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JP2007283346A - 圧延材の冷却制御方法及び圧延装置 - Google Patents

圧延材の冷却制御方法及び圧延装置 Download PDF

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JP2007283346A JP2006112513A JP2006112513A JP2007283346A JP 2007283346 A JP2007283346 A JP 2007283346A JP 2006112513 A JP2006112513 A JP 2006112513A JP 2006112513 A JP2006112513 A JP 2006112513A JP 2007283346 A JP2007283346 A JP 2007283346A
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Takehiro Tsukuda
岳洋 佃
Miyako Nishino
都 西野
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Abstract

【課題】中間温度の実績値と目標値との間に差が生じたとしても、冷却手段における冷却速度を当初の設定値(一定値)に略一致させ、且つ圧延材の巻き取り温度を目標値に一致又は近づける。
【解決手段】中間温度計20での実績値を基に、予め設定され且つ一定値を有する冷却速度を満たしつつ圧延材5の巻き取り温度が目標値に一致又は近づくように、前記中間温度計20より下流側に位置する冷却バンクの開バルブ本数を変更する。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧延材の冷却制御方法及びこの制御方法を適用可能な圧延装置に関する。
従来から、薄鋼板等の圧延材は、加熱された元板を連続圧延装置に導入して、複数の圧延機で連続的に圧延することで製造されており、最終圧延機の下流側には圧延材を巻き取るための巻き取り装置が設けられている。また、最終圧延機と巻き取り装置との間には、圧延材の温度を制御しつつ冷却を行う冷却手段が備えられている。
この冷却手段は、圧延材に吹き付ける冷却材の供給量を可変とする冷却バルブを複数備えた冷却バンクが圧延材の移送方向に連設されてなり、圧延材の板温度を目標温度に一致させるべく、開状態にある冷却バルブの本数である開バルブ本数を変更して、圧延材の温度調整や冷却制御を行う。
このような冷却手段の制御方法、すなわち、圧延材の冷却制御方法は従来より数々開発されている。
例えば、特許文献1に開示された鋼板の冷却制御方法では、鋼板の板速度を取り込みながら鋼板上のサンプリング点をトラッキングし、各サンプリング点が冷却手段を通過する際の冷却速度(水冷)が板速度に影響されることなく目標値となるように冷却手段での注水量の制御を行っている。加えて、鋼板上のサンプリング点が巻き取り温度の目標値に一致するように水冷状態となっている長さを調整するものとなっている。
特許文献2や特許文献3の技術では、圧延材が冷却バンクを通過する時間から、当該圧延材に対する冷却速度が一定となるように、当該冷却バンクの出側目標温度を決定し、該出側目標温度を満足する開バルブ本数を決定するものとなっている。
しかしながら、これらの技術を用いて圧延を行ったとしても、実際の圧延装置では、様々な要因により、巻き取り温度の実績値が目標値からズレることがある。
このような不都合を回避すべく、特許文献4に開示されたような技術が開発されている。
この技術における冷却手段の中途部には、圧延材の板温度を計測する中間温度計が配備されているものであって、ランナウトテーブル上における圧延材の温度予測計算に使用する各種熱伝達係数のモデル式を、仕上温度計〜中間位置温度計及び中間温度計〜巻取温度計間で分割して学習することにより補正し、圧延材の板温度精度の向上を図るものとなっている。
特開平5−277535号公報 特開平6−179007号公報 特開平6−179008号公報 特開平6−218414号公報
しかしながら、特許文献4の技術を用いた場合、仕上げ温度や中間温度を目標値に一致させることは可能となるが、仕上温度計〜中間位置温度計間、中間温度計〜巻取温度計間で熱伝達係数が異なる場合があり、冷却速度を予め設定した一定値としながら圧延材の冷却を行うことが困難になる場合がある。
「冷却速度が一定」というのは、圧延材が冷却手段内において一定時間経過した時の温度降下量が一定ということを意味する。現状、ユーザからは、非常に高品質の圧延材の供給を要望されており、要求される材料特性や機械特性を実現するためには、圧延材が巻き取り装置に達する時の温度と目標値とが一致することはもとより、各冷却バンクでの冷却速度を所定の値で一定とする必要がある。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、中間温度の実績値と目標値との間に差が生じたとしても、冷却手段における冷却速度を当初の設定値(一定値)に略一致させつつ、且つ圧延材の巻き取り温度を目標値に一致又は近づけることが可能な圧延材の冷却制御方法及び圧延装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明にかかる圧延材の冷却制御方法は、開バルブ本数を変更可能な冷却バンクが複数備えられ且つ中途部に中間温度計が配備された冷却手段を用いて、仕上圧延後の圧延材を冷却し、該圧延材の巻き取り温度を制御するものであって、前記中間温度計での実績値を基に、予め設定された一定値を有する冷却速度を満たすと共に圧延材の巻き取り温度が目標値に一致又は近づくように、前記中間温度計より下流側に位置する冷却バンクの開バルブ本数を変更することを特徴とする。
これにより、圧延材の冷却において、中間温度の実績値と目標値との間に差が生じたとしても、冷却手段における冷却速度を当初の設定値(一定値)に略一致させつつ、且つ圧延材の巻き取り温度を目標値に一致又は近づけることができる。
好ましくは、前記中間温度計での実績値と目標値との差を温度偏差(X)として算出し、前記中間温度計より下流側で且つ冷却手段内の最下流に位置する水冷状態の冷却バンクの出側を注水終了点とした上で、当該注水終了点での板温度の予測値を前記中間温度計での実績値を基に算出し、前記注水終了点での板温度の予測値と目標値との差(Y)から前記温度偏差(X)を引いた値(Y−X)を無くすように、前記中間温度計より下流側に位置する冷却バンクの開バルブ本数を変更するとよい。
すなわち、差(YーX)が無くなるように中間温度計以降の冷却バンクの開バルブ本数を修正することで、圧延材は、当初予定した温度降下曲線の傾きと略同一の傾きを有する温度曲線にしたがって温度降下をするようになり、冷却速度を当初の設定値(一定値)に略一致させつつ冷却を行うことができるようになる。
好ましくは、前記開バルブ本数を増加させる場合は、前記温度偏差(X)と前記注水終了点以降に位置する冷却バンクでの温度降下量との差が最小になるよう、当該冷却バンクでの開バルブ本数を変更するとよい。
これにより、圧延材の巻き取り温度を目標値に一致させ得るようになる。
また好ましくは、前記開バルブ本数を減少させる場合は、前記温度偏差(X)と前記中間温度計〜注水終了点間に存在する冷却バンクでの温度降下量との差が最小になるよう、当該冷却バンクでの開バルブ本数を変更するとよい。
これにより、圧延材の巻き取り温度を目標値に一致させ得るようになる。
なお、前記冷却バンクは、開バルブ本数を1以上とすることで冷却バンクを水冷状態とし、開バルブ本数を0とすることで空冷状態とすることができるものであって、前記空冷状態の冷却バンクでは圧延材に対する空冷の伝熱計算を行い、水冷状態の冷却バンクでは予め設定された一定値を有する冷却速度を用いて圧延材に対する水冷の伝熱計算を行って、前記中間温度計における目標値及び巻き取り温度計での目標値を算出するとよい。
本発明にかかる圧延装置は、圧延材を圧延する圧延機と、前記圧延機の下流側に配備され且つ開バルブ本数を変更可能な冷却バンクが複数備えられた冷却手段と、前記冷却手段の中途部に設けられて圧延材の板温度を計測する中間温度計と、前記中間温度計での実績値を基に、予め設定された一定値を有する冷却速度を満たすと共に圧延材の巻き取り温度が目標値に一致又は近づくように、前記中間温度計より下流側に位置する冷却バンクの開バルブ本数を変更する制御部と、を有することを特徴とする。
この圧延装置を用いることで、中間温度の実績値と目標値との間に差が生じたとしても、冷却手段における冷却速度を当初の設定値(一定値)に略一致させつつ、且つ圧延材の巻き取り温度を目標値に一致又は近づけることができる。
本発明によれば、中間温度の実績値と目標値との間に差が生じたとしても、冷却手段における冷却速度を当初の設定値(一定値)に略一致させつつ、且つ圧延材の巻き取り温度を目標値に一致又は近づけることが可能となる。
以下、本発明にかかる圧延材の冷却制御方法及びこの制御方法を適用可能な圧延装置を、薄鋼板の熱間連続圧延装置を例示して説明する。
[装置構成]
薄鋼板等の圧延材は、加熱された元板を複数の圧延機が備えられた連続圧延装置に導入し、連続的に圧延することで製造される。連続圧延装置の上流側に備えられた圧延機は粗圧延機であり、下流側に備えられた圧延機は板厚などを整える仕上げ圧延機である。
最終段に備えられた仕上げ圧延機を出た圧延材は、圧延材移送方向の下流側に配置された冷却手段内を通りながら冷却され、巻き取り装置で巻き取られる。
図1は、連続圧延装置1の最終圧延機2から冷却手段3、巻き取り装置4に至るまでの装置構成を示した図である。なお、本実施形態の説明においては、最終圧延機2を単に圧延機2と呼ぶ。圧延材5の移送方向において、移送されていく側(巻き取り装置4側)を下流側、その反対側(圧延機2側)を上流側と呼ぶ。
圧延機2は、一対のワークロール6,6を有すると共に、このワークロール6,6をバックアップする一対のバックアップロール7,7を供えている。ワークロール6,6の回転軸には、その回転数を計測し圧延材5の移送速度である板速度を測定する出側板速度検出器8が設けられている。
圧延機2の出側には、圧延材5の温度である板温度を計測する出側板温度計9が配置されている。この出側板温度計9は、圧延材5からの熱放射量を基に板温度を計測する放射温度計である。出側板温度計9の下流側には、γ線厚み計からなる出側板厚計10が設置されている。
出側板厚計10の下流側には、冷却手段3が備えられている。この冷却手段3は、複数の冷却バンク11を圧延材5の上下(表裏)面に備え、この冷却バンク11が圧延材移送方向に複数個(1〜N)連なるように配置される構成となっている。
冷却バンク11には、圧延材5に向けて冷却水(冷却材)を吹き付けて圧延材5の温度を下げる複数の冷却ノズル(図示せず)が備えられ、各冷却ノズルには冷却材の流量をオン・オフ制御可能なバルブ(図示せず)が設けられている。このバルブを開状態にすると冷却材が冷却ノズルから噴出するため、開状態のバルブ数(開バルブ本数)を変更することで、冷却ノズルから圧延材5に吹き付けられる冷却材の全量が変わり、板温度の温度降下量が可変する。
冷却手段3の最下流側の冷却バンク11[N]の下流側であって、巻き取り装置4の直前には、放射温度計からなる温度計が設置されており、冷却バンク11[N]を通過した圧延材5の板温度を計測するようになっている。以降、この温度計を巻き取り温度計12と呼ぶ。なお、冷却手段3の先端からN個目にある「第N番目の冷却バンク」を冷却バンク11[N]と表記する。
本実施形態の場合、冷却手段3の中途部(図1で、冷却バンク11[N−4]と冷却バンク11[N−3]との間)には、冷却途中の圧延材5の板温度を測る中間温度計20が設けられている。中間温度計20や前述の出側板温度計9、出側板速度検出器8は、放射温度計で構成されるとよい。
巻き取り装置4の回転軸には、軸の回転速度を計測する巻き取り速度検出器13が設置されている。
前述した出側板温度計9や出側板速度検出器8や出側板厚計10の計測データ、すなわち圧延機出側の板温度、板速度、板厚の各実績値は、冷却手段3を制御する制御部14に入力される。この制御部14には、巻き取り温度計12や巻き取り速度検出器13からの実績値も入力される。
制御部14は、後述する圧延材5の冷却制御方法に基づいて、巻き取り温度計12での板温度を目標温度に近づけるべく、各冷却バンク11における開バルブ本数の適切値を算出するバルブパターン決定部15を有している。
さらに、制御部14は、中間温度計20での実績値を基に、予め設定され且つ一定値を有する冷却速度を満たしつつ圧延材5の巻き取り温度が目標値に一致又は近づくように、中間温度計20より下流側に位置する冷却バンク11[N−3]〜[N]の開バルブ本数を変更するバルブ修正部16を備えている。
制御部14で算出された開バルブ本数の値は、バルブ開閉信号出力部17に送られる。バルブ開閉信号出力部17は、開バルブ本数の値に応じ各冷却バンク11のバルブの開閉を行い、冷却手段3全体の冷却状態を変更する。
本実施例の場合、制御部14はプロセスコンピュータで構成されており、バルブ開閉信号出力部17は、シーケンサやPLCなどで構成される。
[開バルブ本数の決定方法]
バルブパターン決定部15で実行される圧延材5の冷却制御方法の実施形態について、図2〜図4に基づいて説明する。
まず、圧延機2で圧延される圧延材5を一定長あるいは一定時間ごとにサンプリングを行い、仮想的に長さ5m程度のサンプル片(コイル片)を設定する。このコイル片にそれぞれに対して、以下の4つ工程を施すことにより、当該コイル片に対する冷却制御を行うようにする。
図2に示す如く、冷却制御の工程は、
(i) 圧延機2出側における実績板温度、実績板厚、実績板速度を入力する工程(データ入力工程、S21)
(ii) 各冷却バンク11を水冷状態とするか空冷状態とするかを決定する(冷却方式決定工程,S22)
(iii) 水冷状態の冷却バンク11において、与えられた冷却速度(一定値)を満たすように入側板温度から出側板温度を算出した上で、この出側板温度を実現可能とする開バルブ本数を算出する工程(開バルブ本数決定工程,S23)
(iii) 算出された開バルブ本数を水冷バンクに適用して圧延材5の板温度を制御する工程(制御工程,S24)
の4つを備えており、S21〜S24を順次行うことにより、必要とされる圧延材5の冷却制御(温度制御)を行う。
次に、S22〜S24の各工程の詳細を説明する。
図3には、冷却方式決定工程S22の詳細が示されている。まず、冷却手段3の冷却バンク11[1]〜[N−1]を空冷バンク、冷却バンク11[N]を水冷バンクとする(S31)。
次に、入力された圧延機2出側での実績板温度T0と、式(1),式(2)に示す空冷状態での伝熱の式とを用いて、圧延機2出側〜冷却手段3入口ならびに冷却バンク11[1]〜[N−1]での冷却状況を予測すると共に、冷却バンク11[N]の入側板温度T1を予測する(S32)。
Figure 2007283346
詳しくは、式(1)に、圧延機2出側から冷却バンク11[1]までのコイル片の通過時間Δt,空気(冷却材)の温度Tx,空気の熱伝達率α,圧延材5の温度T(=To)等を代入することで、温度降下量dTを求め、この温度降下量dTと圧延機2出側での実績板温度T0とから、冷却バンク11[1]の入側板温度を算出する。
同様に、冷却バンク11[1]〜[N−1]は、開バルブ本数が0本であって空冷状態なので、式(1)に、空気の温度Tx,空気の熱伝達率α等を適用することで、各冷却バンク11[1]〜[N−1]における板温度の降下量dTを求める。空冷状態の冷却バンク11の個数はn=N−1である。したがって、式(2)を用いることで、冷却バンク11[N−1]の出側板温度T1、すなわち水冷バンクである冷却バンク11[N]の入側板温度Tinを求める。
次に、求められた冷却バンク11[N]の入側板温度Tinと、式(3)に示すような冷却速度を一定とした場合の温度降下式から、水冷バンクである冷却バンク11[N]の出側板温度Toutを予測する(S33)。
Figure 2007283346
さらに、冷却バンク11[N]は、冷却手段3の最終冷却バンク11であるため、このバンクを通過した圧延材5は空冷状況下で下流側に移送され、巻き取り装置4に巻き取られる。そこで、巻き取り温度計12での計測される巻き取り板温度を予測するために、式(1)に、冷却バンク11[N]の出側板温度Tout,冷却バンク11[N]から巻き取り装置4までの通過時間Δt、空気(冷却材)の温度Txや熱伝達率αを入力し、温度降下量dTを求める。
出側板温度Toutから求まった温度降下量dTを引くことで、巻き取り板温度を算出する。(S34)
その後、巻き取り板温度が目標値に等しいかどうかを判定し、もし、等しければ、全冷却バンク11に占める空冷バンクと水冷バンクとの割合が適切であることがわかり、冷却バンク11[N]の入側板温度をTin、出側板温度をToutに決定する。(S35,S36)
もし、上記判定の結果、巻き取り板温度と目標値とに差異が生じている場合は、1つ上流側の空冷バンクを水冷状態とし(冷却バンク11[1]〜[N−2]を空冷、冷却バンク11[N−1]〜[N]を水冷とし)、再度S42ステップに戻り計算を行う。(S37)
図4に示す如く、水冷状態とされた冷却バンク11での開バルブ本数(開状態にあるバルブの本数)は、以下の手順で決定する。
まず、各水冷状態の冷却バンク11において、入側板温度Tinを出側板温度Toutにするための、熱伝達率αの具体的な値を、空冷の伝熱計算に用いた式(1)を使用して算出する。ただし、式(1)で熱伝達率αを算出する際には、dTは「入側板温度Tinー出側板温度Tout」、冷却材の温度Txは冷却水の温度とする。圧延材5の温度Tは入側板温度Tinとする。(S41)
水冷バンクにおける熱伝達率αと冷却バンク11の開バルブ本数Bとは、冷却手段3の構成や冷却材スプレーの配置状態などにより所定の関係(例えば、B=f(α))となっていることが、現場の実績として明らかになっている。ゆえに、この関係と水冷状態での式(1)とから熱伝達率αを実現する開バルブ本数Bを容易に求めることができ、この開バルブ本数Bをバルブ開閉信号出力部17に送り、冷却手段3のバルブを制御するようにする。(S42)
このようにして求められた開バルブ本数Bを用いて、再度熱伝達率αを求め、この熱伝達率αを用いて、当該冷却バンク11の出側板温度Toutを再び求めるようにする。求められた出側板温度Toutは、1つ下流側に位置する冷却バンク11の入側板温度Tinとして採用するようにする。(S43)
[中間温度計を用いた開バルブ本数修正の方法]
以上述べたバルブパターン決定方法を用いて算出された結果を、冷却手段3に適用し、圧延材5の圧延を行った場合、様々な要因により巻き取り温度の実績値が目標値からズレることがある。
本発明は、かかるズレを補償する制御機能を備えたバルブ修正部16を有している。このバルブ修正部16は、前述した如くプロセスコンピュータ内にプログラムという形で実現されてもよく、PIコントローラやPIDコントローラで構成されていてもよい。
バルブ修正部16では、図5,図7,図8に示すような制御を行っている。このときのバルブ本数は、図6のようになっているとする。なお、図7,図8とも、横軸は、コイル片がどの位置にあるかを示したもので、コイル片に関する圧延終了後の経過時間を示すものと考えることができる。縦軸はコイル片の板温度である。
まず、中間温度計20で板温度の実績値が計測され、その結果がバルブ修正部16に入力される(S51)。
バルブ修正部16では、入力された実績値と、中間温度計20が配備された位置での板温度の目標値との差を求め、かかる差の絶対値をX(温度偏差)として算出する(S52)。
その一方で、中間温度計20での実績値と式(1)等とから巻き取り装置4までの各冷却バンク11出側の予測温度を求め、注水終了点での板温度の予測値を知るようにする(S53)。この計算において、板厚、各冷却バンク11の通過時間、熱伝達率の値などは、圧延機2出側における実績値や設定値を使用する。求めた温度降下曲線は図7,図8の2点鎖線のようになる。
次に、バルブパターン決定部15により予め求められた圧延材5の温度降下曲線を基に、注水終了点での板温度の目標温度を求める。この温度降下曲線は、図7,図8において実線で示されるものであって、前述したステップS21〜S23の工程を経て算出される。
以上求まった予測温度と目標温度との差の絶対値をYとする(S54)。
その後、各冷却バンク11での影響係数F(開バルブ本数1本あたりの温度降下量)を計算する(S55)。具体的には、中間温度計20より下流側における冷却バンク11に着目し、冷却バンク11[N−3]で開バルブ本数を1本増減させた場合における巻き取り温度の温度変動を、式(1)などを用いて算出して、その値を冷却バンク11[N−3]における影響係数F(N−3)とする。
例えば、あるコイル片に関し、冷却バンク11[N−3]での開バルブ本数が3本であり、当該コイル片の巻取り温度の予測値が600℃だったとする。そこで、冷却バンク11[N−3]での開バルブ本数を1本増加させ4本とした場合、巻取り温度の予測値が585℃になったとすると、このコイル片に対する冷却バンク11[N−3]の温度変動量、すなわち影響係数F(N−3)は15(℃/本)となる。
冷却バンク11[N−2]〜冷却バンク11[N]に関しても同様な計算を行い、影響係数F(N−2)〜F(N)を求める。
その後、X、Y、影響係数Fを用いて、中間温度計20より下流側に位置する冷却バンク11の修正開バルブ本数を計算し、計算結果に基づいて変更する(S56,S57)。
具体的には、中間温度の実績値が目標値より大きく、開バルブ数を増加させる必要性がある場合は、式(4),式(5)を満たすように、冷却バンク11[N−3]〜冷却バンク11[N]での開バルブ本数M(N−3)〜M(N)を求める。
Figure 2007283346
式(4)は、注水終了点での予測値と目標値との差(Y)から温度偏差(X)を引いた値(YーX)を、冷却バンク11[N−3]〜[N−1]の開バルブ本数を変更することで無くしてしまうことを意味する。差(YーX)が無くなるように冷却バンク11[N−3]〜[N−1]の開バルブ本数を修正することで、2点鎖線のような温度降下をする予定だった圧延材5が、一点鎖線のような温度降下を辿るようになる。1点鎖線の温度降下曲線は、実線で示される当初予定した温度降下曲線とその傾きが略同様であるため、冷却速度を当初の設定値(一定値)に略一致させつつ冷却を行うことができるものとなる。
式(5)は、中間温度計20での実績値と目標値との差Xを、注水終了点以降に位置する冷却バンク11[N]の開バルブ本数を変更し無くすことを意味する。これにより、圧延材5の巻き取り温度を目標値に一致させ得るようになる。
中間温度の実績値が目標値より小さく、開バルブ数を減少させる必要性がある場合は、式(4),式(6)を満たすように、冷却バンク11[N−3]〜冷却バンク11[N]での開バルブ本数M(N−3)〜M(N)を求める。
Figure 2007283346
式(4)は、前述同様であって、式(6)は、中間温度計20での実績値と目標値との差Xを、中間温度計20〜注水終了点間に存在する冷却バンク11[Nー3]〜[N−1]の開バルブ本数を変更し無くすようにすることを意味する。これにより、圧延材5の巻き取り温度を目標値に一致させ得るようになる。なお、冷却バンク11[N]の開バルブ本数はもともと0本であって、開バルブ本数を減少させる状況下にあるため、冷却バンク11[N]の開バルブ本数を変更することは考えられず、式(4),式(6)には、M(N)は変数として入っていない。
各冷却バンク11で、どれくらい開バルブ本数を増加又は減少させるかは、使用者が適宜選択可能であって、例えば、開バルブ本数を増加させる場合は、開バルブ本数が最も少ない冷却バンク11から増やし、開バルブ本数を減少させる場合は、開バルブ本数が最も多い冷却バンク11から減らして、各冷却バンク11の開バルブ本数が略同数となるようにすることは、非常に好ましい。
図9には、本発明にかかる圧延材5の冷却制御方法を適用した実施例が示されている。図の横軸は、コイル片がどの位置にあるかを示したもので、コイル片に関する圧延終了後の経過時間を示すものと考えることができる。縦軸はコイル片の板温度である。
圧延材5の移送速度が目標値より速かったり、冷却水の量が少なかったりするなどの何らかの原因により、中間温度計20での実績値が目標値より高い値を示す場合がある。その場合、本発明にかかる圧延材5の冷却制御方法を適用しなければ、コイル片は、2点鎖線に示されているような温度推移を示し、冷却速度及び巻き取り温度が予め設定したものとは大きく異なるようになる。
しかしながら、本発明にかかる圧延材5の冷却制御方法を適用した場合には、1点鎖線に示すように、冷却速度を当初の設定値(所定の値)で且つ略一定とした状況下で圧延材5を冷却することができる。加えて、巻き取り温度を目標値にほぼ一致させることができるものとなっている。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
すなわち、本発明にかかる技術は、薄鋼板等の冷却手段にのみ適用されるものではなく、例えば、厚鋼板を冷却する冷却手段にも適用することが可能である。
また、本発明にかかる圧延材の冷却制御方法は、制御部においてリアルタイムで実施してもよく、予めオフラインで各種条件を基に計算を行った上でデータベース化し、このデータベースに基づいて、冷却手段を制御するようにしてもよい。
装置構成を示した図である。 冷却方式決定工程のフローチャートである。 開バルブ本数決定工程のフローチャートである。 開バルブ本数の修正手順を示したフローチャートである。 本発明にかかる圧延材の冷却制御方法を示したフローチャートである。 開バルブ本数の修正を行う冷却バンクを示した図である。 開バルブ本数の修正の考え方を説明するための図である(中間温度計の実績値が目標値より高い場合)。 開バルブ本数の修正の考え方を説明するための図である(中間温度計の実績値が目標値より低い場合)。 本発明にかかる圧延材の冷却制御方法を行った場合の板温度履歴を示した図である。
符号の説明
1 連続圧延装置
2 圧延機(最終圧延機)
3 冷却手段
4 巻き取り装置
5 圧延材
6 ワークロール
7 バックアップロール
8 出側板速度検出器
9 出側板温度計
10 出側板厚計
11 冷却バンク
12 巻き取り温度計
13 巻き取り速度検出器
14 制御部
15 バルブパターン決定部
16 バルブ修正部
17 バルブ開閉信号出力部
20 中間温度計

Claims (6)

  1. 開バルブ本数を変更可能な冷却バンクが複数備えられ且つ中途部に中間温度計が配備された冷却手段を用いて、仕上圧延後の圧延材を冷却し、該圧延材の巻き取り温度を制御する圧延材の冷却制御方法において、
    前記中間温度計での実績値を基に、予め設定された一定値を有する冷却速度を満たすと共に圧延材の巻き取り温度が目標値に一致又は近づくように、前記中間温度計より下流側に位置する冷却バンクの開バルブ本数を変更することを特徴とする圧延材の冷却制御方法。
  2. 前記中間温度計での実績値と目標値との差を温度偏差(X)として算出し、
    前記中間温度計より下流側で且つ冷却手段内の最下流に位置する水冷状態の冷却バンクの出側を注水終了点とした上で、当該注水終了点での板温度の予測値を前記中間温度計での実績値を基に算出し、
    前記注水終了点での板温度の予測値と目標値との差(Y)から前記温度偏差(X)を引いた値(Y−X)を無くすように、前記中間温度計より下流側に位置する冷却バンクの開バルブ本数を変更することを特徴とする請求項1に記載の圧延材の冷却制御方法。
  3. 前記開バルブ本数を増加させる場合は、
    前記温度偏差(X)と前記注水終了点以降に位置する冷却バンクでの温度降下量との差が最小になるよう、当該冷却バンクでの開バルブ本数を変更することを特徴とする請求項2に記載の圧延材の冷却制御方法。
  4. 前記開バルブ本数を減少させる場合は、
    前記温度偏差(X)と前記中間温度計〜注水終了点間に存在する冷却バンクでの温度降下量との差が最小になるよう、当該冷却バンクでの開バルブ本数を変更することを特徴とする請求項2に記載の圧延材の冷却制御方法。
  5. 前記冷却バンクは、開バルブ本数を1以上とすることで冷却バンクを水冷状態とし、開バルブ本数を0とすることで空冷状態とすることができるものであって、
    前記空冷状態の冷却バンクでは圧延材に対する空冷の伝熱計算を行い、水冷状態の冷却バンクでは予め設定された一定値を有する冷却速度を用いて圧延材に対する水冷の伝熱計算を行って、前記中間温度計における目標値及び巻き取り温度計での目標値及び注水終了点での目標値を算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧延材の冷却制御方法。
  6. 圧延材を圧延する圧延機と、
    前記圧延機の下流側に配備され且つ開バルブ本数を変更可能な冷却バンクが複数備えられた冷却手段と、
    前記冷却手段の中途部に設けられて圧延材の板温度を計測する中間温度計と、
    前記中間温度計での実績値を基に、予め設定された一定値を有する冷却速度を満たすと共に圧延材の巻き取り温度が目標値に一致又は近づくように、前記中間温度計より下流側に位置する冷却バンクの開バルブ本数を変更する制御部と、
    を有することを特徴とする圧延装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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