JP6645036B2 - 厚鋼板の冷却制御方法、冷却制御装置、製造方法、および、製造装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、冷却装置入側の鋼板温度測定値を起点に冷却装置出側の冷却停止温度を予測し、予測した冷却停止温度が冷却停止温度の目標値と合致するように、冷却装置の冷却水量を逐次操作するダイナミック制御技術が開示されている。
また、特許文献3には、熱間圧延された鋼板を該鋼板の長手方向に移送しながら上下に配置したノズルから鋼板に冷却水を供給して冷却する方法において、冷却装置長手方向で冷却水上下注水量が制御可能な冷却ゾーン毎に各冷却ゾーン入側で鋼板の上下面温度差を検出し、検出した上下面温度差に基づいて当該冷却ゾーンの鋼板の単位長さに対する上下注水量を制御する熱間圧延鋼板の冷却方法が開示されている。
また、特許文献4には、過去の実績データを蓄積したデータベースを活用して予測誤差を推定し、推定した予測誤差を用いて冷却停止温度の修正値を算出し、この修正値が冷却停止温度の目標値になるように冷却水量や鋼板搬送速度を決定する、厚鋼板の冷却制御方法が開示されている。
また、特許文献5には、熱間圧延の途中で、予め定められた熱間圧延条件とは異なる他の熱間圧延条件に変更して熱間圧延を引き続き行う場合に、上記他の熱間圧延条件と、複数の水冷装置のうちの最上流側に位置する水冷装置の入側における鋼板の温度測定値とに基づいて、鋼板の巻き取り温度を目標値とすることが可能な、複数の水冷装置すべてについての冷却条件の設定値を求め、さらに、上記他の熱間圧延条件と、複数の水冷装置のうちで最上流側に位置する水冷装置以外の1又は2以上の水冷装置の入側における鋼板の温度測定値とに基づいて、少なくとも上記1又は2以上の水冷装置について求めた冷却条件の設定値を修正して設定し、水冷装置は、開度が独立して制御可能であって噴射する冷却水の水量を調整する複数の水量調整バルブを有するとともに、上記冷却条件は、水量調整バルブの開度である、熱延鋼板の製造方法が開示されている。
本発明は、このような知見に基づいて完成させた。以下、本発明について説明する。
本発明の厚鋼板の冷却制御方法(以下において、「本発明の制御方法」と称することがある。)は、冷却装置内に設置した温度計(冷却装置内温度計)の測定値を起点に、鋼板温度予測モデルを用いて冷却後の厚鋼板の冷却停止温度を予測し、この予測結果に基づいて冷却装置の操作量(冷却水量)を設定する、フィードフォワード制御技術である。冷却装置によって冷却される厚鋼板は、熱間圧延後に所定の速度で搬送されることによって、冷却装置へと導かれる。冷却装置は、所定の搬送速度で移動している厚鋼板に向けて冷却水を吹き付けることにより、厚鋼板を冷却する。厚鋼板の冷却停止温度を高精度に制御するためには、温度計の測定値を起点とした、冷却停止までの厚鋼板の温度変化を高精度に予測する必要がある。本発明の制御方法は、厚鋼板を長手方向に仮想的に分割された複数の切り板の集合体と考える形態(第1実施形態)と、複数の切り板の集合体と考えない形態(第2実施形態)とに大別することができる。
図1および図2は、第1実施形態にかかる本発明の制御方法を説明する図である。図1および図2を適宜参照しつつ、第1実施形態にかかる本発明の制御方法について、以下に説明する。
図1に示した第1実施形態にかかる本発明の制御方法は、第1切り板温度測定工程S11と、第1切り板温度予測工程S12と、第1冷却水量設定工程S13と、第1冷却工程S14と、第2切り板温度測定工程S15と、調整工程S16と、第2切り板温度予測工程S17と、第2冷却水量設定工程S18と、第2冷却工程S19と、を有している。
第1切り板温度測定工程S11(以下において、「S11」と称することがある。)は、冷却装置20の入側に設置された入側温度計11を用いて、入側温度計11を通過する際の各切り板の温度を測定する工程である。
第1切り板温度予測工程S12(以下において、「S12」と称することがある。)は、S11で測定した各切り板の温度を起点に、鋼板温度予測モデル(板厚方向多分割モデル)を用いて、各切り板の温度降下を計算することにより、冷却装置20内に設置された冷却装置内温度計12、13、14のそれぞれの位置、および、冷却装置20の出側に設置された出側温度計15の位置における、各切り板の温度(板厚方向温度分布)を予測する工程である。
続いて、セルごとに核沸騰と膜沸騰との割合を求める。沸騰熱伝達現象は、膜沸騰の状態では熱伝達率が小さく、核沸騰の状態では熱伝達率が大きい。厚鋼板の温度が高いときは膜沸騰が主体であるが、低温になると核沸騰に遷移し、熱伝達率が急増する傾向がある。よって、この割合によって、熱伝達率が大きく異なる。CHF点とMHF点との関係は実験等で求めることができることが知られている。CHF点とMHF点との間の温度域は、図3に示したように、核沸騰と膜沸騰とが同時に起こる遷移沸騰領域と呼ばれる。厚鋼板の表面温度が、CHF点以下であれば、核沸騰の割合が100%、MHF点以上であれば、膜沸騰の割合が100%である。したがって、厚鋼板の表面温度が遷移沸騰領域にあれば、その割合に応じて核沸騰割合(膜沸騰割合)を決める。
第1冷却水量設定工程S13(以下において、「S13」と称することがある。)は、S12で予測された、出側温度計15の位置における各切り板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置20全体の冷却水量を設定する工程である。S13では、S12で板厚方向温度分布が予測された各切り板を冷却停止目標温度まで冷却するために必要な、冷却装置20のすべての冷却ゾーンにおける冷却水量を、切り板毎に設定する。
第1冷却工程S14(以下において、「S14」と称することがある。)は、S13で設定された冷却水量の冷却水を各切り板へと吹き付けることにより、各切り板を刻々と冷却する工程である。より具体的には、S13で設定された冷却水量の冷却水が各切り板へと吹き付けられるように、冷却装置20の動作を制御しながら、各切り板を冷却する工程である。
第2切り板温度測定工程S15(以下において、「S15」と称することがある。)は、S14が開始されてから終了するまでの間に、冷却装置内温度計12、13、14の位置に達した各切り板の温度を、冷却装置内温度計12、13、14を用いて測定する工程である。すなわち、S15は、冷却装置20による冷却中の各切り板の温度を測定する工程である。
調整工程S16(以下において、「S16」と称することがある。)は、S12で予測された、冷却装置内温度計12、13、14のそれぞれの位置における各切り板の温度の予測値と、S15で測定された冷却装置内温度計12、13、14のそれぞれの位置における各切り板の温度の測定値とが一致するように、各切り板に対して鋼板温度予測モデルを調整する工程である。S16における鋼板温度予測モデルの調整は、S12の温度予測値とS15の温度測定値とが一致するように鋼板温度予測モデルを調整するのであれば、その調整形態は特に限定されない。ただし、冷却停止温度を高精度に制御しやすい形態にする観点からは、本発明の制御方法で用いる鋼板温度予測モデルが、冷却水によって冷却される各切り板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、CHF点およびMHF点を算出する遷移温度算出部と、を有することが好ましい。そして、S16は、このような鋼板温度予測モデルにおける、CHF点、MHF点、核沸騰領域の熱伝達率、および、遷移沸騰領域の熱伝達率を修正する工程であることが好ましい。
Xn=1.0+0.02・ΔT
また、修正後の遷移沸騰領域の熱伝達率は、例えば、CHF点における修正後の核沸騰領域の熱伝達率と、MHF点における膜沸騰領域の熱伝達率とを繋ぐ直線により表わすことができる。S16で調整した鋼板温度予測モデルで用いる沸騰曲線の例を、図5に示す。図5には、調整前の沸騰曲線と、CHF点およびMHF点を高温側に38.1℃修正し、且つ、核沸騰領域の熱伝達率の補正係数Xnを1.76として調整した後の沸騰曲線を示した。
第2切り板温度予測工程S17(以下において、「S17」と称することがある。)は、S16で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、出側温度計15の位置を含む、冷却装置内温度計12、13、14の位置よりも下流側の領域における各切り板の温度(板厚方向温度分布)を予測する工程である。S17における温度予測計算は、S16で調整された鋼板温度予測モデルを用いるほかは、S12と同様に行うことができる。
第2冷却水量設定工程S18(以下において、「S18」と称することがある。)は、S17で予測された、冷却装置20の出側(出側温度計15の位置)における各切り板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、S15で温度を測定した位置よりも下流側の領域における、各切り板に対する冷却装置20の冷却水量を再設定する工程である。S18における冷却水量の再設定は、冷却水量を決定する際に用いる起点となる板厚方向温度分布としてS17で予測された結果を用いるほかは、S13と同様に行うことができる。
第2冷却工程S19(以下において、「S19」と称することがある。)は、S18で設定された冷却水量の冷却水を、S15で温度を測定した位置よりも下流側の各切り板へと吹き付けることにより、各切り板を刻々と冷却する工程である。より具体的には、S18で再設定された冷却水量の冷却水が各切り板へと吹き付けられるように、冷却装置20の動作を制御しながら、各切り板を冷却する工程である。
図6および図7は、第2実施形態にかかる本発明の制御方法を説明する図である。図6および図7を適宜参照しつつ、第2実施形態にかかる本発明の制御方法について、以下に説明する。なお、第1実施形態は冷却装置を通過する各切り板を追跡し、個々の切り板に対して必要な水量の冷却水を吹き付けることができる冷却装置を対象にした実施形態であるが、第2実施形態は、このような機能を持たない冷却装置を対象にした実施形態である。
図6に示した第2実施形態にかかる本発明の制御方法は、第1温度測定工程S21と、第1温度予測工程S22と、第1冷却水量設定工程S23と、第1冷却工程S24と、第2温度測定工程S25と、調整工程S26と、第2温度予測工程S27と、第2冷却水量設定工程S28と、第2冷却工程S29と、を有している。
第1温度測定工程S21(以下において、「S21」と称することがある。)は、冷却装置20の入側に設置された入側温度計11を用いて、入側温度計11を通過する際の厚鋼板1の制御対象ポイントである先端部の温度を測定する工程である。
第1温度予測工程S22(以下において、「S22」と称することがある。)は、S21で測定した厚鋼板1の温度を起点に、鋼板温度予測モデル(板厚方向多分割モデル)を用いて、厚鋼板1の温度降下を計算することにより、冷却装置20内に設置された冷却装置内温度計12、13、14のそれぞれの位置、および、冷却装置20の出側に設置された出側温度計15の位置における、厚鋼板1の温度(板厚方向温度分布)を予測する工程である。厚鋼板1を複数の切り板の集合体とみなさない点を除き、S22はS12と同様の工程であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
第1冷却水量設定工程S23(以下において、「S23」と称することがある。)は、S22で予測された、出側温度計15の位置における厚鋼板1の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置20全体の冷却水量を設定する工程である。S23では、S22で板厚方向温度分布が予測された厚鋼板1を冷却停止目標温度まで冷却するために必要な、冷却装置20のすべての冷却ゾーンにおける冷却水量を設定する。
第1冷却工程S24(以下において、「S24」と称することがある。)は、S23で設定された冷却水量の冷却水を厚鋼板1へと吹き付けることにより、厚鋼板1を冷却する工程である。より具体的には、S23で設定された冷却水量の冷却水が厚鋼板1へと吹き付けられるように、冷却装置20の動作を制御しながら、厚鋼板1を冷却する工程である。
第2温度測定工程S25(以下において、「S25」と称することがある。)は、S24が開始されてから終了するまでの間に、冷却装置内温度計12、13、14の位置に達した厚鋼板1の制御対象ポイントである先端部の温度を、冷却装置内温度計12、13、14を用いて測定する工程である。すなわち、S25は、冷却装置20による冷却中の厚鋼板1の温度を測定する工程である。
調整工程S26(以下において、「S26」と称することがある。)は、S22で予測された、冷却装置内温度計12、13、14のそれぞれの位置における厚鋼板1の温度の予測値と、S25で測定された冷却装置内温度計12、13、14のそれぞれの位置における厚鋼板1の温度の測定値とが一致するように、鋼板温度予測モデルを調整する工程である。S26における鋼板温度予測モデルの調整は、S22の温度予測値とS25の温度測定値とが一致するように鋼板温度予測モデルを調整するのであれば、その調整形態は特に限定されない。ただし、冷却停止温度を高精度に制御しやすい形態にする観点からは、本発明の制御方法で用いる鋼板温度予測モデルが、冷却水によって冷却される厚鋼板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、CHF点およびMHF点を算出する遷移温度算出部と、を有することが好ましい。そして、S26は、このような鋼板温度予測モデルにおける、CHF点、MHF点、核沸騰領域の熱伝達率、および、遷移沸騰領域の熱伝達率を修正する工程であることが好ましい。厚鋼板1を複数の切り板の集合体とみなさない点を除き、S26はS16と同様の工程であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
第2温度予測工程S27(以下において、「S27」と称することがある。)は、S26で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、出側温度計15の位置を含む、冷却装置内温度計12、13、14の位置よりも下流側の領域における厚鋼板1の温度(板厚方向温度分布)を予測する工程である。S27における温度予測計算は、S26で調整された鋼板温度予測モデルを用いるほかは、S22と同様に行うことができる。
第2冷却水量設定工程S28(以下において、「S28」と称することがある。)は、S27で予測された、冷却装置20の出側(出側温度計15の位置)における厚鋼板1の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、S25で温度を測定した位置よりも下流側の領域における、冷却装置20の冷却水量を再設定する工程である。S28における冷却水量の再設定は、冷却水量を決定する際に用いる起点となる板厚方向温度分布としてS27で予測された結果を用いるほかは、S23と同様に行うことができる。
第2冷却工程S29(以下において、「S29」と称することがある。)は、S28で設定された冷却水量の冷却水を、S25で温度を測定した位置よりも下流側の厚鋼板1へと吹き付けることにより、厚鋼板1を冷却する工程である。より具体的には、S28で再設定された冷却水量の冷却水が厚鋼板1へと吹き付けられるように、冷却装置20の動作を制御しながら、厚鋼板1を冷却する工程である。
図8は、本発明の厚鋼板の製造方法を説明する図である。図8に示したように、本発明の厚鋼板の製造方法は、厚鋼板を熱間圧延する熱間圧延工程S31と、該熱間圧延工程S31の後に厚鋼板を冷却する冷却工程S32と、を有し、冷却工程S32で、上記第1実施形態または第2実施形態にかかる本発明の制御方法が用いられる。上述のように、本発明の制御方法によれば、冷却停止温度を高精度に制御することが可能である。このような冷却工程S32を有することにより、本発明の厚鋼板の製造方法では、厚鋼板の冷却停止温度が高精度に制御される。これにより、厚鋼板の機械的特性を安定化することが可能になるので、添加元素を削減して製造コストを削減することが可能な、厚鋼板の製造方法を提供することができる。
3.1.第1実施形態
図9は、第1実施形態にかかる本発明の厚鋼板の冷却制御装置30を備える、第1実施形態にかかる本発明の厚鋼板の製造装置100の形態例を説明する図である。図9に示した製造装置100は、厚鋼板を熱間圧延する圧延機10と、圧延機10で熱間圧延された厚鋼板を冷却する冷却装置20と、冷却装置20の操業条件を制御する冷却制御装置30と、冷却装置20の入側に設置された入側温度計11と、冷却装置20内に設置された冷却装置内温度計12、13、14と、冷却装置20の出側に設置された出側温度計15と、を備えている。冷却制御装置30は、上記第1実施形態にかかる本発明の制御方法を実施可能な装置である。
図10は、第2実施形態にかかる本発明の厚鋼板の冷却制御装置40を備える、第2実施形態にかかる本発明の厚鋼板の製造装置200の形態例を説明する図である。図10に示した製造装置200は、厚鋼板を熱間圧延する圧延機10と、圧延機10で熱間圧延された厚鋼板を冷却する冷却装置20と、冷却装置20の操業条件を制御する冷却制御装置40と、冷却装置20の入側に設置された入側温度計11と、冷却装置20内に設置された冷却装置内温度計12、13、14と、冷却装置20の出側に設置された出側温度計15と、を備えている。冷却制御装置40は、上記第2実施形態にかかる本発明の制御方法を実施可能な装置である。
これに対し、比較例では、冷却停止温度の予測値と測定値の誤差が50℃になった。この結果から、本発明によれば、冷却停止温度を高精度に制御可能であることが分かる。
これらの結果から、本発明によれば、幅広い冷却停止温度の厚鋼板に対して、冷却停止温度を高精度に制御可能であることが分かった。
10…圧延機
11…入側温度計
12、13、14…冷却装置内温度計
15…出側温度計
20…冷却装置
30、40…厚鋼板の冷却制御装置
31…第1切り板温度予測部
32、42…第1冷却水量設定部
33、43…調整部
34…第2切り板温度予測部
35、45…第2冷却水量設定部
41…第1温度予測部
44…第2温度予測部
100、200…厚鋼板の製造装置
Claims (10)
- 熱間圧延後の搬送される厚鋼板へ冷却水を吹き付けることにより冷却し、且つ、冷却後の前記厚鋼板の温度が所定の温度となるように冷却水量を操作可能な冷却装置を用い、
計算結果に厚鋼板の板厚方向温度分布が含まれる鋼板温度予測モデルを用いて冷却後の前記厚鋼板の温度を予測し、予測した鋼板温度が所定の温度となる冷却水量を導出し、導出した冷却水量で前記厚鋼板を冷却する、厚鋼板の冷却を制御する方法であって、
前記冷却装置の入側に設置された温度計を用いて、該温度計を通過する際の前記厚鋼板の温度を測定する、第1温度測定工程と、
前記第1温度測定工程で測定した前記温度を起点に、前記鋼板温度予測モデルを用いて前記厚鋼板の板厚方向温度分布を予測する、第1温度予測工程と、
前記第1温度予測工程で予測された、前記冷却装置の出側における前記厚鋼板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置全体の冷却水量を設定する、第1冷却水量設定工程と、
前記第1冷却水量設定工程で設定された冷却水量の冷却水を前記厚鋼板へと吹き付けることにより、前記厚鋼板を冷却する、第1冷却工程と、
前記冷却装置内に設置された温度計を用いて、該温度計を通過する際の前記厚鋼板の温度を測定する、第2温度測定工程と、
前記第1温度予測工程で予測された、板厚方向温度分布から得られる前記冷却装置内の温度計位置における前記厚鋼板の温度の予測値と、前記第2温度測定工程で測定された前記厚鋼板の温度の測定値とが一致するように、前記鋼板温度予測モデルを調整する、調整工程と、
前記調整工程で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、前記冷却装置内の温度計位置よりも下流側の領域における前記厚鋼板の板厚方向温度分布を予測する、第2温度予測工程と、
前記第2温度予測工程で予測された、前記冷却装置の出側における前記厚鋼板の温度を、前記冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置内の温度計位置よりも下流側の領域における前記冷却装置の冷却水量を再設定する、第2冷却水量設定工程と、
前記第2冷却水量設定工程で設定された冷却水量の冷却水を、前記冷却装置内の温度計位置よりも下流側の前記厚鋼板へと吹き付けることにより、前記厚鋼板を冷却する、第2冷却工程と、
を有する、厚鋼板の冷却制御方法。 - 前記鋼板温度予測モデルは、
前記冷却水によって冷却される前記厚鋼板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、
前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、および、前記遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度を算出する遷移温度算出部と、を有し、
前記調整工程における前記鋼板温度予測モデルの調整は、前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、前記遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度、前記核沸騰領域の熱伝達率、および、前記遷移沸騰領域の熱伝達率を修正することによって行う、請求項1に記載の厚鋼板の冷却制御方法。 - 熱間圧延後の搬送される厚鋼板へ冷却水を吹き付けることにより冷却し、且つ、冷却後の前記厚鋼板の温度が所定の温度となるように冷却水量を操作可能な冷却装置を用い、
計算結果に厚鋼板の板厚方向温度分布が含まれる鋼板温度予測モデルを用いて冷却後の前記厚鋼板の温度を予測し、予測した鋼板温度が所定の温度となる冷却水量を導出し、導出した冷却水量で前記厚鋼板を冷却する、厚鋼板の冷却を制御する方法であって、
前記厚鋼板を、長手方向で仮想的に分割された複数の切り板の集合体と考え、
前記冷却装置の入側に設置された温度計を用いて、該温度計を通過する際の各切り板の温度を測定する、第1切り板温度測定工程と、
前記第1切り板温度測定工程で測定した前記温度を起点に、前記鋼板温度予測モデルを用いて前記各切り板の板厚方向温度分布を予測する、第1切り板温度予測工程と、
前記第1切り板温度予測工程で予測された、前記冷却装置の出側における前記各切り板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置全体の冷却水量を設定する、第1冷却水量設定工程と、
前記第1冷却水量設定工程で設定された冷却水量の冷却水を前記各切り板へと吹き付けることにより、前記各切り板を刻々と冷却する、第1冷却工程と、
前記冷却装置内に設置された温度計を用いて、該温度計を通過する際の前記各切り板の温度を測定する、第2切り板温度測定工程と、
前記第1切り板温度予測工程で予測された、板厚方向温度分布から得られる前記冷却装置内の温度計位置における前記各切り板の温度の予測値と、前記第2切り板温度測定工程で測定された前記各切り板の温度の測定値とが一致するように、前記各切り板に対して前記鋼板温度予測モデルを調整する、調整工程と、
前記調整工程で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、前記冷却装置内の温度計位置よりも下流側の領域における前記各切り板の板厚方向温度分布を予測する、第2切り板温度予測工程と、
前記第2切り板温度予測工程で予測された、前記冷却装置の出側における前記各切り板の温度を、前記冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置内の温度計位置よりも下流側の領域における前記各切り板に対する前記冷却装置の冷却水量を再設定する、第2冷却水量設定工程と、
前記第2冷却水量設定工程で設定された冷却水量の冷却水を、前記冷却装置内の温度計位置よりも下流側の前記各切り板へと吹き付けることにより、前記各切り板を刻々と冷却する、第2冷却工程と、
を有する、厚鋼板の冷却制御方法。 - 前記鋼板温度予測モデルは、
前記冷却水によって冷却される前記各切り板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、
前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、および、前記遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度を算出する遷移温度算出部と、を有し、
前記調整工程における前記鋼板温度予測モデルの調整は、前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、前記遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度、前記核沸騰領域の熱伝達率、および、前記遷移沸騰領域の熱伝達率を修正することによって行う、請求項3に記載の厚鋼板の冷却制御方法。 - 厚鋼板を熱間圧延する工程と、
前記熱間圧延する工程の後に前記厚鋼板を冷却する工程と、を有し、
前記冷却する工程で、請求項1〜4のいずれか1項に記載の厚鋼板の冷却制御方法が用いられる、厚鋼板の製造方法。 - 熱間圧延された厚鋼板を冷却する冷却装置の操業条件を制御する冷却制御装置であって、
前記冷却装置の入側および出側ならびに前記冷却装置内のそれぞれに設置された温度計と、
前記冷却装置の入側に設置された温度計を用いて測定された、該温度計を通過する際の前記厚鋼板の温度を起点に、計算結果に厚鋼板の板厚方向温度分布が含まれる鋼板温度予測モデルを用いて、前記冷却装置の入側に設置された温度計の位置よりも下流側の領域における前記厚鋼板の板厚方向温度分布を予測する、第1温度予測部と、
前記第1温度予測部で予測された、前記冷却装置の出側に設置された温度計の位置における前記厚鋼板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置全体の冷却水量を設定する、第1冷却水量設定部と、
前記第1温度予測部で予測された、板厚方向温度分布から得られる前記冷却装置内に設置された温度計の位置における前記厚鋼板の温度の予測値と、前記冷却装置内に設置された温度計を用いて測定された、前記厚鋼板の温度の測定値とが一致するように、前記鋼板温度予測モデルを調整する、調整部と、
前記調整部で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、前記冷却装置内に設置された温度計の位置よりも下流側の領域における前記厚鋼板の板厚方向温度分布を予測する、第2温度予測部と、
前記第2温度予測部で予測された、前記冷却装置の出側に設置された温度計の位置における前記厚鋼板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置内に設置された温度計の位置よりも下流側の領域における前記冷却装置の冷却水量を再設定する、第2冷却水量設定部と、
を有する、厚鋼板の冷却制御装置。 - 前記鋼板温度予測モデルは、
前記冷却水によって冷却される前記厚鋼板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰
領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、
前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、および、前記遷移沸騰領域と前記
膜沸騰領域との遷移温度を算出する遷移温度算出部と、を有し、
前記調整部における前記鋼板温度予測モデルの調整は、前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、前記遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度、前記核沸騰領域の熱伝達率、および、前記遷移沸騰領域の熱伝達率を修正することによって行われる、請求項6に記載の厚鋼板の冷却制御装置。 - 熱間圧延された厚鋼板を冷却する冷却装置の操業条件を制御する冷却制御装置であって、
前記厚鋼板が、長手方向で仮想的に分割された複数の切り板の集合体とみなされ、
前記冷却装置の入側および出側ならびに前記冷却装置内のそれぞれに設置された温度計
と、
前記冷却装置の入側に設置された温度計を用いて測定された、該温度計を通過する際の各切り板の温度を起点に、計算結果に厚鋼板の板厚方向温度分布が含まれる鋼板温度予測モデルを用いて、前記冷却装置の入側に設置された温度計の位置よりも下流側の領域における前記各切り板の板厚方向温度分布を予測する、第1切り板温度予測部と、
前記第1切り板温度予測部で予測された、前記冷却装置の出側に設置された温度計の位置における前記各切り板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置全体の冷却水量を設定する、第1冷却水量設定部と、
前記第1切り板温度予測部で予測された、板厚方向温度分布から得られる前記冷却装置内に設置された温度計の位置における前記各切り板の温度の予測値と、前記冷却装置内に設置された温度計を用いて測定された、前記各切り板の温度の測定値とが一致するように、前記鋼板温度予測モデルを調整する、調整部と、
前記調整部で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、前記冷却装置内に設置された温度計の位置よりも下流側の領域における前記各切り板の板厚方向温度分布を予測する、第2切り板温度予測部と、
前記第2切り板温度予測部で予測された、前記冷却装置の出側に設置された温度計の位置における前記各切り板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置内に設置された温度計の位置よりも下流側の領域における前記各切り板に対する前記冷却装置の冷却水量を再設定する、第2冷却水量設定部と、
を有する、厚鋼板の冷却制御装置。 - 前記鋼板温度予測モデルは、
前記冷却水によって冷却される前記各切り板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、
前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、および、前記遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度を算出する遷移温度算出部と、を有し、
前記調整部における前記鋼板温度予測モデルの調整は、前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、前記遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度、前記核沸騰領域の熱伝達率、および、前記遷移沸騰領域の熱伝達率を修正することによって行われる、請求項8に記載の厚鋼板の冷却制御装置。 - 厚鋼板を熱間圧延する圧延機と、該圧延機で熱間圧延された厚鋼板を冷却する冷却装置と、該冷却装置の動作を制御する冷却制御装置と、を備え、
前記冷却制御装置が、請求項6〜9のいずれか1項に記載の厚鋼板の冷却制御装置である、厚鋼板の製造装置。
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