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JP6569214B2 - 光学異方性膜の製造方法 - Google Patents

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JP6569214B2 JP2014245614A JP2014245614A JP6569214B2 JP 6569214 B2 JP6569214 B2 JP 6569214B2 JP 2014245614 A JP2014245614 A JP 2014245614A JP 2014245614 A JP2014245614 A JP 2014245614A JP 6569214 B2 JP6569214 B2 JP 6569214B2
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Description

本発明は、光学異方性膜の製造方法に関する。
フラットパネル表示装置(FPD)には、偏光板、位相差板などの光学異方性膜を含む部材が用いられている。このような光学異方性膜として、重合性液晶化合物を含む組成物を基材上に塗布することにより製造された光学異方性膜が知られている。例えば、特許文献1には、配向処理を施した基材に、重合性液晶化合物を含む組成物を塗布することにより塗布膜を得、該塗布膜中の重合性液晶化合物を重合させることにより形成された光学異方性膜が記載されている。
特開2003−287623号公報
従来の製造方法によって得られる光学異方性膜は、光学特性が十分ではなかった。
本発明は以下の発明を含む。
[1] 以下の工程(A)及び(B)をこの順に行う光学異方性膜の製造方法。
(A)光重合開始剤と、溶剤と、250nm乃至370nmの範囲に極大吸収波長を有する重合性液晶化合物とを含む光学異方性膜形成用組成物を基材に塗布する工程
(B)塗布された光学異方性膜形成用組成物に、波長が200nm乃至500nmの光であって、波長範囲が250nm未満の光を照射する工程
[2] 光重合開始剤の極大吸収波長が300nm乃至380nmである[1]に記載の光学異方性膜の製造方法。
[3] 照射される光が、波長が365nmの光を含む[1]又は[2]に記載の光学異方性膜の製造方法。
[4] 照射される光が、波長が365nmの輝線である[1]〜[3]のいずれかに記載の光学異方性膜の製造方法。
[5] 重合性液晶化合物が、式(A)で表される化合物である[1]〜[4]のいずれかに記載の光学異方性膜。
Figure 0006569214
[式(A)中、
は、酸素原子、硫黄原子またはNR−を表わす。Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わす。
は、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の1価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい炭素数3〜12の1価の芳香族複素環式基を表わす。
およびQは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−NRまたは−SRを表わすか、または、QとQとが互いに結合して、これらが結合する炭素原子とともに芳香環または芳香族複素環を形成する。RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わす。
およびDは、それぞれ独立に、単結合、−C(=O)−O−、−C(=S)−O−、−CR−、−CR−CR−、−O−CR−、−CR−O−CR−、−CO−O−CR−、−O−CO−CR−、−CR−O−CO−CR−、−CR−CO−O−CR−またはNR−CR−またはCO−NR−を表わす。
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わす。
およびGは、それぞれ独立に、炭素数5〜8の2価の脂環式炭化水素基を表わし、該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、硫黄原子またはNH−に置き換っていてもよく、該脂環式炭化水素基を構成するメチン基は、第三級窒素原子に置き換っていてもよい。
およびLは、それぞれ独立に、1価の有機基を表わし、LおよびLのうちの少なくとも一つは、重合性基を有する。]
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法によって得られる光学異方性膜
[7] 下記式(1)及び(2)を満たす[6]に記載の光学異方性膜。
Δn(450)/Δn(550)≦1.00 (1)
1.00≦Δn(650)/Δn(550) (2)
(Δn(450)、Δn(550)、Δn(650)はそれぞれ波長450nm、550nm、650nmの光に対する複屈折を表す。)
[8] 位相差性を有する[6]又は[7]に記載の光学異方性膜。
[9] [6]〜[8]のいずれかに記載の光学異方性膜を含む位相差フィルム。
[10] [6]〜[8]のいずれかに記載の光学異方性膜を含む偏光板。
[11] [6]〜[8]のいずれかに記載の光学異方性膜を備えた表示装置。
本発明によれば、Δnが高い、優れた光学特性を有する光学異方性膜を得ることができる。
本発明に係る偏光板の一例を示す断面模式図である。 本発明に係る液晶表示装置の一例を示す断面模式図である。 本発明に係る有機EL表示装置の一例を示す断面模式図である。
<基材>
基材は、樹脂基材であることが好ましい。
樹脂基材は、通常透明樹脂基材である。透明樹脂基材とは、光、特に可視光を透過し得る透光性を有する基材を意味し、透光性とは、波長380nm〜780nmにわたる光線に対しての透過率が80%以上となる特性をいう。樹脂基材には、通常フィルム状のものが用いられ、好ましくは長尺フィルムロールが用いられる。
基材を構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィン;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;セルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルフォン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド;およびポリフェニレンオキシドが挙げられる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィンからなる基材が好ましい。
基材には、表面処理を施してもよい。表面処理の方法としては、例えば、真空から大気圧の雰囲気下で、コロナまたはプラズマで基材の表面を処理する方法、基材表面をレーザー処理する方法、基材表面をオゾン処理する方法、基材表面をケン化処理する方法、基材表面を火炎処理する方法、基材表面にカップリング剤を塗布する方法、基材表面をプライマー処理する方法、及び、反応性モノマーや反応性を有するポリマーを基材表面に付着させた後に放射線、プラズマ又は紫外線を照射して反応させるグラフト重合法などが挙げられる。中でも、真空から大気圧の雰囲気下で、基材表面をコロナまたはプラズマ処理する方法が好ましい。
コロナまたはプラズマで基材の表面処理を行う方法としては、大気圧近傍の圧力下で、対向した電極間に基材を設置し、コロナまたはプラズマを発生させて、基材の表面処理を行う方法、対向した電極間にガスを流し、電極間でガスをプラズマ化し、プラズマ化したガスを基材に吹付ける方法、および、低圧条件下で、グロー放電プラズマを発生させて、基材の表面処理を行う方法が挙げられる。
中でも、大気圧近傍の圧力下で、対向した電極間に基材を設置し、コロナまたはプラズマを発生させて、基材の表面処理を行う方法、または、対向した電極間にガスを流し、電極間でガスをプラズマ化し、プラズマ化したガスを基材に吹付ける方法が好ましい。かかるコロナまたはプラズマによる表面処理は、通常、市販の表面処理装置により行われる。
基材は、基材の光学異方性膜形成用組成物を塗布する面とは反対の面に保護フィルムを有していてもよい。保護フィルムとしては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート及びポリオレフィンなどのフィルム、並びに、当該フィルムにさらに粘着層を有するフィルム等が挙げられる。中でも、乾燥時における熱変形が小さいため、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。保護フィルムを、光学異方性膜形成用組成物を塗布する面とは反対の面に有することで、基材搬送時のフィルムのゆれや塗布面のわずかな振動を抑えることができ、塗膜の均一性を向上させることができる。
基材の厚さは、通常5μm〜300μmであり、好ましくは20μm〜200μmである。
長尺フィルムロールの長尺方向の長さは、通常10m〜3000mであり、好ましくは100m〜2000mである。長尺フィルムロールの短尺方向の長さは、通常0.1m〜5mであり、好ましくは0.2m〜2mである。
<配向膜>
基材の、光学異方性膜形成用組成物が塗布される面には、好ましくは配向膜が形成されている。
配向膜とは、後述する重合性液晶化合物を所望の方向に配向させる、配向規制力を有するものである。
配向膜としては、光学異方性膜形成用組成物の塗布等により溶解しない溶剤耐性を有し、また、溶剤の除去や重合性液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。配向膜としては、配向性ポリマーを含む配向膜、光配向膜及び、表面に凹凸パターンや複数の溝を有するグルブ配向膜等が挙げられる。
このような配向膜は、重合性液晶化合物の配向を容易にする。また、配向膜の種類やラビング条件によって、水平配向、垂直配向、ハイブリッド配向、傾斜配向等の様々な配向の制御が可能である。
配向膜の厚さは、通常10nm〜10000nmの範囲であり、好ましくは10nm〜1000nmの範囲であり、より好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは10nm〜200nmの範囲である。
<配向性ポリマーを含む配向膜>
配向性ポリマーとしては、アミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、イミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸エステル類が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。2種以上の配向性ポリマーを組み合わせてもよい。
配向性ポリマーを含む配向膜は、通常、配向性ポリマーが溶剤に溶解した配向性ポリマー組成物を基材に塗布し、溶剤を除去する、又は、配向性ポリマー組成物を基材に塗布し、溶剤を除去し、ラビングすることで得られる。
前記溶剤としては、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤、及び、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶剤が挙げられる。溶剤は、二種以上を組み合わせてもよい。
配向性ポリマー組成物中の配向性ポリマーの濃度は、配向性ポリマーが溶剤に完溶する範囲であればよい。配向性ポリマー組成物に対する配向性ポリマーの含有量は、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは0.1〜10質量%である。
配向性ポリマー組成物は、市場から入手できる。市販の配向性ポリマー組成物としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)、オプトマー(登録商標、JSR(株)製)等が挙げられる。
配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法としては、スピンコ−ティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、スリットコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法等の塗布法、フレキソ法等の印刷法等の公知の方法が挙げられる。光学異方性膜を、後述するRoll to Roll形式の連続的製造方法により製造する場合、当該塗布方法としては通常、グラビアコーティング法、ダイコーティング法又はフレキソ法等の印刷法が採用される。
配向性ポリマー組成物に含まれる溶剤を除去する方法としては、自然乾燥、通風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥およびこれらを組み合わせた方法が挙げられる。乾燥温度は、10〜250℃が好ましく、25〜200℃がより好ましい。乾燥時間は、溶剤の種類にもよるが、5秒間〜60分間が好ましく、10秒間〜30分間がより好ましい。
配向性ポリマー組成物から形成された塗布膜には、ラビング処理を施してもよい。ラビング処理を施すことにより、前記塗布膜に配向規制力を付与することができる。
ラビング処理の方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに、前記塗布膜を接触させる方法が挙げられる。
ラビング処理を行う時に、マスキングを行えば、配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を配向膜に形成することもできる。
<光配向膜>
光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマー又はモノマーと溶剤とを含む光配向膜形成用組成物を基材に塗布し、偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することで得られる。光配向膜は、照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御することができる。
光反応性基とは、光照射することにより配向能を生じる基をいう。具体的には、光照射により生じる分子の配向誘起反応、異性化反応、光二量化反応、光架橋反応もしくは光分解反応等の配向能の起源となる光反応に関与する基が挙げられる。中でも、光二量化反応又は光架橋反応に関与する基が、配向性に優れる点で好ましい。光反応性基としては、不飽和結合、特に二重結合を有する基が好ましく、炭素−炭素二重結合(C=C結合)、炭素−窒素二重結合(C=N結合)、窒素−窒素二重結合(N=N結合)及び炭素−酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも一つを有する基が特に好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ−ル基、スチルバゾリウム基、カルコン基及びシンナモイル基が挙げられる。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾン等の構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基、及び、アゾキシベンゼン構造を有する基が挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基及びマレイミド基が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリ−ル基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基等の置換基を有していてもよい。
中でも、光二量化反応に関与する光反応性基が好ましく、配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向膜が得られやすいという点で、シンナモイル基及びカルコン基が好ましい。光反応性基を有するポリマーとしては、当該ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
光配向膜形成用組成物を基材上に塗布することにより、基材上に光配向誘起層を形成することができる。該組成物に含まれる溶剤としては、上述の配向性ポリマー組成物に含まれる溶剤と同様のものが挙げられ、光反応性基を有するポリマー又はモノマーの溶解性に応じて選択することができる。
光配向膜形成用組成物中の光反応性基を有するポリマー又はモノマーの含有量は、ポリマー又はモノマーの種類や目的とする光配向膜の厚みによって調節でき、少なくとも0.2質量%とすることが好ましく、0.3〜10質量%の範囲がより好ましい。光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、光配向膜形成用組成物は、ポリビニルアルコ−ルやポリイミド等の高分子材料や光増感剤を含んでいてもよい。
光配向膜形成用組成物を基材に塗布する方法としては、配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法と同様の方法が挙げられる。塗布された光配向膜形成用組成物から、溶剤を除去する方法としては、配向性ポリマー組成物から溶剤を除去する方法と同じ方法が挙げられる。
偏光を照射するには、基材上に塗布された光配向膜形成用組成物から、溶剤を除去したものに直接、偏光を照射する形式でも、基材側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であると好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマー又はモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250nm〜400nmの範囲のUV(紫外線)が特に好ましい。当該偏光を照射する光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArF等の紫外光レ−ザ−等が挙げられる。中でも、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ及びメタルハライドランプが、波長313nmの紫外線の発光強度が大きいため好ましい。前記光源からの光を、適当な偏光層を通過して照射することにより、偏光UVを照射することができる。偏光層としては、偏光フィルター、グラントムソン及び、グランテ−ラ−等の偏光プリズム、並びに、ワイヤーグリッドタイプの偏光層が挙げられる。
偏光照射を行う時に、マスキングを行えば、配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を、配向膜に形成することができる。
<グルブ配向膜>
グルブ(groove)配向膜は、膜表面に凹凸パターン又は複数のグルブ(溝)を有する膜である。等間隔に並んだ複数の直線状のグルブを有する膜に液晶分子を置いた場合、その溝に沿った方向に液晶分子が配向する。
グルブ配向膜を得る方法としては、感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光後、現像及びリンス処理を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、硬化前のUV硬化樹脂層を形成し、樹脂層を基材へ移してから硬化する方法、及び、基材上に形成した硬化前のUV硬化樹脂の膜に、複数の溝を有するロール状の原盤を押し当てて凹凸を形成し、その後硬化する方法等が挙げられる。具体的には、特開平6−34976号公報及び、特開2011−242743号公報記載の方法等が挙げられる。
上記方法の中でも、複数の溝を有するロール状の原盤を、硬化前のUV硬化樹脂層表面に押し当てて凹凸を形成し、その後硬化する方法が好ましい。ロール状原盤としては、耐久性の観点からステンレス(SUS)鋼が好ましい。
UV硬化樹脂としては、単官能アクリレート、多官能アクリレート又はこれらの混合物が挙げられる。
単官能アクリレートとは、アクリロイルオキシ基(CH=CH−COO−)及びメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)−COO−)からなる群より選ばれる基(以下、(メタ)アクリロイルオキシ基と記すこともある。)を1個有する化合物である。また、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
(メタ)アクリロイルオキシ基を1個有する単官能アクリレートとしては、炭素数4から16のアルキル(メタ)アクリレート、炭素数2から14のβカルボキシアルキル(メタ)アクリレート、炭素数2から14のアルキル化フェニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びイソボニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能アクリレートとは、2以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物であり、(メタ)アクリロイルオキシ基を2から6個有する化合物が好ましい。
(メタ)アクリロイルオキシ基を2個有する多官能アクリレートとしては、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジアクリレート;ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート;プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及び3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を3〜6個有する多官能アクリレートとしては、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;
トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;
カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、及びカプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物等が挙げられる。
カプロラクトン変性とは、(メタ)アクリレート化合物のアルコール由来部位と(メタ)アクリロイルオキシ基との間に、カプロラクトンの開環体、又は、開環重合体が導入されていることを意味する。
多官能アクリレートは市場から入手することができる。市販品としては、A−DOD−N、A−HD−N、A−NOD−N、APG−100、APG−200、APG−400、A−GLY−9E、A−GLY−20E、A−TMM−3、A−TMPT、AD−TMP、ATM−35E、A−TMMT、A−9550、A−DPH、HD−N、NOD−N、NPG、TMPT[新中村化学(株)]、“ARONIX M−220”、同“M−325”、同“M−240”、同“M−270”同“M−309”同“M−310”、同“M−321”、同“M−350”、同“M−360”、同“M−305”、同“M−306”、同“M−450”、同“M−451”、同“M−408”、同“M−400”、同“M−402”、同“M−403”、同“M−404”、同“M−405”、同“M−406”[東亜合成(株)]、“EBECRYL11”、同“145”、同“150”、同“40”、同“140”、同“180”、DPGDA、HDDA、TPGDA、HPNDA、PETIA、PETRA、TMPTA、TMPEOTA、DPHA、EBECRYLシリーズ[ダイセル・サイテック(株)]等を挙げることができる。
配向乱れの小さな配向を得るためには、グルブ配向膜の凸部の幅は0.05μm〜5μmであることが好ましく、凹部の幅は0.1μm〜5μmであることが好ましく、凹凸の段差の深さは2μm以下であることが好ましく、0.01μm〜1μm以下であることが好ましい。
<光学異方性膜形成用組成物>
光学異方性膜形成用組成物は、重合性液晶化合物、光重合開始剤及び溶剤を含む。
<重合性液晶化合物>
重合性液晶化合物としては、例えば、式(X)で表される基を含み、250nm乃至370nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物(以下「化合物(X)」という場合がある)が挙げられる。重合性液晶化合物は一種類でもよいし、異なる構造の化合物を複数組み合わせてもよい。
11−B11−E11−B12−A11−B13− (X)
[式(X)中、P11は、水素原子又は重合性基を表わす。
11は、2価の脂環式炭化水素基または2価の芳香族炭化水素基を表わす。該2価の脂環式炭化水素基および2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6アルコキシ基、シアノ基またはニトロ基で置換されていてもよく、該炭素数1〜6のアルキル基および該炭素数1〜6アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
11は、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NR16−、−NR16−CO−、−CO−、−CS−または単結合を表わす。R16は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わす。
12およびB13は、それぞれ独立に、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR16−、−NR16−C(=O)−、−OCH−、−OCF−、−CHO−、−CFO−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−または単結合を表わす。
11は、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表わし、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該アルカンジイル基を構成する−CH−は、−O−または−CO−に置き換わっていてもよい。]
11で表される2価の芳香族炭化水素基および2価の脂環式炭化水素基の炭素数は、3〜18の範囲であることが好ましく、5〜12の範囲であることがより好ましく、5または6であることが特に好ましい。A11としては、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,4−フェニレン基が好ましい。
11で表される炭素数1〜12のアルカンジイル基としては、直鎖状の炭素数1〜12のアルカンジイル基が好ましい。炭素数1〜12のアルカンジイル基を構成する−CH−は、−O−に置き換っていてもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、へキサン−1,6−ジイル基、へプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基およびドデカン−1,12−ジイル基等の炭素数1〜12の直鎖状アルカンジイル基;−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−および−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−等が挙げられる。
11としては、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−が好ましく、中でも、−CO−O−がより好ましい。
12およびB13としては、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−が好ましく、中でも、−O−または−O−C(=O)−O−がより好ましい。
11で示される重合性基としては、光重合反応がし易いという点で、ラジカル重合性基またはカチオン重合性基が好ましく、取り扱いが容易な上、重合性液晶化合物の製造自体も容易であることから、重合性基は、下記の式(P−11)〜式(P−15)のいずれかで表わされる基、またはp−スチルベン基であることが好ましい。
Figure 0006569214
[式(P−11)〜(P−13)中、
17〜R21はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基または水素原子を表わす。]
式(P−11)〜式(P−13)で表わされる基の具体例としては、下記式(P−16)〜式(P−20)で表わされる基が挙げられる。
Figure 0006569214
11は、式(P−14)〜式(P−20)のいずれかで表わされる基、またはp−スチルベン基であることが好ましく、ビニル基、p−スチルベン基、エポキシ基またはオキセタニル基がより好ましい。
11−B11−で表わされる基が、アクリロイルオキシ基またはメタアクリロイルオキシ基であることがさらに好ましい。
化合物(X)としては、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)または式(VI)で表わされる化合物が挙げられる。
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-B16-E12-B17-P12 (I)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-F11 (II)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-E12-B17-P12 (III)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-F11 (IV)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-E12-B17-P12 (V)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-F11 (VI)
(式中、
12〜A14はそれぞれ独立に、A11と同義であり、B14〜B16はそれぞれ独立に、B12と同義であり、B17は、B11と同義であり、E12は、E11と同義である。
11は、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、ヒドロキシ基、メチロール基、ホルミル基、スルホ基(−SOH)、カルボキシ基、炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表わし、該アルキル基およびアルコキシ基を構成する−CH−は、−O−に置き換っていてもよい。
12は、水素原子又は重合性基を表し、好ましくは重合性基である。重合性基としては、上記P11と同様の重合性基が挙げられる。P11及びP12は少なくとも一方が、重合性基である。)
重合性液晶化合物の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の「3.8.6 ネットワーク(完全架橋型)」及び「6.5.1 液晶材料 b.重合性ネマチック液晶材料」、特開2010−31223号公報、特開2010−270108号公報、特開2011−6360号公報、並びに、特開2011−207765号公報に記載された化合物の中で重合性基を有し、250nm乃至370nmに極大吸収波長を有する化合物が挙げられる。
化合物(X)の具体例としては、下記式(I−1)〜式(I−4)、式(II−1)〜式(II−4)、式(III−1)〜式(III−22)、式(IV−1)〜式(IV−19)、式(V−1)〜式(V−2)および式(VI−1)〜式(VI−6)で表わされる化合物が挙げられる。なお、下記式中、k1およびk2は、それぞれ独立して、2〜12の整数を表わす。これらの化合物(X)は、その合成の容易さ、または、入手の容易さの点で、好ましい。
Figure 0006569214
Figure 0006569214
Figure 0006569214
Figure 0006569214
Figure 0006569214
Figure 0006569214
Figure 0006569214
Figure 0006569214
また、重合性液晶化合物としては、例えば、式(A)で表される化合物であって、250nm乃至370nmに極大吸収波長を有する化合物(以下「化合物(A)」という場合がある)も挙げられる。
化合物(A)としては、特表2011−207765号公報に記載されている重合性液晶化合物が挙げられる。
Figure 0006569214
[式(A)中、
は、酸素原子、硫黄原子またはNR−を表わす。Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わす。
は、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の1価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい炭素数3〜12の1価の芳香族複素環式基を表わす。
およびQは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−NRまたは−SRを表わすか、または、QとQとが互いに結合して、これらが結合する炭素原子とともに芳香環または芳香族複素環を形成する。RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わす。
およびDは、それぞれ独立に、単結合、−C(=O)−O−、−C(=S)−O−、−CR−、−CR−CR−、−O−CR−、−CR−O−CR−、−CO−O−CR−、−O−CO−CR−、−CR−O−CO−CR−、−CR−CO−O−CR−または−NR−CR−または−CO−NR−を表わす。
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わす。
およびGは、それぞれ独立に、炭素数5〜8の2価の脂環式炭化水素基を表わし、該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、硫黄原子または−NH−に置き換っていてもよく、該脂環式炭化水素基を構成するメチン基は、第三級窒素原子に置き換っていてもよい。
およびLは、それぞれ独立に、1価の有機基を表わし、LおよびLのうちの少なくとも一つは、重合性基を有する。]
で表される化合物も挙げられ、Lが式(A1)で表される基であり、かつ、Lが式(A2)で表される基である式(A)で表される化合物が好ましい。
−F−(B−A−E− (A1)
−F−(B−A−E− (A2)
[式(A1)および式(A2)中、
、B、EおよびEは、それぞれ独立に、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CS−O−、−O−CS−O−、−CO−NR1−、−O−CH−、−S−CH−または単結合を表わす。
およびAは、それぞれ独立に、炭素数5〜8の2価の脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を表わし、該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、硫黄原子またはNH−に置き換っていてもよく、該脂環式炭化水素基を構成するメチン基は、第三級窒素原子に置き換っていてもよい。
kおよびlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表わす。
およびFは、炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基を表わす。
は、重合性基を表わす。
は、水素原子または重合性基を表わす。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わす。]
重合性液晶化合物は、極大吸収波長が250nm〜350nmであるとより好ましく、250nm〜300nmであるとさらに好ましい。極大吸収波長帯が可視域である380nm〜780nmに入らなければ、得られる光学異方性膜の着色が少なくなるため好ましく、また、光重合開始剤の反応を阻害し難いため好ましい。
光学異方性膜形成用組成物における重合性液晶化合物の含有量は、光学異方性膜形成用組成物100質量部に対して、通常5〜50質量部であり、好ましくは10〜30質量部である。
<光重合開始剤>
光重合開始剤としては、光照射によりラジカルを発生するものが好ましい。
光重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンジルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、α−アセトフェノン化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩が挙げられる。具体的には、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369(以上、全てチバ・ジャパン株式会社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学株式会社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬株式会社製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170(以上、全て株式会社ADEKA製)、TAZ−A、TAZ−PP(以上、日本シイベルヘグナー社製)およびTAZ−104(三和ケミカル社製)等が挙げられる。中でも、α−アセトフェノン化合物が好ましく、α−アセトフェノン化合物としては、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン及び2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−(4−メチルフェニルメチル)ブタン−1−オン等が挙げられ、より好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン及び2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オンが挙げられる。α−アセトフェノン化合物の市販品としては、イルガキュア369、379EG、907(以上、BASFジャパン(株)製)及びセイクオールBEE(精工化学社製)等が挙げられる。
光重合開始剤は、光源から発せられるエネルギーを十分に活用でき、生産性に優れるため、極大吸収波長が300nm〜380nmであると好ましく、300nm〜360nmであるとより好ましい。
重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく重合性液晶化合物を重合するためには、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部である。
<溶剤>
溶剤としては、重合性液晶化合物等の光学異方性膜形成用組成物の構成成分を溶解し得る有機溶剤が好ましく、重合性液晶化合物等の光学異方性膜形成用組成物の構成成分を溶解し得る溶剤であって、且つ、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤がより好ましい。
具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、フェノール等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の非塩素化脂肪族炭化水素溶剤;トルエン、キシレン等の非塩素化芳香族炭化水素溶剤;アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤;およびクロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶剤;が挙げられる。二種以上の有機溶剤を組み合わせて用いてもよい。中でも、アルコール溶剤、エステル溶剤、ケトン溶剤、非塩素化脂肪族炭化水素溶剤および非塩素化芳香族炭化水素溶剤が好ましい。
溶剤の含有量は、固形分100質量部に対して、10〜10000質量部が好ましく、より好ましくは100〜5000質量部である。光学異方性膜形成用組成物中の固形分濃度は、通常1〜90質量%であり、好ましくは2〜50質量%であり、より好ましくは5〜50質量%である。”固形分”とは、光学異方性膜形成用組成物から溶剤を除いた成分の合計を意味する。
光学異方性膜形成用組成物は、さらに、重合禁止剤、光増感剤、レベリング剤、カイラル剤、反応性添加剤等を含んでもよい。
<重合禁止剤>
重合禁止剤は、重合性液晶化合物の重合反応をコントロールすることができる。
重合禁止剤としては、ハイドロキノンおよびアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類;ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類;ピロガロール類、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤;チオフェノール類;β−ナフチルアミン類およびβ−ナフトール類が挙げられる。
重合禁止剤の含有量は、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく、重合性液晶化合物を重合するためには、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部である。
<光増感剤>
光増感剤としては、キサントン、チオキサントン等のキサントン類;アントラセンおよびアルキルエーテル等の置換基を有するアントラセン類;フェノチアジン;ルブレンが挙げられる。
光増感剤を用いることにより、光重合開始剤を高感度化することができる。光増感剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部である。
<レベリング剤>
レベリング剤としては、有機変性シリコーンオイル系、ポリアクリレート系およびパーフルオロアルキル系のレベリング剤が挙げられる。具体的には、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST86PA、SH8400、SH8700、FZ2123(以上、全て東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、X22−161A、KF6001(以上、全て信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(以上、全てモメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン合同会社製)、フロリナート(fluorinert)(登録商標)FC−72、同FC−40、同FC−43、同FC−3283(以上、全て住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)R−08、同R−30、同R−90、同F−410、同F−411、同F−443、同F−445、同F−470、同F−477、同F−479、同F−482、同F−483(以上、いずれもDIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、全て三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S−381、同S−382、同S−383、同S−393、同SC−101、同SC−105、KH−40、SA−100(以上、全てAGCセイミケミカル(株)製)、商品名E1830、同E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM−1000、BM−1100、BYK−352、BYK−353及びBYK−361N(いずれも商品名:BM Chemie社製)が挙げられる。2種以上のレベリング剤を組み合わせてもよい。
レベリング剤を用いることにより、より平滑な光学異方性フィルムを形成することができる。また、光学異方性フィルムの製造過程で、光学異方性膜形成用組成物の流動性を制御したり、光学異方性フィルムの架橋密度を調整したりすることができる。レベリング剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.1〜30質量部であり、好ましくは0.1〜10質量部である。
<カイラル剤>
カイラル剤としては、公知のカイラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)が挙げられる。
カイラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もカイラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物としては、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が挙げられる。
具体的には、特開2007−269640号公報、特開2007−269639号公報、特開2007−176870号公報、特開2003−137887号公報、特表2000−515496号公報、特開2007−169178号公報および特表平9−506088号公報に記載されているような化合物が挙げられ、好ましくはBASFジャパン(株)製のpaliocolor(登録商標) LC756である。
カイラル剤の含有量は、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく、重合性液晶化合物を重合するためには、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.1〜30質量部であり、好ましくは1.0〜25質量部である。
<反応性添加剤>
反応性添加剤としては、その分子内に炭素−炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有するものが好ましい。なお、ここでいう「活性水素反応性基」とは、カルボキシル基(−COOH)、水酸基(−OH)、アミノ基(−NH)等の活性水素を有する基に対して反応性を有する基を意味し、エポキシ基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジン基、イミド基、イソシアナート基、チオイソシアナート基、無水マレイン酸基等がその代表例である。
反応性添加剤において、活性水素反応性基は少なくとも2つ存在すると好ましく、この場合、複数存在する活性水素反応性基は同一でも、異なるものであってもよい。
反応性添加剤が有する炭素−炭素不飽和結合は、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合又は、それらの組み合わせであってよく、好ましくは炭素−炭素二重結合である。中でも、反応性添加剤が、ビニル基及び/又は(メタ)アクリル基を含むと好ましい。さらに、活性水素反応性基が、エポキシ基、グリシジル基及びイソシアナート基からなる群から選ばれる少なくとも1種であるものが好ましく、アクリル基と、イソシアナート基とを有する反応性添加剤が特に好ましい。
反応性添加剤の具体例としては、メタクリロキシグリシジルエーテルやアクリロキシグリシジルエーテルなどの、(メタ)アクリル基とエポキシ基とを有する化合物;オキセタンアクリレートやオキセタンメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とオキセタン基とを有する化合物;ラクトンアクリレートやラクトンメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とラクトン基とを有する化合物;ビニルオキサゾリンやイソプロペニルオキサゾリンなどの、ビニル基とオキサゾリン基とを有する化合物;イソシアナートメチルアクリレート、イソシアナートメチルメタクリレート、2−イソシアナートエチルアクリレート及び20イソシアナートエチルメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とイソシアナート基とを有する化合物のオリゴマー等が挙げられる。また、メタクリル酸無水物、アクリル酸無水物、無水マレイン酸及びビニル無水マレイン酸などの、ビニル基やビニレン基と酸無水物とを有する化合物などが挙げられる。中でも、メタクリロキシグリシジルエーテル、アクリロキシグリシジルエーテル、イソシアナートメチルアクリレート、イソシアナートメチルメタクリレート、ビニルオキサゾリン、2−イソシアナートエチルアクリレート、2−イソシアナートエチルメタクリレート及び前記のオリゴマーが好ましく、イソシアナートメチルアクリレート、2−イソシアナートエチルアクリレート及び前記のオリゴマーが特に好ましい。
この好ましい反応性添加剤は、下記式(Y)で表される。
Figure 0006569214
[式(Y)中、
nは1〜10までの整数を表わし、R1’は、炭素数2〜20の2価の脂肪族又は脂環式炭化水素基、或いは炭素数5〜20の2価の芳香族炭化水素基を表わす。各繰り返し単位にある2つのR2’は、一方が−NH−であり、他方が>N−C(=O)−R3’で示される基である。R3’は、水酸基又は炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。
式(Y)中のR3’のうち、少なくとも1つのR3’は炭素−炭素不飽和結合を有する基である。]
前記式(Y)で表される反応性添加剤の中でも、下記式(YY)で表される化合物(以下、場合により「化合物(YY)」という。)が特に好ましい(なお、nは前記と同じ意味である)。
Figure 0006569214
化合物(YY)の市販品としては、例えば、Laromer(登録商標)LR−9000(BASF社製)等が挙げられる。
反応性添加剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.1〜30質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部である。
<塗布>
光学異方性膜形成用組成物を基材に塗布する方法としては、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法、スリットコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。また、ディップコーター、バーコーター、スピンコーター等のコーターを用いて塗布する方法等も挙げられる。中でも、RolltoRoll形式で連続的に塗布できる点で、CAPコーティング法、インクジェット法、ディップコーティング法、スリットコーティング法、ダイコーティング法およびバーコーターによる塗布方法が好ましい。RolltoRoll形式で塗布する場合、基材に配向性ポリマーを含む組成物を塗布して配向膜を形成し、さらに得られた配向膜上に光学異方性膜形成用組成物を連続的に塗布することもできる。
基材に塗布された光学異方性膜形成用組成物に光を照射し、重合性液晶化合物を重合することにより、光学異方性フィルムが得られる。ここで、基材に塗布された光学異方性膜形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物がネマチック相等の液晶相を示す場合、得られる光学異方性膜はモノドメイン配向による複屈折性を有する。
光照射は塗布された光学異方性膜形成用組成物にそのまま行ってもよいが、乾燥して溶剤を除去した後に光照射するのが好ましい。乾燥(溶剤の除去)は、光照射と並行して行ってもよいが、光照射を行う前に、ほとんどの溶剤を除去しておくことが好ましい。塗布された光学異方性膜形成用組成物から溶剤を除去し、液晶相に転移させることで、該光学異方性膜形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物は、通常、配向する。
乾燥方法としては、自然乾燥、通風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥およびこれらを組み合わせた方法が挙げられる。中でも、自然乾燥または加熱乾燥が好ましい。乾燥温度は、0〜250℃の範囲が好ましく、50〜220℃の範囲がより好ましく、60〜170℃の範囲がさらに好ましい。乾燥時間は、10秒間〜60分間が好ましく、より好ましくは30秒間〜30分間である。
光照射では、波長200nm乃至500nmの光であって、波長範囲が250nm未満の光を照射する。好ましくは波長が300nm乃至500nmの光であり、より好ましくは波長が365nmの光を含み、さらに好ましくは中心波長が365nmの光である。このような光の中でも、波長範囲が200nm以下の光がより好ましく、100nm以下の光がさらに好ましく、30nm以下の光がさらに好ましい。特に好ましくは波長が365nmの光のみからなる輝線である。
このような光を照射すると、重合性液晶化合物を重合する際に、余分なエネルギーが加わらないため重合性液晶化合物の配向性を向上させることができる。
波長が300nm以下の光は、重合性液晶化合物の分解や、配向欠陥の原因となることがあるため、波長が300nm以上の光を照射することが好ましい。
照射波長範囲が200nm以内であると、得られる光学異方性膜中の重合性液晶化合物の配向性がより向上するため好ましい。
照射される光が、波長が365nmの輝線のみであると、重合性液晶化合物の配向欠陥が特に抑制されるとともに、光照射により発生する熱の影響も除去できるため特に好ましい。
上記光を照射する方法としては、光源と塗布された光学異方性膜形成用組成物との間に所望の波長以外の光をカットするフィルターを入れる方法、上記の光を発する光源を用いる方法等が挙げられる。
波長範囲が200nm以内の光を照射する方法としては、市販の長波長カットフィルターと短波長カットフィルターを積層して使用する方法、及び、透過する波長範囲が制御されたバンドパスフィルターを用いる方法等が挙げられる。
波長が365nmの輝線を照射する方法としては、単一波長のみを透過するカットフィルターを用いる方法、LEDのように限定された波長のみを発する光源を用いる方法等が挙げられる。
光を照射する時間は、通常5秒〜10分であり、好ましくは5秒〜2分であり、より好ましくは5秒〜1分であり、さらに好ましくは5秒〜30秒である。上記範囲であれば、より透明性に優れた光学異方性膜を得ることができる。
本発明の製造方法は、長尺フィルムロールの基材に工程(A)及び(B)を連続して実施することが好ましい。
光学異方性膜の厚さは、その用途により適宜調節できるが、0.1μm〜10μmであることが好ましく、光弾性を小さくする点で0.2μm〜5μmであることがさらに好ましい。
本発明の製造方法により製造される光学異方性膜(以下、本光学異方性膜ということがある)は、本発明の製造方法で使用される基材と積層された状態で使用されてもよいし、該基材から剥がし取とり、その他の基材又は光学フィルムに貼り合わされて使用されてもよい。
本光学異方性膜は、好ましくは下記式(1)及び(2)を満たすものである。
Δn(450)/Δn(550)≦1.00 (1)
1.00≦Δn(650)/Δn(550) (2)
ここで、Δn(450)、Δn(550)、Δn(650)はそれぞれ波長450nm、550nm、650nmの光に対する複屈折を表す。
式(1)及び式(2)を満たすためには、上記化合物(A)が重合性液晶化合物として含まれていればよい。具体的には、特表2011−207765号公報に記載の方法が挙げられる。
本光学異方性膜は、好ましくは位相差性を有する。
本光学異方性膜は、光射出側の斜角から確認した場合の直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換したり、円偏光または楕円偏光を直線偏光に変換したり、直線偏光の偏光方向を変換したりするために用いられる位相差フィルムとして有用である。
また本光学異方性膜は、複数枚積層する又は、他のフィルムと組み合わせることにより、視野角補償フィルム、視野角拡大フィルム、反射防止フィルム、偏光フィルム、円偏光フィルム、楕円偏光フィルム及び輝度向上フィルム等に利用することができる。
本光学異方性膜を形成する重合性液晶化合物に含まれる、化合物(X)と化合物(A)との量を調整することにより、本光学異方性膜の位相差を調製することができる。また、得られる本光学異方性膜の位相差値(リタデーション値、Re(λ))は、式(4)のように決定されることから、所望のRe(λ)を得るためには、Δn(λ)と膜厚dを適宜調整すればよい。
Re(λ)=d×Δn(λ) (4)
(式中、Re(λ)は、波長λnmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける複屈折率を表す。)
本光学異方性膜の波長550nmの光に対する面内位相差値は、90nm〜180nmであることが好ましく、95nm〜170nmであることがより好ましく、100nm〜160nmであることがさらに好ましい。
本光学異方性膜は、偏光板を構成する部材としても有用である。本発明の偏光板は、本光学異方性膜を少なくとも一つ含むものである。
偏光板の具体例としては、図1(a)〜図1(e)で示される偏光板が挙げられる。図1(a)で示される偏光板4aは、位相差フィルム1と、偏光フィルム2とが、直接積層された偏光板であり、図1(b)で示される偏光板4bは、位相差フィルム1と偏光フィルム2とが、接着剤層3’を介して貼り合わされた偏光板である。図1(c)で示される偏光板4cは、位相差フィルム1と、位相差フィルム1’とを積層させ、さらに、位相差フィルム1’と偏光フィルム2とを積層させた偏光板であり、図1(d)で示される偏光板4dは、位相差フィルム1と、位相差フィルム1’とを接着剤層3を介して貼り合わせ、さらに、位相差フィルム1’上に偏光フィルム2を積層させた偏光板である。図1(e)で示される偏光板4eは、位相差フィルム1と、位相差フィルム1’とを接着剤層3を介して貼り合わせ、さらに、位相差フィルム1’と偏光フィルム2とを接着剤層3’を介して貼り合せた偏光板である。”接着剤”とは、接着剤および/または粘着剤の総称を意味する。上記位相差フィルム1及び位相差フィルム1’からなる群から選ばれる少なくも一つには本光学異方性膜が含まれる。
偏光フィルム2は、偏光機能を有するフィルムであればよい。当該フィルムとしては、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルム、及び、吸収異方性を有する色素を塗布したフィルム等が挙げられる。吸収異方性を有する色素としては、ヨウ素及びアゾ化合物等の二色性色素が挙げられる。
吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムとしては、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性色素を吸着させて延伸したフィルム及び、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸して二色性色素を吸着させたフィルム等が挙げられる。
吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムとしては、液晶性を有する二色性色素を含む組成物又は、二色性色素と重合性液晶化合物とを含む組成物を塗布して得られるフィルム等が挙げられる。
偏光機能を有するフィルムは、好ましくは、その片面又は両面に保護フィルムを有する。当該保護フィルムとしては、上記した基材と同一のものが挙げられる。
前記吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムとしては、具体的には、特許第3708062号、特許第4432487号等に記載の偏光板が挙げられる。
前記吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムとしては、具体的には、特開2012−33249号公報等に記載の偏光フィルムが挙げられる。
偏光フィルム2の厚みは薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。偏光フィルムの厚さは、通常0.1μm〜300μmであり、好ましくは1μm〜200μmであり、より好ましくは5μm〜100μmである。
接着剤層3及び接着剤層3’に用いられる接着剤は、透明性が高く耐熱性に優れた接着剤であることが好ましい。そのような接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤あるいはウレタン系接着剤等が用いられる。
本発明の表示装置としては、例えば、本光学異方性膜と、液晶パネルとが貼り合わされた液晶パネルを備える液晶表示装置や、本光学異方性膜と、発光層とが貼り合わされた有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」ともいう)パネルを備える有機EL表示装置を挙げることができる。本発明の表示装置の実施形態として、液晶表示装置と、有機EL表示装置とについて説明する。
液晶表示装置としては、図2(a)および図2(b)に示す液晶表示装置10aおよび10bが挙げられる。図2(a)に示す液晶表示装置10aでは、本発明の偏光板4と液晶パネル6とが、接着層5を介して貼り合わされている。図2(b)に示す液晶表示装置10bでは、本発明の偏光板4が液晶パネル6の一方の面に、本発明の偏光板4’が液晶パネル6の他方の面に、接着層5および接着層5’をそれぞれ介して貼り合わされた構造を有している。これら液晶表示装置では、図示しない電極を用いて、液晶パネルに電圧を印加することにより、液晶分子の配向が変化し、白黒表示が実現できる。
有機EL表示装置としては、図3に示す有機EL表示装置等が挙げられる。上記有機EL表示装置としては、本発明の偏光板4と、有機ELパネル7とを、接着層5を介して貼り合わせてなる有機EL表示装置11が挙げられる。上記有機ELパネル7は、導電性有機化合物からなる少なくとも1層の層である。上記構成によれば、図示しない電極を用いて、有機ELパネルに電圧を印加することにより、有機ELパネルが有する発光層に含まれる化合物が発光し、白黒表示ができる。
なお、上記有機EL表示装置11において、偏光板4は、広帯域円偏光板として機能するものであることが好ましい。広帯域円偏光板として機能するものであると、有機EL表示装置11の表面において外光の反射を防止することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」および「部」は、特記ない限り、質量%および質量部である。
実施例1
[光学異方性膜形成用組成物の調製]
表1の成分を混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、光学異方性膜形成用組成物を得た。
Figure 0006569214

表1において、括弧内の値は、調製した組成物の全量に対する各成分の含有割合を意味する。
表1におけるIrg369は、BASFジャパン社製のイルガキュア369であり、BYK361Nは、ビックケミージャパン製のレベリング剤であり、化合物(A1)は、下記式で示される液晶化合物である。
化合物(A1):
Figure 0006569214
化合物(A1)は、特開2010−31223号公報記載の方法で合成した。化合物(A1)及び光重合開始剤の極大吸収波長を表2に示す。
Figure 0006569214

表2において、化合物(A1)の極大吸収波長は、10−4Mクロロホルム溶液中において吸光度が0.01以上である、250nm以上の波長域を示し、重合開始剤は極大吸収波長を示す。
実施例1
ガラス基材にポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2重量%水溶液を塗布し、加熱乾燥後、厚さ89nm膜を得た。得られた膜の表面にラビング処理を施し、その上に光学異方性膜形成用組成物をスピンコート法により塗布し、加熱乾燥し、表3に記載の実施例1の条件でユニキュア(VB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて光を照射して光学異方性膜を得た。照射波長及び、波長範囲は、朝日分光株式会社製、バンドパスフィルター(LUX300)を用いて制御した。
実施例2、比較例1
上記実施例1において、光照射条件を表3に記載の実施例2又は比較例1とした以外は、上記実施例1と同じ条件で実施し、光学異方性膜を得た。
実施例2における照射波長及び、波長範囲は、朝日分光株式会社製、短波長カットフィルター(LX0365)を用いて制御した。比較例1では照射波長及び、波長範囲の制御は行わず、光源の光をそのまま照射した。
Figure 0006569214
光学特性の測定
実施例1、2及び比較例1で得られた光学異方性膜の位相差値を測定機(KOBRA−WR、王子計測機器社製)により測定した。位相差値(nm)の測定は、ガラス基板、配向膜及びフィルムを含む積層体について行ったが、ガラス基板及び配向膜は複屈折性を有さない(配向膜及びガラス基板については、Re(447)=Re(547)=Re(628)=0)ため、測定された位相差値を光学異方性膜の位相差値とすることができる。 位相差値Re(λ)は、波長(λ)451nm、549nm及び628nmにおいて測定した。また、光学異方性膜の膜厚をレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)で測定し、549nmにおける屈折率異方性Δn(549)を算出した。結果を表4に示す。
Figure 0006569214

実施例の光学異方性膜は、Δnが高く、高い光学特性を有することがわかった。
本発明は、Δnが高い、優れた光学特性を有する光学異方性膜の製造方法として有用である。
1、1’:本光学異方性膜
2:偏光フィルム
3、3’:接着剤層
4a、4b、4c、4d、4e、4、4’:本発明の偏光板
5、5’:接着層
6:液晶パネル
7:有機ELパネル
10a、10b:液晶表示装置
11:有機EL表示装置

Claims (8)

  1. 以下の工程(A)及び(B)をこの順に行う光学異方性膜の製造方法。
    (A)光重合開始剤と、溶剤と、250nm乃至370nmの範囲に極大吸収波長を有する重合性液晶化合物とを含む光学異方性膜形成用組成物を基材に塗布する工程であって、
    前記光重合開始剤はベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンジルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、α−アセトフェノン化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩である工程
    (B)塗布された光学異方性膜形成用組成物に、波長が300nm乃至500nmの光であって、波長範囲が200nm以下の光を照射し、波長300nm未満の光を照射しない工程
  2. 光重合開始剤の極大吸収波長が300nm乃至380nmである請求項1に記載の光学異方性膜の製造方法。
  3. 照射される光が、波長が365nmの光を含む請求項1又は2に記載の光学異方性膜の製造方法。
  4. 照射される光が、波長が365nmの輝線である請求項1〜3のいずれかに記載の光学異方性膜の製造方法。
  5. 重合性液晶化合物が、式(A)で表される化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の光学異方性膜の製造方法。
    Figure 0006569214
    [式(A)中、
    は、酸素原子、硫黄原子またはNR−を表わす。Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わす。
    は、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の1価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい炭素数3〜12の1価の芳香族複素環式基を表わす。
    およびQは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−NRまたは−SRを表わすか、または、QとQとが互いに結合して、これらが結合する炭素原子とともに芳香環または芳香族複素環を形成する。RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わす。
    およびDは、それぞれ独立に、単結合、−C(=O)−O−、−C(=S)−O−、−CR−、−CR−CR−、−O−CR−、−CR−O−CR−、−CO−O−CR−、−O−CO−CR−、−CR−O−CO−CR−、−CR−CO−O−CR−またはNR−CR−またはCO−NR−を表わす。
    、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わす。
    およびGは、それぞれ独立に、炭素数5〜8の2価の脂環式炭化水素基を表わし、該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、硫黄原子またはNH−に置き換っていてもよく、該脂環式炭化水素基を構成するメチン基は、第三級窒素原子に置き換っていてもよい。
    およびLは、それぞれ独立に、1価の有機基を表わし、LおよびLのうちの少なくとも一つは、重合性基を有する。]
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学異方性膜の製造方法を用いて光学異方性膜を得、られた光学異方性膜に、さらに偏光フィルムを積層させる工程を有する偏光板の製造方法。
  7. 請求項6に記載の偏光板の製造方法を用いて偏光板を得、
    得られた偏光板と液晶パネルとを粘着剤層を介して貼り合わせる工程を有する液晶表示装置の製造方法。
  8. 請求項6に記載の偏光板の製造方法を用いて偏光板を得、
    得られた偏光板と有機ELパネルとを粘着剤層を介して貼り合わせる工程を有する有機EL表示装置の製造方法。
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