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JP6645036B2 - 厚鋼板の冷却制御方法、冷却制御装置、製造方法、および、製造装置 - Google Patents

厚鋼板の冷却制御方法、冷却制御装置、製造方法、および、製造装置 Download PDF

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JP6645036B2 JP2015120725A JP2015120725A JP6645036B2 JP 6645036 B2 JP6645036 B2 JP 6645036B2 JP 2015120725 A JP2015120725 A JP 2015120725A JP 2015120725 A JP2015120725 A JP 2015120725A JP 6645036 B2 JP6645036 B2 JP 6645036B2
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Description

本発明は、厚鋼板の冷却形態を制御する冷却制御方法およびこれを用いる厚鋼板の製造方法、ならびに、厚鋼板の冷却形態を制御する冷却制御装置およびこれを用いる厚鋼板の製造装置に関する。
厚鋼板の冷却工程における温度制御では、冷却開始前に、水冷による鋼板温度変化を伝熱計算にて推定し、目標冷却停止温度を得るように、冷却水量や冷却装置内の鋼板搬送速度を決定し、決定した条件で冷却を実施する。そのため、水冷による鋼板温度変化の推定精度が冷却停止温度の制御精度を左右する。実際の冷却停止温度が目標値とかけ離れてしまうと、製品に必要な機械的特性が得られなくなるため、冷却後の鋼板温度(冷却停止温度)を高精度に制御することが求められている。また、生産効率を高めるため、厚鋼板の長さは長くなる傾向にあり、鋼板の長手方向に亘って冷却停止温度を高精度に制御することが求められている。
厚鋼板の冷却では、鋼板の冷却前に、鋼板温度予測モデルを用いて適切な操業条件(冷却水量や鋼板搬送速度など)を導出し、この条件で冷却を実施する。なお、一般に厚鋼板は鋼板長さが短く、冷却装置から冷却停止温度計までの距離が長い。そのため、鋼板の冷却中に停止温度の制御偏差を抑制するように冷却装置を操作する、フィードバック制御を適用しても、鋼板の長手方向全長に亘って冷却停止温度を高精度に制御することはできない。
冷却停止温度の制御を高精度化する技術としては、(1)鋼板温度予測モデルを高精度化し、(2)鋼板の冷却後に、鋼板温度予測モデルの誤差を相殺する学習を行い、次の鋼板の冷却に反映する、という2つを組み合わせたものが考えられる。
しかしながら、鋼板上のスケールや表面性状による冷却状態の変化を、鋼板の冷却前にすべて考慮することは困難であるため、鋼板温度予測モデルの高精度化には限界がある。これを補う学習は、現在冷却中の厚鋼板の次に冷却される厚鋼板の冷却に対して効果を発揮するものであるため、現在冷却中の厚鋼板の冷却停止温度を高精度化させることはできない。
鋼板の冷却制御に関する技術は、これまでにいくつか開示されてきている。例えば特許文献1には、冷却停止後且つ複熱完了前の厚鋼板の表面温度測定値を用いて、厚鋼板の板厚方向温度分布を推定し、推定された板厚方向温度分布を用いて冷却停止温度が冷却停止温度目標値に一致するように、冷却装置の冷却水量をフィードバック制御する技術が開示されている。
また、特許文献2には、冷却装置入側の鋼板温度測定値を起点に冷却装置出側の冷却停止温度を予測し、予測した冷却停止温度が冷却停止温度の目標値と合致するように、冷却装置の冷却水量を逐次操作するダイナミック制御技術が開示されている。
また、特許文献3には、熱間圧延された鋼板を該鋼板の長手方向に移送しながら上下に配置したノズルから鋼板に冷却水を供給して冷却する方法において、冷却装置長手方向で冷却水上下注水量が制御可能な冷却ゾーン毎に各冷却ゾーン入側で鋼板の上下面温度差を検出し、検出した上下面温度差に基づいて当該冷却ゾーンの鋼板の単位長さに対する上下注水量を制御する熱間圧延鋼板の冷却方法が開示されている。
また、特許文献4には、過去の実績データを蓄積したデータベースを活用して予測誤差を推定し、推定した予測誤差を用いて冷却停止温度の修正値を算出し、この修正値が冷却停止温度の目標値になるように冷却水量や鋼板搬送速度を決定する、厚鋼板の冷却制御方法が開示されている。
また、特許文献5には、熱間圧延の途中で、予め定められた熱間圧延条件とは異なる他の熱間圧延条件に変更して熱間圧延を引き続き行う場合に、上記他の熱間圧延条件と、複数の水冷装置のうちの最上流側に位置する水冷装置の入側における鋼板の温度測定値とに基づいて、鋼板の巻き取り温度を目標値とすることが可能な、複数の水冷装置すべてについての冷却条件の設定値を求め、さらに、上記他の熱間圧延条件と、複数の水冷装置のうちで最上流側に位置する水冷装置以外の1又は2以上の水冷装置の入側における鋼板の温度測定値とに基づいて、少なくとも上記1又は2以上の水冷装置について求めた冷却条件の設定値を修正して設定し、水冷装置は、開度が独立して制御可能であって噴射する冷却水の水量を調整する複数の水量調整バルブを有するとともに、上記冷却条件は、水量調整バルブの開度である、熱延鋼板の製造方法が開示されている。
特許第5493993号公報 特許第5392143号公報 特許第1980092号公報 特開2012−81518号公報 特許第4894686号公報
特許文献1に記載の技術では、冷却停止後且つ複熱完了前の厚鋼板の表面温度測定値を用いて冷却水量をフィードバック操作するため、フィードバック制御が反映される前に冷却装置を通過した部位の冷却停止温度の制御精度を高めることができない。また、特許文献2に記載の技術では、冷却装置入側の鋼板温度測定値を起点に計算した温度予測結果にしたがって冷却水量を操作する。そのため、鋼板温度予測モデルの予測精度が制御精度を左右する。しかしながら、鋼板表面のスケールの残存など、予測が困難な要因により、冷却装置内部での冷却中に予測誤差が拡大する場合があるため、この技術には、冷却停止温度の制御精度を高める余地が残されていた。また、特許文献3に記載されている技術は、厚鋼板の上下面温度差が縮減するように上下注水量を制御することによって、熱収縮差による鋼板形状不良の発生を抑制するもので、厚鋼板の冷却停止温度の制御精度を高めることを目的とした技術ではない。また、特許文献4に記載の技術では、過去の実績データに依存しているため、現在冷却中の鋼板に特有の何らかの変化が生じた場合には、これに対応することができない。また、特許文献5に記載の技術は、板厚の薄い熱延鋼板用の技術である。測定値を起点に温度予測を行う場合、測定位置における板厚方向の温度分布を与える必要があるが、この文献には温度分布に関する記述がない。そのため、この技術を厚鋼板の板厚方向温度分布にそのまま適用することはできない。なお、鋼板が薄ければ冷却途中でも板厚方向の温度分布は小さいため、これを考慮しなくても精度面への影響はほとんどない。しかしながら、厚鋼板の場合には、冷却途中での板厚方向の表面と中心部との温度差は数百℃にも及ぶため、板厚方向の温度分布を無視することはできない。厚鋼板の冷却停止温度を高精度に制御するためには、板厚方向の温度分布も精度良く予測する必要がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、冷却停止温度を高精度に制御することが可能な、厚鋼板の冷却制御方法および冷却制御装置、ならびに、厚鋼板の製造方法および製造装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、予測が困難な要因によって冷却中に予測誤差が拡大しないようにするため、冷却装置内に温度計を設置して冷却中の鋼板温度を測定し、この温度計位置を起点に冷却停止温度を予測することにした。これにより、従来よりも予測区間を短縮することが可能になるので、予測が困難な要因に基づく予測精度の低下を抑制することが可能になる。さらに、冷却装置内の温度計位置における鋼板温度の予測値と測定値とが一致するように、リアルタイムに鋼板温度予測モデルを調整し、当該温度計位置よりも下流の冷却区間の冷却水量をフィードフォワード制御することにした。これにより、当該温度計位置よりも下流の冷却区間で、鋼板温度の制御精度を高めることが可能になる。
本発明は、このような知見に基づいて完成させた。以下、本発明について説明する。
本発明の第1の態様は、熱間圧延後の搬送される厚鋼板へ冷却水を吹き付けることにより冷却し、且つ、冷却後の厚鋼板の温度が所定の温度となるように冷却水量を操作可能な冷却装置を用い、鋼板温度予測モデルを用いて冷却後の厚鋼板の温度を予測し、予測した鋼板温度が所定の温度となる冷却水量を導出し、導出した冷却水量で厚鋼板を冷却する、厚鋼板の冷却を制御する方法であって、冷却装置の入側に設置された温度計を用いて、該温度計を通過する際の厚鋼板の温度を測定する第1温度測定工程と、該第1温度測定工程で測定した温度を起点に、上記鋼板温度予測モデルを用いて厚鋼板の温度を予測する第1温度予測工程と、該第1温度予測工程で予測された冷却装置の出側における厚鋼板の温度を冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置全体の冷却水量を設定する第1冷却水量設定工程と、該第1冷却水量設定工程で設定された冷却水量の冷却水を厚鋼板へと吹き付けることにより、厚鋼板を冷却する第1冷却工程と、冷却装置内に設置された温度計を用いて、該温度計を通過する際の厚鋼板の温度を測定する第2温度測定工程と、第1温度予測工程で予測された、冷却装置内の温度計位置における厚鋼板の温度の予測値と、第2温度測定工程で測定された厚鋼板の温度の測定値とが一致するように、上記鋼板温度予測モデルを調整する調整工程と、該調整工程で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、冷却装置内の温度計位置よりも下流側の領域における厚鋼板の温度を予測する第2温度予測工程と、該第2温度予測工程で予測された、冷却装置の出側における厚鋼板の温度を冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置内の温度計位置よりも下流側の領域における冷却装置の冷却水量を再設定する第2冷却水量設定工程と、該第2冷却水量設定工程で設定された冷却水量の冷却水を、冷却装置内の温度計位置よりも下流側の厚鋼板へと吹き付けることにより、厚鋼板を冷却する第2冷却工程と、を有する、厚鋼板の冷却制御方法である。
本発明において、鋼板温度予測モデルの計算結果には、厚鋼板の板厚方向温度分布が含まれる。また、本発明において、「入側」とは厚鋼板の搬送方向上流側をいい、「出側」とは厚鋼板の搬送方向下流側をいう。本発明の第1の態様では、冷却装置内の温度計により厚鋼板の温度を測定し、この測定値を用いて、冷却装置内の温度計よりも下流側の冷却水量を決定し、決定された水量の冷却水を冷却装置内の温度計よりも下流側の厚鋼板へと吹き付けることにより、厚鋼板を冷却する。このような形態にすることにより、第2温度予測工程で鋼板温度予測モデルを用いて鋼板温度を予測する区間を従来よりも短縮することができるので、鋼板温度の予測精度を悪化させる外乱要因が減り、鋼板温度の予測精度を高めることが可能になる。さらに、本発明の第1の態様では、冷却装置内の温度計による温度測定値と、冷却装置入側の温度を起点にして予測した冷却装置内の温度計位置における温度の予測値とが一致するように、鋼板温度予測モデルを調整し、調整された鋼板温度予測モデルを使って、冷却装置内の温度計位置よりも下流側の領域における冷却装置の冷却水量を再設定する。これにより、冷却装置内の温度計位置よりも下流の冷却区間で、鋼板温度の制御精度を高めることが可能になる。したがって、本発明の第1の態様によれば、冷却停止温度を高精度に制御することが可能な、厚鋼板の冷却制御方法を提供することができる。
また、上記本発明の第1の態様において、上記鋼板温度予測モデルは、冷却水によって冷却される厚鋼板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、核沸騰領域と遷移沸騰領域との遷移温度(以下において、「CHF点」と称することがある。)、および、遷移沸騰領域と膜沸騰領域との遷移温度(以下において、「MHF点」と称することがある。)を算出する遷移温度算出部と、を有し、上記調整工程における鋼板温度予測モデルの調整は、核沸騰領域と遷移沸騰領域との遷移温度(CHF点)、遷移沸騰領域と膜沸騰領域との遷移温度(MHF点)、核沸騰領域の熱伝達率、および、遷移沸騰領域の熱伝達率を修正することによって行うことが好ましい。このような形態にすることにより、冷却停止温度を高精度に制御しやすくなる。
本発明の第2の態様は、熱間圧延後の搬送される厚鋼板へ冷却水を吹き付けることにより冷却し、且つ、冷却後の厚鋼板の温度が所定の温度となるように冷却水量を操作可能な冷却装置を用い、鋼板温度予測モデルを用いて冷却後の厚鋼板の温度を予測し、予測した鋼板温度が所定の温度となる冷却水量を導出し、導出した冷却水量で厚鋼板を冷却する、厚鋼板の冷却を制御する方法であって、厚鋼板を、長手方向で仮想的に分割された複数の切り板の集合体と考え、冷却装置の入側に設置された温度計を用いて、該温度計を通過する際の各切り板の温度を測定する第1切り板温度測定工程と、該第1切り板温度測定工程で測定した温度を起点に、上記鋼板温度予測モデルを用いて各切り板の温度を予測する第1切り板温度予測工程と、該第1切り板温度予測工程で予測された冷却装置の出側における各切り板の温度を冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置全体の冷却水量を設定する第1冷却水量設定工程と、該第1冷却水量設定工程で設定された冷却水量の冷却水を各切り板へと吹き付けることにより、各切り板を刻々と冷却する第1冷却工程と、冷却装置内に設置された温度計を用いて、該温度計を通過する際の各切り板の温度を測定する第2切り板温度測定工程と、第1切り板温度予測工程で予測された、冷却装置内の温度計位置における各切り板の温度の予測値と、第2切り板温度測定工程で測定された各切り板の温度の測定値とが一致するように、各切り板に対して鋼板温度予測モデルを調整する調整工程と、該調整工程で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、冷却装置内の温度計位置よりも下流側の領域における各切り板の温度を予測する第2切り板温度予測工程と、該第2切り板温度予測工程で予測された冷却装置の出側における各切り板の温度を冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置内の温度計位置よりも下流側の領域における各切り板に対する冷却装置の冷却水量を再設定する第2冷却水量設定工程と、該第2冷却水量設定工程で設定された冷却水量の冷却水を、冷却装置内の温度計位置よりも下流側の各切り板へと吹き付けることにより、各切り板を刻々と冷却する第2冷却工程と、を有する、厚鋼板の冷却制御方法である。
本発明の第2の態様では、冷却装置内の温度計により各切り板の温度を測定し、この測定値を用いて、冷却装置内の温度計よりも下流側の冷却水量を決定し、決定された水量の冷却水を冷却装置内の温度計よりも下流側の各切り板へと吹き付けることにより、切り板の集合体である厚鋼板を冷却する。このような形態にすることにより、第2切り板温度予測工程で鋼板温度予測モデルを用いて鋼板温度を予測する区間を従来よりも短縮することができるので、鋼板温度の予測精度を悪化させる外乱要因が減り、鋼板温度の予測精度を高めることが可能になる。さらに、本発明の第2の態様では、冷却装置内の温度計による温度測定値と、冷却装置入側の温度を起点にして予測した冷却装置内の温度計位置における温度の予測値とが一致するように、鋼板温度予測モデルを調整し、調整された鋼板温度予測モデルを使って、冷却装置内の温度計位置よりも下流側の領域における冷却装置の冷却水量を再設定する。これにより、冷却装置内の温度計位置よりも下流の冷却区間で、鋼板温度の制御精度を高めることが可能になる。さらに、本発明の第2の態様では、すべての切り板に対する冷却制御が行われるので、厚鋼板の長手方向全長に亘って鋼板温度の制御精度を高めることが可能になる。したがって、本発明の第2の態様によれば、冷却停止温度を高精度に制御することが可能な、厚鋼板の冷却制御方法を提供することができる。
また、上記本発明の第2の態様において、上記鋼板温度予測モデルは、冷却水によって冷却される各切り板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度(CHF点)、および、遷移沸騰領域と膜沸騰領域との遷移温度(MHF点)を算出する遷移温度算出部と、を有し、上記調整工程における鋼板温度予測モデルの調整は、核沸騰領域と遷移沸騰領域との遷移温度(CHF点)、遷移沸騰領域と膜沸騰領域との遷移温度(MHF点)、核沸騰領域の熱伝達率、および、遷移沸騰領域の熱伝達率を修正することによって行うことが好ましい。このような形態にすることにより、冷却停止温度を高精度に制御しやすくなる。
本発明の第3の態様は、厚鋼板を熱間圧延する工程と、該熱間圧延する工程の後に厚鋼板を冷却する工程と、を有し、該冷却する工程で、上記本発明の第1の態様または上記本発明の第2の態様にかかる厚鋼板の冷却制御方法が用いられる、厚鋼板の製造方法である。
本発明の第3の態様では、厚鋼板を冷却する際に、上記本発明の第1の態様または上記本発明の第2の態様にかかる厚鋼板の冷却制御方法が用いられる。本発明の厚鋼板の冷却制御方法は、冷却停止温度を高精度に制御することが可能なので、このような形態にすることにより、冷却停止温度を高精度に制御することが可能な、厚鋼板の製造方法を提供することができる。
本発明の第4の態様は、熱間圧延された厚鋼板を冷却する冷却装置の操業条件を制御する冷却制御装置であって、冷却装置の入側および出側ならびに冷却装置内のそれぞれに設置された温度計と、冷却装置の入側に設置された温度計(以下において、「入側温度計」と称することがある。)を用いて測定された、該温度計を通過する際の厚鋼板の温度を起点に、鋼板温度予測モデルを用いて、入側温度計の位置よりも下流側の領域における厚鋼板の温度を予測する第1温度予測部と、該第1温度予測部で予測された冷却装置の出側に設置された温度計(以下において、「出側温度計」と称することがある。)の位置における厚鋼板の温度を冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置全体の冷却水量を設定する第1冷却水量設定部と、第1温度予測部で予測された、冷却装置内に設置された温度計(以下において、「冷却装置内温度計」と称することがある。)の位置における厚鋼板の温度の予測値と、冷却装置内温度計を用いて測定された、厚鋼板の温度の測定値とが一致するように、上記鋼板温度予測モデルを調整する調整部と、該調整部で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、冷却装置内温度計の位置よりも下流側の領域における厚鋼板の温度を予測する第2温度予測部と、該第2温度予測部で予測された出側温度計の位置における厚鋼板の温度を冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置内温度計の位置よりも下流側の領域における冷却装置の冷却水量を再設定する第2冷却水量設定部と、を有する、厚鋼板の冷却制御装置である。
本発明の第4の態様では、冷却装置内温度計により測定された厚鋼板の温度測定値を用いて、冷却装置内温度計の位置よりも下流側の冷却水量を決定する。このような形態にすることにより、第2温度予測部で鋼板温度予測モデルを用いて鋼板温度を予測する区間を従来よりも短縮することができるので、鋼板温度の予測精度を悪化させる外乱要因が減り、鋼板温度の予測精度を高めることが可能になる。さらに、本発明の第4の態様では、冷却装置内温度計による温度測定値と、冷却装置入側の温度を起点にして予測した冷却装置内温度計の位置における温度の予測値とが一致するように、鋼板温度予測モデルを調整し、調整された鋼板温度予測モデルを使って、冷却装置内温度計の位置よりも下流側の領域における冷却装置の冷却水量を再設定する。これにより、冷却装置内温度計の位置よりも下流の冷却区間で、鋼板温度の制御精度を高めることが可能になる。したがって、本発明の第4の態様によれば、冷却停止温度を高精度に制御することが可能な、厚鋼板の冷却制御装置を提供することができる。
また、上記本発明の第4の態様において、上記鋼板温度予測モデルは、冷却水によって冷却される厚鋼板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、核沸騰領域と遷移沸騰領域との遷移温度(CHF点)、および、遷移沸騰領域と膜沸騰領域との遷移温度(MHF点)を算出する遷移温度算出部と、を有し、上記調整部における鋼板温度予測モデルの調整は、核沸騰領域と遷移沸騰領域との遷移温度(CHF点)、遷移沸騰領域と膜沸騰領域との遷移温度(MHF点)、核沸騰領域の熱伝達率、および、遷移沸騰領域の熱伝達率を修正することによって行うことが好ましい。このような形態にすることにより、冷却停止温度を高精度に制御しやすくなる。
本発明の第5の態様は、熱間圧延された厚鋼板を冷却する冷却装置の操業条件を制御する冷却制御装置であって、厚鋼板が、長手方向で仮想的に分割された複数の切り板の集合体とみなされ、冷却装置の入側および出側ならびに冷却装置内のそれぞれに設置された温度計と、入側温度計を用いて測定された、該温度計を通過する際の各切り板の温度を起点に、鋼板温度予測モデルを用いて、入側温度計の位置よりも下流側の領域における各切り板の温度を予測する第1切り板温度予測部と、該第1切り板温度予測部で予測された出側温度計の位置における各切り板の温度を冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置全体の冷却水量を設定する第1冷却水量設定部と、第1切り板温度予測部で予測された、冷却装置内温度計の位置における各切り板の温度の予測値と、冷却装置内温度計を用いて測定された、各切り板の温度の測定値とが一致するように、上記鋼板温度予測モデルを調整する調整部と、該調整部で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、冷却装置内温度計の位置よりも下流側の領域における各切り板の温度を予測する第2切り板温度予測部と、該第2切り板温度予測部で予測された出側温度計の位置における各切り板の温度を冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置内温度計の位置よりも下流側の領域における各切り板に対する冷却装置の冷却水量を再設定する第2冷却水量設定部と、を有する、厚鋼板の冷却制御装置である。
本発明の第5の態様では、冷却装置内温度計により測定された各切り板の温度測定値を用いて、冷却装置内温度計の位置よりも下流側の冷却水量を決定する。このような形態にすることにより、第2切り板温度予測部で鋼板温度予測モデルを用いて鋼板温度を予測する区間を従来よりも短縮することができるので、鋼板温度の予測精度を悪化させる外乱要因が減り、鋼板温度の予測精度を高めることが可能になる。さらに、本発明の第5の態様では、冷却装置内温度計による温度測定値と、冷却装置入側の温度を起点にして予測した冷却装置内温度計の位置における温度の予測値とが一致するように、鋼板温度予測モデルを調整し、調整された鋼板温度予測モデルを使って、冷却装置内温度計の位置よりも下流側の領域における冷却装置の冷却水量を再設定する。これにより、冷却装置内温度計の位置よりも下流の冷却区間で、鋼板温度の制御精度を高めることが可能になる。さらに、本発明の第5の態様では、すべての切り板に対する冷却制御が行われるので、厚鋼板の長手方向全長に亘って鋼板温度の制御精度を高めることが可能になる。したがって、本発明の第5の態様によれば、冷却停止温度を高精度に制御することが可能な、厚鋼板の冷却制御装置を提供することができる。
また、上記本発明の第5の態様において、上記鋼板温度予測モデルは、冷却水によって冷却される各切り板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、核沸騰領域と遷移沸騰領域との遷移温度(CHF点)、および、遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度(MHF点)を算出する遷移温度算出部と、を有し、上記調整部における鋼板温度予測モデルの調整は、核沸騰領域と遷移沸騰領域との遷移温度(CHF点)、遷移沸騰領域と膜沸騰領域との遷移温度(MHF点)、核沸騰領域の熱伝達率、および、遷移沸騰領域の熱伝達率を修正することによって行うことが好ましい。このような形態にすることにより、冷却停止温度を高精度に制御しやすくなる。
本発明の第6の態様は、厚鋼板を熱間圧延する圧延機と、該圧延機で熱間圧延された厚鋼板を冷却する冷却装置と、該冷却装置の動作を制御する冷却制御装置と、を備え、該冷却制御装置が、上記本発明の第4の態様または上記本発明の第5の態様にかかる厚鋼板の冷却制御装置である、厚鋼板の製造装置である。
本発明の第6の態様では、厚鋼板を冷却する冷却装置の動作が、上記本発明の第4の態様または上記本発明の第5の態様にかかる厚鋼板の冷却制御装置を用いて動作を制御される。本発明の厚鋼板の冷却制御装置は、冷却停止温度を高精度に制御することが可能なので、このような形態にすることにより、冷却停止温度を高精度に制御することが可能な、厚鋼板の製造装置を提供することができる。
本発明によれば、冷却停止温度を高精度に制御することが可能な、厚鋼板の冷却制御方法および冷却制御装置、ならびに、厚鋼板の製造方法および製造装置を提供することができる。
本発明の厚鋼板の冷却制御方法を説明するフローチャートである。 本発明の厚鋼板の冷却制御方法を説明する図である。 沸騰曲線を示す図である。 鋼板温度予測モデルを説明する図である。 沸騰曲線を示す図である。 本発明の厚鋼板の冷却制御方法を説明するフローチャートである。 本発明の厚鋼板の冷却制御方法を説明する図である。 本発明の厚鋼板の製造方法を説明する図である。 厚鋼板の冷却制御装置30および厚鋼板の製造装置100を説明する図である。 厚鋼板の冷却制御装置40および厚鋼板の製造装置200を説明する図である。 温度降下シミュレーション結果の一例を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の形態は、本発明の例示であり、本発明は以下に説明する形態に限定されない。
1.厚鋼板の冷却制御方法
本発明の厚鋼板の冷却制御方法(以下において、「本発明の制御方法」と称することがある。)は、冷却装置内に設置した温度計(冷却装置内温度計)の測定値を起点に、鋼板温度予測モデルを用いて冷却後の厚鋼板の冷却停止温度を予測し、この予測結果に基づいて冷却装置の操作量(冷却水量)を設定する、フィードフォワード制御技術である。冷却装置によって冷却される厚鋼板は、熱間圧延後に所定の速度で搬送されることによって、冷却装置へと導かれる。冷却装置は、所定の搬送速度で移動している厚鋼板に向けて冷却水を吹き付けることにより、厚鋼板を冷却する。厚鋼板の冷却停止温度を高精度に制御するためには、温度計の測定値を起点とした、冷却停止までの厚鋼板の温度変化を高精度に予測する必要がある。本発明の制御方法は、厚鋼板を長手方向に仮想的に分割された複数の切り板の集合体と考える形態(第1実施形態)と、複数の切り板の集合体と考えない形態(第2実施形態)とに大別することができる。
1.1.第1実施形態
図1および図2は、第1実施形態にかかる本発明の制御方法を説明する図である。図1および図2を適宜参照しつつ、第1実施形態にかかる本発明の制御方法について、以下に説明する。
図1に示した第1実施形態にかかる本発明の制御方法は、第1切り板温度測定工程S11と、第1切り板温度予測工程S12と、第1冷却水量設定工程S13と、第1冷却工程S14と、第2切り板温度測定工程S15と、調整工程S16と、第2切り板温度予測工程S17と、第2冷却水量設定工程S18と、第2冷却工程S19と、を有している。
1.1.1.第1切り板温度測定工程S11
第1切り板温度測定工程S11(以下において、「S11」と称することがある。)は、冷却装置20の入側に設置された入側温度計11を用いて、入側温度計11を通過する際の各切り板の温度を測定する工程である。
1.1.2.第1切り板温度予測工程S12
第1切り板温度予測工程S12(以下において、「S12」と称することがある。)は、S11で測定した各切り板の温度を起点に、鋼板温度予測モデル(板厚方向多分割モデル)を用いて、各切り板の温度降下を計算することにより、冷却装置20内に設置された冷却装置内温度計12、13、14のそれぞれの位置、および、冷却装置20の出側に設置された出側温度計15の位置における、各切り板の温度(板厚方向温度分布)を予測する工程である。
冷却装置20から冷却水を吹き付けられることにより冷却される厚鋼板1は、異なる沸騰状態を経て、冷却される。厚鋼板の表面温度と熱流束との関係を説明する沸騰曲線を、図3に示す。図3に示したように、厚鋼板の表面温度が高いときには、水蒸気の膜ができる膜沸騰の状態であり、表面温度が低下するにつれて、沸騰状態は遷移沸騰から核沸騰へと変化する。そして、膜沸騰領域から遷移沸騰領域へと遷移する温度(MHF点)や、遷移沸騰領域から核沸騰領域へと遷移する温度(CHF点)で、熱流束の変化が大きくなる。S12では、膜沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、核沸騰領域の熱伝達率、MHF点、および、CHF点を用いて、各切り板の温度を予測する。
厚鋼板の温度は、下記式(1)に示す板厚方向1次元熱伝導方程式により表すことができる。
厚鋼板の上表面および下表面における境界条件は、下記式(2)、(3)により与える。
ここで、Tは温度[℃]、tは時間[s]、xは板厚方向の座標[m]、cは比熱[J/kg・s]、ρは密度[kg/m]、λは熱伝導率[W/m・℃]、qは水冷による熱流束[W/m]、qは対流による熱流束[W/m]、qは輻射による熱流束[W/m]を表し、uは上面を表す添字、dは下面を表す添字である。
水冷による熱流束q、および、対流による熱流束qは、それぞれ、熱伝達率を用いて以下のように書くことができる。
ここで、Tは厚鋼板の表面温度[℃]、Tは冷却水の温度[℃]、Tは雰囲気の温度[℃]であり、Hは水冷熱伝達率、Hは対流熱伝達率である。
また、輻射による熱流束qは、放射率εとステファン・ボルツマン定数σとを用いて以下にように書くことができる。
上記の式(1)を、各冷却ゾーンでの水冷条件を反映した境界条件の式(2)乃至(6)の下で、有限差分法を用いて、オンラインで解くことにより、厚鋼板の制御点に対する温度を計算することができる。
ここで、水冷の熱伝達率Hwは、例えば特開2011−167754号公報に開示されている方法で算出する。
図4は、鋼板温度予測モデルを説明する図である。図4に示したモデルでは、上面ヘッダーおよび下面ヘッダー(以下において、「上下ヘッダー」という。)に挟まれた厚鋼板の部位の熱伝達率を計算する際に、1組の上下ノズル(上面ヘッダーに配置されたノズルおよび下面ヘッダーに配置されたノズル)の噴流方向を中心に厚鋼板上の領域を同心円状のセルに分割している。このような同心円状のセルに分割したモデルを用いるのは、ノズルから噴出された冷却水は同心円状に厚鋼板上に広がるためである。同心円状に分割したセルは、その分割幅が狭いほど精度の高い予測が可能になるが、計算負荷が大きくなるため、一定の幅を持ったセルに分割すれば良い。より具体的には、並列されるノズル間の距離を考慮して、各ノズルにおけるモデル同士が一部重複する形で形成されるように、モデルの最大半径(モデルで想定するセルの最大半径)を決定し、このモデルを5つ程度のセルに分割すれば良い。図4に示した例では、並列されるノズル間の距離が50mmであったため、最大半径25.7mmのモデルを形成した。ここで、各セルは、5.7mmの幅を持つ4つのリング状セルと、中心に半径2.9mmの1つの円状セルと、に分割した。
このようにして複数のセルに分割したら、セルごとに熱伝達率を算出する。熱伝達率を算出する際には、まず、各セルの水温を計算する。ノズル直下から離れるほど厚鋼板の温度の影響を受けて水温は上昇する。水温は、熱伝達計算で容易に求めることができる。
続いて、セルごとに核沸騰と膜沸騰との割合を求める。沸騰熱伝達現象は、膜沸騰の状態では熱伝達率が小さく、核沸騰の状態では熱伝達率が大きい。厚鋼板の温度が高いときは膜沸騰が主体であるが、低温になると核沸騰に遷移し、熱伝達率が急増する傾向がある。よって、この割合によって、熱伝達率が大きく異なる。CHF点とMHF点との関係は実験等で求めることができることが知られている。CHF点とMHF点との間の温度域は、図3に示したように、核沸騰と膜沸騰とが同時に起こる遷移沸騰領域と呼ばれる。厚鋼板の表面温度が、CHF点以下であれば、核沸騰の割合が100%、MHF点以上であれば、膜沸騰の割合が100%である。したがって、厚鋼板の表面温度が遷移沸騰領域にあれば、その割合に応じて核沸騰割合(膜沸騰割合)を決める。
そして、この割合を用いてセルごとに熱伝達率を算出する。算出は核沸騰の場合の熱伝達率H、および、膜沸騰の場合の熱伝達率Hをそれぞれ計算し、その割合から各セルの熱伝達率Hを算出する。より具体的には、核沸騰、膜沸騰それぞれの場合の熱伝達率は下記式(7)、(8)で計算されるので、これらに沸騰状態の割合を加味し、式(9)により熱伝達率Hを算出する。
ここで、Nuは核沸騰ヌッセルト数、Nuは膜沸騰ヌッセルト数、λは水の熱伝導率[W/m・℃]、Lは代表長さ[m]、ΔTsatは過熱度[℃]、ΔTsubはサブクール度[℃]、Tは厚鋼板の表面温度[℃]、Tは噴流水温[℃]、Bは核沸騰割合(0≦B≦1)をそれぞれ表す。
最終的にセルごとに算出した熱伝達率Hについて平均値(平均熱伝達率)を計算し、これを上下ヘッダーに挟まれた厚鋼板の部位の熱伝達率とする。ここで、平均値の計算は単純平均でもよいが、より正確な予測をするためにセルの幅を考慮して積分した平均値を取ることが好ましい。
以上、1つのノズルのモデルに関して説明したが、すべてのノズルは同じように計算式により計算される。噴射される冷却水の水量密度が同じであれば、計算値を流用できるが、冷却水の水量密度が異なれば別途計算が必要になる。
一方、隣接する上下ヘッダー間に該当する厚鋼板の部位では、厚鋼板の板幅方向の位置における冷却水流速を加味して熱伝達率を計算する。例えば、厚鋼板の中央部を基準として幅方向にx軸を取ったと仮定し、板幅方向位置xにおける冷却水の流速νを下記式(10)に示すようなxの2次式で表したモデルを用いて計算すればよい。νはレイノルズ数Reのパラメータであるので、Reは下記式(11)のようになる。このReをヌッセルト数に反映させ、式(9)乃至式(11)を用いて熱伝達率Hを計算することができる。
ここで、a、a、aは係数を表す。また、Lは代表長さ[m]、ρは冷却水密度[kg/m]、μは冷却水の粘性係数[m・s/kg]である。
以上の2つのモデルを用いることにより、熱伝達率を計算することができ、厚鋼板の温度を予測することができる。
1.1.3.第1冷却水量設定工程S13
第1冷却水量設定工程S13(以下において、「S13」と称することがある。)は、S12で予測された、出側温度計15の位置における各切り板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置20全体の冷却水量を設定する工程である。S13では、S12で板厚方向温度分布が予測された各切り板を冷却停止目標温度まで冷却するために必要な、冷却装置20のすべての冷却ゾーンにおける冷却水量を、切り板毎に設定する。
1.1.4.第1冷却工程S14
第1冷却工程S14(以下において、「S14」と称することがある。)は、S13で設定された冷却水量の冷却水を各切り板へと吹き付けることにより、各切り板を刻々と冷却する工程である。より具体的には、S13で設定された冷却水量の冷却水が各切り板へと吹き付けられるように、冷却装置20の動作を制御しながら、各切り板を冷却する工程である。
1.1.5.第2切り板温度測定工程S15
第2切り板温度測定工程S15(以下において、「S15」と称することがある。)は、S14が開始されてから終了するまでの間に、冷却装置内温度計12、13、14の位置に達した各切り板の温度を、冷却装置内温度計12、13、14を用いて測定する工程である。すなわち、S15は、冷却装置20による冷却中の各切り板の温度を測定する工程である。
1.1.6.調整工程S16
調整工程S16(以下において、「S16」と称することがある。)は、S12で予測された、冷却装置内温度計12、13、14のそれぞれの位置における各切り板の温度の予測値と、S15で測定された冷却装置内温度計12、13、14のそれぞれの位置における各切り板の温度の測定値とが一致するように、各切り板に対して鋼板温度予測モデルを調整する工程である。S16における鋼板温度予測モデルの調整は、S12の温度予測値とS15の温度測定値とが一致するように鋼板温度予測モデルを調整するのであれば、その調整形態は特に限定されない。ただし、冷却停止温度を高精度に制御しやすい形態にする観点からは、本発明の制御方法で用いる鋼板温度予測モデルが、冷却水によって冷却される各切り板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、CHF点およびMHF点を算出する遷移温度算出部と、を有することが好ましい。そして、S16は、このような鋼板温度予測モデルにおける、CHF点、MHF点、核沸騰領域の熱伝達率、および、遷移沸騰領域の熱伝達率を修正する工程であることが好ましい。
CHF点およびMHF点の修正は、例えば、S12の温度予測値とS15の温度測定値とが一致するように、CHF点およびMHF点を同じ方向(高温側または低温側。以下において同じ。)へ同じ量だけ修正して収束計算を行うことにより、実施することができる。また、CHF点およびMHF点を同じ方向へ同じ量だけ修正する場合、核沸騰領域の熱伝達率の修正は、修正前の熱伝達率に下記式で表わされる補正係数Xnを乗じることにより、行うことができる。下記式において、ΔTはCHF点およびMHF点の修正量(℃)である。
Xn=1.0+0.02・ΔT
また、修正後の遷移沸騰領域の熱伝達率は、例えば、CHF点における修正後の核沸騰領域の熱伝達率と、MHF点における膜沸騰領域の熱伝達率とを繋ぐ直線により表わすことができる。S16で調整した鋼板温度予測モデルで用いる沸騰曲線の例を、図5に示す。図5には、調整前の沸騰曲線と、CHF点およびMHF点を高温側に38.1℃修正し、且つ、核沸騰領域の熱伝達率の補正係数Xnを1.76として調整した後の沸騰曲線を示した。
1.1.7.第2切り板温度予測工程S17
第2切り板温度予測工程S17(以下において、「S17」と称することがある。)は、S16で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、出側温度計15の位置を含む、冷却装置内温度計12、13、14の位置よりも下流側の領域における各切り板の温度(板厚方向温度分布)を予測する工程である。S17における温度予測計算は、S16で調整された鋼板温度予測モデルを用いるほかは、S12と同様に行うことができる。
1.1.8.第2冷却水量設定工程S18
第2冷却水量設定工程S18(以下において、「S18」と称することがある。)は、S17で予測された、冷却装置20の出側(出側温度計15の位置)における各切り板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、S15で温度を測定した位置よりも下流側の領域における、各切り板に対する冷却装置20の冷却水量を再設定する工程である。S18における冷却水量の再設定は、冷却水量を決定する際に用いる起点となる板厚方向温度分布としてS17で予測された結果を用いるほかは、S13と同様に行うことができる。
1.1.9.第2冷却工程S19
第2冷却工程S19(以下において、「S19」と称することがある。)は、S18で設定された冷却水量の冷却水を、S15で温度を測定した位置よりも下流側の各切り板へと吹き付けることにより、各切り板を刻々と冷却する工程である。より具体的には、S18で再設定された冷却水量の冷却水が各切り板へと吹き付けられるように、冷却装置20の動作を制御しながら、各切り板を冷却する工程である。
このように、第1実施形態にかかる本発明の制御方法では、S15で冷却装置内温度計12、13、14により各切り板の温度を測定し、この測定値を用いて、S18で冷却装置内温度計12、13、14よりも下流側の冷却水量を決定し、決定された水量の冷却水を各切り板へと吹き付けることにより、切り板の集合体である厚鋼板1を冷却する。このような形態にすることにより、入側温度計11による温度測定結果を起点にこれよりも下流側の鋼板温度を予測していた従来と比較して、S17で鋼板温度予測モデルを用いて鋼板温度を予測する区間を短縮することができるので、鋼板温度の予測精度を悪化させる外乱要因が減り、鋼板温度の予測精度を高めることが可能になる。さらに、第1実施形態にかかる本発明の制御方法では、S15で測定した温度測定値と、S12で予測した温度予測値とが一致するように、S16で鋼板温度予測モデルを調整し、調整された鋼板温度予測モデルを使って、S18で冷却装置の冷却水量を再設定する。これにより、冷却装置内温度計12、13、14の位置よりも下流の冷却区間で、鋼板温度の制御精度を高めることが可能になる。さらに、第1実施形態にかかる本発明の制御方法では、すべての切り板に対する冷却制御が行われるので、厚鋼板1の長手方向全長に亘って鋼板温度の制御精度を高めることが可能になる。したがって、このような形態にすることにより、冷却停止温度を高精度に制御することが可能な、厚鋼板の冷却制御方法を提供することができる。
1.2.第2実施形態
図6および図7は、第2実施形態にかかる本発明の制御方法を説明する図である。図6および図7を適宜参照しつつ、第2実施形態にかかる本発明の制御方法について、以下に説明する。なお、第1実施形態は冷却装置を通過する各切り板を追跡し、個々の切り板に対して必要な水量の冷却水を吹き付けることができる冷却装置を対象にした実施形態であるが、第2実施形態は、このような機能を持たない冷却装置を対象にした実施形態である。
図6に示した第2実施形態にかかる本発明の制御方法は、第1温度測定工程S21と、第1温度予測工程S22と、第1冷却水量設定工程S23と、第1冷却工程S24と、第2温度測定工程S25と、調整工程S26と、第2温度予測工程S27と、第2冷却水量設定工程S28と、第2冷却工程S29と、を有している。
1.2.1.第1温度測定工程S21
第1温度測定工程S21(以下において、「S21」と称することがある。)は、冷却装置20の入側に設置された入側温度計11を用いて、入側温度計11を通過する際の厚鋼板1の制御対象ポイントである先端部の温度を測定する工程である。
1.2.2.第1温度予測工程S22
第1温度予測工程S22(以下において、「S22」と称することがある。)は、S21で測定した厚鋼板1の温度を起点に、鋼板温度予測モデル(板厚方向多分割モデル)を用いて、厚鋼板1の温度降下を計算することにより、冷却装置20内に設置された冷却装置内温度計12、13、14のそれぞれの位置、および、冷却装置20の出側に設置された出側温度計15の位置における、厚鋼板1の温度(板厚方向温度分布)を予測する工程である。厚鋼板1を複数の切り板の集合体とみなさない点を除き、S22はS12と同様の工程であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
1.2.3.第1冷却水量設定工程S23
第1冷却水量設定工程S23(以下において、「S23」と称することがある。)は、S22で予測された、出側温度計15の位置における厚鋼板1の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置20全体の冷却水量を設定する工程である。S23では、S22で板厚方向温度分布が予測された厚鋼板1を冷却停止目標温度まで冷却するために必要な、冷却装置20のすべての冷却ゾーンにおける冷却水量を設定する。
1.2.4.第1冷却工程S24
第1冷却工程S24(以下において、「S24」と称することがある。)は、S23で設定された冷却水量の冷却水を厚鋼板1へと吹き付けることにより、厚鋼板1を冷却する工程である。より具体的には、S23で設定された冷却水量の冷却水が厚鋼板1へと吹き付けられるように、冷却装置20の動作を制御しながら、厚鋼板1を冷却する工程である。
1.2.5.第2温度測定工程S25
第2温度測定工程S25(以下において、「S25」と称することがある。)は、S24が開始されてから終了するまでの間に、冷却装置内温度計12、13、14の位置に達した厚鋼板1の制御対象ポイントである先端部の温度を、冷却装置内温度計12、13、14を用いて測定する工程である。すなわち、S25は、冷却装置20による冷却中の厚鋼板1の温度を測定する工程である。
1.2.6.調整工程S26
調整工程S26(以下において、「S26」と称することがある。)は、S22で予測された、冷却装置内温度計12、13、14のそれぞれの位置における厚鋼板1の温度の予測値と、S25で測定された冷却装置内温度計12、13、14のそれぞれの位置における厚鋼板1の温度の測定値とが一致するように、鋼板温度予測モデルを調整する工程である。S26における鋼板温度予測モデルの調整は、S22の温度予測値とS25の温度測定値とが一致するように鋼板温度予測モデルを調整するのであれば、その調整形態は特に限定されない。ただし、冷却停止温度を高精度に制御しやすい形態にする観点からは、本発明の制御方法で用いる鋼板温度予測モデルが、冷却水によって冷却される厚鋼板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、CHF点およびMHF点を算出する遷移温度算出部と、を有することが好ましい。そして、S26は、このような鋼板温度予測モデルにおける、CHF点、MHF点、核沸騰領域の熱伝達率、および、遷移沸騰領域の熱伝達率を修正する工程であることが好ましい。厚鋼板1を複数の切り板の集合体とみなさない点を除き、S26はS16と同様の工程であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
1.2.7.第2温度予測工程S27
第2温度予測工程S27(以下において、「S27」と称することがある。)は、S26で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、出側温度計15の位置を含む、冷却装置内温度計12、13、14の位置よりも下流側の領域における厚鋼板1の温度(板厚方向温度分布)を予測する工程である。S27における温度予測計算は、S26で調整された鋼板温度予測モデルを用いるほかは、S22と同様に行うことができる。
1.2.8.第2冷却水量設定工程S28
第2冷却水量設定工程S28(以下において、「S28」と称することがある。)は、S27で予測された、冷却装置20の出側(出側温度計15の位置)における厚鋼板1の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、S25で温度を測定した位置よりも下流側の領域における、冷却装置20の冷却水量を再設定する工程である。S28における冷却水量の再設定は、冷却水量を決定する際に用いる起点となる板厚方向温度分布としてS27で予測された結果を用いるほかは、S23と同様に行うことができる。
1.2.9.第2冷却工程S29
第2冷却工程S29(以下において、「S29」と称することがある。)は、S28で設定された冷却水量の冷却水を、S25で温度を測定した位置よりも下流側の厚鋼板1へと吹き付けることにより、厚鋼板1を冷却する工程である。より具体的には、S28で再設定された冷却水量の冷却水が厚鋼板1へと吹き付けられるように、冷却装置20の動作を制御しながら、厚鋼板1を冷却する工程である。
このように、第2実施形態にかかる本発明の制御方法では、S25で冷却装置内温度計12、13、14により厚鋼板1の温度を測定し、この測定値を用いて、S28で冷却装置内温度計12、13、14よりも下流側の冷却水量を決定し、決定された水量の冷却水を厚鋼板1へと吹き付けることにより、厚鋼板1を冷却する。このような形態にすることにより、入側温度計11による温度測定結果を起点にこれよりも下流側の鋼板温度を予測していた従来と比較して、S27で鋼板温度予測モデルを用いて鋼板温度を予測する区間を短縮することができるので、鋼板温度の予測精度を悪化させる外乱要因が減り、鋼板温度の予測精度を高めることが可能になる。さらに、第2実施形態にかかる本発明の制御方法では、S25で測定した温度測定値と、S22で予測した温度予測値とが一致するように、S26で鋼板温度予測モデルを調整し、調整された鋼板温度予測モデルを使って、S28で冷却装置の冷却水量を再設定する。これにより、冷却装置内温度計12、13、14の位置よりも下流の冷却区間で、鋼板温度の制御精度を高めることが可能になる。したがって、このような形態にすることにより、冷却停止温度を高精度に制御することが可能な、厚鋼板の冷却制御方法を提供することができる。
2.厚鋼板の製造方法
図8は、本発明の厚鋼板の製造方法を説明する図である。図8に示したように、本発明の厚鋼板の製造方法は、厚鋼板を熱間圧延する熱間圧延工程S31と、該熱間圧延工程S31の後に厚鋼板を冷却する冷却工程S32と、を有し、冷却工程S32で、上記第1実施形態または第2実施形態にかかる本発明の制御方法が用いられる。上述のように、本発明の制御方法によれば、冷却停止温度を高精度に制御することが可能である。このような冷却工程S32を有することにより、本発明の厚鋼板の製造方法では、厚鋼板の冷却停止温度が高精度に制御される。これにより、厚鋼板の機械的特性を安定化することが可能になるので、添加元素を削減して製造コストを削減することが可能な、厚鋼板の製造方法を提供することができる。
3.厚鋼板の冷却制御装置および厚鋼板の製造装置
3.1.第1実施形態
図9は、第1実施形態にかかる本発明の厚鋼板の冷却制御装置30を備える、第1実施形態にかかる本発明の厚鋼板の製造装置100の形態例を説明する図である。図9に示した製造装置100は、厚鋼板を熱間圧延する圧延機10と、圧延機10で熱間圧延された厚鋼板を冷却する冷却装置20と、冷却装置20の操業条件を制御する冷却制御装置30と、冷却装置20の入側に設置された入側温度計11と、冷却装置20内に設置された冷却装置内温度計12、13、14と、冷却装置20の出側に設置された出側温度計15と、を備えている。冷却制御装置30は、上記第1実施形態にかかる本発明の制御方法を実施可能な装置である。
図9に示した冷却制御装置30は、入側温度計11と、冷却装置内温度計12、13、14と、出側温度計15と、第1切り板温度予測部31と、第1冷却水量設定部32と、調整部33と、第2切り板温度予測部34と、第2冷却水量設定部35と、を有している。第1切り板温度予測部31は、S12が行われる部位であり、入側温度計11を用いて測定された、入側温度計11を通過する際の各切り板の温度を起点に、鋼板温度予測モデルを用いて冷却後の各切り板の温度を予測する。第1切り板温度予測部31では、各切り板の板厚方向温度分布が予測される。このようにして予測された各切り板の板厚方向温度分布に関する情報は、第1冷却水量設定部32および調整部33へと送られ、第1冷却水量設定部32でS13が行われる。具体的には、第1冷却水量設定部32では、第1切り板温度予測部31で予測された、出側温度計15の位置における各切り板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置20全体の冷却水量が算出される。このようにして算出された冷却水量に関する情報は、冷却装置20へと送られる。そして、冷却装置20内を所定の搬送速度で搬送される各切り板に向けて、第1冷却水量設定部32で算出された冷却水量の冷却水を吹き付けることにより、各切り板が刻々と冷却される。製造装置100では、冷却装置20によって各切り板が刻々と冷却されている間に、冷却装置20内における各切り板の温度が、冷却装置内温度計12、13、14を用いて測定される。冷却装置内温度計12、13、14を用いて測定された各切り板の温度に関する情報は、調整部33および第2切り板温度予測部34へと送られる。そして、第1切り板温度予測部31で予測された、冷却装置内温度計12、13、14の位置における各切り板の温度の予測値と、冷却装置内温度計12、13、14を用いて測定された各切り板の温度の測定値とが一致するように、調整部33で鋼板温度予測モデルが調整される。調整部33は、S16が行われる部位であり、例えば、CHF点、MHF点、核沸騰領域の熱伝達率、および、遷移沸騰領域の熱伝達率を修正することにより、鋼板温度予測モデルが調整される。このようにして鋼板温度予測モデルが調整されたら、S17が行われる第2切り板温度予測部34で、調整後の鋼板温度予測モデルと、冷却装置内温度計12、13、14を用いて測定された各切り板の温度の測定値とを用いて、冷却装置内温度計12、13、14の位置よりも下流側の領域における各切り板の温度(板厚方向温度分布)が予測される。第2切り板温度予測部34で予測された各切り板の温度に関する情報は、S18が行われる第2冷却水量設定部35へと送られる。そして、第2切り板温度予測部34から送られてきた各切り板の温度を冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置内温度計12、13、14の位置よりも下流側の領域における各切り板に対する冷却装置20の冷却水量が、第2冷却水量設定部35で算出される。このようにして算出された冷却水量に関する情報は、冷却装置20へと送られる。そして、冷却装置20内の、冷却装置内温度計12、13、14の位置よりも下流側を所定の搬送速度で搬送される各切り板に向けて、第2冷却水量設定部35で算出された冷却水量の冷却水を吹き付けることにより、各切り板が刻々と冷却される。
このように、冷却制御装置30は、上記第1実施形態にかかる本発明の制御方法を実施できる。第1実施形態にかかる本発明の制御方法によれば、冷却停止温度を高精度に制御することが可能なので、本発明によれば、冷却停止温度を高精度に制御することが可能な、冷却制御装置30を提供することができる。また、厚鋼板の製造装置100は、このような冷却制御装置30を備えている。したがって、本発明によれば、冷却停止温度を高精度に制御することが可能な、厚鋼板の製造装置100を提供することができる。なお、冷却停止温度を高精度に制御することにより、厚鋼板の機械的特性を安定化することが可能になるので、厚鋼板の製造装置100によれば、添加元素を削減して製造コストを削減することも可能である。
3.2.第2実施形態
図10は、第2実施形態にかかる本発明の厚鋼板の冷却制御装置40を備える、第2実施形態にかかる本発明の厚鋼板の製造装置200の形態例を説明する図である。図10に示した製造装置200は、厚鋼板を熱間圧延する圧延機10と、圧延機10で熱間圧延された厚鋼板を冷却する冷却装置20と、冷却装置20の操業条件を制御する冷却制御装置40と、冷却装置20の入側に設置された入側温度計11と、冷却装置20内に設置された冷却装置内温度計12、13、14と、冷却装置20の出側に設置された出側温度計15と、を備えている。冷却制御装置40は、上記第2実施形態にかかる本発明の制御方法を実施可能な装置である。
図10に示した冷却制御装置40は、入側温度計11と、冷却装置内温度計12、13、14と、出側温度計15と、第1温度予測部41と、第1冷却水量設定部42と、調整部43と、第2温度予測部44と、第2冷却水量設定部45と、を有している。第1温度予測部41は、S22が行われる部位であり、入側温度計11を用いて測定された、入側温度計11を通過する際の厚鋼板の制御対象ポイントである先端部の温度を起点に、鋼板温度予測モデルを用いて冷却後の厚鋼板の温度を予測する。第1温度予測部41では、厚鋼板の板厚方向温度分布が予測される。このようにして予測された厚鋼板の板厚方向温度分布に関する情報は、第1冷却水量設定部42および調整部43へと送られ、第1冷却水量設定部42でS23が行われる。具体的には、第1冷却水量設定部42では、第1温度予測部41で予測された、出側温度計15の位置における厚鋼板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置20全体の冷却水量が算出される。このようにして算出された冷却水量に関する情報は、冷却装置20へと送られる。そして、冷却装置20内を所定の搬送速度で搬送される厚鋼板に向けて、第1冷却水量設定部42で算出された冷却水量の冷却水を吹き付けることにより、厚鋼板が冷却される。製造装置200では、冷却装置20によって厚鋼板が冷却されている間に、冷却装置20内における厚鋼板の制御対象ポイントである先端部の温度が、冷却装置内温度計12、13、14を用いて測定される。冷却装置内温度計12、13、14を用いて測定された厚鋼板の温度に関する情報は調整部43および第2温度予測部44へと送られる。そして、第1温度予測部41で予測された、冷却装置内温度計12、13、14の位置における厚鋼板の温度の予測値と、冷却装置内温度計12、13、14を用いて測定された厚鋼板の温度の測定値とが一致するように、調整部43で鋼板温度予測モデルが調整される。調整部43は、S26が行われる部位であり、例えば、CHF点、MHF点、核沸騰領域の熱伝達率、および、遷移沸騰領域の熱伝達率を修正することにより、鋼板温度予測モデルが調整される。このようにして鋼板温度予測モデルが調整されたら、S27が行われる第2温度予測部44で、調整後の鋼板温度予測モデルと、冷却装置内温度計12、13、14を用いて測定された厚鋼板の温度の測定値とを用いて、冷却装置内温度計12、13、14の位置よりも下流側の領域における厚鋼板の温度(板厚方向温度分布)が予測される。第2温度予測部44で予測された厚鋼板の温度に関する情報は、S28が行われる第2冷却水量設定部45へと送られる。そして、第2温度予測部44から送られてきた厚鋼板の温度を冷却停止目標温度まで低下させるための、冷却装置内温度計12、13、14の位置よりも下流側の領域における冷却装置20の冷却水量が、第2冷却水量設定部45で算出される。このようにして算出された冷却水量に関する情報は、冷却装置20へと送られる。そして、冷却装置20内の、温度計12、13、14の位置よりも下流側を所定の搬送速度で搬送される厚鋼板に向けて、第2冷却水量設定部45で算出された冷却水量の冷却水を吹き付けることにより、厚鋼板が冷却される。
このように、冷却制御装置40は、上記第2実施形態にかかる本発明の制御方法を実施できる。第2実施形態にかかる本発明の制御方法によれば、冷却停止温度を高精度に制御することが可能なので、本発明によれば、冷却停止温度を高精度に制御することが可能な、冷却制御装置40を提供することができる。また、厚鋼板の製造装置200は、このような冷却制御装置40を備えている。したがって、本発明によれば、冷却停止温度を高精度に制御することが可能な、厚鋼板の製造装置200を提供することができる。なお、冷却停止温度を高精度に制御することにより、厚鋼板の機械的特性を安定化することが可能になるので、厚鋼板の製造装置200によれば、添加元素を削減して製造コストを削減することも可能である。
本発明に関する上記説明では、冷却装置に備えられる複数の冷却ゾーン(ABCD)の間(AB間、BC間、および、CD間。)に冷却装置内温度計が設置されている形態を例示したが、冷却装置内温度計の設置個所は、これに限定されない。冷却ゾーンの冷却水量が複数のバルブによって制御可能である場合には、その冷却ゾーン内に冷却装置内温度計を設置し、この冷却装置内温度計を用いて厚鋼板の冷却を制御することも可能である。
また、本発明に関する上記説明では、すべての冷却装置内温度計12、13、14による測定結果を使用する形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明は、冷却装置内に設置された温度計のうち、少なくとも1つが使用されていれば良い。なお、鋼板温度の予測精度は予測する区間が短い方が高精度であるため、冷却装置内の下流側の温度計を使用して厚鋼板の冷却を制御することが好ましい。
シミュレーション例を参照しつつ、本発明についてさらに説明を続ける。
板厚22mmの鋼種Aについて、厚鋼板の製造装置100に上記第1実施形態にかかる本発明の制御方法を適用したと仮定して行った温度降下シミュレーション(本発明)の結果、および、冷却装置20による冷却中に厚鋼板の温度を測定しない従来の方法による温度降下シミュレーション(比較例)の結果を、図11に示す。また、本発明の制御方法により調整される前後の沸騰曲線を、図5に示す。
図5に示したように、沸騰曲線は、沸騰状態の遷移温度を+38.1℃としたため、より高温側から熱流束が増加している。また、核沸騰領域の熱伝達率は、1.76(=1.0+0.02×38.1)倍に修正し、これに伴って遷移沸騰領域の熱伝達率も修正したが、膜沸騰領域の熱伝達率は変更しなかった。
図5に示した沸騰曲線を用いて冷却停止までの温度降下シミュレーションを行った結果、図11に示したように、本発明では温度予測モデルの調整によって、温度予測精度の高精度化が図れ、冷却停止温度の予測値と測定値がほぼ一致することになった。この調整後の温度予測モデルを用い、温度計14よりも下流側における冷却装置20の冷却水量を再設定し、温度計14よりも下流側の冷却装置20内で各切り板に吹き付ける冷却水量を再設定後のものに変更することで冷却停止温度を高精度に制御可能である。
これに対し、比較例では、冷却停止温度の予測値と測定値の誤差が50℃になった。この結果から、本発明によれば、冷却停止温度を高精度に制御可能であることが分かる。
さらに、上述の処理を複数の厚鋼板に実施し、冷却停止温度の予測精度(冷却停止温度の予測値と測定値の差=停止温度予測誤差)を比較した。冷却停止目標温度を500℃以上とした場合の結果、および、冷却停止目標温度を400℃以上に拡大とした場合の結果を、表1に示す。
表1に示したように、冷却停止目標温度を500℃以上とした場合、比較例では標準偏差σが16.4℃であり、停止温度予測誤差の平均値が−4.6℃であったが、本発明では標準偏差σが11.6℃であり、停止温度予測誤差の平均値が2.2℃へと改善された。また、表1に示したように、冷却停止目標温度を400℃以上へと拡大した場合、比較例では標準偏差σが18.9℃であり、停止温度予測誤差の平均値が−2.1℃であったが、本発明では標準偏差σが14.8℃であり、停止温度予測誤差の平均値が1.3℃へと改善された。
これらの結果から、本発明によれば、幅広い冷却停止温度の厚鋼板に対して、冷却停止温度を高精度に制御可能であることが分かった。
1…厚鋼板
10…圧延機
11…入側温度計
12、13、14…冷却装置内温度計
15…出側温度計
20…冷却装置
30、40…厚鋼板の冷却制御装置
31…第1切り板温度予測部
32、42…第1冷却水量設定部
33、43…調整部
34…第2切り板温度予測部
35、45…第2冷却水量設定部
41…第1温度予測部
44…第2温度予測部
100、200…厚鋼板の製造装置

Claims (10)

  1. 熱間圧延後の搬送される厚鋼板へ冷却水を吹き付けることにより冷却し、且つ、冷却後の前記厚鋼板の温度が所定の温度となるように冷却水量を操作可能な冷却装置を用い、
    計算結果に厚鋼板の板厚方向温度分布が含まれる鋼板温度予測モデルを用いて冷却後の前記厚鋼板の温度を予測し、予測した鋼板温度が所定の温度となる冷却水量を導出し、導出した冷却水量で前記厚鋼板を冷却する、厚鋼板の冷却を制御する方法であって、
    前記冷却装置の入側に設置された温度計を用いて、該温度計を通過する際の前記厚鋼板の温度を測定する、第1温度測定工程と、
    前記第1温度測定工程で測定した前記温度を起点に、前記鋼板温度予測モデルを用いて前記厚鋼板の板厚方向温度分布を予測する、第1温度予測工程と、
    前記第1温度予測工程で予測された、前記冷却装置の出側における前記厚鋼板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置全体の冷却水量を設定する、第1冷却水量設定工程と、
    前記第1冷却水量設定工程で設定された冷却水量の冷却水を前記厚鋼板へと吹き付けることにより、前記厚鋼板を冷却する、第1冷却工程と、
    前記冷却装置内に設置された温度計を用いて、該温度計を通過する際の前記厚鋼板の温度を測定する、第2温度測定工程と、
    前記第1温度予測工程で予測された、板厚方向温度分布から得られる前記冷却装置内の温度計位置における前記厚鋼板の温度の予測値と、前記第2温度測定工程で測定された前記厚鋼板の温度の測定値とが一致するように、前記鋼板温度予測モデルを調整する、調整工程と、
    前記調整工程で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、前記冷却装置内の温度計位置よりも下流側の領域における前記厚鋼板の板厚方向温度分布を予測する、第2温度予測工程と、
    前記第2温度予測工程で予測された、前記冷却装置の出側における前記厚鋼板の温度を、前記冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置内の温度計位置よりも下流側の領域における前記冷却装置の冷却水量を再設定する、第2冷却水量設定工程と、
    前記第2冷却水量設定工程で設定された冷却水量の冷却水を、前記冷却装置内の温度計位置よりも下流側の前記厚鋼板へと吹き付けることにより、前記厚鋼板を冷却する、第2冷却工程と、
    を有する、厚鋼板の冷却制御方法。
  2. 前記鋼板温度予測モデルは、
    前記冷却水によって冷却される前記厚鋼板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、
    前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、および、前記遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度を算出する遷移温度算出部と、を有し、
    前記調整工程における前記鋼板温度予測モデルの調整は、前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、前記遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度、前記核沸騰領域の熱伝達率、および、前記遷移沸騰領域の熱伝達率を修正することによって行う、請求項1に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  3. 熱間圧延後の搬送される厚鋼板へ冷却水を吹き付けることにより冷却し、且つ、冷却後の前記厚鋼板の温度が所定の温度となるように冷却水量を操作可能な冷却装置を用い、
    計算結果に厚鋼板の板厚方向温度分布が含まれる鋼板温度予測モデルを用いて冷却後の前記厚鋼板の温度を予測し、予測した鋼板温度が所定の温度となる冷却水量を導出し、導出した冷却水量で前記厚鋼板を冷却する、厚鋼板の冷却を制御する方法であって、
    前記厚鋼板を、長手方向で仮想的に分割された複数の切り板の集合体と考え、
    前記冷却装置の入側に設置された温度計を用いて、該温度計を通過する際の各切り板の温度を測定する、第1切り板温度測定工程と、
    前記第1切り板温度測定工程で測定した前記温度を起点に、前記鋼板温度予測モデルを用いて前記各切り板の板厚方向温度分布を予測する、第1切り板温度予測工程と、
    前記第1切り板温度予測工程で予測された、前記冷却装置の出側における前記各切り板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置全体の冷却水量を設定する、第1冷却水量設定工程と、
    前記第1冷却水量設定工程で設定された冷却水量の冷却水を前記各切り板へと吹き付けることにより、前記各切り板を刻々と冷却する、第1冷却工程と、
    前記冷却装置内に設置された温度計を用いて、該温度計を通過する際の前記各切り板の温度を測定する、第2切り板温度測定工程と、
    前記第1切り板温度予測工程で予測された、板厚方向温度分布から得られる前記冷却装置内の温度計位置における前記各切り板の温度の予測値と、前記第2切り板温度測定工程で測定された前記各切り板の温度の測定値とが一致するように、前記各切り板に対して前記鋼板温度予測モデルを調整する、調整工程と、
    前記調整工程で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、前記冷却装置内の温度計位置よりも下流側の領域における前記各切り板の板厚方向温度分布を予測する、第2切り板温度予測工程と、
    前記第2切り板温度予測工程で予測された、前記冷却装置の出側における前記各切り板の温度を、前記冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置内の温度計位置よりも下流側の領域における前記各切り板に対する前記冷却装置の冷却水量を再設定する、第2冷却水量設定工程と、
    前記第2冷却水量設定工程で設定された冷却水量の冷却水を、前記冷却装置内の温度計位置よりも下流側の前記各切り板へと吹き付けることにより、前記各切り板を刻々と冷却する、第2冷却工程と、
    を有する、厚鋼板の冷却制御方法。
  4. 前記鋼板温度予測モデルは、
    前記冷却水によって冷却される前記各切り板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、
    前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、および、前記遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度を算出する遷移温度算出部と、を有し、
    前記調整工程における前記鋼板温度予測モデルの調整は、前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、前記遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度、前記核沸騰領域の熱伝達率、および、前記遷移沸騰領域の熱伝達率を修正することによって行う、請求項3に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  5. 厚鋼板を熱間圧延する工程と、
    前記熱間圧延する工程の後に前記厚鋼板を冷却する工程と、を有し、
    前記冷却する工程で、請求項1〜4のいずれか1項に記載の厚鋼板の冷却制御方法が用いられる、厚鋼板の製造方法。
  6. 熱間圧延された厚鋼板を冷却する冷却装置の操業条件を制御する冷却制御装置であって、
    前記冷却装置の入側および出側ならびに前記冷却装置内のそれぞれに設置された温度計と、
    前記冷却装置の入側に設置された温度計を用いて測定された、該温度計を通過する際の前記厚鋼板の温度を起点に、計算結果に厚鋼板の板厚方向温度分布が含まれる鋼板温度予測モデルを用いて、前記冷却装置の入側に設置された温度計の位置よりも下流側の領域における前記厚鋼板の板厚方向温度分布を予測する、第1温度予測部と、
    前記第1温度予測部で予測された、前記冷却装置の出側に設置された温度計の位置における前記厚鋼板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置全体の冷却水量を設定する、第1冷却水量設定部と、
    前記第1温度予測部で予測された、板厚方向温度分布から得られる前記冷却装置内に設置された温度計の位置における前記厚鋼板の温度の予測値と、前記冷却装置内に設置された温度計を用いて測定された、前記厚鋼板の温度の測定値とが一致するように、前記鋼板温度予測モデルを調整する、調整部と、
    前記調整部で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、前記冷却装置内に設置された温度計の位置よりも下流側の領域における前記厚鋼板の板厚方向温度分布を予測する、第2温度予測部と、
    前記第2温度予測部で予測された、前記冷却装置の出側に設置された温度計の位置における前記厚鋼板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置内に設置された温度計の位置よりも下流側の領域における前記冷却装置の冷却水量を再設定する、第2冷却水量設定部と、
    を有する、厚鋼板の冷却制御装置。
  7. 前記鋼板温度予測モデルは、
    前記冷却水によって冷却される前記厚鋼板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰
    領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、
    前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、および、前記遷移沸騰領域と前記
    膜沸騰領域との遷移温度を算出する遷移温度算出部と、を有し、
    前記調整部における前記鋼板温度予測モデルの調整は、前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、前記遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度、前記核沸騰領域の熱伝達率、および、前記遷移沸騰領域の熱伝達率を修正することによって行われる、請求項6に記載の厚鋼板の冷却制御装置。
  8. 熱間圧延された厚鋼板を冷却する冷却装置の操業条件を制御する冷却制御装置であって、
    前記厚鋼板が、長手方向で仮想的に分割された複数の切り板の集合体とみなされ、
    前記冷却装置の入側および出側ならびに前記冷却装置内のそれぞれに設置された温度計
    と、
    前記冷却装置の入側に設置された温度計を用いて測定された、該温度計を通過する際の各切り板の温度を起点に、計算結果に厚鋼板の板厚方向温度分布が含まれる鋼板温度予測モデルを用いて、前記冷却装置の入側に設置された温度計の位置よりも下流側の領域における前記各切り板の板厚方向温度分布を予測する、第1切り板温度予測部と、
    前記第1切り板温度予測部で予測された、前記冷却装置の出側に設置された温度計の位置における前記各切り板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置全体の冷却水量を設定する、第1冷却水量設定部と、
    前記第1切り板温度予測部で予測された、板厚方向温度分布から得られる前記冷却装置内に設置された温度計の位置における前記各切り板の温度の予測値と、前記冷却装置内に設置された温度計を用いて測定された、前記各切り板の温度の測定値とが一致するように、前記鋼板温度予測モデルを調整する、調整部と、
    前記調整部で調整された鋼板温度予測モデルを用いて、前記冷却装置内に設置された温度計の位置よりも下流側の領域における前記各切り板の板厚方向温度分布を予測する、第2切り板温度予測部と、
    前記第2切り板温度予測部で予測された、前記冷却装置の出側に設置された温度計の位置における前記各切り板の温度を、冷却停止目標温度まで低下させるための、前記冷却装置内に設置された温度計の位置よりも下流側の領域における前記各切り板に対する前記冷却装置の冷却水量を再設定する、第2冷却水量設定部と、
    を有する、厚鋼板の冷却制御装置。
  9. 前記鋼板温度予測モデルは、
    前記冷却水によって冷却される前記各切り板表面の、核沸騰領域の熱伝達率、遷移沸騰領域の熱伝達率、および、膜沸騰領域の熱伝達率を算出する熱伝達率算出部と、
    前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、および、前記遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度を算出する遷移温度算出部と、を有し、
    前記調整部における前記鋼板温度予測モデルの調整は、前記核沸騰領域と前記遷移沸騰領域との遷移温度、前記遷移沸騰領域と前記膜沸騰領域との遷移温度、前記核沸騰領域の熱伝達率、および、前記遷移沸騰領域の熱伝達率を修正することによって行われる、請求項8に記載の厚鋼板の冷却制御装置。
  10. 厚鋼板を熱間圧延する圧延機と、該圧延機で熱間圧延された厚鋼板を冷却する冷却装置と、該冷却装置の動作を制御する冷却制御装置と、を備え、
    前記冷却制御装置が、請求項6〜9のいずれか1項に記載の厚鋼板の冷却制御装置である、厚鋼板の製造装置。
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