JP6509634B2 - シートベルト用リトラクタ - Google Patents
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Description
リトラクタは、緊急時にロック機構が作動して、巻取ドラムによるウエビングの引き出しを止め(又は阻止して)、ウエビングを装着した乗員をシートに拘束してその飛び出しを防止する。
このロックの解除は、ロックが掛かったウエビングを一旦緩める(引出方向の力を解除する)ことで、リトラクタのウエビング巻き取り機能によりウエビングの巻き取りを行い、そのウエビングの巻き取り機能を利用して行っている(特許文献1参照)。
従来のリトラクタでは、このようにリトラクタのロック状態からの迅速な復帰が困難であり、そのため、ウエビングの格納時における巻取ドラムの急速な停止によって、クラッチがロッキングギヤと連結するエンドロックが発生した場合のように、ロッキングギヤとクラッチとの連結を解除させるのに必要なウエビングの巻き取りが難しい場合には、ロックの解除が困難であり、また、通常使用時における、車両の加速度や乗員の移動時によって不意にロック機構が作動した場合のロックの解除も、ウエビングの巻取り長さが長いためにその分時間が掛かり、解除操作が煩わしいと感じる場合がある。
また、本発明は、相対向する一対の側壁部を有するハウジングと、前記一対の側壁部間に回動可能に収納され、ウエビングの一端が取り付けられ、巻取付勢部材により回動付勢されて前記ウエビングの巻取方向に回動すると共に、前記ウエビングが引き出されることによって前記ウエビングの引出方向に回動する巻取ドラムと、緊急時の車両の加速度又はウエビングの引き出し加速度に応じて前記巻取ドラムの前記引出方向の回動を阻止するロック機構と、を備え、前記ロック機構は、前記巻取ドラムの一端部に設けられて、前記巻取ドラムと一体に回動するラチェットギヤと、前記一対の側壁部のうちの一方の側壁部に回動可能に支持されて、前記ラチェットギヤの歯に係合する係合方向に回動して前記巻取ドラムの前記引出方向への回動を阻止可能な係合位置と、前記ラチェットギヤとの係合を解除する非係合方向に回動して前記巻取ドラムの引出方向への回動を許容可能な非係合位置との間で変位可能なパウルと、前記ラチェットギヤに、相対回動不能かつ同軸に取り付けられることにより前記巻取ドラムと一体に回動するロッキングギヤと、前記巻取ドラムと同軸でかつ相対回動可能に配置されて、前記引出方向への回動により前記パウルを前記係合位置に変位させるクラッチと、緊急時の車両の加速度又はウエビングの引き出し加速度を検知して、前記クラッチと前記ロッキングギヤとを一体で前記引出方向へ回動可能に連結する連結機構と、を備え、前記クラッチと前記ロッキングギヤとが連結した状態で前記巻取ドラムが前記引出方向へ回動することで、前記クラッチが前記引出方向に回動して前記パウルが前記係合位置に変位して前記巻取ドラムの前記引出方向への回動を阻止し、前記パウルが前記巻取ドラムの前記引出方向への回動を阻止した状態から前記巻取ドラムが前記巻取方向へ回動することにより、前記クラッチが前記巻取方向に回動すると共に前記パウルが非係合位置に復帰するシートベルト用リトラクタにおいて、前記ロック機構は、前記パウルが前記非係合位置にある状態で前記パウルを前記非係合方向へ回動付勢し、前記パウルが前記係合位置にある状態で前記パウルを前記係合方向へ回動付勢するパウル付勢部材をさらに有し、前記クラッチと前記ロッキングギヤとが連結した後に、前記巻取ドラムが前記引出方向へ回動することによって、前記パウル付勢部材による前記パウルの回動付勢方向が前記係合方向へ切り替わり、前記連結機構による前記クラッチと前記ロッキングギヤとの連結は、前記パウル付勢部材が前記パウルを前記係合方向へ回動付勢している状態で、前記ロッキングギヤが前記クラッチに対して前記巻取方向に相対回動することで解除され、前記クラッチと前記ロッキングギヤとの連結が解除した後に、前記巻取ドラムが前記巻取方向へ回動することによって、前記パウル付勢部材によるパウルの回動付勢方向が前記非係合方向に切り替わることを特徴とするシートベルト用リトラクタである。
本実施形態のリトラクタ100は、シートベルトのウエビング2を巻き取るウエビング巻取装置であり、車両用のシートベルト装置に設けられる。リトラクタ100を備えたシートベルト装置は、車両に搭載され、シートに座った乗員をウエビング2(シートベルト)により拘束する。
図1A、1Bは、第1の実施形態のリトラクタ100全体をそれぞれ異なる方向から見た斜視図である。また、図2、図3は、複数のユニットに分解されたリトラクタ100を互いに異なる方向からみた斜視図である。
リトラクタ100は、図1に示すように、ハウジングユニット3と、巻取ドラムユニット4と、巻取バネユニット5と、ロックユニット6を備えている。
ハウジングユニット3は、図2、3に示すように、ハウジング3Aと、加速度センサー15と、係合爪9Aを有するパウル9と、リターンプレート18とを有する。ハウジング3Aは、巻取ドラム10を収容すると共に、リトラクタ100を車両に取り付けるための取付部となる。
ラチェットギヤ7は、複数の歯(ラチェット歯)7Aを有し、巻取ドラム10の第1端部11に配置されて、巻取ドラム10とともに回動及び停止する。
巻取バネユニット5とロックユニット6は、ハウジングユニット3の第1側壁部22及び第2側壁部23にそれぞれ固定され、ハウジングユニット3内に収納された巻取ドラムユニット4を、ウエビングの巻取方向Wと引出方向Pに回動可能に支持する。
「ハウジングユニット」
図4は、ハウジングユニット3の分解斜視図である。
ハウジングユニット3は、図4に示すように、巻取ドラム10を収容するハウジング3Aと、ウエビング2のプロテクタ46と、加速度センサー15と、加速度センサー15を覆うセンサーカバー39と、パウル9と、パウルリベット20と、リターンスプリング19と、リターンプレート18とを有する。
ハウジング3Aは、車体に固定される背板部21と、背板部21の両側縁部の側壁部22、23(第1側壁部22、第2側壁部23)と、側壁部22、23間に固定された2つの固定板24を有する。プロテクタ46は、ウエビング2が通過する通過孔46Aを有し、ブラケット47に取り付けられる。
ハウジング3Aは、第1側壁部22に形成された開口(第1開口25)と、第1開口25に繋がるパウル収容部25Aと、第2側壁部23に形成された開口(第2開口26)を有する。ハウジング3Aの第1開口25内には巻取ドラム10の第1端部11に配置されたラチェットギヤ7が、また、第2開口26内には巻取ドラム10の第2端部12が配置され、ハウジング3A内に巻取ドラムユニット4(巻取ドラム10)が収納される。
パウル9は図4にその斜視図を示す。また、図5Aは、パウル9の正面図であり、パウル9は、ラチェットギヤ7のラチェット歯7Aに係合する一対の係合爪9Aと、係合爪9Aに近い一端側に形成された連動ピン9Bと、パウル9の係合爪9Aから離れた他端側に形成された円筒状のボス9Cを有する。
連動ピン9Bは、後述のリターンプレート18の貫通孔18Cに挿入されると共に、後述するクラッチ50の誘導溝56(図9A)に挿入される。また、ボス9Cは、図4に示すように、ハウジング3Aの内側から第1側壁部22の取付孔29に挿入され、パウルリベット20の先端を、ハウジング3Aの第1側壁部22の外側からボス9Cの取付孔に圧入する。これにより、パウル9は第1側壁部22に挿入したボス9Cを中心に回動可能に取り付けられる。
パウル9は、ロック機構8が作動する際に、後述するようにクラッチ50が中心線C1を中心とするウエビング2の引出方向Pへ回動するのに伴い強制誘導されて、その係合爪9Aがラチェット歯7Aに係合しない非係合位置から係合爪9Aがラチェット歯7Aに係合する係合位置まで中心線C2(ボス9C)を中心に回動する。
図4に戻り、リターンスプリング19は、捩じりコイルバネであり、弾性連結部19Cの両側にある第1腕部19Aと第2腕部19Bとが正面視略V字状に形成されている。第1腕部19Aは、後述するようにクラッチ50の外側に立設した取付ピン59(図9B)に取り付けられ、第2腕部19Bは、リターンプレート18の取付ピン18Eに取り付けられる。
リターンスプリング19は、第1腕部19Aと第2腕部19Bとの弾性連結部19Cの周方向における相対的な角度変化に伴って、弾性連結部19Cが巻取方向に弾性的に捩れ変形する。
リターンプレート18は、図5Bに示すように、円板18Aと、円板18Aから延設された略三角形状のアーム部18Bを備え、円板18Aには同芯状の取付孔18Dが、またアーム部18Bの先端部には、パウル9の連動ピン9Bが挿入される貫通孔18Cが設けられている。また円板18Aの円周部には、リターンスプリング19の第2腕部19Bを取り付ける取付ピン18Eが立設されている。
リターンプレート18は、その貫通孔18Cにパウル9の連動ピン9Bを挿入するとともに、その取付孔18Dにパウルリベット20の頭部20Aを嵌入することで、パウル9と共に回動可能に組み付けられる。
加速度センサー15は、車両の緊急時に、車両の加速度を検知してロック機構8を作動させる緊急ロック作動装置であり、図4に示すように、センサーホルダー15Aと、慣性質量体15Bと、センサーレバー15Cを有する。慣性質量体15Bは金属製の球体であって、センサーホルダー15Aの凹部に配置され、センサーホルダー15Aとセンサーレバー15Cの間に移動可能に保持される。センサーレバー15Cは、慣性質量体15Bを上方から覆い、センサーホルダー15Aに上下方向に移動可能に取り付けられる。
車両の緊急事態(例えば、衝突、急ブレーキ)により、車両の加速度が所定の値を超えたときに、慣性質量体15Bは、慣性力によりセンサーホルダー15A上で移動して、センサーレバー15Cを図中上方へ押す(図30参照)。つまり、加速度センサー15は、慣性質量体15Bの移動により車両の加速度を検知して、センサーレバー15Cのロック爪15Dを上方に移動させ、クラッチ50に回動可能に取り付けられた後述する噛合パウル60(図30)を上方に押して、噛合パウル60をラチェットホイール35の歯34に噛み合わせる。
なお、噛合パウル60をラチェットホイール35の歯34に噛み合わせることで、ロッキングギヤ30とクラッチ50が連結される。
図2、図8Aに示すように、ラチェットギヤ7は、ラチェット歯7Aと、ラチェットベース7Bと、ラチェットベース7Bの中央に形成された軸部(ラチェット軸部)7Cとを有する。複数のラチェット歯7Aは、ラチェットギヤ7の外周全体に形成されている。
車両の緊急時には、車両の加速度又はウエビング2の引き出しの加速度に対応して後述するように、ウエビング2の引き出しに伴ってクラッチ50が引出方向Pに回動する。クラッチ50の引出方向Pへの回動により、パウル9が係合位置に移動(回動)して、パウル9の係合爪9Aがラチェットギヤ7のラチェット歯7Aに係合する。これによりラチェットギヤ7がロックされ、ラチェットギヤ7(巻取ドラムユニット4)の引出方向Pの回動が阻止される。
図7A、7Bは、巻取バネユニット5をそれぞれ異なる方向からみた分解斜視図である。
巻取バネユニット5は、渦巻バネ70と、バネケース71と、バネシート72と、円筒状のバネシャフト73を有する。渦巻バネ70の外端K1は、バネケース71の固定部74に固定され、渦巻バネ70の内端K2は、バネシャフト73に固定される。バネケース71は、渦巻バネ70とバネシャフト73を収容する。
バネシャフト73には、支持孔76に挿入された巻取ドラム10のシャフト17が固定され、バネシート72は、シャフト17を回動可能に支持する。
バネシャフト73は、巻取ドラム10と一体に回動し、かつ、渦巻バネ70の巻取方向Wへの付勢力を巻取ドラム10に伝達する。
なお、巻取バネユニット5の渦巻バネ70は、本発明の巻取付勢部材に対応する。
図8A、図9Aは、ロック機構8を構成するロックユニット6とラチェットギヤ7の分解斜視図であり、互いに異なる方向からみた図である。図9Bはクラッチ50を示す斜視図である。
ロックユニット6は、メカニズムカバー48と、ロッキングギヤ30と、ロッキングアーム40と、センサースプリング45と、クラッチ50と、噛合パウル60を有し、ハウジング3Aの第1側壁部22に設けられる。
メカニズムカバー48は、図9Aに示すように、ロッキングギヤ30、ロッキングアーム40、及びクラッチ50等を収容する第1収容部48Aと、加速度センサー15を収容する第2収容部48Bと、円筒状の支持ボス48Cを有する。
加速度センサー15のセンサーレバー15Cのロック爪15Dは、第2収容部48Bの貫通口48Dに配置され、貫通口48Dを通って第1収容部48A内に突出する。
図8Bは、ロッキングギヤ30を示す斜視図である。
ロッキングギヤ30は、中央に形成された軸孔31(図9A)と、ラチェットギヤ7の複数の凹部7F(図8A)に嵌合する複数の突起32(図9A)と、中央から突出する軸部(ギヤ軸部)33と、ロッキングギヤ30の外周に形成された環状部材であり、外周全体に複数の歯34を備えたラチェットホイール35を有する。
ロッキングギヤ30は、円柱状のアーム(ロッキングアーム40)支持部36(図8A)と、センサースプリング45を支持する支持ピン37と、後述するロッキングアーム40の回動を規制するストッパー38を有する。
一方、ロッキングギヤ30のギヤ軸部33は、メカニズムカバー48の支持ボス48C内に挿入されて、支持ボス48Cにより回動可能に支持される。
ロッキングアーム40は、図8A、図9Aに示すように、湾曲形状に形成された長手方向の一端部41と他端部42の間に設けられた挿入孔43と、センサースプリング45を支持する支持ピン44とを有している。ロッキングアーム40は、挿入孔43にロッキングギヤ30のアーム支持部36を挿入することで、ラチェットホイール35の内側でロッキングギヤ30に、アーム支持部36を中心として回動可能に連結される。
センサースプリング45は、ロッキングアーム40の支持ピン44とロッキングギヤ30の支持ピン37の間に配置されて、ロッキングアーム40の他端部42を後述するロック作動方向(図11、矢印Lの方向)とは反対方向に付勢する。ロッキングアーム40の他端部42は、センサースプリング45の付勢により回動し、ロッキングギヤ30のストッパー38(図11)に当接して停止する。
クラッチ50は、図8A、図9Aに示すように、ロッキングギヤ30とメカニズムカバー48とに挟まれた状態で、第1収容部48Aに一定の回動範囲内で回動可能に収容される。
クラッチ50は、図9Aに示すように、環状の内壁51と、内壁51の内周に形成されたクラッチギヤ52と、内壁51を囲む環状の外壁53と、内壁51の中心に位置する中心孔54を有する。中心孔54にはロッキングギヤ30のギヤ軸部33(図8A)が挿入され、ロッキングギヤ30及び巻取ドラムユニット4がクラッチ50に対して相対的に回動可能に配置される。クラッチギヤ52の係合歯には、ロック作動時においてロッキングアーム40の一端部41が係合する。
クラッチ50は、ロッキングアーム40の一端部41がクラッチギヤ52の係合歯に係合することで、ウエビングの引出方向Pに回動するロッキングギヤ30と一体になって引出方向Pに回動する。
誘導溝56にはパウル9の連動ピン9Bが挿入され、後述するように、クラッチ50の回動により連動ピン9Bを誘導溝56により誘導(強制移動)する。
これにより、クラッチ50とパウル9とは相互に連動して回動し、クラッチ50が引出方向Pに回動するとパウル9はラチェットギヤ7に係合する方向(係合方向)に回動し、クラッチ50が巻取方向Wに回動するとパウル9はラチェットギヤ7とは係合しない方向(非係合方向)に回動する。つまり、クラッチ50は、パウル9が係合位置にある引出方向位置と、パウル9が非係合位置にあるウエビングの巻取方向位置の範囲で、パウル9と相互に連動して回動する。
噛合パウル60は、図8A、図9Aに示すように、クラッチ50のパウル支持部57で回転可能に支持される円筒状の取付部61と、ラチェットホイール35の歯34に噛み合う噛合爪62を有する。
噛合パウル60が自重により回転するときには、噛合パウル60がクラッチ50のストッパー58に当接して停止する。
噛合パウル60は、加速度センサー15の説明において既に述べたように、車両の加速度が所定の加速度を超えたときに、慣性質量体15Bに押されて上方へ移動するロック爪15Dにより、上方に押され取付部61を中心に回動する。この回動により、噛合パウル60の噛合爪62がラチェットホイール35の歯34に噛み合い、クラッチ50とロッキングギヤ30が連結される。
図10は、巻取ドラムユニット4の断面図である。
巻取ドラムユニット4は、図示のように、ラチェットギヤ7と、巻取ドラム10と、円柱状のトーションバー14とを有する。ラチェットギヤ7は、ラチェットギヤ7の外周全体に形成されている複数のラチェット歯7Aと、中央から巻取ドラム10側に突出した凸部7Dと、凸部7Dに形成され、トーションバー14が挿入される取付孔部7Eと、中央に形成された軸部(ラチェット軸部)7Cとを有する。
トーションバー14は、巻取ドラム10とラチェットギヤ7とのそれぞれに相対回動不能に取り付けられて、巻取ドラム10とラチェットギヤ7とを連結する。
トーションバー14は、例えば鋼製であり、巻取ドラム10の軸孔部16に挿入される。トーションバー14の一端部は、軸孔部16内で巻取ドラム10の第2端部12に相対回動不能に固定され、トーションバー14の他端部は、ラチェットギヤ7の取付孔部7E内に挿入され、凸部7Dに相対回動不能に固定される。ラチェットギヤ7は、トーションバー14に固定されて巻取ドラム10の第1端部11に装着される。トーションバー14の両端部は、それぞれカシメ等により巻取ドラム10及びラチェットギヤ7から脱落不能に取り付けられる。通常時に、トーションバー14は、ラチェットギヤ7を巻取ドラム10とともに回動及び停止させ、ラチェットギヤ7の回動停止により巻取ドラム10の回動を停止させる。
ここでは、ウエビング2の急激な引き出しによるウエビングの引出停止及びその解除について説明する。
説明に先立ち、まず、リトラクタ100のロック機構の配置を説明する。
図11は、リトラクタ100の非ロック状態(通常時)にあるときのロック機構を示す断面図である。
図11において、ロッキングアーム40は、ロッキングギヤ30のアーム支持部36に回動可能に連結されている。ロッキングアーム40にはセンサースプリング45の付勢力が、アーム支持部36の回りでロック作動方向(矢印Lの方向)とは反対方向(図中反時計方向)に作用している。
なお、図11の非ロック状態では、クラッチ50は、リターンスプリング19により巻取方向Wに付勢されており、一方、パウル9(図6)の連動ピン9Bは、リターンスプリング19によりラチェットギヤ7(図6)から離れる方向(非係合方向)に付勢されている。そのため、連動ピン9Bはクラッチ50の誘導溝56の図示下端部に当接しており、パウル9は非係合位置に回動し、クラッチ50は巻取方向位置に保持されている。
これに対し、ウエビング2を所定加速度を超えて急激に引き出して、巻取ドラム10の引出方向Pへの回動の加速度が所定の値を超えると、ロッキングアーム40が慣性力で巻取ドラム10(したがって、ロッキングギヤ30)の回動に追従しきれなくなる。つまり、ロッキングアーム40の一端部41が、センサースプリング45の付勢力に抗してロック作動方向(矢印Lの方向)に変位してクラッチギヤ52に係合する。これによりクラッチ50と、引出方向Pに回動するロッキングギヤ30(巻取ドラム10、及びラチェットギヤ7)が連結され、クラッチ50がリターンスプリング19の非ロック状態における巻取方向Wの付勢力に抗して、引出方向Pに回動する。
即ち、図12は、巻取ドラムの通常時、つまり非ロック状態におけるロック機構8を含む断面図である。
既に述べたように、リターンスプリング19の第1腕部19Aはクラッチ50(取付ピン59)に、第2腕部19Bは、リターンプレート18の取付ピン18E(図4)を介してパウル9に連結されている。リターンスプリング19は、第1腕部19Aにより、クラッチ50の取付ピン59にバネ力F1を作用させ、第2腕部19Bにより、リターンプレート18の取付ピン18Eにバネ力F2を作用させている。
また、ロッキングアーム40の他端部42は、センサースプリング45の付勢によりストッパー38に当接する状態に維持されている(図11参照)。
クラッチ50が回動すると、図14に示すように、パウル9の連動ピン9Bは、クラッチ50の誘導溝56によりリターンスプリング19の付勢力に抗して強制的に誘導されて、パウル9の係合爪9Aをラチェットギヤ7のラチェット歯7Aに係合する係合方向に回動させる(矢印X)。つまり、回動するクラッチ50により、パウル9が、非係合位置から係合位置に向かって回動する。
その結果、リターンスプリング19のバネ力F1の方向、即ち、クラッチ50の取付ピン59とリターンプレート18の取付ピン18Eを結ぶ線の方向が変化していく。つまり、リターンスプリング19のバネ力F1によりクラッチ50に作用される中心線C1の回りの回転モーメントM1は、非ロック状態では巻取方向Wに作用しているが、ウエビング2の引き出しが続くに従い巻取方向Wへ作用する値が小さくなっていき、図14の状態では、回転モーメントM1がゼロとなる。
図14の状態を境に、以後は、リターンスプリング19によりクラッチ50に作用する、中心線C1の回りの回転モーメントM1の方向は、ウエビング2の巻取方向Wから引出方向Pに変化する。
ロック状態においては、図16に示すように、リターンスプリング19により、クラッチ50に作用する回転モーメントM1の方向は、引出方向Pである。
他方、リターンスプリング19の第2腕部19B(図11)により、リターンプレート18の取付ピン18Eにはバネ力F2が作用しており、その貫通孔18Cに挿入されたパウル9の連動ピン9Bを介して、パウル9にはバネ力F2により中心線C2回りの回転モーメントM2が作用している。この回転モーメントM2がパウル9に作用する方向は、図12〜図16に示すように、常にパウル9を中心線C2回りに非係合方向に回動する方向である。即ち、クラッチ50の誘導溝56には、回転モーメントM2によって常にクラッチ50を巻取方向Wに回動させる付勢力が作用している。
つまり、図14の回転モーメントM1がゼロの状態から、図16のロック状態に変化する過程で、回転モーメントM1が引出方向Pへ徐々に大きくなることで、回転モーメントM1による引出方向Pへの付勢力が回転モーメントM2による巻取方向Wへの付勢力よりも大きくなり、リターンスプリング19からクラッチ50に作用する付勢力の方向が、巻取方向Wから、引出方向Pに変化するようにされている。これにより、ロック状態において、クラッチ50はリターンスプリング19により引出方向Pに付勢されており、この付勢力により、クラッチ50はパウル9を係合位置に誘導する引出方向位置に保持される。
図17は、ロック解除のために、巻取バネユニット5の渦巻バネ70の付勢力によって、巻取ドラムユニット4がわずかに巻取方向Wに回転し、ウエビング2が巻き取られたときの状態を示す。
この巻取方向Wに回動するロッキングギヤ30と、静止したクラッチ50との間で生じるこの相対回動量が、ロッキングアーム40の一端部41がクラッチギヤ52から外れるのに必要な相対回動量に達していると、ロッキングアーム40の一端部41は、センサースプリング45の付勢力により回動してクラッチギヤ52から離れ、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結が解除される。
その後、図18に示すように、巻取ドラムユニット4がさらに巻取方向Wに回転することで、パウル9の係合爪9Aは、ラチェット歯7Aの巻取方向W側の斜面に当接しつつ誘導されて非係合方向に強制回動(矢印Y)される。このパウル9の非係合方向の回動に連動して、クラッチ50はリターンスプリング19による引出方向Pの付勢力に抗してウエビング2の巻取方向Wに回動し始める。
この後さらに、図20に示すように巻取ドラムユニット4が巻取方向Wに回転し続けると、回転モーメントM1の方向は、引出方向Pから巻取方向Wに切り替わり、巻取ドラムユニット4(クラッチ50)の巻取方向Wへの回転に従って、回転モーメントM1は大きくなっていく。
また、図20の状態では、パウル9の係合爪9Aの先端は、ラチェット歯7Aの歯先の径の位置に位置しており、この状態に至るまでは、パウル9の係合爪9Aが巻取方向Wに回動するラチェットギヤ7のラチェット歯7Aに誘導されて、非係合方向に強制回動可能とされている。即ち、図20の状態では、クラッチ50は、既に回転モーメントM1が巻取方向Wに作用する位置まで回動しているので、ロック解除の際に確実に回転モーメントM1を巻取方向Wに切り替え、ロックを解除することができる。
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係るリトラクタ200のリターンスプリング19の第1腕部19Aは、第1の実施形態と同様にクラッチ50(取付ピン59)に取り付けられるが、第2腕部19Bは、ハウジング3Aの第1側壁部22に設けた取付ピン22Aに取り付けられている。
第1のリトラクタ100と第2のリトラクタ200は、この点で相違している。したがって、ここでは、第1の実施形態で使用したリターンプレート18は使用していない。その他の点では、パウル9をハウジング3Aの第1側壁部22の取付孔29に挿入し、パウルリベット20により第1側壁部22に回動可能に取り付ける点も含め同じである。
即ち、図22は、巻取ドラムの通常時、つまり非ロック状態を示す。
リターンスプリング19の第1腕部19Aはクラッチ50の取付ピン59に、第2腕部19Bはハウジング3Aの第1側壁部22の取付ピン22Aに連結されており、非ロック状態において、クラッチ50は第1腕部19Aを介して巻取方向W(図中、時計方向)に回動付勢されている。これにより、パウル9には、クラッチ50の誘導溝56を介してラチェットギヤ7から離れる方向(非係合方向)の付勢力が作用される。
また、ロッキングアーム40の他端部42は、センサースプリング45の付勢によりストッパー38に接触する状態(図11参照)に維持されている。
クラッチ50が引出方向Pに回動すると、パウル9が係合方向に回動される。つまり、引出方向Pに回動するクラッチ50により、パウル9が、非係合位置から係合位置に向かって回動する。
したがって、ロック状態においては、図24に示すように、クラッチ50に作用するリターンスプリング19による付勢力の作用方向は、ウエビングの引出方向Pであり、ロック状態において、クラッチ50はリターンスプリング19により引出方向Pに付勢されることで、引出方向位置に保持される。
そして、第1の実施形態と同様に、クラッチ50は、リターンスプリング19により引出方向Pに付勢されて、パウル9を係合位置に誘導した状態で引出方向位置に保持されているので巻取方向Wには回動せず、ロッキングギヤ30がクラッチ50に対して巻取方向Wに相対回動する。この相対回動量が、ロッキングアーム40の一端部41がクラッチギヤ52から外れるのに必要な相対回動量に達していると、ロッキングアーム40の一端部41は、センサースプリング45の付勢力により回動してクラッチギヤ52から離れ、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結が解除される。
そして、巻取方向Wへの付勢力がある程度まで大きくなると、以後は、クラッチ50は巻取方向Wへの付勢力により迅速に巻取方向Wに回動し、パウル9は連動ピン9Bが誘導溝56に誘導されることで、急速に非係合位置に復帰し、クラッチ50は巻取方向位置に復帰するとともに保持され、図22に示す巻取ドラムの通常時、つまり非ロック状態に戻る。以後、ウエビング2の引き出しと巻き取りが可能になる。
次に本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態のリトラクタ300では、そのリターンスプリング19の第1腕部19Aは、ハウジング3Aの第1側壁部22に設けた取付ピン22Bに取り付けられ、第2腕部19Bは、パウル9の連動ピン9Bに取り付けられている。
即ち、第3の実施形態のリトラクタ300は、第2の実施形態のリトラクタ200では、リターンスプリング19の一端部が、クラッチ50の取付ピン59に取り付けられているのに対して、ハウジング3Aの第1側壁部22に設けた取付ピン22Bに取り付けられている。また、リターンスプリング19は、第2の実施形態のリトラクタ200では、捩じりコイルバネであったが、第3の実施形態のリトラクタ300では、略V字型の線バネである。両者はそれらの点で相違し、その他の点では両者同じである。
即ち、図26は、巻取ドラムの通常時、つまり非ロック状態を示す断面図である。
リターンスプリング19は、その第1腕部19Aがハウジング3Aの第1側壁部22の取付ピン22Bに、第2腕部19Bがパウル9の連動ピン9Bにそれぞれ連結されており、非ロック状態においてパウル9の連動ピン9Bは、第2腕部19Bを介して非係合方向に回動付勢されている。
なお、この場合も、ロッキングアーム40の他端部42は、センサースプリング45の付勢によりストッパー38に接触する状態(図11参照)に維持されている。
クラッチ50が回動すると、リターンスプリング19の巻取方向Wの付勢力に抗してパウル9が係合方向に回動される。つまり、回動するクラッチ50により、パウル9が、非係合位置から係合位置に向かって回動する。
図27の状態を境に、クラッチ50がさらに回動してパウル9が係合位置に向かって移動するに伴い、リターンスプリング19によるパウル9に作用する回転モーメントM2の方向は、非係合方向から、係合方向に変化する。これに伴い、リターンスプリング19から、パウル9の連動ピン9Bを介してクラッチ50の誘導溝56に作用する付勢力の方向もクラッチ50の巻取方向Wから引出方向Pに変わる。
したがって、ロック状態においては、図28に示すように、クラッチ50に作用するリターンスプリング19による付勢力の作用方向は、引出方向Pであり、ロック状態において、クラッチ50はリターンスプリング19により引出方向Pに付勢されることで引出方向位置に保持される。
一方パウル9の係合爪9Aは、第1、第2の実施形態と同様に、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結が解除された後に、巻取方向Wに回動するラチェットギヤ7のラチェット歯7Aに誘導されて、リターンスプリング19による係合方向の付勢力に抗して非係合方向に強制回動される。これに連動して、クラッチ50は巻取方向Wに回動する。
即ち、車両の緊急事態(例えば、衝突、急ブレーキ)において、車両の加速度が所定の加速度を超えたときに、第1の実施形態であれば、図12の非ロック状態から、加速度センサー15の慣性質量体15Bがその慣性力によりセンサーホルダー15Aの上で移動して、センサーレバー15Cを押し上げる。つまり、加速度センサー15は、慣性質量体15Bの移動により、車両の加速度を検知して、センサーレバー15Cのロック爪15Dを上方に移動させる。
続いて、ウエビング2が引き出されると、噛合パウル60が歯34に噛み合った状態で、クラッチ50がリターンスプリング19の巻取方向Wの付勢力に抗して、ロッキングギヤ30及び巻取ドラム10と共に引出方向Pに回動する。
なお、クラッチ50の巻取方向Pへの回動中、噛合パウル60がラチェットホイール35の歯34に噛み合った状態は維持され、また、既に述べたように、リターンスプリング19によりクラッチ50に作用される付勢力の方向は、巻取方向Wから引出方向Pに変化する。即ち、図31のロック状態において、クラッチ50はリターンスプリング19により引出方向Pに付勢されて、引出方向位置に保持されている。
したがって、ここでは、第1の実施形態の変更例についての説明を、第2、第3の実施形態の変更例にも援用する。
また、このパウル9とラチェットギヤ7との係合によるロック状態の解除は、既に、ウエビング2の急激な引き出しによりロック機構8を作動させる場合において、第1〜第3の実施形態についてそれぞれ述べた手順と同様である。
したがって、ここでは第1〜第3の実施形態についての説明を援用する。
Claims (7)
- 相対向する一対の側壁部を有するハウジングと、
前記一対の側壁部間に回動可能に収納され、ウエビングの一端が取り付けられ、巻取付勢部材により回動付勢されて前記ウエビングの巻取方向に回動すると共に、前記ウエビングが引き出されることによって前記ウエビングの引出方向に回動する巻取ドラムと、
緊急時の車両の加速度又はウエビングの引き出し加速度に応じて前記巻取ドラムの前記引出方向の回動を阻止するロック機構と、を備え、
前記ロック機構は、
前記巻取ドラムの一端部に設けられて、前記巻取ドラムと一体に回動するラチェットギヤと、
前記一対の側壁部のうちの一方の側壁部に回動可能に支持されて、前記ラチェットギヤの歯に係合する係合方向に回動して前記巻取ドラムの前記引出方向への回動を阻止可能な係合位置と、前記ラチェットギヤとの係合を解除する非係合方向に回動して前記巻取ドラムの前記引出方向への回動を許容可能な非係合位置との間で変位可能なパウルと、
前記ラチェットギヤに、相対回動不能かつ同軸に取り付けられることにより前記巻取ドラムと一体に回動するロッキングギヤと、
前記巻取ドラムと同軸でかつ相対回動可能に配置されて、前記引出方向への回動により前記パウルを前記係合位置に変位させるクラッチと、
緊急時の車両の加速度又はウエビングの引き出し加速度を検知して、前記クラッチと前記ロッキングギヤとを一体で前記引出方向へ回動可能に連結する連結機構と、
を備え、前記クラッチと前記ロッキングギヤとが連結した状態で前記巻取ドラムが前記引出方向へ回動することで、前記クラッチが前記引出方向に回動して前記パウルが前記係合位置に変位して前記巻取ドラムの前記引出方向への回動を阻止し、
前記パウルが前記巻取ドラムの前記引出方向への回動を阻止した状態から前記巻取ドラムが前記巻取方向へ回動することにより、前記クラッチが前記巻取方向に回動すると共に前記パウルが非係合位置に復帰するシートベルト用リトラクタにおいて、
前記ロック機構は、
前記パウルが前記非係合位置にある状態では前記クラッチを前記巻取方向へ回動付勢し、前記パウルが前記係合位置にある状態では前記クラッチを前記引出方向へ回動付勢するクラッチ付勢部材をさらに有し、
前記クラッチと前記ロッキングギヤとが連結した後に、前記巻取ドラムが前記引出方向へ回動することによって前記クラッチ付勢部材による前記クラッチの回動付勢方向が前記引出方向へ切り替わり、
前記連結機構による前記クラッチと前記ロッキングギヤとの連結は、前記クラッチ付勢部材が前記クラッチを前記引出方向へ回動付勢している状態で、前記ロッキングギヤが前記クラッチに対して前記巻取方向に相対回動することで解除され、
前記クラッチと前記ロッキングギヤとの連結が解除した後に、前記巻取ドラムが前記巻取方向へ回動することによって、前記クラッチ付勢部材による前記クラッチの回動付勢方向が、前記巻取方向に切り替わることを特徴とするシートベルト用リトラクタ。 - 請求項1に記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
前記クラッチは、前記パウルが非係合位置にある時に巻取方向位置にあり、前記パウルが前記係合位置にある時に引出方向位置にあり、
前記クラッチは、前記引出方向位置と前記巻取方向位置の範囲で前記パウルと連動して回動し、
前記クラッチが前記引出方向位置にある状態から、
前記巻取ドラムが前記巻取方向へ回動することにより、前記巻取方向に回動する前記ラチェットギヤが前記パウルを介して前記クラッチを前記巻取方向に回動させることで、前記クラッチ付勢部材による前記クラッチの回動付勢方向が、前記引出方向から前記巻取方向へ切り替えられることを特徴とするシートベルト用リトラクタ。 - 請求項1又は2に記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
前記クラッチ付勢部材は、一端側が前記クラッチに取り付けられると共に、他端側が前記パウルに取り付けられることを特徴とするシートベルト用リトラクタ。 - 請求項3に記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
前記クラッチ付勢部材の一端側による前記クラッチの付勢方向は、前記クラッチの回動により前記巻取方向と前記引出方向に切り替わり、前記クラッチ付勢部材の他端側は、前記非係合位置に向かって前記パウルを常時付勢することで前記クラッチを前記巻取方向に回動付勢し、少なくとも前記パウルが前記係合位置にある状態において、前記クラッチに作用する前記クラッチ付勢部材の一端側により前記クラッチに作用する前記引出方向への回動付勢力は、前記クラッチ付勢部材の他端側により前記クラッチに作用する前記巻取方向への回動付勢力よりも大きいことを特徴とするシートベルト用リトラクタ。 - 請求項1又は2に記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
前記クラッチ付勢部材は、一端側が前記クラッチに取り付けられると共に、他端側が前記ハウジングの一方の側壁部に取り付けられることを特徴とするシートベルト用リトラクタ。 - 請求項1に記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
前記クラッチ付勢部材は、一端側が前記パウルに取り付けられると共に、他端側が前記ハウジングに取り付けられ、前記クラッチ付勢部材は、前記パウルを介して前記クラッチを回動付勢することを特徴とするシートベルト用リトラクタ。 - 相対向する一対の側壁部を有するハウジングと、
前記一対の側壁部間に回動可能に収納され、ウエビングの一端が取り付けられ、巻取付勢部材により回動付勢されて前記ウエビングの巻取方向に回動すると共に、前記ウエビングが引き出されることによって前記ウエビングの引出方向に回動する巻取ドラムと、
緊急時の車両の加速度又はウエビングの引き出し加速度に応じて前記巻取ドラムの前記引出方向の回動を阻止するロック機構と、を備え、
前記ロック機構は、
前記巻取ドラムの一端部に設けられて、前記巻取ドラムと一体に回動するラチェットギヤと、
前記一対の側壁部のうちの一方の側壁部に回動可能に支持されて、前記ラチェットギヤの歯に係合する係合方向に回動して前記巻取ドラムの前記引出方向への回動を阻止可能な係合位置と、前記ラチェットギヤとの係合を解除する非係合方向に回動して前記巻取ドラムの引出方向への回動を許容可能な非係合位置との間で変位可能なパウルと、
前記ラチェットギヤに、相対回動不能かつ同軸に取り付けられることにより前記巻取ドラムと一体に回動するロッキングギヤと、
前記巻取ドラムと同軸でかつ相対回動可能に配置されて、前記引出方向への回動により前記パウルを前記係合位置に変位させるクラッチと、
緊急時の車両の加速度又はウエビングの引き出し加速度を検知して、前記クラッチと前記ロッキングギヤとを一体で前記引出方向へ回動可能に連結する連結機構と、
を備え、前記クラッチと前記ロッキングギヤとが連結した状態で前記巻取ドラムが前記引出方向へ回動することで、前記クラッチが前記引出方向に回動して前記パウルが前記係合位置に変位して前記巻取ドラムの前記引出方向への回動を阻止し、
前記パウルが前記巻取ドラムの前記引出方向への回動を阻止した状態から前記巻取ドラムが前記巻取方向へ回動することにより、前記クラッチが前記巻取方向に回動すると共に前記パウルが非係合位置に復帰するシートベルト用リトラクタにおいて、
前記ロック機構は、
前記パウルが前記非係合位置にある状態で前記パウルを前記非係合方向へ回動付勢し、前記パウルが前記係合位置にある状態で前記パウルを前記係合方向へ回動付勢するパウル付勢部材をさらに有し、
前記クラッチと前記ロッキングギヤとが連結した後に、前記巻取ドラムが前記引出方向へ回動することによって、前記パウル付勢部材による前記パウルの回動付勢方向が前記係合方向へ切り替わり、
前記連結機構による前記クラッチと前記ロッキングギヤとの連結は、前記パウル付勢部材が前記パウルを前記係合方向へ回動付勢している状態で、前記ロッキングギヤが前記クラッチに対して前記巻取方向に相対回動することで解除され、
前記クラッチと前記ロッキングギヤとの連結が解除した後に、前記巻取ドラムが前記巻取方向へ回動することによって、前記パウル付勢部材によるパウルの回動付勢方向が前記非係合方向に切り替わることを特徴とするシートベルト用リトラクタ。
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