以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図7は、本実施の形態による有価媒体処理装置を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における有価媒体処理装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す有価媒体処理装置の内部構成を示す構成図である。また、図3は、図1および図2に示す有価媒体処理装置における収納庫ロック部やカセットロック部の構成や設置場所を示す、有価媒体処理装置の下部の内部構成の拡大図である。また、図4は、図3に示す有価媒体処理装置の下部の内部構成において、第1の収納庫のみを有価媒体処理装置の筐体から引き出したときの状態を示す図であり、図5は、図3に示す有価媒体処理装置の下部の内部構成において、第1の収納庫および第2の収納庫を一体的に有価媒体処理装置の筐体から引き出したときの状態を示す図である。また、図6は、図1および図2に示す有価媒体処理装置の機能ブロック図であり、図7は、図1および図2に示す有価媒体処理装置の操作表示部における、各収納カセットに対応する収納有価媒体の種類や管理権限の設定画面である。
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の商業施設の店舗において、顧客が立ち入ることができるフロント領域には様々な商品が陳列された商品棚が設置されているとともに、このフロント領域の精算所にはレジ釣銭機が設置されている。顧客がこのような精算所で精算処理を行う際に、店員は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣や商品券をレジ釣銭機に入金したり、釣銭としての貨幣をレジ釣銭機から出金して顧客に返却したりするようになっている。また、このような店舗における顧客の立ち入りが禁止されたバックヤード領域(具体的には、例えば出納室)には、レジ釣銭機から回収された売上金としての貨幣を入金したり、レジ釣銭機用の釣銭準備金としての貨幣を出金したりする売上入金機が設置されている。また、このような売上入金機がショッピングセンターに設置される場合には、フロント領域の精算所に設置されたレジ釣銭機から回収された売上金としての貨幣に加えて、ショッピングセンター内の各テナントから持ち込まれた売上金としての貨幣が当該売上入金機に入金されるようになる。売上入金機に入金された売上金としての貨幣は、警送会社の収集担当者により回収されて当該警送会社の管理センターに運搬されるようになっている。本実施の形態では、このような売上入金機として、紙幣、硬貨、商品券等を含む有価媒体の処理を一つの装置で行うような有価媒体処理装置10が用いられるようになっている。このような有価媒体処理装置10の構成の概略について図1および図2を用いて説明する。
まず、本実施の形態による有価媒体処理装置10により処理される商品券の種類について説明する。商品券の種類としては、有価媒体処理装置10が設置された店舗等により発行され、この店舗内で処理される自店精算券、および有価媒体処理装置10から警送会社の収集担当者により回収されて当該警送会社の管理センターに運搬され、この管理センターで処理される他店精算券がある。自店精算券には、商品券から読み取ったデータのみを警送会社の管理センターに送信し、商品券の現物自体は店舗内で処分されるようなデータ請求券も含まれる。一方、他店精算券には、商品券から読み取ったデータを警送会社の管理センターに送信するが、商品券の現物自体も管理センターに運搬されてこの管理センターで処分されるような現物請求券も含まれる。また、商品券の更に他の種類としては、有価媒体処理装置10の紙葉類識別部26(後述)により識別できたが、商品券の有効期限切れや発行元の倒産等により店舗内で取り扱いを行うことができない取扱不可券や、有価媒体処理装置10の記憶部84(後述)で辞書登録されていない取扱不可券、ならびに有価媒体処理装置10の紙葉類識別部26(後述)により識別することができない識別不能券等がある。
図1に示すように、本実施の形態による有価媒体処理装置10は略直方体形状の筐体12を有しており、この筐体12内には、紙幣や商品券等の紙葉類の処理を行う紙葉類処理機構20および硬貨の処理を行う硬貨処理機構50がそれぞれ設けられている。また、有価媒体処理装置10を正面から見て右側部分には上方から順に紙葉類投入部22、紙葉類リジェクト部30、および紙葉類集積部32(後述)の前面開口を開閉するためのシャッタ33がそれぞれ配設されている。また、有価媒体処理装置10を正面から見て左側部分には硬貨投入部52が配設されている。また、有価媒体処理装置10の上側部分には例えばタッチパネル等からなる操作表示部82が配設されている。また、有価媒体処理装置10の前面下部には下部扉14が設けられており、この下部扉14を開くことにより、筐体12内に収容された紙葉類収納カセット38、40(後述)や硬貨収納カセット68、70(後述)を筐体12の外部に引き出すことができるようになっている。
次に、このような有価媒体処理装置10における紙葉類処理機構20および硬貨処理機構50の構成の詳細についてそれぞれ図2を用いて以下に説明する。図2に示すように、紙葉類処理機構20において、紙葉類投入部22には紙葉類繰出部23が設けられており、この紙葉類投入部22に積層状態で投入された紙幣や商品券等の紙葉類は紙葉類繰出部23により1枚ずつ有価媒体処理装置10の筐体12内に繰り出されるようになっている。また、紙葉類投入部22には紙葉類搬送部24が接続されており、紙葉類繰出部23により紙葉類投入部22から繰り出された紙幣や商品券等の紙葉類は紙葉類搬送部24により1枚ずつ搬送されるようになっている。また、紙葉類搬送部24には紙葉類識別部26が介設されており、紙葉類搬送部24により搬送される紙幣や商品券等の紙葉類は紙葉類識別部26によりその種類や金種等について識別が行われるようになっている。より詳細には、紙葉類識別部26には撮像部としてイメージセンサ27が設けられており、このイメージセンサ27により紙幣や商品券等の紙葉類の表面が撮像されてその画像データが取得されるようになっている。
また、紙葉類搬送部24における紙葉類識別部26によりも下流側には消し込み部28が設けられている。消し込み部28は例えばインクジェットプリンタ等からなり、紙葉類識別部26により識別が行われた紙葉類が商品券である場合には、このような商品券の表面に対して消し込み部28により「済」印等の所定の内容が印字されるようになっている。このことにより、有価媒体処理装置10の筐体12内に投入されて紙葉類識別部26により識別が行われた商品券について、所定の内容が印字されることにより、操作者はこのような商品券が紙葉類処理機構20で処理済のものであることを視認することができるようになる。なお、消し込み部28により商品券に印字される内容や位置は任意に設定することができるようになっている。また、商品券の種類に応じて、消し込み部28による印字を行うか否かの設定を行うことができるようになっている。
また、図2に示すように、紙葉類搬送部24にはリジェクト部30が接続されており、紙葉類識別部26により識別された紙葉類のうち、正常な紙幣ではないと識別された紙幣がリジェクト紙幣として紙葉類搬送部24からリジェクト部30に送られてこのリジェクト部30に集積されるようになっている。リジェクト部30は有価媒体処理装置10の筐体12の外部から操作者がアクセス可能となっており、リジェクト部30に集積されたリジェクト紙幣は操作者により筐体12の外部に取り出されるようになっている。
また、図2に示すように、紙葉類搬送部24には紙葉類集積部32が接続されており、紙葉類識別部26により識別された紙葉類のうち予め設定された所定の種類の紙葉類が紙葉類搬送部24から紙葉類集積部32に送られてこの紙葉類集積部32に集積されるようになっている。図1および図2に示すように、紙葉類集積部32には、この紙葉類集積部32の前面開口の開閉を行うシャッタ33が設けられており、このシャッタ33を開くことにより、操作者は紙葉類集積部32に集積された紙葉類を有価媒体処理装置10の筐体12の外部に取り出すことができるようになっている。このようなシャッタ33の開閉は後述する制御部80により制御されるようになっている。なお、紙葉類集積部32の前面開口にシャッタ33を設置することを省略することもでき、この場合には、紙葉類集積部32は有価媒体処理装置10の筐体12の外部から操作者がいつでもアクセス可能となる。
また、図2に示すように、紙葉類搬送部24には第1の紙葉類一時保留部34および第2の紙葉類一時保留部36がそれぞれ接続されており、紙葉類識別部26により識別された紙葉類のうち予め設定された所定の種類の紙葉類が紙葉類搬送部24から第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に送られてこれらの第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に一時的に保留されるようになっている。また、第1の紙葉類一時保留部34の下方には第1の紙葉類収納カセット38が設けられているとともに、第2の紙葉類一時保留部36の下方には第2の紙葉類収納カセット40が設けられている。そして、第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に紙葉類が一時的に保留された後、有価媒体処理装置10の制御部80(後述)に対して操作表示部82(後述)により入金承認の指令が与えられると、第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36の底面が開放されてこれらの第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に一時的に保留されている紙葉類が第1の紙葉類収納カセット38や第2の紙葉類収納カセット40に収納されるようになっている。これらの第1の紙葉類収納カセット38や第2の紙葉類収納カセット40は、有価媒体処理装置10の筐体12から取り外し可能となっており、第1の紙葉類収納カセット38や第2の紙葉類収納カセット40を筐体12から取り外すことによりこれらの第1の紙葉類収納カセット38や第2の紙葉類収納カセット40に収納されている紙葉類を取り出すことができるようになっている。なお、筐体12からの第1の紙葉類収納カセット38や第2の紙葉類収納カセット40の取り外し方法の詳細については後述する。
また、第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に紙葉類が一時的に保留された後、有価媒体処理装置10の制御部80(後述)に対して操作表示部82(後述)により返却の指令が与えられると、第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に一時的に保留された紙葉類が有価媒体処理装置10の筐体12の外部に返却されるようになっている。具体的には、例えば、第1の紙葉類一時保留部34に一時的に保留された紙葉類については、この第1の紙葉類一時保留部34の前面に設けられたシャッタ(図示せず)が開放されることにより、操作者は第1の紙葉類一時保留部34内にアクセスしてこの第1の紙葉類一時保留部34から紙葉類を取り出すことができるようになる。また、第2の紙葉類一時保留部36に一時的に保留された紙葉類については、この第2の紙葉類一時保留部36自体を筐体12の前方側に引き出すことにより、操作者は第2の紙葉類一時保留部36内にアクセスしてこの第2の紙葉類一時保留部36から紙葉類を取り出すことができるようになる。
本実施の形態では、紙葉類処理機構20における紙葉類を収納する第1の紙葉類収納カセット38および第2の紙葉類収納カセット40について、その管理権限(例えば、店舗側の管理権限か警送会社側の管理権限か)や、収納されるべき紙葉類の種類(例えば、紙幣、商品券、あるいは紙幣および商品券の混合)をそれぞれ設定することができるようになっている。このような第1の紙葉類収納カセット38および第2の紙葉類収納カセット40についての設定内容の詳細については後述する。
次に、硬貨処理機構50の構成について以下に説明する。図1および図2に示すように、硬貨処理機構50には例えばホッパ等からなる硬貨投入部52が設けられており、この硬貨投入部52には硬貨搬送部54が接続されている。ここで、硬貨投入部52に投入された硬貨は硬貨搬送部54により一層一列状態で1枚ずつ搬送されるようになっている。また、硬貨搬送部54には硬貨識別部56が設けられており、硬貨搬送部54により搬送される硬貨は硬貨識別部56によりその真偽や金種等について識別が行われるようになっている。
また、硬貨識別部56よりも硬貨の搬送方向における下流側において、硬貨搬送部54の搬送面には硬貨リジェクト口および2つの分岐口がそれぞれ設けられており、これらの硬貨リジェクト口や各分岐口にはソレノイド付き選別部材(図示せず)がそれぞれ設けられている。そして、各ソレノイド付き選別部材により、硬貨搬送部54により搬送される硬貨が硬貨リジェクト口や各分岐口に選択的に入れられ、硬貨搬送部54から分岐されるようになっている。
図2に示すように、硬貨搬送部54における硬貨リジェクト口の下方には硬貨リジェクトシュート58を介して硬貨リジェクト部60が設けられている。ここで、硬貨識別部56により識別された硬貨のうち、正常な硬貨ではないリジェクト硬貨は硬貨リジェクト口により硬貨搬送部54から分岐されて硬貨リジェクトシュート58に送られ、この硬貨リジェクトシュート58により硬貨リジェクト部60に導かれるようになっている。このような硬貨リジェクト部60は有価媒体処理装置10の筐体12の外部に取り出し可能となっており、操作者は、硬貨リジェクト部60を筐体12の外部に取り出した後、この硬貨リジェクト部60からリジェクト硬貨を取り出すようになっている。
また、硬貨搬送部54に設けられた2つの分岐口の各々の下方には第1の硬貨搬送シュート61および第2の硬貨搬送シュート63を介して第1の硬貨一時保留部62および第2の硬貨一時保留部64がそれぞれ設けられており、所定の金種の硬貨がそれぞれ硬貨搬送部54から分岐口により分岐されて第1の硬貨搬送シュート61や第2の硬貨搬送シュート63に送られ、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64に一時的に保留されるようになっている。ここで、第1の硬貨一時保留部62および第2の硬貨一時保留部64はそれぞれ、上方および下方が開口された枠体と、この枠体の下方開口を選択的に閉じる底板とを有しており、枠体の下方開口を底板が閉じた状態で、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64に硬貨が一時的に保留されるようになっている。
また、図2に示すように、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64の下方には、硬貨返却箱66、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70がそれぞれ設けられており、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64に一時的に保留された硬貨は、これらの硬貨返却箱66、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70のうち何れかに送られるようになっている。ここで、第1の硬貨収納カセット68には第1の硬貨一時保留部62に一時的に保留された硬貨が送られるようになっており、また、第2の硬貨収納カセット70には第2の硬貨一時保留部64に一時的に保留された硬貨が送られるようになっている。また、硬貨返却箱66は2つの領域に区分けされている。そして、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64に硬貨が一時的に保留された後、有価媒体処理装置10の制御部80(後述)に対して操作表示部82(後述)により入金承認の指令が与えられると、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64の枠体が水平方向に移動して、この枠体内にある硬貨がそれぞれ第1の硬貨収納カセット68や第2の硬貨収納カセット70に収納されるようになる。これらの第1の硬貨収納カセット68や第2の硬貨収納カセット70は、有価媒体処理装置10の筐体12から取り外し可能となっており、第1の硬貨収納カセット68や第2の硬貨収納カセット70を筐体12から取り外すことによりこれらの第1の硬貨収納カセット68や第2の硬貨収納カセット70に収納されている硬貨を取り出すことができるようになっている。なお、筐体12からの第1の硬貨収納カセット68や第2の硬貨収納カセット70の取り外し方法の詳細については後述する。
また、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64に硬貨が一時的に保留された後、有価媒体処理装置10の制御部80(後述)に対して操作表示部82(後述)により返却の指令が与えられると、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64の底板が水平方向に移動して枠体の下部開口が開くことにより、この枠体内にある硬貨が硬貨返却箱66に収納される。ここで、前述したように硬貨返却箱66は2つの領域に区分けされており、第1の硬貨一時保留部62および第2の硬貨一時保留部64からそれぞれ送られた硬貨が、2つに区分けされた各領域に収納されるようになる。硬貨返却箱66は有価媒体処理装置10の筐体12から前方に引き出し可能となっており、硬貨返却箱66を筐体12から前方に引き出すことにより操作者はこの硬貨返却箱66から返却硬貨を取り出すことができるようになる。
本実施の形態では、硬貨処理機構50における硬貨を収納する第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70について、紙葉類処理機構20における紙葉類を収納する第1の紙葉類収納カセット38および第2の紙葉類収納カセット40と同様に、その管理権限(例えば、店舗側の管理権限か警送会社側の管理権限か)を設定することができるようになっている。このような第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70についての設定内容の詳細については後述する。
また、本実施の形態では、紙葉類集積部32、第1の紙葉類収納カセット38、第2の紙葉類収納カセット40、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70からなる各有価媒体収納部へのアクセスが規制部により有価媒体収納部毎に規制されるようになっている。より詳細には、紙葉類収納カセット38、40や硬貨収納カセット68、70については、各収納カセットに対応してカセットロック部114、116、118、120が設けられており、これらのカセットロック部114、116、118、120により有価媒体処理装置10の筐体12内に各収納カセットを選択的にロックして取出不可とするようになっている。このようなカセットロック部114、116、118、120の構成について図3乃至図5を用いて説明する。ここで、図3は、図1および図2に示す有価媒体処理装置10における収納庫ロック部110、112やカセットロック部114、116、118、120の構成や設置場所を示す、有価媒体処理装置10の下部の内部構成の拡大図であり、図4は、図3に示す有価媒体処理装置10の下部の内部構成において、第1の収納庫102のみを有価媒体処理装置10の筐体12から引き出したときの状態を示す図である。また、図5は、図3に示す有価媒体処理装置10の下部の内部構成において、第1の収納庫102および第2の収納庫104を一体的に有価媒体処理装置10の筐体12から引き出したときの状態を示す図である。
図3に示すように、有価媒体処理装置10の下部における内部には、第1の紙葉類収納カセット38を収容する第1の収納庫102、ならびに第2の紙葉類収納カセット40、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70をそれぞれ収容する第2の収納庫104が設けられている。これらの第1の収納庫102および第2の収納庫104はそれぞれ有価媒体処理装置10の筐体12の前面から水平方向に引き出し可能となっている。より詳細には、図1に示すように、有価媒体処理装置10の筐体12の前面下部には下部扉14が設けられており、この下部扉14を開くことにより、第1の収納庫102および第2の収納庫104をそれぞれ有価媒体処理装置10の筐体12の前面から手前側に引き出すことができるようになっている。また、第1の収納庫102には、第1の紙葉類収納カセット38が当該第1の収納庫102に収容されているときにこのことを検知するカセット装着検知センサ(図示せず)が設けられており、また、第2の収納庫104にも、第2の紙葉類収納カセット40、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70の各々が当該第2の収納庫104に収納されているときにこのことを検知するカセット装着検知センサ(図示せず)が各カセット40、68、70に対応してそれぞれ設けられている。
また、図3に示すように、有価媒体処理装置10の筐体12の下部における内部には第1の収納庫ロック部110が設けられており、この第1の収納庫ロック部110は、筐体12に対して第2の収納庫104を選択的にロックしてこの筐体12から第2の収納庫104を取出不可とするようになっている。また、第1の収納庫102には、第1の収納庫102と第2の収納庫104とを連結するための第2の収納庫ロック部112が設けられており、この第2の収納庫ロック部112は、第2の収納庫104に対して第1の収納庫102を選択的にロックして第1の収納庫102と第2の収納庫104とを分離させないようになっている。すなわち、第2の収納庫ロック部112によるロック状態が解除されると、第1の収納庫102を第2の収納庫104から分離させることができるようになっている。ここで、第1の収納庫ロック部110や第2の収納庫ロック部112によりロックを行うか否かは、後述する制御部80により制御されるようになっている。
また、第1の収納庫102には第1のカセットロック部114が設けられており、この第1のカセットロック部114は、第1の収納庫102に対して第1の紙葉類収納カセット38を選択的にロックしてこの第1の収納庫102から第1の紙葉類収納カセット38を取出不可とするようになっている。また、第2の収納庫104には第2のカセットロック部116が設けられており、この第2のカセットロック部116は、第2の収納庫104に対して第2の紙葉類収納カセット40を選択的にロックしてこの第2の収納庫104から第2の紙葉類収納カセット40を取出不可とするようになっている。また、第2の収納庫104には第3のカセットロック部118および第4のカセットロック部120がそれぞれ設けられており、これらの第3のカセットロック部118および第4のカセットロック部120は、各々、第2の収納庫104に対して第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70を選択的にロックしてこの第2の収納庫104から第1の硬貨収納カセット68や第2の硬貨収納カセット70を取出不可とするようになっている。ここで、各カセットロック部114、116、118、120によりロックを行うか否かは、後述する制御部80により制御されるようになっている。
本実施の形態の有価媒体処理装置10において第1の紙葉類収納カセット38から紙葉類を取り出す場合には、まず、図4に示すように、第2の収納庫ロック部112によるロック状態を解除し、第1の収納庫102を第2の収納庫104から分離させる。このことにより、操作者は有価媒体処理装置10の下部扉14を開けて第1の収納庫102を筐体12の前面から手前側に引き出すことができるようになる。次に、第1のカセットロック部114によるロック状態を解除し、第1の紙葉類収納カセット38を第1の収納庫102から例えば上方に取り出すことができるようにする。このことにより、第1の紙葉類収納カセット38を有価媒体処理装置10の筐体12から取り出し、この第1の紙葉類収納カセット38に収納された紙葉類を取り出すことができるようになる。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10において第2の紙葉類収納カセット38から紙葉類を取り出したり、第1の硬貨収納カセット68や第2の硬貨収納カセット70から硬貨を取り出したりする場合には、まず、図5に示すように、第1の収納庫ロック部110によるロック状態を解除し、第1の収納庫102および第2の収納庫104を連結した状態で有価媒体処理装置10の筐体12から取り出す。具体的には、操作者は有価媒体処理装置10の下部扉14を開けて第1の収納庫102および第2の収納庫104を一体的に筐体12の前面から手前側に引き出す。次に、第2〜第4のカセットロック部116、118、120によるロック状態を解除し、第2の紙葉類収納カセット38、第1の硬貨収納カセット68、第2の硬貨収納カセット70をそれぞれ第2の収納庫104から例えば上方に取り出すことができるようにする。このことにより、第2の紙葉類収納カセット38、第1の硬貨収納カセット68、第2の硬貨収納カセット70をそれぞれ有価媒体処理装置10の筐体12から取り出し、これらの第2の紙葉類収納カセット38、第1の硬貨収納カセット68、第2の硬貨収納カセット70に収納された紙葉類や硬貨を取り出すことができるようになる。
なお、第1の紙葉類収納カセット38から紙葉類を取り出す場合でも、図5に示すように、第1の収納庫ロック部110によるロック状態を解除し、第1の収納庫102および第2の収納庫104を連結した状態で有価媒体処理装置10の筐体12から取り出し、その後、第1のカセットロック部112によるロック状態を解除することにより、第1の紙葉類収納カセット38を第1の収納庫102から取り出してもよい。
また、本実施の形態では、上述した規制部により紙葉類集積部32へのアクセスも選択的に規制することができるようになっている。具体的には、規制部は、紙葉類集積部32の前面開口を開閉するためのシャッタ33の開閉を選択的に規制することにより、当該前面開口をシャッタ33により閉じた場合には操作者が紙葉類集積部32から紙葉類を筐体12の外部に取り出せないようにし、一方、紙葉類集積部32の前面開口をシャッタ33が開いた場合には操作者が紙葉類集積部32から紙葉類を筐体12の外部に取り出せるようにしている。
また、図6に示すように、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、この有価媒体処理装置10における各構成要素の制御を行う制御部80が設けられている。より詳細には、制御部80には紙葉類処理機構20、硬貨処理機構50、各収納庫ロック部110、112および各カセットロック部114、116、118、120がそれぞれ接続されており、この制御部80から各構成要素に指令信号が送られることにより、これらの各構成要素が制御されるようになっている。また、前述したように、有価媒体処理装置10の上側部分には例えばタッチパネル等からなる操作表示部82が配設されているが、この操作表示部82も制御部80に接続されており、このことにより、操作者は操作表示部82によって制御部80に対して様々な指令を与えたり、あるいは操作表示部82における表示内容が制御部80により制御されたりするようになっている。このような操作表示部82には、例えば操作ガイダンスや入金処理時の取引データ、あるいは各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32に収納された貨幣や商品券の在高等のデータが表示されるようになっている。
また、制御部80には記憶部84が接続されており、この記憶部84には、入金処理時の取引データや、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32に収納された貨幣や商品券の在高等のデータが記憶されるようになっている。また、記憶部84には、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32と管理権限との関係や、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32と有価媒体の種類との関係も、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32毎に記憶するようになっている。このことについては後に詳述する。
また、制御部80には、操作者の管理権限を認証するための認証部86が設けられている。認証部86は、例えば操作者が携帯するICカードの読み取りを行うカードリーダからなり、このようなカードリーダで操作者が携帯するICカードの読み取りを行うことによりこの操作者の管理権限が店舗側の管理権限および警送会社側の管理権限のうち何れかを判定するようになっている。なお、認証部86としては、操作者が携帯する磁気カードの読み取りを行う磁気カードリーダが用いられてもよい。また、操作者は、ICカードをカードリーダに読み取らせる代わりに、操作表示部82や別途設けられたキーボード等(図示せず)により操作者IDやパスワードを入力し、この入力された操作者IDやパスワードに基づいて認証部86が操作者の管理権限を認証するようになっていてもよい。また、認証部86は、操作者の指紋や網膜をチェックするような生体認証を行うようになっていてもよい。
また、制御部80にはプリンタ88が接続されており、このプリンタ88により、入金処理時の取引データや、有価媒体処理装置10の締め処理や回収処理の際における各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32に収納された貨幣や商品券の在高等のデータ等の印字が行われるようになっている。
また、制御部80にはインターフェース90が接続されており、このインターフェース90により、有価媒体処理装置10の制御部80は上位装置等の外部装置に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。具体的には、有価媒体処理装置10の入金処理時の取引データがインターフェース90を介して外部装置に送信されたり、後述する各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32と管理権限との関係のパターンに関する情報がインターフェース90により外部装置から受信されたりするようになっている。なお、本実施の形態の有価媒体処理装置10に通信可能に接続される外部装置としては、警送会社や商品券の発行会社の管理コンピュータがある。また、施設内に複数台の有価媒体処理装置10が設置される場合は、上位の管理装置や他の有価媒体処理装置10と接続されることもある。
本実施の形態では、前述したように、紙葉類処理機構20における紙葉類を収納する第1の紙葉類収納カセット38、第2の紙葉類収納カセット40および紙葉類集積部32について、その管理権限(例えば、店舗側の管理権限か警送会社側の管理権限か)や、収納されるべき紙葉類の種類(例えば、紙幣、商品券、あるいは紙幣および商品券の混合)が予め割り当てられている。また、硬貨処理機構50における硬貨を収納する第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70についても、その管理権限が予め割り当てられている。ここで、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32と、管理権限や収納有価媒体の種類との関係は、収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32毎に記憶部84に予め記憶されるようになっている。そして、操作者が有価媒体処理装置10から貨幣や商品券を取り出す際に、制御部80は、記憶部84に記憶された、収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32と管理権限との関係に基づいて、認証部86により認証された操作者の管理権限に対応する収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32のみへのアクセスを認容するよう規制部を制御するようになっている。より詳細には、認証部86により認証された操作者の管理権限に対応する収納カセット38、40、68、70のみを有価媒体処理装置10の筐体12から外部に取出可能としたり、認証部86により認証された操作者の管理権限と紙葉類集積部32に割り当てられた管理権限とが一致する場合にのみこの紙葉類集積部32の前面開口をシャッタ33が開いたりするようになっている。
具体的に説明すると、例えば、第1の紙葉類収納カセット38に店舗側の管理権限が割り当てられており、一方、第2の紙葉類収納カセット40、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70にそれぞれ警送会社側の管理権限が割り当てられている場合には、店舗側の管理権限を有する操作者は、この操作者が携帯するICカードを認証部86のカードリーダで読み取らせることにより、認証部86は操作者の管理権限が店舗側の管理権限であるという認証を行う。この場合には、第1の紙葉類収納カセット38のみを有価媒体処理装置10の筐体12から外部に取り出すことができるようになる。より詳細には、制御部80が第2の収納庫ロック部112および第1のカセットロック部114のロック状態を解除する。このことにより、図4に示すように、操作者は有価媒体処理装置10の下部扉14を開けた後、第1の収納庫102を第2の収納庫104から分離させることにより、この第1の収納庫102を筐体12の前面から手前側に引き出すことができるようになる。そして、第1のカセットロック部114によるロック状態が解除されているため、操作者は第1の紙葉類収納カセット38を第1の収納庫102から例えば上方に取り出すことができるようになる。このことにより、操作者は第1の紙葉類収納カセット38を有価媒体処理装置10の筐体12から取り出し、この第1の紙葉類収納カセット38から紙葉類を取り出すことができるようになる。また、認証部86により操作者の認証が行われた際に、当該操作者が取り出すことができる紙葉類収納カセット38、40や硬貨収納カセット68、70の位置や、収納される有価媒体の種類や、紙葉類収納カセット38、40や硬貨収納カセット68、70を筐体12内から取り出す手順等が、操作表示部82に表示される。このことにより、操作者は操作表示部82における表示内容を確認しながら貨幣や商品券の回収作業を進めることができる。
また、第1の紙葉類収納カセット38に店舗側の管理権限が割り当てられており、一方、第2の紙葉類収納カセット40、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70にそれぞれ警送会社側の管理権限が割り当てられている場合において、警送会社側の管理権限を有する操作者(具体的には、警送会社の収集担当者)は、この操作者が携帯するICカードを認証部86のカードリーダで読み取らせることにより、認証部86は操作者の管理権限が警送会社側の管理権限であるという認証を行う。この場合には、第2の紙葉類収納カセット40、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70を有価媒体処理装置10の筐体12から外部に取り出すことができるようになる。より詳細には、制御部80が第1の収納庫ロック部110および第2〜第4のカセットロック部116、118、120のロック状態を解除する。このことにより、図5に示すように、操作者は有価媒体処理装置10の下部扉14を開けた後、第1の収納庫102および第2の収納庫104を一体的に筐体12の前面から手前側に引き出すことができるようになる。そして、第2〜第4のカセットロック部116、118、120によるロック状態が解除されているため、操作者は第2の紙葉類収納カセット40、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70をそれぞれ第2の収納庫104から例えば上方に取り出すことができるようになる。このことにより、操作者は第2の紙葉類収納カセット40、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70を有価媒体処理装置10の筐体12から取り出し、これらの収納カセット40、68、70に収納された紙葉類や硬貨の回収処理を行うことができるようになる。なお、この際には、第1のカセットロック部114による第1の紙葉類収納カセット38のロック状態が維持されたままとなるので、この第1のカセットロック部114を第1の収納庫102から取り出すことはできないようになる。
本実施の形態の有価媒体処理装置10においてこのような運用がなされる場合には、店舗のフロント領域に設けられたレジ釣銭機に補充されるべき釣銭準備金としての紙幣を第1の紙葉類収納カセット38に収納させ、その他の貨幣や商品券を警送会社により回収されるべき有価媒体として第2の紙葉類収納カセット40、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70に収納させるよう各収納カセットについて管理権限や媒体の種類を割り当てておくことにより、有価媒体処理装置10の各カセットに収納された紙幣、硬貨、商品券等の有価媒体について、警送会社以外の店舗側の操作者でも有価媒体処理装置10の機体内から例えば釣銭準備金として取り出すことができるようになり、このため操作者にとっての利便性を向上させることができる。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、紙葉類集積部32には概ね店舗側の管理権限が割り当てられる場合が多い。この場合には、店舗側の管理権限を有する操作者は、この操作者が携帯するICカードを認証部86のカードリーダで読み取らせることにより、認証部86において操作者の管理権限の認証が行われると、シャッタ33が自動的に紙葉類集積部32の前面開口を開き、操作者は紙葉類集積部32に集積された紙葉類を有価媒体処理装置10の筐体12の外部に取り出すことができるようになる。紙葉類集積部32に店舗側の管理権限が割り当てられている場合には、この紙葉類集積部32に釣銭準備金としての紙幣を集積させることができるようになる。
次に、本実施の形態の有価媒体処理装置10における、各収納カセット38、40、68、70に対応する収納有価媒体の種類や管理権限の設定方法について図7を用いて説明する。各収納カセット38、40、68、70に対応する収納有価媒体の種類や管理権限の設定は、概ね店舗への有価媒体処理装置10の導入時(すなわち、有価媒体処理装置10の設置時)に行われるようになっており、メンテナンス員は、操作表示部82において有価媒体処理装置10のモードをメンテナンスモードとして当該操作表示部82に図7に示すような設定画面を表示させることにより各収納カセットに対応する収納有価媒体の種類や管理権限の設定を行うようになっている。図7に示すように、各収納カセット38、40、68、70に対応する収納有価媒体の種類や管理権限の設定画面において、各紙葉類収納カセット38、40に対する収納有価媒体の種類の候補としては、「紙幣」「商品券」「混合(紙幣および商品券の混合)」の3つが選択肢として挙げられ、管理権限の候補としては、「店舗」「警送会社」の2つが選択肢として挙げられる。そして、メンテナンス員は、各紙葉類収納カセット38、40について、収納有価媒体の種類および管理権限についてそれぞれ複数の選択肢の中から一つを選択する。また、各収納カセット38、40、68、70に対応する収納有価媒体の種類や管理権限の設定画面において、各硬貨収納カセット68、70に対する収納有価媒体の種類の候補としては、「硬貨」の1つのみが設定可能であり他の有価媒体の種類を選択することはできないが、管理権限の候補としては、「店舗」「警送会社」の2つが選択肢として挙げられる。そして、メンテナンス員は、各硬貨収納カセット68、70について、管理権限について複数の選択肢の中から一つを選択する。
図7に示すような選択例では、第1の紙葉類収納カセット38に対しては、収納有価媒体の種類として紙幣が割り当てられるとともに管理権限として店舗側の管理権限が割り当てられている。また、第2の紙葉類収納カセット40に対しては、収納有価媒体の種類として紙幣および商品券の混合が割り当てられるとともに管理権限として警送会社側の管理権限が割り当てられている。また、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70に対してはそれぞれ、管理権限として警送会社側の管理権限が割り当てられている。この場合には、店舗のフロント領域に設けられたレジ釣銭機に補充されるべき釣銭準備金としての紙幣を第1の紙葉類収納カセット38に収納させ、その他の貨幣や商品券を警送会社により回収されるべき有価媒体として第2の紙葉類収納カセット40、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70に収納させるようにすることができるようになる。具体的には、入金処理時に、予め釣銭準備金として設定される枚数の千円紙幣および五千円紙幣が第1の紙葉類収納カセット38に送り込まれ、所定枚数を超える千円紙幣および五千円紙幣と、全ての一万円紙幣、二千円紙幣および商品券が第2の紙葉類収納カセット40に送り込まれる。このような処理を可能とするために、各収納カセット38、40、68、70に収納される有価媒体の種類は、紙幣、商品券、硬貨の区別だけではなく、金種や合計金額等の詳細内容まで設定できるものとする。
なお、紙葉類集積部32の管理権限は、前述したように概ね店舗側の管理権限が割り当てられている場合が多いが、この紙葉類集積部32の管理権限や当該紙葉類集積部32に集積される有価媒体の種類についても、操作者が操作表示部82により設定することができるようになっていてもよい。
また、操作者は、認証部86によりこの操作者の管理権限を認証させた後、取り出されるべき有価媒体の種類(例えば、紙幣、硬貨、商品券)を操作表示部82により制御部80に入力することができるようになっている。取り出されるべき有価媒体の種類が制御部80に入力されると、この制御部80は、記憶部84に記憶された各収納カセットと有価媒体の種類との関係に基づいて、操作表示部82により入力された有価媒体の種類に対応する収納カセットのみを有価媒体処理装置10の筐体12から取出可能とするよう、各収納庫ロック部110、112や各カセットロック部114、116、118、120の制御を行う。具体的には、例えば、第1の紙葉類収納カセット38に対して、収納有価媒体の種類として紙幣が割り当てられるとともに管理権限として店舗側の管理権限が割り当てられており、第2の紙葉類収納カセット40に対して、収納有価媒体の種類として紙幣および商品券の混合が割り当てられるとともに管理権限として警送会社側の管理権限が割り当てられており、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70に対してそれぞれ、管理権限として警送会社側の管理権限が割り当てられている場合において、警送会社側の管理権限を有する操作者(具体的には、警送会社の収集担当者)が認証部86により管理権限の認証を行わせた後、操作表示部82により硬貨を取り出す旨の指令を入力すると、有価媒体処理装置10の筐体12からは第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70のみが取り出し可能となり、第1の紙葉類収納カセット38および第2の紙葉類収納カセット40は有価媒体処理装置10の筐体12から取り出すことができないようになる。
また、本実施の形態では、操作者は、操作表示部82により、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32に対応する収納有価媒体の種類について、釣銭準備金および売上金のうち何れかを設定することができるようになっていてもよい。この場合には、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32に対応する収納有価媒体の種類として釣銭準備金が設定されたときには、この有価媒体収納部の管理権限は店舗側のものであると制御部80により自動的に設定されるようになる。一方、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32に対応する収納有価媒体の種類として売上金が設定されたときには、この有価媒体収納部の管理権限は警備会社側のものであると制御部80により自動的に設定されるようになる。
また、本実施の形態では、記憶部84は、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32と管理権限や有価媒体の種類との関係を複数パターン記憶するようになっていてもよい。この場合には、有価媒体処理装置10の導入時や運用変更時に、設定権限を有する操作者が、操作表示部82により、記憶部84に記憶された複数パターンの関係から、一つのパターンを選択することができるようになる。そして、制御部80は、この操作者により選択された一つのパターンにおける各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32と管理権限や有価媒体の種類との関係に基づいて、認証部86により認証された操作者の管理権限に対応する各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32のみへのアクセスを許容するよう規制部を制御するようになる。
以上のような構成からなる本実施の形態の有価媒体処理装置10によれば、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32等からなる各有価媒体収納部へのアクセスを有価媒体収納部毎に選択的に規制する規制部と、各有価媒体収納部と管理権限との関係を有価媒体収納部毎に記憶する記憶部84と、操作者の管理権限を認証するための認証部86とがそれぞれ設けられており、制御部80は、記憶部84に記憶された各有価媒体収納部と管理権限との関係に基づいて、認証部86により認証された管理権限に対応する有価媒体収納部のみへのアクセスを認容するよう規制部を制御するようになっている。このように、各有価媒体収納部と管理権限との関係を有価媒体収納部毎に記憶部84に予め記憶させておき、記憶部84に記憶された各有価媒体収納部と管理権限との関係に基づいて、認証された管理権限に対応する有価媒体収納部のみへのアクセスを認容するようにしているため、有価媒体収納部に収納された紙幣、硬貨、商品券等の有価媒体について、警送会社以外の店舗側の操作者でも有価媒体処理装置10の機体内から例えば釣銭準備金として取り出すことができるようになり、このため操作者にとっての利便性を向上させることができるようになる。すなわち、従来技術では、貨幣等の有価媒体を収納する有価媒体収納部の管理権限は全て警送会社側となっており、この有価媒体収納部に設けられた紙幣収納カセットや硬貨収納カセットは警送会社の収集担当者しか有価媒体処理装置の機体内から取り出すことができなかった。このため、従来では、有価媒体処理装置に入金した貨幣の一部を釣銭準備金として店舗側の操作者が有価媒体処理装置から取り出したい場合でも、店舗側の操作者は有価媒体処理装置の機体内から紙幣収納カセットや硬貨収納カセットを取り出してこれらの収納カセットに収納された貨幣を利用することができないという問題があった。これに対して、本実施の形態では、警送会社以外の店舗側の操作者でも有価媒体処理装置10の機体内から例えば釣銭準備金として紙幣、硬貨、商品券等の有価媒体を取り出すことができるようになる。
なお、管理権限は、前述したように、有価媒体処理装置10が設置された店舗側の管理権限、および各有価媒体収納部に収納された有価媒体の回収を行う警送会社側の管理権限を含む複数の管理権限のうちいずれかのものである。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、紙幣、硬貨、商品券等の有価媒体を1つの装置で処理することができるため、従来技術のような貨幣の入出金処理を行う貨幣処理装置と商品券の入金処理を行う商品券入金装置を別々に設けるような態様と比較して、装置全体の導入コストを軽減したり設置スペースについて省スペース化を図ったりすることができるようになる。
本実施の形態の有価媒体処理装置10では、前述したように、有価媒体収納部として、有価媒体処理装置10の機体内から取出可能な紙葉類収納カセット38、40や硬貨収納カセット68、70が用いられ、規制部は、有価媒体処理装置10の機体内に紙葉類収納カセット38、40や硬貨収納カセット68、70を選択的にロックして取出不可とするロック部(具体的には、各カセットロック部114、116、118、120)を含むようになる。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、前述したように、有価媒体収納部として、紙葉類が集積される紙葉類集積部32が用いられ、この紙葉類集積部32には、有価媒体が収納される有価媒体収納空間の開閉を行う扉としてシャッタ33が設けられており、規制部は、シャッタ33の開閉を選択的に規制するようになっている。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、記憶部84は、各有価媒体収納部と有価媒体の種類との関係も有価媒体収納部毎に記憶するようになっている。ここで、有価媒体の種類としては、紙幣、硬貨、商品券のうち少なくとも一つのものを含むようになっている。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、操作表示部82は、有価媒体の種類を入力するための入力部として機能するようになっており、制御部80は、前述したように、記憶部84に記憶された各有価媒体収納部と有価媒体の種類との関係に基づいて、入力部としての操作表示部82により入力された有価媒体の種類に対応する有価媒体収納部のみへのアクセスを認容するよう規制部を制御するようになっている。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、前述したように、記憶部84は、各有価媒体収納部と管理権限との関係を複数パターン記憶するようになっており、制御部80は、記憶部84に記憶された複数パターンの各有価媒体収納部と管理権限との関係から選択された一つのパターンの各有価媒体収納部と管理権限との関係に基づいて、認証部86により認証された管理権限に対応する有価媒体収納部のみへのアクセスを認容するよう規制部を制御するようになっていてもよい。
なお、本実施の形態による有価媒体処理装置10や有価媒体処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、有価媒体処理装置10の紙葉類処理機構20における紙葉類集積部32の数は1つに限定されることはない。紙葉類処理機構20に2つ以上の紙葉類集積部32が設けられ、各紙葉類集積部32に対応してシャッタ33が設けられるようになっていてもよい。このような構成にすれば、釣銭準備金(紙幣)をレジ釣銭機毎に分けて取り出すことが可能となる。また、紙葉類処理機構20に設置される紙葉類収納カセット38、40や硬貨処理機構50に設置される硬貨収納カセット68、70の数はそれぞれ2つに限定されることはない。紙葉類収納カセットや硬貨収納カセットの設置台数を3つ以上としてもよい。この場合、各紙葉類収納カセットに対応する紙葉類一時保留部の数や、各硬貨収納カセットに対応する硬貨一時保留部の数を増やしてもよい。このように、有価媒体収納部を構成する紙葉類集積部や紙葉類収納カセット、硬貨収納カセットの数を増やすことにより、各有価媒体収納部への有価媒体の収納パターンを増やすことができ、有価媒体処理装置10における様々な運用形態に対応することができるようになる。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、硬貨処理機構50における硬貨一時保留部や硬貨収納カセット、硬貨返却箱を金種毎に複数の領域に区分けしてもよい。例えば、硬貨一時保留部や硬貨収納カセット、硬貨返却箱をそれぞれ、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨の各々が収納される6つの領域に区分けしてもよい。更には、1円硬貨や5円硬貨が使用されない営業形態においては、流通量が多い10円硬貨および100円硬貨にそれぞれ2つの領域を割り当て、50円硬貨および500円硬貨にそれぞれ1つの領域を割り当てるようにしてもよい。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、紙葉類処理機構20の紙葉類搬送部24において紙葉類が搬送される搬送路の上下両側にそれぞれ消し込み部28を設置してもよい。この場合には、この搬送路に沿って搬送される商品券について、おもて面が上側であっても裏面が上側であっても、搬送される商品券のおもて面側にある消し込み部28によって当該商品券のおもて面に対して「済」印等の所定の内容を印字することができるようになる。
また、上述した有価媒体処理装置10は、紙幣、硬貨、商品券の入金処理を行う入金機として用いられる態様として説明したが、本発明はこのような態様に限定されることはない。本発明による有価媒体処理装置は、入金処理のみならず出金処理も行うことができる入出金機として用いられるものであってもよい。この場合には、有価媒体処理装置の紙葉類処理機構や硬貨処理機構には、それぞれ紙幣リサイクル部や硬貨リサイクル部が設置されるようになり、これらの紙幣リサイクル部や硬貨リサイクル部により、釣銭準備金としての紙幣や硬貨が有価媒体処理装置の機体外に投出されるようになる。また、このような有価媒体処理装置では、貨幣の両替処理も行うことができるようになっていてもよい。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10は、紙幣や商品券等の紙葉類の処理を行う紙葉類処理機構20および硬貨の処理を行う硬貨処理機構50を有するものとして説明したが、硬貨処理機構50の設置が省略され、有価媒体処理装置10が紙幣や商品券等の紙葉類のみの処理を行うようになっていてもよい。また、本実施の形態による有価媒体処理装置10が、紙幣のみの入金処理を行う紙幣入金装置や、商品券のみの入金処理を行う商品券入金装置として用いられるようになっていてもよい。
また、紙葉類処理機構20において、第1の紙葉類収納カセット38、第2の紙葉類収納カセット40および紙葉類集積部32にそれぞれ割り当てられる収納有価媒体の種類について、収納有価媒体として商品券が割り当てられる場合には、この収納有価媒体の種類として商品券の具体的な種類も割り当てることができるようになっていてもよい。より詳細には、商品券の種類として、自店精算券および他店精算券のうち何れかを収納有価媒体の種類として各有価媒体収納部に割り当てることができるようになっていてもよい。具体的には、本実施の形態による有価媒体処理装置10が例えば商品券入金装置として用いられる場合、第1の紙葉類収納カセット38に対して、収納有価媒体の種類として自店精算券の商品券が割り当てられ、また、第2の紙葉類収納カセット40に対して、収納有価媒体の種類として他店精算券の商品券が割り当てられる場合には、第1の紙葉類収納カセット38の管理権限は店舗側とされ、第2の紙葉類収納カセット40の管理権限は警送会社側とされる。この場合には、店舗側の管理権限を有する操作者は、有価媒体処理装置10の筐体12からは第1の紙葉類収納カセット38のみが取り出し可能となり、この第1の紙葉類収納カセット38から取り出した自店精算券を店舗内で処理するようになる。一方、警送会社側の管理権限を有する操作者(具体的には、警送会社の収集担当者)は、有価媒体処理装置10の筐体12からは第2の紙葉類収納カセット40のみが取り出し可能となり、この第2の紙葉類収納カセット40から他店精算券を回収して管理センターに運搬することにより、管理センターで他店精算券が回収した自店精算券を管理センター内で処理するようになる。
また、紙葉類処理機構20において、第1の紙葉類収納カセット38、第2の紙葉類収納カセット40および紙葉類集積部32にそれぞれ割り当てられる収納有価媒体の種類について、収納有価媒体として紙幣が割り当てられる場合には、この収納有価媒体の種類として紙幣の金種も割り当てることができるようになっていてもよい。同様に、硬貨処理機構50において、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70にそれぞれ割り当てられる収納有価媒体の種類として、硬貨の金種も割り当てることができるようになっていてもよい。
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、上述したように、紙葉類処理機構20および硬貨処理機構50においてそれぞれ2つの紙葉類収納カセット38、40や2つの硬貨収納カセット68、70が用いられるようになっているが、有価媒体処理装置10の筐体12内に1つの紙葉類収納カセットや1つの硬貨収納カセットしかセットされていない場合には、以下に記載するような縮退運用が行われるようになっていてもよい。具体的には、有価媒体処理装置10の筐体12内に第1の紙葉類収納カセット38しかセットされておらず、第2の紙葉類収納カセット40が有価媒体処理装置10の筐体12の外部に取り外されている場合には、第2の収納庫104に設けられたカセット装着検知センサにより第2の紙葉類収納カセット40が第2の収納庫104に装着されていないことが検知され、操作表示部82には「カセット装着忘れ」の警告表示がなされる。また、操作表示部82には、有価媒体処理装置10の筐体12内にセットされている紙葉類収納カセットの数が1つであっても有価媒体の入金処理を行うか否かの選択を操作者に要求する設定画面が表示される。
そして、有価媒体処理装置10の筐体12の外部に取り外されている第2の紙葉類収納カセット40を操作者が有価媒体処理装置10の筐体12内にすぐにセットできない場合には、この操作者は操作表示部82により、1つの紙葉類収納カセットのみを用いて入金処理を行う運用方法である、いわゆる「縮退運用」を選択する。この場合には、有価媒体処理装置10の筐体12内に投入された様々な種類の有価媒体は、有価媒体処理装置10の筐体12内にセットされている第1の紙葉類収納カセット38に混合収納されるようになる。また、各紙葉類収納カセット38、40に元々割り当てられている管理権限が異なるときには、縮退運用が行われる場合において有価媒体処理装置10の筐体12内にセットされている紙葉類収納カセット(上記の例では第1の紙葉類収納カセット38)に警送会社の管理権限が店舗側の管理権限よりも優先的に割り当てられるようになり、この紙葉類収納カセットは警送会社の収集担当者のみが有価媒体処理装置10の筐体12から外部に取り出すことができるようになる。また、縮退運用が行われる場合には、操作表示部82には「1つの収納カセットによる縮退運用が行われている」旨のメッセージが表示されるとともに、プリンタ88により入金処理時の取引データが印字される際に、レシートには「1つの収納カセットによる縮退運用が行われた」旨のメッセージが印字されるようになる。
また、各紙葉類収納カセット38、40や各硬貨収納カセット68、70に収納される有価媒体の種類や管理権限の設定方法として、操作者による操作表示部82を用いた設定方法以外に、オンラインや記憶媒体を介して設定内容の取得や設定動作を行うことができるようになっていてもよい。このような設定方法を用いた場合には、複数台の有価媒体処理装置10が設置される場合に、素早くかつ正確に設定を行うことができるようになる。
また、店舗側の管理権限を複数のレベルに分けてもよい。例えば、店舗側の管理権限を担当者レベルと主任レベルとに分け、担当者レベルでは有価媒体処理装置10から硬貨のみの回収を行うことができるようにし、主任レベルでは有価媒体処理装置10から紙幣および硬貨の両方の回収を行うことができるようにしてもよい。また、警送会社側の管理権限を複数のものに分けてもよい。例えば、警送会社のA社は、有価媒体処理装置10から現金のみの回収を行うことができるようにし、商品券の発行会社のB社は、有価媒体処理装置10から商品券のみの回収を行うことができるようにしてもよい。
また、更なる変形例では、有価媒体処理装置の筐体の前面から各紙葉類収納カセットや各硬貨収納カセットを引き出すのではなく、有価媒体処理装置の筐体の側面から横方向に各紙葉類収納カセットや各硬貨収納カセットを引き出すことができるようにしてもよい。このときに、各紙葉類収納カセットや各硬貨収納カセットについて、筐体の側面から横方向への引き出しを規制するロック部を設け、各ロック部に警送会社側の管理権限や店舗側の管理権限を割り当てるようにしてもよい。この場合には、紙葉類収納カセットのみならず硬貨収納カセットについても、複数(例えば2つ)の硬貨収納カセットの管理権限を店舗側の管理権限と警備会社側の管理権限とにそれぞれ分けることができるようになる。すなわち、例えば、店舗側の管理権限の紙葉類収納カセットおよび硬貨収納カセットを1つのカセット組合せ体とし、警備会社側の管理権限の紙葉類収納カセットおよび硬貨収納カセットを他の1つのカセット組合せ体とし、これらの各カセット組合せ体をそれぞれ有価媒体処理装置の筐体の側面から横方向に引き出すような構成とすることができるようになる。また、このような構成を、前面扉等の扉(具体的には、例えば下部扉14)が設けられておらず、カセットを有する収納ユニットを引き出すタイプの有価媒体処理装置に適用してもよい。