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JP6592627B1 - Nafld又はnashの検出又はリスクの予測方法、nafld又はnashを検出するための診断薬キット、対象における肝線維化の進行度の判定方法、及び対象における肝線維化の進行度を判定するための診断薬キット - Google Patents

Nafld又はnashの検出又はリスクの予測方法、nafld又はnashを検出するための診断薬キット、対象における肝線維化の進行度の判定方法、及び対象における肝線維化の進行度を判定するための診断薬キット Download PDF

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JP6592627B1 JP2019044378A JP2019044378A JP6592627B1 JP 6592627 B1 JP6592627 B1 JP 6592627B1 JP 2019044378 A JP2019044378 A JP 2019044378A JP 2019044378 A JP2019044378 A JP 2019044378A JP 6592627 B1 JP6592627 B1 JP 6592627B1
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Abstract

【課題】より簡易的に実施することができ、さらに患者及び医療従事者に負担をかけない新たなNAFLD及びNASH診断法を提供すること、及びNAFLD及びNASHを罹患している可能性のある対象における、患者及び医療従事者に負担をかけない新たな肝線維化の進行度の判定方法を提供することを課題とする。
【解決手段】生体試料中の遊離カルニチン量及びアシルカルニチン総量の合計量であるカルニチン総量を測定し、カルニチン総量から遊離カルニチン量を減算することにより、アシルカルニチン総量を測定する。測定結果と基準値とを比較することにより、NAFLD及びNASHの早期診断及び肝線維化の進行度の判定ができる。
【選択図】なし

Description

本発明はNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法に関する。また、本発明は、NAFLD又はNASHを検出するための診断薬キットに関する。本発明は、対象における肝線維化の進行度の判定方法、及び対象における肝線維化の進行度を判定するための診断薬キットにも関する。
非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease;NAFLD)はアルコールを原因としない脂肪肝の総称である。NAFLDは、肝硬変や肝癌の発症母地にもなる非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis;NASH)と、病態がほとんど進行しない非アルコール性脂肪肝(nonalcoholic fatty liver;NAFL)とに分類される。日本国内においては、約1000万人がNAFLDに、そして約100万〜200万人がNASHに罹患していると推定される。
NASHの確定診断には、肝組織の生検が必須とされている。肝組織の生検により、脂肪量、炎症の程度、及び線維化の進行程度を把握し、NASHを診断することが可能となる。しかしながら、肝組織の生検は、肝臓に針を刺して組織や細胞を一部採取することを含むものであり、患者及び医療従事者に過度の負担を強いるものであると共に、合併症等のリスクを伴うものである。したがって、より簡易的に実施することができ、さらに患者及び医療従事者に負担をかけない新たなNASH診断法の開発が望まれている。
アシルカルニチンは、生体内において脂肪酸がミトコンドリア内膜へ運搬される場合に、脂肪酸とカルニチンが結合して生成される化合物である。より詳細には、ミトコンドリア外膜に存在するカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼIの作用によりアシルCoAとカルニチンからアシルカルニチンが生成される。血液及び尿などの生体試料中のアシルカルニチン分析は、新生児を対象とした先天性代謝異常スクリーニングにおいて分析項目とされている。
特許文献1は、脂肪性肝疾患を診断するためのバイオマーカー及びその測定方法等を開示する。特許文献1においては、パルミトイルカルニチン又はアセチルカルニチン等の量を、他のバイオマーカーの測定値と組み合わせて使用することが前提とされており、アシルカルニチン単独の量を測定して脂肪性肝疾患を診断することは開示も示唆もされていない。
国際公開第2012/049874号パンフレット
本発明の目的は、より簡易的に実施することができ、さらに患者及び医療従事者に負担をかけない新たなNAFLD及びNASH診断法を提供することである。本発明の他の目的は、NAFLD及びNASHを罹患している可能性のある対象における、患者及び医療従事者に負担をかけない新たな肝線維化の進行度の判定方法を提供することである。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、生体試料中のアシルカルニチン総量を測定し、基準値と比較することで、患者及び医療従事者に負担をかけず、NAFLD及びNASHの早期診断が可能であること及び肝線維化の進行度の判定が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は以下のとおりである。
<1> 対象からの生物学的試料中の、アシルカルニチン総量を測定することと
測定したアシルカルニチン総量を基準値と比較することと
を含む、NAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法、
<2> 前記生物学的試料が、血液、血清又は血漿である、<1>に記載のNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法、
<3> 肝臓における線維化の進行度を判断する、<1>又は<2>に記載のNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法、
<4> 遊離カルニチン量及びアシルカルニチン総量の合計量であるカルニチン総量を測定することと
前記カルニチン総量から遊離カルニチン量を減算することにより、アシルカルニチン総量を測定することと
を含む、<1>〜<3>のいずれかに記載のNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法、
<5>NAFLD又はNASHを検出するための診断薬キットであって、アシルカルニチン総量を測定するための試薬を含む診断薬キット、
<6>アシルカルニチン総量を測定するための前記試薬が、遊離カルニチン量を測定するための試薬とカルニチン総量を測定するための試薬との組み合わせである、<5>に記載の診断薬キット、
<7>質量分析計の内部標準液としてのアシルカルニチン組成物を含む、NAFLD又はNASHを検出するための診断薬キットであって、
前記アシルカルニチン組成物が、アセチルカルニチン、プロピオニルカルニチン、ブチリルカルニチン、イソ吉草酸カルニチン、3−ヒドロキシ−イソ吉草酸カルニチン、グルタリルカルニチン、オクタノイルカルニチン、デカノイルカルニチン、ドデカノイルカルニチン、テトラデカノイルカルニチン、テトラデセノイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、及びステアロイルカルニチンの少なくとも1つを含む前記診断薬キット、
<8> NAFLD又はNASHに罹患している可能性のある対象由来の生物学的試料中の、アシルカルニチン総量を測定することと
測定したアシルカルニチン総量を基準値と比較することと
を含む、対象における肝線維化の進行度の判定方法、
<9> 遊離カルニチン量及びアシルカルニチン総量の合計量であるカルニチン総量を測定することと
前記カルニチン総量から遊離カルニチン量を減算することにより、アシルカルニチン総量を測定することと
を含む、<8>に記載の対象における肝線維化の進行度の判定方法、
<10>NAFLD又はNASHに罹患している可能性のある対象における肝線維化の進行度を判定するための診断薬キットであって、アシルカルニチン総量を測定するための試薬を含む診断薬キット、並びに
<11>質量分析計の内部標準液としてのアシルカルニチン組成物を含む、NAFLD又はNASHに罹患している可能性のある対象における肝線維化の進行度を判定するための診断薬キットであって、
前記アシルカルニチン組成物が、アセチルカルニチン、プロピオニルカルニチン、ブチリルカルニチン、イソ吉草酸カルニチン、3−ヒドロキシ−イソ吉草酸カルニチン、グルタリルカルニチン、オクタノイルカルニチン、デカノイルカルニチン、ドデカノイルカルニチン、テトラデカノイルカルニチン、テトラデセノイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、及びステアロイルカルニチンの少なくとも1つを含む前記診断薬キット。
本発明によれば、患者及び医療従事者に負担をかけず且つ簡易的にNAFLD及びNASHの診断を行うことができる。本発明によれば、対象が肝細胞癌に進行する前に、NAFLD及びNASHを検出することができる。本発明によれば、患者及び医療従事者に負担をかけず且つ簡易的に、肝線維化の進行度の判定を行うことができる。
肝細胞癌を有するNAFLD患者と肝細胞癌を有しないNAFLD患者とにおける、血清中のアシルカルニチンレベル及び遊離カルニチンレベルを示すバイオリン図である。 血清アシルカルニチン、α−フェトプロテイン(AFP)、及びデス-γ-カルボキシプロトロンビン(DCP)の各々におけるROC曲線を示すグラフである。 種々の線維化進行度のNAFLD患者における血清アシルカルニチン濃度を示すグラフである。 種々の進行度の炎症、風船様肥大、及び脂肪肝のNAFLD患者における血清アシルカルニチン濃度を示すグラフである。 液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析計(LC−MS/MS)を用いて計測したアシルカルニチン総量と酵素サイクリング法を用いて計測したアシルカルニチン総量との相関を示すプロットである。
[1]NAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法
(対象からの生物学的試料)
本発明において分析可能な生物学的試料としては、主に生体(生物)由来の固形組織及び体液を挙げることができ、体液を用いることが好ましい。本発明において分析可能な生体試料は、より好ましくは、血液、血清、血漿、尿、唾液、喀痰、涙液、耳漏、又は前立腺液等の体液であり、さらに好ましくは血液、血清又は血漿であり、さらに好ましくはNAFLD及び/又はNASHに罹患している可能性のある対象の血液、血清又は血漿である。生体又は対象は、ヒト又は動物(例えば、マウス、モルモット、ラット、サル、イヌ、ネコ、ハムスター、ウマ、ウシ、及びブタ)を含み、好ましくはヒトである。
(アシルカルニチン)
本発明において、アシルカルニチンとは、式1で表される化合物群をいう。
式1:(CH+CHCH(OR)CHCOO-
(式1中、Rは又は炭素数2〜30の飽和もしくは不飽和の脂肪酸残基を表し、該脂肪酸残基に結合する水素原子は、酸素原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよい。)
アシルカルニチンは、その脂肪酸部分の炭素鎖長、不飽和結合の有無と数、炭素鎖に結合する水素原子の酸素原子又はヒドロキシ基への置換などにより、アセチルカルニチン、プロピオニルカルニチン、ステアロイルカルニチン、オレイルカルニチン、リノレイルカルニチン、マロニルカルニチン、3−ヒドロキシカルニチンなどに細分化されるが、本明細書中においては、それらを総称してアシルカルニチンと記述する。本明細書においては脂肪酸が結合していない遊離カルニチンについては、アシルカルニチンに含めないものとする。すなわち、「アシルカルニチン総量」とは、脂肪酸が結合していない遊離カルニチンの量を除外した、アシルカルニチンの合計量を示す。
飽和又は不飽和の脂肪酸残基としては、表1に記載のものが挙げられる。アシルカルニチンは、脂肪酸代謝異常等の先天性代謝異常スクリーニングにおいても評価項目として使用されている。先天性代謝異常スクリーニングなど臨床での評価項目に使用される主なアシルカルニチンを表2に示す。
Figure 0006592627
Figure 0006592627
(アシルカルニチン総量)
本発明のNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法では、対象からの生物学的試料中のアシルカルニチン総量を測定することを含む。アシルカルニチン総量は、酵素サイクリング法等を用いて、生体試料内に存在するアシルカルニチンの量を一括して測定してもよく、又は、液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析計等を用いて、個々のアシルカルニチンの量を測定してそれらの量を合算してもよい。
本発明のNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法では、アシルカルニチン総量は、好ましくは、少なくともアセチルカルニチン(C2)、プロピオニルカルニチン(C3)、ブチリルカルニチン(C4)、イソ吉草酸カルニチン(C5)、3−ヒドロキシ−イソ吉草酸カルニチン(C5OH)、グルタリルカルニチン(C5DC)、ヘキサノイルカルニチン(C6)、オクタノイルカルニチン(C8)、デカノイルカルニチン(C10)、ドデカノイルカルニチン(C12)、テトラデカノイルカルニチン(C14)、テトラデセノイルカルニチン(C14:1)、パルミトイルカルニチン(C16)、3−ヒドロキシ−ヘキサデカノイルカルニチン(C16OH)、ステアロイルカルニチン(C18)、オクタデセノイルカルニチン(C18:1)及び3−ヒドロキシ−オクタデセノイルカルニチン(C18:1OH)の17種のアシルカルニチンの量を含む。上記17種のアシルカルニチンは、先天性代謝異常スクリーニングの評価項目として用いられているアシルカルニチンであり、疾患により脂肪酸代謝及び有機酸代謝異常が生じた場合に、特に影響を受けやすく、疾患を有する対象と健常人との間で量的な差異が発生しやすいアシルカルニチンである。先天代謝異常症の確定診断では、アシルカルニチン量を測定するために、タンデム型質量分析計を用いた診断法が必須である。しかしながら、先天代謝異常症の確定診断後の経過観察では、酵素サイクリング法による血中カルニチン2分画検査(カルニチン総量を測定し、このカルニチン総量から遊離カルニチン量を減算して総アシルカルニチン量を測定する方法)が代替法として採用されている。後述の参考例2においては、LC−MS/MSを使用して測定した上記17種のアシルカルニチンの合計量と酵素サイクリング法を使用して測定したアシルカルニチン総量が良好な相関を示すことも実証されている。したがって、タンデム型質量分析計による上記17種のアシルカルニチンの合計量は、アシルカルニチン総量と同視し得ると考えられる。
本発明のNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法では、「アシルカルニチン総量」は、アシルカルニチン総量、すなわち、生体試料中に存在する全ての種類のアシルカルニチンの合計量と同視し得る、生体中の特定のアシルカルニチンの合計量を含む。
(アシルカルニチン総量の測定方法)
アシルカルニチン総量の測定は、例えばキャピラリー電気泳動−質量分析計、液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析計(LC−MS/MS)、及び酵素サイクリング法等により測定することができる。これらの方法を組み合わせて使用することもできる。酵素サイクリング法を用いる場合は、汎用の自動分析装置、例えばLABOSPECT 008(日立ハイテクノロジーズ社製)等、により測定できることから、複雑な操作を省略して低コストで迅速に測定を行うことが可能である。
2分画検査を行うこと、すなわち、遊離カルニチン量とアシルカルニチン総量との合計量であるカルニチン総量を測定し、このカルニチン総量から遊離カルニチン量、すなわち、脂肪酸が結合していないカルニチンの量を減算することにより、アシルカルニチン総量を測定することもできる。2分画検査は、酵素サイクリング法を用いて行うことができる。
本明細書において「液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析計」又は「LC−MS/MS」は、液体クロマトグラフ(LC)により分離した分析対象成分を専用のインターフェースを介してイオン化し、生成するイオンを質量分析計(MS)で分離して特定の質量を有するイオンを解離及び/又はフラグメント化させ、それらのイオンを質量分析計で検出する装置を意味する。本明細書において「酵素サイクリング法」は、特定の化学反応を進める酵素の働きを利用して、微量物質の濃度を測定する手法を意味する。酵素サイクリング法によるアシルカルニチンの測定には、酵素としてアシルカルニチンエステラーゼ及びカルニチンデヒドロゲナーゼを使用することができ、より詳細には、遊離カルニチン量の測定にはカルニチンデヒドロゲナーゼを使用することができ、カルニチン総量の測定にはアシルカルニチンエステラーゼ及びカルニチンデヒドロゲナーゼを使用することができる。そして、補酵素としてβ-チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド酸化型(Thio−NAD)及びβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド還元型(NADH)を使用することができる。
(基準値)
本発明のNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法は、測定したアシルカルニチンの合計量を基準値と比較することを含む。本発明のNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法では、対象におけるアシルカルニチン総量が、健常人群のアシルカルニチン総量よりも高いことを指標としてNAFLD又はNASHの検出およびリスクの予測を行うことができる。具体的には、例えば、対象のアシルカルニチン総量の合計量が健常人群との判定用閾値(基準値)以上となった場合に、NAFLD又はNASHを検出するか、又は発症する可能性が高いと判定することができる。
数値の範囲を基準値とすることもできる。NAFLD又はNASHに罹患しているか否かを診断する際には、予め、NAFLD又はNASHに罹患していると診断された対象、および、NAFLD又はNASHではないと診断された対象の生体試料中のアシルカルニチン総量の範囲を計測しておき、対象の生体試料中のアシルカルニチン総量が、健常な対象の生体試料中のアシルカルニチン総量の範囲に入る場合は、この対象はNAFLD又はNASHに罹患していない可能性が高く、NAFLD又はNASHに罹患している対象の生体試料中のアシルカルニチン総量の範囲に入る場合は、NAFLD又はNASHに罹患している可能性が高い。
判定用閾値(基準値)は、種々条件、例えば、基礎疾患、性別、年齢などにより変化することが予想されるが、当業者であれば、対象に対応する適当な母集団を適宜選択して、その集団から得られたデータを統計学的処理を行うことにより、正常値範囲又は判定用閾値を決定することができる。
本発明のNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法では、アシルカルニチン総量を基準値と比較してもよく、アシルカルニチン総量と同視し得ると考えられる前記17種のアシルカルニチン合計量を基準値と比較してもよく、前記17種のアシルカルニチンに任意の1種以上のアシルカルニチンを加算した合計量(すなわち、18種、19種、又は20種以上のアシルカルニチンの合計量)を基準値と比較してもよい。
(NAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法)
本発明のNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法は、対象のNAFLD又はNASHの進行度をモニタリングすることもできる。この場合、特定の時点での対象のアシルカルニチン総量を、判定用閾値(基準値)として使用する。一定期間後(例えば、1、3、6、又は12か月後)に再度この対象のアシルカルニチン総量を測定し、以前の測定値と比較してアシルカルニチン総量が多ければ、NAFLD又はNASHが進行していると判断することができる。逆に、以前の測定値と比較してアシルカルニチン総量が少なければ、NAFLD又はNASHが進行していないと判断することができる。
NAFLDには、非アルコール性脂肪肝(NAFL)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、NASHが進行した肝硬変、及びNASHが進行した肝細胞癌が含まれる。なお、本明細書においては、用語「NAFLD」及び「NASH」は、NASHが進行した肝細胞癌を含むことができるが、含まないことが好ましい。すなわち、NAFLDは、好ましくは、非アルコール性脂肪肝(NAFL)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、及び/又はNASHが進行した肝硬変である。
本発明のNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測方法を行った後、必要に応じて、他のNAFLD又はNASHの検出方法の患者への実施、及び/又はNAFLD又はNASH治療薬の患者への投与を実施してもよい。
[2]NAFLD又はNASHを検出するための診断薬キット
本発明のNAFLD又はNASHを検出するための診断薬キットは、アシルカルニチン総量を測定するための試薬を含むことができる。前記試薬は、個々のアシルカルニチンの量を測定して、それらの量を合算するための試薬であってもよく、生体試料内に存在するアシルカルニチンの量を一括して測定するための試薬であってもよい。アシルカルニチン総量を測定するための試薬は、好ましくは遊離カルニチン量を測定するための試薬とカルニチン総量を測定するための試薬との組み合わせである。遊離カルニチン量を測定するための試薬とカルニチン総量を測定するための試薬との組み合わせは、好ましくは、酵素サイクリング法を用いるための試薬である。
本発明のNAFLD又はNASHを検出するための診断薬キットは、質量分析計の内部標準液として、アセチルカルニチン、プロピオニルカルニチン、ブチリルカルニチン、イソ吉草酸カルニチン、3−ヒドロキシ−イソ吉草酸カルニチン、グルタリルカルニチン、オクタノイルカルニチン、デカノイルカルニチン、ドデカノイルカルニチン、テトラデカノイルカルニチン、テトラデセノイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、及びステアロイルカルニチンの少なくとも1つを含むアシルカルニチン組成物を含むことができる。アシルカルニチン組成物に含まれるアシルカルニチンは、同位体標識されていることが好ましい。同位体標識の例としては、放射性同位体による標識や、炭素、窒素、酸素、重水素などの元素による標識が挙げられるが、重水素による標識が好ましい。また、アシルカルニチンを溶解するための溶媒として、有機溶媒を挙げることができる。有機溶媒の中でも、炭素数1〜5の有機溶媒が好ましく、炭素数1〜5のアルコール及びアセトニトリルがより好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノールがさらに好ましい。本発明の診断薬キットには、ほかに、他の検査試薬、検体希釈液、使用説明書などを含むこともできる。他の検査試薬としては、同時に測定されることが予定されるアミノ酸、スクシニルアセトンの検査試薬が挙げられ、具体的にはこれらの内部標準液が挙げられる。
[3]対象における肝線維化の進行度の判定方法
本発明の対象における肝線維化の進行度の判定方法では、生物学的試料中のアシルカルニチン総量に応じて、肝臓における線維化の進行度を判断することができる。本明細書において「肝線維化」とは、慢性的な肝臓の炎症により、コラーゲン線維などの線維性成分及び/又は細胞外基質を含む結合組織が肝臓に大量に増加し、組織が硬化することを意味する。本発明の対象における肝線維化の進行度の判定方法は、NAFLD又はNASHに罹患している可能性のある対象において、NAFLD又はNASHにより生じる肝線維化の進行度の判定を行うことができ、または、NAFLD又はNASHに既に罹患している対象において、NAFLD又はNASHにより生じる肝線維化の進行度の判定を行うこともできる。アシルカルニチン、アシルカルニチン総量、及びアシルカルニチン総量の測定方法については、前述のとおりである。
(基準値)
本発明の対象における肝線維化の進行度の判定方法は、測定したアシルカルニチンの合計量を基準値と比較することを含む。本発明の対象における肝線維化の進行度の判定方法では、数値の範囲を基準値とすることができる。対象における肝線維化の進行度を判定する際には、予め、種々の肝線維化段階の対象の生体試料中のアシルカルニチン総量の範囲を計測しておき、対象の生体試料中のアシルカルニチン総量が、特定の肝線維化段階の生体試料中のアシルカルニチン総量の範囲に入る場合は、この対象はその特定の肝線維化段階である可能性が高い。
肝線維化段階の分類は、例えば、F0:線維化なし、F1:小葉中心部の線維化、F2:小葉中心部+門脈域の線維化、F3:線維性架橋形成、F4:肝硬変、HCC:肝細胞がんの区別に従うことができる。本発明の対象における肝線維化の進行度の判定方法は、対象の肝臓が上記F0〜F4のどの段階にあるかを判定することができる。ただ、上記F0〜F4の分類には限定されず、異なる分類を使用してもよい。
判定用閾値(基準値)は、種々条件、例えば、基礎疾患、性別、年齢などにより変化することが予想されるが、当業者であれば、対象に対応する適当な母集団を適宜選択して、その集団から得られたデータを統計学的処理を行うことにより、正常値範囲又は判定用閾値を決定することができる。
本発明の対象における肝線維化の進行度の判定方法は、対象における肝線維化の進行度をモニタリングすることができる。この場合、特定の時点での対象のアシルカルニチン総量を、判定用閾値(基準値)として使用する。一定期間後(例えば、1、3、6、又は12か月後)に再度この対象のアシルカルニチン総量を測定し、以前の測定値と比較してアシルカルニチン総量が多ければ、肝線維化が進行していると判断することができる。逆に、以前の測定値と比較してアシルカルニチン総量が同じ程度であるか又は少なければ、肝線維化が進行していないと判断することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
〔実施例1〕血清中のアシルカルニチン総量及び遊離カルニチン量の比較
液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析法(LC−MS/MS法)及びNeoSMAAT(登録商標)(積水メディカル社製)を用いて、血清中のアシルカルニチン総量及び遊離カルニチン量を測定し、肝細胞癌を有しないNAFLD患者(n=222)と肝細胞癌を有するNAFLD患者(n=28)との間で比較した。
1.血清サンプル
東京大学病院において、2011年11月から2015年12月まで、生検で証明されたHCCを有する非アルコール性脂肪肝疾患患者(NAFLD)28人及び生検で証明されたHCCを有しない非アルコール性脂肪肝疾患患者222人から採取した血清サンプル250検体を用いた。
2.血清中のアシルカルニチン総量及び遊離カルニチン量の測定
採取した血清サンプルを、液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析法(LC−MS/MS法)及びNeoSMAAT(登録商標)を用いて測定した。NeoSMAAT(登録商標)には、重水素で同位体標識した、カルニチン(C0)、アセチルカルニチン(C2)、プロピオニルカルニチン(C3)、ブチリルカルニチン(C4)、イソ吉草酸カルニチン(C5)、3−ヒドロキシ−イソ吉草酸カルニチン(C5OH)、グルタリルカルニチン(C5DH)、オクタノイルカルニチン(C8)、デカノイルカルニチン(C10)、ドデカノイルカルニチン(C12)、テトラデカノイルカルニチン(C14)、テトラデセノイルカルニチン(C14:1)、パルミトイルカルニチン(C16)、及びステアロイルカルニチン(C18)が内部標準として含まれている。測定対象物質であるそれぞれのアシルカルニチン又は遊離カルニチンのピーク面積と内部標準物質とのピーク面積の比を算出することにより、血清サンプル中に存在する測定対象物質の量及び濃度を求めることができる。
ヒト血清検体10μLにNeoSMAAT(登録商標)に添付の内部標準原液10μLを添加した。エタノール200μLをさらに添加して10秒間撹拌した。遠心分離(10000rpm、4℃、5分)を実施し、上清をガラス製試験管に移した。窒素気流下(40℃)で濃縮乾固した。ギ酸/アセトニトリル(0.05:10)100μLを添加し、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌した。アセトニトリル100μLを添加し、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌した。遠心分離(2000rpm、4℃、3分)を実施し、上清をHPLCバイアルに移し、LC−MS/MSでアシルカルニチン量の測定を行った。LC−MS/MSの条件は以下のとおりである。
システム:LC−20Aシリーズ(島津製作所社製)および4000QTRAP(AB Sciex社製)
<LC条件>
HPLC column:Inertsil Amide (2.1×250mm, 3μm, GL Sciences)
Mobile Phase A:200 mmol/L Ammonium formate
Mobile Phase B:Acetonitrile
Gradient:
Figure 0006592627
Figure 0006592627
LC−MS/MS用ソフトウェアであるAnalyst ver1.4.2(SCIEX社製)を用いて、ピーク面積値、ピーク面積比、並びに逆回帰値及び測定値を算出した。
なお、3−ヒドロキシ−ヘキサデカノイルカルニチン(C16OH)量は、予め濃度既知の重水素置換C16OHピーク面積値と重水素置換C16ピーク面積値を測定しておき、換算係数として換算件数=重水素置換C16OHピーク面積値/重水素置換C16ピーク面積値を算出し、C16OHピーク面積値と内部標準C16ピーク面積値より算出した濃度値を前記換算係数にて除して得られた換算濃度値を基にして算出した。オクタデセノイルカルニチン(C18:1)の量は、予め濃度既知の重水素置換C18:1面積値と重水素置換C18ピーク面積値を測定しておき、換算係数として換算件数=重水素置換C18:1ピーク面積値/重水素置換C18面積値を算出し、C18:1ピーク面積値と内部標準C18ピーク面積値より算出した濃度値を前記換算係数にて除して得られた換算濃度値を基にして算出した。3−ヒドロキシ−オクタデセノイルカルニチン(C18:1OH)の量は、予め濃度既知の重水素置換C18:1OH面積値と重水素置換C18ピーク面積値を測定しておき、換算係数として換算件数=重水素置換C18:1OHピーク面積値/重水素置換C18面積値を算出し、C18:1OH面積値と内部標準C18ピーク面積値より算出した濃度値を前記換算係数にて除して得られた換算濃度値を基にして算出した。
得られたアセチルカルニチン(C2)、プロピオニルカルニチン(C3)、ブチリルカルニチン(C4)、イソ吉草酸カルニチン(C5)、3−ヒドロキシ−イソ吉草酸カルニチン(C5OH)、グルタリルカルニチン(C5DC)、ヘキサノイルカルニチン(C6)、オクタノイルカルニチン(C8)、デカノイルカルニチン(C10)、ドデカノイルカルニチン(C12)、テトラデカノイルカルニチン(C14)、テトラデセノイルカルニチン(C14:1)、パルミトイルカルニチン(C16)、3−ヒドロキシ−ヘキサデカノイルカルニチン(C16OH)、ステアロイルカルニチン(C18)、オクタデセノイルカルニチン(C18:1)、及び3−ヒドロキシ−オクタデセノイルカルニチン(C18:1OH)の測定値を合算して患者ごとのアシルカルニチン総量とした。アシルカルニチン総量及び遊離カルニチン量に関して、肝細胞癌を有しないNAFLD患者(No HCC:n=222)と肝細胞癌を有するNAFLD患者(HCC:n=28)とで比較したバイオリン図を図1に示す。
肝細胞癌を有しないNAFLD患者と肝細胞癌を有するNAFLD患者の間で、アシルカルニチン総量において、有意差が認められた(p=0.0001)。一方で、遊離カルニチンに関しては、有意差は認められなかった(p=0.39)。
〔実施例2〕他のバイオマーカーと比較したアシルカルニチン総量の有用性の検証
実施例1のアシルカルニチン総量の測定結果を用いて、アシルカルニチン総量のNASH関連肝細胞癌検出における有用性を他のバイオマーカーと比較した。比較対象として、腫瘍マーカーであるα−フェトプロテイン(AFP)及びデス−γ−カルボキシプロトロンビン(DCP)を用いた。
統計解析は、Wilcoxon順位和検定、Fisher’s exact検定、Jonckheere−Terpstra検定を用いて、連続性および分類性の変化に対応する群間差異をそれぞれ試験した。血清アシルカルニチンレベル、並びに他の腫瘍マーカーであるα−フェトプロテイン(AFP)及びデス−γ−カルボキシプロトロンビン(DCP)の予測性能を、ROC曲線下の面積(AUROC)によって評価した。結果を図2に示す。
AFPのAUROCは0.90であり、アシルカルニチン総量のAUROCは0.72であり、DCPのAUROCは0.62であった。アシルカルニチン総量のAUROCは、腫瘍マーカーとして用いられているDCPよりも高い値を示した。したがって、アシルカルニチン総量がNASH関連肝細胞癌検出において、バイオマーカーとして使用できることが分かった。
〔実施例3〕種々の線維化進行度のNAFLD患者におけるアシルカルニチン総量の比較
実施例1において測定した血清サンプルを、患者の線維化の進行度に応じて以下のようにさらに細かく分類し、各進行度にカテゴライズされる血清サンプルに含まれるアシルカルニチン総量及び遊離カルニチン量を比較した。結果を図3に示す。
F0(n=38)
F1−2(n=120)
F3−4(n=64)
HCC(n=28)
(F0:線維化なし、F1:小葉中心部の線維化、F2:小葉中心部+門脈域の線維化、F3:線維性架橋形成、F4:肝硬変、HCC:肝細胞がん)
その結果、線維化がF0、F1−2、F3−4、HCCと進行するにつれて、アシルカルニチン総量が多くなる傾向にあった。群間の個別の比較においても、F0群とF1−2群間のp値は0.041であり、F0群とF3−4群間のp値は0.0002であり、いずれも有意差があった。遊離カルニチンに関しては、線維化が進行しても量的な変化は確認できなかった。したがって、アシルカルニチン総量を測定することにより、線維化の進行度を判定できることが分かった。
〔参考例1〕線維化以外の診断基準に基づくアシルカルニチン総量の比較
実施例1において測定した血清サンプルを、日本消化器病学会NAFLD/NASH診療ガイドライン(2014年版)の82頁のNAS(NAFLD Activity Score)に記載の患者肝臓の炎症度(Lobular inflammation)、風船様肥大(Ballooning)、及び脂肪肝(Steatosis)の各々の進行度に応じて分類し、各進行度における患者間のアシルカルニチン総量を比較した。分類基準は以下のとおりである。
炎症度:段階0:病巣なし、段階1:200倍の視野で2箇所の病巣以下、段階2:200倍の視野で2〜4箇所の病巣、段階3:200倍の視野で4箇所以上の病巣、
風船様肥大:段階0:肥大なし、段階1:少数の風船様変性細胞、段階2:多数の風船様変性細胞、
脂肪肝:段階1:5〜33%、段階2:33〜66%、段階3:66%以上。
結果を図4に示す。炎症度、風船様肥大、及び脂肪肝のいずれにおいても、各段階の患者群間において、アシルカルニチン総量に有意差は確認できなかった。
〔参考例2〕液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析計(LC−MS/MS)を用いて計測したアシルカルニチン総量と酵素サイクリング法を用いて計測したアシルカルニチン総量との相関の検討
LC−MS/MSによるアシルカルニチン総量測定では、個々のアシルカルニチンの量を測定してそれらの量を合算する。一方で、酵素サイクリング法では、生体試料内に存在するアシルカルニチンの量を血中カルニチン2分画検査により測定する。LC−MS/MSによる代表的なアシルカルニチン種の合計量をアシルカルニチン総量として使用できるかどうかの検討を行った。
成人検体血清36検体(日本人男性18人、日本人女性18人)を購入(23検体;Bioreclamation社)又はボランティアから採血し(13検体)、実験に用いた。実施例1と同じ方法で、LC−MS/MSを用いて検体中のアセチルカルニチン(C2)、プロピオニルカルニチン(C3)、ブチリルカルニチン(C4)、イソ吉草酸カルニチン(C5)、3−ヒドロキシ−イソ吉草酸カルニチン(C5OH)、グルタリルカルニチン(C5DC)、ヘキサノイルカルニチン(C6)、オクタノイルカルニチン(C8)、デカノイルカルニチン(C10)、ドデカノイルカルニチン(C12)、テトラデカノイルカルニチン(C14)、テトラデセノイルカルニチン(C14:1)、パルミトイルカルニチン(C16)、3−ヒドロキシ−ヘキサデカノイルカルニチン(C16OH)、ステアロイルカルニチン(C18)、オクタデセノイルカルニチン(C18:1)及び3−ヒドロキシ−オクタデセノイルカルニチン(C18:1OH)の量を測定し、測定値を合算して被験者ごとのアシルカルニチン総量とした。酵素サイクリング法によるアシルカルニチン総量に関しては、SRL社に依頼して測定した。SRL社は、カイノス社の測定キット(T−Carnitine試薬 カイノス、及びF−Carnitine試薬 カイノス)を使用してアシルカルニチン総量を測定している。カイノス社の測定キットは、酵素としてアシルカルニチンエステラーゼ及びカルニチンデヒドロゲナーゼを使用しており、そして、補酵素としてβ-チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド酸化型(Thio−NAD)及びβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド還元型(NADH)の2種を使用している。結果を図5に示す。
図5に示すように、液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析計(LC−MS/MS)を用いて計測したアシルカルニチン総量と酵素サイクリング法を用いて計測したアシルカルニチン総量とは、良好な相関を示した。
本発明によれば、患者及び医療従事者に負担をかけず且つ簡易的にNAFLD及びNASHの診断を行うことができる。本発明によれば、対象が肝細胞癌に進行する前に、NAFLD及びNASHを検出することができる。本発明によれば、患者及び医療従事者に負担をかけず且つ簡易的に、対象における肝線維化の進行度の判定を行うことができる。

Claims (7)

  1. 対象からの血液、血清、又は血漿中の、遊離カルニチン量及びアシルカルニチン総量の合計量であるカルニチン総量を測定することと
    前記カルニチン総量から遊離カルニチン量を減算することにより、アシルカルニチン総量を測定することと
    測定したアシルカルニチン総量を基準値と比較することと
    を含む、NAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測のための方法であって、
    前記アシルカルニチン総量には、少なくともアセチルカルニチン(C2)、プロピオニルカルニチン(C3)、ブチリルカルニチン(C4)、イソ吉草酸カルニチン(C5)、3−ヒドロキシ−イソ吉草酸カルニチン(C5OH)、グルタリルカルニチン(C5DC)、ヘキサノイルカルニチン(C6)、オクタノイルカルニチン(C8)、デカノイルカルニチン(C10)、ドデカノイルカルニチン(C12)、テトラデカノイルカルニチン(C14)、テトラデセノイルカルニチン(C14:1)、パルミトイルカルニチン(C16)、3−ヒドロキシ−ヘキサデカノイルカルニチン(C16OH)、ステアロイルカルニチン(C18)、オクタデセノイルカルニチン(C18:1)及び3−ヒドロキシ−オクタデセノイルカルニチン(C18:1OH)の量が含まれる、前記方法
  2. 前記アシルカルニチン総量が、前記カルニチン総量から脂肪酸が結合していない遊離カルニチンの量を除外した、アシルカルニチンの合計量である、請求項1に記載のNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測のための方法。
  3. 酵素サイクリング法を使用することを特徴とする、請求項1又は2に記載のNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測のための方法。
  4. 肝臓における線維化の進行度を判断する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のNAFLD又はNASHの検出又はリスクの予測のための方法。
  5. NAFLD又はNASHを検出するための診断薬キットであって、
    前記診断薬キットは、アシルカルニチン総量を測定するための試薬を含み、
    アシルカルニチン総量を測定するための前記試薬が、遊離カルニチン量を測定するための試薬とカルニチン総量を測定するための試薬との組み合わせであり、
    前記アシルカルニチン総量には、少なくともアセチルカルニチン(C2)、プロピオニルカルニチン(C3)、ブチリルカルニチン(C4)、イソ吉草酸カルニチン(C5)、3−ヒドロキシ−イソ吉草酸カルニチン(C5OH)、グルタリルカルニチン(C5DC)、ヘキサノイルカルニチン(C6)、オクタノイルカルニチン(C8)、デカノイルカルニチン(C10)、ドデカノイルカルニチン(C12)、テトラデカノイルカルニチン(C14)、テトラデセノイルカルニチン(C14:1)、パルミトイルカルニチン(C16)、3−ヒドロキシ−ヘキサデカノイルカルニチン(C16OH)、ステアロイルカルニチン(C18)、オクタデセノイルカルニチン(C18:1)及び3−ヒドロキシ−オクタデセノイルカルニチン(C18:1OH)の量が含まれる、前記診断薬キット。
  6. 前記アシルカルニチン総量が、前記カルニチン総量から脂肪酸が結合していない遊離カルニチンの量を除外した、アシルカルニチンの合計量である、請求項5に記載の診断薬キット。
  7. アシルカルニチン総量を測定するための前記試薬が、酵素サイクリング法を行うための試薬である、請求項5又は6に記載の診断薬キット。
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