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JP6432793B2 - 離型フィルム付銅箔 - Google Patents

離型フィルム付銅箔 Download PDF

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Description

本発明はプリント配線板用途に好適に使用される離型フィルム付銅箔に関する。
近年の小型軽量化の図られた電子機器等に搭載するプリント配線板は、部品実装密度を向上させ狭小領域に配置されるため、ファインピッチ回路を形成することが求められてきた。
配線材料には銅箔が好適に用いられ、この要求に応えるために銅箔の厚みを小さくすることが求められていた。ところが、薄い銅箔を使用するほど銅箔のハンドリングが困難となり、シワ等の欠陥が発生しやすくなる。銅箔にシワやピンホールがあると、プレス成型時に銅箔のシワ部分から亀裂が発生し、流動化したプリプレグ中の樹脂が亀裂からしみ出し、銅張積層板の表面が汚染されたり、銅箔の平坦度を損ねたりするおそれがある。これら銅張積層板の欠陥は、その後のプリント配線板製造工程において形成される配線回路のショートや断線等をおこす原因となる。
またフレキシブルタイプの銅張積層板を製造する場合のロールラミネート、キャスティング法等のプレス加工とは異なる方法を用いた場合でも銅箔に存在したシワは、銅張積層板の状態になった以降もその表面に凹凸として残り、同様の問題をおこすことがある。
この問題を解決するため様々な提案がなされている。例えば、銅箔をキャリアとして用いたキャリア箔付銅箔が提案されている(例えば、特許文献1)。銅箔のようなキャリア箔にグラファイト構造を有するカーボン層を接合界面層として、この接合界面層上にスパッタリング法により銅膜を形成した後、この銅膜上に電解めっき法により銅層を形成する方法である。この銅膜の表面粗さは、キャリア箔に依存することとなり、表面粗さRaが0.20μm程度の銅箔が得られる。
しかしながら、近年、回路システムにおける高速動作を実現するために、高周波信号を伝送可能な配線基板が要求されている。一般に、配線基板の導体層に高周波信号を伝送させる場合は、導体表面の近傍に電流が集中する表皮効果が生じ、周波数が高くなるほど表皮効果の影響によって導体損失が増加していく。そして、導体層の表面が粗い場合は表皮効果により電流が導体表面の凹凸部分を集中的に流れることになるため、導体損失の増加が顕著となる。したがって高周波信号を伝送可能な配線基板を作製するためには表面粗さRaが0.10μm以下の平滑な銅箔である必要がある。
そこで、キャリアに表面粗さが低い有機フィルムを用いたものが提案されている(例えば、特許文献2)。フィルムの一方の面にグラファイト構造を有するカーボン層が離型層として形成され、離型層上に真空蒸着法を用いて銅層を形成する方法である、該銅層の表面粗さRaは0.10μm以下が可能であり、高周波信号に対応可能である。
しかしながら、特許文献2のように有機フィルムをキャリアに用いる場合では、耐熱性が問題となる。プリント配線板の銅箔貼り合わせで使用される真空熱プレスでは220℃程度まで加熱する必要があり、キャリアとしての耐熱性が求められるが、有機フィルムで220℃の加熱工程に耐える材料はポリイミドなどの高価な材料に限られてしまう問題があった。キャリア自体は銅箔貼り合わせ後は銅箔より剥離され廃棄される部位であり、コスト競争力のためにもポリイミドのような高価な材料を使用することは避けたいという問題があった。
特開2008−255462号公報 特開2015−157472号公報

そこで本発明では、ポリエチレンテレフタレートのような汎用な有機フィルムをキャリアとして用いて銅層を作製し、プレスやラミネートによる熱処理を行った後、銅層と離型付フィルムを剥離することができ、かつ高周波信号を伝送可能な配線基板を作製できるような離型フィルム付銅箔を作製することを目的とした。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、ポリエチレンテレフタレートのような汎用フィルムに炭素層を離型層として選択し、炭素層とフィルムの間に金属層を設けることによって、電子ビーム蒸着法を用いて銅層を形成し、プレスやラミネートの熱処理温度で使用される160〜220℃の加熱処理を行っても銅層と離型付フィルムが剥離可能な離型フィルム付銅箔を得るに至った。
すなわち、本発明は、フィルムの一方の面に剥離層を有する離型フィルムの、該剥離層の上に銅層が設けられた離型フィルム付銅箔であって、該フィルムの他方の面上に、透過防止膜が備えられていることを特徴とする離型フィルム付き銅箔に関する。
好ましい態様は、前記透過防止膜が金属膜であることを特徴とする離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態様は、前記透過防止膜がアルミニウム、銅、ニッケル、亜鉛、コバルト、クロムのうち少なくとも1種から選ばれる金属膜であることを特徴する離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態様は、該剥離層は炭素層であることを特徴とする離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態様は、該剥離層はフィルム側から金属層および炭素層がこの順に形成されることを特徴とする離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態様は、該剥離層に含まれる該金属層は、アルミニウム、亜鉛、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、ゲルマニウム、白金、金、鉛のうち少なくとも1種から選ばれることを特徴とする離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態様は、該炭素層は、厚みが0.5〜5.0nmであることを特徴とする離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態様は、該銅層は、厚みが0.3μm以上3.0μm以下であり、大きさが5μm以上のピンホール数が1平方mあたり1個以下であることを特徴とする離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態様は、該フィルムは、厚みが25μm以上150μm以下のポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする記載の離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態様は、該銅層は真空蒸着法により形成されることを特徴とする離型フィルム付銅箔の製造方法に関する。
PETフィルムをキャリアとして用いたキャリアフィルム付き極薄銅箔であっても、PETフィルムの耐熱性を向上することで、プリント回路基板製造に必要な真空熱プレス(プレス温度〜220℃)の工程通過が可能となる。耐熱性のある離形層と組み合わせることで、真空ラミネートなどの熱処理で使用される160℃〜220℃加熱処理後でも剥離可能であり、この離型フィルム付銅箔と絶縁層シートとを貼りあわせることで銅層表面が平滑な銅張積層板が安価に得られる。この銅張積層板はエッチングすることで配線上に欠点が少なく良好な回路パターンのプリント配線板を得ることが出来る。またこの銅張積層板は高周波用途にも好適に用いることができる。
離型フィルム付銅箔の模式図である。
本発明について以下詳細に説明する。
本発明の離型フィルム付銅箔は、フィルムの一方の面に剥離層を有する離型フィルムの該剥離層の上に銅層が設けられた離型フィルム付銅箔であって、該フィルムの他方の面上に、酸素および水蒸気の透過を防止する透過防止膜が備えられている。
本発明の離型フィルム付銅箔は、プリプレグなどの絶縁層シートと貼り合わせる工程において熱で処理する工程を有するため、耐熱性が要求される。プリプレグなどの絶縁層シートはエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂を含んでおり、貼り合わせ時に樹脂を硬化させる必要があるため、真空熱プレス等を必要とする。この温度条件は絶縁層シートの種類によって様々であるが220℃程度の温度条件を必要とする。よってフィルムの耐熱性は220℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは230℃以上である。
本発明で用いられるフィルムとは、合成樹脂などの高分子を薄い膜状に成型したものである。
ただし、フィルムは銅箔貼り合わせ後は銅箔より剥離され廃棄される部位であり、コスト競争力のためにもポリイミドのような高価な材料を使用することは避けたい。そこで、汎用性が高く、高価でないポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略すことがある)等を使用することが好ましい。しかし、PETの耐熱性は低く、180℃以上の加熱条件で分解劣化されてしまうため、そのままでは使用できない。PETの分解は160℃以上で顕著になり熱分解、酸化による分解(熱分解の約2倍の分解速度)、加水分解(熱分解の約10000倍の分解速度)の3種類の分解が進むとされ、分解速度から大気中では加水分解が支配的であると考えられている。つまり、酸化を引き起こす酸素および加水分解を引き起こす水蒸気を遮断すれば、加熱することでのPETの分解はかなり抑制される。あくまでも基材(キャリア)なので、加熱後に形状が維持でき銅箔より剥離できれば十分であり、フィルムに対して厳密な物性の維持は要求されない。つまり酸素および水蒸気を遮断することで、PETの分解を抑制でき、220℃以上の加熱であってもPETはキャリアとしての目的は十分に達成可能となる。したがって、離型フィルムはできるだけ大気中の酸素および水分から遮断される構造が好ましい。フィルムの一方の面には剥離層があり、該剥離層の上に銅層が設けられているため、銅層のある面側からは大気中の酸素および水分から遮断される。よって銅層のない他方の面上に、酸素および水蒸気の透過を防止する透過防止膜が備えられていることが好ましい。
本発明における透過防止膜は、酸素および水分を遮断するものであり、とくに材料を特定するものではない。一般的な防湿シートに用いられている方法としてはフィルム表面にシリカなどの無機酸化物膜を蒸着法やゾルゲル法などの湿式塗布により形成する手法が一般的である。ただし、無機物酸化膜を蒸着法で形成する場合は、シリカと酸素の組成比を合わせるためにCVD法やスパッタの雰囲気ガスを調整する必要があり、金属が酸化する環境となる。そのため、金属である銅膜と同じ真空装置内での同時形成が困難となる。また、ゾルゲル等などの湿式塗布による形成であると、真空蒸着プロセス以外の製造工程が必要となり、コスト的に不利である。
よって、銅層を形成する本発明においては、透過防止膜は真空蒸着内で酸化などの影響なく形成できる金属であることが好ましい。酸素および水分を遮断できるのであれば金属の種類は特に限定されない。アルミニウム、銅、ニッケル、亜鉛、コバルトは真空蒸着法で安定した皮膜形成できるため、適している。また、安定したクロム酸化膜を表面に形成するステンレス鋼なども酸素、水分を透過させにくく、透過防止膜として適している。
また、かかる透過防止膜の厚みは、酸素および水分を遮断するに十分な厚みであることが必要である。金属を透過防止膜に使用する場合、金属が蒸着膜としてフィルム表面全体を被覆するために10nm以上の厚みが必要であり、30nm以上であることがより好ましい。ただし、膜形成条件や金属種類により、被覆状態が異なるため、金属膜の厚みは10nmより十分に厚いことが必要である。
透過防止膜として金属膜を設ける方法としては、例えば物理蒸着法であれば真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法が挙げられる。ここで透過防止膜、剥離層、銅層を1つのラインで形成するとすればスペースが制限されるため、スパッタリング法が好ましく用いられる。かかる透過防止膜層の金属の種類は、スパッタリング法で金属膜を形成するのであればスパッタレートが高い金属を選定するのことが好ましい。具体的にはアルミニウム、亜鉛、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、ゲルマニウム、白金、金、鉛が選ばれる。
本発明におけるフィルムとして使用するPETは、保管、本発明を製造する各工程および中間品として保管される際には吸湿しないように管理されなければばらない。本発明では加熱時の分解を抑えるために、酸素および水分をPETから遮断することであり、そのためには元々PETに含まれる水分も抑制する必要がある。PETを吸水させないために、PETもしくはPETを含む製品は湿度が20%以下で保管されるか、真空環境下で置かれることが望ましい。特に、金属がPETに蒸着されると水分が金属膜を通過して除去することが困難となるため、金属が蒸着される前に酸素や水分を除去されていることが好ましい。蒸着前に酸素や水分を除去する方法としては真空中で長時間放置するか、真空中で加熱することが有効である。
またかかる高分子フィルムの厚みは25μm以上150μm以下であることが好ましい。フィルムの厚みが25μm未満であると蒸着中に生じる応力によってフィルムが変形したり破れたりしてしまう可能性がある。また150μmを超えるとフィルムを張力で制御できなくなり巻きズレ等をおこしてしまう可能性がある。また一度の蒸着で投入できる量が減ってしまい生産性を悪くしてしまう。より好ましくは35μm以上125μm以下である。
本発明では、フィルムの一面に剥離層が設けられており、フィルムと剥離層を含めて離型フィルムとしている。剥離層は、かかる剥離層の上に銅層が形成できればよく、また、銅層形成後に絶縁層シートと離型フィルム付銅箔の銅箔面を貼り合わせた後、フィルムと銅箔を引き剥がすことができればよい。このとき剥離層のうちの炭素層はフィルムと銅箔のどちらに付いていても構わないが金属層はフィルム側に付いている必要がある。
本発明における銅層は、かかる高分子からなるフィルムの上に物理蒸着法における真空蒸着法により形成されることが好ましく例示される。真空蒸着法には誘導加熱蒸着法、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、レーザービーム蒸着法などがある。ここで、銅層にピンホールが存在すると回路パターンを作製した時にピンホールが存在した部分は断線などを生じてしまう場合がある。ピンホールは5μm以上の蒸着膜の欠損部のことであり、回路パターンを加工するためにはこのピンホールが少ないほどよい。かかる銅層のピンホール数を少なくするためには電子ビーム蒸着法が好適に利用される。実際、5μm以上のピンホール数が1平方mあたり1個以下とするためには電子ビーム蒸着法が好ましく用いられる。かかる銅層は電子ビーム蒸着法を単独で用いて形成しても構わないし、電子ビーム蒸着法で銅層を形成した後にその他の蒸着法で銅層を形成した2層以上の層になっても構わない。また、蒸着中は基材の温度が上昇しないようにフィルム(基材(キャリア))を冷却しながら蒸着を行ってもよい。
蒸着で作製した銅層のピンホールはフィルム状の汚れによって生じるが、他にも蒸着機の搬送によっても生じる。搬送ロール中にキズ、汚れがあると搬送でフィルムが通過した際に銅層が破れてピンホールとなる。銅層の搬送におけるピンホールは銅層が硬い方が生じにくいため、銅層は硬い方が好ましい。具体的にはナノインデンターで測定した時の硬さが1.40GPa以上である方が好ましい。より好ましくは1.50GPa以上である。ナノインデンターの測定方法は膜厚の1/10以下まで針を侵入することで値を得ることが出来る。
また、かかる銅層は耐表面酸化の観点から銅層の表面に金属による酸化防止層を設けてもよいし、クロメート処理やベンゾトリアゾールなどの防錆処理を施してもよい。
また、かかる銅層はプリント基板に使用される絶縁樹脂との密着強度向上させる目的で銅層の表面にスパッタ法により金属を形成しても良い。
また、かかる銅層の厚みは0.3μm以上3.0μm以下であることが好ましい。3.0μmを超えると銅層自体の反りにより、基材から自然に剥離してしまうおそれがある。また蒸着時に基材にかかる熱量も大きくなり、基材に熱変形が生じてしまうおそれがある。厚みが0.3μm未満であると銅層中のピンホールやボイドが増えてしまう。より好ましくは0.4μm以上3.0μm以下、さらに好ましくは0.4μm以上2.0μm以下である。
本発明では電子ビームによってロールトゥロールでフィルム上に銅層を形成することが好ましく例示される。その場合、フィルムは蒸着時に熱に曝される。フィルムは裏面に接している冷却ロールにより冷却されるが、このときフィルムの耐熱温度が低かったり、フィルムの熱収縮が大きかったりすると、フィルムの変形に伴って冷却ロールから浮いてしまい、冷却が十分にされず溶融により穴が空いてしまったりする。よって耐熱温度が高く、また、熱収縮が小さい方が好まれる。電子ビーム法によって銅層を形成するときの蒸着時のフィルム上の温度は100〜120℃程度であると想定される。このため耐熱温度が120℃以上あり、120℃での熱収縮率がフィルムの長手(MD)方向、幅(TD)方向のいずれも2.0%以下であることが好ましい。2.0%を超えると張力変更やロールの冷却によってフィルムの変形を制御することが難しく、上記銅層の厚みを形成しようとすると基材がロールから離れてフィルムの温度が上昇し溶融して穴が空いてしまう。より好ましくは熱収縮率が1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。フィルムの熱収縮率は所定の温度で30分間処理した前後の寸法変化率より得ることが出来る。
また、本発明において上記の通り電子ビーム法を用いて蒸着を行うと、フィルムや剥離層は電子線の影響を受ける。電子線によって分子鎖が切断したり、また切断した分子同士が架橋したりすると想定される。このためフィルム自体が劣化することや、フィルムと剥離層が化学的に結合してしまい剥離できなくなってしまうことが生じる。よって結合数が多い炭素層が好適に用いられる。
また、かかる剥離層の形成方法は蒸着による方法や有機溶媒中から炭素層を電気的に析出させる方法がある。蒸着による方法では、アークイオンプレーティング法、マグネトロンスパッタリング法、高周波プラズマCVD法、パルス方式直流プラズマCVD法、イオン化蒸着法、プラズマイオン注入成膜法などが例示される。比較的簡易に装置化出来るマグネトロンスパッタリング蒸着法が好ましく用いられる。
かかる炭素層の厚みは0.5nm以上5.0nm以下であることが好ましい。0.5nm未満であると炭素層が薄いため金属層を含むフィルムと銅がうまく剥離できない。層が薄く電子ビームの影響によって複数の結合が切断されたときに、分子鎖が切断されやすくなる。また、5.0nmを超えると炭素層と銅層の剥離力が弱くなってしまい、蒸着中に自然剥離をおこしてしまうおそれがある。より好ましくは1.0nm以上4.0nm以下である。
かかる炭素層の厚みは直接測定することが困難であるが、10nm以上の厚みがあれば、透過率から後述するランバート・ベールの法則
Figure 0006432793
を用いて算出することが出来る。ここでIは薄膜通過前の光量、Iは薄膜通過後の光量、αは吸光係数、Zは膜厚、kは消衰係数、λは波長である。
そこで、透過率で10nm、20nmのとなる炭素層形成条件から、10nm以下の目標膜厚に必要な膜生成処理時間を算出し、その算出した処理時間で生成した炭素層が目標膜厚であるとみなした。
また、蒸着中の電子線の影響でフィルムおよび炭素層の分子鎖が切断されたとき、フィルムと炭素層の切断された分子鎖が熱影響などにより界面で結合するのを防止するために金属層を設けることが望ましい。フィルムと炭素層の切断された分子鎖が熱影響などにより界面で結合すると剥離力が上昇する。剥離力が強くなると、製品自体へ無理な力がかかり、変形等の不具合の発生の原因となる。金属層を設ける方法としては、例えば物理蒸着法であれば真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法が挙げられる。ここで金属層、炭素層、銅層を1つのラインで形成するとすればスペースが制限されるため、スパッタリング法が好ましく用いられる。
かかる金属層の種類は、スパッタリング法で金属層を形成するのであればスパッタレートが高い金属を選定することが好ましい。また、熱プレス等の熱処理中に炭素層、フィルム層に拡散しない金属を選択することが好ましい。具体的にはアルミニウム、亜鉛、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、ゲルマニウム、白金、金、鉛が選ばれる。
かかる金属層の厚みは切断されたフィルムの分子鎖と炭素層の分子鎖が界面で結合されるのを防ぐことが出来れば十分であり、1nm以上あればよい。1nm未満であるとかかる界面の結合を十分に防ぐことが出来ない。また金属層の厚みを厚くするためにはスパッタ出力を増大し、かつ搬送速度を遅くしてしまうため生産効率が悪化してしまう。よって好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは2nm以上50nm以下、さらに好ましくは5nm以上40nm以下である。金属層の厚みも炭素層と同様にランバート・ベールの法則を用いて透過率から算出することが出来る。
本発明の離型フィルム付銅箔は、剥離層と接していない面の銅層の表面粗さRaが0.10μm以下であることが好ましい。0.10μmを超えると表面が粗いことによって表皮効果の影響により導体損失が増加してしまい、高周波用途に用いることが難しくなる。より好ましくは0.05μm以下、さらに好ましくは0,03μm以下である。
また本発明の離型フィルム付銅箔の銅層はフィルムの表面粗さに依存する。かかる理由からフィルムについても少なくとも剥離層と接する面の表面粗さRaが0.10μm以下であることが望ましい。より望ましくは0.05μm以下、さらに望ましくは0,03μm以下である。
本発明の離型フィルム付銅箔は、常温から120℃まで該離型フィルムと銅層との剥離力が0.1×10−2N/mm未満であると銅層が自然剥離してしまうおそれがある。また、1.5×10−1N/mmを超えると剥離力が強く剥離が困難となる。よって離型フィルムと銅箔との剥離力は0.1×10−2N/mm以上1.5×10−1N/mm以下が好ましい。より好ましくは0.5×10−2N/mm以上9.0×10−2N/mm以下である。 本発明で得られる銅箔は真空熱プレスや真空ラミネートなどの220℃までの熱処理後も剥離可能であり、絶縁層シートと貼りあわせることで銅層表面が平滑な銅張積層板が得られる。この銅張積層板はエッチングすることで配線上に欠点が少なく良好な回路パターンのプリント配線板を得ることが出来る。またこの銅張積層板は高周波用途にも好適に用いることができる。
また本発明で得られる銅箔は回路用途が主であるがこれに限らず、例えば、電磁波などのシールド用途、タッチパネルなどの転写箔の用途などに用いることができる。
なお、本発明は、以上に説明した各構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(表面粗さの測定)
表面粗さRaはJIS B 0601-1994に定義される算術平均粗さのことであり、粗さ曲線からその平均線の方向に基準粗さ(l)だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、X軸と直行する方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)であらわしたときに、次の式によって求められる値である。
Figure 0006432793
フィルムおよび離型フィルム付銅箔を20mm×20mmの大きさにカットした。カットしたサンプルはレーザー顕微鏡(キーエンス製、VK-X200)を用いて表面観察を行いJIS B0601-1994に準拠して行った。解析は株式会社キーエンス製の解析アプリケーションソフトVK-H1XAを用い、カットオフ値は0.25μmとした。該ソフトにおいて、「計測」、「表面粗さ」の順に選択し、100μmの長さを指定して表面粗さRaを求めた。測定はサンプルのある一方向とその垂直な方向で測定して値の大きな方を表面粗さRaとした。
(ピンホールの測定)
暗室中で民生用の写真用バックライトを光源にして目視で5μm以上のピンホールの数を測定した。測定は5平方m以上の面積を行い、1平方m辺りの数に換算した。
(炭素層膜厚の換算)
膜厚10nm以上となる成膜条件の炭素層の透過率を透過率計で測定し、得られた値からランバート・ベールの法則
Figure 0006432793
から膜厚を算出した。ここでIは薄膜通過前の光量、Iは薄膜通過後の光量、αは吸光係数、Zは膜厚、kは消衰係数、λは波長である。I/Iを透過率として波長632.8nmのときの消衰係数0.047の値を採用し、炭素層の膜厚とした。10nm以上となる炭素層形成条件から、10nm以下の目標膜厚に必要な膜生成処理時間を算出し、その算出した処理時間で生成した炭素層が目標膜厚であるとみなした。
(フィルムの厚み、熱収縮率の測定)
フィルムの厚みを膜厚計DIGMICRO MFC-101を用いて測定した。またJIS K 7133に準じて120℃、30minの条件で加熱前の寸法L、加熱後の寸法Lから寸法変化率
△L=(L−L)/L×100
を算出した。測定はフィルムのMD方向およびTD方向で行い、値の大きな方を熱収縮率とした。
(剥離力の測定)
貼り合わせた銅張品を150mm×20mmの大きさにカットした。離型層を介してフィルムを銅層から一部剥離してテンシロンに固定し、フィルムを180°ピールで剥離して得られた値を10mm当りの剥離力に換算して剥離力とした。剥離力は0.1×10−2N/mm以上9.0×10−2N/mm未満の範囲を良好な範囲で◎とし、9.0×10−2N/mm以上1.5×10−1N/mm以下の範囲を剥離可能な範囲で○とし、それ以外のものは×とした。
(プレス試験)
離型フィルム付銅箔340mm×340mmの大きさにカットして、プリプレグHL-832NXAとの貼り合わせを行った。貼り合わせは110℃、30min、0.5MPaの後、所定の温度で105min、3.0MPaの条件で真空プレスを行った。真空条件は16torrとした。ここで所定の温度は160〜220℃まで10℃ごとの範囲とした。160〜220℃までのすべての温度条件で剥離可能であったものを◎とした。
また、貼り合わせた銅張品を150mm×20mmの大きさにカットした。離型層を介してフィルムを銅層から一部剥離してテンシロンに固定し、フィルムを180°ピールで剥離して得られた値を10mm当りの剥離力に換算して剥離力とした。剥離力は0.1×10−2N/mm以上9.0×10−2N/mm未満の範囲を良好な範囲で◎とし、9.0×10−2N/mm以上1.5×10−1N/mm以下の範囲を剥離可能な範囲で○とし、それ以上の力で剥離可能なものは△とした。また、フィルム自体が粉々に粉砕してしまい、剥離できないもものを×とした。
(PETの分解性の評価)
PETが酸素および水分と反応して分解すると、フィルムとして形状を維持することが困難となる。PETを離型フィルム付銅箔に使用した場合、フィルムが分解していると、粉々に粉砕してしまい、剥離できない。そこで、160〜220℃の温度領域で真空プレス条件を行い、離形フィルムが形状を維持したまま、剥離可能であったものは酸素および水分との反応が進まず分解しなかったと判断した。一方、粉々に粉砕してしまい、剥離できないものについては、酸素および水分との反応し、PETフィルムが分解したと判断した。
(実施例1)
厚さ100μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名“ルミラー”タイプ:U483)の片面に、マグネトロンスパッタリング法でNi層を製膜し透過防止膜を形成した。Ni層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用した。また、Ni層のみでの透過率は10.9%であり換算式から算出したNi金属膜の厚みは30nmであった。
その後、透過防止膜の反対面にもマグネトロンスパッタリング法でNi層を成膜し、更にマグネトロンスパッタリング法で炭素層を成膜して離型層を形成することで透過防止膜付きの離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.02μm、融点は262℃、120℃での収縮率は0.9%であった。
離型層のNi層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用した。また、Ni層のみでの透過率は70.0%であり換算式から算出した金属膜の厚みは4.83nmであった。炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用し、炭素層は1.0nmとなる条件で作製した。
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度6.6μm・m/min、ライン速度4.4m/minで1.5μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.0個/m、表面粗さRaは0.02μmであった。この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は0.9×10−2N/mmであった。真空プレス条件を行ったところ、160〜220℃のいずれの温度条件でも容易に剥離することができた。220℃でのプレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は0.9×10−2N/mmであった。
(実施例2)
厚さ100μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名 “ルミラー”タイプ:U483)の片面に、蒸着法でAl層を製膜し透過防止膜を形成した。Al金属膜の厚みは30nmであった。
その後、実施例1と同様に透過防止膜の反対面にもマグネトロンスパッタリング法でNi層を成膜し、更にマグネトロンスパッタリング法で炭素層を成膜して離型層を形成することで透過防止膜付きの離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.02μm、融点は262℃、120℃での収縮率は0.9%であった。
この離型フィルムの炭素層形成面に実施例1と同様に電子ビーム蒸着法によって銅を1.5μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.0個/m、表面粗さRaは0.02μmであった。この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は0.9×10−2N/mmであった。真空プレス条件を行ったところ、160〜220℃のいずれの温度条件でも容易に剥離することができた。220℃でのプレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は0.9×10−2N/mmであった。
(実施例3)
厚さ100μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名 “ルミラー”タイプ:U483)の片面に、蒸着法でCu層を製膜し透過防止膜を形成した。Cu金属膜の厚みは100nmであった。
その後、実施例1と同様に透過防止膜の反対面にもマグネトロンスパッタリング法でNi層を成膜し、更にマグネトロンスパッタリング法で炭素層を成膜して離型層を形成することで透過防止膜付きの離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.02μm、融点は262℃、120℃での収縮率は0.9%であった。
この離型フィルムの炭素層形成面に実施例1と同様に電子ビーム蒸着法によって銅を1.5μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.0個/m、表面粗さRaは0.02μmであった。この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は0.9×10−2N/mmであった。真空プレス条件を行ったところ、160〜220℃のいずれの温度条件でも容易に剥離することができた。220℃でのプレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は0.9×10−2N/mmであった。
(実施例4)
厚さ100μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名 “ルミラー”タイプ:U483)の片面に、マグネトロンスパッタリング法でNi層を製膜し透過防止膜を形成した。Ni層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用した。また、Ni層のみでの透過率は10.9%であり換算式から算出したNi金属膜の厚みは30nmであった。
その後、透過防止膜の反対面にマグネトロンスパッタリング法で炭素層を成膜して離型層を形成することで透過防止膜付きの離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.02μm、融点は262℃、120℃での収縮率は0.9%であった。
炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用した。また、炭素層は1.0nmとなる条件で作製した。
この離型フィルムの炭素層形成面に実施例1と同様に電子ビーム蒸着法によって銅を1.5μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.0個/m2、表面粗さRaは0.02μmであった。この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は1.4×10−2N/mmであった。真空プレス条件を行ったところ、160〜220℃のいずれの温度条件でも容易に剥離することができた。220℃でのプレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は8.7×10−2N/mmであった。
(実施例5)
厚さ100μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名 “ルミラー”タイプ:U483)の片面に、マグネトロンスパッタリング法でNi層を製膜し透過防止膜を形成した。Ni層形成のスパッタリング条件は、実施例1と同じであり、Ni金属膜の厚みは30nmであった。
その後、透過防止膜の反対面にもマグネトロンスパッタリング法でNi層を成膜し、更にマグネトロンスパッタリング法で炭素層を成膜して離型層を形成することで透過防止膜付きの離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.02μm、融点は262℃、120℃での収縮率は0.9%であった。
Ni層形成のスパッタリング条件は実施例1と同じであり、金属膜の厚みは4.83nmであった。炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用し、炭素層は1.5nmとなる条件で作製した。
この離型フィルムの炭素層形成面に実施例1と同様に電子ビーム蒸着法によって銅を1.5μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.0個/m2、表面粗さRaは0.02μmであった。この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は0.6×10−2N/mmであった。真空プレス条件を行ったところ、160〜220℃のいずれの温度条件でも容易に剥離することができた。220℃でのプレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は0.6×10−2N/mmであった。
(実施例6)
厚さ100μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名 “ルミラー”タイプ:U483)の片面に、マグネトロンスパッタリング法でNi層を製膜し透過防止膜を形成した。Ni層形成のスパッタリング条件は、実施例1と同じであり、Ni金属膜の厚みは30nmであった。
その後、透過防止膜の反対面にもマグネトロンスパッタリング法でNi層を成膜し、更にマグネトロンスパッタリング法で炭素層を成膜して離型層を形成することで透過防止膜付きの離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.02μm、融点は262℃、120℃での収縮率は0.9%であった。
Ni層形成のスパッタリング条件は実施例1と同じであり、金属膜の厚みは4.83nmであった。炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用し、炭素層は6.2nmとなる条件で作製した。
この離型フィルムの炭素層形成面に実施例1と同様に電子ビーム蒸着法によって銅を1.5μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着中にフィルムから銅層が一部剥離したが巻きズレなく巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.0個/m2、表面粗さRaは0.02μmであった。この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は0.3×10−2N/mmであった。真空プレス条件を行ったところ、160〜220℃のいずれの温度条件でも容易に剥離することができた。220℃でのプレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は0.3×10−2N/mmであった。
(実施例7)
厚さ100μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名 “ルミラー”タイプ:U483)の片面に、マグネトロンスパッタリング法でNi層を製膜し透過防止膜を形成した。Ni層形成のスパッタリング条件は、実施例1と同じであり、Ni金属膜の厚みは30nmであった。
その後、透過防止膜の反対面にもマグネトロンスパッタリング法でNi層を成膜し、更にマグネトロンスパッタリング法で炭素層を成膜して離型層を形成することで透過防止膜付きの離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.02μm、融点は262℃、120℃での収縮率は0.9%であった。
Ni層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用した。また、Ni層のみでの透過率は70.0%であり換算式から算出した金属膜の厚みは4.83nmであった。炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用した。またNi層形成のスパッタリング条件は実施例1と同じであり、金属膜の厚みは4.83nmであった。炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用し、炭素層は0.4nmとなる条件で作製した。
この離型フィルムの炭素層形成面に実施例1と同様に電子ビーム蒸着法によって銅を1.5μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.0個/m2、表面粗さRaは0.02μmであった。この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は9.5×10−2N/mmであった。真空プレス条件を行ったところ、160〜220℃のいずれの温度条件でも容易に剥離することができた。220℃でのプレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は9.5×10−2N/mmであった。
(実施例8)
厚さ100μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名 “ルミラー”タイプ:U483)の片面に、マグネトロンスパッタリング法でNi層を製膜し透過防止膜を形成した。Ni層形成のスパッタリング条件は、実施例1と同じであり、Ni金属膜の厚みは30nmであった。
その後、透過防止膜の反対面にグラビアコータ法で水溶性セルロース樹脂を1.1μmの厚さにコーティングし、剥離層をもつフィルムを作成した。フィルムの表面粗さRaは0.03μm、融点は262℃、120℃での収縮率は1.0%であった。この離型フィルムの水溶性セルロース樹脂形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度6.6μm/min、ライン速度4.4m/minで1.5μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.4個/m、表面粗さRaは0.02μmであった。この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は2.5×10−2N/mmであった。また真空プレス条件は120℃以上で銅層とフィルムが固着してしまい剥離することが困難であったが、なんとか剥離することは可能であった。しかし、剥離時にフィルムが伸びてしまい、正確な剥離力は測定できなかった。ただし、離形フィルム自体は粉々に粉砕せず、酸素および水分との反応が進まず分解しなかったと判断した。
(比較例1)
厚さ100μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名 “ルミラー”タイプ:U483)に、透過防止膜を形成しないで離型フィルムを作製した。
実施例1と同様にマグネトロンスパッタリング法でNi層を成膜し、更にマグネトロンスパッタリング法で炭素層を成膜して離型層を形成することで離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.02μm、融点は262℃、120℃での収縮率は0.9%であった。
この離型フィルムの炭素層形成面に実施例1と同様に電子ビーム蒸着法によって銅を1.5μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。
この蒸着膜のピンホール数は0.0個/m2、表面粗さRaは0.02μmであった。このフィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は0.9×10−2N/mmであった。また、真空プレス条件を行ったところ、160〜220℃のいずれの温度条件で、離形フィルムが粉々に粉砕してしまい、剥離できなかった。離形フィルムが酸素および水分との反応し、PETフィルムが分解したと判断した。
Figure 0006432793
Figure 0006432793
(1) フィルム
(2) 剥離層
(3) 銅層
(4) 金属層
(5) 炭素層
(6) 透過防止膜

Claims (9)

  1. 厚みが25μm以上150μm以下のポリエチレンテレフタレートであるフィルムの一方の面に剥離層を有する離型フィルムの、該剥離層の上に銅層が設けられた離型フィルム付銅箔であって、該フィルムの他方の面上に、透過防止膜が備えられていることを特徴とする離型フィルム付銅箔。
  2. 前記透過防止膜が金属膜であることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム付銅箔。
  3. 前記透過防止膜がアルミニウム、銅、ニッケル、亜鉛、コバルト、クロムのうち少なくとも1種から選ばれる金属膜であることを特徴する請求項2に記載の離型フィルム付銅箔。
  4. 該剥離層は炭素層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム付銅箔。
  5. 該剥離層はフィルム側から金属層および炭素層がこの順に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム付銅箔。
  6. 該剥離層に含まれる該金属層は、アルミニウム、亜鉛、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、ゲルマニウム、白金、金、鉛のうち少なくとも1種から選ばれることを特徴とする請求項5に記載の離型フィルム付銅箔。
  7. 該炭素層は、厚みが0.5〜5.0nmであることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の離型フィルム付銅箔。
  8. 該銅層は、厚みが0.3μm以上3.0μm以下であり、大きさが5μm以上のピンホール数が1平方mあたり1個以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の離型フィルム付銅箔。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の離型フィルム付銅箔の製造方法であって、該銅層は真空蒸着法により形成されることを特徴とする離型フィルム付銅箔の製造方法。
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