは図17の破線で示す半円形の経路のように、180度向きを反転させ、所定位置X5に向かう。
このX3の位置を過ぎ、X4の位置に向かっている途中で、前記寝具表面検知部62が敷き布団100Aの不存在を検知した場合には、異常時処理部111が次のような動作指令信号を中央制御部109へ発信する。
(1)兼用乾燥機20の本体ケース20Cの移動(前進動作)を、直ちに停止させる(機械的駆動部94に緊急停止指令信号が出る)。電動送付機48は停止しない。
(2)兼用乾燥機20の本体ケース20Cは、敷き布団100Aの不存在を検知して停止した位置SSから、直前の一時停止位置X3に戻るように、機械的駆動部94に、後退のための所定の駆動指令信号を出す。
(3)兼用乾燥機20の本体ケース20Cが、直前の一時停止位置X3に戻った時点で、X3の位置からはX6の位置に移動するように、次の目標位置の座標をX6の座標に変え、X3の位置から半円状に進行させ、180度向きを反転させて、位置X6まで進める。そして、X6の位置で、平常時と同様に、所定時間T2だけ静止し、この静止状態で乾燥動作を行わせる。
なお、図31で示したフローチャートにおけるステップSD18の時間カウントは、前記したX4からX3の位置に戻る期間中は停止しても良いが、X4からX3に戻るための所要時間は1分にも満たないので、ステップSD18の時間カウントは、そのまま続行していても良い。また、X3からX6に移動する時点で、図31で示したフローチャートにおけるステップSD23に復帰する。
図17の摸式図で説明したように、兼用乾燥機20の本体ケース20Cが、敷き布団100Aの不存在を検知して停止した位置SSから、敷き布団100Aの足元側になる第4辺100Eまでの距離は十分大きいので、図17に破線で半円形状に示すような移動経路MKで進行させても、敷き布団100A上面から兼用乾燥機20は脱落することはない。なお、必ずしも一時停止位置X3に戻る制御にしなくとも良い。
図32は、全ての寝具清掃運転(寝具掃除コースA、B)における兼用乾燥機20(寝具掃除機20)の吸引空気流を説明する縦断面図であり、図6の縦断面図と同様な部分で切断した場合を示しているが、集塵室54Cや電動送風機48、温風吹出口46等の主要な構成部分、部品等は図示していない。
図32に示すように、本体ケース20Cは縦断面形状が横に広がった(扁平な)楕円形状であり、その底面の中心部は、敷き布団100Aの上面に最も接近して進行方向FDに移動する(間欠的な移動ではなく、所定の低速度で連続的に移動)。
本体ケース20Cは、その底面の中心部から進行方向FDに向かって、少なくとも所定の範囲(長さ)L3は、進行方向FD側に行くに従って上方に緩やかに湾曲した壁面である。この湾曲面を傾斜面に変えても良いが、図32に示しているように所定の角度αだけ進行方向FDの前方側に開いた形になっている。
また車輪49の回転中心を通る垂直線TPから見て、開口51Hは進行方向FD側に少し離れて形成されている。そしてその開口51Hには中空の筒形に形成された吸込口ユニット51が設置され、その最も下の底面に吸込口50が大きく形成されている。そしてこの吸込口50の位置は、前記本体ケース20Cの湾曲又は傾斜した底面よりも下方に突出した所にある。これにより、吸込口50の位置は、敷き布団100Aに接近して配置されていることになる。
本体ケース20C底面の最も下方位置から見て、実質的に吸引空気流が兼用乾燥機(寝具掃除機)20に最初に吸い込まれる吸込口50の位置は、図32に示しているように常に所定寸法HBだけ上方向にある。この所定寸法の空隙は、本体ケース20Cの移動に伴って変化し、また敷き布団100A等の寝具の素材や構造によって柔軟性が変化するから、常に一定ではない。この敷き布団100Aの上面や内部を通過した空気を吸込口50から効率良く吸引できるよう、空隙の所定寸法HBは実験等によって定めている。
上記の構成であるから、図32に示したように、吸込口50に吸い込まれる空気流F1は、本体ケース20Cの進行方向FD側に広がった空間と、敷き布団100Aの側から、それぞれ吸込口50に集中する。なお、敷き布団100Aの上に通気性のある布カバー等があっても同じである。
このため、敷き布団100Aや布カバー(寝具カバー)等が、前記吸込口50に集中して流入する直前の空気流F1によって引っ張られ(吸引され)、図32に破線で示したように盛上り部100Cが形成されることがあるが、下方向に少し突出した吸込口ユニット51によって、敷き布団100Aとの対向間隔は狭い(小さい)ので、上記した盛上り部100Cは大きく成長しない。しかも、またその盛上り部100Cの近く(水平距離で10cm以内)には、車輪49があり、その車輪が兼用乾燥機20(寝具乾燥機20)の重量によって敷き布団100Aを上から押さえているので、上記した盛上り部100Cの発生は、塵埃を含んだ空気流を連続的に、円滑に吸込口50に集中させることに何ら支障とならない。
なお、この実施の形態1の寝具掃除機、寝具乾燥機20では、使用者がハンドル等を持って本体ケース20Cを敷き布団100Aの上を移動させるものではなく、寝具掃除機、寝具乾燥機20が自力で移動するものであるため、本体ケース20Cは、進行に伴って上方向からは掛け布団100Bに接触することに伴う反力で先端部が下方向に押し下げられる力が働く。
また、吸込口50から空気を吸い込むことにより、同様に本体ケース20Cの進行方向FDの先端部は下方向に引かれる力が働く。しかしながら、この実施の形態1では、後方にも吸込口50があるため、前方の吸込口50により影響を緩和できる。
さらに、前述したように、本体ケース20Cの底面の中心部から進行方向FDに向かって、少なくとも所定の範囲(長さ)L3は、進行方向FD側に行くに従って上方に緩やかに湾曲した壁面であるため、仮に本体ケース20Cが進行の過程で一時的に前方が下がるように傾斜したとしても、吸込口50よりも前方には、所定の角度αだけ進行方向FDの前方側に開いた底面になっているので、その吸込口50の全周囲が敷き布団100Aの上で閉鎖されるような形にはなり難い。これにより、寝具清掃や寝具乾燥の何れの運転においても、本体ケース20Cは、電動送風機48によって敷き布団100A側近傍の空気を連続的に吸引することが期待できる。またこれは、本体ケース20Cの走行の安定性にも貢献する。
(情報通信端末機器25の表示部73と操作部74)
図33は、情報通信端末機器25の表示部73と操作部74の表示内容を示すものである。ここで示される表示部73の表示内容は、図26のステップSC2の前の段階におけるものである。
図33に示している通り、情報通信端末機器25の表示部73では、最初に敷き布団100Aのサイズを設定する表示画面を表示する。
次に、図34に示しているように、布団の硬さから区別した布団の種類を選択する表示画面を、情報通信端末機器25の表示部73に表示する。次に表示部73は、図35のように乾燥エリアを設定する表示画面を表示する。次に表示部73は、図36に示すように、「通常乾燥」や前記した「#2:お急ぎ運転」を選択する設定画面を示す。最後に表示部73は、図37に示したように、スタート確認の画面を表示する。なお、寝具清掃(掃除)の場合には、乾燥エリアではなく、清掃エリアが表示される。
以下、各設定画面の順番通りに説明する。
図33は、敷き布団100Aのサイズを設定する表示画面を表示している。この図33において、120Aは、敷き布団のサイズの設定を行う表示画面であることを知らせる文字情報である。121は、使用者に、敷き布団100Aのサイズを選択することを促す操作誘導情報である。122Aは、シングルサイズの敷き布団の表示をした選択情報である。122Bはセミダブルサイズの敷き布団の表示をした選択情報である。122Cは、ダブルサイズの敷き布団の情報が表示された選択情報である。これら3つの選択情報122A〜122Cの部分は、タッチキーになっているので、希望のサイズの所に触れることで、選択動作ができる。この図33の画面は、寝具清掃の場合でも同じである。
なお、この図33の表示画面で、敷き布団100Aのサイズを選択する方法としては、前記したように選択情報122A〜122Cの部分に直接触れる以外に、以下の方法もある。
操作入力部74に設けた4つの方向の選択キー(タッチ式又は押しボタン式)を使用し、例えば、選択項目を下方向に順次選ぶには、下方向指定選択キー123Bを押せば良い。最初は「シングルサイズ」の選択情報(入力キーを兼用している)が選択されるように、その選択情報122A(入力キーを兼ねる)がハイライト表示等で強調された表示になっていた場合、前記した下方向指定選択キー123Bを1回押せば、1段下にある「セミダブル」の選択情報122B(入力キー)が選択され、その選択情報122Bがハイライト表示等で強調された表示になる。下方向指定選択キー123Bを更に1回押せば、更に下方に表示されている「ダブル」の表示をした項が選択され、その文字情報123Cがハイライト表示等で強調された表示になる。さらに1回下方向指定選択キー123Bを1回押せば、最初に戻って「シングル」の選択情報が選択され、「シングル」の選択情報122Aがハイライト表示等で強調された表示になる。以後もこのように下方向指定選択キー123Bを押せば、選択項目が巡回する。
同じように上方向指定選択キー123A、右方向指定選択キー123C、左方向指定選択キー123Dも操作入力部74に設けてある。なお、選択を確定するには、操作入力部74中央部にある確定キー(タッチ式又は押しボタン式)125を押せば良い。この確定キー125を押した段階で、この図33の設定画面の入力操作は完了し、次に図34の画面に移る。なお、124Bは、図33の前の表示画面73に戻ることを指令するタッチ式キー、124Fは、次の表示画面(図34)に進むように画面を切り替えるタッチ式キーである。
次に図34を参照しながら、布団の種類を選択する表示画面について説明する。
120Bは、敷き布団の種類の設定を行う表示画面であることを知らせる文字情報である。137A〜137Cは、敷き布団の種類を知らせる文字情報である。137Aは、敷き布団100Aが「綿布団」であることを選択する選択情報である。137Bは、敷き布団100Aが「マット」であることを選択する選択情報、137Cは、「羊毛布団」であることを選択する選択情報である。なお、この図34には、「毛布」という選択情報が示されていないが、タッチ式キー124Fで次の表示画面(図示せず)に切り替えた場合、次の表示画面において「毛布」という選択情報が表示される。
次に図35を参照しながら、乾燥エリアを設定する表示画面について説明する。
120Cは、乾燥エリアの設定を行う表示画面であることを知らせる文字情報である。127は、使用者に、乾燥エリアを選択することを促す操作誘導情報である。128Aは、敷き布団100Aの全体を指定する選択情報(タッチ式キーを兼ねている部分)である。128Bは、足元側の半分、すなわち、図11に示した足元側エリアZO2を選択する選択情報(タッチ式キーを兼ねている部分)である。128Cは、胸元側エリアZO1を選択する選択情報(タッチ式キーを兼ねている部分)である。寝具清掃運転の場合では、この図31に相当する画面には、寝具清掃エリアの選択用の情報が表示される。
これら3つの選択情報128A〜128Cの部分は、タッチキーになっているので、希望の加熱エリアの表示部分に触れることで、選択動作ができる。
なお、この図35の表示画面で、3つの選択情報128A〜128Cのサイズを選択する方法としては、前記したように操作入力部74に設けた4つの方向の選択キー123A〜123Dを押し、最後に確定キー125を押せば良い。この確定キー125を押した段階で、この図30の設定画面の入力操作は完了し、次に図36の画面に移る。
次に図36を参照しながら、使用者のお好みの運転パターン(運転コース)を設定する表示画面について説明する。
120Eは、お好みの運転パターンの設定を行う表示画面であることを知らせる文字情報である。130は、お好みの寝具乾燥コースを選択することを促す操作誘導情報である。131Aは、通常の寝具乾燥コースを指定する選択情報(タッチ式キーを兼ねている部分)である。131Bは、お急ぎ乾燥コースを選択する選択情報(タッチ式キーを兼ねている部分)である。ここでいう「お急ぎ乾燥コース」は、図23で説明した「#2:お急ぎ運転」のことである。
131Cは、念入り乾燥コースを選択する選択情報(タッチ式キーを兼ねている部分)である。ここでいう「念入り乾燥コース」は、図23で説明した「#3:集中(念入り)乾燥運転」のことである。
これら3つの選択情報131A〜131Cの部分は、タッチキーになっているので、希望の加熱エリアの表示部分に触れることで、選択動作ができる。
なお、この図36の表示画面で、3つの選択情報131A〜131Cのお好み運転コースを選択する方法としては、前記したように操作入力部74に設けた4つの方向の選択キー123A〜123Dを押し、最後に確定キー125を押せば良い。この確定キー125を押した段階で、この図36の設定画面の入力操作は完了し、次に図37の画面に移る。
次に図37を参照しながら、運転開始(スタート)の可否について確認する表示画面について説明する。
132は、運転開始条件を確定させて良いかどうかの確認用の表示画面であることを知らせる文字情報である。133は、確認してキー操作することを促す操作誘導情報である。134Aは、敷き布団全面を乾燥することと、通常の乾燥コースで実行することを指定する選択情報である。なお、タッチ式キーは兼ねていない。134Bは、その敷き布団のサイズは、ダブルサイズが選定されていることを示す選択情報である。なお、タッチ式キーは兼ねていない。また寝具乾燥運転の場合には、「敷き布団全面×通常清掃」等の選択情報134が表示される。
この図37の表示画面で、2つの選択情報134A、134Bの内容で異存ない場合には、確定キー125を押せば良い。この確定キー125を押した段階で、この図37の設定画面の入力操作は完了し、この情報通信端末機器25の中のメモリー86に、敷き布団100Aの特定情報や選択した運転コース(運転モード)等の指令情報が、一時的に格納される。そしてNFC入出力部41を介して兼用寝具乾燥機20のNFC入出力部63へ送信される場面に備える。
(実施の形態1の第1の変形例)
図38は、本発明の実施の形態1の移動軌跡(移動)経路MKの第1の変形例を示すものである。
図38は、敷き布団100Aの上に、4つの移動経路MKを説明のために重ねて図示している。第1の移動経路MK1は、移動開始点SAPから移動開始した兼用寝具乾燥機20の本体ケース20Cが移動する経路を模式的に示したものであり、図38のようにSAPから出発し、時計回り方向に略1周し、移動終了点STPに戻るものである。
同様に、第2の移動経路MK2は、移動終了点STPから更に移動開始点SAPへ戻り、そこから第1の移動経路MK1の外側を所定間隔離れて、時計回り方向に移動する経路であり、移動終了点STPに再び戻ることで、結果的に2周したことになる。
同様に、同じ移動開始点SAPを起点として、第3の移動経路MK3、第4の移動経路MK4を移動することにより、第1の移動経路MK1の周囲を、3回周ったことになる。
図36では、移動開始点SAPと移動終了点STPとは、接近した位置に隣り合うような配置に描いてあるが、実際は同じ位置にしても良い。つまり、この4つの移動経路MKをX軸座標とY軸座標で表現した場合、移動開始点SAPと移動終了点STPのX−Y座標は同じでもよい。なお、移動軌跡MKは4つ以上であっても良いが、以下、4つであることを前提にして説明する。図38において、CL2は、敷き布団100AのY軸方向における中心線である。
兼用乾燥機20の中央制御部109には、本体ケース20Cが移動する経路を指令するためのコンピュータプログラムが格納されているが、そのコンピュータプログラムには、前記移動経路MK(MK1〜MK4)を示すX−Y座標値のデータが使用される。
さらに、移動経路MK1で囲まれる面積を「1」すると、移動軌跡MK1と2で囲まれる総面積は「2」、移動経路MK1、2と3で囲まれる総面積は「3」、のように増大する。そこで使用者が兼用乾燥機20による乾燥希望面積を決める場合には、上記のような「面積」の指定を行っても良い。但し、就寝者は一般的に敷き布団100Aの中心線CL2の上かその付近に寝るので、上記移動経路MKを決める場合には、敷き布団100Aの前後・左右の中心点FPを中心に設定することが望ましい。
使用者が、例えば図13のステップS11の前の段階で、入力操作部58から、図23に示すような各種運転コース(運転モード)を選ぶ場合、上記した面積の比率を指定しても良い。例えば、「100%」という設定では移送経路MK1〜MK4を全て対象にし、最小の面積比率、例えば「20%」を設定した場合には、移動経路(移動軌跡)MK1のみを本体ケース20Cが移動するものとする。
更にこの図38に示した移動経路MK1〜4は、その移動開始点SAP〜移動終了点STPまでの経路の長さが異なる。
そこで、使用者が兼用乾燥機20による乾燥希望面積を決める場合には、上記のような「経路の長さ」の指定を行っても良い。例えば、図23に示すような各種運転コース(運転モード)を選ぶ場合、例えば、「全長、最長、又は100%」という設定では第1の移動経路MK1から第4の移動経路MK4まで全てを、「最短」を設定した場合には、第1の移動経路MK1のみを本体ケース20Cが移動するものとする。「40%」を設定すると、第1の移動経路MK1と第2の移動経路MK2の2つだけを移動する。なお、これは寝具乾燥運転の場合も基本的に同じである。
また「#3:集中(念入り)乾燥」では、移動経路MKの範囲を、例えば、第1、第2の移動経路MK1、MK2だけに制限して本体ケース20Cの移動を行ってもよい。その特定の範囲だけは、本体ケース20Cの単位時間(例えば1分間)あたりの移動距離を減らし、あるいは電気ヒータ46に対する単位時間当たりの電力供給量を増加させることにより、その特定の範囲での乾燥効果を高めたりすることができる。これは同様に、この特定の範囲だけの暖房を行うことや、清掃(掃除)効果や暖房効果を高める運転ができることを意味する。
(実施の形態1の第2の変形例)
図39は、本発明の実施の形態1の移動経路MKの第2の変形例を示すものである。
この第2の変形例では、胸元側エリアZO1と、足元側エリアZO2の上に、起点SAPから終点STPまでが1つの線で繋がるように、別々に移動経路MKが設定される。
足元側エリアZO2では、移動起点SAPから中心点FPを経由して、終点STPまでが1つの線で繋がるように移動経路MKを設定してある。
第1の移動経路MK1の上の移動開始点SAPから移動開始した兼用乾燥機20の本体ケース20Cは、反時計回り方向に1周して移動開始点SAPに戻って来たあと、その移動開始点SAPから、内側に向きを変更し、同心円状に形成されている第2の移動経路MK2に移る。
第2の移動経路MK2を、略1周近く反時計回りに移動して、第3の移動経路MK3に入り、足元側エリアZO2の中心点ZP2に到達した段階で、中心点FPに向きを変え、更にその中心点で90度直角に向きを変えて、移動終了点STPに至る移動経路を本体ケース20Cが移動する。これによって、足元側エリアZO2の乾燥運転が終了する。
もし、胸元側エリアZO1まで乾燥運転する場合には、中心点FPから、胸元側エリアZO1の第1の移動経路MK1に入る。そして第1の移動経路MK1を1周し、第2の移動経路MKに入るよう左方向に向きを変え、このように反時計方向に移動しながら、最終的には胸元側エリアZO1にある移動終了点STPに到達し、移動動作を終えて、乾燥運転を終了する。
このように、この図39に示した第2の変形例でも、足元側エリアZO2の移動経路MKと胸元側エリアZO1の移動経路MKは、一本の線で繋がるように設定されている。このため、兼用乾燥機20の本体ケース20Cを効率良く移動させることができる。
この図38及び図39に示した移動経路の変形例の何れも、図23で説明した各種運転コースの実施に適用できる。特に「#3:集中(念入り)乾燥」では、移動経路MKの範囲(例えば、第1、第2の移動経路だけにする)を制限して本体ケース20Cの移動を行い、特定の範囲だけの乾燥を行ったり、あるいは、その特定の範囲での乾燥効果を高めたりすることができる。後者は、例えば本体ケース20Cの単位時間(例えば1分間)当たりの移動速度を遅くし、あるいは電気ヒータ46の供給電力量を増加させることで実現できる。また「#2:お急ぎ運転」についても同様に、本体ケース20Cの移動範囲を、敷き布団100Aの中心部やその周辺等、あるいは足元側エリアZO2だけ等、特定の範囲に限定して短時間に乾燥を終えることができる効果がある。これは、「#9:暖房コース」にも適用できることは明らかである。また寝具清掃(専用)運転でも、このような移動経路MKの選定は適用でき、短時間清掃等を希望する使用者の希望に応じた運転を行うことができる。
(実施の形態1の総括)
第1の発明の寝具掃除機20は、実施の形態1においては、次のような具体的な構成によって実現されている。
すなわち、推進力を発生させる車輪49を備えた機械的駆動部94と、前記機械的駆動部94に前記車輪49の駆動用の指令信号を送る制御装置33と、前記制御装置33からの指令信号を受けた前記機械的駆動部94によって敷き布団100Aの上面を移動する本体ケース20Cと、前記敷き布団100A側から吸い込んだ空気を前記本体ケース20C内部にある集塵室54Cに導入する電動送風機48と、を備え、
前記制御装置33には、前記本体ケース20Cの移動範囲(清掃エリア)又は移動経路(移動軌跡)MKを決定する制御プログラムが格納され、
前記制御装置33は、前記本体ケース20Cの移動範囲、移動経路、移動速度、前記電動送風機48の運転時間、運転タイミング又は吸引能力の内、少なくとも何れか1つを、前記敷き布団100Aに対応した特定情報に基づいて決定する構成である。
この構成であるから、使用者の面倒な入力作業をせずに敷き布団100Aの特定情報が反映された寝具の清掃運転を実行させることができる。
さらに、実施の形態1に示した兼用乾燥機20は、推進力を発生させる機械的駆動部94と、機械的駆動部94に指令信号を送る制御手段(制御装置33)と、この制御手段からの指令信号を受けた機械的駆動部94によって第1の寝具100Aの上面を移動する本体ケース20Cと、本体ケース20Cに内蔵され、第1の寝具100A側へ温風を吹き出す温風供給手段及び前記第1の寝具の硬さを識別し、特定情報を出力する寝具識別回路59Cと、を備える。
上記の制御手段には、本体ケース20Cの移動経路MK、移動経路MKにおいて温風供給手段が温風を供給するタイミング、及び温風供給手段が温風を供給する能力のうち、少なくとも何れか1つを規定する制御プログラムが格納されている。
制御手段は、移動経路MKを、第1の寝具100Aの特定情報に基づいて決定する。また寝具識別回路59Cによって識別された第1の寝具100Aの硬さの識別結果により、前記温風供給手段の「温風供給時間」が自動的に調節(増減)される。
この構成であるから、使用者の面倒な入力作業をせずに敷き布団100Aの特定情報が反映された寝具の乾燥運転を実行させることができる。
さらに、実施の形態1における兼用乾燥機20は、
吸込口50と、この吸込口50に連通する吹出口45とが形成された本体ケース20Cを備える。
本体ケース20Cは、第1の寝具100Aの上面に接触する機械的駆動部94によって移動する。また兼用乾燥機20は、乾燥運転の条件を受け付ける入力操作部58と、本体ケース20Cの内部に配置した電気ヒータ46と、電気ヒータ46に吸込口50から吸い込んだ空気を供給する電動送風機48と、上記の機械的駆動部94と、電気ヒータ46及び電動送風機48に対する電力供給を制御する制御装置33と、前記第1の寝具の硬さを識別し、特定情報を出力する寝具識別回路59Cと、を備える。
制御装置33は、本体ケース20Cの移動経路MKを規定する制御プログラムを保有している。制御装置33は、第1の寝具100Aの平面的な大きさを示す情報と、電気ヒータ46及び電動送風機48の通電タイミング又はその電力量の両者を決める運転モードの選択結果を示す入力情報と、によって移動経路MKを決定する。
また、前記制御装置33は、前記寝具識別回路59Cからの寝具識別情報に基づいて、前記温風供給手段の温風供給時間を調整する。
また統合管理装置5から無線通信で取得した第1の寝具100Aの特定情報により、制御装置33は移動経路MKを決定する。
この実施の形態1の兼用乾燥機20によれば、2枚の寝具の間に置くような乾燥用の袋体を用いずに被乾燥物の広い範囲が自動的に乾燥される。しかも、敷き布団の少なくとも硬さに応じた寝具乾燥運転ができ、使い勝手がよい。
また兼用乾燥機20は、本体ケース20Cの外部から無線通信で情報を取得するための無線通信手段を備える。上記の制御手段には、本体ケース20Cが所定の移動経路MKに沿って進むように機械的駆動部94を制御する制御プログラムが格納される。上記の制御手段は、無線通信手段経由で受信した情報に基づいて、移動経路MKと温風供給手段の通電時間との少なくとも何れか1つを決定することを特徴とする。
この実施の形態1の兼用乾燥機20によれば、兼用乾燥機20は、本体ケース20Cの外部から無線通信で情報を取得し、それに基づいて移動経路や運転時間等を制御装置33が自動的に決定するため、使い勝手がよい。
さらに実施の形態1の兼用乾燥機20の本体ケース20Cは、第1の寝具である敷き布団100Aの上面と、第2の寝具である掛け布団100Bの下面との間にある空間を、制御装置33の指令信号を受けた機械的駆動部94によって移動する。また兼用乾燥機20は、乾燥時間の条件を受け付ける入力操作部58と、前記第1の寝具の硬さを識別し、特定情報を出力する寝具識別回路59Cと、を備える。
前記制御装置33は、本体ケース20Cが所定の移動経路MKに沿って進むように機械的駆動部94を制御する制御プログラムを保有し、当該移動経路MKは、運転時間の長短に応じて決定される。
入力操作部58から使用者が入力した運転時間情報に基づいて、制御装置33は、移動経路MKを決定する。また、前記寝具識別回路59Cからの寝具識別情報に基づいて、前記温風供給手段の温風供給時間は、前記制御装置33によって調整される。
この構成であるから、兼用乾燥機20は、使用者からの運転時間の入力に応じ、しかも寝具の硬さを反映した運転ができ、使い勝手がよい。
また兼用乾燥機20は、複数の乾燥希望面積の内から1つを選択的に制御手段に対して入力することができる入力手段を具備している。制御手段は、入力手段によって入力された乾燥希望面積に基づいて、移動経路MKを決定する。
このため、使用者によって選択された敷き布団100Aの乾燥希望面積(全体の面積に対する乾燥希望面積割合を含む)に応じた運転ができ、使い勝手がよい。
また兼用乾燥機20は、複数の移動経路MKの内の1つを選択的に制御手段に対して入力する入力手段を備える。制御手段は、入力手段によって入力された移動経路に基づいて機械的駆動部を制御する。
このため、入力操作部58によって選択された移動経路MKの長短を示す情報は、制御装置33に入力され、制御装置33は、入力された情報に基づいて、本体ケース20Cの移動経路を決定する。
この構成であるから、本体ケース20Cが移動する移動経路MKの長さを選択することで、使用者の希望する範囲を対象にする乾燥運転ができ、使い勝手がよい。
また兼用乾燥機20は、本体ケース20Cの進行方向における第1の寝具100Aの存在・不存在を検知する光学検知部(寝具表面検知部62)を備える。また温風供給手段への電力供給は、制御手段によって制御される。光学検知部(寝具表面検知部62)は、第1の寝具100Aの存在・不存在に応じて異なる信号を制御手段に送信する。第1の寝具100Aが不存在である状態を示す信号が光学検知部から発せられた場合、制御装置33は、機械的駆動部94に駆動の停止による本体ケース20Cの移動の停止または所定の回避動作を行わせ、且つ温風供給手段の1つである電気ヒータ46に対する電力供給を停止する。
この兼用乾燥機20は、制御装置33に対し、第1の寝具100Aの存在・不存在に応じて異なる信号を送信する寝具表面検知部62を有する。寝具表面検知部62から、第1の寝具100Aが不存在である状態を示す信号が発せられた場合、制御装置33は、機械的駆動部94の駆動を一時停止させる。また制御装置33は、機械的駆動部94に対し、本体ケース20Cを一旦後退させた後、本体ケース20Cの進行方向を180度変更する駆動指令信号を出す。さらに制御装置33は、温風供給手段に対する電力供給を停止する。
このため、本体ケース20Cが移動する移動経路MKにおいて、第1の寝具100Aが正常な位置にないことを光学的に検知して、第1の寝具からの脱落を防止することができる。また第1の寝具100Aが無い状態では、乾燥運転が開始されない。すなわち異常な状態での運転開始が未然に防止されて使い勝手がよい。
また兼用乾燥機20の移動経路MKは、第1の寝具100Aの上に設定された少なくとも2つの乾燥エリアの範囲に基づいて、それぞれ1つが決定されている。また兼用乾燥機20は、制御手段に対して複数の乾燥エリアの内から1つを選択できる入力手段を具備する。入力手段は、制御装置33に対し、寝具の特定のエリア又は特定の移動経路を、他のエリア又は移動経路とは、異なる条件で乾燥運転する指令信号を発信できる。
この兼用乾燥機20は、制御装置33に対し、運転モードを指定する入力操作部58を有する。制御装置33は、敷き布団100Aの上面の、少なくとも2つのエリア(胸元側エリアZO1、足元側エリアZO2)別に、互いに異なった運転条件(単位時間あたりの本体ケース20Cの移動速度、単位時間あたりの前記電気ヒータへの電力供給量の少なくとも一方)を設定できる。
このため、敷き布団100Aの上面の、少なくとも2つのエリア(胸元側エリアZO1、足元側エリアZO2)別に、互いに異なった運転条件を設定できるので、足元側又は胸元側だけを指定して希望の運転をさせることができ、使い勝手がよい。
また兼用乾燥機20は、制御手段に対し、第1の寝具100Aの上面中心部と、その周辺部の少なくとも2つの乾燥エリアの内から、上面中心部のみと、その上面中心部及び周辺部の双方の、何れか1つを選択できる入力手段を具備する。移動経路MKは、本体ケース20Cの移動開始点から移動終了点までが1つの線で連続し、かつ寝具100の中心部にある特定の点を中心としてその周囲に同心状に複数が間隔を置いて平行するように設定されている。
このため、実施の形態1の兼用乾燥機20によれば、敷き布団100Aの中心部を基準にして乾燥運転を行える。しかも移動開始点SAPから終了点STPまで1つの線で結ばれるように移動経路が設定してあるので、本体ケースを効率良く進行させて運転をさせることができ、使い勝手がよい。
さらに、実施の形態1の兼用乾燥機20は、乾燥機能及び寝具清掃機能を有する本体ケース20Cが、所定の移動経路MKに沿って温風を供給し、移動するための制御プログラムを保有している。また所定の移送経路MKに沿って寝具を清掃する制御プログラムを有している。
さらに前記本体ケース20Cは、移動経路MKの進行方向と直行する垂直の縦断面で見た場合、その縦断面の垂直中心線VLを挟んで左右対称形状である。また本体ケース20Cの上面は、三次元曲面に形成されている。また機械的駆動部94は、前記した垂直中心線VLを挟んで左右対称位置に配置された、寝具100Aの上面と接触する車輪49を有している。
このため、本体ケース20Cの移動時に、掛け布団100Bの下面に接触して進行の妨げになるような摩擦力が軽減される。これにより、少ない電気動力源(エネルギー)で敷き布団100Aの上を移動させることができる。
また垂直中心線VLを挟んで左右対称位置に、寝具100Aの上面と接触する車輪49を配置しているので、本体ケース20Cが掛け布団100Bの下面に接触して進行の妨げになるような力を受けても、本体ケース20Cの左右対称に推進力を発生させ、本体ケース20Cを前方へ安定して進行させることができる。このため、自己運動性に優れた寝具乾燥機、寝具掃除機を提供することができる。
さらに実施の形態1に示す寝具掃除機の運転管理システムは、
清掃すべき敷き布団100Aの上面に沿って移動し、前記敷き布団100A側から空気を吸引するための電動送風機48を内蔵した寝具掃除機20と、前記寝具掃除機20と近距離無線通信する入出力部を有する情報通信端末機器25と、を備え、
前記寝具掃除機20には、当該寝具掃除機の運転条件を制御する制御装置33と、使用者が運転の条件を設定する入力操作部58と、前記敷き布団100Aの特定情報を取得する寝具識別手段59とが、それぞれ内蔵され、
前記制御装置は、前記情報通信端末機器25の前記入出力部から提供される寝具の特定情報と、前記寝具識別手段59から提供される寝具の特定情報の、少なくとも何れか1つの情報に応じて、前記電動送風機48の空気吸引能力を設定する構成であった。
この構成であるから、この寝具掃除機の運転管理システムによれば、使用者が本体ケースを手で移動させる必要がなく、敷き布団100Aの広い範囲を自動的に掃除できる。しかも、情報通信端末機器25から運転に必要な情報を入力して寝具清掃の運転条件を設定でき、使用者の使い勝手を向上させることができる。
また寝具乾燥機の運転管理システムは、乾燥すべき寝具100の上面に沿って移動し、当該寝具100に向けて温風を供給し、かつ所定の移動経路MKに沿って移動する兼用乾燥機20と、兼用乾燥機20と近距離無線通信する入出力部41を有する情報通信端末機器25と、を備える。兼用乾燥機20に内蔵され、当該兼用乾燥機20の運転条件を制御する制御装置33は、情報通信端末機器25の入出力部63から提供される寝具の特定情報及び睡眠時間情報の少なくとも何れか1つの情報に応じて、移動経路MK、乾燥運転時間の少なくとも何れか1つを設定する。
この寝具乾燥機の運転管理システムは、吸込口50と、この吸込口50に連通する吹出口45とが形成された本体ケース20Cが、第1の寝具である敷き布団100Aの上面に接触する機械的駆動部94によって移動する兼用乾燥機20と、寝具乾燥機20と近距離無線通信する入出力部41を備えた情報通信端末機器25と、を備える。
兼用乾燥機20の本体ケース20Cには、電気ヒータ46と、この電気ヒータ46に吸込口50から吸い込んだ空気を供給する電動送風機48と、情報通信端末機器25の入出力部41から無線通信で情報を取得するための入出力部63と、機械的駆動部94、電気ヒータ46及び電動送風機48に対する電力供給を制御する制御装置33と、が備えられる。
この構成であるから、この寝具乾燥機の運転管理システムによれば、2枚の寝具の間に置くような乾燥用の袋体を用いず、被乾燥物の広い範囲を自動的に乾燥できる。しかも、情報通信端末機器25から運転に必要な情報を入力して兼用乾燥機20側の運転条件を設定でき、使用者の使い勝手を向上させることができる。
また実施の形態1で開示した寝具乾燥機の運転管理システムは、制御装置33の指令信号を受けた機械的駆動部94によって第1の寝具100Aの上面に設定される所定の移動経路MKに沿って移動する本体ケース20Cを有する兼用乾燥機20と、兼用乾燥機20及びその他家電機器EEと個別に通信を行い、兼用乾燥機20及び家電機器EEの運転情報を集中的に収集する統合管理装置5と、を備える。兼用乾燥機20の制御装置33は、移動経路MKを定める制御プログラムを保有する。統合管理装置5は、敷き布団100Aの就寝者に関する睡眠時間を取得する睡眠判定部23と、睡眠時間の情報を記憶する記憶装置と、この記憶装置に記憶してある睡眠時間の情報を兼用乾燥機20へ送信する入出力部30Aと、を有する。兼用乾燥機20の制御装置33は、乾燥運転の開始前に、統合管理装置5から記憶部に格納された過去の睡眠時間情報を取得し、当該睡眠時間情報に基づいて乾燥運転の条件を決定する。
このため、2枚の寝具の間に置くような乾燥用の袋体を用いず、被乾燥物の広い範囲を自動的に乾燥できる。しかも、兼用乾燥機20及びその他家電機器EEと個別に無線通信する機能を備えた統合管理装置5の情報提供機能を利用して、統合管理装置5から睡眠時間情報を取得し、当該情報に基づいて兼用乾燥機20側の運転条件を設定できる。これにより、使い勝手の良い寝具乾燥機の運転管理システムを提供することができる。
実施の形態1においては、本体ケース20Cが図6に示すように、所定の方向FDへ進むことを前提にして、その進行方向で、車輪49よりも先頭側となる位置に寝具表面検知部62の受光部65を配置しているため、本体ケース20Cの進行方向FDにおける敷き布団200Aの存在有無を、車輪49が(敷き布団100Aからの)脱落する前に感知できる。
一方、この構成であるので、逆に本体ケース20Cが図6に示す所定の方向FDとは逆の方向にバック(後退)する場合には、車輪49よりも後方側となる位置には、寝具表面検知部62の受光部65を配置していないため、敷き布団100Aの使用者が就寝したときに頭部側になる第1辺100H(図9参照)まで本体ケース20Cが後退できる。
そしてこのように後退すると、光センサー21を備えた掛け布団存在検知部の働きにより、掛け布団100Bの下から抜け出したことを検知できる。その段階で本体ケース20Cは停止する。つまり、この実施の形態1では、敷き布団100Aの第1辺100Hに近い位置で、掛け布団100Bの下から抜け出した状態になるよう、本体ケース20Cが自動停止される。乾燥運転を終える場合には、このように本体ケース20Cを起点SAPよりも外側まで移動させることができる。このため、乾燥運転を終えた本体ケース20Cを、他の場所へ移動させる際、掛け布団100Bの端部を持ち上げ、又は捲りあげておいて兼用乾燥機20を引き出すという動作は不要となる。本実施の形態であれば、使用者の作業負荷を軽減できる。
その他の発明.
本体ケース20Cが、敷き布団(第1の寝具)100Aの上面と掛け布団(第2の寝具)の下面との間にある空間を、制御装置33の指令信号を受けた機械的駆動部94によって移動する寝具掃除機であって、
前記本体ケース20Cには、集塵室54Cと、当該集塵室に前記敷き布団100A側から吸引した空気を導入する電動送風機48と、当該電動送風機48と前記機械的駆動部94を制御する制御装置33と、寝具の清掃モードを入力する入力操作部58と、をそれぞれ設け、
前記制御装置33は、前記本体ケース20Cが所定の移動経路MKに沿って進むように前記機械的駆動部94を制御する制御プログラムを保有し、
前記入力操作部58には、前記掛け布団100Bが前記本体ケース20Cの上方に無い状態で前記敷き布団100Aの清掃を行う第1の清掃モード(寝具掃除コースB)と、掛け布団100Bの下で前記第1の寝具の清掃を行う第2の清掃モード(寝具掃除コースA)の、何れか1つを選択可能にする選択手段116A、116B(図29参照)を有し、
前記第1の清掃モードと第2の清掃モードにおいて、前記電動送風機48と前記機械的駆動部94の少なくとも何れかを一方の駆動条件を異ならせたことを特徴とする寝具掃除機を開示した。
この寝具掃除機によれば、第1の清掃モードと、掛け布団100Bの存在により走行時の抵抗力が発生する第2の清掃モードとの比較では、兼用乾燥機20の走行に必要な駆動力が異なるが、この変化を想定して機械的駆動部94の駆動電力を最小限に抑制したり、電動送風機48の真空吸引力を調整したりして寝具の掃除をすることができる。
また、前記本体ケース20Cには、第2の清掃モードを実行している期間中、掛け布団100Bの存在を検知する掛け布団存在検知部21Sを更に備えており、
前記制御装置33は、第1の清掃モードを選択した場合、前記掛け布団存在検知部21Sの動作を無効にする構成であった。
この構成によれば、第2の清掃モードを実行している期間中、前記掛け布団存在検知部21が掛け布団100Bの不存在を検知して、不用意に異常検知動作をする事態を避けることができる。
さらに、前記電動送風機48が前記敷き布団100A側から吸引する空気の導入口(吸込口50)は、前記本体ケース20Cの底面に形成し、
前記本体ケース20Cの底面は、進行方向FDに行くに従って前記敷き布団100Aの上面に対して間隔が広くなるように傾斜面にするか又は湾曲面に形成する寝具掃除機を開示した(図32参照)。
この寝具掃除機によれば、吸込口50に吸い込まれる空気流F1は、本体ケース20Cの進行方向FD側に広がった空間と、敷き布団100Aの側から、それぞれ吸込口50に集中するように流れ、効率良く敷き布団100Aの掃除ができる。
また、前記電動送風機48が前記敷き布団100A側から吸引する空気の導入口(吸込口50)は、前記本体ケース20Cの底面に形成し、
前記導入口は、前記本体ケース20Cの底面から前記敷き布団100A具の方向に突出した位置に形成している寝具掃除機を開示した。
この寝具掃除機によれば、敷き布団100Aの表面と吸込口50との間隔を狭い範囲に維持でき、吸込口50に敷き布団100Aの内部や上面を通過した空気流F1を効率良く導入できる。
さらに、前記機械的駆動部94として、複数個の車輪49を有しており、
前記導入口(吸込口50)は、前記車輪49が前記敷き布団100Aと接触する位置から見て前記本体ケース20Cの進行方向FD側にある寝具掃除機を開示した。
この寝具掃除機によれば、敷き布団100Aや布カバー等が、前記吸込口50に集中して流入する直前の空気流F1によって引っ張られ(吸引され)、図32に破線で示したように盛上り部100Cが形成されることがあっても、その車輪49が敷き布団100Aを上から押さえるので、塵埃を含んだ空気流を連続的に、円滑に吸込口50に集中させることができる。
さらに、本体ケース20Cが、敷き布団(第1の寝具)100Aの上面と掛け布団(第2の寝具)100Bの下面との間にある空間を、制御装置33の指令信号を受けた機械的駆動部94によって移動する寝具掃除機20であって、
前記本体ケース20Cには、集塵室54Cと、当該集塵室に前記敷き布団100A側から吸引した空気を導入する電動送風機48と、当該電動送風機48と前記機械的駆動部94を制御する制御装置33と、寝具の清掃モードを入力する入力操作部58と、をそれぞれ設け、
前記制御装置33は、前記本体ケース20Cが所定の移動経路MKに沿って進むように前記機械的駆動部94を制御する制御プログラムを保有し、
前記電動送風機48が前記敷き布団100A側から吸引する空気の導入口(吸込口50)は、前記本体ケース20Cの底面に形成し、
前記機械的駆動部94は、前記本体ケース20Cの左右中心線を挟んでその両側に少なくとも1つずつ車輪49を有しており、
本体ケース20Cの外形形状は、前記車輪49の回転中心部を通る垂直線の位置における当該本体ケース20Cの底面と、前記空気の導入口(吸込口50)における当該本体ケース20Cの底面とは、水平位置が異なっており、当該空気の導入口(吸込口50)がある当該本体ケース20C底面の方が、敷き布団100Aの上面から大きく離れる方向(上方)にある構成の寝具掃除機を開示した(図32参照)。
この寝具掃除機によれば、車輪49と近い本体ケース20C底面が、掛け布団100Bの重量を受けて敷き布団100Aの上面から大きく沈み込み、その底面部が敷き布団100Aの表面(上面)に接触するような状態になっても、これより高い位置にある吸込口50と敷き布団との間には空隙(図32参照)が確保され、敷き布団100Aの上面や内部を通過した空気を吸込口50から効率良く吸引できる。
実施の形態2.
次に本発明の実施の形態2について、図40を参照しながら説明する。図40は、本発明の実施の形態2に係る兼用乾燥機の動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態1と同一部分又は相当部分には、同一符号を引用して説明する。
図40は、兼用乾燥機20の主電源スイッチ70をONした後、乾燥運転が開始されるまでの一連の動作ステップを示している。
SS1〜SS9が、制御装置33の中の中央制御部109を構成するマイクロコンピューターにプログラムで規定されている。
使用者が、兼用乾燥機20の主電源スイッチ70をONする(SS1)。なお、このステップは、実施の形態1の図12に示したステップS1と同じであるので、図40では括弧の中にそのステップS1を記載している。以後、この例に倣い、図40の中のステップで、実施の形態1の図12又は図13に示したものと同一又は相当するものがある場合、そのステップ番号を括弧書きで併記する。
次のステップSS2(S3)では、電源回路92を介して制御装置33が起動される。そして各種検知部98からの検知信号を制御装置33がチェックし、異常の有無が判定される。また異常がない場合には、次のステップSS3に進む。
次のステップSS3では、入力操作部58を起動して、使用者からのタッチ入力を受け付ける準備を完了し、音声ガイド部108とLED101とを起動して、使用者に「敷き布団100Aのサイズ」と「乾燥範囲」の2つの入力操作を促す報知をする。つまり、使用者が乾燥を希望する「敷き布団100Aのサイズ」が「シングル」サイズであり、敷き布団100Aの全範囲(「乾燥面積率100%」という)を乾燥したい場合、敷き布団100Aのサイズを示す「シングル」と、100%という2つのパラメータの入力操作をするよう、LED100で表示をし、これに加えて、前記音声ガイド部108から音声でそのような2つのパラメータの入力を促す。
使用者の利便性を考え、この兼用乾燥機20では、「敷き布団100Aのサイズ」が、「子供用・シングル・セミダブル・ダブル」の4種類の中から1つを選択でき、乾燥面積率は「30%・50%・100%」の中から1つを選択できるようになっている。使用者がこれ以外の設定はできない。また乾燥面積率100%とは、敷き布団100Aの平面積とは完全に一致していない。兼用乾燥機20は、敷き布団100Aの外周縁まで完全に乾燥する訳ではない。兼用乾燥機20の移動範囲がその外周縁から内側にある程度離れたところまで制限されているためである。最も広い範囲まで運転する場合を面積率100%としている。また寝具清掃の場合も、敷き布団100Aの外周縁まで完全に清掃する訳ではない
また面積率でカバーされる範囲は、図38に示した中心線CL2を起点にしても良い。従って、面積率30%の場合は、移動軌跡MK1とMK2だけを兼用乾燥機20が移動するように設定しても良い。面積率は、乾燥する範囲を示す情報である。但し、この実施の形態2では、兼用乾燥機20の移動する方向やパターンは、図38、図39に示したものに限定されない。なお、「乾燥面積の大小を示す情報」は、上記したような「面積率」のような数値情報の他に、例えば「面積 大」、「面積 小」等のような、面積の大小を直接表現する段階(レベル)情報でも良い。清掃専用運転する場合は、「掃除面積率」又は「掃除範囲」と呼ぶ。
次のステップSS4では、使用者が入力操作部58において、「敷き布団100Aのサイズ」を、「子供用・シングル・セミダブル・ダブル」の中から1つ選択し、さらに乾燥面積率を「30%・50%・100%」の中から1つを選択すれば、次のステップSS5に進む。
次のステップSS5では、寝具識別手段59が起動され、近距離センサー59Sの発光と反射光の時間差から本体ケース20と敷き布団100Aとの間隔GP1、GP2(図9参照)の大きさを計測する。そして、計測結果を寝具識別回路59Cに送信する。
寝具識別回路59Cの中には、計測された距離(間隔)と、寝具100の硬さレベルを対応させたテーブルが記憶させてあるため、敷き布団100Aの硬さ(レベル)が識別できる。そしてこの硬さを示す固有のデータが前記制御装置33の中央制御部109に送信される。そして制御装置33が、使用者から手動で入力された「敷き布団100Aのサイズ」と「乾燥範囲」の2つの入力データと、寝具識別手段59から送信された敷き布団100Aの硬さ(レベル)を示すデータとから、最終的な運転条件(乾燥運転時間や移動経路、供給する温風の風量・温度など)を、次に説明するように決定する(SS6)。
中央制御部109は、1つのパラメータである「敷き布団100Aのサイズ」と、もう1つのパラメータである乾燥面積率「30%・50%・100%」の組み合わせにより、兼用乾燥機20の運転時間を計算する。または中央制御部109は、敷き布団100Aの硬さレベルも考慮して事前に計算したデータテーブル(一覧表)を保有しているため、そのテーブルから、運転終了までに要する運転時間を特定して報知する。なお、ステップSS4において、3つ目のパラメータとして、「乾燥度・清掃度」を選択しても良い。ここでいう「清掃度」とは、「寝具専用運転」の場合の塵埃除去率のことである。念入りに掃除するかどうかを決める要素になる。兼用乾燥機20が真空掃除機として機能することになる。清掃度「高い」は「念入り清掃」、清掃度「低い」は、「クイック清掃」という名称で呼んでいる。この乾燥度と清掃度を選択すると、兼用乾燥機20の単位時間あたりの移動速度が変化する。「乾燥度」を高めると、移動速度は遅くなる。同様に、「清掃度」を高めると、兼用乾燥機20の単位時間あたりの移動速度は遅くなる。なお、兼用乾燥機20を真空掃除機として機能させる際、清掃度を高めるため、電動送風機48の回転能力をアップし、真空吸引力を増加させても良い。
次のステップSS7では、上記のように乾燥運転を開始する条件(運転条件)を報知する。
従って、このステップSS7で報知される内容は、例えば、「シングルサイズ乾燥コースが選択されました。このコースでは、45分掛かります」とか、「シングルサイズの寝具清掃が選択されました。念入りコースで実施します。60分掛かります」のようになる。
次のステップSS8では、報知された運転条件(運転開始条件)を確認する。運転開始する場合には、入力操作部58において運転開始の操作キーを押して欲しい旨を報知する(入力操作を促す)。
次のステップSS9では、前記ステップSS6から所定時間内(例えば1分以内)に、入力操作部58の所定のキー(スタート開始指令用:117B)にタッチ操作があるかどうかを判定する。タッチ操作があれば、ステップSS10に進む。タッチ操作がなければ、ステップSS8に戻る。なお、図示していないが、ステップSS8とSS9との間には、使用者が随時取り消す(ステップを戻す)ことができるステップがある。この取消しステップを選んだ場合には、ステップSS4に戻る。
次に中央制御部109は、ステップSS7で報知した運転条件、例えば「乾燥時間60分・念入りコース」を実行するための指令信号を、電動送風機48のモータ48Mと、車輪駆動部95と、電気ヒータ46の駆動回路112と、にそれぞれに送り、通電を集中制御する(SS9)。これにより、電気ヒータ46に通電が行われ、また電動送風機48にも通電が行われ、乾燥運転が開始され、本体ケース20Cから温風が吹き出される。そして実施の形態1の図14で説明したステップS18へ進む。これ以降は、実施の形態1の図12と同じであるので、説明は省略する。なお図14のステップS27に相当するステップはない。
以上の説明から明らかなように、兼用乾燥機20は、実施の形態2においては、以下の構成である。すなわち、兼用乾燥機20は、本体ケース20Cと、推進力を発生させる機械的駆動部94と、機械的駆動部94に指令信号を送る制御装置33と、本体ケース20Cの外部から吸い込んだ空気を第1の寝具100A側へ吹き出す電動送風機48と、電動送風機48が吹き出す空気を加熱する電気加熱源と、制御装置33に電力を供給する電源回路92と、近距離センサー59Sによって第1の寝具100Aとの間隔を計測し、寝具の硬さを識別する寝具識別手段59と、を備える。
機械的駆動部94、制御装置33、電動送風機48、電気加熱源、寝具識別手段59及び電源回路92は本体ケース20Cに内蔵される。
本体ケース20Cは、制御装置33からの指令信号を受けた機械的駆動部94によって第1の寝具100Aの上面を移動し、制御装置33は、電動送風機48及び電気加熱源の通電を集中制御する。
制御装置33には、乾燥運転の内容を規定する制御プログラムが格納される。この制御プログラムには、使用者による主電源スイッチの投入後に第1の寝具100Aの大きさを示す情報と乾燥範囲を示す情報との入力を待つ第1のステップと、第1のステップでの入力結果に応じた運転条件を使用者へ報知する第2のステップと、を有する。
また制御装置33は、寝具識別手段59から送信された第1の寝具100Aの硬さ(レベル)を示すデータを利用して、最終的な運転条件(乾燥運転時間や移動経路、供給する温風の風量・温度など)を決定している。
この実施の形態2における兼用乾燥機20によれば、敷き布団100Aと掛け布団100Bの2つの被乾燥物の間に置いて使用するような乾燥用の袋体は不要である。また敷き布団100Aの大きさと乾燥範囲の2つを指定することで、制御装置33による自動制御で自動的に乾燥を完了でき、使い勝手がよい。しかも、主電源スイッチ70の投入後、使用者が乾燥や清掃を希望する敷き布団100Aの大きさと、乾燥希望する範囲の情報の2つを入力すると、その入力結果に応じて最終的に運転開始する条件、例えば乾燥に要する時間等を使用者に報知する。その報知後に使用者からの運転開始指令を待って初めて運転が開始されるので、使用者の入力設定間違いがなくなり使い勝手がよい。また、使用者がマニュアル操作で第1の寝具100Aの硬さ(レベル)を示すデータを入力しなくとも良く、運転開始までの操作を軽減できる。
実施の形態3.
次に本発明の実施の形態3について、図41を参照しながら説明する。図41は、本発明の実施の形態3に係る寝具掃除機の動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態1と同一部分又は相当部分には、同一符号を引用して説明する。
図41は、寝具掃除機20の主電源スイッチ70をONした後、掃除のための電動送風機48と、機械的駆動部94の運転が開始されるまでの一連の動作ステップを示している。
SY1〜SY14に示す動作を規定した動作プログラムが、制御装置33の中の中央制御部109を構成するマイクロコンピューターのメモリーに格納されている。
使用者が、寝具掃除機20の主電源スイッチ70をONする(SY1)。このステップは、実施の形態1の図12に示したステップS1と同じであるので、図41では括弧の中にそのステップS1を記載している。以後、この例に倣い、図41の中のステップで、実施の形態1の図12又は図13に示したものと同一又は相当するものがある場合、そのステップ番号を括弧書きで併記する。
次のステップSY2(S3)では、電源回路92を介して制御装置33が起動される。そして各種検知部98からの検知信号を制御装置33がチェックし、異常の有無が判定される。また異常がない場合には、次のステップSY3に進む。
次のステップSY3では、入力操作部58を起動して、使用者からのタッチ入力を受け付ける準備を完了し、音声ガイド部108とLED101とを起動して、使用者に「敷き布団100Aのサイズ」と「掃除範囲」(清掃範囲)の2つの入力操作を促す報知をする。つまり、使用者が掃除を希望する「敷き布団100Aのサイズ」が「シングル」サイズであり、敷き布団100Aの全範囲(「掃除面積率100%」という)を掃除したい場合、そのサイズの「シングル」と、100%という2つのパラメータの入力操作をするよう、LED100で表示をし、これに加えて、前記音声ガイド部108から音声でそのような2つのパラメータの入力を促す。
使用者の利便性を考え、この寝具掃除機20では、「敷き布団100Aのサイズ」が、「子供用・シングル・セミダブル・ダブル」の4種類の中から1つを選択でき、掃除面積率は「30%・50%・100%」の中から1つを選択できるようになっている。使用者がこれ以外の設定はできない。また掃除面積率100%とは、敷き布団100Aの平面積とは完全に一致していない。寝具掃除機20は、敷き布団100Aの外周縁まで完全に吸塵する訳ではない。寝具掃除機20の移動範囲がその外周縁から内側にある程度離れたところまで制限されているためである。最も広い範囲まで運転する場合を面積率100%としている。
また面積率でカバーされる範囲は、図38に示した中心線CL2を起点にしても良い。従って、面積率30%の場合は、移動軌跡MK1とMK2だけを寝具掃除機20が移動するように設定しても良い。面積率は、掃除する範囲を示す情報である。但し、この実施の形態3では、寝具掃除機20の移動する方向やパターンは、図38に示したものに限定されない。なお、「乾燥面積の大小を示す情報」は、上記したような「面積率」のような数値情報の他に、例えば「面積 大」、「面積 小」等のような、面積の大小を直接表現する段階(レベル)情報でも良い。
次のステップSY4では、使用者が入力操作部58において、「敷き布団100Aのサイズ」を、「子供用・シングル・セミダブル・ダブル」の中から1つ選択し、さらに掃除面積率を「30%・50%・100%」の中から1つを選択すれば、次のステップSY5に進む。
次のステップSY5では、中央制御部109は、1つのパラメータである「敷き布団100Aのサイズ」と、もう1つのパラメータである掃除面積率「30%・50%・100%」の組み合わせにより、寝具掃除機20の運転時間を計算する。また寝具掃除機20の移動経路も計算して求め、寝具を掃除する場合の運転条件を仮に決定する。例えば、掃除時間は30分で、電動送風機48の吸引能力も仮に決定する。
次のステップSY6では、上記のように寝具掃除の運転を開始する条件(運転条件)を、音声ガイド部108で報知する。
従って、このステップSY6で報知される内容は、例えば、「シングルサイズで、布団掃除コースが選択されました。このコースでは、30分掛かります」とか、「シングルサイズの寝具清掃が選択されました。念入りコースで実施します。40分掛かります」のようになる。
次のステップSY7では、例えば「運転条件(運転開始条件)を確認し、運転開始する場合には、入力操作部58において運転開始の操作キーを押して下さい」というような案内をする。つまり運転開始の操作入力を促すことを、音声ガイド部108で報知する(入力操作を促す)。
次のステップSY8では、前記ステップSY7から所定時間内(例えば1分以内)に、入力操作部58の所定のキー(スタート開始指令用:117B)にタッチ操作があるかどうかを判定する。タッチ操作があれば、ステップSY9に進む。タッチ操作がなければ、ステップSY7に戻る。なお、図示していないが、ステップSY7とSY8との間には、使用者が随時取り消す(ステップを戻す)ことができるステップがある。この取消しステップを選んだ場合には、ステップSY4に戻る。
ステップSY8において、スタート開始指令用の入力操作があった場合には、次に中央制御部109は、運転を開始する旨、音声ガイド部108等にて報知する(SY9)。
次のステップSY10では、寝具識別手段59が起動され、近距離センサー59Sの発光と反射光の時間差から本体ケース20と敷き布団100Aとの間隔GP1、GP2(図9参照)の大きさを計測する。そして、計測結果を寝具識別回路59Cに送信する。
寝具識別回路59Cの中には、計測された距離(間隔)と、寝具100の硬さレベルを対応させたテーブルが記憶させてあるため、敷き布団100Aの硬さ(レベル)が識別できる。そしてこの硬さを示す固有のデータを一時的にメモリ(図示せず)に記憶させて保持させておく。
次に制御装置は、車輪駆動部95に駆動電力を短時間印加し、車輪49を回動させて本体ケース20Cを短距離(例えば、数cm〜10cm)前進させる。そしてその車輪駆動部95への駆動電力供給を停止する(SY11)。
次のステップSY12では、再び寝具識別手段59は、その近距離センサー59Sの発光と反射光の時間差から本体ケース20と敷き布団100Aとの間隔GP1、GP2(図9参照)の大きさを計測する。そして、この計測結果と、前回の計測結果とから、平均値を求める。そして平均値から対応する「寝具の硬さレベル」を求める。そして求められた寝具の硬さを示すレベルの情報は、寝具識別回路59Cから前記制御装置33の中央制御部109に送信される。
すると制御装置33は、使用者から手動で入力された「敷き布団100Aのサイズ」と「乾燥範囲」の2つの入力データと、寝具識別手段59から送信された敷き布団100Aの硬さ(レベル)を示すデータとから、最終的な運転条件(連続して運転する時間や電動送風機48の送風量)を決定する(SY13)。
次に制御装置33は、ステップSY13で決定した運転条件、例えば電動送風機48のモータ48Mの回転数を制御する信号を発生させる。これにより、電動送風機48のモータ48Mに駆動電流が印加され、寝具の掃除が開始される。そして実施の形態1の図14で説明したステップS18へ進む。但し、図14は、寝具乾燥と寝具の掃除を同時に行っている場合であるため、ヒータ46に通電されている。寝具の掃除だけ行う場合には、そのようなヒータ46への通電は行われない(但し、電動送風機48の発熱を受けて、排気流は温度上昇した風に変化する)。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態3の寝具掃除機20は、本体ケース20Cと、推進力を発生させる機械的駆動部94と、機械的駆動部94に指令信号を送る制御装置33と、第1の寝具100Aから吸い込んだ空気を集塵室54Cに送り込む電動送風機48と、前記制御装置33に電力を供給する電源回路92と、近距離センサー59Sによって第1の寝具100Aとの間隔を計測し、寝具の硬さを識別する寝具識別手段59と、を備えている。
前記機械的駆動部94、制御装置33、電動送風機48、電気加熱源、寝具識別手段59及び電源回路92は本体ケース20Cに内蔵されている。
また本体ケース20Cは、制御装置33からの指令信号を受けた機械的駆動部94によって敷き布団(第1の寝具100A)の上面を移動する。
前記制御装置33は、電動送風機48と機械的駆動部94の通電をそれぞれ制御する。前記制御装置33には、寝具掃除のための運転の内容を規定する制御プログラムが格納されている。その制御プログラムには、使用者による主電源スイッチの投入後に敷き布団(第1の寝具)100Aの大きさを示す情報等の入力を待つ第1のステップと、寝具識別手段59によって計測された敷き布団(第1の寝具)100Aの硬さを示す情報の受信を待つ第2のステップと、第1、第2のステップで取得された寝具特定情報に応じて運転条件を決定する第3のステップとを、を有する。つまり、制御装置33は、寝具識別手段59から送信された第1の寝具100Aの硬さ(レベル)を示すデータを利用して、最終的な運転条件(電動送風機48の真空吸引力を決定している。
この実施の形態3における寝具掃除機20によれば、敷き布団100Aと掛け布団100Bの間を自力で移動し、その移動過程において自動的に敷き布団100Aの表面やその内部の塵埃等を吸引・捕集することができ、使い勝手がよい。しかも、主電源スイッチ70の投入後、使用者が乾燥や清掃を希望する敷き布団100Aの大きさ等の特定情報を入力すると、その入力結果と敷き布団(第1の寝具)100Aの硬さを示す情報に応じて、最終的に寝具の掃除に適当な真空吸引力になるように電動送風機48の能力も制御される。このため、敷き布団100Aの硬さについて、使用者の入力が不要となり、運転開始までの操作を軽減できる。
この実施の形態3では、本体ケース20Cを移動する前と後の少なくとも2回に亘り、前記近距離センサー59Sによって第1の寝具100Aとの間隔を計測しているので、敷き布団100Aの部分的な凹凸等の影響を少なくでき、寝具の硬さをより正確に識別するような計測ができる。
実施の形態4.
次に本発明の実施の形態4について、図42と図43を参照しながら説明する。図42は、本発明の実施の形態4に係る寝具掃除機の平面図である。図43は、図42の寝具掃除機の内部構成を示す中央部縦断面図である。なお、実施の形態1と同一部分又は相当部分には、同一符号を引用して説明する。
図42に示している寝具掃除機20の本体ケース20Cは、その左右中心線CL4に沿って矢印FDの方向に(前進)移動する。
50は、本体ケース20Cの底面部に形成した単一の吸込口であり、平面形状が左右方向に長い長方形であり、左右中心線CL4の上に位置している。
また前記吸込口50は、4つの車輪49の内、前方にある左右の離れた2つの車輪よりも少し前方にあり、かつそれら2つの車輪49の間に形成されている。言い換えると、前方にある左右の離れた2つの車輪49は、前記吸込口50から見て前記進行方向FDと反対側で、かつ本体ケースの左右中心線CL4を挟んでその両側に配置されている。
吸込口50の上下方向の位置は、図43に示しているように標準的な硬さの敷き布団(例えば、内部に真綿100%含有したもの)100Aの上に、寝具掃除機20を置いた場合、敷き布団100Aの表面から所定寸法HBだけ上方向にある。この空隙の所定寸法は、本体ケース20Cの移動に伴って変化し、また敷き布団100A等の寝具が異なれば、その素材や構造によって柔軟性が変化するから、常に一定ではないが、敷き布団100Aの上面や内部を通過した空気を効率良く吸引できるよう、実験等によって定めている。また標準的な硬さの敷き布団100Aの上に、寝具掃除機20を置いた場合、その本体ケース20Cの最も下方の位置(図43に示すように、中心線CLの位置)の底面と、敷き布団100Aの表面との間の空隙HCよりも大きい。このため、本体ケース20Cの最も下方の位置(図43の中心線CLの位置)を基準にすると、吸込口50の位置は、上方にある。
図42において、59Sは、寝具識別回路59C専用の近距離センサーである。この近距離センサー59Sは、本体ケース20Cの左右と前後の中心部に位置している。
図42は、図41の左右中心線CL4に沿って切断した状態を示す寝具掃除機20の中央部縦断面図である。本体ケース20Cの中央部には、縦断面形状が逆さの台形形状を呈している有底筒状の集塵室126が区画形成されている。138は、本体ケース20Cの中に形成された収納壁であり、これによって集塵室126が区画されている。
この収納壁の中には、プラスチック製の逆円錐形状の集塵ケース119が、収納室135から取り出し自在に設置されている。54Aは、収納壁135の側面に貫通するように形成され、集塵室126の中に集塵用の空気が導入される入口部である。収納壁138には、入口部54Aと反対側に出口部54Bが形成されている。集塵ケース119の側面にも、前記入口部54Aと出口部54Bに対応した位置に、それぞれ開口が形成されている。
59Tは、前記近距離センサーに電源を供給する電源回路部品(図示せず)や寝具識別回路59C等を実装した回路基板である。
集塵室126は、上面だけが開放された形状であり、その上面開口を塞ぐように剛体の蓋18が設置されている。その蓋18は蓋体20Tで覆われている。
17は、集塵ケース119の中に、着脱自在に置かれたメインフィルターであり、数枚の濾材が、互いに上下端部同士を連結し、集塵室126の中を斜めに横切るように設置されている。
蓋体20Tを開けた状態で、集塵ケース119は、蓋18を閉じたまま集塵室126から取り出すことができるため、前記メインフィルターは、塵が蓄積すると、集塵室126から取り出して、そのまま廃棄できるものである。
139は、電動送風機48を内蔵した中空筒状の送風機ケースであり、その前方開口部は、前記出口部54Bに接続されている。140は、送風機ケース139の後方開口部に接続された排気側通風ダクトであり、本体ケース20Cの底面の最後尾に形成された排気口118に接続されている。なお、排気口118は、指などが入らないように狭い間隔のグリル(鎧戸)形状にしてある。
141は、送風機ケース139の前方開口部に接続された吸気側通風ダクトであり、本体ケース20Cの底面に形成された前記吸込口50に接続されている。
前記本体ケース20C内部には、吸込口50から吸気側通風ダクト141、集塵室126、排気側ダクト142、排気口118に至る一連の通風路BTが形成される。この通風路BTの途中に、前記電動送風機48が配置され、吸込口50から空気が吸引され、その空気流の中に含まれる塵埃が集塵室126で空気と分離される構成になっている。このため、塵埃を捕集するための掃除機の基本機能を発揮させる空気導入手段が、電動送風機48及び通風路BTによって実現されている。そして電動送風機46を通過した排気は、電気ヒータによって加熱されず、そのまま排気口118から本体ケース20Cの外部へ放出される。
図示していないが、寝具掃除機20の動作を一元的に制御する制御装置33は、前記本体ケース20Cが所定の移動経路MKに沿って進むように前記機械的駆動部94を制御する制御プログラムを保有している。
また本体ケース20Cの上部に設けた入力操作部58には、前記掛け布団100Bが前記本体ケース20Cの上方に無い状態で前記敷き布団100Aの清掃を行う第1の清掃モード(寝具掃除コースB)と、掛け布団100Bの下で前記第1の寝具の清掃を行う第2の清掃モード(寝具掃除コースA)の、何れか1つを選択可能にする選択手段としての入力キー116A、116B(図29に示したものと同じ)を有している。
さらに、前記第1の清掃モードと第2の清掃モードにおいて、前記電動送風機48と前記機械的駆動部94の少なくとも何れかを一方の駆動条件(例えば、車輪49を回転駆動する力)を、前記制御装置33によって異ならせる構成である。
この寝具掃除機によれば、第1の清掃モードと、掛け布団100Bの存在により走行時の抵抗力が発生する第2の清掃モードとの比較では、兼用乾燥機20の走行に必要な駆動力が異なるが、この変化を想定して機械的駆動部94の駆動電力を最小限に抑制して車輪49を駆動したり、電動送風機48の真空吸引力を調整したりして寝具の掃除をすることができる。
実施の形態4の寝具掃除機20は、以上の構成であるから、制御装置33によって電動送風機48を駆動させると、敷き布団100Aの表面に近接した位置にある吸込口50から敷き布団100Aの表面と内部にある塵埃を、図43の矢印F1で示すような高速度の吸い込み空気流とともに吸込み、図43に矢印F2で示すように集塵室126の中に吸引する。
本体ケース20Cは、車輪49が制御装置33の指令を受けて回転するので、移動経路MKに沿って進行方向FDに連続的に低速度(例えば、毎秒3cm〜10cm以下)で移動する。
塵埃を含んだ空気流がメインフィルター17を貫通するときに塵埃は捕捉され、清浄な空気だけが電動送風機48側に吸引され、図43に矢印F3で示すように、排気口118から本体ケース20C後方の空間に放出される。なお、この排気口118から吹き出される風(F3)は、電動送風機48のモータ48Mを冷却した際に加熱され、温度が上昇した温風となっているが、敷き布団100Aの表面に垂直又はそれに近い角度で衝突せず、また排気口118から敷き布団100Aまでの直線距離も、実施の形態1で示した温風吹出口45と敷き布団100Aとの対向間隔に比較して遥かに大きい。このため、敷き布団100Aの内部への排気流の浸透度も低いので、寝具乾燥機としての機能は殆どない。
さらに、前記電動送風機48が前記敷き布団100A側から吸引する空気の導入口(吸込口50)は、本体ケース20Cの進行方向FDの前方側の下方にあって、敷き布団100Aの表面に近接した位置にある(図43参照)。
この寝具掃除機によれば、吸込口50に吸い込まれる空気流F1は、本体ケース20Cの進行方向FD側に行くに従って次第に広がった空間と、通気性のある敷き布団100Aの側から、それぞれ吸込口50に集中するように流れ、効率良く敷き布団100Aの掃除ができる。
また、前記電動送風機48が前記敷き布団100A側から吸引する空気の導入口(吸込み50)は、前記本体ケース20Cの底面から敷き布団100Aの方向に突出したように設けた吸込口ユニット51の下端部に形成しており、寝具掃除機20が敷き布団100Aの上を走行している期間中、敷き布団100Aの表面(上面)に近接し、または瞬間的には軽く接触するような位置で維持される。このため、敷き布団100Aの狭い範囲(吸込口50の範囲)で集中して空気を吸い込むので、敷き布団100Aの内部にある塵埃等を効果的に回収できる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態4に示す寝具掃除機によれば、敷き布団100Aの表面と吸込口50との間隔を狭い範囲に維持でき、吸込口50を介して敷き布団100Aの内部や上面を通過した空気流F1を効率良く、高速度で導入できる。
さらに、前記機械的駆動部94として、複数個の車輪49を有しており、
前記吸込口50は、前記車輪49が前記敷き布団100Aと接触する位置から見て前記本体ケース20Cの進行方向FD側にある。
このため、敷き布団100Aや寝具カバー等が、前記吸込口50に集中して流入する直前の空気流F1によって引っ張られ(吸引され)、盛上り部100C(図示せず)が形成されることがあっても、その盛り上がる高さは低く、またその車輪49が吸込口50の近くにおいて敷き布団100Aを上から押さえるので、塵埃を含んだ空気流を連続的に、円滑に吸込口50に集中させることができる。
なお、この実施の形態4においても、実施の形態1の寝具掃除機、寝具乾燥機20と同様に、使用者がハンドル等を持って本体ケース20Cを敷き布団100Aの上を移動させて掃除するものではなく、寝具掃除機20が自力で移動するものであるため、本体ケース20Cは、進行に伴って上方向からは掛け布団100Bに接触することに伴う反力で先端部が下方向に押し下げられる力が働く。
また、吸込口50から空気を吸い込むことにより、同様に本体ケース20Cの進行方向FDの先端部は下方向に引かれる力が働く。
しかしながら、前述したように、本体ケース20Cの底面の中心部から進行方向FDに向かって、上方に緩やかに湾曲した壁面が形成されているため、仮に本体ケース20Cが進行の過程で一時的に前方が下がるように傾斜したとしても、吸込口50よりも前方には、所定の角度αだけ進行方向FDの前方側に開いた底面になっているので、その吸込口50の全周囲が敷き布団100Aの上で閉鎖されるような形にはなり難い。これにより、寝具清掃や寝具乾燥の何れの運転においても、本体ケース20Cは、電動送風機48によって敷き布団100A側近傍の空気を連続的に吸引することが期待できる。またこれは、本体ケース20Cの走行の安定性にも貢献する。
以上のように、この実施の形態4の寝具掃除機20は、
本体ケース20Cが、敷き布団(第1の寝具)100Aの上面と掛け布団(第2の寝具)100Bの下面との間にある空間を、制御装置33の指令信号を受けた機械的駆動部94によって移動する寝具掃除機20であって、
前記本体ケース20Cには、集塵室54Cと、当該集塵室に前記敷き布団100A側から吸引した空気を導入する電動送風機48と、当該電動送風機48と前記機械的駆動部94を制御する制御装置33と、寝具の清掃モードを入力する入力操作部58と、をそれぞれ設け、
前記制御装置33は、前記本体ケース20Cが所定の移動経路MKに沿って進むように前記機械的駆動部94を制御する制御プログラムを保有し、
前記電動送風機48が前記敷き布団100A側から吸引する空気の吸込口50は、前記本体ケース20Cの底面に形成し、
前記機械的駆動部94は、前記本体ケース20Cの左右中心線CL4を挟んでその両側に少なくとも1つずつ車輪49を有しており、
本体ケース20Cの最も低い底面の位置から見て、前記吸込口50の高さを、敷き布団100Aの上面から離れる方向(上方)に若干(10mm以内)高く配置している構成である(図43参照)。
この寝具掃除機によれば、車輪49と近い本体ケース20C底面が、掛け布団100Bの重量を受けて敷き布団100Aの上面から大きく沈み込み、その底面部が敷き布団100Aの表面(上面)に接触するような状態になっても、これより高い位置にある吸込口50と敷き布団100Aとの間には空隙が確保され、敷き布団100Aの上面や内部を通過した空気を吸込口50から効率良く吸引できる。
さらに、この実施の形態4の寝具掃除機20は、
推進力を発生させる機械的駆動部94と、
前記機械的駆動部94に指令信号を送る制御装置33と、
前記制御装置33からの指令信号を受けた前記機械的駆動部94によって敷き布団(第1の寝具)100Aの上面を移動し、寝具清掃運転する本体ケース20Cと、
前記本体ケース20Cの内部にある集塵室126に、前記敷き布団100A側から吸引した空気を導入する電動送風機48と、を備え、
前記制御装置33には、前記本体ケース20Cの進行方向FDを規定する制御プログラムが格納され、
前記本体ケース20Cには、前記電動送風機48が吸引する空気の吸込口50と排気口118とをそれぞれ備え、
前記吸込口50は、前記本体ケースの底面において前記進行方向FD側前方部で開口し、
前記本体ケース20Cの底面は、前記吸込口50から進行方向FD側前方部が、前方に行くに従って前記敷き布団100Aの上面に対して間隔が広くなるよう、上方に傾斜した平面又は湾曲面で形成された構成である。
このため、敷き布団100Aや寝具カバー等が、前記吸込口50に集中して流入する直前の空気流F1によって引っ張られ(吸引され)、盛上り部100C(図示せず:図32参照)が形成されることがあっても、その盛り上がる高さは低く、またその車輪49が吸込口50の近くにおいて敷き布団100Aを上から押さえるので、塵埃を含んだ空気流を連続的に、円滑に吸込口50に集中させることができる。また本体ケース20が進行に伴って多少傾いても、その傾斜の影響を受けることが少なく、安定的に吸込口50から塵埃を含んだ空気を集塵室126へ回収できる。
さらにこの実施の形態4の寝具掃除機20は、
敷き布団(第1の寝具)100Aの存在を検知した情報を前記制御装置33に送信する寝具表面検知部62を更に備え、
前記寝具表面検知部62を構成する発光部64は、前記本体ケース20Cにおいて前記吸込口50より前方側位置から前記敷き布団100Aの表面に向けて光を照射するように配置し、
前記制御装置33は、前記寝具表面検知部62により寝具が無い状態を検知した場合、所定の回避処理(進行方向FDと逆の方向への進行や、進行方向FDから横方向への進路変更等)を実行する構成である。
このため、敷き布団100Aの上面周端縁から寝具掃除機20が不用意に落下して、寝具の掃除が出来なくなるという事態を防止できる。
実施の形態5.
次に本発明の実施の形態5について、図44を参照しながら説明する。図44は、本発明の実施の形態5に係る寝具掃除機の動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態1と同一部分又は相当部分には、同一符号を引用して説明する。
この実施の形態5は、寝具の掃除を開始する操作を使用者が行った後に、寝具掃除機20が掛け布団100Bの有無を検知し、敷き布団100Aと掛け布団100Bの両者の間の空間を走行しながら掃除する自動運転モードA(寝具掃除コースA)と、敷き布団100Bの上だけを走行しながら掃除する自動運転モーB(寝具掃除コースB)と、を自動的に切り替え、それら運転モードに適するように、機械的駆動部94の駆動力を調節する等、制御装置33が運転条件の設定を行うことが特徴である。
実施の形態5の寝具掃除機20は、実施の形態1で説明したような特殊な光を敷き布団100Bに照射する汚れ検知部66は具備していない。
寝具掃除機20の基本的構成は、実施の形態4に示すように、進行方向FD側に吸込口
50が1つあり、逆に後方側に排気口18を1つ有した構成である。以下、この前提で寝具掃除機20を説明する。
実施の形態1で説明したものと同じであるが、寝具掃除機20には、その外郭を構成する本体ケース20Cがある。その本体ケース20Cの内部にある光センサー21は、本体ケース20C上方向からの各種照明用の光や太陽光等の可視光線を検出し、掛け布団100Bの存在有無を検知する。この光センサー21と制御装置33によって掛け布団存在検知部21Sを構成している。
図44は、寝具掃除機20の主電源スイッチ70をONした後、清掃運転が開始されるまでの一連の動作ステップを示している。
SM1〜SM16で示す動作ステップは、制御装置33の中の中央制御部109を構成するマイクロコンピューターにプログラムとして規定されている。
使用者が、寝具掃除機20の主電源スイッチ70をONする(SM1)。すると、電源回路92を介して制御装置33が起動される。そして各種検知部98からの検知信号を制御装置33がチェックし、異常の有無が判定される。異常がない場合には、使用者からのタッチ入力を受け付ける準備を完了し、音声ガイド部108と液晶表示部(LED)101、入力操作部58を起動する(SM2)。
次に制御装置33は、音声ガイド部108とLED101を利用して、使用者に「敷き布団100Aのサイズ」と「清掃範囲」の2つの条件の内、少なくとも「清掃範囲」を入力する操作を促す報知をする(SM3)。つまり、使用者が掃除を希望する範囲が、敷き布団100Aの全範囲(掃除面積率100%」という)の場合、その100%を示す情報の入力操作を行うよう、LED101で表示をし、これに加えて、前記音声ガイド部108から音声でそのような条件設定用のパラメータの入力を促す。なお、所定時間後に運転を開始する「タイマー設定モード」も指定できる。このタイマー設定モードは、30分、1時間、3時間、6時間、12時間等、運転開始するまでの時間(以下、「タイマー時間」という)を指定すれば、運転開始するタイミングを指定できるものである。
この実施の形態5では、清掃運転の開始直後に、寝具清掃機20は、敷き布団100Aの範囲を自ら判断するために、所定の方向に直進し、敷布団100Aの周端部を検知してそこで方向転換して再び前進開始するという方法で、走行した軌跡のX方向、Y方向の座標データを蓄積し、そのデータ解析に基づいて敷き布団100Aが存在する範囲を自動的に推定する機能があり、敷き布団100Aのサイズを、入力操作部58で入力する手間を省略できる。
そして次のステップSM4では、使用者が入力操作部58において、寝具清掃の面積率を「30%・50%・100%・前半分・後半分」の中から1つを選択した後、次のステップSM5に進む。
次のステップSM5では、寝具識別手段59が起動され、近距離センサー59Sの発光と反射光の時間差から本体ケース20と敷き布団100Aとの間隔GP1、GP2(図9参照)の大きさを計測する。そして、計測結果を寝具識別回路59Cに送信する。
寝具識別回路59Cの中には、計測された距離(間隔)と、寝具100の硬さレベルを対応させたテーブルが記憶させてあるため、敷き布団100Aの硬さ(レベル)が識別できる。そしてこの硬さを示す固有のデータが前記制御装置33の中央制御部109に送信される。なお、この段階では、掛け布団100Bが本体ケース20Cの上に置かれることはない(置かれると、入力操作部58の入力操作が行えず、運転開始を指令できない)。
次のステップSM6では、以下のように寝具清掃運転をする条件(運転条件)を報知する。
中央制御部109は、1つのパラメータである「敷き布団100Aの清掃面積率」を、音声ガイド部108によって音声で案内する。例えば「足元側の半分だけを掃除する入力を確認しました。これで良ければスタートボタンを押して下さい」のように音声で案内する。なお、同時に、敷き布団100Aだけを清掃する場合には、このままスタートボタンを押すことを音声で案内する、もし掛け布団100Bを掛けた状態で清掃する場合には、スタートボタンを押してから、直ぐ(15秒以内)に掛け布団100Bを寝具掃除機20の上に掛ける必要があることを音声で案内する。
入力操作部58の入力結果や敷き布団100Aの大きさの分析結果に基づいて、制御装置33で運転時間を計算し、例えば、「敷き布団のお掃除コースが選択されました。このコースでは、30分掛かります」のように音声で案内しても良い。
このように、このステップSM6では、使用者は報知された運転条件(運転開始条件)を確認できる。運転開始する場合には、運転開始の操作キーを押して欲しい旨が報知される。
前記ステップSM6から所定時間内(例えば1分以内)に、入力操作部58の所定のキー(スタート開始指令用)にタッチ操作があるかどうかを判定する。タッチ操作があれば、ステップSM8に進む。タッチ操作がなければ、ステップSM7に戻る。なお、図示していないが、ステップSM6とSM7との間には、使用者が随時取り消す(ステップを戻す)ことができるステップがある。この取消しステップを選んだ場合には、ステップSM4に戻る。
次のステップSM8では、「タイマー設定モード」が指定されているかどうかの判定が行われる。もし「タイマー設定モード」が指定されている場合には、タイマー時間が到来するタイミングを決定するため、時間の計測を開始する(SM9)。「タイマー設定モード」が指定されていない場合には、掛け布団存在検知部21Sの判定時期が到来するタイミングを決定するため、時間の計測を開始する(SM10)。
前記ステップSM9から次のステップに進むと、タイマー時間が到来したかどうかを判定する。例えば、タイマー時間として「3時間」を選んだ場合には、ステップSM9から3時間経過すると、ステップSM11は「Yes」になり、次のステップSM13に進む。
次のステップSM13では、掛け布団存在検知部21Sを構成する光センサー21が、可視光線の量を計測し、掛け布団100Bの有無を検知する。掛け布団100Aが無い場合には、可視光線量が多いため、この光センサー21の受光量のデータが制御装置33に送信され、制御装置33によって掛け布団100Bの有無が判定される。
前のステップSM13において掛け布団100Bのあることが分かると、次のステップSM14では、敷き布団100Aと掛け布団100Bの両者の間の空間を走行しながら掃除する自動運転モードAの環境であることが分かるので、寝具掃除機20の運転モードを、「自動運転モードA」に確定させる。
そして、自動運転モードAの場合には、本体ケース20Cは、進行方向に進む際に、その上方から掛け布団100Bの重量も受けるので、同じ硬さの敷き布団100Aであった場合でも、走行抵抗が大きくなる。そこで、制御装置33は、車輪49の駆動力を標準値よりも増加させる指令を車輪駆動部95に発する(SM16)。
ところで、自動運転モードAでも自動運転モードBでも、電動送風機48のモータ48Mの駆動電流を増加させ、電動送風機48のファン回転数の増大に伴って真空吸引力を増加させることができるが、この寝具掃除機20が、商用電源(例えば、100V、50Hz又は60Hz)で動作するものではなく、リチウム・イオン電池等の充電池を使用している場合には、当該電池の定格電流の制約から、電流を大きくすることは事実上困難となる場合がある。そこで、このような充電池の電力供給能力に制約がある場合(走行途中で、電池の残量が規定以上に減ってしまった場合も含む)には、自動運転モードAのとき、制御装置33が、電動送風機48の送風能力を少し抑制し、車輪49の駆動力増加に伴って寝具掃除機20全体の消費電力を変化させないようにする。そして本体ケース20Cを遅滞なく進行させる方を優先させる。
前記ステップSM8で、タイマー設定モードが指定されていた場合には、掛け布団存在検知部21Sの判定時期が到来するタイミングを決定するため、時間の計測を開始し(SM10)、所定の時間(例えば、20秒間)を待って(SM12)、掛け布団100Bの有無を検知するステップSM13に進む。
前記ステップSM12で、所定の時間(例えば、20秒間)を待つ理由について説明する。使用者がステップSM7において、寝具清掃運転の開始を指令した場合、使用者は、掃除すべき目的の敷き布団100Aの上に寝具掃除機20を置いた状態から、そのままその場から離れる場合と、掛け布団100Bを掛ける場合との2つが想定される。
そのため、後者のケースも考慮し、使用者が掛け布団100Bを掛ける作業に必要な時間は、最長で15秒程度と考え、余裕を見て20秒にしている。
またこのステップSM12の時間を長くし過ぎると、運転モードを確定するまでの時間が長くなり、掃除完了までの所要時間が長くなってしまうという弊害が想定される。
ステップSM13において掛け布団100Bの無いことが分かると、次のステップSM15に進み、敷き布団100Aだけの上を走行しながら敷き布団100Aを掃除する自動運転モードBの環境であることが分かるので、寝具掃除機20の運転モードを、自動運転モードBに確定する。
そして、自動運転モードBの場合には、本体ケース20Cは、進行方向に進む際に、自動運転モードAの時のように、その上方から掛け布団100Bの重量を受けることはないので、自動運転モードAの場合に比べて、走行抵抗が小さくなる。そこで、制御装置33は、車輪49の駆動力を標準値に維持するか、又はそれよりも減少させる指令を車輪駆動部95に発する(SM16)。
前述したように、この寝具掃除機20が、商用電源(例えば、100V、50Hz又は60Hz)で動作するものではなく、リチウム・イオン電池等の充電池を使用している場合、当該電池の定格電流の制約があった場合でも、掛け布団100Bの存在によって車輪49の駆動力を増加させる必要がないので、寝具掃除機20全体の消費電力を変化させないようにしたまま、自動運転モードBのときには、制御装置33が、電動送風機48の送風能力を増加させることで真空吸引力を増加させることができる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態5に示した寝具掃除機20は、
敷き布団(第1の寝具)100Aの上面と掛け布団(第2の寝具)100Bの下面との間にある空間を、本体ケース20Cが自力で移動する掃除機であって、
前記本体ケース20Cには、集塵室126と、この集塵室に前記敷き布団100A側から空気を吸引する電動送風機48と、前記敷き布団の硬さからその種類(例えば、硬い、標準、柔らかいの3つ)を識別し、特定情報(寝具硬さ情報)を出力する寝具識別手段59と、前記本体ケース20Cを移動させる機械的駆動部94を制御するための制御装置33と、をそれぞれ内蔵し、
前記制御装置33は、前記寝具識別手段59からの特定情報を取得し、前記本体ケース20が所定の移動経路MKに沿って進むように前記機械的駆動部94を制御する制御プログラムを保有し、
前記本体ケース20Cには、前記掛け布団100Bの有無を検知し、検知結果に応じた信号を前記制御装置33に対して送信する寝具存在検知部21Sを備え、
前記制御装置33は、前記寝具存在検知部21Sから前記掛け布団100Bの存在を示す検知信号を受信したときは、前記機械的駆動部94の駆動条件を設定(車輪49の駆動力を増強)する構成である。
このため、使用者が掛け布団100Bの使用を入力しなくとも、本体ケース20Cの移動の負荷となる掛け布団の有無に対応して、寝具掃除機側で本体ケース20Cの駆動力を自動的に調整できるものであり、布団の枚数の変化に拘らず、円滑に走行する寝具掃除機を提供できる。
この実施の形態5における寝具掃除機20によれば、敷き布団100Aの清掃範囲を指定することで、制御装置33による自動制御で自動的に清掃運転を完了でき、使い勝手がよい。
(実施の形態5の変形例)
図45は、本発明の実施の形態5の変形例を示すためのものであり、制御装置33の動作プログラムの一部を示すフローチャートである。
この変形例では、実施の形態5のものに比較して早期に寝具の清掃運転を開始できるという利点がある。
図45のステップSM8〜SM15は、図44に示したステップSM8〜SM15と同じである。
図45に示すように、この変形例ではステップSM8で「タイマー設定モード」が指定されているかどうかの判定を行った結果、「タイマー設定モード」が指定されていない場合には、ステップSM20〜SM25に示す動作をすることに特徴がある。
「タイマー設定モード」が指定されていない場合以降、ステップSM20に進む。このステップでは、敷き布団100Aと掛け布団100Bの両者の間の空間を走行しながら自動運転モードAの環境であると仮定し、寝具掃除機20の運転モードを、自動運転モードAに一旦確定して、次のステップSM21に進む。
自動運転モードAの場合には、実施の形態5で述べたように本体ケース20Cは、進行方向に進む際に、その上方から掛け布団100Bの重量も受けるので、同じ硬さの敷き布団100Aであった場合でも、走行抵抗が大きくなる。そこで、制御装置33は、車輪49の駆動力を標準値よりも増加させる指令を車輪駆動部94に発する(SM21)。
次のステップSM22では、掛け布団存在検知部21Sの判定時期が到来するタイミングを決定するため、時間の計測を開始し、所定の時間(例えば、20秒間)を待って(SM23)、掛け布団100Bの有無を検知するステップSM24に進む。
つまり、このステップ24の時点では既に寝具の清掃運転は開始されており、本体ケース20も一定量進行した位置まで移動しているが、20秒程度の進行距離は全体の移動経路MKから見て極めて小さな範囲であり、実用上問題はない。
次のステップSM24では、掛け布団存在検知部21Sが動作開始し、本体ケース20Cの上に掛け布団100Bがあるかどうかが判定される。敷き布団100Aと掛け布団100Bの両者の間の空間を走行しながら掃除していることが、この時点において寝具掃除機20自身で分かる。
従って、次のステップSM25では、制御装置33は寝具掃除機20の運転モードを、自動運転モードAのまま維持することに決定する。一方、掛け布団100Bが無いことが判明した場合には、ステップSM26にて「自動運転モードB」に変更し、実施の形態5で説明したように、機械的駆動部94を介して車輪49の駆動力を増強するように車輪駆動部95に対する制御条件を変更する。
以上のように、この変形例における制御装置33は、寝具存在検知部21Sから掛け布団100Bの存在又は不存在の検知結果を示す信号を受信した場合、その信号に応じて前記機械的駆動部94の駆動条件の1つである車輪49の回転力を変更する構成である。
このため、本体ケース20Cの移動の負荷となる掛け布団の有無に対応して、本体ケースを所定方向に推進させる力を自動的に調整できるものであり、布団の枚数の変化に拘らず、円滑に走行する寝具掃除機を提供できる。
また、この変形例によれば、寝具清掃運転の開始を使用者が指令した時点(ステップSM7)から、直ぐに清掃運転を開始でき、その後で寝具の状況を判定して運転モードを維持したり、変更したりするから、実施の形態5のものに比較して早期に寝具の清掃運転を開始できるという利点がある。
なお、実施の形態5では、制御装置33は、機械的駆動部94の駆動条件の1つとして、車輪49の駆動力を増強するものであったが、駆動力を変化させずに、運転時間を変化させるものでも良い。例えば、敷き布団100Aと掛け布団100Bの間に寝具掃除機20を走行させる自動運転モードAでは、掛け布団100Bが無い場合に比較して進行方向FDにおける走行抵抗も大きいので、本体ケース20Cの進行速度を遅くしても良い。これによれば車輪49を回転させるモータ等の駆動電力(最高値)を増加させず、所定の定格電力値の範囲で運転できるという利点がある。このような走行速度や駆動時間の長短も駆動条件の1つである。
また、実施の形態5は、寝具掃除機20であったが、これを寝具乾燥機にも適用しても良い。この場合、本体ケース20Cの移動時の負荷となる掛け布団の有無に対応して、本体ケースを所定方向に推進させる力を自動的に調整できるものであり、布団の枚数の変化に拘らず、円滑に走行する寝具乾燥機を提供できる。
(その他の実施形態)
実施形態及び2における兼用乾燥機20と、実施の形態3〜5の寝具掃除機20の制御部33の、少なくとも一部を、集積回路上に形成された論理回路によってハードウエアとして構成してもよいし、CPU等などを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
また、機械的駆動部94の回転判定部97、汚れ検知部66の判定部107、撮影部106、寝具表面検知部62の判定部104、撮影部106、塵埃判定部61、寝具汚れ判定部110、異常時処理部111の機能をソフトウェアで実現しても良い。
ソフトウェアによって実現する場合は、寝具乾燥機、寝具掃除機、兼用乾燥機20は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM、上記プログラムを展開するRAM、プログラム及び各種データを格納するメモリー等の記憶装置(記録媒体)などを備えた構成になる。また、上述した機能を実現するソフトウェアである制御装置33の制御プログラムのプログラムコードをコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体(例えば各種半導体記憶素子)を、それら寝具乾燥機や寝具掃除機20に供給し、そのコンピュータが記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
移動経路(移動軌跡)MKは、本体ケース20Cが移動を開始する前に、起点(移動開始点)SAPから終点(移動終了点)STPまでの全行程が確定されなくてもよい。移動経路MKは、進行の過程で、適宜行程を計算して求められても良い。例えば、本体ケース20Cが移動を開始する前に、起点SAPから終点STPまでの全行程の概要を決定し、その後本体ケース20Cの進行に伴って制御装置33が進路を微調整するようにしても良い。
また、図17の摸式図に示したように、兼用乾燥機20が一時停止と進行を繰り返して進行する場合、一時停止位置(X1、X2、・・)の全ての座標(X軸、Y軸)が特定されている必要はない。例えば、X1の地点に到達した段階で、次に一時停止するX2の座標を計算で求めてもよい。X1とX4のように、長い間隔での目標点を先に決定し、進行の途中で、X1とX4の途中を補間する処理を行って、X2、X3を決定するようにしても良い。
寝具乾燥機や寝具掃除機20の制御装置33は、使用者が入力した運転時間情報に基づいて前記移動経路を決定する実施形態を説明したが、この運転時間情報は、事前に規定された「運転時間 長い」、「運転時間 短い」、「お急ぎ」等のような「長短」のイメージを示すものではなく、「60分」、「45分」のように希望する時間を示す数字自体であっても良い。
実施の形態1では、本体ケース20Cの底面から少し下方へ突出するように吸込口ユニット51を着脱自在に装着していたが、この構造を変更しても良い。例えば、本体ケース20Cの底面の開口51Hをそのまま吸込口50とし、この吸込口50には、使用者が取り外し、また装着できる構造に、空気中の塵埃を捕集する目の粗いプレフィルターだけ設けて、ブラシ52を省略しても良い。これにより、ブラシをモータによって回転駆動する駆動部は不要となり、コスト低減が期待できる。
また上記のように変更すると、本体ケース20Cの底面の開口51Hから下方へ突出する構造物が無くなり、本体ケース20Cの底面が、その前進の際に敷き布団100Aの表面の布等と接触しても抵抗力を受けることが軽減され、寝具掃除機や寝具乾燥機の円滑な進行が期待できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の実質的な範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。