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JP6660833B2 - 表皮一体発泡成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、表皮一体発泡成形品に関する。
車両用シートのアームレストは、複数の表皮片が袋状に縫製されてなる表皮の内部に発泡樹脂材料を注入し、表皮の内部で発泡樹脂材料を発泡させ、樹脂発泡体を表皮と一体に成形して製造されている。
特許文献1に記載されたアームレストは、カップホルダー等の容体付のアームレストである。表皮には、容体が装着される装着孔が設けられており、装着孔に容体が装着された状態で表皮の内部に発泡樹脂材料が注入され、樹脂発泡体が表皮及び容体と一体に成形されている。
そして、容体が装着された装着孔から発泡樹脂材料が漏出することを防止するため、環状の弾性材が装着孔の開口縁部に固定されており、装着孔の縁が弾性材の弾性によって容体の外周面に密着し、弾性材もまた容体の外周面に密着している。弾性材としては、軟質のゴムバンドや硬質ゴム等で環状のものが用いられている。
特開2003−125892号公報
特許文献1に記載された容体付アームレストでは、弾性材が容体によって伸張され、伸張された弾性材が締まることにより、表皮の装着孔の縁及び弾性材が容体の外周面に密着している。弾性材の締りは容体を装着孔に装着する際の抵抗となるところ、容体が装着孔に装着される際に表皮の内部は空洞であり、弾性材の締りによる抵抗に起因して表皮が潰れてしまい、容体の装着に手間がかかる虞がある。
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、表皮に設けられた装着孔への部品の装着が容易であり、装着孔からの発泡樹脂材料の漏出を抑制できる表皮一体発泡成形品を提供することを目的とする。
本発明の一態様の表皮一体発泡成形品は、部品が装着される装着孔を有する袋状の表皮と、前記装着孔に前記部品が装着された状態の前記表皮の内部で前記表皮及び前記部品と一体に成形されている樹脂発泡体と、を備え、前記部品は、前記表皮の内部に収納される埋設部を有し、前記表皮は、前記装着孔の開口縁よりも当該装着孔の内側に延出して設けられたシール部を有し、前記シール部は、前記埋設部の外周面に沿って前記表皮の内部に引き込まれた状態で前記埋設部の外周面に全周に亘って密接しており、前記樹脂発泡体を形成する発泡樹脂材料を含浸している。
本発明によれば、表皮に設けられた装着孔への部品の装着が容易であり、装着孔からの発泡樹脂材料の漏出を抑制できる表皮一体発泡成形品を提供することができる。
本発明の実施形態を説明するための、表皮一体発泡成形品の一例としての車両用シートのアームレストの斜視図である。 図1のアームレストの分解斜視図である。 図1のIII−III線断面図である。 図1のIV-IV線断面図である。 図1のアームレストの製造工程を示す斜視図である。 図1のアームレストの図5に続く製造工程を示す断面図である。 図1のアームレストの変形例の断面図である。 図1のアームレストの他の変形例の断面図である。 本発明の実施形態を説明するための、表皮一体発泡成形品の他の例としての車両用シートのシートクッションの斜視図である。 図9のX−X線断面図である。 本発明の実施形態を説明するための、表皮一体発泡成形品の他の例としての車両用シートのシートバックの斜視図である。 図11のXII-XII線断面図である。
図1及び図2は、本発明の実施形態を説明するための、表皮一体発泡成形品の一例を示す。
図1及び図2に示す表皮一体発泡成形品は、車両用シートの引き出し式のアームレスト10であり、図1はアームレスト10がシートバックから引き出された状態を示す。
アームレスト10は、表皮11と、表皮11の内部に充填された樹脂発泡体12と、表皮11に装着される部品としてのカップホルダー13と、を備える。
アームレスト10の表皮11は、複数の表皮片が袋状に縫製されてなり、縫い代が内側になるように返し口14で裏返され、返し口14が綴じ縫いされて形成されている。アームレスト10が引き出された状態で乗員の腕が乗せられる表皮11の上面には、カップホルダー13が装着される装着孔18が形成されている。
カップホルダー13は、表皮11の外部で装着孔18の開口縁部に重なって配置されるフランジ部13aと、装着孔18を通じて表皮11の内部に収納される埋設部13bとを有する。カップホルダー13は、例えば合成樹脂材料からなり、フランジ部13aと埋設部13bとは一体に形成されている。
樹脂発泡体12は、装着孔18にカップホルダー13が装着された状態の表皮11の内部で発泡樹脂材料が発泡されてなり、表皮11及びカップホルダー13と一体に成形されている。発泡樹脂材料は、特に限定されるものではないが、発泡ポリウレタンを例示することができる。
図3及び図4は、アームレスト10の断面を示す。
アームレスト10の表皮11は、図1に示すアームレスト10が引き出された状態で乗員の腕が乗せられる上面を構成する表皮片11a、下面を構成する表皮片11b、及び左右の側面を構成する11c,11dを含み、これら4枚の表皮片が袋状に縫い合されて形成されている。
表皮片11a〜11dは、いずれも合成皮革やファブリックからなる表面材15及び表面材15の裏側に積層されたワディング材16の二層によって形成されている。ワディング材16はクッション性を有するシート材であり、ワディング材16としては、例えば軟質ポリウレタンフォームなどの樹脂発泡体を用いることができる。
合成皮革やファブリックからなる表面材15とワディング材16とは、例えばラミネート加工などによって全面に亘って接合されており、表皮片11a〜11dは、表面材15とワディング材16とが接合されてなる原反から切り出されて形成されている。
装着孔18は上面を構成する表皮片11aに形成されており、表皮片11aには、装着孔18に装着されたカップホルダー13の埋設部13bの外周面に全周に亘って密接するシール部17が設けられている。
シール部17は、柔軟であり且つ樹脂発泡体12を形成する発泡樹脂材料を含浸可能なシート材からなり、シール部17としては、例えば軟質ポリウレタンフォームなどの樹脂発泡体を用いることができる。本例では、ワディング材16が軟質ポリウレタンフォームなどの樹脂発泡体からなり、シール部17はワディング材を用いて形成されており、特に、表皮片11aを構成しているワディング材16が表面材15と全面に亘って接合されている本例にあっては、シール部17は表皮片11aを構成しているワディング材16とは別体に形成されている。シール部17がワディング材を用いて形成されることにより、材料の有効利用が図られる。
表皮片11aを構成しているワディング材16とは別体であるシール部17は装着孔18の形状に対応した環状に形成されている。そして、シール部17の外縁部が、表皮片11aの裏側で装着孔18の開口縁部に重ねられ、装着孔18の開口縁部に縫合又は接着などによって接合されている。
シール部17の内縁部は、装着孔18の開口縁よりも装着孔18の内側に延出して配置される。そして、シール部17の内縁部は、装着孔18を通して表皮11の内部に収納されるカップホルダー13の埋設部13bの外周面に沿って表皮11の内部に引き込まれ、引き込まれた状態で埋設部13bの外周面に全周に亘って密接している。
図5及び図6を参照して、アームレスト10の製造工程について説明する。
まず、図5に示すように、袋状に縫製された表皮11の縫い代が内側になるように返し口14で裏返され、返し口14が綴じ縫いされる。表皮片11aにはシール部17が接合されており、シール部17の内縁部は装着孔18の開口縁よりも装着孔18の内側に延出して配置されている。
次に、図6に示すように、カップホルダー13の埋設部13bが装着孔18を通じて表皮11の内部に挿入される。このとき、装着孔18の開口縁よりも装着孔18の内側に延出して配置されているシール部17の内縁部は、埋設部13bの外周面に沿って表皮11の内部に引き込まれる。シール部17は柔軟であるので、表皮11の内部に引き込まれるシール部17の内縁部は埋設部13bの外周面の形状に倣って容易に変形される。よって、埋設部13bの装着孔18への挿入抵抗が軽減され、埋設部13bの装着孔18への挿入に伴う表皮11の潰れや変形が抑制される。これにより、カップホルダー13の装着孔18への装着作業が容易となる。
次に、表皮11に設けられているノズル挿し込み口(不図示)に発泡樹脂材料の注入ノズルが装着され、カップホルダー13及び注入ノズルが装着された状態で表皮11が一体発泡成形用金型のキャビティに装填される。そして、注入ノズルを通じて発泡樹脂材料が表皮11の内部に注入される。表皮11の内部で発泡樹脂材料が発泡し、樹脂発泡体12が成形される。
ここで、表皮11の内部に注入された発泡樹脂材料は、表皮11の内側に露出する表皮片11a〜11dそれぞれのワディング材16及びシール部17に浸潤し、ワディング材16及びシール部17に浸潤した発泡樹脂材料もまた発泡する。このとき、シール部17はシール部17に浸潤した発泡樹脂材料の発泡に応じて膨張し、シール部17の内縁部が、埋設部13bの外周面に押し付けられ、埋設部13bの外周面の全周に亘って強固に密着する。これにより、装着孔18からの発泡樹脂材料の漏出が抑制される。
樹脂発泡体12の成形が済んだ後、表皮11及び樹脂発泡体12並びにカップホルダー13が一体発泡成形用金型から取り出され、注入ノズルがノズル挿し込み口から取り外される。以上の工程を経てアームレスト10が得られる。
このように、カップホルダー13が装着される表皮11の装着孔18に、発泡樹脂材料を含浸可能な柔軟なシール部17を設けることにより、カップホルダー13の装着孔18への装着作業が容易になり、且つ、装着孔18からの発泡樹脂材料の漏出を抑制することができる。
図7は、アームレスト10の変形例を示す。
図7に示す例では、シール部17の内縁部が密接するカップホルダー13の埋設部13bの外周面に環状の凹部20が設けられており、シール部17の内縁部の少なくとも一部が凹部20に収容されている。これにより、埋設部13bとシール部17との間に凹凸状のラビリンスシールが構成され、シール性が高まり、装着孔18からの発泡樹脂材料の漏出を一層抑制することができる。
図8は、アームレスト10の他の変形例を示す。
図8に示す例では、表皮11を形成する表皮片11a〜11dのうち、アームレスト10が引き出された状態で乗員の腕が乗せられる上面を構成する表皮片11a、及びアームレスト10が収納された状態で乗員の背中に接する下面を構成する表皮片11bが、天然皮革からなる表面材19及び表面材19の裏側に積層されたワディング材16の二層によって形成されている。
天然皮革の風合いを保つため、表面材19とワディング材16とは非面接合状態にあり、他の表皮片と縫い合わされている縁部を除いて表面材19とワディング材16とは分離している。なお、「非面接合状態」とは、隣り合う二層が全面に亘って接合されていない状態をいい、例えば表皮片11aの縁部を他の表皮片11b〜11dの縁部と縫い合わせているシームによって表面材19とワディング材16とが線状に接合されている状態や、縁部を除く表皮片11aの中央部に設けられる装飾用のステッチなどによって表面材19とワディング材16とが局所的に点状又は線状に接合されている状態は含むものとする。
表面材19と非面接合状態にあるワディング材16は、表面材19とは異なる形状に形成することが可能である。そこで、本例では、シール部17が表皮片11aを構成しているワディング材16と一体に形成されている。すなわち、表皮片11aを構成している表面材19には装着孔18が形成され、同じく表皮片11aを構成しているワディング材16には装着孔18より小さい通孔が形成され、装着孔18の開口縁よりも装着孔18の内側に延出して配置される延出部がワディング材16に設けられており、この延出部がシール部17とされている。
このように、表皮片11aを構成しているワディング材16と一体にシール部17を形成することにより、ワディング材16と別体に形成されたシール部17を表皮片11aに接合する作業を省略でき、アームレスト10の製造効率を高めることができる。
図9は、本発明の実施形態を説明するための、表皮一体発泡成形品の他の例を示す。
図9に示す表皮一体発泡成形品は、チャイルドシート50が着脱可能な車両用シートのシートクッション30である。チャイルドシート50には固定用の一対のフック51が設けられており、フック51がそれぞれ係合する一対のアンカー34がシートクッション30の座面の後端部に配置されている。アンカー34は、例えば車両フロアに固定されており、シートクッション30に形成されている切れ込みを通してシートクッション30の座面とは反対側から座面に達している。
シートクッション30は、表皮31と、表皮31の内部に充填された樹脂発泡体32と、表皮31に装着される部品としての一対のガイドカップ33と、を備える。ガイドカップ33は、シートクッション30の座面の後端部に配置されているアンカー34をそれぞれ囲っている。
図10は、シートクッション30の断面を示す。
シートクッション30の表皮31は、シートクッション30の座面を構成する表皮片31aを含む複数の表皮片が袋状に縫い合されて形成されている。表皮片31aは、表面材35及び表面材35の裏側に積層されたワディング材36の二層によって形成されている。本例では、表面材35は合成皮革やファブリックからなり、表面材35とワディング材36とは全面に亘って接合されている。
表皮片31aには、ガイドカップ33が装着される装着孔38が形成されている。ガイドカップ33は、表皮31の外部で装着孔38の開口縁部に重なって配置されるフランジ部33aと、装着孔38を通じて表皮31の内部に収納される埋設部33bとを有しており、表皮片31aには、装着孔38に装着されたガイドカップ33の埋設部33bの外周面に全周に亘って密接するシール部37が設けられている。
シール部37は、柔軟であり且つ樹脂発泡体32を形成する発泡樹脂材料を含浸可能なシート材からなり、装着孔38の形状に対応した環状に形成されている。そして、シール部37の外縁部が、表皮片31aの裏側で装着孔38の開口縁部に重ねられ、装着孔38の開口縁部に接合されている。なお、表皮片31aを構成しているワディング材36が柔軟であり且つ発泡樹脂材料を含浸可能である場合に、シール部37はワディング材を用いて形成されてもよい。
シール部37の内縁部は、装着孔38の開口縁よりも装着孔38の内側に延出して配置される。そして、シール部37の内縁部は、装着孔38を通して表皮31の内部に収納されるガイドカップ33の埋設部33bの外周面に沿って表皮31の内部に引き込まれ、引き込まれた状態で埋設部33bの外周面に全周に亘って密接している。
シートクッション30の製造工程は、上述したアームレスト10の製造工程と同様であり、まず、袋状に縫製された表皮31の縫い代が内側になるように裏返され、次に、ガイドカップ33の埋設部33bが装着孔38を通じて表皮31の内部に挿入される。このとき、装着孔38の開口縁よりも装着孔38の内側に延出して配置されているシール部37の内縁部は、埋設部33bの外周面に沿って表皮31の内部に引き込まれる。シール部37は柔軟であるので、表皮31の内部に引き込まれるシール部37の内縁部は埋設部33bの外周面の形状に倣って容易に変形される。よって、埋設部33bの装着孔38への挿入抵抗が軽減され、埋設部33bの装着孔38への挿入に伴う表皮31の潰れや変形が抑制される。これにより、ガイドカップ33の装着孔38への装着作業が容易となる。
続いて、発泡樹脂材料が表皮31の内部に注入される。表皮31の内部で発泡樹脂材料が発泡し、樹脂発泡体32が成形される。表皮31の内部に注入された発泡樹脂材料はシール部37に浸潤し、シール部37に浸潤した発泡樹脂材料もまた発泡する。このとき、シール部37はシール部37に浸潤した発泡樹脂材料の発泡に応じて膨張し、シール部37の内縁部は、埋設部33bの外周面に押し付けられ、埋設部33bの外周面の全周に亘って強固に密着する。これにより、装着孔38からの発泡樹脂材料の漏出が抑制される。
以上の工程を経てシートクッション30が得られる。この後、アンカー34が挿し通される切れ込みが表皮31及び樹脂発泡体32並びにガイドカップ33に跨って形成される。
なお、図7に示したアームレスト10の変形例と同様、シール部37の内縁部が密接するガイドカップ33の埋設部33bの外周面に環状の凹部が設けられ、シール部37の内縁部の少なくとも一部が凹部に収容されてもよい。これにより、装着孔38からの発泡樹脂材料の漏出を一層抑制することができる。
また、図8に示したアームレスト10の変形例と同様、表皮片31aを構成している表面材35が天然皮革からなり、表面材35とワディング材36とが非面接合状態にある場合に、表面材35に装着孔38が形成され、ワディング材36に装着孔38より小さい通孔が形成されることにより、装着孔38の開口縁よりも装着孔38の内側に延出して配置される延出部がワディング材36に設けられ、この延出部がシール部37とされ、シール部37がワディング材36と一体に形成されてもよい。これにより、ワディング材36と別体に形成されたシール部37を表皮片31aに接合する作業を省略でき、シートクッション30の製造効率を高めることができる。
図11は、本発明の実施形態を説明するための、表皮一体発泡成形品の他の例を示す。
図11に示す表皮一体発泡成形品は、ウォークイン機構を備える車両用シートのシートバック40である。シートバック40の側面の上端部には、ウォークイン機構の操作部としてのレバー44が設けられており、レバー44が操作されることにより、シートバック40が前傾され、シートクッションが跳ね上げられ、そしてシート全体が前方にスライドされる。
シートバック40は、表皮41と、表皮41の内部に充填された樹脂発泡体42と、表皮41に装着される部品としてのレバーハウジング43と、を備える。レバーハウジング43は、シートバック40の側面の上端部に配置されているレバー44の操作部を露出させてレバー44の桿部を収容している。
図12は、シートバック40の断面を示す。
シートバック40の表皮41は、シートバック40の側面を構成する表皮片41aを含む複数の表皮片が袋状に縫い合されて形成されている。表皮片41aは、表面材45及び表面材45の裏側に積層されたワディング材46の二層によって形成されている。本例では、表面材45は合成皮革やファブリックからなり、表面材45とワディング材46とは全面に亘って接合されている。
表皮片41aには、レバーハウジング43が装着される装着孔48が形成されている。レバーハウジング43は、表皮41の外部で装着孔48の開口縁部に重なって配置されるフランジ部43aと、装着孔48を通じて表皮41の内部に収納される埋設部43bとを有しており、表皮片41aには、装着孔48に装着されたレバーハウジング43の埋設部43bの外周面に全周に亘って密接するシール部47が設けられている。
シール部47は、柔軟であり且つ樹脂発泡体42を形成する発泡樹脂材料を含浸可能なシート材からなり、装着孔48の形状に対応した環状に形成されている。そして、シール部47の外縁部が、表皮片41aの裏側で装着孔48の開口縁部に重ねられ、装着孔48の開口縁部に接合されている。なお、表皮片41aを構成しているワディング材46が柔軟であり且つ発泡樹脂材料を含浸可能である場合に、シール部47はワディング材を用いて形成されてもよい。
シール部47の内縁部は、装着孔48の開口縁よりも装着孔48の内側に延出して配置される。そして、シール部47の内縁部は、装着孔48を通して表皮41の内部に収納されるレバーハウジング43の埋設部43bの外周面に沿って表皮41の内部に引き込まれ、引き込まれた状態で埋設部43bの外周面に全周に亘って密接している。
シートバック40の製造工程は、上述したアームレスト10の製造工程と同様であり、まず、袋状に縫製された表皮41の縫い代が内側になるように裏返され、次に、レバーハウジング43の埋設部43bが装着孔48を通じて表皮41の内部に挿入される。このとき、装着孔48の開口縁よりも装着孔48の内側に延出して配置されているシール部47の内縁部は、埋設部43bの外周面に沿って表皮41の内部に引き込まれる。シール部47は柔軟であるので、表皮41の内部に引き込まれるシール部47の内縁部は埋設部43bの外周面の形状に倣って容易に変形される。よって、埋設部43bの装着孔48への挿入抵抗が軽減され、埋設部43bの装着孔48への挿入に伴う表皮41の潰れや変形が抑制される。これにより、レバーハウジング43の装着孔48への装着作業が容易となる。
続いて、発泡樹脂材料が表皮41の内部に注入される。表皮41の内部で発泡樹脂材料が発泡し、樹脂発泡体42が成形される。表皮41の内部に注入された発泡樹脂材料はシール部47に浸潤し、シール部47に浸潤した発泡樹脂材料もまた発泡する。このとき、シール部47はシール部47に浸潤した発泡樹脂材料の発泡に応じて膨張し、シール部47の内縁部は、埋設部43bの外周面に押し付けられ、埋設部43bの外周面の全周に亘って強固に密着する。これにより、装着孔48からの発泡樹脂材料の漏出が抑制される。
なお、図7に示したアームレスト10の変形例と同様、シール部47の内縁部が密接するレバーハウジング43の埋設部43bの外周面に環状の凹部が設けられ、シール部47の内縁部の少なくとも一部が凹部に収容されてもよい。これにより、装着孔48からの発泡樹脂材料の漏出を一層抑制することができる。
また、図8に示したアームレスト10の変形例と同様、表皮片41aを構成している表面材45が天然皮革からなり、表面材45とワディング材46とが非面接合状態にある場合に、表面材45に装着孔48が形成され、ワディング材46に装着孔48より小さい通孔が形成されることにより、装着孔48の開口縁よりも装着孔48の内側に延出して配置される延出部がワディング材46に設けられ、この延出部がシール部47とされ、シール部47がワディング材46と一体に形成されてもよい。これにより、ワディング材46と別体に形成されたシール部47を表皮片41aに接合する作業を省略でき、シートバック40の製造効率を高めることができる。
以上、アームレスト10、シートクッション30、及びシートバック40を例に本発明の実施形態を説明したが、本発明は、例えば高さ調節可能なヘッドレストであって、操作釦を収容するベゼルが装着されたヘッドレストなどの車両用シートの他の表皮一体発泡成形品にも適用可能であり、さらには車両用シートの構成要素に限らず他の表皮一体発泡成形品にも適用可能である。
10 アームレスト
11 表皮
11a 表皮片
11b 表皮片
11c 表皮片
11d 表皮片
12 樹脂発泡体
13 カップホルダー
13a フランジ部
13b 埋設部
14 返し口
16 ワディング材
17 シール部
18 装着孔
19 表面材
20 凹部
30 シートクッション
31 表皮
31a 表皮片
32 樹脂発泡体
33 ガイドカップ
33a フランジ部
33b 埋設部
34 アンカー
35 表面材
36 ワディング材
37 シール部
38 装着孔
40 シートバック
41 表皮
41a 表皮片
42 樹脂発泡体
43 レバーハウジング
43a フランジ部
43b 埋設部
44 レバー
45 表面材
46 ワディング材
47 シール部
48 装着孔
50 チャイルドシート
51 フック

Claims (5)

  1. 部品が装着される装着孔を有する袋状の表皮と、
    前記装着孔に前記部品が装着された状態の前記表皮の内部で前記表皮及び前記部品と一体に成形されている樹脂発泡体と、
    を備え、
    前記部品は、前記表皮の内部に収納される埋設部を有し、
    前記表皮は、前記装着孔の開口縁よりも当該装着孔の内側に延出して設けられたシール部を有し、
    前記シール部は、前記埋設部の外周面に沿って前記表皮の内部に引き込まれた状態で前記埋設部の外周面に全周に亘って密接しており、前記樹脂発泡体を形成する発泡樹脂材料を含浸している表皮一体発泡成形品。
  2. 請求項1記載の表皮一体発泡成形品であって、
    前記表皮は、表面材と、前記表面材の裏側に積層される、前記発泡樹脂を含浸可能なワディング材とを含み、
    前記シール部は、前記ワディング材を用いて形成されている表皮一体発泡成形品。
  3. 請求項2記載の表皮一体発泡成形品であって、
    前記表皮を構成している前記ワディング材は、前記表面材における前記装着孔の開口縁よりも当該装着孔の内側に延出して設けられた延出部を有し、
    前記シール部は、前記延出部によって形成されている表皮一体発泡成形品。
  4. 請求項2記載の表皮一体発泡成形品であって、
    前記シール部は、前記表皮を構成している前記ワディング材とは別体に形成されており、前記装着孔の開口縁部に接合されている表皮一体発泡成形品。
  5. 請求項1から4のいずれか一項記載の表皮一体発泡成形品であって、
    前記埋設部の外周面には環状の凹部が設けられており、
    前記シール部の前記埋設部との接触部の少なくとも一部は、前記凹部に収容されている表皮一体発泡成形品。
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