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JP6669786B2 - ムレスズメ根抽出物を含有する美白用化粧料組成物 - Google Patents

ムレスズメ根抽出物を含有する美白用化粧料組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ムレスズメ(Caragana Sinica)根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリン(α−viniferin)を含有し、皮膚美白効果に優れた化粧料組成物に関する。
皮膚の黒化(Melanism)は、内的、外的要因に対する皮膚細胞の反応によって発生するものであって、その代表的な要因としては、皮膚の紫外線への露出がある。つまり、皮膚が紫外線に露出されるとチロシナーゼが活性化し、そのチロシナーゼは、皮膚組織に存在するアミノ酸の一種であるチロシンに作用して、ドーパ(dopa)を生成する。その後、再びドーパキノン(dopaquinone)を生成させる酸化プロセスを介して、皮膚の色素細胞であるメラノサイト(Melanocyte)内のメラノソーム(Melanosome)でメラニンという重合体が合成される。このメラニンは、皮膚の角質形成細胞であるケラチノサイト(Keratinocyte)に受け渡され、角質化プロセスによって皮膚の表面に到達し、紫外線から肌を守る。
メラニンは、私たちの体に欠かせない紫外線防御剤であり、タンパク質、脂質、核酸などの生体成分を変形させる様々なラジカルの除去に効果的なフリーラジカル消去剤としての役割を担う。しかし、メラニンが局所的に合成され過ぎること、皮膚病変や老化によって皮膚の生理機能が低下すると、メラニンが皮膚表面に沈着してシミ、そばかす、その他様々な色素沈着をもたらす。
これら皮膚黒化の原因やメカニズムが明らかになり、皮膚黒化プロセスに関与するチロシナーゼ(Tyrosinase)の活性阻害効果を有する物質を化粧料に配合する方法や、メラニン生成プロセスにおける一部の反応を阻害することによってメラニン生成を減少させる方法が、皮膚黒化を防ぐ方法として一般的に使用されている。そのために用いられる代表的な物質としては、アルブチン、アスコルビン酸、ヒドロキノン、植物抽出物である桑白皮エキスと甘草エキスなどがある。
アルブチンの場合、優れたチロシナーゼ活性阻害能を有する反面、化粧品に配合すると、変色や経時変化に伴う力価の低下など、その安定性に問題があり、皮膚への刺激も強く、使用には限界がある。アスコルビン酸は、チロシナーゼ活性阻害効果が低く、分子そのものの安定性が低いため、メラニン生成抑制剤としては適していないという問題がある。ヒドロキノンは、皮膚への刺激が強く、安全性の観点から、現在、化粧品に配合する際には、その使用性が制限される問題がある。また、ほとんどの植物抽出物は、高濃度でのみ比較的高いチロシナーゼ活性阻害効果を示し、低濃度では阻害効果がほとんど現れないなどの問題がある。特に、既存のメラニン生成抑制剤は、ヒトの皮膚に対する臨床実験で美白効果が低かったという大きな問題がある。
そこで、本発明者らは、天然植物抽出物の問題を解決するために研究を行い、その結果、ムレスズメ根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリンにおいて、優れた美白効果を確認し、本発明を完成した。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、ムレスズメ(CaraganaSinica)根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリン(α−viniferin)を有効成分として含有する美白用化粧料組成物を提供することである。
また、本発明が解決しようとする別の課題は、前記化粧料組成物を皮膚に塗布するステップを含む、皮膚の美白方法を提供することである。
また、本発明が解決しようとするもう一つの課題は、ムレスズメ根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリンを有効成分として含有する、メラニン色素の過剰沈着疾患の予防又は治療のための薬学的組成物を提供することである。
前記課題を解決するために、本発明は、ムレスズメ(Caragana Sinica)根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリン(α−viniferin)を有効成分として含有する美白用化粧料組成物を提供する。
また、本発明は、前記化粧料組成物を皮膚に塗布するステップを含む、皮膚の美白方法を提供する。
また、本発明は、ムレスズメ根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリンを有効成分として含有する、メラニン色素の過剰沈着疾患の予防又は治療のための薬学的組成物を提供する。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明は、ムレスズメ(Caragana Sinica)根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリン(α−viniferin)を有効成分として含有する美白用化粧料組成物を提供する。
前記ムレスズメ(Caragana Sinica)は、多年生の落葉広葉低木であり、他の近縁植物に比べて白いのが特徴であり、漢名もしくは生薬名として、チャイニーズ・ピー・ツリー(Chinese pea tree)、スコッチ・ブルーム(Scotch broom)、エニシダ(金雀枝、Cytisus scoparius)、金雀児、江南金鳳、覇齒花、醤瓣子などの別名がある。ムレスズメは、韓国の標高400m以下の地域である全羅北道、慶尚南道、忠清南道、京畿道などの各地から自生しており、村落付近に植栽することもある。小枝がたくさん分岐し、成木の高さは2mに達することもある。葉は小葉2対の偶数羽状複葉で互生する。葉の先端は大概とげとなり、小葉は4つで、倒卵形又は楕円形で厚みがある。葉は長さが1〜3cmであり、表面は濃い緑色で光沢があり、裏面は灰緑色で毛はない。葉軸は長さが4〜8mmであり、とげと変わる。株元から株立ち状に分枝し、枝には5稜があり、灰褐色で毛はない。全体的にとげがあり、ひげ根は長く伸びる。5月に黄赤色の蝶形花が1つずつ総状花序に咲く。花梗は長さ1cmほどで、中央部に一本の環節がある。がくは鐘型であり、茶色の毛が少しある。莢果は長さ3〜3.5cmの円柱状で毛はなく、9月に成ると知られているが、結実は希である。
前記抽出物は、ムレスズメの根を水、C〜Cの低級アルコール、又はこれらの混合溶媒で抽出して得ることができ、前記低級アルコールは、エタノール又はメタノールであってもよく、より詳しくはエタノールであってもよい。
本発明の一具体例において、ムレスズメ根のエタノール抽出物がチロシナーゼの活性とメラニンの生成を阻害し、優れた皮膚美白効果を示すことを確認した。
前記抽出物、分画物、又はα−ビニフェリンは、組成物の総重量に対して0.001重量%〜30重量%で含有されていてもよく、より詳しくは、0.01重量%〜10重量%で含有されていてもよい。前記抽出物、分画物、又はα−ビニフェリンの含有量が0.001重量%未満であれば皮膚の美白改善効果が表れず、30重量%を超えると、含有量増加に対する皮膚の美白改善効果の増大程度が微小し、剤形上の安定性に問題があって、経済的ではない。
前記ムレスズメ根抽出物の分画物は、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、及びブタノールからなる群から選択されるいずれかの有機溶媒を加えて得たものであってもよく、より詳しくは、酢酸エチルを加えて得たものであってもよいが、これに限定されない。
本発明の一具体例において、ムレスズメ根のエキスから得られたヘキサン分画物、クロロホルム分画物、酢酸エチル分画物、ブタノール分画物は、チロシナーゼの活性とメラニンの生成を阻害し、優れた皮膚美白効果を示すことを確認し、そのうちエチル酢酸分画物の美白効果が最も優れていることが確認できた。
前記ムレスズメ根抽出物の分画物は、分画物の総重量に対して0.001重量%〜30重量%でα−ビニフェリンを含有していてもよく、より詳しくは、0.01重量%〜10重量%で含有していてもよく、さらに詳しくは、0.1重量%〜1重量%で含有していてもよい。
前記α−ビニフェリンは、下記[化学式1]で表される構造を有する。
Figure 0006669786
本発明において、前記ムレスズメ根抽出物又はその分画物は、下記ステップを含む製造方法によって製造されることができるが、これらに限定されない:
1)ムレスズメの根に抽出溶媒を加えて抽出するステップ;
2)ステップ1)の抽出物をろ過するステップ;
3)ステップ2)でろ過した抽出物を減圧濃縮した後、乾燥するステップ;及び
4)ステップ3)で乾燥した抽出物に有機溶媒を加えてムレスズメ根の分画物を製造するステップ。
前記方法において、ステップ1)のムレスズメの根は、栽培したもの又は市販されているものなどを、特に制限なく用いることができる。
前記方法において、ムレスズメ根抽出物の抽出方法としては、ろ過法、熱水抽出、浸漬抽出、還流冷却抽出、超音波抽出、超臨界抽出など、当業界で通常使用される方法を使用すればよく、当業界に公知された通常の温度と圧力の条件下で製造することができる。また、抽出溶媒として、水、C〜Cの低級アルコール、又はこれらの混合溶媒を用いて抽出して得ることができ、前記低級アルコールは、エタノール又はメタノールであってもよい。前記抽出溶媒は、乾燥したムレスズメ根の分量の1〜20倍加えて抽出してもよく、詳しくは5〜15倍加えて抽出してもよいが、これに限定されない。また、抽出温度は、20〜70℃であってもよく、詳しくは25〜65℃であってもよく、さらに詳しくは、30〜60℃であってもよいが、これらに限定されない。また、抽出時間は、1〜20時間であってもよく、詳しくは2〜15時間であってもよいが、これらに限定されない。
前記方法において、ステップ2)のムレスズメ根抽出物を1〜5回ろ過してもよいが、これに限定されない。
前記方法において、ステップ3)の減圧濃縮は、真空減圧濃縮器又は真空回転蒸発器を用いてもよいが、これらに限定されない。また乾燥は、減圧乾燥、真空乾燥、沸騰乾燥、噴霧乾燥、又は凍結乾燥してもよいが、これらに限定されない。
前記方法において、ステップ4)の有機溶媒は、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、ブタノール、又は水であってもよいが、これらに限定されない。前記分画物は、ムレスズメ根抽出物を前記ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、ブタノール、又は水で分画して得たヘキサン分画物、クロロホルム分画物、酢酸エチル分画物、ブタノール分画物、又は水分画物のいずれかであってもよく、より詳しくは、酢酸エチル分画物であってもよい。前記分画物は、分画した後、減圧濃縮してもよい。
本発明の一具体例において、本発明は、以下のステップを含む、α−ビニフェリンを含有するムレスズメ根抽出物の分画物の製造方法によって製造することができる:
(a)ムレスズメ根の粉砕物を水、C〜Cの低級アルコール、又はこれらの混合溶媒で抽出するステップ;
(b)前記抽出物をヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、及びブタノールからなる群から選択されるいずれかの有機溶媒で分画するステップ;及び
(c)前記分画物からα−ビニフェリンを分離するステップ。
本発明の化粧料組成物は、化粧料組成物に通常用いられる成分を含有していてもよく、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解和剤、ビタミン、顔料、及び香料のような一般的な補助剤、そして担体を含有する。
本発明の化粧料組成物は、当業界で一般的に製造されるいかなる剤形でも製造することができ、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、ワックスファンデーション、パック、マッサージクリーム、及びスプレーなどで剤形化することができるが、これらに限定されるものではない。より詳しくは、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレー、又はパウダーの剤形に製造することができる。
本発明の化粧料組成物において、剤形がペースト、クリーム、又はゲルである場合、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、又は酸化亜鉛などを用いてもよい。
本発明の化粧料組成物において、剤形が溶液又は乳濁液である場合、担体成分として、溶媒、溶解和剤、又は乳濁化剤を用いてもよく、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、又はソルビタンの脂肪酸エステルを用いてもよい。
本発明の化粧料組成物において、剤形が懸濁液である場合は、担体成分として、水、エタノール、又はプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガ又はトラガカントなどを用いてもよい。
本発明の化粧料組成物において、剤形がパウダー又はスプレーである場合は、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート、又はポリアミドパウダーを用いてもよく、特にスプレーである場合は、さらに、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルのような推進体を含有してもよい。
本発明の化粧料組成物において、剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合は、担体成分として、脂肪族アルコールスルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホサクシネートモノエステル、イセチオン酸、イミダゾリウム誘導体、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどを用いてもよい。
本発明の化粧料組成物において、界面活性剤含有クレンジング剤形、又は界面活性剤非含有クレンジング剤形、又は石鹸である場合、皮膚に塗布した後、拭き取ったり、はずしたり、水で洗い流したりすることができる。例えば、前記石鹸には、液状石鹸、粉石鹸、固形石鹸、及びオイル石鹸があり、前記界面活性剤含有クレンジング剤形には、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、クレンジングタオル、及びクレンジングパックがあり、前記界面活性剤非含有クレンジング剤形には、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングウォーター、及びクレンジングゲルがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明の化粧料組成物は、本発明以外の他の化粧料組成物と重複して用いることができる。また、本発明による化粧料組成物は、通常の使用方法によって用いてもよく、使用者の皮膚の状態や好みに応じて、その使用回数を変えることができる。
本発明による化粧料組成物は、活性成分としてα−ビニフェリンを含有するムレスズメ根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリンを含有し、チロシナーゼの活性とメラニンの生成を阻害することにより、優れた皮膚美白効果を有する。
また、本発明は、ムレスズメ根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリンを有効成分として含有する化粧料組成物を皮膚に塗布するステップを含む、皮膚の美白方法を提供する。
本明細書で使われる用語「塗布」は、適切な方法により本発明による組成物を固体の皮膚に接触させるすべての方法を意味し、これにより、該組成物を皮膚内部に吸収させることを目的とする。
前記抽出物は、ムレスズメの根を水、C〜Cの低級アルコール、又はこれらの混合溶媒で抽出して得ることができ、前記低級アルコールは、エタノール又はメタノールであってもよく、より詳しくは、エタノールであってもよい。
前記抽出物、分画物、又はα−ビニフェリンは、組成物の総重量に対して0.001重量%〜30重量%で含有されていてもよく、より詳しくは、0.01重量%〜10重量%で含有されていてもよい。
前記ムレスズメ根抽出物の分画物は、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、及びブタノールからなる群から選択されるいずれかの有機溶媒を加えて得たものであってもよく、より詳しくは、酢酸エチルを加えて得たものであってもよいが、これらに限定されない。
前記ムレスズメ根抽出物の分画物は、分画物の総重量に対して0.001重量%〜30重量%でα−ビニフェリンを含有していてもよく、より詳しくは、0.01重量%〜10重量%で含有していてもよく、さらに詳しくは、0.1重量%〜1重量%で含有していてもよい。
また、本発明は、ムレスズメ根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリンを有効成分として含有する、メラニン色素の過剰沈着疾患の予防又は治療のための薬学的組成物を提供する。
本明細書で使われる用語「メラニン色素の過剰沈着(hyperpigmentation)」は、皮膚又は手足の爪の特定部位においてメラニンが過剰に増加し、他の部位に比べて黒く又は暗くなることを意味する。
前記メラニン色素の過剰沈着疾患は、シミ、そばかす、老人性色素斑又は日光黒子(solar lentigines)などを含むが、これらに限定されない。
前記抽出物は、ムレスズメの根を水、C〜Cの低級アルコール、又はこれらの混合溶媒で抽出して得ることができ、前記低級アルコールは、エタノール又はメタノールであってもよく、より詳しくは、エタノールであってもよい。
前記抽出物、分画物、又はα−ビニフェリンは、組成物の総重量に対して0.001重量%〜30重量%で含有されていてもよく、より詳しくは、0.01重量%〜10重量%で含有されていてもよい。
前記ムレスズメ根抽出物の分画物は、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、及びブタノールからなる群から選択されるいずれかの有機溶媒を加えて得たものであってもよく、より詳しくは、酢酸エチルを加えて得たものであってもよいが、これらに限定されない。
前記ムレスズメ根抽出物の分画物は、分画物の総重量に対して0.001重量%〜30重量%でα−ビニフェリンを含有していてもよく、より詳しくは、0.01重量%〜10重量%で含有していてもよく、さらに詳しくは、0.1重量%〜1重量%で含有していてもよい。
本発明の薬学的組成物は、有効成分に加えて、薬学的に許容される担体を含有していてもよく、これらの担体は、製剤する際に通常用いられるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これらに制限されるものではない。本発明の薬学的組成物は、前記成分に加えて、潤滑剤、湿潤剤、甘味料、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含有していてもよい。薬学的に許容される適合な担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995)に詳細に記載されている。
本発明の薬学的組成物の適切な投与量については、製剤化の方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病状、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感応性などのような要因によって様々な処方があり得る。一方、本発明の薬学的組成物の投与量は、好ましくは、1日あたり0.0001〜100mg/kg(体重)であってもよい。
本発明の薬学的組成物は、経口又は非経口投与してもよく、非経口投与の場合には、皮膚に局所的に塗布、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、経皮投与などで投与することができる。本発明の薬学的組成物がメラニン色素の過剰沈着疾患を予防又は治療するために適用されることを考慮すると、皮膚に局所的に塗布されることが望ましい。
本発明の薬学的組成物に含有される有効成分の濃度は、治療の目的、患者の状態、必要期間などを考慮して決めることができ、特定範囲の濃度に限定されない。
本発明の薬学的組成物は、当該発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に行える方法で、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化することにより、単位容量形態で製造するか、又は多容量容器内に入れて製造してもよい。このとき、剤形は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液、又は乳化液の形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、又はカプセル剤であってもよく、分散剤又は安定化剤をさらに含有してもよい。
本発明の一具体例において、本発明の薬学的組成物は、皮膚外用剤を含む。前記皮膚外用剤は、パウダー、ゲル、軟膏、クリーム、ローション、液剤、又はエアロゾル製剤であってもよいが、これらに限定されない。
本発明のムレスズメ(Caragana Sinica)根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリンは、チロシナーゼの活性を阻害し、メラニンの生成を抑制するため、皮膚美白に有効である。よって、本発明は、美白用化粧料組成物又はメラニン色素の過剰沈着疾患の予防又は治療のための薬学的組成物として有用に利用することができる。
ムレスズメ根エタノール抽出物の酢酸エチル分画物のHPLCによる成分分析の結果を示す。 ムレスズメ根エタノール抽出物から分離したα−ビニフェリンのHPLCによる成分分析の結果を示す。 ムレスズメ根エタノール抽出物の酢酸エチル分画物から分離したα−ビニフェリンの1H−NMR分析結果を示す。 ムレスズメ根エタノール抽出物の酢酸エチル分画物から分離したα−ビニフェリンの13C−NMR分析結果を示す。 ムレスズメ根エタノール抽出物の酢酸エチル分画物から分離したα−ビニフェリンのメラニン生成抑制効果を示す。 ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物の塗布による皮膚の明るさの変化に関する臨床評価の結果を示す。 ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物の塗布による皮膚のメラニン含有量の変化に関する臨床評価の結果を示す。 ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物の塗布による皮膚の色の変化に関する肉眼的評価の結果を示す。
以下、本発明を、実施例、実験例、及び剤形例により詳細に説明する。
但し、下記実施例、実験例、及び製形例は、本発明を具体的に例示するものに過ぎず、本発明の内容がこれら実施例、実験例、及び製形例によって限定されるものではない。
実施例1:ムレスズメ(Caragana Sinica)根抽出物の製造
細切して陰干ししたムレスズメの根500gを粉砕して粉砕物を製造した。前記粉砕物に70%のエタノール5lを加えて5時間還流抽出して冷浸した。前記抽出物を400メッシュ(mesh)の濾布でろ過した後、濾紙No.2(Whatman)で再びろ過した。その後、減圧濃縮し、ムレスズメ根エタノール抽出物24gを得た。
実施例2〜5:ムレスズメ根抽出物の分画物の製造
前記実施例1で得られたムレスズメ根エタノール抽出物10gをヘキサンとクロロホルム、酢酸エチル、及びブタノールを用いて、通常の方法で溶媒分画を行った後、減圧濃縮して、実施例2のヘキサン分画物2.12g、実施例3のクロロホルム分画物1.32g、実施例4の酢酸エチル分画物1.24g、実施例5のブタノール分画物0.82gを得た。
実験例1:ムレスズメ根抽出物の分画物の有効成分の分離及び分析
前記実施例2〜5で得られたムレスズメ根抽出物の分画物0.1gをそれぞれメタノールに溶解し、10ml検液を得た。また、α−ビニフェリン(C4230:678.68)標準品10mgをメタノールで100mlになるように溶解した後、このうち0.5mlを、メタノールを用いて100mlになるように再び溶解し、1/2、1/4に希釈して標準液を得た。前記検液及び標準液をそれぞれ20μlずつHPLC分析し、α−ビニフェリン含有量を測定した。
HPLCによる分析は、UV/VIS151検出器を装着したギルスンHPLCシステム(Gilson Inc.,Middleton,WI,USA)を用いた。固定相としては、5μmヘクター−M C18 カラム(Hector−M C18 column;4.6mm×250mm;RS tech co.,Daejeon,Korea)を用いた。移動相としては、0.5%ギ酸(formic acid;A)とアセトニトリル(acetonitrile;B)の混合溶液を用い、50分にわたってBの含有量を30%から100%に一定の勾配で増加させながら行った。流速は1分当たり0.8mlであり、紫外線検出器の検出波長は280nmに設定した。HPLC分析結果を図1及び図2に示し、分析結果、実施例2〜5のα−ビニフェリン含有量を下記[表1]に示した。
Figure 0006669786
また、前記実施例4のムレスズメ根エタノール抽出物の酢酸エチル分画物に含有されているα−ビニフェリンをNMR分析によって確認した。
詳しくは、前記実施例4のムレスズメ根エタノール抽出物の酢酸エチル分画物15gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel column chromatography)(2.5×28cm、EtOAc:MeOH=10:1→100%MeOH)を行って8つの分画(CE1〜CE8)に区分し、分画CE7に対してシリカゲルカラムクロマトグラフィー(2.5×28cm、CHl2:MeOH=50:1→100%MeOH)、そしてsephadexLH−20カラムクロマトグラフィ(70%MeOH 100%MeOH)を行い、α−ビニフェリン0.1gを分離した。
NMR機器としては、1H−NMRは、バリアン社(Varian、GEMINI、500MHz)のNMR機器を、13C−NMRは、バリアン社(Varian、GEMINI、200MHz)のNMR機器を用いてその構造を分析した。溶媒は、アルドリッチ(Aldrich)社から購入したアセトン(acetone−d6)を用い、内部標準物質は、トリメチルシランを用いてδ値(ppm)で示し、NMRの結果を図3a及び図3bに示した。
1H−NMR(500MHz、 Acetone−d):δppm 4.11(s、1H、H−3(I))、4.77(d、1H、H−3(III))、4.85(d、1H、H−3(II))、5.05(d、1H、H−2(III))、6.09(d、1H、H−2(II))、6.14(d、1H、H−5(I))、6.22(s、1H、H−2(I))、6.38(m、3H、H−7(I、II、III))、6.74(d、1H、H−5(III))、6.87(m、3H、H−3′、5′(I)、H−5(II))、6.92(m、4H、H−3′、5′(II、III))、7.18(m、4H、H−2′、6′(I、III))、7.36(m、2H、H−2′、6′(II))
13C−NMR(125MHz、Acetone−d):δppm 46.4(C−3( I ))、52.8( C−3(II))、55.7(C−3(III))、86.4(C−2(I))、90.0(C−2(II))、95.6(C−2(III))、96.6(C−7(II、III))、98.0(C−7(I))、105.8(C−5(III))、106.2(C−5(II))、108.5(C−5(I))、115.7(C−3′、5′(I))、116.1(C−3′、5′( III、II))、118.8(C−3a(I))、119.7(C−3a(III))、120.9(C−3a(II))、128.1(C−2′、6′(I))、128.2(C−2′、6′( II))、128.6(C−2′、6′( III))、132.0(C−1′(I))、132.3(C−1′( II))、132.5(C−1′(III))、138.7(C−4(III))、159.4(C−6(II、I))、160.7(C−7a(II))、160.8(C−6(III))、161.6(C−7a(I))、161.8(C−7a(III))
実験例2:ムレスズメ根抽出物及びその分画物の美白効果の確認
実験例2−1:ムレスズメ根抽出物及びその分画物のチロシナーゼ活性阻害効果の確認
チロシナーゼは、生体内でチロシン(tyrosine)という物質の酸化過程を促進し、メラニンを生成させる酵素である。そのため、前記実施例1〜5で製造されたムレスズメ根エタノール抽出物及びその分画物のチロシナーゼ活性阻害効果を確認することにした。
詳しくは、チロシナーゼは、キノコから分離及び精製されたものをシグマ(Sigma)社から購入して用いた。基質であるL−チロシンは、0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)に溶解して0.1mg/ml溶液にし、前記実施例1〜5のムレスズメ根エタノール抽出物及び分画物を0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)に0.05%、0.1%、及び0.2%の濃度で溶解した。次に、L−チロシン溶液0.5mlを試験管に入れ、前記ムレスズメ根抽出物及び分画物試料液0.5mlを加え、37℃恒温器で10分間放置した。その後、200unit/mlチロシナーゼ0.5mlを加えて37℃で10分間反応させた。この反応液が入った試験管を氷の上に置いて急冷させて反応を終了した後、分光光度計で波長475nmでの吸光度を測定した。対照群としては、ムレスズメ根抽出物の代わりに緩衝液0.5mlを入れたものを用い、比較対象として、皮膚美白剤としてよく知られているアルブチンを用いた。このとき、チロシナーゼに対する活性阻害率(%)は、下記[数式1]によって計算し、その結果を下記[表2]に示した。
Figure 0006669786
Figure 0006669786
その結果、表2に示した通り、実施例1〜5のムレスズメ根エタノール抽出物及び分画物は、チロシナーゼ活性を濃度依存的に阻害した。特に、実施例4のムレスズメ根抽出物の酢酸エチル分画物と陽性対照群であるアルブチンを比較したときに、類似の阻害能を示しており、ムレスズメ根抽出物の酢酸エチル分画物がチロシナーゼ活性阻害効果に優れていることを確認した。
実験例2−2:ムレスズメ根抽出物及びその分画物のメラニン生成抑制効果の確認
前記実施例1〜5で製造されたムレスズメ根エタノール抽出物及びその分画物の美白効果を調べるために、B16F1メラニン形成細胞に対するメラニン生成抑制効果を確認することにした。
詳しくは、B16F1メラニン形成細胞は、マウス由来の細胞群であり、ATCC(American Type Culture Collection)から分譲させたものを用いた。前記B16F1メラニン形成細胞を6ウェルプレートに各ウェル当り2×10濃度にて分周し、細胞を付着させた後、毒性を誘発しない濃度にて分周した。その後、前記実施例1〜5のムレスズメ根エタノール抽出物及び分画物を濃度別に処理して72時間培養した。72時間培養した後、細胞をトリプシン−EDTAで剥離し、細胞数を測定した後、遠心分離して細胞を回収した。細胞内のメラニンの定量は、ロタン(Lotan:Cancer Res.,40:3345−3350、1980)の方法を変形して行った。セルペレットをPBSで1回洗浄した後、均質化バッファー液(50mMリン酸ナトリウム、pH6.8、1%Triton X−100、2mM PMSF)1mlを加えて5分間渦流して細胞を破砕した。遠心分離(3,000rpm、10分)して得られた細胞ろ液に1N NaOH(10%DMSO)を加えて抽出されたメラニンを溶解した後、マイクロプレートリーダーで405nmでメラニンの吸光度を測定し、メラニンを定量して、試料のメラニン生成阻害率(%)を測定した。B16F1メラニン形成細胞のメラニン生成阻害率(%)は、下記[数式2]によって計算し、その結果を[表3]に示した。
Figure 0006669786
Figure 0006669786
その結果、表3に示した通り、実施例1〜5のムレスズメ根抽出物及びその分画物は、メラニンの生成を濃度依存的に阻害することを確認した。特に、実施例4のムレスズメ根抽出物の酢酸エチル分画物は、メラニン生成阻害能が美白剤として知られているアルブチンより優れていることを確認した。
実験例2−3:α−ビニフェリンのメラニン生成抑制効果の確認
前記実施例4のムレスズメ根の分画物から分離したα−ビニフェリンの美白効果を調べるために、B16F1メラニン形成細胞に対するメラニン生成抑制効果を確認することにした。
詳しくは、前記実施例4のムレスズメ根エタノール抽出物の酢酸エチル分画物から分離したα−ビニフェリン又はアルブチンとメラニン生成刺激剤α−MSHを同時に処理し、70−74時間後に、前記実施例2−2と同様にメラニン量を測定した。
その結果、図4に示した通り、α−ビニフェリンのα−MSHによって導いたメラニン生成抑制効果が試料濃度4μMで8%の抑制率、6μMで21%の抑制率、そして8μMで63%の抑制率を示し、IC50値は7μMであった。一方、対照物質であるアルブチンのα−MSHの刺激により導いたメラニン生成抑制効果は、試料濃度100μMで13%の抑制率、200μMで44%の抑制率、そして400μMで73%の抑制率を示し、IC50値は242μMであった。したがって、α−ビニフェリンがα−MSHにより導いたメラニン生成に対する美白効果がアルブチンよりも約35倍高いことを確認した。
剤形例1:ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する可溶化剤形の製造
ムレスズメ根抽出物の分画物を有効成分として含有する化粧料組成物の安定性を調べるために、ブチレングリコールと精製水が50:50の割合で混合された溶媒に、前記実施例4のムレスズメ根抽出物の酢酸エチル分画物を溶解した後、下記[表4]の通り可溶化剤形を製造した。
Figure 0006669786
<製造方法>
(1)水相と可溶化相をそれぞれ均一に混合及び溶解した。
(2)水相に可溶化相を入れて混合及び可溶化した。
(3)添加Iは実施例4のムレスズメ根抽出物の酢酸エチル分画物を含有する相に可溶化した後、投入して混合し、添加IIを混合して完了した。
剤形例2:ムレスズメ根抽出物の分画物を含有するエッセンス剤形の製造
ムレスズメ根抽出物の分画物を有効成分として含有する化粧料組成物の安定性を調べるために、ブチレングリコールと精製水が50:50の割合で混合された溶媒に、前記実施例4のムレスズメ根抽出物の酢酸エチル分画物を溶解した後、下記[表5]の通りエッセンス剤形を製造した。
Figure 0006669786
<製造方法>
(1)水相と油相を加温して、それぞれ均一に混合及び溶解した。
(2)75℃で水相に油相を入れて混合し乳化した
(3)添加相Iは実施例4のムレスズメ根抽出物の酢酸エチル分画物を有効成分として含有する相で、50℃で投入して混合した後、添加相IIを混合した。
剤形例3:ムレスズメ根抽出物の分画物を含有するクリーム剤形の製造
ムレスズメ根抽出物の分画物を有効成分として含有する化粧料組成物の安定性を調べるために、ブチレングリコールと精製水が50:50の割合で混合された溶媒に、前記実施例4のムレスズメ根抽出物の酢酸エチル分画物を溶解した後、下記[表6]の通りクリーム剤形を製造した。
Figure 0006669786
<製造方法>
(1)水相の油相を加温して、それぞれ均一に混合及び溶解した。
(2)75℃で水相に油相を入れて混合し乳化した。
(3)添加相Iは実施例4のムレスズメ根抽出物の酢酸エチル分画物を有効成分として含有する相で、50℃で投入して混合した後、添加相IIを混合した。
実験例3:ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物の安定性の確認
実験例3−1:ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物の原料安定性の確認
原料の安定性を確認するために、前記剤形例1〜3の可溶化剤形、エッセンス剤形、クリーム剤形を4℃、30℃、45℃、日光の条件下において12週間保管した後、前記実験例1と同様の方法でHPLC分析により、ムレスズメ根抽出物の酢酸エチル分画物に含有されているα−ビニフェリン成分の経時変化を観察し、その結果を[表7]に示した。
Figure 0006669786
その結果、表7に示した通り、可溶化剤形、エッセンス剤形、及びクリーム剤形のすべてにおいて、高温及び日光の条件でもムレスズメ根抽出物の酢酸エチル分画物内の有効成分であるα−ビニフェリンは安定性に優れていることが確認できた。
実験例3−2:ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物の剤形安定性の確認
剤形安定性を確認するために、前記剤形例1〜3の可溶化剤形、エッセンス剤形、クリーム剤形を4℃、30℃、45℃、日光の条件下において12週間保管した後、肉眼的評価と官能評価により、色、匂い、剤形の変化を観察し、その結果を下記[表8]〜[表10]に示した。このとき、色、匂い、剤形の変化の程度は、下記評価基準に基づいて分類し評価した。
<評価基準>
変化無:○
若干の変化:△
有意な変化:×
Figure 0006669786
Figure 0006669786
Figure 0006669786
その結果、表8〜表10に示した通り、可溶化剤形、エッセンス剤形、及びクリーム剤形のすべてにおいて、高温及び日光の条件でも安定性に優れていることが確認できた。
実験例3−3:ムレスズメ根抽出物の分画物から分離されたα−ビニフェリンの安定性の確認
α−ビニフェリンの安定性を確認するために、前記実験例1のムレスズメ根エタノール抽出物の酢酸エチル分画物から分離したα−ビニフェリンを50℃で2週間保管した後、前記実験例1と同様の方法でHPLC分析により、含有量の変化を観察した。対照群としては、ムレスズメ根抽出物から分離したコボフェノールAを用い、α−ビニフェリンと同じ条件で保管した後、同様の方法で含有量の変化を観察した。その結果を下記[表11]に示した。
Figure 0006669786
その結果、表11に示した通り、α−ビニフェリンは、50℃の高温でも2週間含有量が落ちず、ムレスズメ抽出物の別の美白物質であるコボフェノールAに比べて安定性に優れていることが確認できた。
実験例4:ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物の皮膚刺激性の確認
ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物の皮膚刺激性を調べるために、前記剤形例3のクリーム剤形の皮膚刺激性評価を行った。
詳しくは、成人30人を対象に、背中に5×20cmの大きさで前記剤形例3で製造したムレスズメ根エタノール抽出物の酢酸エチル分画物を濃度依存的に含有するクリーム剤形の一定量(20μl)を24時間貼付して除去した後、1時間、24時間経過後に、肉眼で皮膚状態の変化を評価し、その結果を[表12]に示した。このとき、皮膚状態の変化程度は下記皮膚状態の評価基準に基づいて分類し評価した。
<皮膚状態の評価基準>
0:変化無し
1:ごくわずかな変化
2:わずかな変化
3:やや激しい変化
4:激しい変化
5:極めて激しい変化
Figure 0006669786
Figure 0006669786
その結果、表12に示した通り、α−ビニフェリンを多く含有するクリーム剤形でも皮膚刺激が少ないことが確認できた。
実験例5:ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物の有効性に関する臨床評価
ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物の有効性を評価するために、平均年齢44歳の女性23人に対して臨床実験を行った。試験製品として、ムレスズメ根抽出物の分画物が3.2%含有された化粧料組成物を用い、対照製品としては、試験製品でムレスズメ根抽出物の分画物の代わりに精製水を含有するプラセボクリームを用いた。前記試験製品と対照製品をそれぞれ被験者の顔の左側と右側にランダムに塗布し、1日2回のペースで塗布しながら8週間その変化を観察した。
実験例5−1:ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物の塗布による皮膚の明るさの変化に関する臨床評価
試験製品及び対照製品の使用による皮膚の明るさの変化を調べるために、使用前、使用4週後、使用6週後、使用8週後の皮膚の明るさを皮膚色測定器であるChroma meter CM700dを用いて測定した。測定の際には、毎回同じ部位の皮膚を3回ずつ測定し、その平均値を評価資料として使用した。
Figure 0006669786
表13のデータは、被験者23人の皮膚の明るさの測定結果を平均値±標準偏差(Standard Error、SE)で示しており、その変化の程度のグラフを図5に示した。
表13及び図5で確認できるように、試験製品使用後の皮膚の明るさの測定値が、使用前に比べて使用6週後、使用8週後に有意に増加(有意確率<0.05)し、対照製品に比べると、使用6週後、使用8週後に有意な差(有意確率<0.05)を示した。これによりムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物は、6週間の使用後から皮膚の明るさに役立つことが確認された。
実験例5−2:ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物の塗布による皮膚のメラニン含有量の変化に関する臨床評価
試験製品と対照製品の使用による皮膚の明るさの変化を調べるために、使用前、使用4週後、使用6週後、使用8週後の皮膚のメラニン量をMexameterというNarrow−band reflectance spectrophotometerでprobeで568nm(green)、660nm(red)、880nm(infrared)での反射光を利用して測定した。測定の際には毎回同じ部位のメラニン量を3回ずつ測定し、その平均値を評価資料として使用した。
Figure 0006669786
表14のデータは、被験者23人の結果を平均値±標準偏差(Standard Error、SE)で示しており、その変化の程度のグラフを図6に示した。
表14及び図6で確認できるように、試験製品使用後の皮膚のメラニン測定値が使用前に比べて、使用6週後、使用8週後に有意に減少し(有意確率<0.017)し、対照製品に比べると、使用4週後、使用6週後、使用8週後に有意な差(有意確率<0.05)を示した。したがって、ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物は、6週間の使用後から皮膚のメラニン含有量減少に役立つことが確認された。
実験例5−3:ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物の塗布による皮膚色の変化の肉眼的評価
試験製品と対照製品の使用による皮膚の明るさの変化を調べるために、使用前、使用4週後、使用6週後、使用8週後の皮膚を肉眼的に評価した。
評価は、専門家2人が、皮膚色評価基準表であるIntensity score tableを基準にして、試験部位の皮膚の色を肉眼的に評価し、1点(明るく透明な皮膚)〜10点(暗くてくすんだ皮膚)で皮膚の明るさを評価した。2人の研究員の評価に差がある場合は、低い方の値を評価資料として選択した。
Figure 0006669786
表15のデータは、被験者23人の結果を平均値±標準偏差(Standard Error、SE)で示しており、その変化の程度のグラフを図7に示した。
表15及び図7で確認できるように、専門家の肉眼的評価による試験製品群の美白効果点数は、使用前に比べて、使用6週後、使用8週後に有意に減少(有意確率<0.017)し、対照製品に比べると、使用8週後に有意な差(有意確率<0.05)を示した。したがって、ムレスズメ根抽出物の分画物を含有する化粧料組成物は、6週間の使用後から美白に役立つことが確認できた。

Claims (2)

  1. ムレスズメ(Caragana Sinica)根のエタノール抽出物の酢酸エチル分画物を有効成分として含有し、
    前記分画物は、組成物の総重量に対して0.01重量%〜10重量%で含有される、
    美白用化粧料組成物。
  2. 前記分画物は、分画物の総重量に対して0.1重量%〜1.0重量%でα−ビニフェリンを含有することを特徴とする、請求項1に記載の美白用化粧料組成物。
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